文語訳舊約聖書(1953年版)(振り仮名付き)

章: 1  2  3  4  5  6  7

申命記

  第1章

1:1 是これはモーセがヨルダンの此旁こなたの曠野あらの紅海こうかいに對たいする平野ひらのに在ありてバラン、トベル、ラバン、ハゼロテ、デザハブの間あひだにてイスラエルの一切すべての人ひとに告つげたる言語ことばなり

1:2 ホレブよりセイル山やまの路みちを經へてカデシバルネアに至いたるには十一日路にちぢあり

1:3 第だい四十年ねんの十一月ぐわつにいたりその月つきの一日ついたちにモーセはイスラエルの子孫ひとびとにむかひてヱホバが彼等かれらのために自己おのれに授さづけたまひし命令めいれいを悉ことごとく告つげたり

1:4 是これはモーセがヘシボンに住すめるアモリ人びとの王わうシホン及およびエデレイのアシタロテに住すめるバシヤンの王わうオグを殺ころしたる後のちなりき

1:5 即すなはちモーセ、ヨルダンの此旁こなたなるモアブの地ちにおいてこの律法おきてを解明ときあかすことを爲なし始はじめたり曰いはく

1:6 我われらの神かみヱホバ、ホレブにて我われらに告つげて言いひたまへり汝なんぢらはこの山やまに居をること日ひすでに久ひさし

1:7 汝なんぢら身みを轉めぐらして途みちに進すすみアモリ人びとの山やまに往ゆき其そのに鄰となれる處々ところどころに往ゆき平野ひらの山地やまち窪地くぼち南みなみの地ち海邊うみべカナン人びとの地ちレバノンおよび大河おほかはユフラテ河がはに至いたれ

1:8 我われこの地ちを汝なんぢらの前まへに置おけり入いりてこの地ちを獲えよ是これはヱホバが汝なんぢらの先祖せんぞアブラハム、イサク、ヤコブに誓ちかひて之これを彼かれらとその後のちの子孫しそんに與あたへんと言いひたまひし者ものなりと

1:9 彼時かのとき我われなんぢらに語かたりて言いへり我われは一人ひとりにては汝なんぢらをわが任にとして負おふことあたはず

1:10 汝なんぢらの神かみヱホバ汝なんぢらを衆多おほくならしめたまひたれば汝なんぢら今日こんにちは天空そらの星ほしのごとくに衆おほし

1:11 願ねがはくは汝なんぢらの先祖せんぞの神かみヱホバ汝なんぢらをして今いまあるよりは千倍ばいも多おほくならしめ又またなんぢらに約束やくそくせしごとく汝なんぢらを祝福めぐみたまはんことを

1:12 我われ一人ひとりにては爭いかで汝なんぢらを吾わが任にとなしまた汝なんぢらの重負おもにと汝なんぢらの爭競あらそひに當あたることを得えんや

1:13 汝なんぢらの支派わかれの中うちより智慧ちゑあり知識ちしきありて人ひとに識しられたる人々ひとびとを簡えらべ我われこれを汝なんぢらの首長をさとなさんと

1:14 時ときに汝なんぢら答こたへて言いへり汝なんぢが言いふところの事ことを爲なすは善よしと

1:15 是ここをもて我われ汝なんぢらの支派わかれの首長をさなる智慧ちゑありて人ひとに知しられたる者等ものどもを取とりて汝なんぢらの首長をさとなせり即すなはち之これをもて千人にんの長かしら百人にんの長かしら五十人にんの長かしら十人にんの長かしらとなしまた汝なんぢらの支派わかれの中うちの官吏つかさびととなせり

1:16 また彼時かのときに我われ汝なんぢらの士師さばきびと等たちに命めいじて言いへり汝なんぢらその兄弟きやうだいの中うちの訴訟うつたへを聽きき此人このひとと彼人かのひとの間あひだを正ただしく審判さばくべし他國よそぐにの人ひとにおいても然しかり

1:17 汝なんぢら人ひとを視みて審判さばきすべからず小ちひさき者ものにも大おほいなる者ものにも聽きくべし人ひとの面おもてを懼おそるべからず審判さばきは神かみの事ことなればなり汝なんぢらにおいて斷定さだめがたき事ことは我われに持もちきたれ我われこれを聽きかん

1:18 我われかの時ときに汝なんぢらの爲なすべき事ことをことごとく汝なんぢらに命めいじたりき

1:19 我等われらの神かみヱホバの我等われらに命めいじたまひしごとくに我等われらはホレブより出いでたち汝なんぢらが見み知しれるかの大おほいなる畏おそろしき曠野あらのを通とほりアモリ人びとの山やまを指さしてガデシバルネアに至いたれり

1:20 時ときに我われなんぢらに言いへり汝なんぢらは我われらの神かみヱホバの我われらに與あたへたまへるアモリ人びとの山やまに至いたれり

1:21 視みよ汝なんぢの神かみヱホバこの地ちを汝なんぢの前まへに置おきたまふ汝なんぢの先祖せんぞの神かみヱホバの汝なんぢに言いひたまふごとく上のぼり往ゆきてこれを獲えよ懼おそるるなかれ猶豫ためらふなかれと

1:22 汝なんぢらみな我われに近ちかよりて言いへり我等われら人ひとを我われらの先さきに遣つかはしてその地ちを伺察うかがはしめ彼かれらをして返かへりて何なにの途みちより上のぼるべきか何なにの邑々まちまちに入いるべきかを我われらに告つげしめんと

1:23 この言ことばわが目めに善よしと見みえければ我われ汝なんぢらの中うちより十二人にんの者ものを取とれり即すなはち一ひとつの支派わかれより一人ひとり宛づつなりき

1:24 彼等かれら前すすみゆきて山やまに登のぼりエシコルの谷たににいたり之これを伺うかがひ

1:25 その地ちの菓物くだものを手てに取とりてわれらの許もとに持もちくだり我われらに復命かへりごとして言いへり我等われらの神かみヱホバの我等われらに與あたへたまへる地ちは善よき地ちなりと

1:26 然しかるに汝等なんぢらは上のぼり往ゆくことを好このまずして汝なんぢらの神かみヱホバの命令めいれいに背そむけり

1:27 すなはち汝なんぢらその天てん幕まくにて呟つぶやきて言いへりヱホバわれらを惡にくむが故ゆゑに我われらをアモリ人びとの手てに付わたして滅ほろぼさんとてエジプトの國くにより我われらを導みちびき出いだせり

1:28 我等われらは何方いづくに往ゆくべきや我われらの兄弟きやうだい等たちは言いふその民たみは我われらよりも大おほいにして身長たけたかく邑々まちまちは大おほいにしてその石垣いしがきは天てんに達いたる我われらまたアナクの子孫しそんを其處そこに見みたりと斯かくいひて我われらの氣きを挫くじけりと

1:29 時ときに我われなんぢらに言いへり怖おづる勿なかれ懼おそるるなかれ

1:30 汝なんぢらに先さきだち行ゆきたまふ汝なんぢらの神かみヱホバ、エジプトにおいて汝なんぢらの爲ために汝なんぢらの目めの前まへにて諸もろもろの事ことをなしたまひし如ごとく今いままた汝なんぢらのために戰たたかひたまはん

1:31 曠野あらのにおいては汝なんぢまた汝なんぢの神かみヱホバが人ひとのその子こを抱いだくが如ごとくに汝なんぢを抱いだきたまひしを見みたり汝なんぢらが此處このところにいたるまでその路みちすがら常つねに然しかありしなりと

1:32 この言ことをなせども汝なんぢらはなほその神かみヱホバを信しんぜざりき

1:33 ヱホバは途みちにありては汝なんぢらに先さきだちゆきて汝なんぢらが營えいを張はるべき處ところを尋たづね夜よるは火ひの中うちにあり晝ひるは雲くもの中うちにありて汝なんぢらの行ゆくべき途みちを示しめしたまへる者ものなり

1:34 ヱホバ汝なんぢらの言語ことばの聲こゑを聞ききて怒いかり誓ちかひて言いひたまひけらく

1:35 この惡あしき代よの人々ひとびとの中うちには我わが汝なんぢらの先祖せんぞ等たちに與あたへんと誓ちかひしかの善よき地ちを見みる者もの一人ひとりも有あらざるべし

1:36 只ただヱフンネの子こカルブのみ之これを見みることを得えん彼かれが踐ふみたりし地ちをもて我われかれとかれの子孫しそんに與あたふべし其そは彼かれまったくヱホバに從したがひたればなり

1:37 ヱホバまた汝なんぢらの故ゆゑをもて我われをも怒いかりて言いひたまへり汝なんぢもまた彼處かしこに入いることを得えず

1:38 汝なんぢの前まへに侍はべるヌンの子こヨシユアかしこに入いるべし彼かれに力ちからをつけよ彼かれイスラエルをして之これを獲えしむべし

1:39 また汝等なんぢらが掠かすめられんと言いひたりしその汝なんぢらの子女こどもおよび當日そのひになほ善よし惡あしを辨わきまへざりし汝なんぢらの幼兒をさなご等ども彼かれら即すなはちかしこに入いるべし我われこれを彼かれらに與あたへて獲えさすべし

1:40 汝なんぢらは身みをめぐらし紅海こうかいの途みちより曠野あらのに進すすみいるべしと

1:41 然しかるに汝なんぢら對こたへて我われにいへり我等われらはヱホバにむかひて罪つみを犯をかせり然さればわれらの神かみヱホバの凡すべて我われらに命めいじたまへるがごとく我われら上のぼりゆきて戰たたかはんと汝なんぢらおのおの武器ぶきを身みに帶おびて軽々かるがるしく山やまに登のぼらんとせり

1:42 時ときにヱホバわれに言いひたまひけるは汝なんぢかれらに言いへ汝なんぢら上のぼりゆくなかれ又また戰たたかふなかれ我われなんぢらの中間うちに居をらざればなり汝なんぢら恐おそらくはその敵てきに打敗うちやぶられんと

1:43 われかく汝なんぢらに告つげたるに汝なんぢら聽きかずしてヱホバの命令めいれいに背そむき自檀ほしいままに山やまに登のぼりたりしが

1:44 その山やまに住すめるアモリ人びと汝等なんぢらにむかひて出いできたり蜂はちの驅おふがごとくに汝なんぢらを驅おひちらしなんぢらをセイルに打敗うちやぶりてホルマにおよべり

1:45 斯かかりしかばなんぢら還かへりきたりてヱホバの前まへに哭なきたりしがヱホバなんぢらの聲こゑを聽ききたまはず汝なんぢらに耳みみを傾かたむけたまはざりき

1:46 是ここをもてなんぢらは日ひ久ひさしくカデシに居をれりなんぢらが其處そこに居をりたる日ひ數かずのごとし

  第2章

2:1 斯かくて我われらは身みを轉めぐらしヱホバの我われに命めいじたまへる如ごとく紅海こうかいの途みちより曠野あらのに進すすみいりて日ひ久ひさしくセイル山やまを行あゆめぐりたりしが

2:2 ヱホバつひに我われに告つげて言いひたまはく

2:3 汝等なんぢらはこの山やまを行ゆきめぐること?すでに久ひさし今いまよりは北きたに轉めぐりて進すすめ

2:4 汝なんぢまた民たみに命めいじて言いへ汝なんぢらはセイルに住すめるヱサウの子孫しそんなる汝なんぢらの兄弟きやうだいの境界さかひを通とほらんとす彼かれらはなんぢらを懼おそれん汝なんぢら深ふかく自みづから謹つつしむべし

2:5 彼かれらを攻せむる勿なかれ彼かれらの地ちは足あしの跖うらに踐ふむほどをも汝なんぢらに與あたへじ其そは我われセイル山やまをエサウにあたへて?業さんげふとなさしめたればなり

2:6 汝なんぢら金かねをもて彼かれらより食物くひものを買かひて食くらひまた金かねをもて彼かれらより水みづをもとめて飮のめ

2:7 汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢが手てに作なすところの諸もろもろの事ことにおいて汝なんぢをめぐみ汝なんぢがこの大おほいなる曠野あらのを通とほるを看みそなはしたまへり汝なんぢの神かみヱホバこの四十年ねんのあひだ汝なんぢとともに在いましたれば汝なんぢは乏とぼしき所ところあらざりしなり

2:8 我われらつひにセイル山やまに住すめるエサウの子孫しそんなる我われらの兄弟きやうだいを離はなれてアラバの路みちを通とほりエラテとエジオンゲベルを經へて／轉めぐりてモアブの曠野あらのの路みちに進すすみいれり

2:9 時ときにヱホバわれに言いひたまひけるはモアブ人びとをなやますなかれまた之これを攻せめて戰たたかふなかれ彼かれらの地ちをば我われなんぢらの?業さんげふに與あたへじ其そは我われロトの子孫しそんにアルをあたへて?業さんげふとなさしめたればなりと

2:10 (昔むかしエミ人びとここに住すめり是民このたみは大おほいにして數かず多おほくアナク人びとのごとくに身長たけ高たかかり

2:11 アナク人びととおなじくレバイムと呼よびなされたりしがモアブ人びとはこれをエミ人びととよべり

2:12 ホリ人びともまた昔むかしセイルに住すみをりしがエサウの子孫しそんこれを逐おひ滅ほろぼし之これにかはりて其處そこに住すめりイスラエルがヱホバに賜たまはりしその?業さんげふの地ちになせるが如ごとし)

2:13 茲ここに汝等なんぢら今いまたちあがりゼレデ川がはを渉わたれとありければ我われらすなはちゼレデ川がはを渉わたれり

2:14 カデシバルネアを出いでてよりゼレデ川がはを渉わたるまでの間あひだの日ひは三十八年ねんにしてその代よの軍人いくさびとはみな亡うせ果はてて營えい中ちうにあらずなりぬヱホバのかれらに誓ちかひたまひし如ごとし

2:15 誠まことにヱホバ手てをもて之これを攻せめこれを營えい中ちうより滅ほろぼしたまひければ終つひにみな亡うせはてたり

2:16 かく軍人いくさびとみなその民たみの中うちより死亡しにうせたる時ときにあたりて

2:17 ヱホバ我われに告つげて言いひたまひけらく

2:18 汝なんぢは今日けふモアブの境さかひなるアルを通とほらんとす

2:19 汝なんぢアンモンの子孫しそんに近ちかづく時ときに之これをなやます勿なかれ之これを攻せむるなかれアンモンの子孫しそんの地ちは我われこれを汝なんぢらの?業さんげふに與あたへじ其そは我われこれをロトの子孫しそんにあたへて?業さんげふとなさしめたればなり

2:20 (是これもまたレバイムの國くにとよびなされたり昔むかしレバイムここに住すみゐたればなりアンモン人びとはかれらをザムズミ人びととよべり

2:21 この民たみは大おほいにして數かず多おほくアナク人びとのごとくに身長たけたかかりしがヱホバ、アンモン人びとの前まへに之これを滅ほろぼしたまひたればアンモン人びとこれを逐おひはらひて之これにかはりて住すめり

2:22 その事ことはセイルに住すめるエサウの子孫しそんの前まへにホリ人びとを滅ほろぼしたまひしが如ごとし彼かれらはホリ人びとを逐おひはらひ之これにかはりて今日こんにちまで其處そこに住すみをるなり

2:23 カフトルより出いでたるカフトリ人びとはまたかの村々むらむらに住すまひてガザにまで到いたるととろのアビ人びとを滅ほろぼし之これにかはりて其處そこに居をる)

2:24 汝なんぢら起たちあがり進すすみてアルノン河がはを渉わたれ我われヘシボンの王わうアモリ人びとシホンとこれが國くにを汝なんぢらの手てに付わたす進すすんで之これを獲えよ彼かれを攻せめて戰たたかへ

2:25 今日けふ我われ一いつ天てん下かの國人くにびとに汝なんぢを畏おぢ汝なんぢを懼おそれしめん彼かれらは汝なんぢの名聲きこえを聞ききて慄ふるひ汝なんぢの爲ために心こころを苦くるしめんと

2:26 茲ここに我われケデモテの曠野あらのよりヘシボンの王わうシホンに使者つかひをおくり和好やはらぎの言ことばを述のべしめたり云いはく

2:27 我われに汝なんぢの國くにを通とほらしめよ我われは大路おほぢを通とほりて行ゆかん右みぎにも左ひだりにも轉まがらじ

2:28 汝なんぢ金かねをとりて食物くひものを我われに賣うりて食くらはせ金かねをとりて水みづを我われにあたへて飮のませよ我われはただ徒歩かちにて通とほらんのみ

2:29 セイルに住すめるエサウの子孫しそんとアルに住すめるモアブ人びととが我われになしたる如ごとくせよ然しかせば我われはヨルダンを濟わたりて我われらの神かみヱホバの我われらに賜たまひし地ちにいたらんと

2:30 然しかるにヘシボンの王わうシホンは我われらの通とほることを容ゆるさざりき是こは汝なんぢの神かみヱホバ彼かれを汝なんぢの手てに付わたさんとてその氣きを頑梗かたくしその心こころを剛愎かたくなにしたまひたればなり今日こんにち見みるが如ごとし

2:31 時ときにヱホバ我われに言いひたまひけるは視みよ我われいまシホンとこれが地ちを汝なんぢに與あたへんとす進すすんでその地ちを獲えて汝なんぢの?業さんげふとせよと

2:32 茲ここにシホンその民たみをことごとく率ひきゐて出いできたりヤハヅに於おいて戰たたかひけるが

2:33 我われらの神かみヱホバ彼かれをわれらに付わたしたまひたれば我われらかれとその子等こどもとその一切すべての民たみを撃うち殺ころせり

2:34 その時ときに我われらは彼かれの邑々まちまちを盡ことごとく取とりその一切すべての邑まちの男をとこ女をんなおよび兒童こどもを滅ほろぼして一人ひとりをも遺のこさざりき

2:35 只ただその家畜かちくおよび邑々まちまちより取とりたる掠取ぶんどり物ものは我われらこれを獲えて自分おのれの物ものとなせり

2:36 アルノンの河邊かはべのアロエルおよび河かはの傍かたはらなる邑まちよりギレアデにいたるまで我われらの攻取せめとりがたき邑まちとては一ひとつもあらざりき我われらの神かみヱホバこれを盡ことごとくわれらに付わたしたまへり

2:37 第だいアンモンの子孫しそんの地ちヤボク川がはの全ぜん岸がん山地やまちの邑々まちまちなど凡すべてわれらの神かみヱホバが我われらの往ゆくを禁きんじたまへる處ところには汝なんぢいたらざりき

  第3章

3:1 斯かくてわれら身みをめぐらしてバシヤンの路みちに上のぼり行ゆきけるにバシヤンの王わうオグその民たみをことごとく率ひきゐ出いでてエデレイに戰たたかはんとせり

3:2 時ときにヱホバわれに言いひたまひけらく彼かれを懼おそるるなかれ我われかれとその一切すべての民たみとその地ちとを汝なんぢの手てに付わたさん汝なんぢかのヘシボンに住すみたるアモリ人びとの王わうシホンになせし如ごとく彼かれに爲なすべしと

3:3 我われらの神かみヱホバすなはちバシヤンの王わうオグとその一切すべての民たみを我われらの手てに付わたしたまひしかば我われら之これを撃うちころして一人ひとりをも遺のこさざりき

3:4 その時ときに我われらこれが邑々まちまちをことごとく取とれり取とらざる邑まちは一ひとつも有あらざりきその取とれる邑まちは六十是これすなはちアルゴブの地ちにしてバシヤンにおけるオグの國くになり

3:5 この邑々まちまちはみな高たかき石垣いしがきあり門もんあり關くわんありて堅固けんごなりき外ほかにまた石垣いしがきあらざる邑まち甚はなはだ多おほくありき

3:6 我われらはヘシボンの王わうシホンになせし如ごとく之これを滅ほろぼしその一切すべての邑まちの男をとこ女をんなおよび兒童こどもをことごとく滅ほろぼせり

3:7 惟ただその一切すべての家畜かちくとその邑々まちまちよりの掠取物ぶんどりものとはこれを獲えてわれらの物ものとなせり

3:8 その時とき我われらヨルダンの此旁こなたの地ちをアルノン河がわよりヘルモン山やままでアモリ人びとの王わう二人ふたりの手てより取とれり

3:9 (ヘルモンはシドン人びとこれをシリオンと呼よびアモリ人びとこれをセニルと呼よぶ)

3:10 すなはち平野ひらのの一切すべての邑まちギレアデの全地ぜんちバシヤンの全地ぜんちサルカおよびエデレイなどバシヤンに於おけるオグの國くにをことごとく取とれり

3:11 彼かのレバイムの遺のこれる者ものはバシヤンの王わうオグ只ただ一人ひとりなりき彼かれの寝ね臺だいは鐵てつの寝ね臺だいなりき是これは今いまなほアンモンの子孫しそんのラバにあるに非あらずや人ひとの肘ひじによれば是これはその長たけ九キユビトその寛はば四キユビトあり

3:12 その時ときに我われらこの地ちを獲えたりしがアルノン河がはの邊ほとりなるアロエルよりの地ちとギレアデの山地やまちの半なかばとその中うちの邑々まちまちとは我われこれをルベン人びととガド人びとに與あたへたり

3:13 またオグの國くになりしギレアデの殘餘のこりの地ちとバシヤンの全地ぜんちとは我われこれをマナセの半はん支派わかれに與あたへたりアルゴブの全地ぜんちすなはちバシヤンの全體ぜんたいはレバイムの國くにと稱となへらる

3:14 マナセの子こヤイルはアルゴブの全地ぜんちを取とりてゲシユルの境界さかひとマアカの境界さかひにまで至いたり自分おのれの名なにしたがひてバシヤンをハヲテヤイルと名なづけたりその名な今日こんにちにいたる

3:15 またマキルには我われギレアデを與あたへ

3:16 ルベン人びととガド人びとにはギレアデよりアルノン河がはまでを與あたへその河かはの眞中ただなかをもて界さかひとなしまたアンモンの子孫しそんの地ちの界さかひなるヤボク河がはにまで至いたり

3:17 またアラバおよびヨルダンとその邊ほとりの地ちをキンネレテよりアラバの海うみすなはち鹽しほ海うみまで之これにあたへて東ひがしの方かたピスガの麓ふもとにいたる

3:18 その時とき我われなんぢらに命めいじて言いへり汝なんぢらの神かみヱホバこの地ちを汝なんぢらに與あたへて?業さんげふとなさしめたまへば汝なんぢら軍人いくさびとに身みをよろひて汝なんぢらの兄弟きやうだいなるイスラエルの子孫ひとびとに先さきだちて渉わたりゆくべし

3:19 但ただし汝なんぢらの妻つまと子女こどもと家畜かちくは我わが汝なんぢらに與あたへし邑まちに止とどまるべし我われなんぢらが衆多おほくの家畜かちくを有もつを知しるなり

3:20 ヱホバなんぢらに賜たまひしごとく汝なんぢらの兄弟きやうだいにも安息やすみを賜たまひて彼かれらもまたヨルダンの彼旁かなたにて汝なんぢらの神かみヱホバにたまはるところの地ちを獲えて?業さんげふとなすに至いたらば汝なんぢらおのおの我わがなんぢらに與あたへし?業さんげふに歸かへるべし

3:21 かの時ときに我われヨシユアに命めいじて言いへり汝なんぢはこの二人ふたりの王わうに汝なんぢらの神かみヱホバのおこなひたまふ所ところの事ことを目めに視みたりヱホバまた汝なんぢが往ゆくところの諸もろもろの國くににも斯かくのごとく行おこなひたまはん

3:22 汝なんぢこれを懼おそるる勿なかれ汝なんぢらの神かみヱホバ汝なんぢらのために戰たたかひたまはんと

3:23 當時そのときわれヱホバに求もとめて言いへり

3:24 主しゆヱホバよ汝なんぢは汝なんぢの大おほいなる事ことと汝なんぢの強つよき手てを僕しもべに見しめすことを始はじめたまへり天てんにても地ちにても何いづれの神かみか能よくなんぢの如ごとき事業わざを爲なし汝なんぢのごとき能力ちからを有もたんや

3:25 願ねがはくは我われをして渉わたりゆかしめヨルダンの彼旁かなたなる美よき地ち美よき山やまおよびレバノンを見みることを得えさせたまへと

3:26 然しかるにヱホバなんぢらの故ゆゑをもて我われを怒いかり我われに聽きくことを爲なしたまはずヱホバすなはち我われに言いひたまひけるは?すでに足たれりこの事ことを重かさねて我われに言いふなかれ

3:27 汝なんぢビスガの嶺いただきにのぼり目めを擧あげて西にし北きた南みなみ東ひがしを望のぞみ汝なんぢの目めをもて其その地ちを觀みよ汝なんぢはヨルダンを濟わたることを得えざるべければなり

3:28 汝なんぢヨシユアに命めいじ之これに力ちからをつけ之これを堅かたうせよ其そはこの民たみを率ひきゐて渉わたりゆき之これに汝なんぢが見みるところの地ちを獲えさする者ものは彼かれなればなりと

3:29 かくて我われらはベテベオルに對たいする谷たにに居をる

  第4章

4:1 今いまイスラエルよ我わが汝なんぢらに��をしふる法度のりと律法おきてを聽ききてこれを行おこなへ然しかせば汝なんぢらは生いくることを得え汝なんぢらの先祖せんぞの神かみヱホバの汝なんぢらに賜たまふ地ちにいりて之これを?業さんげふとなすを得うべし

4:2 我わが汝なんぢらに命めいずる言ことばは汝なんぢらこれを増ましまたは減へらすべからず我わが汝なんぢらに命めいずる汝なんぢらの神かみヱホバの命令めいれいを守まもるべし

4:3 汝なんぢらはヱホバがバアルペオルの事ことによりて行おこなひたまひし所ところを目めに觀みたり即すなはちバアルペオルに從したがひたる人々ひとびとは汝なんぢの神かみヱホバことごとく之これを汝なんぢらの中間うちより滅ほろぼし去さりたまひしが

4:4 汝なんぢらの神かみヱホバに附つきて離はなれざりし汝等なんぢらはみな今日けふまでも生いきながらへ居をるなり

4:5 我われはわが神かみヱホバの我われに命めいじたまひし如ごとくに法度のりと律法おきてを汝なんぢらに��をしへ汝なんぢらをしてその往ゆきて獲うるところの地ちにおいて之これを行おこなはしめんとせり

4:6 然されば汝なんぢら之これを守まもり行おこなふべし然しかする事ことは國々くにぐにの民たみの目めの前まへにおいて汝なんぢらの智慧ちゑたり汝なんぢらの知識ちしきたるなり彼かれらこの諸もろもろの法度のりを聞ききて言いはんこの大おほいなる國人くにびとは必かならず智慧ちゑあり知識ちしきある民たみなりと

4:7 われらの神かみヱホバは我われらがこれに?よびもとむるに常つねに我われらに近ちかく在いますなり何いづれの國人くにびとか斯かくのごとく大おほいにして神かみこれに近ちかく在いますぞ

4:8 また何いづれの國人くにびとか斯かくのごとく大おほいにして今日こんにち我わが汝なんぢらの前まへに立たつるこの一切すべての律法おきての如ごとき正ただしき法度のりと律法おきてとを有もてるぞ

4:9 汝なんぢ深ふかく自みづから愼つつしみ汝なんぢの心こころを善よく守まもれ恐おそらくは汝なんぢその目めに觀みたる事ことを忘わすれん恐おそらくは汝なんぢらの生存いきながらふる日ひの中うちに其それ等らの事こと汝なんぢの心こころを離はなれん汝なんぢそれらの事ことを汝なんぢの子こ汝なんぢの孫まごに��をしへよ

4:10 汝なんぢがホレブにおいて汝なんぢの神かみヱホバの前まへに立たてる日ひにヱホバわれに言いひたまひけらく我わがために民たみを集あつめよ我われこれに吾わが言ことばを聽きかしめ之これをしてその世よに存ながらふる日ひの間あひだ我われを畏おそるることを學まなばせまたその子女こどもを��をしふることを爲なさしめんとすと

4:11 是ここにおいて汝なんぢらは前すすみよりて山やまの麓ふもとに立たちけるが山やまは火ひにて燒やけてその?ほのほは中なか天ぞらに沖いたり暗くらくして雲くもあり�遽�くろくも深ふかかりき

4:12 時ときにヱホバ火ひの中なかより汝なんぢらに言ものいひたまひしが汝なんぢらは言詞ことばの聲こゑを聞きける而已のみにて聲こゑの外ほかは何なにの像かたちをも見みざりし

4:13 ヱホバすなはち其その契約けいやくを汝なんぢらに述のべて汝なんぢらに之これを守まもれと命めいじたまへり是これすなはち十誡じつかいにしてヱホバこれを二ふた枚ひらの石いしの板いたに書しるしたまふ

4:14 かの時ときにヱホバ我われに命めいじて汝なんぢらに法度のりと律法おきてを��をしへしめたまへり是これ汝なんぢらにその往ゆきて獲うるところの地ちにて之これを爲なさしめんとてなりき

4:15 ホレブにおいてヱホバ火ひの中なかより汝なんぢらに言ものいひたまひし日ひには汝なんぢら何なにの像かたちをも見みざりしなり然されば汝なんぢら深ふかく自みづから愼つつしみ

4:16 道みちをあやまりて自己おのれのために偶像ぐうざうを刻きざむ勿なかれ物ものの像ざうは男をとこの形かたちにもあれ女をんなの形かたちにもあれ凡すべて造つくるなかれ

4:17 即すなはち地ちの上うへにをる諸もろもろの獣けものの像ざう空そらに飛とぶ諸もろもろの鳥とりの像ざう

4:18 地ちに匍はふもろもろの物ものの像ざう地ちの下したの水みづの中なかに居をる諸もろもろの魚うをの像ざうなど凡すべて造つくる勿なかれ

4:19 汝なんぢ目めをあげて天てんを望のぞみ日ひ月つき星辰ほしなど凡すべて天てんの衆群しうぐんを觀み誘いざなはれてこれを拝をがみ之これに事つかふる勿なかれ是これは汝なんぢの神かみヱホバが一いつ天てん下かの萬國ばんこくの人々ひとびとに分わかちたまひし者ものなり

4:20 ヱホバ汝なんぢらを取とり汝なんぢらを鐵てつの爐かまの中うちすなはちエジプトより導みちびきいだして自己おのれの?業さんげふの民たみとなしたまへること今日こんにちのごとし

4:21 然しかるにヱホバなんぢらの故ゆゑによりて我われを怒いかり我われはヨルダンを濟わたりゆくことを得えずまた汝なんぢの神かみヱホバが汝なんぢの?業さんげふに賜たまひしその美よき地ちに入いることを得えずと誓ちかひたまへり

4:22 我われはこの地ちに死しなざるを得えず我われはヨルダンを濟わたりゆくことあたはずなんぢらは濟わたりゆきて之これを獲えて?業さんげふとなすことを得えん

4:23 汝なんぢら自みづから愼つつしみ汝なんぢらの神かみヱホバが汝なんぢらに立たてたまひし契約けいやくを忘わすれて汝なんぢの神かみヱホバの禁きんじたまふ偶像ぐうざうなど凡すべて物ものの像ざうを刻きざむことを爲なすなかれ

4:24 汝なんぢの神かみヱホバは燬やき盡つくす火ひ嫉妬ねたむ神かみなり

4:25 汝なんぢら子こを擧まうけ孫まごを得えてその地ちに長ながく居をるにおよびて若もし道みちをあやまりて偶像ぐうざうなど凡すべて物ものの像ざうを刻きざみ汝なんぢの神かみヱホバの惡あしと觀みたまふ事ことをなしてその震怒いかりを惹ひきおこすことあらば

4:26 我われ今日けふ天てんと地ちを呼よびて證あかしとなす汝なんぢらはかならずそのヨルダンを濟わたりゆきて獲えたる地ちより速すみやかに滅亡ほろびうせん汝なんぢらはその上うへに汝なんぢらの日ひを永ながうする能あたはず必かならず滅ほろびうせん

4:27 ヱホバなんぢらを國々くにぐにに散ちらしたまべしヱホバの汝なんぢらを逐おひやりたまふ國々くにぐにの中うちに汝なんぢらの遺のこる者ものはその數かず寡すくなからん

4:28 其處そこにて汝なんぢらは人ひとの手ての作わざなる見みることも聞きくことも食くらふことも嗅かぐこともなき木きや石いしの神々かみがみに事つかへん

4:29 但ただしまた其處そこにて汝なんぢその神かみヱホバを求もとむるあらんに若もし心こころをつくし精神せいしんを盡つくしてこれを求もとめなば之これに遇あはん

4:30 後のちの日ひにいたりて汝なんぢ艱難なやみにあひて此このもろもろの事ことの汝なんぢに臨のぞまん時ときに汝なんぢもしその神かみヱホバにたち歸かへりてその言ことばにしたがはば

4:31 汝なんぢの神かみヱホバは慈悲あはれみある神かみなれば汝なんぢを棄すてず汝なんぢを滅ほろぼさずまた汝なんぢの先祖せんぞに誓ちかひたりし契約けいやくを忘わすれたまはざるべし

4:32 試こころみに問とへ汝なんぢの前まへに過すぎさりし日ひ神かみが地ちの上うへに人ひとを造つくりたまひし日ひより已來このかた天てんの此この極はてより彼かの極はてまでに曾かつて斯かくのごとき大おほいなる事ことありしや是かくのごとき事ことの聞きこえたる事ことありしや

4:33 曾かつて人ひと神かみが火ひの中なかより言ものいふ聲こゑを汝なんぢらが聞きけるごとくに聞ききて尚なほ生いける者ものありしや

4:34 汝なんぢらの神かみヱホバがエジプトにおいて汝なんぢらの目めの前まへにて汝なんぢらの爲ために諸もろもろの事ことを爲なしたまひし如ごとく曾かつて試探こころみと徴證しるしと奇蹟ふしぎと戰爭たたかひと強つよき手てと伸のべたる腕うでと大おほいなる恐嚇おどしをもて來きたりこの民たみをかの民たみの中うちより領ひきいださんとせし神かみありしや

4:35 汝なんぢにこの事ことを示しめししはヱホバはすなはち神かみにしてその外ほかには有あることなしと汝なんぢに知しらしめんがためなりき

4:36 汝なんぢを��をしへんためにヱホバ天てんより汝なんぢに聲こゑを聞きかしめ地ちに於おいてはまたその大おほいなる火ひを汝なんぢに示しめしたまへり即すなはち汝なんぢはその言ことばの火ひの中なかより出いづるを聞きけり

4:37 ヱホバ汝なんぢの先祖せんぞ等たちを愛あいしたまひしが故ゆゑにその後のちの子孫しそんを選えらび大おほいなる能力ちからをもて親みづから汝なんぢをエジプトより導みちびき出いだしたまひ

4:38 汝なんぢよりも大おほいにして強つよき國々くにぐにの民たみを汝なんぢの前まへより逐おひはらひ汝なんぢをその地ちに導みちびきいりて之これを汝なんぢの?業さんげふに與あたへんとしたまふこと今日こんにちのごとくなり

4:39 然されば汝なんぢ今日こんにち知しりて心こころに思念おもふべし上うへは天てん下したは地ちにおいてヱホバは神かみにいましその外ほかには神かみ有あること無なし

4:40 今日けふわが汝なんぢに命めいずるヱホバの法度のりと命令めいれいを守まもるべし然しかせば汝なんぢと汝なんぢの後のちの子孫しそん祥さいはひを得え汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢにたまふ地ちにおいて汝なんぢその日ひを永ながうすることを得えて疆かぎりなからん

4:41 斯かくてモーセ、ヨルダンの此旁こなた日ひの出いづる方かたにないて邑まち三みつを別わかてり

4:42 是これ素もとより怨うらみなきに誤あやまりて人ひとを殺ころせる者ものをして其處そこに逃のがれしむる爲ためなり其その邑まちの一ひとつに逃のがるる時ときはその人ひと生命いのちを全まつたうするを得うべし

4:43 即すなはち一ひとつは曠野あらのの内うちの平野ひらのにあるベゼル是これはルベン人びとのためなり一ひとつはギレアデのラモテ是これはガド人びのためなり一ひとつはバシヤンのゴラン是これはマナセ人びとのためなり

4:44 モーセがイスラエルの子孫ひとびとの前まへに示しめしし律法おきては是これなり

4:45 イスラエルの子孫ひとびとのエジプトより出いでたる後のちモーセこの誡命いましめと法度のりと律法おきてを之これに述のべたり

4:46 即すなはちヨルダンの此旁こなたなるアモリ人びとの王わうシホンの地ちにありベテペオルに對たいする谷たにに於おいて之これを述のべたりシホンはヘシボンに住すみをりしがモーセとイスラエルの子孫ひとびとエジプトより出いできたりし後のちこれを撃うちほろぼして

4:47 之これが地ちを獲えまたバシヤンの王わうオグの地ちを獲えたり彼かれら二人ふたりはアモリ人びとの王わうにしてヨルダンの此旁こなた日ひの出いづる方かたに居をれり

4:48 その獲えたる地ちはアルノン河がはの邊ほとりなるアロエルよりヘルモンといふシオン山やまにいたり

4:49 ヨルダンの此旁こなたすなはちその東ひがしの方かたなるアラバの全部ぜんぶを括かねてアラバの鹽しほ海うみに達たつしピスガの麓ふもとにおよべり

  第5章

5:1 茲ここにモーセ、イスラエルをことごとく召めして之これに言いふイスラエルよ今日けふ我わがなんぢらの耳みみに語かたるところの法度のりと律法おきてとを聽ききこれを學まなびこれを守まもりて行おこなへよ

5:2 我われらの神かみヱホバ、ホレブに於おいて我われらと契約けいやくを結むすびたまへり

5:3 この契約けいやくはヱホバわれらの先祖せんぞ等たちとは結むすばずして我われら今日こんにち此ここに生存いきながらへをる者ものと結むすびたまへり

5:4 ヱホバ山やまにおいて火ひの中うちより汝なんぢらと面かほをあはせて言いひたまひしが

5:5 その時とき我われはヱホバと汝なんぢらの間あひだにたちてヱホバの言ことばを汝なんぢらに傳つたへたり汝なんぢら火ひに懼おそれて山やまにのぼり得えざりければなり

5:6 ヱホバすなはち言いひたまひけらく我われは汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢをエジプトの地ちその奴隸どれいたる家いへより導みちびき出いだせし者ものなり

5:7 汝なんぢわが面かほの前まへに我われの外ほか何なに物ものをも神かみとすべからず

5:8 汝なんぢ自己おのれのために何なにの偶像ぐうざうをも彫きざむべからず又また上かみは天てんにある者もの下しもは地ちにある者ものならびに地ちの下したの水みづの中なかにある者ものの何なにの形状かたちをも作つくるべからず

5:9 之これを拝をがむべからず之これに事つかふべからず我われヱホバ汝なんぢの神かみは嫉ねたむ神かみなれば我われを惡にくむ者ものにむかひては父ちちの罪つみを子こに報むくいて三さん四よ代だいにおよぼし

5:10 我われを愛あいしわが誡命いましめを守まもる者ものには恩惠めぐみを施ほどこして千せん代だいにいたるなり

5:11 汝なんぢの神かみヱホバの名なを妄みだりに口くちにあぐべからずヱホバは己おのれの名なを妄みだりに口くちにあぐる者ものを罰つみせではおかざるべし

5:12 安息日あんそくにちを守まもりて之これを聖潔きよくすること汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに命めいぜしごとくすべし

5:13 六日むいかのあひだ勞はたらきて汝なんぢの一切すべての業わざを爲なすべし

5:14 七日なぬかは汝なんぢの神かみヱホバの安息あんそくなれば何なにの業務わざをも爲なすべからず汝なんぢも汝なんぢの男子むすこ女子むすめも汝なんぢの僕しもべ婢しもめも汝なんぢの牛うし驢馬ろばも汝なんぢの諸もろもろの家畜かちくも汝なんぢの門もんの中うちにをる他國よそぐにの人ひとも然しかり斯かくなんぢ僕しもべ婢しもめをして汝なんぢとおなじく息やすましむべし

5:15 汝なんぢ誌おぼゆべし汝なんぢかつてエジプトの地ちに奴隸どれいたりしに汝なんぢの神かみヱホバ強つよき手てと伸のべたる腕うでとをもて其處そこより汝なんぢを導みちびき出いだしたまへり是ここをもて汝なんぢの神かみヱホバなんぢに安息日あんそくにちを守まもれと命めいじたまふなり

5:16 汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに命めいじたまふごとく汝なんぢの父母ちちははを敬うやまへ是これ汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに賜たまふ地ちにおいて汝なんぢの日ひの長ながからんため汝なんぢに祥さいはひのあらんためなり

5:17 汝なんぢ殺ころす勿なかれ

5:18 汝なんぢ姦淫かんいんする勿なかれ

5:19 汝なんぢ盗ぬすむなかれ

5:20 汝なんぢその隣となりに對たいして虚妄いつはりの證據あかしをたつる勿なかれ

5:21 汝なんぢその隣人となりの妻つまを貧むさぼるなかれまた隣人となりの家いへ田野たはた僕しもべ婢しもめ牛うし驢馬ろばならびに凡すべて汝なんぢの隣人となりの所有もちものを貧むさぼるなかれ

5:22 是等これらの言ことばをヱホバ山やまにおいて火ひの中うち雲くもの中うち�遽�くろくもの中うちより大おほいなる聲こゑをもて汝なんぢらの全ぜん會衆くわいしうに告つげたまひしが此この外ほかには言いふことを爲せず之これを二ふた枚ひらの石いしの版いたに書しるして我われに授さづけたまへり

5:23 時ときにその山やまは火ひにて燒やけをりしが汝なんぢら�邂�くらやみの中うちよりその聲こゑの出いづるを聞きくにおよびて汝なんぢらの支派わかれの長かしらおよび長老等としよりども我われに進すすみよりて

5:24 言いひけるは視みよ我われらの神かみヱホバその榮光さかえとその大おほいなる事ことを我われらに示しめしたまひて我われらその聲こゑの火ひの中うちより出いづるを聞きけり我われら今日けふヱホバ人ひとと言ものいひたまふてその人ひとの尚なほ生いけるを見みる

5:25 我われらなんぞ死しにいたるべけんや此この大おほいなる火ひわれらを燒やきほろぼさんとするなり我われらもし此この上うへになほ我われらの神かみヱホバの聲こゑを聞きかば死しぬべし

5:26 凡およそ肉身にくしんの者ものの中うち誰たれか能よく活いける神かみの火ひの中うちより言ものいひたまふ聲こゑを我われらのごとくに聞ききてなほ生いける者ものあらんや

5:27 請こふ汝なんぢ進すすみゆきて我われらの神かみヱホバの言いひたまふとこるを都すべて聽きき我われらの神かみヱホバの汝なんぢに告つげ給たまふところを都すべて我われらに告つげよ我われら聽ききて行おこなはんと

5:28 ヱホバなんぢらが我われに語かたれる言ことばの聲こゑを聞ききてヱホバ我われに言いひたまひけるは我われこの民たみが汝なんぢに語かたれる言ことばの聲こゑを聞きけり彼かれらの言いふところは皆みな善よし

5:29 只ただ願ねがはしきは彼等かれらが斯かくのごとき心こころを懐いだいて恒つねに我われを畏おそれ吾わが誡命いましめを守まもりてその身みもその子孫しそんも永ながく福祉さいはひを得うるにいたらん事ことなり

5:30 汝なんぢゆきて彼かれらに言いへ汝なんぢらおのおのその天てん幕まくにかへるべしと

5:31 然されど汝なんぢは此ここにて我わが傍かたはらに立たて我われなんぢに諸もろもろの誡命いましめと法度のりと律法おきてとを告つげしめさん汝なんぢこれを彼かれらに��をしへ我わが彼かれらに與あたへて?業さんげふとなさしむる地ちにおいて彼かれらにこれを行おこなはしむべしと

5:32 然されば汝なんぢらの神かみヱホバの汝等なんぢらに命めいじたまふごとくに汝なんぢら謹つつしみて行おこなふべし右みぎにも左ひだりにも曲まぐるべからず

5:33 汝なんぢらの神かみヱホバの汝なんぢらに命めいじたまふ一切すべての道みちに歩あゆめ然しかせば汝なんぢらは生いくることを得えかつ福祉さいはひを得えて汝なんぢらの?業さんげふとする地ちに汝なんぢらの日ひを長ながうすることを得えん

  第6章

6:1 是これすなはち汝なんぢらの神かみヱホバが汝なんぢらに��をしへよと命めいじたまふところの誡命いましめと法度のりと律法おきてとにして汝なんぢらがその濟わたりゆきて獲うるところの地ちにて行おこなふべき者ものなり

6:2 是これは汝なんぢと汝なんぢの子こおよび汝なんぢの孫まごをしてその生命いのちながらふる日ひの間あひだつねに汝なんぢの神かみヱホバを畏おそれしめて我わが汝なんぢらに命めいずるその諸もろもろの法度のりと誡命いましめとを守まもらしめんため又またなんぢの日ひを永ながからしめんための者ものなり

6:3 然さればイスラエルよ聽ききて謹つつしんでこれを行おこなへ然しかせば汝なんぢは福祉さいはひを獲え汝なんぢの先祖せんぞの神かみヱホバの汝なんぢに言いひたまひしごとく乳ちちと蜜みつの流ながるる國くににて汝なんぢの數かずおほいに増まさん

6:4 イスラエルよ聽きけ我われらの神かみヱホバは惟ただ一ひとりのヱホバなり

6:5 汝なんぢ心こころを盡つくし精神せいしんを盡つくし力ちからを盡つくして汝なんぢの神かみヱホバを愛あいすべし

6:6 今日けふわが汝なんぢに命めいずる是これらの言ことばは汝なんぢこれをその心こころにあらしめ

6:7 勤つとめて汝なんぢの子等こどもに��をしへ家いへに坐ざする時ときも路みちを歩あゆむ時ときも寝いぬる時ときも興おくる時ときもこれを語かたるべし

6:8 汝なんぢまたこれを汝なんぢの手てに結むすびて號しるしとなし汝なんぢの目めの間あひだにおきて誌おぼえとなし

6:9 また汝なんぢの家いへの柱はしらと汝なんぢの門もんに書記かきしるすべし

6:10 汝なんぢの神かみヱホバその汝なんぢの先祖せんぞアブラハム、イサク、ヤコブにむかひて汝なんぢに與あたへんと誓ちかひたりし地ちに汝なんぢを入いらしめん時ときは汝なんぢをして汝なんぢが建たてたる者ものにあらざる大おほいなる美うるはしき邑々まちまちを得えさせ

6:11 汝なんぢが盈みたせるに非あらざる諸もろもろの佳物よきものを盈みたせる家いへを得えさせ汝なんぢが堀ほりたる者ものにあらざる堀ほり井ゐどを得えさせたまふべし汝なんぢは食くらひて飽あかん

6:12 然しかる時ときは汝なんぢ愼つつしめ汝なんぢをエジプトの地ち奴隸どれいたる家いへより導みちびき出いだししヱホバを忘わするる勿なかれ

6:13 汝なんぢの神かみヱホバを畏おそれてこれに事つかへその名なを指さして誓ちかふことをすべし

6:14 汝なんぢら他ほかの神々かみがみすなはち汝なんぢの四周まはりなる民たみの神々かみがみに從したがふべからず

6:15 汝なんぢらの中うちにいます汝なんぢの神かみヱホバは嫉妬ねたむ神かみなれば恐おそらくは汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢにむかひて怒いかりを發はつし汝なんぢを地ちの面おもてより滅ほろぼし去さりたまはん

6:16 汝なんぢマツサにおいて試こころみしごとく汝なんぢの神かみヱホバを試こころむるなかれ

6:17 汝なんぢらの神かみヱホバの汝なんぢらに命めいじたまへる誡命いましめと律法おきてと法度のりとを汝なんぢら謹つつしみて守まもるべし

6:18 汝なんぢヱホバの義ただしと視み善よしと視みたまふ事ことを行おこなふべし然しかせば汝なんぢ福祉さいはひを獲えかつヱホバの汝なんぢの先祖せんぞに誓ちかひたまひしかの美よき地ちに入いりてこれを?業さんげふとなすことを得えん

6:19 ヱホバまたその言いひたまひし如ごとく汝なんぢの敵てきをことごとく汝なんぢの前まへより逐おひはらひたまはん

6:20 後のちの日ひに至いたりて汝なんぢの子こなんぢに問とふてこの汝なんぢらの神かみヱホバが汝なんぢらに命めいじたまひし誡命いましめと法度のりと律法おきてとは何なにのためなるやと言いはば

6:21 汝なんぢその子こに告つげて言いふべし我われらは昔むかしエジプトにありてパロの奴隸どれいたりしがヱホバ強つよき手てをもて我われらをエジプトより導みちびき出いだしたまへり

6:22 即すなはちヱホバわれらの目めの前まへにおいて大おほいなる畏おそるべき徴しるしと奇蹟ふしぎをエジプトとパロとその全家ぜんかとに示しめしたまひ

6:23 我われらを其處そこより導みちびき出いだして其その曾かつて我等われらの先祖せんぞに誓ちかひし地ちに我われらを入いらせて之これを我われらに與あたへたまへり

6:24 而しかしてヱホバ我われらにこの諸もろもろの法度のりを守まもれと命めいじたまふ是これわれらをして我われらの神かみヱホバを畏おそれて常つねに幸さいはひならしめんため又またヱホバ今日こんにちのごとく我われらを守まもりて生命いのちを保たもたしめんとてなりき

6:25 我われらもしその命めいぜられたるごとく此この一切すべての誡命いましめを我われらの神かみヱホバの前まへに謹つつしんで守まもらば是これわれらの義ぎとなるべしと

  第7章

7:1 汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢが往ゆきて獲うべきところの地ちに汝なんぢを導みちびきいり多おほくの國々くにぐにの民たみヘテ人びとギルガシ人ひとアモリ人びとカナン人びとペリジ人びとヒビ人びとヱブス人びとなど汝なんぢよりも數かず多おほくして力ちからある七ななつの民たみを汝なんぢの前まへより逐おひはらひたまはん時とき

7:2 すなはち汝なんぢの神かみヱホバかれらを汝なんぢに付わたして汝なんぢにこれを撃うたせたまはん時ときは汝なんぢかれらをことごとく滅ほろぼすべし彼かれらと何なにの契約けいやくをもなすべからず彼かれらを憫あはれむべからず

7:3 また彼かれらと婚姻こんいんをなすべからず汝なんぢの女子むすめを彼かれの男子むすこに與あたふべからず彼かれの女子むすめを汝なんぢの男子むすこに娶めとるべからず

7:4 其そは彼かれら汝なんぢの男子むすこを惑まどはして我われを離はなれしめ之これをして他ほかの神々かみがみに事つかへしむるありてヱホバこれがために汝なんぢらにむかひて怒いかりを發はつし俄然にはかに汝なんぢを滅ほろぼしたまふにいたるべければなり

7:5 汝なんぢらは反かへつて斯かくかれらに行おこなふべし即すなはちかれらの壇だんを毀こぼちその偶像ぐうざうを打うち擢くだきそのアシラ像ざうを斫きりたふし火ひをもてその雕像てうざうを焚やくべし

7:6 其そは汝なんぢは汝なんぢの神かみヱホバの聖きよき民たみなればなり汝なんぢの神かみヱホバは地ちの面おもての諸もろもろの民たみの中うちより汝なんぢを擇えらびて己おのれの寶たからの民たみとなしたまへり

7:7 ヱホバの汝なんぢらを愛あいし汝なんぢらを擇えらびたまひしは汝なんぢらが萬よろづの民たみよりも數かず多おほかりしに因よるにあらず汝なんぢらは萬よろづの民たみの中うちにて最もつとも小ちひさき者ものなればなり

7:8 但ただヱホバ汝なんぢらを愛あいするに因よりまた汝なんぢらの先祖せんぞ等たちに誓ちかひし誓ちかひを保たもたんとするに因よりてヱホバ強つよき手てをもて汝なんぢらを導みちびきいだし汝なんぢらを其その奴隸どれいたりし家いへよりエジプトの王わうパロの手てより贖あがなひいだしたまへるなり

7:9 汝なんぢ知しるべし汝なんぢの神かみヱホバは神かみにましまし眞實しんじつの神かみにましまして之これを愛あいしその誡命いましめを守まもる者ものには契約けいやくを保たもち恩惠めぐみをほどこして千せん代だいにいたり

7:10 また之これを惡にくむ者ものには覿面てきめんにその報むくいをなしてこれを滅ほろぼしたまふヱホバは己おのれを惡にくむ者ものには緩ゆるやかならず覿面てきめんにこれに報むくいたまふなり

7:11 然されば汝なんぢわが今日けふ汝なんぢに命めいずるところの誡命いましめと法度のりと律法おきてとを守まもりてこれを行おこなふべし

7:12 汝なんぢらもし是これらの律法おきてを聽ききこれを守まもり行おこなはば汝なんぢの神かみヱホバ汝なんぢの先祖せんぞ等たちに誓ちかひし契約けいやくを保たもちて汝なんぢに恩惠めぐみをほどこしたまはん

7:13 即すなはち汝なんぢを愛あいし汝なんぢを惠めぐみみ汝なんぢの數かずを増ましたまひその昔むかしなんぢに與あたへんと汝なんぢらの先祖せんぞ等たちに誓ちかひたりし地ちにおいて汝なんぢの兒女こどもをめぐみ汝なんぢの地ちの?物さんぶつ穀物こくもつ酒さけ油あぶら等などを殖ふやし汝なんぢの牛うしの?さん汝なんぢの羊ひつじの?さんを増ましたまふべし

7:14 汝なんぢは惠めぐまるること萬よろづの民たみに愈まさらん汝なんぢらの中うちおよび汝なんぢらの家畜かちくの中うちには男をとこも女をんなも子こなき者ものは無なかるべし

7:15 ヱホバまた諸もろもろの疾病やまひを汝なんぢの身みより除のぞきたまひ汝なんぢらが知しる彼かのエジプトの惡あしき病やまひを汝なんぢの身みに臨のぞましめず但ただ汝なんぢを惡にくむ者ものに之これを臨のぞませたまふべし

7:16 汝なんぢは汝なんぢの神かみヱホバの汝なんぢに付わたしたまはんところの民たみをことごとく滅ほろぼしつくすべし彼かれらを憫あはれみ見みるべからずまた彼かれらの神かみに事つかふべからずその事こと汝なんぢの罟わなとなればなり

7:17 汝なんぢ是これらの民たみは我われよりも衆おほければ我われいかでか之これを逐おひはらふことを得えんと心こころに謂おもふか

7:18 汝なんぢかれらを懼おそるるなかれ汝なんぢの神かみヱホバがパロとエジプトに爲なしたまひしところの事ことを善よく憶おぼえよ

7:19 即すなはち汝なんぢが眼めに見みたる大おほいなる試煉こころみと徴證しるしと奇蹟ふしぎと強つよき手てと伸のべたる腕うでとを憶おぼえよ汝なんぢの神かみヱホバこれをもて汝なんぢを導みちびき出いだしたまへり是かくのごとく汝なんぢの神かみヱホバまた汝なんぢが懼おそるる一切すべての民たみに爲なしたまふべし

7:20 即すなはち汝なんぢの神かみヱホバ黄蜂くまばちを彼かれらの中なかに遣おくりて終つひに彼かれらの遺のこれる者ものと汝なんぢの面かほを避さけて匿かくれたる者ものとを滅ほろぼしたまはん

7:21 汝なんぢかれらを懼おそるる勿なかれ其そは汝なんぢの神かみヱホバ能力ちからある畏おそるべき神かみ汝なんぢらの中うちにいませばなり

7:22 汝なんぢの神かみヱホバ是等これらの國人くにびとを漸々やうやうに汝なんぢの前まへより逐おひはらひたまはん汝なんぢは急速すみやかに彼かれらを滅ほろぼしつくす可べからず恐おそらくは野のの獣けもの殖ふえて汝なんぢに逼せまらん

7:23 汝なんぢの神かみヱホバかれらを汝なんぢに付わたし大おほいにこれを惶おそれ慄をののかしめて終つひにこれを滅ほろぼし盡つくし

7:24 彼かれらの王等わうたちを汝なんぢの手てに付わたしたまはん汝なんぢかれらの名なを天あめが下したより削けづるべし汝なんぢには當あたることを得うる者ものなくして汝なんぢつひに之これを滅ほろぼし盡つくすに至いたらん

7:25 汝なんぢかれらの神かみの雕像てうざうを火ひにて焚やくべし之これに著きせたる銀ぎんあるひは金きんを貧むさぼるべからず之これを己おのれに取とるべからず恐おそらくは汝なんぢこれに因よりて罟わなにかからん是これは汝なんぢの神かみヱホバの憎にくみたまふ者ものなれば也なり

7:26 憎にくむべき物ものを汝なんぢの家いへに携たづさへいるべからず恐おそらくは汝なんぢも其そのごとくに詛のろはるる者ものとならん汝なんぢこれを大おほいに忌いみ痛いたく嫌きらふべし是これは詛のろふべき者ものなればなり