口語訳聖書(振り仮名付き)
章: 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52
エレミヤ書しょ
第40章 Jr-Audio
40:1 侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、バビロンに移うつされるエルサレムとユダの人々ひとびとのうちにエレミヤを鎖くさりにつないでおいて、これを捕とらえて行いったが、ついにラマで彼かれを釈放しゃくほうした。その後のち、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ。
40:2 侍衛じえいの長ちょうはエレミヤを召めして彼かれに言いった、「あなたの神かみ、主しゅはこの所ところにこの災わざわいを下くだすと告つげ示しめされた。
40:3 主しゅはこれを下くだし、自みずから言いわれたとおりに行おこなわれた。あなたがたが主しゅに対たいして罪つみを犯おかし、み声こえに従したがわなかったから、この事ことがあなたがたの上うえに臨のぞんだのだ。
40:4 見みよ、わたしはきょう、あなたの手ての鎖くさりを解といてあなたを釈放しゃくほうする。もしあなたがわたしと一緒いっしょにバビロンへ行いくのが良よいと思おもわれるなら、おいでなさい。わたしは、じゅうぶんあなたの世話せわをします。もしあなたがわたしと一緒いっしょにバビロンには行いきたくないなら、行いかなくてもよろしい。見みよ、この地ちはみなあなたの前まえにあります、あなたが良よいと思おもい、正ただしいと思おもう所ところに行いきなさい。
40:5 あなたがとどまるならば、バビロンの王おうがユダの町々まちまちの総督そうとくとして立たてたシャパンの子こアヒカムの子こであるゲダリヤの所ところへ帰かえり、彼かれと共ともに民たみのうちに住すみなさい。あるいはまたあなたが正ただしいと思おもう所ところへ行いきなさい」。こうして侍衛じえいの長ちょうは彼かれに糧食りょうしょくと贈おくり物ものを与あたえて去さらせた。
40:6 そこでエレミヤはミヅパへ行いき、アヒカムの子こゲダリヤの所ところへ行いって、彼かれと共ともにその地ちに残のこっている民たみのうちに住すんだ。
40:7 さて野外やがいにいた軍勢ぐんぜいの長ちょうたちと、その配下はいかの人々ひとびとは、バビロンの王おうがアヒカムの子こゲダリヤを立たてて、その地ちの総督そうとくとし、男おとこ、女おんな、子供こども、および国くにのうちのバビロンに移うつされない貧まずしい者ものを彼かれに委託いたくした事ことを聞きいたので、
40:8 ネタニヤの子こイシマエルと、カレヤの子こヨハナンおよびタンホメテの子こセラヤと、ネトパびとであるエパイの子こたちと、マアカびとの子こヤザニヤおよびその配下はいかの人々ひとびとは、ミヅパにいるゲダリヤのもとへ行いった。
40:9 シャパンの子こであるアヒカムの子こゲダリヤは、彼かれらとその配下はいかの人々ひとびとに誓ちかって言いった、「カルデヤびとに仕つかえることを恐おそれるに及およばない。この地ちに住すんでバビロンの王おうに仕つかえるならば、あなたがたは幸福こうふくになる。
40:10 わたしはミヅパにいて、われわれの所ところに来くるカルデヤびとの前まえに、あなたがたのために立たちましょう。あなたがたは、ぶどう酒しゅや夏なつのくだもの、油あぶらを集あつめて、それを器うつわにたくわえ、あなたがたの獲えた町々まちまちに住すみなさい」。
40:11 同おなじように、モアブとアンモンびとのうち、またエドムおよび他たの国々くにぐににいるユダヤ人ひとは、バビロンの王おうがユダに人ひとを残のこしたことと、シャパンの子こであるアヒカムの子こゲダリヤを立たててその総督そうとくとしたこととを聞きいた。
40:12 そこでそのユダヤ人ひとらはみなその追おいやられたもろもろの所ところから帰かえってきて、ユダの地ちのミヅパにいるゲダリヤのもとにきた。そして多おおくのぶどう酒しゅと夏なつのくだものを集あつめた。
40:13 またカレヤの子こヨハナンと、野外やがいにいた軍勢ぐんぜいの長ちょうたちはみなミヅパにいるゲダリヤのもとにきて、
40:14 彼かれに言いった、「アンモンびとの王おうバアリスがあなたを殺ころすためにネタニヤの子こイシマエルをつかわしたことを知しっていますか」。しかしアヒカムの子こゲダリヤは彼かれらの言いうことを信しんじなかったので、
40:15 カレヤの子こヨハナンはミヅパでひそかにゲダリヤに言いった、「わたしが行いって、人ひとに知しれないように、ネタニヤの子こイシマエルを殺ころしましょう。どうして彼かれがあなたを殺ころして、あなたの周囲しゅういに集あつまっているユダヤ人ひとを散ちらし、ユダの残のこった者ものを滅ほろぼしてよいでしょう」。
40:16 しかしアヒカムの子こゲダリヤはカレヤの子こヨハナンに言いった、「この事ことをしてはならない。あなたはイシマエルについて偽いつわりを言いっているのです」。
第41章 41:1 七月がつのころ、王おう家いえのもので、エリシャマの子こネタニヤの子こであり、また王おうの高官こうかんのひとりであるイシマエルは、王おうの十人にんのつかさたちと共ともにミヅパにいたアヒカムの子こゲダリヤのもとにきて、ミヅパで食しょくを共ともにしたが、41:2 ネタニヤの子こイシマエルおよび共ともにいた十人にんの者ものは立たち上あがって、バビロンの王おうがこの地ちの総督そうとくとしたシャパンの子こアヒカムの子こであるゲダリヤを刀かたなで殺ころし、41:3 イシマエルはまたミヅパでゲダリヤと共ともにいたすべてのユダヤ人ひとと、たまたまそこにいたカルデヤびとの兵士へいしたちを殺ころした。 41:4 ゲダリヤが殺ころされた次つぎの日ひ、まだだれもその事ことを知しらないうちに、41:5 八十人にんの人々ひとびとがそのひげをそり、衣服いふくをさき、身みに傷きずをつけ、手てには素祭そさいのささげ物ものと香こうを携たずさえ、シケム、シロ、サマリヤからきて、主しゅの宮みやにささげようとした。41:6 ネタニヤの子こイシマエルはミヅパから泣なきながら出でてきて彼かれらを迎むかえ、彼かれらに会あって、「アヒカムの子こゲダリヤのもとにおいでなさい」と言いった。41:7 そして彼かれらが町まちの中なかにはいったとき、ネタニヤの子こイシマエルは自分じぶんと一緒いっしょにいた人々ひとびとと共ともに彼かれらを殺ころして、その死体したいを穴あなに投なげ入いれた。41:8 しかしそのうちの十人にんはイシマエルに向むかい、「わたしたちは畑はたけに小麦こむぎ、大麦おおむぎ、油あぶら、および蜜みつを隠かくしています、わたしたちを殺ころさないでください」と言いったので、彼かれらをその仲間なかまと共ともに殺ころさないでしまった。 41:9 イシマエルが自分じぶんの殺ころした人々ひとびとの死体したいを投なげ入いれた穴あなは、アサ王おうがイスラエルの王おうバアシャを恐おそれて掘ほった穴あなであった。ネタニヤの子こイシマエルは殺ころした人々ひとびとをこれに満みたした。41:10 次ついでイシマエルはミヅパに残のこっているすべての民たみ、すなわち王おうの娘むすめたちと侍衛じえいの長ちょうネブザラダンがアヒカムの子こゲダリヤに託たくしたミヅパに残のこっているすべての民たみとを捕虜ほりょとした。ネタニヤの子こイシマエルは彼かれらを捕虜ほりょとし、アンモンびとのもとに渡わたり行いこうとして立たち去さった。 41:11 カレヤの子こヨハナンおよび彼かれと共ともにいる軍勢ぐんぜいの長ちょうたちはネタニヤの子こイシマエルの行いった悪事あくじをみな聞きき、41:12 その兵士へいしたちを率ひきいて、ネタニヤの子こイシマエルと戦たたかうために出でて行いき、ギベオンの大池おおいけのほとりで彼かれに会あった。41:13 イシマエルと共ともにいる人々ひとびとは、カレヤの子こヨハナンおよび彼かれと共ともにいる軍勢ぐんぜいの長ちょうたちを見みて喜よろこんだ。41:14 そしてイシマエルがミヅパから捕虜ほりょにしてきた人々ひとびとは身みをめぐらしてカレヤの子こヨハナンのもとへ行いった。41:15 ネタニヤの子こイシマエルは八人にんの者ものと共ともにヨハナンを避さけて逃にげ、アンモンびとの所ところへ行いった。41:16 そこでカレヤの子こヨハナンおよび彼かれと共ともにいる軍勢ぐんぜいの長ちょうたちはネタニヤの子こイシマエルがアヒカムの子こゲダリヤを殺ころして、ミヅパから捕虜ほりょとして連つれてきた、あの残のこっていた民たみ、すなわち兵士へいしや女おんな、子供こども、宦官かんがんをギベオンから連つれ帰かえったが、41:17 彼かれらはエジプトへ行いこうとしてベツレヘムの近ちかくにあるゲルテ・キムハムへ行いって、そこにとどまった。41:18 これは、ネタニヤの子こイシマエルが、バビロンの王おうによってこの地ちの総督そうとくに任にんじられたアヒカムの子こゲダリヤを殺ころしたことにより、カルデヤびとを恐おそれたからである。 第42章 42:1 そのとき軍勢ぐんぜいの長ちょうたち、およびカレヤの子こヨハナンと、ホシャヤの子こアザリヤ、ならびに民たみの最もっとも小ちいさい者ものから最もっとも大おおいなる者ものにいたるまで、42:2 みな預言者よげんしゃエレミヤの所ところに来きて言いった、「どうかあなたの前まえにわれわれの求もとめが受うけいれられますように。われわれのため、この残のこっている者ものすべてのために、あなたの神かみ、主しゅに祈いのってください、(今いまごらんのとおり、われわれは多おおくのうち、わずかに残のこっている者ものです)42:3 そうすれば、あなたの神かみ、主しゅは、われわれの行いくべき道みちと、なすべき事ことをお示しめしになるでしょう」。42:4 預言者よげんしゃエレミヤは彼かれらに言いった、「よくわかりました。あなたがたの求もとめにしたがって、あなたがたの神かみ、主しゅに祈いのりましょう。主しゅがあなたがたに答こたえられることを、何事なにごとも隠かくさないであなたがたに言いいましょう」。42:5 彼かれらはエレミヤに言いった、「もし、あなたの神かみ、主しゅがあなたをつかわしてお告つげになるすべての言葉ことばを、われわれが行おこなわないときは、どうか主しゅがわれわれに対たいしてまことの真実しんじつな証人しょうにんとなられるように。42:6 われわれは良よくても悪わるくても、われわれがあなたをつかわそうとするわれわれの神かみ、主しゅの声こえに従したがいます。われわれの神かみ、主しゅの声こえに従したがうとき、われわれは幸さいわいを得えるでしょう」。 42:7 十日かの後のち、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ。42:8 エレミヤはカレヤの子こヨハナンおよび彼かれと共ともにいる軍勢ぐんぜいの長ちょうたち、ならびに民たみの最もっとも小ちいさい者ものから最もっとも大おおいなる者ものまでことごとく招まねいて、42:9 彼かれらに言いった、「あなたがたがわたしをつかわして、あなたの祈願きがんをその前まえにのべさせたイスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれます、42:10 もしあなたがたがこの地ちにとどまるならば、わたしはあなたがたを建たてて倒たおすことなく、あなたがたを植うえて抜ぬくことはしない。わたしはあなたがたに災わざわいを下くだしたことを悔くいているからである。42:11 主しゅは言いわれる、あなたが恐おそれているバビロンの王おうを恐おそれてはならない。彼かれを恐おそれてはならない、わたしが共ともにいて、あなたがたを救すくい、彼かれの手てから助たすけ出だすからである。42:12 わたしはあなたがたをあわれみ、また彼かれにあなたがたをあわれませ、あなたがたを自分じぶんの地ちにとどまらせる。42:13 しかし、もしあなたがたが、『われわれはこの地ちにとどまらない』といって、あなたがたの神かみ、主しゅの声こえにしたがわず、42:14 また、『いいえ、われわれはあの戦争せんそうを見みず、ラッパの声こえを聞きかず、食物しょくもつも乏とぼしくないエジプトの地ちへ行いって、あそこに住すまおう』と言いうならば、42:15 あなたがた、ユダの残のこっている者ものたちよ、主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、もしあなたがたがむりにエジプトへ行いってそこに住すむならば、42:16 あなたがたの恐おそれているつるぎはエジプトの地ちであなたがたに追おいつき、あなたがたの恐おそれているききんは、すぐあとを追おってエジプトまで行いき、その所ところであなたがたは死しぬ。42:17 すべてむりにエジプトへ行いってそこに住すむ者ものは、つるぎと、ききんと、疫病えきびょうで死しぬ。わたしが彼かれらに下くだそうとしている災わざわいをのがれて残のこる者ものはそのうちにない。 42:18 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、わたしの怒いかりと憤いきどおりとをエルサレムの住民じゅうみんの上うえに注そそいだように、わたしの憤いきどおりは、あなたがたがエジプトへ行いくとき、あなたがたの上うえに注そそぐ。あなたがたは、のろいとなり、恐怖きょうふとなり、ののしりとなり、はずかしめとなる。あなたがたは再ふたたびこの所ところを見みることができない。42:19 ユダの残のこっている者ものたちよ、『エジプトへ行いってはならない』と主しゅはあなたがたに言いわれた。わたしがきょう警告けいこくしたことを、あなたがたは確たしかに知しらなければならない。42:20 あなたがたはみずからそむき去さって、命いのちを失うしなった。なぜなら、あなたがたがわたしをあなたがたの神かみ、主しゅにつかわし、『われわれの神かみ、主しゅに祈いのり、われわれの神かみ、主しゅの言いわれることをことごとく示しめしてください。われわれはそれを行おこないます』と言いったので、42:21 わたしはきょうそれを示しめしたが、あなたがたはあなたがたの神かみ、主しゅの声こえを聞きかず、主しゅがわたしをつかわして命めいじさせられた事ことには、すこしも従したがわなかったからである。42:22 それゆえ、あなたがたが行いって住すまうことを願ねがっているその所ところで、あなたがたはつるぎと、ききんと、疫病えきびょうで死しぬことを確たしかに知しらなければならない」。 第43章 43:1 エレミヤがすべての民たみにむかって、彼かれらの神かみ、主しゅの言葉ことばをことごとく語かたり、彼かれらの神かみ、主しゅが自分じぶんをつかわして言いわせられるその言葉ことばをみな告つげ終おわった時とき、43:2 ホシャヤの子こアザリヤと、カレヤの子こヨハナンおよび高慢こうまんな人々ひとびとはみなエレミヤに言いった、「あなたは偽いつわりを言いっている。われわれの神かみ、主しゅが、『エジプトへ行いってそこに住すむな』と言いわせるためにあなたをつかわされたのではない。43:3 ネリヤの子こバルクがあなたをそそのかして、われわれに逆さからわせ、われわれをカルデヤびとの手てに渡わたして殺ころすか、あるいはバビロンに捕とらえ移うつさせるのだ」。43:4 こうしてカレヤの子こヨハナンと軍勢ぐんぜいの長ちょうたちおよび民たみらは皆みな、主しゅの声こえにしたがわず、ユダの地ちにとどまろうとしなかった。43:5 そしてカレヤの子こヨハナンと軍勢ぐんぜいの長ちょうたちは、ユダに残のこっている者ものすなわち追おいやられた国々くにぐにからユダの地ちに住すむために帰かえってきた者もの、――43:6 男おとこ、女おんな、子供こども、王おうの娘むすめたち、およびすべて侍衛じえいの長ちょうネブザラダンがシャパンの子こであるアヒカムの子こゲダリヤに渡わたしておいた者もの、ならびに預言者よげんしゃエレミヤとネリヤの子こバルクをつれて、43:7 エジプトの地ちへ行いった。彼かれらは主しゅの声こえにしたがわなかったのである。そして彼かれらはついにタパネスに行いった。 43:8 主しゅの言葉ことばはタパネスでエレミヤに臨のぞんだ、43:9 「大おおきな石いしを手てに取とり、ユダの人々ひとびとの目めの前まえで、これをタパネスにあるパロの宮殿きゅうでんの入口いりぐちの敷石しきいしのしっくいの中なかに隠かくして、43:10 彼かれらに言いいなさい、『万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、見みよ、わたしは使者ししゃをつかわして、わたしのしもべであるバビロンの王おうネブカデレザルを招まねく。彼かれはその位くらいをこの隠かくした石いしの上うえにすえ、その上うえに王おうの天蓋てんがいを張はる。43:11 彼かれは来きてエジプトの地ちを撃うち、疫病えきびょうに定さだまっている者ものを疫病えきびょうに渡わたし、とりこに定さだまっている者ものをとりこにし、つるぎに定さだまっている者ものをつるぎにかける。43:12 彼かれはエジプトの神々かみがみの宮みやに火ひをつけてこれを焼やき、彼かれらをとりこにする。そして羊ひつじを飼かう者ものが着物きものの虫むしをはらいきよめるように、エジプトの地ちをきよめる。彼かれは安やすらかにそこを去さる。43:13 彼かれはエジプトの地ちにあるヘリオポリスのオベリスクをこわし、エジプトの神々かみがみの宮みやを火ひで焼やく』」。 第44章 44:1 エジプトの地ちに住すんでいるユダヤ人ひとすなわちミグドル、タパネス、メンピス、パテロスの地ちに住すむ者ものの事ことについてエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば、44:2 「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、あなたがたはわたしがエルサレムとユダの町々まちまちに下くだした災わざわいを見みた。見みよ、これらは今日こんにち、すでに荒あれ地ちとなって住すむ人ひともない。44:3 これは彼かれらが悪あくを行いって、わたしを怒いからせたことによるのである。すなわち彼かれらは自分じぶんも、あなたがたも、あなたがたの先祖せんぞたちも知しらなかった、ほかの神々かみがみに行いって、香こうをたき、これに仕つかえた。44:4 わたしは自分じぶんのしもべであるすべての預言者よげんしゃたちを、しきりにあなたがたにつかわして、『どうか、わたしの忌いみきらうこの憎にくむべき事ことをしないように』と言いわせたけれども、44:5 彼かれらは聞きかず、耳みみを傾かたむけず、ほかの神々かみがみに香こうをたいて、その悪あくを離はなれなかった。44:6 それゆえ、わたしは怒いかりと憤いきどおりをユダの町々まちまちとエルサレムのちまたに注そそぎ、それを焼やいたので、それらは今日こんにちのように荒あれ、滅ほろびてしまった。44:7 万軍ばんぐんの神かみ、イスラエルの神かみ、主しゅは今いまこう言いわれる、あなたがたはなぜ大おおいなる悪あくを行いって自分じぶん自身じしんを害がいし、ユダのうちから、あなたがたの男おとこと女おんなと、子供こどもと乳ちのみ子ごを断たって、ひとりも残のこらないようにしようとするのか。44:8 なぜあなたがたはその手てのわざをもってわたしを怒いからせ、あなたがたが行いって住すまうエジプトの地ちで、ほかの神々かみがみに香こうをたいて自分じぶんの身みを滅ほろぼし、地ちの万国ばんこくのうちに、のろいとなり、はずかしめとなろうとするのか。44:9 ユダの地ちとエルサレムのちまたで行いったあなたがたの先祖せんぞたちの悪あく、ユダの王おうたちの悪あく、その妻つまたちの悪あく、およびあなたがた自身じしんの悪あく、あなたがたの妻つまたちの悪あくをあなたがたは忘わすれたのか。44:10 彼かれらは今日こんにちに至いたるまで悔くいず、また恐おそれず、あなたがたとあなたがたの先祖せんぞたちの前まえに立たてた、わたしの律法りっぽうとわたしの定さだめとに従したがって歩あゆまないのである。 44:11 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、見みよ、わたしは顔かおをあなたがたに向むけて災わざわいを下くだし、ユダの人々ひとびとをことごとく断たつ。44:12 またわたしは、エジプトの地ちに住すむために、むりに行いったあのユダの残のこりの者ものを取とり除のぞく。彼かれらはみな滅ほろぼされてエジプトの地ちに倒たおれる。彼かれらは、つるぎとききんに滅ほろぼされ、最もっとも小ちいさい者ものから最もっとも大おおいなる者ものまで、つるぎとききんによって死しぬ。そして、のろいとなり、恐怖きょうふとなり、ののしりとなり、はずかしめとなる。44:13 わたしはエルサレムを罰ばっしたように、つるぎと、ききんと、疫病えきびょうをもってエジプトに住すんでいる者ものを罰ばっする。44:14 それゆえ、エジプトの地ちへ行いってそこに住すんでいるユダの残のこりの者もののうち、のがれ、または残のこって、帰かえり住すまおうと願ねがうユダの地ちへ帰かえる者ものはひとりもない。少数しょうすうののがれる者もののほかには、帰かえってくる者ものはない」。 44:15 その時とき、自分じぶんの妻つまがほかの神々かみがみに香こうをたいたことを知しっている人々ひとびと、およびその所ところに立たっている女おんなたちの大おおいなる群衆ぐんしゅう、ならびにエジプトの地ちのパテロスに住すんでいる民たみはエレミヤに答こたえて言いった、44:16 「あなたが主しゅの名なによってわたしたちに述のべられた言葉ことばは、わたしたちは聞きくことができません。44:17 わたしたちは誓ちかったことをみな行おこない、わたしたちが、もと行いっていたように香こうを天后てんこうにたき、また酒さけをその前まえに注そそぎます。すなわち、ユダの町々まちまちとエルサレムのちまたで、わたしたちとわたしたちの先祖せんぞたちおよびわたしたちの王おうたちと、わたしたちのつかさたちが行いったようにいたします。その時ときには、わたしたちは糧食りょうしょくには飽あき、しあわせで、災わざわいに会あいませんでした。44:18 ところが、わたしたちが、天后てんこうに香こうをたくことをやめ、酒さけをその前まえに注そそがなくなった時ときから、すべての物ものに乏とぼしくなり、つるぎとききんに滅ほろぼされました」。44:19 また女おんなたちは言いった、「わたしたちが天后てんこうに香こうをたき、酒さけをその前まえに注そそぐに当あたって、これにかたどってパンを つくり、酒さけを注そそいだのは、わたしたちの夫おっとが許ゆるしたことではありませんか」。 44:20 そこでエレミヤは男女だんじょのすべての人ひと、およびこの答こたえをしたすべての民たみに言いった、44:21 「ユダの町々まちまちとエルサレムのちまたで、あなたがたとあなたがたの先祖せんぞたち、およびあなたがたの王おうたちとあなたがたのつかさたち、およびその地ちの民たみが香こうをたいたことは、主しゅがこれを忘わすれず、また、心こころにとどめておられることではないか。44:22 主しゅはあなたがたの悪あしきわざのため、あなたがたの憎にくむべき行おこないのために、もはや忍しのぶことができなくなられた。それゆえ、あなたがたの地ちは今日こんにちのごとく荒あれ地ちとなり、驚おどろきとなり、のろいとなり、住すむ人ひとのない地ちとなった。44:23 あなたがたが香こうをたき、主しゅに罪つみを犯おかし、主しゅの声こえに聞きき従したがわず、その律法りっぽうと、定さだめと、あかしに従したがって歩あゆまなかったので、今日こんにちのようにこの災わざわいがあなたがたに臨のぞんだのである」。 44:24 エレミヤはまたすべての民たみと女おんなたちに言いった、「あなたがたすべてエジプトの地ちにいるユダの人々ひとびとよ、主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。44:25 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、あなたがたとあなたがたの妻つまたちは口くちで言いい、手てで行おこない、『わたしたちは天后てんこうに香こうをたき、酒さけを注そそいで立たてた誓ちかいを必かならずなし遂とげる』と言いう。それならば、あなたがたの誓ちかいをかため、あなたがたの誓ちかいをなし遂とげなさい。44:26 それゆえ、あなたがたすべてエジプトの地ちにいるユダの人々ひとびとよ、主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。主しゅは言いわれる、わたしは自分じぶんの大おおいなる名なをさして誓ちかう、すなわちエジプトの全ぜん地ちに、ユダの人々ひとびとで、その口くちに、『主しゅなる神かみは生いきておられる』と言いって、わたしの名なをとなえるものは、もはやひとりもないようになる。44:27 見みよ、わたしは彼かれらを見守みまもっている、それは幸さいわいを与あたえるためではなく、災わざわいを下くだすためである。エジプトの地ちにいるユダの人々ひとびとは、つるぎとききんによって滅ほろび絶たえる。44:28 しかし、つるぎをのがれるわずかの者ものはエジプトの地ちを出でてユダの地ちに帰かえる。そしてユダの残のこっている民たみでエジプトに来きて住すんだ者ものは、わたしの言葉ことばが立たつか、彼かれらの言葉ことばが立たつか、いずれであるかを知しるようになる。44:29 主しゅは言いわれる、わたしがこの所ところであなたがたを罰ばっするしるしはこれである。わたしはこのようにしてわたしがあなたがたに災わざわいを下くだそうと言いった事ことの必かならず立たつことを知しらせよう。44:30 すなわち主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしはユダの王おうゼデキヤを、その命いのちを求もとめる敵てきであるバビロンの王おうネブカデレザルの手てに渡わたしたように、エジプトの王おうパロ・ホフラをその敵てきの手て、その命いのちを求もとめる者ものの手てに渡わたす」。 第45章 45:1 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの四年ねんに、ネリヤの子こバルクがこれらの言葉ことばをエレミヤの口述こうじゅつにしたがって書しょにしるした時とき、預言者よげんしゃエレミヤが彼かれに語かたった言葉ことば、45:2 「バルクよ、イスラエルの神かみ、主しゅはあなたについてこう言いわれる、45:3 あなたはかつて、『ああ、わたしはわざわいだ、主しゅがわたしの苦くるしみに悲かなしみをお加くわえになった。わたしは嘆なげき疲つかれて、安息あんそくが得えられない』と言いった。45:4 あなたはこう彼かれに言いいなさい、主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしは自分じぶんで建たてたものをこわし、自分じぶんで植うえたものを抜ぬいている――それは、この全ぜん地ちである。45:5 あなたは自分じぶんのために大おおいなる事ことを求もとめるのか、これを求もとめてはならない。見みよ、わたしはすべての人ひとに災わざわいを下くだそうとしている。しかしあなたの命いのちはあなたの行ゆくすべての所ところで、ぶんどり物ものとしてあなたに与あたえると主しゅは言いわれる」。 第46章 46:1 もろもろの国くにの事ことについて預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ主しゅの言葉ことば。 46:2 エジプトの事こと、すなわちユフラテ川かわのほとりにあるカルケミシの近ちかくにいるエジプトの王おうパロ・ネコの軍勢ぐんぜいの事ことについて。これはユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの四年ねんに、バビロンの王おうネブカデレザルが撃うち破やぶったものである。その言葉ことばは次つぎのとおりである、 46:3 「大盾おおだてと小盾こだてとを備そなえ、進すすんで戦たたかえ。46:4 騎兵きへいよ、馬うまを戦車せんしゃにつなぎ、馬うまに乗のれ。かぶとをかぶって立たて。ほこをみがき、よろいを着きよ。46:5 わたしは見みたが、何なにゆえか彼かれらは恐おそれて退しりぞき、その勇士ゆうしたちは打うち敗やぶられ、あわてて逃にげて、うしろをふり向むくこともしない、――恐おそれが彼かれらの周囲しゅういにあると主しゅは言いわれる。46:6 足早あしばやき者ものも逃にげることができず、勇士ゆうしものがれることができない。北きたの方ほう、ユフラテ川かわのほとりで彼かれらはつまずき倒たおれた。 46:7 あのナイル川かわのようにわきあがり、川々かわがわのように、その水みずのさかまく者ものはだれか。46:8 エジプトはナイル川かわのようにわきあがり、その水みずは川々かわがわのようにさかまく。そしてこれは言いう、わたしは上のぼって、地ちをおおい、町々まちまちとそのうちに住すむ者ものを滅ほろぼそう。46:9 馬うまよ、進すすめ、車くるまよ、激はげしく走はしれ。勇士ゆうしよ、盾たてを取とるエチオピヤびとと、プテびとよ、弓ゆみを巧たくみに引ひくルデびとよ、進すすみ出でよ。46:10 その日ひは万軍ばんぐんの神かみ、主しゅの日ひであって、主しゅがあだを報むくいられる日ひ、その敵てきにあだをかえされる日ひだ。つるぎは食たべて飽あき、彼かれらの血ちに酔よう。万軍ばんぐんの神かみ、主しゅが、北きたの地ちで、ユフラテ川かわのほとりで、ほふることをなされるからだ。46:11 おとめなるエジプトの娘むすめよ、ギレアデに上のぼって乳香にゅうこうを取とれ。あなたは多おおくの薬くすりを用もちいても、むだだ。あなたは、いやされることはない。46:12 あなたの恥はじは国々くにぐにに聞きこえている、あなたの叫さけびは地ちに満みちている。勇士ゆうしが勇士ゆうしにつまずいて、共ともに倒たおれたからである」。46:13 バビロンの王おうネブカデレザルが来きて、エジプトの地ちを撃うとうとする事ことについて、主しゅが預言者よげんしゃエレミヤにお告つげになった言葉ことば、 46:14 「エジプトで宣のべ、ミグドルで告つげ示しめし、またメンピスとタパネスに告つげ示しめして言いえ、『堅かたく立たって、備そなえせよ、つるぎがあなたの周囲しゅういを、滅ほろぼし尽つくすからだ』。46:15 なぜ、アピスはのがれたのか。あなたの雄牛おうしは、なぜ立たたなかったのか。それは主しゅがこれを倒たおされたからだ。46:16 あなたに属ぞくする多おおくの兵へいは、つまずいて倒たおれた。そして互たがいに言いった、『立たてよ、われわれは、しえたげる者もののつるぎを避さけて、われわれの民たみに帰かえり、故郷こきょうの地ちへ行いこう』と。46:17 エジプトの王おうパロの名なを、『好機こうきを逸いっする騒さわがしい者もの』と呼よべ。 46:18 万軍ばんぐんの主しゅという名なの王おうは言いわれる、わたしは生いきている、彼かれは山々やまやまのうちのタボルのように、海うみのほとりのカルメルのように来きたり臨のぞむ。46:19 エジプトに住すむ民たみよ、捕とらわれのために荷物にもつを備そなえよ。メンピスは荒あれ地ちとなり、廃虚はいきょとなって住すむ人ひともなくなる。46:20 エジプトは美うつくしい雌めすの子こ牛うしだ、しかし北きたから、牛うしばえが来きて、それにとまった。46:21 そのうちにいる雇やとい兵へいでさえ、肥こえた子こ牛うしのようだ。彼かれらはふり返かえって共ともに逃にげ、立たつことをしなかった。彼かれらの災難さいなんの日ひ、その罰ばっせられる時ときが来きたからだ。46:22 彼かれは逃にげ去さるへびのような音おとをたてる。その敵てきが軍勢ぐんぜいを率ひきいて彼かれに臨のぞみ、きこりのように、おのをもって来くるからだ。46:23 彼かれらは彼かれの林はやしがいかに入いり込こみがたくとも、それを切きり倒たおす。彼かれらはいなごよりも多おおく、数かぞえがたいからであると、主しゅは言いわれる。46:24 エジプトの娘むすめははずかしめを受うけ、北きたからくる民たみの手てに渡わたされる」。46:25 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみは言いわれた、「見みよ、わたしはテーベのアモンと、パロと、エジプトとその神々かみがみとその王おうたち、すなわちパロと彼かれを頼たのむ者ものとを罰ばっする。46:26 わたしは彼かれらを、その命いのちを求もとめる者ものの手てと、バビロンの王おうネブカデレザルの手てと、その家来けらいたちの手てに渡わたす。その後のち、エジプトは昔むかしのように人ひとの住すむ所ところとなると、主しゅは言いわれる。 46:27 わたしのしもべヤコブよ、恐おそれることはない、イスラエルよ、驚おどろくことはない。見みよ、わたしがあなたを遠とおくから救すくい、あなたの子孫しそんをその捕とらえ移うつされた地ちから救すくうからだ。ヤコブは帰かえってきて、おだやかに、安やすらかになり、彼かれを恐おそれさせる者ものはない。46:28 主しゅは言いわれる、わたしのしもべヤコブよ、恐おそれることはない、わたしが共ともにいるからだ。わたしはあなたを追おいやった国々くにぐにをことごとく滅ほろぼし尽つくす。しかしあなたを滅ほろぼし尽つくすことはしない。わたしは正ただしい道みちに従したがって、あなたを懲こらしめる、決けっして罰ばっしないではおかない」。 第47章 47:1 パロがまだガザを撃うたなかったころ、ペリシテびとの事ことについて預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ主しゅの言葉ことば。 47:2 「主しゅはこう言いわれる、見みよ、水みずは北きたから起おこり、あふれ流ながれて、この地ちと、そこにあるすべての物もの、その町まちと、その中なかに住すむ者ものとにあふれかかる。その時とき、人々ひとびとは叫さけび、この地ちに住すむ者ものはみな嘆なげく。47:3 そのたくましい馬うまのひずめの踏ふみ鳴ならす音おとのため、その戦車せんしゃの響ひびきのため、その車輪しゃりんのとどろきのために、父ちちはその手てが弱よわくなって、自分じぶんの子こをも顧かえりみない。47:4 これは、ペリシテびとを滅ほろぼし尽つくし、ツロとシドンに残のこって助たすけをなす者ものをことごとく絶たやす日ひが来くるからである。主しゅはカフトルの海岸かいがんに残のこっているペリシテびとを滅ほろぼされる。47:5 ガザには髪かみをそることが始はじまっている。アシケロンは滅ほろびた。アナクびとの残のこりの民たみよ、いつまで自分じぶんの身みに傷きずつけるのか。47:6 主しゅのつるぎよ、おまえはいつになれば静しずかになるのか。おまえのさやに帰かえり、休やすんで静しずかにしておれ。47:7 主しゅがこれに命いのちを下くだされたのだ、どうして静しずかにしておれようか。アシケロンと海岸かいがんの地ちを攻せめることを定さだめられたのだ」。 第48章 48:1 モアブの事ことについて、万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、 「ああ、ネボはわざわいだ、これは滅ほろぼされた。キリヤタイムははずかしめられて取とられ、とりでは、はずかしめられてこわされた。48:2 モアブの誉ほまれは、消きえ去さった。ヘシボンで人々ひとびとはモアブの害がいを図はかり、『さあ、この国くにを断たち滅ほろぼそう』という。マデメンよ、おまえもまた滅ほろぼされる、つるぎがおまえを追おう。 48:3 ホロナイムから叫さけび声ごえが聞きこえる、『荒廃こうはいと大おおいなる滅亡めつぼうだ』という。48:4 モアブは滅ほろぼされ、叫さけびはゾアルにまで聞きこえる。48:5 彼かれらは泣なきながらルヒテの坂さかを登のぼる。彼かれらはホロナイムの下くだり坂ざかで、『滅亡めつぼう』の叫さけびを聞きいたからだ。48:6 逃にげて、自分じぶんの身みを救すくえ、荒野あらのの野のろばのようになれ。48:7 おまえが、とりでと財宝ざいほうとを頼たのみにしたので、おまえも捕とらえられるからだ。またケモシは、その祭司さいしとつかさたちと共ともに、捕とらえられて行いく。48:8 滅ほろぼす者ものはすべての町まちに来くる、一つの町まちものがれることができない。谷たには滅ほろび、平地へいちは荒あらされる、主しゅの言いわれたとおりである。48:9 モアブに翼つばさを与あたえて、飛とび去さらせよ。その町々まちまちは荒あれて、住すむ者ものはなくなる。48:10 主しゅのわざを行おこなうことを怠おこたる者ものはのろわれる。またそのつるぎを押おさえて血ちを流ながさない者ものはのろわれる。48:11 モアブはその幼おさない時ときから安やすらかで、酒さけが、沈しずんだおりの上うえにとどまって、器うつわから器うつわに、くみ移うつされなかったように、捕とらえ移うつされなかったので、その味あじはなお存そんし、その香気こうきも変かわることがない。48:12 主しゅは言いわれる、それゆえ見みよ、わたしがこれを傾かたむける者ものどもをつかわす日ひが来くる。彼かれらはこれを傾かたむけ、その器うつわをあけ、そのかめを砕くだく。48:13 その時ときモアブはケモシのために恥はじをかく。ちょうどイスラエルの家いえがその頼たのみとしたベテルのために恥はじをかいたようになる。48:14 あなたがたはどうして『われわれは勇士ゆうしだ。強つよい戦士せんしだ』というのか。48:15 モアブとその町々まちまちを滅ほろぼす者ものは上のぼって来き、モアブのえり抜ぬきの若者わかものたちは下くだって殺ころされたと万軍ばんぐんの主しゅと名なのる王おうが言いわれる。48:16 モアブの災難さいなんは近ちかづいている、その苦難くなんはすみやかに来くる。48:17 すべてその周囲しゅういにある者ものよ、またその名なを知しる者ものよ、彼かれのために嘆なげいて、『ああ、強つよき笏しゃく、麗うるわしきつえは、ついに折おれた』と言いえ。 48:18 デボンに住すむ者ものよ、ああなたの栄さかえを離はなれて下くだり、かわいた地ちに座ざせよ。モアブを滅ほろぼす者ものがあなたに攻せめのぼって来きて、あなたの城しろを滅ほろぼしたからだ。48:19 アロエルに住すむ者ものよ、道みちのかたわらに立たって見張みはりし、逃にげてくる男おとこ、のがれてくる女おんなに尋たずねて、『何なにが起おこったのか』と言いえ。48:20 モアブは敗やぶれて、恥はじをこうむっている。嘆なげき呼よばわれ。アルノン川かわのほとりで、モアブは滅ほろぼされたと告つげよ。48:21 さばきは高原こうげんの地ちに臨のぞみ、ホロン、ヤハズ、メパアテ、48:22 デボン、ネボ、ベテ・デブラタイム、48:23 キリヤタイム、ベテ・ガムル、ベテ・メオン、48:24 ケリオテ、ボズラなどモアブの地ちのすべての町まちの、遠とおいものにも近ちかいものにも、臨のぞんだ。48:25 モアブの角つのは砕くだけ、その腕うでは折おれたと主しゅは言いわれる。 48:26 モアブを酔よわせよ、彼かれが主しゅに敵てきして自みずから高たかぶったからである。モアブは自分じぶんの吐はいた物ものの中なかにころがって、笑わらい草ぐさとなる。48:27 イスラエルはあなたの笑わらい草ぐさではなかったか。あなたが、彼かれのことを語かたるごとに首くびを振ふったのは、彼かれが盗賊とうぞくの中なかにいたとでもいうのか。48:28 モアブに住すむ者ものよ、町まちを去さって岩いわの間あいだに住すめ。谷たにの入口いりぐちのかたわらに巣すを作つくる山やまばとのようにせよ。48:29 われわれはモアブの高慢こうまんな事ことを聞きいた、その高慢こうまんは、はなはだしい。すなわち、その尊大そんだい、高慢こうまん、横柄おうへい、およびその心こころの高たかぶりのことを聞きいた。48:30 主しゅは言いわれる、わたしは彼かれの横着おうちゃくなのを知しる、彼かれの自慢じまんは偽いつわりで、その行おこないも偽いつわりである。48:31 それゆえ、わたしはモアブのために嘆なげき、モアブの全ぜん地ちのために呼よばわる。キルヘレスの人々ひとびとのためにわたしは悲かなしむ。48:32 シブマのぶどうの木きよ、わたしはヤゼルのために泣なくのにまさっておまえのために泣なく。おまえのつるは延のびて海うみを越こえ、ヤゼルに及およんだ。おまえの夏なつの実みと、その収穫しゅうかくを滅ほろぼす者ものが襲おそってきた。48:33 喜よろこびと楽たのしみは、実みのり多おおいモアブの地ちを去さった。わたしは、ぶどうをしぼる所ところにも酒さけをなくした。楽たのしく呼よばわって、ぶどうを踏ふむ者ものもなくなった。呼よばわっても、喜よろこんで呼よばわる声こえではない。48:34 ヘシボンとエレアレは叫さけぶ。ヤハヅに至いたるまで、ゾアルからホロナイムとエグラテ・シリシヤに至いたるまで、彼かれらはその声こえをあげる。ニムリムの水みずも絶たえたからである。48:35 主しゅは言いわれる、わたしは犠牲ぎせいを高たかき所ところにささげ、香こうをその神かみにたく者ものをモアブのうちに滅ほろぼす。48:36 それゆえ、わたしの心こころはモアブのために笛ふえのように嘆なげき、わたしの心こころはキルヘレスの人々ひとびとのために笛ふえのように嘆なげく。彼かれらの獲えた富とみが消きえうせたからである。 48:37 人ひとはみな髪かみをそり、皆みなひげをそり、みな手てに傷きずをつけ、腰こしに荒布あらぬのを着つける。48:38 モアブではどこの屋根やねの上うえも、広場ひろばも、ただ悲かなしみに包つつまれている。これは、わたしが、だれもほしがらない器うつわのようにモアブを砕くだいたからであると主しゅは言いわれる。48:39 ああ、モアブはついに滅ほろびた。人々ひとびとは嘆なげく。ああ、モアブは恥はじて顔かおをそむけた。モアブはその周囲しゅういのすべての者ものの笑わらい草ぐさとなり恐おそれとなった」。 48:40 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、敵てきはわしのように速はやく飛とんできて、モアブに向むかって翼つばさをのべる。48:41 町々まちまちは取とられ、城しろは奪うばわれる。その日ひモアブの勇士ゆうしの心こころは子こを産うむ女おんなの心こころのようになる。48:42 モアブは滅ほろぼされて、国くにを成なさないようになる。主しゅに敵てきして自みずから誇ほこったからである。48:43 主しゅは言いわれる、モアブに住すむ者ものよ、恐おそれと、穴あなと、わなとがあなたに臨のぞんでいる。48:44 恐おそれをさけて逃にげる者ものは穴あなにおちいり、穴あなをよじ上のぼって出でる者ものは、わなに捕とらえられる。わたしがモアブに、その罰ばっせられる年としに、これらのものを臨のぞませるからであると主しゅは言いわれる。 48:45 逃にげた者ものはヘシボンの陰かげに、力ちからなく立たちどまる。ヘシボンから火ひが出で、シホンの家いえから炎ほのおが出でて、モアブの額ひたい、騒さわぐ人々ひとびとの頭あたまの頂いただきを焼やいたからだ。48:46 モアブよ、おまえはわざわいだ。ケモシの民たみは滅ほろびた。おまえのむすこらは捕とらえ移うつされ、おまえの娘むすめらも捕とらえ行ゆかれたからである。48:47 しかし末すえの日ひにわたしは再ふたたびモアブを栄さかえさせると主しゅは言いわれる」。ここまではモアブのさばきの事ことをいったのである。 第49章 49:1 アンモンびとについて、主しゅはこう言いわれる、「イスラエルには子こがないのか、世継よつぎがないのか。どうしてミルコムがガドを追おい出だして、その民たみがその町々まちまちに住すんでいるのか。49:2 主しゅは言いわれる、それゆえ、見みよ、アンモンびとのラバを攻せめる戦たたかいの叫さけびを、わたしが聞きこえさせる日ひが来くる。ラバは荒塚あれづかとなり、その村々むらむらは火ひで焼やかれる。そのときイスラエルは自分じぶんを追おい出だした者ものどもを追おい出だすと主しゅは言いわれる。 49:3 ヘシボンよ嘆なげけ、アイは滅ほろぼされた。ラバの娘むすめたちよ呼よばわれ。荒布あらぬのを身みにまとい、悲かなしんで、まがきのうちを走はしりまわれ。ミルコムとその祭司さいしおよびつかさが共ともに捕とらえ移うつされるからだ。49:4 不信ふしんの娘むすめよ、あなたはなぜ自分じぶんの谷たにの事ことを誇ほこるのか。あなたは自分じぶんの富とみに寄より頼たよんで、『だれがわたしに攻せめてくるものか』と言いう。49:5 主しゅなる万軍ばんぐんの神かみは言いわれる、見みよ、わたしはあなたの上うえに恐おそれを臨のぞませる、それはあなたの周囲しゅういの者ものから来くる。あなたは追おわれて、おのおの直ただちに他人たにんに続つづき、逃にげる者ものを集あつめる人ひともない。49:6 しかし、のちになって、わたしはアンモンびとを再ふたたび栄さかえさせると、主しゅは言いわれる」。49:7 エドムの事ことについて、万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「テマンには、もはや知恵ちえがないのか。さとい者ものには計はかりごとがなくなったのか。その知恵ちえは消きえうせたのか。49:8 デダンに住すむ者ものよ、逃にげよ、のがれよ、深ふかい所ところに隠かくれよ。わたしがエサウの災難さいなんを彼かれの上うえに臨のぞませ、彼かれを罰ばっする時ときをこさせるからだ。49:9 ぶどうを集あつめる者ものがあなたの所ところに来きたならば、すこしの実みをも残のこさないであろうか。夜よる、盗ぬすびとが来きたならば、自分じぶんたちの満足まんぞくするだけ滅ほろぼさないであろうか。49:10 しかしわたしはエサウを裸はだかにし、その隠かくれる所ところを現あらわしたので、彼かれはその身みを隠かくすことができない。その子こどもたちも、兄弟きょうだいも、隣となり人びとも滅ほろぼされる。そして彼かれは、いなくなる。49:11 あなたのみなしごを残のこせ、わたしがそれを生いきながらえさせる。あなたのやもめには、わたしに寄より頼たのませよ」。49:12 主しゅはこう言いわれる、「もし、杯さかずきを飲のむべきでない者ものもそれを飲のまなければならなかったとすれば、あなたは罰ばつを免まぬかれることができようか。あなたは罰ばつを免まぬかれない。それを飲のまなければならない。49:13 主しゅは言いわれる、わたしは自分じぶんをさして誓ちかった、ボズラは驚おどろきとなり、ののしりとなり、荒あれ地ちとなり、のろいとなる。その町々まちまちは長ながく荒あれ地ちとなる」。 49:14 わたしは主しゅからのおとずれを聞きいた。ひとりの使者ししゃがつかわされて万国ばんこくに行いき、そして言いった、「あなたがたは集あつまり、行いって彼かれを攻せめ、立たって戦たたかえ。49:15 見みよ、わたしはあなたを万国ばんこくのうちに小ちいさい者ものとし、人々ひとびとのうちに卑いやしめられる者ものとする。49:16 岩いわの割われ目めに住すみ、山やまの高たかみを占しめる者ものよ、あなたの恐おそろしい事ことと、あなたの心こころの高たかぶりが、あなたを欺あざむいた。あなたは、わたしのように巣すを高たかい所ところに作つくっているが、わたしはその所ところからあなたを取とりおろすと主しゅは言いわれる。49:17 エドムは恐おそれとなる。そのかたわらを通とおり過すぎる者ものはみな恐おそれ、その災わざわいのために、舌打したうちする。49:18 主しゅは言いわれる、ソドムとゴモラとその隣となりの町々まちまちがくつがえされた時ときのように、そこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひともなくなる。49:19 見みよ、ししがヨルダンの密林みつりんから上のぼってきて、じょうぶな羊ひつじのおりを襲おそうように、わたしは、たちまち彼かれらをそこから逃にげ走はしらせ、わたしの選えらぶ者ものをその上うえに立たてる。だれかわたしのような者ものがあるであろうか。だれがわたしを呼よびつけることができようか。どの牧者ぼくしゃがわたしの前まえに立たつことができようか。49:20 それゆえ、エドムに対たいして主しゅが立たてた計はかりごとと、テマンに住すむ者ものに対たいしてしようとする事ことを聞きくがよい。彼かれらの群むれのうちの小ちいさいものまでも皆みな、引ひかれて行いく。彼かれらのおりのものもその終おわりを見みて恐おそれる。49:21 その倒たおれる音おとを聞きいて、地ちは震ふるい、彼かれらの叫さけび声ごえは紅海こうかいにも聞きこえる。49:22 見みよ、敵てきはわしのように上のぼり、すみやかに飛とびかけり、その翼つばさをボズラの上うえに張はり広ひろげる。その日ひエドムの勇士ゆうしの心こころは子こを産うむ女おんなの心こころのようになる」。 49:23 ダマスコの事ことについて、「ハマテとアルパデは、うろたえている、彼かれらは悪わるいおとずれを聞きいたからだ。彼かれらは勇気ゆうきを失うしない、穏おだやかになることのできない海うみのように悩なやむ。49:24 ダマスコは弱よわり、身みをめぐらして逃にげた、恐怖きょうふに襲おそわれている。子こを産うむ女おんなに臨のぞむように痛いたみと悲かなしみと彼かれに臨のぞむ。49:25 ああ、名なある町まち、楽たのしい町まちは捨すてられる。49:26 それゆえ、その日ひに、若わかい者ものは、広場ひろばに倒たおれ、兵士へいしはことごとく滅ほろぼされると万軍ばんぐんの主しゅは言いわれる。49:27 わたしはダマスコの城壁じょうへきの上うえに火ひを燃もやし、ベネハダデの宮殿きゅうでんを焼やき尽つくす」。49:28 バビロンの王おうネブカデレザルが攻せめ撃うったケダルとハゾルの諸国しょこくの事ことについて、 主しゅはこう言いわれる、「立たって、ケダルに向むかって進すすみ、東ひがしの人々ひとびとを滅ほろぼせ。49:29 彼かれらの天幕てんまくと、その羊ひつじの群むれとは取とられ、その垂幕たれまくとそのもろもろの器うつわと、らくだとは彼かれらの所ところから運はこび去さられ、人々ひとびとは彼かれらに向むかって叫さけぶ、『恐おそろしいことが四方しほうにある』と。49:30 主しゅは言いわれる、ハゾルに住すむ者ものよ、逃にげよ、遠とおくさまよい行いき、深ふかい所ところに隠かくれよ。バビロンの王おうネブカデレザルがあなたがたを攻せめる計はかりごとをめぐらし、あなたがたを攻せめる、てだてを設もうけたからだ。 49:31 主しゅは言いわれる、立たって進すすみ、安全あんぜんな所ところに住すむきらくな民たみを攻せめよ、彼かれらは門もんもなく、貫かんの木きもなく、ひとり離はなれて住すむ。49:32 彼かれらのらくだは、ぶんどり物ものとなり、家畜かちくの群むれは奪うばわれる。わたしは、かの髪かみの毛けのすみずみを切きる者ものを四方しほうに散ちらし、その災難さいなんを八方はっぽうからこさせると主しゅは言いわれる。49:33 ハゾルは山犬やまいぬのすまいとなり、いつまでも荒あれ地ちとなっている。だれもそこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひともない」。49:34 ユダの王おうゼデキヤの治世ちせいの初はじめのころに、エラムの事ことについて預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ主しゅの言葉ことば。 49:35 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしはエラムが力ちからとして頼たよんでいる弓ゆみを折おる。49:36 わたしは天てんの四方しほうから、四方しほうの風かぜをエラムにこさせ、彼かれらを四方しほうの風かぜに散ちらす。エラムから追おい出だされる者ものの行いかない国くにはない。49:37 主しゅは言いわれる、わたしはエラムをしてその敵てきの前まえ、またその命いのちを求もとめる者ものの前まえに恐おそれさせる。わたしは災わざわいをくだし、激はげしい怒いかりをその上うえにくだす。彼かれらのうしろに、つるぎを送おくって滅ほろぼし尽つくす。49:38 そしてわたしの位くらいをエラムにすえ、王おうとつかさたちとを滅ほろぼすと主しゅは言いわれる。 49:39 しかし末すえの日ひに、わたしはエラムを再ふたたび栄さかえさせると、主しゅは言いわれる」。 第50章 50:1 主しゅが預言者よげんしゃエレミヤによって語かたられたバビロンとカルデヤびとの地ちの事ことについての言葉ことば。 50:2 「国々くにぐにのうちに告つげ、また触ふれ示しめせよ、旗はたを立たてて、隠かくすことなく触ふれ示しめして言いえ、『バビロンは取とられ、ベルははずかしめられ、メロダクは砕くだかれ、その像ぞうははずかしめられ、その偶像ぐうぞうは砕くだかれる』と。50:3 それは、北きたの方ほうから一つの国民こくみんがきて、これを攻せめ、その地ちを荒あらして、住すむ人ひともないようにするからである。人ひとも獣けものもみな逃にげ去さってしまう。 50:4 主しゅは言いわれる、その日ひその時とき、イスラエルの民たみとユダの民たみは共ともに帰かえってくる。彼かれらは嘆なげきながら帰かえってくる。そしてその神かみ、主しゅを求もとめる。50:5 彼かれらは顔かおをシオンに向むけて、その道みちを問とい、『さあ、われわれは、永遠えいえんに忘わすれられることのない契約けいやくを結むすんで主しゅに連つらなろう』と言いう。 50:6 わたしの民たみは迷まよえる羊ひつじの群むれである、その牧者ぼくしゃがこれをいざなって、山やまに踏ふみ迷まよわせたので、山やまから丘おかへと行いきめぐり、その休やすむ所ところを忘わすれた。50:7 これに会あう者ものはみなこれを食たべた。その敵てきは言いった、『われわれに罪つみはない。彼かれらがそのまことのすみかである主しゅ、先祖せんぞたちの希望きぼうであった主しゅに対たいして罪つみを犯おかしたのだ』と。 50:8 バビロンのうちから逃にげよ。カルデヤびとの地ちから出でよ。群むれの前まえに行いく雄おやぎのようにせよ。50:9 見みよ、わたしは大おおきい国々くにぐにを起おこし集あつめて、北きたの地ちからバビロンに攻せめこさせる。彼かれらはこれに向むかって勢せいぞろいをし、これをその所ところから取とる。彼かれらの矢やはむなしく帰かえらない老練ろうれんな勇士ゆうしのようである。50:10 カルデヤは人ひとにかすめられる。これをかすめる者ものはみな飽あくことができると、主しゅは言いわれる。 50:11 わたしの嗣し業ぎょうをかすめる者ものどもよ、あなたがたは喜よろこび楽たのしみ、雌めすの子こ牛うしのように草くさに戯たわむれ、雄お馬うまのように、いなないているが、50:12 あなたがたの母はははいたくはずかしめられ、あなたがたを産うんだ者ものは恥はじをこうむる。見みよ、彼女かのじょは国々くにぐにのうちの最もっともあとなるものとなり、かわいた砂原すなはらの荒野あらのとなる。50:13 主しゅの怒いかりによって、ここに住すむ者ものはなく、完全かんぜんに荒あれ地ちとなる。バビロンのかたわらを通とおる者ものは、みなその傷きずを見みて驚おどろき、かつあざ笑わらう。50:14 あなたがたすべて弓ゆみを張はる者ものよ、バビロンの周囲しゅういに勢せいぞろいして、これを攻せめ、矢やを惜おしまずに、これを射いよ、彼女かのじょが主しゅに罪つみを犯おかしたからだ。50:15 その周囲しゅういに叫さけび声ごえをあげよ、彼女かのじょは降伏こうふくした。そのとりでは倒たおれ、その城壁じょうへきはくずれた、主しゅがあだをかえされたからだ。彼女かのじょに報復ほうふくせよ、彼女かのじょがおこなったように、これに行おこなえ。50:16 種たねまく者ものと、刈入かりいれどきに、かまを取とる者ものをバビロンに絶たやせ。滅ほろぼす者もののつるぎを恐おそれて、人ひとはおのおの自分じぶんの民たみの所ところに帰かえり、そのふるさとに逃にげて行いく。50:17 イスラエルは、ししに追おわれて散ちった羊ひつじである。初はじめにアッスリヤの王おうがこれを食くい、そして今いまはついにバビロンの王おうネブカデレザルがその骨ほねをかじった。50:18 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみは、こう言いわれる、見みよ、わたしはアッスリヤの王おうを罰ばっしたように、バビロンの王おうとその国くにに罰ばつを下くだす。50:19 わたしはイスラエルを再ふたたびその牧場まきばに帰かえらせる。彼かれはカルメルとバシャンで草くさを食たべる。またエフライムの山やまとギレアデでその望のぞみが満みたされる。50:20 主しゅは言いわれる、その日ひその時ときには、イスラエルのとがを探さがしても見当みあたらず、ユダの罪つみを探さがしてもない。それはわたしが残のこしておく人々ひとびとを、ゆるすからである。50:21 主しゅは言いわれる、上のぼって行いって、メラタイムの地ちを攻せめ、ペコデの民たみを攻せめ、彼かれらを殺ころして全まったく滅ほろぼし、わたしがあなたがたに命めいじたことを皆みな、行おこないなさい。50:22 その地ちに、いくさの叫さけびと、大おおいなる滅ほろびがある。50:23 ああ、全ぜん地ちを砕くだいた鎚つちはついに折おれ砕くだける。ああ、バビロンはついに国々くにぐにのうちの恐おそるべき見みものとなる。50:24 バビロンよ、わたしは、おまえを捕とらえるためにわなをかけたが、おまえはそれにかかった。そしておまえはそれを知しらなかった。おまえは主しゅに敵てきしたので、尋たずね出だされ、捕とらえられた。50:25 主しゅは武器ぶきの倉くらを開ひらいてその怒いかりの武器ぶきを取とり出だされた。主しゅなる万軍ばんぐんの神かみが、カルデヤびとの地ちに事ことを行おこなわれるからである。50:26 あらゆる方面ほうめんからきて、これを攻せめ、その穀倉こくぐらを開ひらき、これを穀物こくもつの山やまのように積つみ上あげ、完全かんぜんに滅ほろぼし尽つくし、そこに残のこる者もののないようにせよ。50:27 その雄牛おうしをことごとく殺ころせ、それを、ほふり場ばに下くだらせよ。それらのものはわざわいだ、その日ひ、その罰ばつを受うける時ときがきたからだ。50:28 聞きけよ、バビロンの地ちから逃にげ、のがれてきた者ものの声こえがする。われわれの神かみ、主しゅの報復ほうふく、その宮みやの報復ほうふくの事ことをシオンに告つげ示しめす。 50:29 弓ゆみを張はる射手いてをことごとく呼よび集あつめて、バビロンを攻せめよ。その周囲しゅういに陣じんを敷しけ。ひとりも逃がにがすな。そのしわざにしたがってバビロンに報むくい、これがおこなった所ところにしたがってこれに行おこなえ。彼かれがイスラエルの聖者せいじゃである主しゅに向むかって高慢こうまんにふるまったからだ。50:30 それゆえ、その日ひ、若わかい者ものは、広場ひろばに倒たおれ、兵士へいしはみな絶たやされると主しゅは言いわれる。 50:31 主しゅなる万軍ばんぐんの神かみは言いわれる、高たかぶる者ものよ、見みよ、わたしはおまえの敵てきとなる、あなたの日ひ、わたしがおまえを罰ばっする時ときが来きた。50:32 高たかぶる者ものはつまずき倒たおれる、これを助たすけ起おこすものはない。わたしはその町々まちまちに火ひを燃もやして、その周囲しゅういの者ものをことごとく焼やき尽つくす。50:33 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、イスラエルの民たみとユダの民たみは共ともにしえたげられている。彼かれらをとりこにした者ものはみな彼かれらを固かたく守まもって釈放しゃくほうすることを拒こばむ。50:34 彼かれらをあがなう者ものは強つよく、その名なは万軍ばんぐんの主しゅといわれる。彼かれは必かならず彼かれらの訴うったえをただし、この地ちに安やすきを与あたえるが、バビロンに住すむ者ものには不安ふあんを与あたえられる。 50:35 主しゅは言いわれる、カルデヤびとの上うえとバビロンに住すむ者ものの上うえ、そのつかさたち、その知者ちしゃたちの上うえにつるぎが臨のぞむ。50:36 占うらない師しの上うえにつるぎが臨のぞみ、彼かれらは愚おろか者ものとなる。その勇士ゆうしの上うえにつるぎが臨のぞみ、彼かれらは滅ほろぼされる。50:37 その馬うまの上うえと、その車くるまの上うえにつるぎが臨のぞみ、またそのうちにあるすべての雇やとい兵へいの上うえに臨のぞみ、彼かれらは女おんなのようになる。その財宝ざいほうの上うえにつるぎが臨のぞみ、それはかすめられる。50:38 その水みずの上うえに、ひでりが来きて、それはかわく。それは、この地ちが偶像ぐうぞうの地ちであって、人々ひとびとが偶像ぐうぞうに心こころが狂くるっているからだ。50:39 それゆえ、野のの獣けものと山犬やまいぬとは共ともにバビロンにおり、だちょうもそこに住すむ。しかし、いつまでもその地ちに住すむ人ひとはなく、世々よよここに住すむ人ひとはない。50:40 主しゅは言いわれる、神かみがソドムとゴモラと、その隣となりの町々まちまちを滅ほろぼされたように、そこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひとの子こはない。 50:41 見みよ、一つの民たみが北きたの方ほうから来くる。大おおいなる国くにと多おおくの王おうが地ちの果はてから立たち上あがっている。50:42 彼かれらは弓ゆみと、やりを取とる。残忍ざんにんで、あわれみがなく、その響ひびきは海うみの鳴なりとどろくようである。バビロンの娘むすめよ、彼かれらは馬うまに乗のり、いくさびとのように身みをよろって、あなたを攻せめる。50:43 バビロンの王おうはそのうわさを聞きいて、その手ては弱よわり、子こを産うむ女おんなに臨のぞむような痛いたみと苦くるしみに迫せまられた。50:44 見みよ、ししがヨルダンの密林みつりんから上のぼってきて、じょうぶな羊ひつじのおりを襲おそうように、わたしは、たちまち彼かれらをそこから逃にげ去さらせる。そしてわたしの選えらぶ者ものをその上うえに立たてる。だれかわたしのような者ものがあるであろうか。だれがわたしを呼よびつけることができようか。どの牧者ぼくしゃがわたしの前まえに立たつことができようか。50:45 それゆえ、バビロンに対たいして主しゅが立たてた計はかりごとと、カルデヤびとの地ちに対たいしてしようとする事ことを聞きくがよい。彼かれらの群むれのうちの小ちいさい者ものは、かならず引ひかれて行いく。彼かれらのおりのものも必かならずその終おわりを見みて恐おそれる。50:46 バビロンが取とられたとの声こえによって地ちは震ふるい、その叫さけびは国々くにぐにのうちに聞きこえる」。 第51章 51:1 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは、滅ほろぼす者ものの心こころを奮ふるい起おこして、バビロンを攻せめ、カルデヤに住すむ者ものを攻せめさせる。51:2 わたしはバビロンに、あおぎ分わける者ものをつかわす。彼かれらは、その災わざわいの日ひに、四方しほうからこれを攻せめ、それをあおぎ分わけて、その地ちをむなしくする。51:3 射手いてにはその弓ゆみを張はらせることなく、よろいを着きて立たち上あがらせるな。その若わかき者ものをあわれむことなく、その軍勢ぐんぜいをことごとく滅ほろぼせ。51:4 彼かれらはカルデヤびとの地ちに殺ころされて倒たおれ、そのちまたに傷きずついて倒たおれる。51:5 イスラエルとユダはその神かみ、万軍ばんぐんの主しゅに捨すてられてはいないが、しかしカルデヤびとの地ちにはイスラエルの聖者せいじゃに向むかって犯おかした罪つみが満みちている。 51:6 バビロンのうちからのがれ出でて、おのおのその命いのちを救すくえ。その罰ばつにまきこまれて断たち滅ほろぼされてはならない。今いまは主しゅがあだを返かえされる時ときだから、それに報復ほうふくをされるのである。51:7 バビロンは主しゅの手てのうちにある金きんの杯さかずきであって、すべての地ちを酔よわせた。国々くにぐにはその酒さけを飲のんだので、国々くにぐには狂くるった。51:8 バビロンはたちまち倒たおれて破やぶれた。これがために嘆なげけ。その傷きずのために乳香にゅうこうを取とれ。あるいは、いえるかも知しれない。51:9 われわれはバビロンをいやそうとしたが、これはいえなかった。われわれはこれを捨すてて、おのおの自分じぶんの国くにに帰かえろう。その罰ばつが天てんに達たっし、雲くもにまで及およんでいるからだ。51:10 主しゅはわれわれの正ただしいことを明あきらかにされた。さあ、われわれはシオンで、われわれの神かみ、主しゅのみわざを告つげ示しめそう。51:11 矢やをとぎ、 盾たてを取とれ。主しゅはメデアびとの王おうたちの心こころを引ひき立たてられる。主しゅのバビロンに思おもい図はかることは、これを滅ほろぼすことであり、主しゅがあだを返かえし、その宮みやのあだを返かえされるのである。 51:12 バビロンの城壁じょうへきに向むかって旗はたを立たて、見張みはりを強固きょうこにし、番兵ばんぺいを置おき、伏兵ふくへいを備そなえよ。主しゅがバビロンに住すむ者ものを攻せめようと図はかり、その言いわれたことを、いま行おこなわれるからだ。51:13 多おおくの水みずのほとりに住すみ、多おおくの財宝ざいほうを持もつ者ものよ、あなたの終おわりが来きて、その命いのちの糸いとは断たたれる。51:14 万軍ばんぐんの主しゅはみずからをさして誓ちかい、言いわれる、わたしは必かならずあなたのうちに、人ひとをいなごのように満みたす。彼かれらはあなたに向むかって、かちどきの声こえをあげる。 51:15 主しゅはその力ちからをもって地ちを造つくり、その知恵ちえをもって世界せかいを建たて、その悟さとりをもって天てんをのべられた。51:16 彼かれが声こえを出だされると、天てんに多おおくの水みずのざわめきがあり、また地ちの果はてから霧きりを立たちあがらせられる。彼かれは雨あめのためにいなびかりをおこし、その倉くらから風かぜを取とり出だされる。51:17 すべての人ひとは愚おろかで知恵ちえがなく、すべての金きん細工人ざいくにんはその造つくった偶像ぐうぞうのために恥はじをこうむる。その偶像ぐうぞうは偽いつわり物もので、そのうちに息いきがないからだ。51:18 それらは、むなしいもの、迷まよいのわざである。罰ばっせられる時ときになれば滅ほろびるものである。51:19 ヤコブの分ぶんである彼かれはこのようなものではない、彼かれは万物ばんぶつの造つくり主ぬしだからである。イスラエルは彼かれの嗣し業ぎょうとしての部族ぶぞくである。彼かれの名なは万軍ばんぐんの主しゅという。 51:20 おまえはわたしの鎚つちであり、戦たたかいの武器ぶきである。わたしはおまえをもってすべての国くにを砕くだき、おまえをもって万国ばんこくを滅ほろぼす。51:21 おまえをもってわたしは馬うまと、その騎手きしゅとを砕くだき、おまえをもって戦車せんしゃとそれに乗のる者ものとを砕くだく。51:22 わたしはおまえをもって男おとこと女おんなとを砕くだき、おまえをもって老おいた者ものと幼おさない者ものとを砕くだき、おまえをもって若わかい者ものと、おとめとを砕くだく。51:23 わたしはおまえをもって、羊飼ひつじかいと、その群むれとを砕くだき、おまえをもって農夫のうふと、くびきを負おう家畜かちくとを砕くだき、おまえをもっておさたちと、つかさたちとを砕くだく。51:24 わたしはバビロンとカルデヤに住すむすべての者ものとに、彼かれらがシオンで行いったもろもろの悪あしき事ことのために、あなたがたの目めの前まえで報むくいをすると、主しゅは言いわれる。 51:25 主しゅは言いわれる、全ぜん地ちを滅ほろぼし尽つくす滅ほろぼしの山やまよ、見みよ、わたしはおまえの敵てきとなる、わたしは手てをおまえの上うえに伸のべて、おまえを岩いわからころばし、おまえを焼やけ山やまにする。51:26 主しゅは言いわれる、人ひとがおまえから石いしを取とって、隅すみの石いしとすることなく、また礎いしずえとすることもない。おまえはいつまでも荒あれ地ちとなっている。51:27 地ちに旗はたを立たて、国々くにぐにのうちにラッパを吹ふき、国々くにぐにの民たみを集あつめてそれを攻せめ、アララテ、ミンニ、アシケナズの国々くにぐにをまねいてそれを攻せめ、軍ぐんの長ちょうを立たててそれを攻せめ、群むらがるいなごのように馬うまを上のぼり行いかせよ。51:28 国々くにぐにの民たみを集あつめてそれを攻せめ、メデアびとの王おうたちと、そのおさたち、つかさたち、およびすべての領地りょうちの人々ひとびとを集あつめてこれを攻せめよ。51:29 その地ちは震ふるい、かつもだえ苦くるしむ、主しゅがその思おもい図はかることをバビロンにおこない、バビロンの地ちを、住すむ人ひとなき荒あれ地ちとされるからだ。51:30 バビロンの勇士ゆうしたちは戦たたかいをやめて、その城しろにこもり、力ちからはうせて、女おんなのようになる。その家いえは焼やけ、その貫かんの木きは砕くだかれる。51:31 飛脚ひきゃくは走はしって飛脚ひきゃくに会あい、使者ししゃは走はしって使者ししゃに会あい、バビロンの王おうに告つげて、町まちはことごとく取とられ、51:32 渡わたし場ばは奪うばわれ、とりでは火ひで焼やかれ、兵士へいしはおびえていると言いう。51:33 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、バビロンの娘むすめは、打うち場ばのようだ、その踏ふまれる時ときが来きたのだ。しばらくしてその刈かり取とられる時ときが来くる」。 51:34 「バビロンの王おうネブカデレザルはわたしを食くい尽つくし、わたしを滅ほろぼし、わたしを、からの器うつわのようにし、龍りゅうのようにわたしを飲のみ、わたしのうまい物ものでその腹はらを満みたし、わたしを洗あらいざらいにした。51:35 わたしとわたしの肉親にくしんにおこなった暴虐ぼうぎゃくは、バビロンにふりかかる」とシオンに住すむ者ものは言いわなければならない。「わたしの血ちはカルデヤに住すむ者ものにふりかかる」とエルサレムは言いわなければならない。51:36 それゆえ主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしはあなたの訴うったえをただし、あなたのためにあだを返かえす。わたしはバビロンの海うみをかわかし、その泉いずみをかわかす。51:37 バビロンは荒塚あれづかとなり、山犬やまいぬのすまいとなり、驚おどろきとなり、笑わらいとなり、住すむ人ひとのない所ところとなる。51:38 彼かれらはししのように共ともにほえ、若わかいししのようにほえる。51:39 彼かれらの欲よくの燃もえている時とき、わたしは宴うたげを設もうけて彼かれらを酔よわせ、彼かれらがついに気きを失うしなって、ながい眠ねむりにいり、もはや目めをさますことのないようにしようと主しゅは言いわれる。51:40 わたしは彼かれらを小羊こひつじのように、また雄羊おひつじや雄おやぎのように、ほふり場ばに下くだらせよう。 51:41 ああ、バビロンはついに取とられた、全ぜん地ちの人ひとの、ほめたたえた者ものは捕とらえられた。ああ、バビロンはついに国々くにぐにのうちに驚おどろきとなった。51:42 海うみはバビロンにあふれかかり、どよめく波なみにおおわれた。51:43 その町々まちまちは荒あれて、かわいた地ちとなり、砂原すなはらとなり、住すむ人ひとのない地ちとなる。人ひとの子こはひとりとしてそこを過すぎることはない。51:44 わたしはバビロンでベルを罰ばっし、そののみこんだものを口くちから取とり出だす。国々くにぐにが川かわのように彼かれに流ながれ入いることはなくなる。バビロンの城壁じょうへきは倒たおれた。51:45 わが民たみよ、あなたがたはその中なかから出でて、おのおの主しゅの激はげしい怒いかりを免まぬかれ、その命いのちを救すくえ。51:46 心こころを弱よわくしてはならない、この地ちで聞きくうわさを恐おそれてはならない。うわさはこの年としにもくれば、また次つぎの年としにもくる。この地ちに暴虐ぼうぎゃくがあり、つかさとつかさとが攻せめあうことがある。51:47 それゆえ見みよ、わたしがバビロンの偶像ぐうぞうを罰ばっする日ひが来くる。その全ぜん地ちははずかしめられ、その殺ころされる者ものはみなその中なかに倒たおれる。51:48 天てんと地ちとそのうちにあるすべてのものはバビロンの事ことで喜よろこび歌うたう。滅ほろぼす者ものが北きたの方ほうからここに来くるからであると主しゅは言いわれる。51:49 イスラエルの殺ころされた者ものたちのために、バビロンは倒たおれなければならない、バビロンのために全ぜん地ちの殺ころされた者ものは倒たおれたのだ。 51:50 つるぎをのがれてきたあなたがたは、行いけ、立たちとどまってはならない。遠とおくから主しゅを覚おぼえ、エルサレムを心こころにとめよ。51:51 『われわれはののしりを聞きいたので、恥はじている。異邦人いほうじんが主しゅの宮みやの聖所せいじょにはいったので、恥はじがわれわれの顔かおをおおった』。 51:52 主しゅは言いわれる、それゆえ見みよ、わたしがその偶像ぐうぞうを罰ばっする日ひが来くる、傷きずつけられた者ものが、その全国ぜんこくにうめくようになる。51:53 たといバビロンが天てんに上のぼっても、その城しろを高たかくして固かためても、滅ほろぼす者ものはわたしから出でて、これに臨のぞむと主しゅは言いわれる。 51:54 聞きけ、バビロンの叫さけびを、カルデヤびとの地ちに起おこる大おおいなる滅ほろびの騒さわぎ声こえを。51:55 主しゅがバビロンを滅ほろぼし、その大おおいなる声こえを絶たやされるのだ。その波なみは大水おおみずのように鳴なりとどろき、その声こえはひびき渡わたる。51:56 滅ほろぼす者ものがこれに臨のぞみ、バビロンに来きた。その勇士ゆうしたちは捕とらえられ、その弓ゆみは折おられる。主しゅは報むくいをする神かみであるから必かならず報むくいられるのだ。51:57 わたしはその君きみたちと知者ちしゃたち、おさたち、つかさたち、および勇士ゆうしたちを酔よわせる。彼かれらは、ながい ねむりにいり、目めをさますことはない。万軍ばんぐんの主しゅと呼よばれる王おうがこれを言いわせる。51:58 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、バビロンの広ひろい城壁じょうへきは地ちにくずされ、その高たかい門もんは火ひに焼やかれる。こうして民たみの労苦ろうくはむなしくなり、国民こくみんはただ火ひのために疲つかれる」。51:59 マアセヤの子こであるネリヤの子こセラヤが、ユダの王おうゼデキヤと共ともに、その治世ちせいの四年ねんにバビロンへ行いくとき、預言者よげんしゃエレミヤがセラヤに命めいじた言葉ことば。セラヤは宿営しゅくえいの長ちょうであった。51:60 エレミヤはバビロンに臨のぞもうとするすべての災わざわいを巻物まきものにしるした。これはすなわちバビロンの事ことについてしるしたすべての言葉ことばである。51:61 エレミヤはセラヤに言いった、「あなたはバビロンへ行いったならば、忘わすれることなくこのすべての言葉ことばを読よみ、51:62 そして言いいなさい、『主しゅよ、あなたはこの所ところを滅ほろぼし、人ひとと獣けものとを問とわず、すべてここに住すむ者もののないようにし、永久えいきゅうにここを荒あれ地ちとしようと、この所ところについて語かたられました』と。51:63 あなたがこの巻物まきものを読よみ終おわったならば、これに石いしをむすびつけてユフラテ川かわの中なかに投なげこみ、51:64 そして言いいなさい、『バビロンはこのように沈しずんで、二度どと上あがってこない。わたしがこれに災わざわいを下くだすからである』と」。ここまではエレミヤの言葉ことばである。 第52章 52:1 ゼデキヤは王おうとなったとき二十一歳さいであったが、エルサレムで十一年ねん世よを治おさめた。母ははの名なはハムタルといい、リブナのエレミヤの娘むすめである。52:2 ゼデキヤはエホヤキムがすべて行いったように、主しゅの目めの前まえに悪事あくじを行おこなった。52:3 たしかに、主しゅの怒いかりによって、エルサレムとユダとは、そのみ前まえから捨すて去さられるようなことになった。 そしてゼデキヤはバビロンの王おうにそむいた。52:4 そこで彼かれの治世ちせいの九年ねん十月がつ十日かに、バビロンの王おうネブカデレザルはその軍勢ぐんぜいを率ひきい、エルサレムにきて、これを包囲ほういし、周囲しゅういに塁るいを築きずいてこれを攻せめた。52:5 こうしてこの町まちは攻せめ囲かこまれて、ゼデキヤ王おうの十一年ねんにまで及およんだが、52:6 その四月がつ九日かになって、町まちの中なかの食糧しょくりょうは、はなはだしく欠乏けつぼうし、その地ちの民たみは食物しょくもつを得えることができなくなった。52:7 そして町まちの城壁じょうへきはついに打うち破やぶられたので、兵士へいしたちはみな逃にげ、夜よるのうちに、王おうの園そのの近ちかくの、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちをのがれ出でて、カルデヤびとが、町まちを攻せめ囲かこんでいるうちに、アラバの方ほうへ落おちて行いった。52:8 しかしカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは王おうを追おって行いって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいついたが、彼かれの軍勢ぐんぜいがみな散ちって彼かれのそばを離はなれたので、52:9 カルデヤびとは王おうを捕とらえ、ハマテの地ちのリブラにいるバビロンの王おうのもとに引ひいていったので、王おうは彼かれの罪つみを定さだめた。52:10 すなわちバビロンの王おうはゼデキヤの子こたちをその目めの前まえで殺ころさせ、ユダのつかさたちをことごとくリブラで殺ころさせ、52:11 またゼデキヤの目めをつぶさせた。そしてバビロンの王おうは彼かれを鎖くさりにつないでバビロンへ連つれて行いき、その死しぬ日ひまで獄屋ごくやに入いれて置おいた。 52:12 五月がつ十日かに、――それはバビロンの王おうネブカデレザルの世よの十九年ねんであった――バビロンの王おうに仕つかえる侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはエルサレムに、はいって、52:13 主しゅの宮みやと王おうの宮殿きゅうでんを焼やき、エルサレムのすべての家いえを焼やいた。彼かれは大おおきな家いえをみな焼やきはらった。52:14 また侍衛じえいの長ちょうと共ともにいたカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは、エルサレムの周囲しゅういの城壁じょうへきをみな取とりこわした。52:15 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは民たみのうちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかん、そのほか町まちのうちに残のこった者もの、およびバビロンの王おうにくだった人ひと、その他た工 こうしょうたちを捕とらえ移うつした。52:16 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはその地ちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかんを残のこして、ぶどうを作つくる者ものとし、農夫のうふとした。 52:17 カルデヤびとはまた主しゅの宮みやの青銅せいどうの柱はしらと、洗盤せんばんの台だいと、青銅せいどうの海うみを砕くだいて、その青銅せいどうをことごとくバビロンへ運はこび、52:18 また、つぼと、十能じゅうのうと、心切しんきりばさみと、鉢はちと、香こうを盛もる皿さらおよび宮みやの勤つとめに用もちいる青銅せいどうの器うつわをことごとく取とって行いった。52:19 また彼かれらは小鉢こばちと、心取しんとり皿ざらと、鉢はちと、つぼと、燭台しょくだいと、香こうを盛もる皿さらと、灌祭かんさいの鉢はちを取とった。金きんで作つくった物ものは金きんとして、銀ぎんで作つくった物ものは銀ぎんとして、侍衛じえいの長ちょうは運はこび去さった。52:20 ソロモン王おうが主しゅの宮みやに造つくった二本ほんの柱はしらと、一つの海うみと、海うみの下したの十二の青銅せいどうの牛うしと、台だいなど、このすべての物ものの青銅せいどうの重おもさは量はかることもできなかった。52:21 この一本ぽんの柱はしらの高たかさは十八キュビト、周囲しゅういは十二キュビトで、指ゆび四本ほんの厚あつさがあり、中なかは、うつろであった。52:22 その上うえに青銅せいどうの柱頭ちゅうとうがあり、柱頭ちゅうとうの高たかさは五キュビト、柱頭ちゅうとうの周囲しゅういは網あみ細工ざいくと、ざくろとで飾かざり、これらもみな青銅せいどうであった。他たの柱はしらもそのざくろも、これと同おなじであった。52:23 その四方しほうに九十六個このざくろがあり、周囲しゅういの網あみ細工ざいくの上うえにあるざくろの数かずは百個こであった。 52:24 侍衛じえいの長ちょうは祭司さいし長ちょうセラヤと次席じせきの祭司さいしゼパニヤと三人にんの門もんを守まもる者ものを捕とらえ、52:25 また兵士へいしをつかさどるひとりの役人やくにんと、町まちにいた王おうの側近そっきんの者もの七人にんと、その地ちの民たみを募つのる軍勢ぐんぜいの長ちょうの書記官しょきかんと、町まちの中なかにいた六十人にんの者ものを町まちから捕とらえ去さった。52:26 侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、これらの人ひとを捕とらえて、リブラにいるバビロンの王おうのもとに連つれて行いった。52:27 バビロンの王おうは、ハマテの地ちのリブラで彼かれらを撃うち殺ころした。こうして、ユダは自分じぶんの地ちから捕とらえ移うつされた。 52:28 ネブカデレザルが捕とらえ移うつした民たみの数かずは次つぎのとおりである。第だい七年ねんにはユダヤ人ひと三千二十三人にん。52:29 またネブカデレザルはその第だい十八年ねんにエルサレムから八百三十二人にんを捕とらえ移うつした。52:30 ネブカデレザルの二十三年ねんに侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、ユダヤ人ひと七百四十五人にんを捕とらえ移うつした。この総数そうすうは四千六百人にんであった。 52:31 ユダの王おうエホヤキンが捕とらえ移うつされて後のち三十七年ねんの十二月がつ二十五日にちに、バビロンの王おうエビルメロダクはその即位そくいの年ねんに、ユダの王おうエホヤキンを獄屋ごくやから出だし、そのこうべを挙あげさせ、52:32 親切しんせつに彼かれを慰なぐさめ、その位くらいを、バビロンで共ともにいる王おうたちの位くらいよりも高たかくした。52:33 こうしてエホヤキンは獄屋ごくやの服ふくを脱ぬいだ。そして生いきている間あいだは毎日まいにち王おうの食卓しょくたくで食事しょくじし、52:34 彼かれの給与きゅうよとしては、その死しぬ日ひまで一生いっしょうの間あいだ、たえず日々ひびの必要ひつようにしたがって、バビロンの王おうから給与きゅうよを賜たまわった。
41:1 七月がつのころ、王おう家いえのもので、エリシャマの子こネタニヤの子こであり、また王おうの高官こうかんのひとりであるイシマエルは、王おうの十人にんのつかさたちと共ともにミヅパにいたアヒカムの子こゲダリヤのもとにきて、ミヅパで食しょくを共ともにしたが、
41:2 ネタニヤの子こイシマエルおよび共ともにいた十人にんの者ものは立たち上あがって、バビロンの王おうがこの地ちの総督そうとくとしたシャパンの子こアヒカムの子こであるゲダリヤを刀かたなで殺ころし、
41:3 イシマエルはまたミヅパでゲダリヤと共ともにいたすべてのユダヤ人ひとと、たまたまそこにいたカルデヤびとの兵士へいしたちを殺ころした。
41:4 ゲダリヤが殺ころされた次つぎの日ひ、まだだれもその事ことを知しらないうちに、
41:5 八十人にんの人々ひとびとがそのひげをそり、衣服いふくをさき、身みに傷きずをつけ、手てには素祭そさいのささげ物ものと香こうを携たずさえ、シケム、シロ、サマリヤからきて、主しゅの宮みやにささげようとした。
41:6 ネタニヤの子こイシマエルはミヅパから泣なきながら出でてきて彼かれらを迎むかえ、彼かれらに会あって、「アヒカムの子こゲダリヤのもとにおいでなさい」と言いった。
41:7 そして彼かれらが町まちの中なかにはいったとき、ネタニヤの子こイシマエルは自分じぶんと一緒いっしょにいた人々ひとびとと共ともに彼かれらを殺ころして、その死体したいを穴あなに投なげ入いれた。
41:8 しかしそのうちの十人にんはイシマエルに向むかい、「わたしたちは畑はたけに小麦こむぎ、大麦おおむぎ、油あぶら、および蜜みつを隠かくしています、わたしたちを殺ころさないでください」と言いったので、彼かれらをその仲間なかまと共ともに殺ころさないでしまった。
41:9 イシマエルが自分じぶんの殺ころした人々ひとびとの死体したいを投なげ入いれた穴あなは、アサ王おうがイスラエルの王おうバアシャを恐おそれて掘ほった穴あなであった。ネタニヤの子こイシマエルは殺ころした人々ひとびとをこれに満みたした。
41:10 次ついでイシマエルはミヅパに残のこっているすべての民たみ、すなわち王おうの娘むすめたちと侍衛じえいの長ちょうネブザラダンがアヒカムの子こゲダリヤに託たくしたミヅパに残のこっているすべての民たみとを捕虜ほりょとした。ネタニヤの子こイシマエルは彼かれらを捕虜ほりょとし、アンモンびとのもとに渡わたり行いこうとして立たち去さった。
41:11 カレヤの子こヨハナンおよび彼かれと共ともにいる軍勢ぐんぜいの長ちょうたちはネタニヤの子こイシマエルの行いった悪事あくじをみな聞きき、
41:12 その兵士へいしたちを率ひきいて、ネタニヤの子こイシマエルと戦たたかうために出でて行いき、ギベオンの大池おおいけのほとりで彼かれに会あった。
41:13 イシマエルと共ともにいる人々ひとびとは、カレヤの子こヨハナンおよび彼かれと共ともにいる軍勢ぐんぜいの長ちょうたちを見みて喜よろこんだ。
41:14 そしてイシマエルがミヅパから捕虜ほりょにしてきた人々ひとびとは身みをめぐらしてカレヤの子こヨハナンのもとへ行いった。
41:15 ネタニヤの子こイシマエルは八人にんの者ものと共ともにヨハナンを避さけて逃にげ、アンモンびとの所ところへ行いった。
41:16 そこでカレヤの子こヨハナンおよび彼かれと共ともにいる軍勢ぐんぜいの長ちょうたちはネタニヤの子こイシマエルがアヒカムの子こゲダリヤを殺ころして、ミヅパから捕虜ほりょとして連つれてきた、あの残のこっていた民たみ、すなわち兵士へいしや女おんな、子供こども、宦官かんがんをギベオンから連つれ帰かえったが、
41:17 彼かれらはエジプトへ行いこうとしてベツレヘムの近ちかくにあるゲルテ・キムハムへ行いって、そこにとどまった。
41:18 これは、ネタニヤの子こイシマエルが、バビロンの王おうによってこの地ちの総督そうとくに任にんじられたアヒカムの子こゲダリヤを殺ころしたことにより、カルデヤびとを恐おそれたからである。
第42章 42:1 そのとき軍勢ぐんぜいの長ちょうたち、およびカレヤの子こヨハナンと、ホシャヤの子こアザリヤ、ならびに民たみの最もっとも小ちいさい者ものから最もっとも大おおいなる者ものにいたるまで、42:2 みな預言者よげんしゃエレミヤの所ところに来きて言いった、「どうかあなたの前まえにわれわれの求もとめが受うけいれられますように。われわれのため、この残のこっている者ものすべてのために、あなたの神かみ、主しゅに祈いのってください、(今いまごらんのとおり、われわれは多おおくのうち、わずかに残のこっている者ものです)42:3 そうすれば、あなたの神かみ、主しゅは、われわれの行いくべき道みちと、なすべき事ことをお示しめしになるでしょう」。42:4 預言者よげんしゃエレミヤは彼かれらに言いった、「よくわかりました。あなたがたの求もとめにしたがって、あなたがたの神かみ、主しゅに祈いのりましょう。主しゅがあなたがたに答こたえられることを、何事なにごとも隠かくさないであなたがたに言いいましょう」。42:5 彼かれらはエレミヤに言いった、「もし、あなたの神かみ、主しゅがあなたをつかわしてお告つげになるすべての言葉ことばを、われわれが行おこなわないときは、どうか主しゅがわれわれに対たいしてまことの真実しんじつな証人しょうにんとなられるように。42:6 われわれは良よくても悪わるくても、われわれがあなたをつかわそうとするわれわれの神かみ、主しゅの声こえに従したがいます。われわれの神かみ、主しゅの声こえに従したがうとき、われわれは幸さいわいを得えるでしょう」。 42:7 十日かの後のち、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ。42:8 エレミヤはカレヤの子こヨハナンおよび彼かれと共ともにいる軍勢ぐんぜいの長ちょうたち、ならびに民たみの最もっとも小ちいさい者ものから最もっとも大おおいなる者ものまでことごとく招まねいて、42:9 彼かれらに言いった、「あなたがたがわたしをつかわして、あなたの祈願きがんをその前まえにのべさせたイスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれます、42:10 もしあなたがたがこの地ちにとどまるならば、わたしはあなたがたを建たてて倒たおすことなく、あなたがたを植うえて抜ぬくことはしない。わたしはあなたがたに災わざわいを下くだしたことを悔くいているからである。42:11 主しゅは言いわれる、あなたが恐おそれているバビロンの王おうを恐おそれてはならない。彼かれを恐おそれてはならない、わたしが共ともにいて、あなたがたを救すくい、彼かれの手てから助たすけ出だすからである。42:12 わたしはあなたがたをあわれみ、また彼かれにあなたがたをあわれませ、あなたがたを自分じぶんの地ちにとどまらせる。42:13 しかし、もしあなたがたが、『われわれはこの地ちにとどまらない』といって、あなたがたの神かみ、主しゅの声こえにしたがわず、42:14 また、『いいえ、われわれはあの戦争せんそうを見みず、ラッパの声こえを聞きかず、食物しょくもつも乏とぼしくないエジプトの地ちへ行いって、あそこに住すまおう』と言いうならば、42:15 あなたがた、ユダの残のこっている者ものたちよ、主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、もしあなたがたがむりにエジプトへ行いってそこに住すむならば、42:16 あなたがたの恐おそれているつるぎはエジプトの地ちであなたがたに追おいつき、あなたがたの恐おそれているききんは、すぐあとを追おってエジプトまで行いき、その所ところであなたがたは死しぬ。42:17 すべてむりにエジプトへ行いってそこに住すむ者ものは、つるぎと、ききんと、疫病えきびょうで死しぬ。わたしが彼かれらに下くだそうとしている災わざわいをのがれて残のこる者ものはそのうちにない。 42:18 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、わたしの怒いかりと憤いきどおりとをエルサレムの住民じゅうみんの上うえに注そそいだように、わたしの憤いきどおりは、あなたがたがエジプトへ行いくとき、あなたがたの上うえに注そそぐ。あなたがたは、のろいとなり、恐怖きょうふとなり、ののしりとなり、はずかしめとなる。あなたがたは再ふたたびこの所ところを見みることができない。42:19 ユダの残のこっている者ものたちよ、『エジプトへ行いってはならない』と主しゅはあなたがたに言いわれた。わたしがきょう警告けいこくしたことを、あなたがたは確たしかに知しらなければならない。42:20 あなたがたはみずからそむき去さって、命いのちを失うしなった。なぜなら、あなたがたがわたしをあなたがたの神かみ、主しゅにつかわし、『われわれの神かみ、主しゅに祈いのり、われわれの神かみ、主しゅの言いわれることをことごとく示しめしてください。われわれはそれを行おこないます』と言いったので、42:21 わたしはきょうそれを示しめしたが、あなたがたはあなたがたの神かみ、主しゅの声こえを聞きかず、主しゅがわたしをつかわして命めいじさせられた事ことには、すこしも従したがわなかったからである。42:22 それゆえ、あなたがたが行いって住すまうことを願ねがっているその所ところで、あなたがたはつるぎと、ききんと、疫病えきびょうで死しぬことを確たしかに知しらなければならない」。 第43章 43:1 エレミヤがすべての民たみにむかって、彼かれらの神かみ、主しゅの言葉ことばをことごとく語かたり、彼かれらの神かみ、主しゅが自分じぶんをつかわして言いわせられるその言葉ことばをみな告つげ終おわった時とき、43:2 ホシャヤの子こアザリヤと、カレヤの子こヨハナンおよび高慢こうまんな人々ひとびとはみなエレミヤに言いった、「あなたは偽いつわりを言いっている。われわれの神かみ、主しゅが、『エジプトへ行いってそこに住すむな』と言いわせるためにあなたをつかわされたのではない。43:3 ネリヤの子こバルクがあなたをそそのかして、われわれに逆さからわせ、われわれをカルデヤびとの手てに渡わたして殺ころすか、あるいはバビロンに捕とらえ移うつさせるのだ」。43:4 こうしてカレヤの子こヨハナンと軍勢ぐんぜいの長ちょうたちおよび民たみらは皆みな、主しゅの声こえにしたがわず、ユダの地ちにとどまろうとしなかった。43:5 そしてカレヤの子こヨハナンと軍勢ぐんぜいの長ちょうたちは、ユダに残のこっている者ものすなわち追おいやられた国々くにぐにからユダの地ちに住すむために帰かえってきた者もの、――43:6 男おとこ、女おんな、子供こども、王おうの娘むすめたち、およびすべて侍衛じえいの長ちょうネブザラダンがシャパンの子こであるアヒカムの子こゲダリヤに渡わたしておいた者もの、ならびに預言者よげんしゃエレミヤとネリヤの子こバルクをつれて、43:7 エジプトの地ちへ行いった。彼かれらは主しゅの声こえにしたがわなかったのである。そして彼かれらはついにタパネスに行いった。 43:8 主しゅの言葉ことばはタパネスでエレミヤに臨のぞんだ、43:9 「大おおきな石いしを手てに取とり、ユダの人々ひとびとの目めの前まえで、これをタパネスにあるパロの宮殿きゅうでんの入口いりぐちの敷石しきいしのしっくいの中なかに隠かくして、43:10 彼かれらに言いいなさい、『万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、見みよ、わたしは使者ししゃをつかわして、わたしのしもべであるバビロンの王おうネブカデレザルを招まねく。彼かれはその位くらいをこの隠かくした石いしの上うえにすえ、その上うえに王おうの天蓋てんがいを張はる。43:11 彼かれは来きてエジプトの地ちを撃うち、疫病えきびょうに定さだまっている者ものを疫病えきびょうに渡わたし、とりこに定さだまっている者ものをとりこにし、つるぎに定さだまっている者ものをつるぎにかける。43:12 彼かれはエジプトの神々かみがみの宮みやに火ひをつけてこれを焼やき、彼かれらをとりこにする。そして羊ひつじを飼かう者ものが着物きものの虫むしをはらいきよめるように、エジプトの地ちをきよめる。彼かれは安やすらかにそこを去さる。43:13 彼かれはエジプトの地ちにあるヘリオポリスのオベリスクをこわし、エジプトの神々かみがみの宮みやを火ひで焼やく』」。 第44章 44:1 エジプトの地ちに住すんでいるユダヤ人ひとすなわちミグドル、タパネス、メンピス、パテロスの地ちに住すむ者ものの事ことについてエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば、44:2 「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、あなたがたはわたしがエルサレムとユダの町々まちまちに下くだした災わざわいを見みた。見みよ、これらは今日こんにち、すでに荒あれ地ちとなって住すむ人ひともない。44:3 これは彼かれらが悪あくを行いって、わたしを怒いからせたことによるのである。すなわち彼かれらは自分じぶんも、あなたがたも、あなたがたの先祖せんぞたちも知しらなかった、ほかの神々かみがみに行いって、香こうをたき、これに仕つかえた。44:4 わたしは自分じぶんのしもべであるすべての預言者よげんしゃたちを、しきりにあなたがたにつかわして、『どうか、わたしの忌いみきらうこの憎にくむべき事ことをしないように』と言いわせたけれども、44:5 彼かれらは聞きかず、耳みみを傾かたむけず、ほかの神々かみがみに香こうをたいて、その悪あくを離はなれなかった。44:6 それゆえ、わたしは怒いかりと憤いきどおりをユダの町々まちまちとエルサレムのちまたに注そそぎ、それを焼やいたので、それらは今日こんにちのように荒あれ、滅ほろびてしまった。44:7 万軍ばんぐんの神かみ、イスラエルの神かみ、主しゅは今いまこう言いわれる、あなたがたはなぜ大おおいなる悪あくを行いって自分じぶん自身じしんを害がいし、ユダのうちから、あなたがたの男おとこと女おんなと、子供こどもと乳ちのみ子ごを断たって、ひとりも残のこらないようにしようとするのか。44:8 なぜあなたがたはその手てのわざをもってわたしを怒いからせ、あなたがたが行いって住すまうエジプトの地ちで、ほかの神々かみがみに香こうをたいて自分じぶんの身みを滅ほろぼし、地ちの万国ばんこくのうちに、のろいとなり、はずかしめとなろうとするのか。44:9 ユダの地ちとエルサレムのちまたで行いったあなたがたの先祖せんぞたちの悪あく、ユダの王おうたちの悪あく、その妻つまたちの悪あく、およびあなたがた自身じしんの悪あく、あなたがたの妻つまたちの悪あくをあなたがたは忘わすれたのか。44:10 彼かれらは今日こんにちに至いたるまで悔くいず、また恐おそれず、あなたがたとあなたがたの先祖せんぞたちの前まえに立たてた、わたしの律法りっぽうとわたしの定さだめとに従したがって歩あゆまないのである。 44:11 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、見みよ、わたしは顔かおをあなたがたに向むけて災わざわいを下くだし、ユダの人々ひとびとをことごとく断たつ。44:12 またわたしは、エジプトの地ちに住すむために、むりに行いったあのユダの残のこりの者ものを取とり除のぞく。彼かれらはみな滅ほろぼされてエジプトの地ちに倒たおれる。彼かれらは、つるぎとききんに滅ほろぼされ、最もっとも小ちいさい者ものから最もっとも大おおいなる者ものまで、つるぎとききんによって死しぬ。そして、のろいとなり、恐怖きょうふとなり、ののしりとなり、はずかしめとなる。44:13 わたしはエルサレムを罰ばっしたように、つるぎと、ききんと、疫病えきびょうをもってエジプトに住すんでいる者ものを罰ばっする。44:14 それゆえ、エジプトの地ちへ行いってそこに住すんでいるユダの残のこりの者もののうち、のがれ、または残のこって、帰かえり住すまおうと願ねがうユダの地ちへ帰かえる者ものはひとりもない。少数しょうすうののがれる者もののほかには、帰かえってくる者ものはない」。 44:15 その時とき、自分じぶんの妻つまがほかの神々かみがみに香こうをたいたことを知しっている人々ひとびと、およびその所ところに立たっている女おんなたちの大おおいなる群衆ぐんしゅう、ならびにエジプトの地ちのパテロスに住すんでいる民たみはエレミヤに答こたえて言いった、44:16 「あなたが主しゅの名なによってわたしたちに述のべられた言葉ことばは、わたしたちは聞きくことができません。44:17 わたしたちは誓ちかったことをみな行おこない、わたしたちが、もと行いっていたように香こうを天后てんこうにたき、また酒さけをその前まえに注そそぎます。すなわち、ユダの町々まちまちとエルサレムのちまたで、わたしたちとわたしたちの先祖せんぞたちおよびわたしたちの王おうたちと、わたしたちのつかさたちが行いったようにいたします。その時ときには、わたしたちは糧食りょうしょくには飽あき、しあわせで、災わざわいに会あいませんでした。44:18 ところが、わたしたちが、天后てんこうに香こうをたくことをやめ、酒さけをその前まえに注そそがなくなった時ときから、すべての物ものに乏とぼしくなり、つるぎとききんに滅ほろぼされました」。44:19 また女おんなたちは言いった、「わたしたちが天后てんこうに香こうをたき、酒さけをその前まえに注そそぐに当あたって、これにかたどってパンを つくり、酒さけを注そそいだのは、わたしたちの夫おっとが許ゆるしたことではありませんか」。 44:20 そこでエレミヤは男女だんじょのすべての人ひと、およびこの答こたえをしたすべての民たみに言いった、44:21 「ユダの町々まちまちとエルサレムのちまたで、あなたがたとあなたがたの先祖せんぞたち、およびあなたがたの王おうたちとあなたがたのつかさたち、およびその地ちの民たみが香こうをたいたことは、主しゅがこれを忘わすれず、また、心こころにとどめておられることではないか。44:22 主しゅはあなたがたの悪あしきわざのため、あなたがたの憎にくむべき行おこないのために、もはや忍しのぶことができなくなられた。それゆえ、あなたがたの地ちは今日こんにちのごとく荒あれ地ちとなり、驚おどろきとなり、のろいとなり、住すむ人ひとのない地ちとなった。44:23 あなたがたが香こうをたき、主しゅに罪つみを犯おかし、主しゅの声こえに聞きき従したがわず、その律法りっぽうと、定さだめと、あかしに従したがって歩あゆまなかったので、今日こんにちのようにこの災わざわいがあなたがたに臨のぞんだのである」。 44:24 エレミヤはまたすべての民たみと女おんなたちに言いった、「あなたがたすべてエジプトの地ちにいるユダの人々ひとびとよ、主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。44:25 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、あなたがたとあなたがたの妻つまたちは口くちで言いい、手てで行おこない、『わたしたちは天后てんこうに香こうをたき、酒さけを注そそいで立たてた誓ちかいを必かならずなし遂とげる』と言いう。それならば、あなたがたの誓ちかいをかため、あなたがたの誓ちかいをなし遂とげなさい。44:26 それゆえ、あなたがたすべてエジプトの地ちにいるユダの人々ひとびとよ、主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。主しゅは言いわれる、わたしは自分じぶんの大おおいなる名なをさして誓ちかう、すなわちエジプトの全ぜん地ちに、ユダの人々ひとびとで、その口くちに、『主しゅなる神かみは生いきておられる』と言いって、わたしの名なをとなえるものは、もはやひとりもないようになる。44:27 見みよ、わたしは彼かれらを見守みまもっている、それは幸さいわいを与あたえるためではなく、災わざわいを下くだすためである。エジプトの地ちにいるユダの人々ひとびとは、つるぎとききんによって滅ほろび絶たえる。44:28 しかし、つるぎをのがれるわずかの者ものはエジプトの地ちを出でてユダの地ちに帰かえる。そしてユダの残のこっている民たみでエジプトに来きて住すんだ者ものは、わたしの言葉ことばが立たつか、彼かれらの言葉ことばが立たつか、いずれであるかを知しるようになる。44:29 主しゅは言いわれる、わたしがこの所ところであなたがたを罰ばっするしるしはこれである。わたしはこのようにしてわたしがあなたがたに災わざわいを下くだそうと言いった事ことの必かならず立たつことを知しらせよう。44:30 すなわち主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしはユダの王おうゼデキヤを、その命いのちを求もとめる敵てきであるバビロンの王おうネブカデレザルの手てに渡わたしたように、エジプトの王おうパロ・ホフラをその敵てきの手て、その命いのちを求もとめる者ものの手てに渡わたす」。 第45章 45:1 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの四年ねんに、ネリヤの子こバルクがこれらの言葉ことばをエレミヤの口述こうじゅつにしたがって書しょにしるした時とき、預言者よげんしゃエレミヤが彼かれに語かたった言葉ことば、45:2 「バルクよ、イスラエルの神かみ、主しゅはあなたについてこう言いわれる、45:3 あなたはかつて、『ああ、わたしはわざわいだ、主しゅがわたしの苦くるしみに悲かなしみをお加くわえになった。わたしは嘆なげき疲つかれて、安息あんそくが得えられない』と言いった。45:4 あなたはこう彼かれに言いいなさい、主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしは自分じぶんで建たてたものをこわし、自分じぶんで植うえたものを抜ぬいている――それは、この全ぜん地ちである。45:5 あなたは自分じぶんのために大おおいなる事ことを求もとめるのか、これを求もとめてはならない。見みよ、わたしはすべての人ひとに災わざわいを下くだそうとしている。しかしあなたの命いのちはあなたの行ゆくすべての所ところで、ぶんどり物ものとしてあなたに与あたえると主しゅは言いわれる」。 第46章 46:1 もろもろの国くにの事ことについて預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ主しゅの言葉ことば。 46:2 エジプトの事こと、すなわちユフラテ川かわのほとりにあるカルケミシの近ちかくにいるエジプトの王おうパロ・ネコの軍勢ぐんぜいの事ことについて。これはユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの四年ねんに、バビロンの王おうネブカデレザルが撃うち破やぶったものである。その言葉ことばは次つぎのとおりである、 46:3 「大盾おおだてと小盾こだてとを備そなえ、進すすんで戦たたかえ。46:4 騎兵きへいよ、馬うまを戦車せんしゃにつなぎ、馬うまに乗のれ。かぶとをかぶって立たて。ほこをみがき、よろいを着きよ。46:5 わたしは見みたが、何なにゆえか彼かれらは恐おそれて退しりぞき、その勇士ゆうしたちは打うち敗やぶられ、あわてて逃にげて、うしろをふり向むくこともしない、――恐おそれが彼かれらの周囲しゅういにあると主しゅは言いわれる。46:6 足早あしばやき者ものも逃にげることができず、勇士ゆうしものがれることができない。北きたの方ほう、ユフラテ川かわのほとりで彼かれらはつまずき倒たおれた。 46:7 あのナイル川かわのようにわきあがり、川々かわがわのように、その水みずのさかまく者ものはだれか。46:8 エジプトはナイル川かわのようにわきあがり、その水みずは川々かわがわのようにさかまく。そしてこれは言いう、わたしは上のぼって、地ちをおおい、町々まちまちとそのうちに住すむ者ものを滅ほろぼそう。46:9 馬うまよ、進すすめ、車くるまよ、激はげしく走はしれ。勇士ゆうしよ、盾たてを取とるエチオピヤびとと、プテびとよ、弓ゆみを巧たくみに引ひくルデびとよ、進すすみ出でよ。46:10 その日ひは万軍ばんぐんの神かみ、主しゅの日ひであって、主しゅがあだを報むくいられる日ひ、その敵てきにあだをかえされる日ひだ。つるぎは食たべて飽あき、彼かれらの血ちに酔よう。万軍ばんぐんの神かみ、主しゅが、北きたの地ちで、ユフラテ川かわのほとりで、ほふることをなされるからだ。46:11 おとめなるエジプトの娘むすめよ、ギレアデに上のぼって乳香にゅうこうを取とれ。あなたは多おおくの薬くすりを用もちいても、むだだ。あなたは、いやされることはない。46:12 あなたの恥はじは国々くにぐにに聞きこえている、あなたの叫さけびは地ちに満みちている。勇士ゆうしが勇士ゆうしにつまずいて、共ともに倒たおれたからである」。46:13 バビロンの王おうネブカデレザルが来きて、エジプトの地ちを撃うとうとする事ことについて、主しゅが預言者よげんしゃエレミヤにお告つげになった言葉ことば、 46:14 「エジプトで宣のべ、ミグドルで告つげ示しめし、またメンピスとタパネスに告つげ示しめして言いえ、『堅かたく立たって、備そなえせよ、つるぎがあなたの周囲しゅういを、滅ほろぼし尽つくすからだ』。46:15 なぜ、アピスはのがれたのか。あなたの雄牛おうしは、なぜ立たたなかったのか。それは主しゅがこれを倒たおされたからだ。46:16 あなたに属ぞくする多おおくの兵へいは、つまずいて倒たおれた。そして互たがいに言いった、『立たてよ、われわれは、しえたげる者もののつるぎを避さけて、われわれの民たみに帰かえり、故郷こきょうの地ちへ行いこう』と。46:17 エジプトの王おうパロの名なを、『好機こうきを逸いっする騒さわがしい者もの』と呼よべ。 46:18 万軍ばんぐんの主しゅという名なの王おうは言いわれる、わたしは生いきている、彼かれは山々やまやまのうちのタボルのように、海うみのほとりのカルメルのように来きたり臨のぞむ。46:19 エジプトに住すむ民たみよ、捕とらわれのために荷物にもつを備そなえよ。メンピスは荒あれ地ちとなり、廃虚はいきょとなって住すむ人ひともなくなる。46:20 エジプトは美うつくしい雌めすの子こ牛うしだ、しかし北きたから、牛うしばえが来きて、それにとまった。46:21 そのうちにいる雇やとい兵へいでさえ、肥こえた子こ牛うしのようだ。彼かれらはふり返かえって共ともに逃にげ、立たつことをしなかった。彼かれらの災難さいなんの日ひ、その罰ばっせられる時ときが来きたからだ。46:22 彼かれは逃にげ去さるへびのような音おとをたてる。その敵てきが軍勢ぐんぜいを率ひきいて彼かれに臨のぞみ、きこりのように、おのをもって来くるからだ。46:23 彼かれらは彼かれの林はやしがいかに入いり込こみがたくとも、それを切きり倒たおす。彼かれらはいなごよりも多おおく、数かぞえがたいからであると、主しゅは言いわれる。46:24 エジプトの娘むすめははずかしめを受うけ、北きたからくる民たみの手てに渡わたされる」。46:25 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみは言いわれた、「見みよ、わたしはテーベのアモンと、パロと、エジプトとその神々かみがみとその王おうたち、すなわちパロと彼かれを頼たのむ者ものとを罰ばっする。46:26 わたしは彼かれらを、その命いのちを求もとめる者ものの手てと、バビロンの王おうネブカデレザルの手てと、その家来けらいたちの手てに渡わたす。その後のち、エジプトは昔むかしのように人ひとの住すむ所ところとなると、主しゅは言いわれる。 46:27 わたしのしもべヤコブよ、恐おそれることはない、イスラエルよ、驚おどろくことはない。見みよ、わたしがあなたを遠とおくから救すくい、あなたの子孫しそんをその捕とらえ移うつされた地ちから救すくうからだ。ヤコブは帰かえってきて、おだやかに、安やすらかになり、彼かれを恐おそれさせる者ものはない。46:28 主しゅは言いわれる、わたしのしもべヤコブよ、恐おそれることはない、わたしが共ともにいるからだ。わたしはあなたを追おいやった国々くにぐにをことごとく滅ほろぼし尽つくす。しかしあなたを滅ほろぼし尽つくすことはしない。わたしは正ただしい道みちに従したがって、あなたを懲こらしめる、決けっして罰ばっしないではおかない」。 第47章 47:1 パロがまだガザを撃うたなかったころ、ペリシテびとの事ことについて預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ主しゅの言葉ことば。 47:2 「主しゅはこう言いわれる、見みよ、水みずは北きたから起おこり、あふれ流ながれて、この地ちと、そこにあるすべての物もの、その町まちと、その中なかに住すむ者ものとにあふれかかる。その時とき、人々ひとびとは叫さけび、この地ちに住すむ者ものはみな嘆なげく。47:3 そのたくましい馬うまのひずめの踏ふみ鳴ならす音おとのため、その戦車せんしゃの響ひびきのため、その車輪しゃりんのとどろきのために、父ちちはその手てが弱よわくなって、自分じぶんの子こをも顧かえりみない。47:4 これは、ペリシテびとを滅ほろぼし尽つくし、ツロとシドンに残のこって助たすけをなす者ものをことごとく絶たやす日ひが来くるからである。主しゅはカフトルの海岸かいがんに残のこっているペリシテびとを滅ほろぼされる。47:5 ガザには髪かみをそることが始はじまっている。アシケロンは滅ほろびた。アナクびとの残のこりの民たみよ、いつまで自分じぶんの身みに傷きずつけるのか。47:6 主しゅのつるぎよ、おまえはいつになれば静しずかになるのか。おまえのさやに帰かえり、休やすんで静しずかにしておれ。47:7 主しゅがこれに命いのちを下くだされたのだ、どうして静しずかにしておれようか。アシケロンと海岸かいがんの地ちを攻せめることを定さだめられたのだ」。 第48章 48:1 モアブの事ことについて、万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、 「ああ、ネボはわざわいだ、これは滅ほろぼされた。キリヤタイムははずかしめられて取とられ、とりでは、はずかしめられてこわされた。48:2 モアブの誉ほまれは、消きえ去さった。ヘシボンで人々ひとびとはモアブの害がいを図はかり、『さあ、この国くにを断たち滅ほろぼそう』という。マデメンよ、おまえもまた滅ほろぼされる、つるぎがおまえを追おう。 48:3 ホロナイムから叫さけび声ごえが聞きこえる、『荒廃こうはいと大おおいなる滅亡めつぼうだ』という。48:4 モアブは滅ほろぼされ、叫さけびはゾアルにまで聞きこえる。48:5 彼かれらは泣なきながらルヒテの坂さかを登のぼる。彼かれらはホロナイムの下くだり坂ざかで、『滅亡めつぼう』の叫さけびを聞きいたからだ。48:6 逃にげて、自分じぶんの身みを救すくえ、荒野あらのの野のろばのようになれ。48:7 おまえが、とりでと財宝ざいほうとを頼たのみにしたので、おまえも捕とらえられるからだ。またケモシは、その祭司さいしとつかさたちと共ともに、捕とらえられて行いく。48:8 滅ほろぼす者ものはすべての町まちに来くる、一つの町まちものがれることができない。谷たには滅ほろび、平地へいちは荒あらされる、主しゅの言いわれたとおりである。48:9 モアブに翼つばさを与あたえて、飛とび去さらせよ。その町々まちまちは荒あれて、住すむ者ものはなくなる。48:10 主しゅのわざを行おこなうことを怠おこたる者ものはのろわれる。またそのつるぎを押おさえて血ちを流ながさない者ものはのろわれる。48:11 モアブはその幼おさない時ときから安やすらかで、酒さけが、沈しずんだおりの上うえにとどまって、器うつわから器うつわに、くみ移うつされなかったように、捕とらえ移うつされなかったので、その味あじはなお存そんし、その香気こうきも変かわることがない。48:12 主しゅは言いわれる、それゆえ見みよ、わたしがこれを傾かたむける者ものどもをつかわす日ひが来くる。彼かれらはこれを傾かたむけ、その器うつわをあけ、そのかめを砕くだく。48:13 その時ときモアブはケモシのために恥はじをかく。ちょうどイスラエルの家いえがその頼たのみとしたベテルのために恥はじをかいたようになる。48:14 あなたがたはどうして『われわれは勇士ゆうしだ。強つよい戦士せんしだ』というのか。48:15 モアブとその町々まちまちを滅ほろぼす者ものは上のぼって来き、モアブのえり抜ぬきの若者わかものたちは下くだって殺ころされたと万軍ばんぐんの主しゅと名なのる王おうが言いわれる。48:16 モアブの災難さいなんは近ちかづいている、その苦難くなんはすみやかに来くる。48:17 すべてその周囲しゅういにある者ものよ、またその名なを知しる者ものよ、彼かれのために嘆なげいて、『ああ、強つよき笏しゃく、麗うるわしきつえは、ついに折おれた』と言いえ。 48:18 デボンに住すむ者ものよ、ああなたの栄さかえを離はなれて下くだり、かわいた地ちに座ざせよ。モアブを滅ほろぼす者ものがあなたに攻せめのぼって来きて、あなたの城しろを滅ほろぼしたからだ。48:19 アロエルに住すむ者ものよ、道みちのかたわらに立たって見張みはりし、逃にげてくる男おとこ、のがれてくる女おんなに尋たずねて、『何なにが起おこったのか』と言いえ。48:20 モアブは敗やぶれて、恥はじをこうむっている。嘆なげき呼よばわれ。アルノン川かわのほとりで、モアブは滅ほろぼされたと告つげよ。48:21 さばきは高原こうげんの地ちに臨のぞみ、ホロン、ヤハズ、メパアテ、48:22 デボン、ネボ、ベテ・デブラタイム、48:23 キリヤタイム、ベテ・ガムル、ベテ・メオン、48:24 ケリオテ、ボズラなどモアブの地ちのすべての町まちの、遠とおいものにも近ちかいものにも、臨のぞんだ。48:25 モアブの角つのは砕くだけ、その腕うでは折おれたと主しゅは言いわれる。 48:26 モアブを酔よわせよ、彼かれが主しゅに敵てきして自みずから高たかぶったからである。モアブは自分じぶんの吐はいた物ものの中なかにころがって、笑わらい草ぐさとなる。48:27 イスラエルはあなたの笑わらい草ぐさではなかったか。あなたが、彼かれのことを語かたるごとに首くびを振ふったのは、彼かれが盗賊とうぞくの中なかにいたとでもいうのか。48:28 モアブに住すむ者ものよ、町まちを去さって岩いわの間あいだに住すめ。谷たにの入口いりぐちのかたわらに巣すを作つくる山やまばとのようにせよ。48:29 われわれはモアブの高慢こうまんな事ことを聞きいた、その高慢こうまんは、はなはだしい。すなわち、その尊大そんだい、高慢こうまん、横柄おうへい、およびその心こころの高たかぶりのことを聞きいた。48:30 主しゅは言いわれる、わたしは彼かれの横着おうちゃくなのを知しる、彼かれの自慢じまんは偽いつわりで、その行おこないも偽いつわりである。48:31 それゆえ、わたしはモアブのために嘆なげき、モアブの全ぜん地ちのために呼よばわる。キルヘレスの人々ひとびとのためにわたしは悲かなしむ。48:32 シブマのぶどうの木きよ、わたしはヤゼルのために泣なくのにまさっておまえのために泣なく。おまえのつるは延のびて海うみを越こえ、ヤゼルに及およんだ。おまえの夏なつの実みと、その収穫しゅうかくを滅ほろぼす者ものが襲おそってきた。48:33 喜よろこびと楽たのしみは、実みのり多おおいモアブの地ちを去さった。わたしは、ぶどうをしぼる所ところにも酒さけをなくした。楽たのしく呼よばわって、ぶどうを踏ふむ者ものもなくなった。呼よばわっても、喜よろこんで呼よばわる声こえではない。48:34 ヘシボンとエレアレは叫さけぶ。ヤハヅに至いたるまで、ゾアルからホロナイムとエグラテ・シリシヤに至いたるまで、彼かれらはその声こえをあげる。ニムリムの水みずも絶たえたからである。48:35 主しゅは言いわれる、わたしは犠牲ぎせいを高たかき所ところにささげ、香こうをその神かみにたく者ものをモアブのうちに滅ほろぼす。48:36 それゆえ、わたしの心こころはモアブのために笛ふえのように嘆なげき、わたしの心こころはキルヘレスの人々ひとびとのために笛ふえのように嘆なげく。彼かれらの獲えた富とみが消きえうせたからである。 48:37 人ひとはみな髪かみをそり、皆みなひげをそり、みな手てに傷きずをつけ、腰こしに荒布あらぬのを着つける。48:38 モアブではどこの屋根やねの上うえも、広場ひろばも、ただ悲かなしみに包つつまれている。これは、わたしが、だれもほしがらない器うつわのようにモアブを砕くだいたからであると主しゅは言いわれる。48:39 ああ、モアブはついに滅ほろびた。人々ひとびとは嘆なげく。ああ、モアブは恥はじて顔かおをそむけた。モアブはその周囲しゅういのすべての者ものの笑わらい草ぐさとなり恐おそれとなった」。 48:40 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、敵てきはわしのように速はやく飛とんできて、モアブに向むかって翼つばさをのべる。48:41 町々まちまちは取とられ、城しろは奪うばわれる。その日ひモアブの勇士ゆうしの心こころは子こを産うむ女おんなの心こころのようになる。48:42 モアブは滅ほろぼされて、国くにを成なさないようになる。主しゅに敵てきして自みずから誇ほこったからである。48:43 主しゅは言いわれる、モアブに住すむ者ものよ、恐おそれと、穴あなと、わなとがあなたに臨のぞんでいる。48:44 恐おそれをさけて逃にげる者ものは穴あなにおちいり、穴あなをよじ上のぼって出でる者ものは、わなに捕とらえられる。わたしがモアブに、その罰ばっせられる年としに、これらのものを臨のぞませるからであると主しゅは言いわれる。 48:45 逃にげた者ものはヘシボンの陰かげに、力ちからなく立たちどまる。ヘシボンから火ひが出で、シホンの家いえから炎ほのおが出でて、モアブの額ひたい、騒さわぐ人々ひとびとの頭あたまの頂いただきを焼やいたからだ。48:46 モアブよ、おまえはわざわいだ。ケモシの民たみは滅ほろびた。おまえのむすこらは捕とらえ移うつされ、おまえの娘むすめらも捕とらえ行ゆかれたからである。48:47 しかし末すえの日ひにわたしは再ふたたびモアブを栄さかえさせると主しゅは言いわれる」。ここまではモアブのさばきの事ことをいったのである。 第49章 49:1 アンモンびとについて、主しゅはこう言いわれる、「イスラエルには子こがないのか、世継よつぎがないのか。どうしてミルコムがガドを追おい出だして、その民たみがその町々まちまちに住すんでいるのか。49:2 主しゅは言いわれる、それゆえ、見みよ、アンモンびとのラバを攻せめる戦たたかいの叫さけびを、わたしが聞きこえさせる日ひが来くる。ラバは荒塚あれづかとなり、その村々むらむらは火ひで焼やかれる。そのときイスラエルは自分じぶんを追おい出だした者ものどもを追おい出だすと主しゅは言いわれる。 49:3 ヘシボンよ嘆なげけ、アイは滅ほろぼされた。ラバの娘むすめたちよ呼よばわれ。荒布あらぬのを身みにまとい、悲かなしんで、まがきのうちを走はしりまわれ。ミルコムとその祭司さいしおよびつかさが共ともに捕とらえ移うつされるからだ。49:4 不信ふしんの娘むすめよ、あなたはなぜ自分じぶんの谷たにの事ことを誇ほこるのか。あなたは自分じぶんの富とみに寄より頼たよんで、『だれがわたしに攻せめてくるものか』と言いう。49:5 主しゅなる万軍ばんぐんの神かみは言いわれる、見みよ、わたしはあなたの上うえに恐おそれを臨のぞませる、それはあなたの周囲しゅういの者ものから来くる。あなたは追おわれて、おのおの直ただちに他人たにんに続つづき、逃にげる者ものを集あつめる人ひともない。49:6 しかし、のちになって、わたしはアンモンびとを再ふたたび栄さかえさせると、主しゅは言いわれる」。49:7 エドムの事ことについて、万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「テマンには、もはや知恵ちえがないのか。さとい者ものには計はかりごとがなくなったのか。その知恵ちえは消きえうせたのか。49:8 デダンに住すむ者ものよ、逃にげよ、のがれよ、深ふかい所ところに隠かくれよ。わたしがエサウの災難さいなんを彼かれの上うえに臨のぞませ、彼かれを罰ばっする時ときをこさせるからだ。49:9 ぶどうを集あつめる者ものがあなたの所ところに来きたならば、すこしの実みをも残のこさないであろうか。夜よる、盗ぬすびとが来きたならば、自分じぶんたちの満足まんぞくするだけ滅ほろぼさないであろうか。49:10 しかしわたしはエサウを裸はだかにし、その隠かくれる所ところを現あらわしたので、彼かれはその身みを隠かくすことができない。その子こどもたちも、兄弟きょうだいも、隣となり人びとも滅ほろぼされる。そして彼かれは、いなくなる。49:11 あなたのみなしごを残のこせ、わたしがそれを生いきながらえさせる。あなたのやもめには、わたしに寄より頼たのませよ」。49:12 主しゅはこう言いわれる、「もし、杯さかずきを飲のむべきでない者ものもそれを飲のまなければならなかったとすれば、あなたは罰ばつを免まぬかれることができようか。あなたは罰ばつを免まぬかれない。それを飲のまなければならない。49:13 主しゅは言いわれる、わたしは自分じぶんをさして誓ちかった、ボズラは驚おどろきとなり、ののしりとなり、荒あれ地ちとなり、のろいとなる。その町々まちまちは長ながく荒あれ地ちとなる」。 49:14 わたしは主しゅからのおとずれを聞きいた。ひとりの使者ししゃがつかわされて万国ばんこくに行いき、そして言いった、「あなたがたは集あつまり、行いって彼かれを攻せめ、立たって戦たたかえ。49:15 見みよ、わたしはあなたを万国ばんこくのうちに小ちいさい者ものとし、人々ひとびとのうちに卑いやしめられる者ものとする。49:16 岩いわの割われ目めに住すみ、山やまの高たかみを占しめる者ものよ、あなたの恐おそろしい事ことと、あなたの心こころの高たかぶりが、あなたを欺あざむいた。あなたは、わたしのように巣すを高たかい所ところに作つくっているが、わたしはその所ところからあなたを取とりおろすと主しゅは言いわれる。49:17 エドムは恐おそれとなる。そのかたわらを通とおり過すぎる者ものはみな恐おそれ、その災わざわいのために、舌打したうちする。49:18 主しゅは言いわれる、ソドムとゴモラとその隣となりの町々まちまちがくつがえされた時ときのように、そこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひともなくなる。49:19 見みよ、ししがヨルダンの密林みつりんから上のぼってきて、じょうぶな羊ひつじのおりを襲おそうように、わたしは、たちまち彼かれらをそこから逃にげ走はしらせ、わたしの選えらぶ者ものをその上うえに立たてる。だれかわたしのような者ものがあるであろうか。だれがわたしを呼よびつけることができようか。どの牧者ぼくしゃがわたしの前まえに立たつことができようか。49:20 それゆえ、エドムに対たいして主しゅが立たてた計はかりごとと、テマンに住すむ者ものに対たいしてしようとする事ことを聞きくがよい。彼かれらの群むれのうちの小ちいさいものまでも皆みな、引ひかれて行いく。彼かれらのおりのものもその終おわりを見みて恐おそれる。49:21 その倒たおれる音おとを聞きいて、地ちは震ふるい、彼かれらの叫さけび声ごえは紅海こうかいにも聞きこえる。49:22 見みよ、敵てきはわしのように上のぼり、すみやかに飛とびかけり、その翼つばさをボズラの上うえに張はり広ひろげる。その日ひエドムの勇士ゆうしの心こころは子こを産うむ女おんなの心こころのようになる」。 49:23 ダマスコの事ことについて、「ハマテとアルパデは、うろたえている、彼かれらは悪わるいおとずれを聞きいたからだ。彼かれらは勇気ゆうきを失うしない、穏おだやかになることのできない海うみのように悩なやむ。49:24 ダマスコは弱よわり、身みをめぐらして逃にげた、恐怖きょうふに襲おそわれている。子こを産うむ女おんなに臨のぞむように痛いたみと悲かなしみと彼かれに臨のぞむ。49:25 ああ、名なある町まち、楽たのしい町まちは捨すてられる。49:26 それゆえ、その日ひに、若わかい者ものは、広場ひろばに倒たおれ、兵士へいしはことごとく滅ほろぼされると万軍ばんぐんの主しゅは言いわれる。49:27 わたしはダマスコの城壁じょうへきの上うえに火ひを燃もやし、ベネハダデの宮殿きゅうでんを焼やき尽つくす」。49:28 バビロンの王おうネブカデレザルが攻せめ撃うったケダルとハゾルの諸国しょこくの事ことについて、 主しゅはこう言いわれる、「立たって、ケダルに向むかって進すすみ、東ひがしの人々ひとびとを滅ほろぼせ。49:29 彼かれらの天幕てんまくと、その羊ひつじの群むれとは取とられ、その垂幕たれまくとそのもろもろの器うつわと、らくだとは彼かれらの所ところから運はこび去さられ、人々ひとびとは彼かれらに向むかって叫さけぶ、『恐おそろしいことが四方しほうにある』と。49:30 主しゅは言いわれる、ハゾルに住すむ者ものよ、逃にげよ、遠とおくさまよい行いき、深ふかい所ところに隠かくれよ。バビロンの王おうネブカデレザルがあなたがたを攻せめる計はかりごとをめぐらし、あなたがたを攻せめる、てだてを設もうけたからだ。 49:31 主しゅは言いわれる、立たって進すすみ、安全あんぜんな所ところに住すむきらくな民たみを攻せめよ、彼かれらは門もんもなく、貫かんの木きもなく、ひとり離はなれて住すむ。49:32 彼かれらのらくだは、ぶんどり物ものとなり、家畜かちくの群むれは奪うばわれる。わたしは、かの髪かみの毛けのすみずみを切きる者ものを四方しほうに散ちらし、その災難さいなんを八方はっぽうからこさせると主しゅは言いわれる。49:33 ハゾルは山犬やまいぬのすまいとなり、いつまでも荒あれ地ちとなっている。だれもそこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひともない」。49:34 ユダの王おうゼデキヤの治世ちせいの初はじめのころに、エラムの事ことについて預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ主しゅの言葉ことば。 49:35 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしはエラムが力ちからとして頼たよんでいる弓ゆみを折おる。49:36 わたしは天てんの四方しほうから、四方しほうの風かぜをエラムにこさせ、彼かれらを四方しほうの風かぜに散ちらす。エラムから追おい出だされる者ものの行いかない国くにはない。49:37 主しゅは言いわれる、わたしはエラムをしてその敵てきの前まえ、またその命いのちを求もとめる者ものの前まえに恐おそれさせる。わたしは災わざわいをくだし、激はげしい怒いかりをその上うえにくだす。彼かれらのうしろに、つるぎを送おくって滅ほろぼし尽つくす。49:38 そしてわたしの位くらいをエラムにすえ、王おうとつかさたちとを滅ほろぼすと主しゅは言いわれる。 49:39 しかし末すえの日ひに、わたしはエラムを再ふたたび栄さかえさせると、主しゅは言いわれる」。 第50章 50:1 主しゅが預言者よげんしゃエレミヤによって語かたられたバビロンとカルデヤびとの地ちの事ことについての言葉ことば。 50:2 「国々くにぐにのうちに告つげ、また触ふれ示しめせよ、旗はたを立たてて、隠かくすことなく触ふれ示しめして言いえ、『バビロンは取とられ、ベルははずかしめられ、メロダクは砕くだかれ、その像ぞうははずかしめられ、その偶像ぐうぞうは砕くだかれる』と。50:3 それは、北きたの方ほうから一つの国民こくみんがきて、これを攻せめ、その地ちを荒あらして、住すむ人ひともないようにするからである。人ひとも獣けものもみな逃にげ去さってしまう。 50:4 主しゅは言いわれる、その日ひその時とき、イスラエルの民たみとユダの民たみは共ともに帰かえってくる。彼かれらは嘆なげきながら帰かえってくる。そしてその神かみ、主しゅを求もとめる。50:5 彼かれらは顔かおをシオンに向むけて、その道みちを問とい、『さあ、われわれは、永遠えいえんに忘わすれられることのない契約けいやくを結むすんで主しゅに連つらなろう』と言いう。 50:6 わたしの民たみは迷まよえる羊ひつじの群むれである、その牧者ぼくしゃがこれをいざなって、山やまに踏ふみ迷まよわせたので、山やまから丘おかへと行いきめぐり、その休やすむ所ところを忘わすれた。50:7 これに会あう者ものはみなこれを食たべた。その敵てきは言いった、『われわれに罪つみはない。彼かれらがそのまことのすみかである主しゅ、先祖せんぞたちの希望きぼうであった主しゅに対たいして罪つみを犯おかしたのだ』と。 50:8 バビロンのうちから逃にげよ。カルデヤびとの地ちから出でよ。群むれの前まえに行いく雄おやぎのようにせよ。50:9 見みよ、わたしは大おおきい国々くにぐにを起おこし集あつめて、北きたの地ちからバビロンに攻せめこさせる。彼かれらはこれに向むかって勢せいぞろいをし、これをその所ところから取とる。彼かれらの矢やはむなしく帰かえらない老練ろうれんな勇士ゆうしのようである。50:10 カルデヤは人ひとにかすめられる。これをかすめる者ものはみな飽あくことができると、主しゅは言いわれる。 50:11 わたしの嗣し業ぎょうをかすめる者ものどもよ、あなたがたは喜よろこび楽たのしみ、雌めすの子こ牛うしのように草くさに戯たわむれ、雄お馬うまのように、いなないているが、50:12 あなたがたの母はははいたくはずかしめられ、あなたがたを産うんだ者ものは恥はじをこうむる。見みよ、彼女かのじょは国々くにぐにのうちの最もっともあとなるものとなり、かわいた砂原すなはらの荒野あらのとなる。50:13 主しゅの怒いかりによって、ここに住すむ者ものはなく、完全かんぜんに荒あれ地ちとなる。バビロンのかたわらを通とおる者ものは、みなその傷きずを見みて驚おどろき、かつあざ笑わらう。50:14 あなたがたすべて弓ゆみを張はる者ものよ、バビロンの周囲しゅういに勢せいぞろいして、これを攻せめ、矢やを惜おしまずに、これを射いよ、彼女かのじょが主しゅに罪つみを犯おかしたからだ。50:15 その周囲しゅういに叫さけび声ごえをあげよ、彼女かのじょは降伏こうふくした。そのとりでは倒たおれ、その城壁じょうへきはくずれた、主しゅがあだをかえされたからだ。彼女かのじょに報復ほうふくせよ、彼女かのじょがおこなったように、これに行おこなえ。50:16 種たねまく者ものと、刈入かりいれどきに、かまを取とる者ものをバビロンに絶たやせ。滅ほろぼす者もののつるぎを恐おそれて、人ひとはおのおの自分じぶんの民たみの所ところに帰かえり、そのふるさとに逃にげて行いく。50:17 イスラエルは、ししに追おわれて散ちった羊ひつじである。初はじめにアッスリヤの王おうがこれを食くい、そして今いまはついにバビロンの王おうネブカデレザルがその骨ほねをかじった。50:18 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみは、こう言いわれる、見みよ、わたしはアッスリヤの王おうを罰ばっしたように、バビロンの王おうとその国くにに罰ばつを下くだす。50:19 わたしはイスラエルを再ふたたびその牧場まきばに帰かえらせる。彼かれはカルメルとバシャンで草くさを食たべる。またエフライムの山やまとギレアデでその望のぞみが満みたされる。50:20 主しゅは言いわれる、その日ひその時ときには、イスラエルのとがを探さがしても見当みあたらず、ユダの罪つみを探さがしてもない。それはわたしが残のこしておく人々ひとびとを、ゆるすからである。50:21 主しゅは言いわれる、上のぼって行いって、メラタイムの地ちを攻せめ、ペコデの民たみを攻せめ、彼かれらを殺ころして全まったく滅ほろぼし、わたしがあなたがたに命めいじたことを皆みな、行おこないなさい。50:22 その地ちに、いくさの叫さけびと、大おおいなる滅ほろびがある。50:23 ああ、全ぜん地ちを砕くだいた鎚つちはついに折おれ砕くだける。ああ、バビロンはついに国々くにぐにのうちの恐おそるべき見みものとなる。50:24 バビロンよ、わたしは、おまえを捕とらえるためにわなをかけたが、おまえはそれにかかった。そしておまえはそれを知しらなかった。おまえは主しゅに敵てきしたので、尋たずね出だされ、捕とらえられた。50:25 主しゅは武器ぶきの倉くらを開ひらいてその怒いかりの武器ぶきを取とり出だされた。主しゅなる万軍ばんぐんの神かみが、カルデヤびとの地ちに事ことを行おこなわれるからである。50:26 あらゆる方面ほうめんからきて、これを攻せめ、その穀倉こくぐらを開ひらき、これを穀物こくもつの山やまのように積つみ上あげ、完全かんぜんに滅ほろぼし尽つくし、そこに残のこる者もののないようにせよ。50:27 その雄牛おうしをことごとく殺ころせ、それを、ほふり場ばに下くだらせよ。それらのものはわざわいだ、その日ひ、その罰ばつを受うける時ときがきたからだ。50:28 聞きけよ、バビロンの地ちから逃にげ、のがれてきた者ものの声こえがする。われわれの神かみ、主しゅの報復ほうふく、その宮みやの報復ほうふくの事ことをシオンに告つげ示しめす。 50:29 弓ゆみを張はる射手いてをことごとく呼よび集あつめて、バビロンを攻せめよ。その周囲しゅういに陣じんを敷しけ。ひとりも逃がにがすな。そのしわざにしたがってバビロンに報むくい、これがおこなった所ところにしたがってこれに行おこなえ。彼かれがイスラエルの聖者せいじゃである主しゅに向むかって高慢こうまんにふるまったからだ。50:30 それゆえ、その日ひ、若わかい者ものは、広場ひろばに倒たおれ、兵士へいしはみな絶たやされると主しゅは言いわれる。 50:31 主しゅなる万軍ばんぐんの神かみは言いわれる、高たかぶる者ものよ、見みよ、わたしはおまえの敵てきとなる、あなたの日ひ、わたしがおまえを罰ばっする時ときが来きた。50:32 高たかぶる者ものはつまずき倒たおれる、これを助たすけ起おこすものはない。わたしはその町々まちまちに火ひを燃もやして、その周囲しゅういの者ものをことごとく焼やき尽つくす。50:33 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、イスラエルの民たみとユダの民たみは共ともにしえたげられている。彼かれらをとりこにした者ものはみな彼かれらを固かたく守まもって釈放しゃくほうすることを拒こばむ。50:34 彼かれらをあがなう者ものは強つよく、その名なは万軍ばんぐんの主しゅといわれる。彼かれは必かならず彼かれらの訴うったえをただし、この地ちに安やすきを与あたえるが、バビロンに住すむ者ものには不安ふあんを与あたえられる。 50:35 主しゅは言いわれる、カルデヤびとの上うえとバビロンに住すむ者ものの上うえ、そのつかさたち、その知者ちしゃたちの上うえにつるぎが臨のぞむ。50:36 占うらない師しの上うえにつるぎが臨のぞみ、彼かれらは愚おろか者ものとなる。その勇士ゆうしの上うえにつるぎが臨のぞみ、彼かれらは滅ほろぼされる。50:37 その馬うまの上うえと、その車くるまの上うえにつるぎが臨のぞみ、またそのうちにあるすべての雇やとい兵へいの上うえに臨のぞみ、彼かれらは女おんなのようになる。その財宝ざいほうの上うえにつるぎが臨のぞみ、それはかすめられる。50:38 その水みずの上うえに、ひでりが来きて、それはかわく。それは、この地ちが偶像ぐうぞうの地ちであって、人々ひとびとが偶像ぐうぞうに心こころが狂くるっているからだ。50:39 それゆえ、野のの獣けものと山犬やまいぬとは共ともにバビロンにおり、だちょうもそこに住すむ。しかし、いつまでもその地ちに住すむ人ひとはなく、世々よよここに住すむ人ひとはない。50:40 主しゅは言いわれる、神かみがソドムとゴモラと、その隣となりの町々まちまちを滅ほろぼされたように、そこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひとの子こはない。 50:41 見みよ、一つの民たみが北きたの方ほうから来くる。大おおいなる国くにと多おおくの王おうが地ちの果はてから立たち上あがっている。50:42 彼かれらは弓ゆみと、やりを取とる。残忍ざんにんで、あわれみがなく、その響ひびきは海うみの鳴なりとどろくようである。バビロンの娘むすめよ、彼かれらは馬うまに乗のり、いくさびとのように身みをよろって、あなたを攻せめる。50:43 バビロンの王おうはそのうわさを聞きいて、その手ては弱よわり、子こを産うむ女おんなに臨のぞむような痛いたみと苦くるしみに迫せまられた。50:44 見みよ、ししがヨルダンの密林みつりんから上のぼってきて、じょうぶな羊ひつじのおりを襲おそうように、わたしは、たちまち彼かれらをそこから逃にげ去さらせる。そしてわたしの選えらぶ者ものをその上うえに立たてる。だれかわたしのような者ものがあるであろうか。だれがわたしを呼よびつけることができようか。どの牧者ぼくしゃがわたしの前まえに立たつことができようか。50:45 それゆえ、バビロンに対たいして主しゅが立たてた計はかりごとと、カルデヤびとの地ちに対たいしてしようとする事ことを聞きくがよい。彼かれらの群むれのうちの小ちいさい者ものは、かならず引ひかれて行いく。彼かれらのおりのものも必かならずその終おわりを見みて恐おそれる。50:46 バビロンが取とられたとの声こえによって地ちは震ふるい、その叫さけびは国々くにぐにのうちに聞きこえる」。 第51章 51:1 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは、滅ほろぼす者ものの心こころを奮ふるい起おこして、バビロンを攻せめ、カルデヤに住すむ者ものを攻せめさせる。51:2 わたしはバビロンに、あおぎ分わける者ものをつかわす。彼かれらは、その災わざわいの日ひに、四方しほうからこれを攻せめ、それをあおぎ分わけて、その地ちをむなしくする。51:3 射手いてにはその弓ゆみを張はらせることなく、よろいを着きて立たち上あがらせるな。その若わかき者ものをあわれむことなく、その軍勢ぐんぜいをことごとく滅ほろぼせ。51:4 彼かれらはカルデヤびとの地ちに殺ころされて倒たおれ、そのちまたに傷きずついて倒たおれる。51:5 イスラエルとユダはその神かみ、万軍ばんぐんの主しゅに捨すてられてはいないが、しかしカルデヤびとの地ちにはイスラエルの聖者せいじゃに向むかって犯おかした罪つみが満みちている。 51:6 バビロンのうちからのがれ出でて、おのおのその命いのちを救すくえ。その罰ばつにまきこまれて断たち滅ほろぼされてはならない。今いまは主しゅがあだを返かえされる時ときだから、それに報復ほうふくをされるのである。51:7 バビロンは主しゅの手てのうちにある金きんの杯さかずきであって、すべての地ちを酔よわせた。国々くにぐにはその酒さけを飲のんだので、国々くにぐには狂くるった。51:8 バビロンはたちまち倒たおれて破やぶれた。これがために嘆なげけ。その傷きずのために乳香にゅうこうを取とれ。あるいは、いえるかも知しれない。51:9 われわれはバビロンをいやそうとしたが、これはいえなかった。われわれはこれを捨すてて、おのおの自分じぶんの国くにに帰かえろう。その罰ばつが天てんに達たっし、雲くもにまで及およんでいるからだ。51:10 主しゅはわれわれの正ただしいことを明あきらかにされた。さあ、われわれはシオンで、われわれの神かみ、主しゅのみわざを告つげ示しめそう。51:11 矢やをとぎ、 盾たてを取とれ。主しゅはメデアびとの王おうたちの心こころを引ひき立たてられる。主しゅのバビロンに思おもい図はかることは、これを滅ほろぼすことであり、主しゅがあだを返かえし、その宮みやのあだを返かえされるのである。 51:12 バビロンの城壁じょうへきに向むかって旗はたを立たて、見張みはりを強固きょうこにし、番兵ばんぺいを置おき、伏兵ふくへいを備そなえよ。主しゅがバビロンに住すむ者ものを攻せめようと図はかり、その言いわれたことを、いま行おこなわれるからだ。51:13 多おおくの水みずのほとりに住すみ、多おおくの財宝ざいほうを持もつ者ものよ、あなたの終おわりが来きて、その命いのちの糸いとは断たたれる。51:14 万軍ばんぐんの主しゅはみずからをさして誓ちかい、言いわれる、わたしは必かならずあなたのうちに、人ひとをいなごのように満みたす。彼かれらはあなたに向むかって、かちどきの声こえをあげる。 51:15 主しゅはその力ちからをもって地ちを造つくり、その知恵ちえをもって世界せかいを建たて、その悟さとりをもって天てんをのべられた。51:16 彼かれが声こえを出だされると、天てんに多おおくの水みずのざわめきがあり、また地ちの果はてから霧きりを立たちあがらせられる。彼かれは雨あめのためにいなびかりをおこし、その倉くらから風かぜを取とり出だされる。51:17 すべての人ひとは愚おろかで知恵ちえがなく、すべての金きん細工人ざいくにんはその造つくった偶像ぐうぞうのために恥はじをこうむる。その偶像ぐうぞうは偽いつわり物もので、そのうちに息いきがないからだ。51:18 それらは、むなしいもの、迷まよいのわざである。罰ばっせられる時ときになれば滅ほろびるものである。51:19 ヤコブの分ぶんである彼かれはこのようなものではない、彼かれは万物ばんぶつの造つくり主ぬしだからである。イスラエルは彼かれの嗣し業ぎょうとしての部族ぶぞくである。彼かれの名なは万軍ばんぐんの主しゅという。 51:20 おまえはわたしの鎚つちであり、戦たたかいの武器ぶきである。わたしはおまえをもってすべての国くにを砕くだき、おまえをもって万国ばんこくを滅ほろぼす。51:21 おまえをもってわたしは馬うまと、その騎手きしゅとを砕くだき、おまえをもって戦車せんしゃとそれに乗のる者ものとを砕くだく。51:22 わたしはおまえをもって男おとこと女おんなとを砕くだき、おまえをもって老おいた者ものと幼おさない者ものとを砕くだき、おまえをもって若わかい者ものと、おとめとを砕くだく。51:23 わたしはおまえをもって、羊飼ひつじかいと、その群むれとを砕くだき、おまえをもって農夫のうふと、くびきを負おう家畜かちくとを砕くだき、おまえをもっておさたちと、つかさたちとを砕くだく。51:24 わたしはバビロンとカルデヤに住すむすべての者ものとに、彼かれらがシオンで行いったもろもろの悪あしき事ことのために、あなたがたの目めの前まえで報むくいをすると、主しゅは言いわれる。 51:25 主しゅは言いわれる、全ぜん地ちを滅ほろぼし尽つくす滅ほろぼしの山やまよ、見みよ、わたしはおまえの敵てきとなる、わたしは手てをおまえの上うえに伸のべて、おまえを岩いわからころばし、おまえを焼やけ山やまにする。51:26 主しゅは言いわれる、人ひとがおまえから石いしを取とって、隅すみの石いしとすることなく、また礎いしずえとすることもない。おまえはいつまでも荒あれ地ちとなっている。51:27 地ちに旗はたを立たて、国々くにぐにのうちにラッパを吹ふき、国々くにぐにの民たみを集あつめてそれを攻せめ、アララテ、ミンニ、アシケナズの国々くにぐにをまねいてそれを攻せめ、軍ぐんの長ちょうを立たててそれを攻せめ、群むらがるいなごのように馬うまを上のぼり行いかせよ。51:28 国々くにぐにの民たみを集あつめてそれを攻せめ、メデアびとの王おうたちと、そのおさたち、つかさたち、およびすべての領地りょうちの人々ひとびとを集あつめてこれを攻せめよ。51:29 その地ちは震ふるい、かつもだえ苦くるしむ、主しゅがその思おもい図はかることをバビロンにおこない、バビロンの地ちを、住すむ人ひとなき荒あれ地ちとされるからだ。51:30 バビロンの勇士ゆうしたちは戦たたかいをやめて、その城しろにこもり、力ちからはうせて、女おんなのようになる。その家いえは焼やけ、その貫かんの木きは砕くだかれる。51:31 飛脚ひきゃくは走はしって飛脚ひきゃくに会あい、使者ししゃは走はしって使者ししゃに会あい、バビロンの王おうに告つげて、町まちはことごとく取とられ、51:32 渡わたし場ばは奪うばわれ、とりでは火ひで焼やかれ、兵士へいしはおびえていると言いう。51:33 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、バビロンの娘むすめは、打うち場ばのようだ、その踏ふまれる時ときが来きたのだ。しばらくしてその刈かり取とられる時ときが来くる」。 51:34 「バビロンの王おうネブカデレザルはわたしを食くい尽つくし、わたしを滅ほろぼし、わたしを、からの器うつわのようにし、龍りゅうのようにわたしを飲のみ、わたしのうまい物ものでその腹はらを満みたし、わたしを洗あらいざらいにした。51:35 わたしとわたしの肉親にくしんにおこなった暴虐ぼうぎゃくは、バビロンにふりかかる」とシオンに住すむ者ものは言いわなければならない。「わたしの血ちはカルデヤに住すむ者ものにふりかかる」とエルサレムは言いわなければならない。51:36 それゆえ主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしはあなたの訴うったえをただし、あなたのためにあだを返かえす。わたしはバビロンの海うみをかわかし、その泉いずみをかわかす。51:37 バビロンは荒塚あれづかとなり、山犬やまいぬのすまいとなり、驚おどろきとなり、笑わらいとなり、住すむ人ひとのない所ところとなる。51:38 彼かれらはししのように共ともにほえ、若わかいししのようにほえる。51:39 彼かれらの欲よくの燃もえている時とき、わたしは宴うたげを設もうけて彼かれらを酔よわせ、彼かれらがついに気きを失うしなって、ながい眠ねむりにいり、もはや目めをさますことのないようにしようと主しゅは言いわれる。51:40 わたしは彼かれらを小羊こひつじのように、また雄羊おひつじや雄おやぎのように、ほふり場ばに下くだらせよう。 51:41 ああ、バビロンはついに取とられた、全ぜん地ちの人ひとの、ほめたたえた者ものは捕とらえられた。ああ、バビロンはついに国々くにぐにのうちに驚おどろきとなった。51:42 海うみはバビロンにあふれかかり、どよめく波なみにおおわれた。51:43 その町々まちまちは荒あれて、かわいた地ちとなり、砂原すなはらとなり、住すむ人ひとのない地ちとなる。人ひとの子こはひとりとしてそこを過すぎることはない。51:44 わたしはバビロンでベルを罰ばっし、そののみこんだものを口くちから取とり出だす。国々くにぐにが川かわのように彼かれに流ながれ入いることはなくなる。バビロンの城壁じょうへきは倒たおれた。51:45 わが民たみよ、あなたがたはその中なかから出でて、おのおの主しゅの激はげしい怒いかりを免まぬかれ、その命いのちを救すくえ。51:46 心こころを弱よわくしてはならない、この地ちで聞きくうわさを恐おそれてはならない。うわさはこの年としにもくれば、また次つぎの年としにもくる。この地ちに暴虐ぼうぎゃくがあり、つかさとつかさとが攻せめあうことがある。51:47 それゆえ見みよ、わたしがバビロンの偶像ぐうぞうを罰ばっする日ひが来くる。その全ぜん地ちははずかしめられ、その殺ころされる者ものはみなその中なかに倒たおれる。51:48 天てんと地ちとそのうちにあるすべてのものはバビロンの事ことで喜よろこび歌うたう。滅ほろぼす者ものが北きたの方ほうからここに来くるからであると主しゅは言いわれる。51:49 イスラエルの殺ころされた者ものたちのために、バビロンは倒たおれなければならない、バビロンのために全ぜん地ちの殺ころされた者ものは倒たおれたのだ。 51:50 つるぎをのがれてきたあなたがたは、行いけ、立たちとどまってはならない。遠とおくから主しゅを覚おぼえ、エルサレムを心こころにとめよ。51:51 『われわれはののしりを聞きいたので、恥はじている。異邦人いほうじんが主しゅの宮みやの聖所せいじょにはいったので、恥はじがわれわれの顔かおをおおった』。 51:52 主しゅは言いわれる、それゆえ見みよ、わたしがその偶像ぐうぞうを罰ばっする日ひが来くる、傷きずつけられた者ものが、その全国ぜんこくにうめくようになる。51:53 たといバビロンが天てんに上のぼっても、その城しろを高たかくして固かためても、滅ほろぼす者ものはわたしから出でて、これに臨のぞむと主しゅは言いわれる。 51:54 聞きけ、バビロンの叫さけびを、カルデヤびとの地ちに起おこる大おおいなる滅ほろびの騒さわぎ声こえを。51:55 主しゅがバビロンを滅ほろぼし、その大おおいなる声こえを絶たやされるのだ。その波なみは大水おおみずのように鳴なりとどろき、その声こえはひびき渡わたる。51:56 滅ほろぼす者ものがこれに臨のぞみ、バビロンに来きた。その勇士ゆうしたちは捕とらえられ、その弓ゆみは折おられる。主しゅは報むくいをする神かみであるから必かならず報むくいられるのだ。51:57 わたしはその君きみたちと知者ちしゃたち、おさたち、つかさたち、および勇士ゆうしたちを酔よわせる。彼かれらは、ながい ねむりにいり、目めをさますことはない。万軍ばんぐんの主しゅと呼よばれる王おうがこれを言いわせる。51:58 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、バビロンの広ひろい城壁じょうへきは地ちにくずされ、その高たかい門もんは火ひに焼やかれる。こうして民たみの労苦ろうくはむなしくなり、国民こくみんはただ火ひのために疲つかれる」。51:59 マアセヤの子こであるネリヤの子こセラヤが、ユダの王おうゼデキヤと共ともに、その治世ちせいの四年ねんにバビロンへ行いくとき、預言者よげんしゃエレミヤがセラヤに命めいじた言葉ことば。セラヤは宿営しゅくえいの長ちょうであった。51:60 エレミヤはバビロンに臨のぞもうとするすべての災わざわいを巻物まきものにしるした。これはすなわちバビロンの事ことについてしるしたすべての言葉ことばである。51:61 エレミヤはセラヤに言いった、「あなたはバビロンへ行いったならば、忘わすれることなくこのすべての言葉ことばを読よみ、51:62 そして言いいなさい、『主しゅよ、あなたはこの所ところを滅ほろぼし、人ひとと獣けものとを問とわず、すべてここに住すむ者もののないようにし、永久えいきゅうにここを荒あれ地ちとしようと、この所ところについて語かたられました』と。51:63 あなたがこの巻物まきものを読よみ終おわったならば、これに石いしをむすびつけてユフラテ川かわの中なかに投なげこみ、51:64 そして言いいなさい、『バビロンはこのように沈しずんで、二度どと上あがってこない。わたしがこれに災わざわいを下くだすからである』と」。ここまではエレミヤの言葉ことばである。 第52章 52:1 ゼデキヤは王おうとなったとき二十一歳さいであったが、エルサレムで十一年ねん世よを治おさめた。母ははの名なはハムタルといい、リブナのエレミヤの娘むすめである。52:2 ゼデキヤはエホヤキムがすべて行いったように、主しゅの目めの前まえに悪事あくじを行おこなった。52:3 たしかに、主しゅの怒いかりによって、エルサレムとユダとは、そのみ前まえから捨すて去さられるようなことになった。 そしてゼデキヤはバビロンの王おうにそむいた。52:4 そこで彼かれの治世ちせいの九年ねん十月がつ十日かに、バビロンの王おうネブカデレザルはその軍勢ぐんぜいを率ひきい、エルサレムにきて、これを包囲ほういし、周囲しゅういに塁るいを築きずいてこれを攻せめた。52:5 こうしてこの町まちは攻せめ囲かこまれて、ゼデキヤ王おうの十一年ねんにまで及およんだが、52:6 その四月がつ九日かになって、町まちの中なかの食糧しょくりょうは、はなはだしく欠乏けつぼうし、その地ちの民たみは食物しょくもつを得えることができなくなった。52:7 そして町まちの城壁じょうへきはついに打うち破やぶられたので、兵士へいしたちはみな逃にげ、夜よるのうちに、王おうの園そのの近ちかくの、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちをのがれ出でて、カルデヤびとが、町まちを攻せめ囲かこんでいるうちに、アラバの方ほうへ落おちて行いった。52:8 しかしカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは王おうを追おって行いって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいついたが、彼かれの軍勢ぐんぜいがみな散ちって彼かれのそばを離はなれたので、52:9 カルデヤびとは王おうを捕とらえ、ハマテの地ちのリブラにいるバビロンの王おうのもとに引ひいていったので、王おうは彼かれの罪つみを定さだめた。52:10 すなわちバビロンの王おうはゼデキヤの子こたちをその目めの前まえで殺ころさせ、ユダのつかさたちをことごとくリブラで殺ころさせ、52:11 またゼデキヤの目めをつぶさせた。そしてバビロンの王おうは彼かれを鎖くさりにつないでバビロンへ連つれて行いき、その死しぬ日ひまで獄屋ごくやに入いれて置おいた。 52:12 五月がつ十日かに、――それはバビロンの王おうネブカデレザルの世よの十九年ねんであった――バビロンの王おうに仕つかえる侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはエルサレムに、はいって、52:13 主しゅの宮みやと王おうの宮殿きゅうでんを焼やき、エルサレムのすべての家いえを焼やいた。彼かれは大おおきな家いえをみな焼やきはらった。52:14 また侍衛じえいの長ちょうと共ともにいたカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは、エルサレムの周囲しゅういの城壁じょうへきをみな取とりこわした。52:15 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは民たみのうちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかん、そのほか町まちのうちに残のこった者もの、およびバビロンの王おうにくだった人ひと、その他た工 こうしょうたちを捕とらえ移うつした。52:16 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはその地ちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかんを残のこして、ぶどうを作つくる者ものとし、農夫のうふとした。 52:17 カルデヤびとはまた主しゅの宮みやの青銅せいどうの柱はしらと、洗盤せんばんの台だいと、青銅せいどうの海うみを砕くだいて、その青銅せいどうをことごとくバビロンへ運はこび、52:18 また、つぼと、十能じゅうのうと、心切しんきりばさみと、鉢はちと、香こうを盛もる皿さらおよび宮みやの勤つとめに用もちいる青銅せいどうの器うつわをことごとく取とって行いった。52:19 また彼かれらは小鉢こばちと、心取しんとり皿ざらと、鉢はちと、つぼと、燭台しょくだいと、香こうを盛もる皿さらと、灌祭かんさいの鉢はちを取とった。金きんで作つくった物ものは金きんとして、銀ぎんで作つくった物ものは銀ぎんとして、侍衛じえいの長ちょうは運はこび去さった。52:20 ソロモン王おうが主しゅの宮みやに造つくった二本ほんの柱はしらと、一つの海うみと、海うみの下したの十二の青銅せいどうの牛うしと、台だいなど、このすべての物ものの青銅せいどうの重おもさは量はかることもできなかった。52:21 この一本ぽんの柱はしらの高たかさは十八キュビト、周囲しゅういは十二キュビトで、指ゆび四本ほんの厚あつさがあり、中なかは、うつろであった。52:22 その上うえに青銅せいどうの柱頭ちゅうとうがあり、柱頭ちゅうとうの高たかさは五キュビト、柱頭ちゅうとうの周囲しゅういは網あみ細工ざいくと、ざくろとで飾かざり、これらもみな青銅せいどうであった。他たの柱はしらもそのざくろも、これと同おなじであった。52:23 その四方しほうに九十六個このざくろがあり、周囲しゅういの網あみ細工ざいくの上うえにあるざくろの数かずは百個こであった。 52:24 侍衛じえいの長ちょうは祭司さいし長ちょうセラヤと次席じせきの祭司さいしゼパニヤと三人にんの門もんを守まもる者ものを捕とらえ、52:25 また兵士へいしをつかさどるひとりの役人やくにんと、町まちにいた王おうの側近そっきんの者もの七人にんと、その地ちの民たみを募つのる軍勢ぐんぜいの長ちょうの書記官しょきかんと、町まちの中なかにいた六十人にんの者ものを町まちから捕とらえ去さった。52:26 侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、これらの人ひとを捕とらえて、リブラにいるバビロンの王おうのもとに連つれて行いった。52:27 バビロンの王おうは、ハマテの地ちのリブラで彼かれらを撃うち殺ころした。こうして、ユダは自分じぶんの地ちから捕とらえ移うつされた。 52:28 ネブカデレザルが捕とらえ移うつした民たみの数かずは次つぎのとおりである。第だい七年ねんにはユダヤ人ひと三千二十三人にん。52:29 またネブカデレザルはその第だい十八年ねんにエルサレムから八百三十二人にんを捕とらえ移うつした。52:30 ネブカデレザルの二十三年ねんに侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、ユダヤ人ひと七百四十五人にんを捕とらえ移うつした。この総数そうすうは四千六百人にんであった。 52:31 ユダの王おうエホヤキンが捕とらえ移うつされて後のち三十七年ねんの十二月がつ二十五日にちに、バビロンの王おうエビルメロダクはその即位そくいの年ねんに、ユダの王おうエホヤキンを獄屋ごくやから出だし、そのこうべを挙あげさせ、52:32 親切しんせつに彼かれを慰なぐさめ、その位くらいを、バビロンで共ともにいる王おうたちの位くらいよりも高たかくした。52:33 こうしてエホヤキンは獄屋ごくやの服ふくを脱ぬいだ。そして生いきている間あいだは毎日まいにち王おうの食卓しょくたくで食事しょくじし、52:34 彼かれの給与きゅうよとしては、その死しぬ日ひまで一生いっしょうの間あいだ、たえず日々ひびの必要ひつようにしたがって、バビロンの王おうから給与きゅうよを賜たまわった。
42:1 そのとき軍勢ぐんぜいの長ちょうたち、およびカレヤの子こヨハナンと、ホシャヤの子こアザリヤ、ならびに民たみの最もっとも小ちいさい者ものから最もっとも大おおいなる者ものにいたるまで、
42:2 みな預言者よげんしゃエレミヤの所ところに来きて言いった、「どうかあなたの前まえにわれわれの求もとめが受うけいれられますように。われわれのため、この残のこっている者ものすべてのために、あなたの神かみ、主しゅに祈いのってください、(今いまごらんのとおり、われわれは多おおくのうち、わずかに残のこっている者ものです)
42:3 そうすれば、あなたの神かみ、主しゅは、われわれの行いくべき道みちと、なすべき事ことをお示しめしになるでしょう」。
42:4 預言者よげんしゃエレミヤは彼かれらに言いった、「よくわかりました。あなたがたの求もとめにしたがって、あなたがたの神かみ、主しゅに祈いのりましょう。主しゅがあなたがたに答こたえられることを、何事なにごとも隠かくさないであなたがたに言いいましょう」。
42:5 彼かれらはエレミヤに言いった、「もし、あなたの神かみ、主しゅがあなたをつかわしてお告つげになるすべての言葉ことばを、われわれが行おこなわないときは、どうか主しゅがわれわれに対たいしてまことの真実しんじつな証人しょうにんとなられるように。
42:6 われわれは良よくても悪わるくても、われわれがあなたをつかわそうとするわれわれの神かみ、主しゅの声こえに従したがいます。われわれの神かみ、主しゅの声こえに従したがうとき、われわれは幸さいわいを得えるでしょう」。
42:7 十日かの後のち、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ。
42:8 エレミヤはカレヤの子こヨハナンおよび彼かれと共ともにいる軍勢ぐんぜいの長ちょうたち、ならびに民たみの最もっとも小ちいさい者ものから最もっとも大おおいなる者ものまでことごとく招まねいて、
42:9 彼かれらに言いった、「あなたがたがわたしをつかわして、あなたの祈願きがんをその前まえにのべさせたイスラエルの神かみ、主しゅはこう言いわれます、
42:10 もしあなたがたがこの地ちにとどまるならば、わたしはあなたがたを建たてて倒たおすことなく、あなたがたを植うえて抜ぬくことはしない。わたしはあなたがたに災わざわいを下くだしたことを悔くいているからである。
42:11 主しゅは言いわれる、あなたが恐おそれているバビロンの王おうを恐おそれてはならない。彼かれを恐おそれてはならない、わたしが共ともにいて、あなたがたを救すくい、彼かれの手てから助たすけ出だすからである。
42:12 わたしはあなたがたをあわれみ、また彼かれにあなたがたをあわれませ、あなたがたを自分じぶんの地ちにとどまらせる。
42:13 しかし、もしあなたがたが、『われわれはこの地ちにとどまらない』といって、あなたがたの神かみ、主しゅの声こえにしたがわず、
42:14 また、『いいえ、われわれはあの戦争せんそうを見みず、ラッパの声こえを聞きかず、食物しょくもつも乏とぼしくないエジプトの地ちへ行いって、あそこに住すまおう』と言いうならば、
42:15 あなたがた、ユダの残のこっている者ものたちよ、主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、もしあなたがたがむりにエジプトへ行いってそこに住すむならば、
42:16 あなたがたの恐おそれているつるぎはエジプトの地ちであなたがたに追おいつき、あなたがたの恐おそれているききんは、すぐあとを追おってエジプトまで行いき、その所ところであなたがたは死しぬ。
42:17 すべてむりにエジプトへ行いってそこに住すむ者ものは、つるぎと、ききんと、疫病えきびょうで死しぬ。わたしが彼かれらに下くだそうとしている災わざわいをのがれて残のこる者ものはそのうちにない。
42:18 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、わたしの怒いかりと憤いきどおりとをエルサレムの住民じゅうみんの上うえに注そそいだように、わたしの憤いきどおりは、あなたがたがエジプトへ行いくとき、あなたがたの上うえに注そそぐ。あなたがたは、のろいとなり、恐怖きょうふとなり、ののしりとなり、はずかしめとなる。あなたがたは再ふたたびこの所ところを見みることができない。
42:19 ユダの残のこっている者ものたちよ、『エジプトへ行いってはならない』と主しゅはあなたがたに言いわれた。わたしがきょう警告けいこくしたことを、あなたがたは確たしかに知しらなければならない。
42:20 あなたがたはみずからそむき去さって、命いのちを失うしなった。なぜなら、あなたがたがわたしをあなたがたの神かみ、主しゅにつかわし、『われわれの神かみ、主しゅに祈いのり、われわれの神かみ、主しゅの言いわれることをことごとく示しめしてください。われわれはそれを行おこないます』と言いったので、
42:21 わたしはきょうそれを示しめしたが、あなたがたはあなたがたの神かみ、主しゅの声こえを聞きかず、主しゅがわたしをつかわして命めいじさせられた事ことには、すこしも従したがわなかったからである。
42:22 それゆえ、あなたがたが行いって住すまうことを願ねがっているその所ところで、あなたがたはつるぎと、ききんと、疫病えきびょうで死しぬことを確たしかに知しらなければならない」。
第43章 43:1 エレミヤがすべての民たみにむかって、彼かれらの神かみ、主しゅの言葉ことばをことごとく語かたり、彼かれらの神かみ、主しゅが自分じぶんをつかわして言いわせられるその言葉ことばをみな告つげ終おわった時とき、43:2 ホシャヤの子こアザリヤと、カレヤの子こヨハナンおよび高慢こうまんな人々ひとびとはみなエレミヤに言いった、「あなたは偽いつわりを言いっている。われわれの神かみ、主しゅが、『エジプトへ行いってそこに住すむな』と言いわせるためにあなたをつかわされたのではない。43:3 ネリヤの子こバルクがあなたをそそのかして、われわれに逆さからわせ、われわれをカルデヤびとの手てに渡わたして殺ころすか、あるいはバビロンに捕とらえ移うつさせるのだ」。43:4 こうしてカレヤの子こヨハナンと軍勢ぐんぜいの長ちょうたちおよび民たみらは皆みな、主しゅの声こえにしたがわず、ユダの地ちにとどまろうとしなかった。43:5 そしてカレヤの子こヨハナンと軍勢ぐんぜいの長ちょうたちは、ユダに残のこっている者ものすなわち追おいやられた国々くにぐにからユダの地ちに住すむために帰かえってきた者もの、――43:6 男おとこ、女おんな、子供こども、王おうの娘むすめたち、およびすべて侍衛じえいの長ちょうネブザラダンがシャパンの子こであるアヒカムの子こゲダリヤに渡わたしておいた者もの、ならびに預言者よげんしゃエレミヤとネリヤの子こバルクをつれて、43:7 エジプトの地ちへ行いった。彼かれらは主しゅの声こえにしたがわなかったのである。そして彼かれらはついにタパネスに行いった。 43:8 主しゅの言葉ことばはタパネスでエレミヤに臨のぞんだ、43:9 「大おおきな石いしを手てに取とり、ユダの人々ひとびとの目めの前まえで、これをタパネスにあるパロの宮殿きゅうでんの入口いりぐちの敷石しきいしのしっくいの中なかに隠かくして、43:10 彼かれらに言いいなさい、『万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、見みよ、わたしは使者ししゃをつかわして、わたしのしもべであるバビロンの王おうネブカデレザルを招まねく。彼かれはその位くらいをこの隠かくした石いしの上うえにすえ、その上うえに王おうの天蓋てんがいを張はる。43:11 彼かれは来きてエジプトの地ちを撃うち、疫病えきびょうに定さだまっている者ものを疫病えきびょうに渡わたし、とりこに定さだまっている者ものをとりこにし、つるぎに定さだまっている者ものをつるぎにかける。43:12 彼かれはエジプトの神々かみがみの宮みやに火ひをつけてこれを焼やき、彼かれらをとりこにする。そして羊ひつじを飼かう者ものが着物きものの虫むしをはらいきよめるように、エジプトの地ちをきよめる。彼かれは安やすらかにそこを去さる。43:13 彼かれはエジプトの地ちにあるヘリオポリスのオベリスクをこわし、エジプトの神々かみがみの宮みやを火ひで焼やく』」。 第44章 44:1 エジプトの地ちに住すんでいるユダヤ人ひとすなわちミグドル、タパネス、メンピス、パテロスの地ちに住すむ者ものの事ことについてエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば、44:2 「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、あなたがたはわたしがエルサレムとユダの町々まちまちに下くだした災わざわいを見みた。見みよ、これらは今日こんにち、すでに荒あれ地ちとなって住すむ人ひともない。44:3 これは彼かれらが悪あくを行いって、わたしを怒いからせたことによるのである。すなわち彼かれらは自分じぶんも、あなたがたも、あなたがたの先祖せんぞたちも知しらなかった、ほかの神々かみがみに行いって、香こうをたき、これに仕つかえた。44:4 わたしは自分じぶんのしもべであるすべての預言者よげんしゃたちを、しきりにあなたがたにつかわして、『どうか、わたしの忌いみきらうこの憎にくむべき事ことをしないように』と言いわせたけれども、44:5 彼かれらは聞きかず、耳みみを傾かたむけず、ほかの神々かみがみに香こうをたいて、その悪あくを離はなれなかった。44:6 それゆえ、わたしは怒いかりと憤いきどおりをユダの町々まちまちとエルサレムのちまたに注そそぎ、それを焼やいたので、それらは今日こんにちのように荒あれ、滅ほろびてしまった。44:7 万軍ばんぐんの神かみ、イスラエルの神かみ、主しゅは今いまこう言いわれる、あなたがたはなぜ大おおいなる悪あくを行いって自分じぶん自身じしんを害がいし、ユダのうちから、あなたがたの男おとこと女おんなと、子供こどもと乳ちのみ子ごを断たって、ひとりも残のこらないようにしようとするのか。44:8 なぜあなたがたはその手てのわざをもってわたしを怒いからせ、あなたがたが行いって住すまうエジプトの地ちで、ほかの神々かみがみに香こうをたいて自分じぶんの身みを滅ほろぼし、地ちの万国ばんこくのうちに、のろいとなり、はずかしめとなろうとするのか。44:9 ユダの地ちとエルサレムのちまたで行いったあなたがたの先祖せんぞたちの悪あく、ユダの王おうたちの悪あく、その妻つまたちの悪あく、およびあなたがた自身じしんの悪あく、あなたがたの妻つまたちの悪あくをあなたがたは忘わすれたのか。44:10 彼かれらは今日こんにちに至いたるまで悔くいず、また恐おそれず、あなたがたとあなたがたの先祖せんぞたちの前まえに立たてた、わたしの律法りっぽうとわたしの定さだめとに従したがって歩あゆまないのである。 44:11 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、見みよ、わたしは顔かおをあなたがたに向むけて災わざわいを下くだし、ユダの人々ひとびとをことごとく断たつ。44:12 またわたしは、エジプトの地ちに住すむために、むりに行いったあのユダの残のこりの者ものを取とり除のぞく。彼かれらはみな滅ほろぼされてエジプトの地ちに倒たおれる。彼かれらは、つるぎとききんに滅ほろぼされ、最もっとも小ちいさい者ものから最もっとも大おおいなる者ものまで、つるぎとききんによって死しぬ。そして、のろいとなり、恐怖きょうふとなり、ののしりとなり、はずかしめとなる。44:13 わたしはエルサレムを罰ばっしたように、つるぎと、ききんと、疫病えきびょうをもってエジプトに住すんでいる者ものを罰ばっする。44:14 それゆえ、エジプトの地ちへ行いってそこに住すんでいるユダの残のこりの者もののうち、のがれ、または残のこって、帰かえり住すまおうと願ねがうユダの地ちへ帰かえる者ものはひとりもない。少数しょうすうののがれる者もののほかには、帰かえってくる者ものはない」。 44:15 その時とき、自分じぶんの妻つまがほかの神々かみがみに香こうをたいたことを知しっている人々ひとびと、およびその所ところに立たっている女おんなたちの大おおいなる群衆ぐんしゅう、ならびにエジプトの地ちのパテロスに住すんでいる民たみはエレミヤに答こたえて言いった、44:16 「あなたが主しゅの名なによってわたしたちに述のべられた言葉ことばは、わたしたちは聞きくことができません。44:17 わたしたちは誓ちかったことをみな行おこない、わたしたちが、もと行いっていたように香こうを天后てんこうにたき、また酒さけをその前まえに注そそぎます。すなわち、ユダの町々まちまちとエルサレムのちまたで、わたしたちとわたしたちの先祖せんぞたちおよびわたしたちの王おうたちと、わたしたちのつかさたちが行いったようにいたします。その時ときには、わたしたちは糧食りょうしょくには飽あき、しあわせで、災わざわいに会あいませんでした。44:18 ところが、わたしたちが、天后てんこうに香こうをたくことをやめ、酒さけをその前まえに注そそがなくなった時ときから、すべての物ものに乏とぼしくなり、つるぎとききんに滅ほろぼされました」。44:19 また女おんなたちは言いった、「わたしたちが天后てんこうに香こうをたき、酒さけをその前まえに注そそぐに当あたって、これにかたどってパンを つくり、酒さけを注そそいだのは、わたしたちの夫おっとが許ゆるしたことではありませんか」。 44:20 そこでエレミヤは男女だんじょのすべての人ひと、およびこの答こたえをしたすべての民たみに言いった、44:21 「ユダの町々まちまちとエルサレムのちまたで、あなたがたとあなたがたの先祖せんぞたち、およびあなたがたの王おうたちとあなたがたのつかさたち、およびその地ちの民たみが香こうをたいたことは、主しゅがこれを忘わすれず、また、心こころにとどめておられることではないか。44:22 主しゅはあなたがたの悪あしきわざのため、あなたがたの憎にくむべき行おこないのために、もはや忍しのぶことができなくなられた。それゆえ、あなたがたの地ちは今日こんにちのごとく荒あれ地ちとなり、驚おどろきとなり、のろいとなり、住すむ人ひとのない地ちとなった。44:23 あなたがたが香こうをたき、主しゅに罪つみを犯おかし、主しゅの声こえに聞きき従したがわず、その律法りっぽうと、定さだめと、あかしに従したがって歩あゆまなかったので、今日こんにちのようにこの災わざわいがあなたがたに臨のぞんだのである」。 44:24 エレミヤはまたすべての民たみと女おんなたちに言いった、「あなたがたすべてエジプトの地ちにいるユダの人々ひとびとよ、主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。44:25 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、あなたがたとあなたがたの妻つまたちは口くちで言いい、手てで行おこない、『わたしたちは天后てんこうに香こうをたき、酒さけを注そそいで立たてた誓ちかいを必かならずなし遂とげる』と言いう。それならば、あなたがたの誓ちかいをかため、あなたがたの誓ちかいをなし遂とげなさい。44:26 それゆえ、あなたがたすべてエジプトの地ちにいるユダの人々ひとびとよ、主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。主しゅは言いわれる、わたしは自分じぶんの大おおいなる名なをさして誓ちかう、すなわちエジプトの全ぜん地ちに、ユダの人々ひとびとで、その口くちに、『主しゅなる神かみは生いきておられる』と言いって、わたしの名なをとなえるものは、もはやひとりもないようになる。44:27 見みよ、わたしは彼かれらを見守みまもっている、それは幸さいわいを与あたえるためではなく、災わざわいを下くだすためである。エジプトの地ちにいるユダの人々ひとびとは、つるぎとききんによって滅ほろび絶たえる。44:28 しかし、つるぎをのがれるわずかの者ものはエジプトの地ちを出でてユダの地ちに帰かえる。そしてユダの残のこっている民たみでエジプトに来きて住すんだ者ものは、わたしの言葉ことばが立たつか、彼かれらの言葉ことばが立たつか、いずれであるかを知しるようになる。44:29 主しゅは言いわれる、わたしがこの所ところであなたがたを罰ばっするしるしはこれである。わたしはこのようにしてわたしがあなたがたに災わざわいを下くだそうと言いった事ことの必かならず立たつことを知しらせよう。44:30 すなわち主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしはユダの王おうゼデキヤを、その命いのちを求もとめる敵てきであるバビロンの王おうネブカデレザルの手てに渡わたしたように、エジプトの王おうパロ・ホフラをその敵てきの手て、その命いのちを求もとめる者ものの手てに渡わたす」。 第45章 45:1 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの四年ねんに、ネリヤの子こバルクがこれらの言葉ことばをエレミヤの口述こうじゅつにしたがって書しょにしるした時とき、預言者よげんしゃエレミヤが彼かれに語かたった言葉ことば、45:2 「バルクよ、イスラエルの神かみ、主しゅはあなたについてこう言いわれる、45:3 あなたはかつて、『ああ、わたしはわざわいだ、主しゅがわたしの苦くるしみに悲かなしみをお加くわえになった。わたしは嘆なげき疲つかれて、安息あんそくが得えられない』と言いった。45:4 あなたはこう彼かれに言いいなさい、主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしは自分じぶんで建たてたものをこわし、自分じぶんで植うえたものを抜ぬいている――それは、この全ぜん地ちである。45:5 あなたは自分じぶんのために大おおいなる事ことを求もとめるのか、これを求もとめてはならない。見みよ、わたしはすべての人ひとに災わざわいを下くだそうとしている。しかしあなたの命いのちはあなたの行ゆくすべての所ところで、ぶんどり物ものとしてあなたに与あたえると主しゅは言いわれる」。 第46章 46:1 もろもろの国くにの事ことについて預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ主しゅの言葉ことば。 46:2 エジプトの事こと、すなわちユフラテ川かわのほとりにあるカルケミシの近ちかくにいるエジプトの王おうパロ・ネコの軍勢ぐんぜいの事ことについて。これはユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの四年ねんに、バビロンの王おうネブカデレザルが撃うち破やぶったものである。その言葉ことばは次つぎのとおりである、 46:3 「大盾おおだてと小盾こだてとを備そなえ、進すすんで戦たたかえ。46:4 騎兵きへいよ、馬うまを戦車せんしゃにつなぎ、馬うまに乗のれ。かぶとをかぶって立たて。ほこをみがき、よろいを着きよ。46:5 わたしは見みたが、何なにゆえか彼かれらは恐おそれて退しりぞき、その勇士ゆうしたちは打うち敗やぶられ、あわてて逃にげて、うしろをふり向むくこともしない、――恐おそれが彼かれらの周囲しゅういにあると主しゅは言いわれる。46:6 足早あしばやき者ものも逃にげることができず、勇士ゆうしものがれることができない。北きたの方ほう、ユフラテ川かわのほとりで彼かれらはつまずき倒たおれた。 46:7 あのナイル川かわのようにわきあがり、川々かわがわのように、その水みずのさかまく者ものはだれか。46:8 エジプトはナイル川かわのようにわきあがり、その水みずは川々かわがわのようにさかまく。そしてこれは言いう、わたしは上のぼって、地ちをおおい、町々まちまちとそのうちに住すむ者ものを滅ほろぼそう。46:9 馬うまよ、進すすめ、車くるまよ、激はげしく走はしれ。勇士ゆうしよ、盾たてを取とるエチオピヤびとと、プテびとよ、弓ゆみを巧たくみに引ひくルデびとよ、進すすみ出でよ。46:10 その日ひは万軍ばんぐんの神かみ、主しゅの日ひであって、主しゅがあだを報むくいられる日ひ、その敵てきにあだをかえされる日ひだ。つるぎは食たべて飽あき、彼かれらの血ちに酔よう。万軍ばんぐんの神かみ、主しゅが、北きたの地ちで、ユフラテ川かわのほとりで、ほふることをなされるからだ。46:11 おとめなるエジプトの娘むすめよ、ギレアデに上のぼって乳香にゅうこうを取とれ。あなたは多おおくの薬くすりを用もちいても、むだだ。あなたは、いやされることはない。46:12 あなたの恥はじは国々くにぐにに聞きこえている、あなたの叫さけびは地ちに満みちている。勇士ゆうしが勇士ゆうしにつまずいて、共ともに倒たおれたからである」。46:13 バビロンの王おうネブカデレザルが来きて、エジプトの地ちを撃うとうとする事ことについて、主しゅが預言者よげんしゃエレミヤにお告つげになった言葉ことば、 46:14 「エジプトで宣のべ、ミグドルで告つげ示しめし、またメンピスとタパネスに告つげ示しめして言いえ、『堅かたく立たって、備そなえせよ、つるぎがあなたの周囲しゅういを、滅ほろぼし尽つくすからだ』。46:15 なぜ、アピスはのがれたのか。あなたの雄牛おうしは、なぜ立たたなかったのか。それは主しゅがこれを倒たおされたからだ。46:16 あなたに属ぞくする多おおくの兵へいは、つまずいて倒たおれた。そして互たがいに言いった、『立たてよ、われわれは、しえたげる者もののつるぎを避さけて、われわれの民たみに帰かえり、故郷こきょうの地ちへ行いこう』と。46:17 エジプトの王おうパロの名なを、『好機こうきを逸いっする騒さわがしい者もの』と呼よべ。 46:18 万軍ばんぐんの主しゅという名なの王おうは言いわれる、わたしは生いきている、彼かれは山々やまやまのうちのタボルのように、海うみのほとりのカルメルのように来きたり臨のぞむ。46:19 エジプトに住すむ民たみよ、捕とらわれのために荷物にもつを備そなえよ。メンピスは荒あれ地ちとなり、廃虚はいきょとなって住すむ人ひともなくなる。46:20 エジプトは美うつくしい雌めすの子こ牛うしだ、しかし北きたから、牛うしばえが来きて、それにとまった。46:21 そのうちにいる雇やとい兵へいでさえ、肥こえた子こ牛うしのようだ。彼かれらはふり返かえって共ともに逃にげ、立たつことをしなかった。彼かれらの災難さいなんの日ひ、その罰ばっせられる時ときが来きたからだ。46:22 彼かれは逃にげ去さるへびのような音おとをたてる。その敵てきが軍勢ぐんぜいを率ひきいて彼かれに臨のぞみ、きこりのように、おのをもって来くるからだ。46:23 彼かれらは彼かれの林はやしがいかに入いり込こみがたくとも、それを切きり倒たおす。彼かれらはいなごよりも多おおく、数かぞえがたいからであると、主しゅは言いわれる。46:24 エジプトの娘むすめははずかしめを受うけ、北きたからくる民たみの手てに渡わたされる」。46:25 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみは言いわれた、「見みよ、わたしはテーベのアモンと、パロと、エジプトとその神々かみがみとその王おうたち、すなわちパロと彼かれを頼たのむ者ものとを罰ばっする。46:26 わたしは彼かれらを、その命いのちを求もとめる者ものの手てと、バビロンの王おうネブカデレザルの手てと、その家来けらいたちの手てに渡わたす。その後のち、エジプトは昔むかしのように人ひとの住すむ所ところとなると、主しゅは言いわれる。 46:27 わたしのしもべヤコブよ、恐おそれることはない、イスラエルよ、驚おどろくことはない。見みよ、わたしがあなたを遠とおくから救すくい、あなたの子孫しそんをその捕とらえ移うつされた地ちから救すくうからだ。ヤコブは帰かえってきて、おだやかに、安やすらかになり、彼かれを恐おそれさせる者ものはない。46:28 主しゅは言いわれる、わたしのしもべヤコブよ、恐おそれることはない、わたしが共ともにいるからだ。わたしはあなたを追おいやった国々くにぐにをことごとく滅ほろぼし尽つくす。しかしあなたを滅ほろぼし尽つくすことはしない。わたしは正ただしい道みちに従したがって、あなたを懲こらしめる、決けっして罰ばっしないではおかない」。 第47章 47:1 パロがまだガザを撃うたなかったころ、ペリシテびとの事ことについて預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ主しゅの言葉ことば。 47:2 「主しゅはこう言いわれる、見みよ、水みずは北きたから起おこり、あふれ流ながれて、この地ちと、そこにあるすべての物もの、その町まちと、その中なかに住すむ者ものとにあふれかかる。その時とき、人々ひとびとは叫さけび、この地ちに住すむ者ものはみな嘆なげく。47:3 そのたくましい馬うまのひずめの踏ふみ鳴ならす音おとのため、その戦車せんしゃの響ひびきのため、その車輪しゃりんのとどろきのために、父ちちはその手てが弱よわくなって、自分じぶんの子こをも顧かえりみない。47:4 これは、ペリシテびとを滅ほろぼし尽つくし、ツロとシドンに残のこって助たすけをなす者ものをことごとく絶たやす日ひが来くるからである。主しゅはカフトルの海岸かいがんに残のこっているペリシテびとを滅ほろぼされる。47:5 ガザには髪かみをそることが始はじまっている。アシケロンは滅ほろびた。アナクびとの残のこりの民たみよ、いつまで自分じぶんの身みに傷きずつけるのか。47:6 主しゅのつるぎよ、おまえはいつになれば静しずかになるのか。おまえのさやに帰かえり、休やすんで静しずかにしておれ。47:7 主しゅがこれに命いのちを下くだされたのだ、どうして静しずかにしておれようか。アシケロンと海岸かいがんの地ちを攻せめることを定さだめられたのだ」。 第48章 48:1 モアブの事ことについて、万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、 「ああ、ネボはわざわいだ、これは滅ほろぼされた。キリヤタイムははずかしめられて取とられ、とりでは、はずかしめられてこわされた。48:2 モアブの誉ほまれは、消きえ去さった。ヘシボンで人々ひとびとはモアブの害がいを図はかり、『さあ、この国くにを断たち滅ほろぼそう』という。マデメンよ、おまえもまた滅ほろぼされる、つるぎがおまえを追おう。 48:3 ホロナイムから叫さけび声ごえが聞きこえる、『荒廃こうはいと大おおいなる滅亡めつぼうだ』という。48:4 モアブは滅ほろぼされ、叫さけびはゾアルにまで聞きこえる。48:5 彼かれらは泣なきながらルヒテの坂さかを登のぼる。彼かれらはホロナイムの下くだり坂ざかで、『滅亡めつぼう』の叫さけびを聞きいたからだ。48:6 逃にげて、自分じぶんの身みを救すくえ、荒野あらのの野のろばのようになれ。48:7 おまえが、とりでと財宝ざいほうとを頼たのみにしたので、おまえも捕とらえられるからだ。またケモシは、その祭司さいしとつかさたちと共ともに、捕とらえられて行いく。48:8 滅ほろぼす者ものはすべての町まちに来くる、一つの町まちものがれることができない。谷たには滅ほろび、平地へいちは荒あらされる、主しゅの言いわれたとおりである。48:9 モアブに翼つばさを与あたえて、飛とび去さらせよ。その町々まちまちは荒あれて、住すむ者ものはなくなる。48:10 主しゅのわざを行おこなうことを怠おこたる者ものはのろわれる。またそのつるぎを押おさえて血ちを流ながさない者ものはのろわれる。48:11 モアブはその幼おさない時ときから安やすらかで、酒さけが、沈しずんだおりの上うえにとどまって、器うつわから器うつわに、くみ移うつされなかったように、捕とらえ移うつされなかったので、その味あじはなお存そんし、その香気こうきも変かわることがない。48:12 主しゅは言いわれる、それゆえ見みよ、わたしがこれを傾かたむける者ものどもをつかわす日ひが来くる。彼かれらはこれを傾かたむけ、その器うつわをあけ、そのかめを砕くだく。48:13 その時ときモアブはケモシのために恥はじをかく。ちょうどイスラエルの家いえがその頼たのみとしたベテルのために恥はじをかいたようになる。48:14 あなたがたはどうして『われわれは勇士ゆうしだ。強つよい戦士せんしだ』というのか。48:15 モアブとその町々まちまちを滅ほろぼす者ものは上のぼって来き、モアブのえり抜ぬきの若者わかものたちは下くだって殺ころされたと万軍ばんぐんの主しゅと名なのる王おうが言いわれる。48:16 モアブの災難さいなんは近ちかづいている、その苦難くなんはすみやかに来くる。48:17 すべてその周囲しゅういにある者ものよ、またその名なを知しる者ものよ、彼かれのために嘆なげいて、『ああ、強つよき笏しゃく、麗うるわしきつえは、ついに折おれた』と言いえ。 48:18 デボンに住すむ者ものよ、ああなたの栄さかえを離はなれて下くだり、かわいた地ちに座ざせよ。モアブを滅ほろぼす者ものがあなたに攻せめのぼって来きて、あなたの城しろを滅ほろぼしたからだ。48:19 アロエルに住すむ者ものよ、道みちのかたわらに立たって見張みはりし、逃にげてくる男おとこ、のがれてくる女おんなに尋たずねて、『何なにが起おこったのか』と言いえ。48:20 モアブは敗やぶれて、恥はじをこうむっている。嘆なげき呼よばわれ。アルノン川かわのほとりで、モアブは滅ほろぼされたと告つげよ。48:21 さばきは高原こうげんの地ちに臨のぞみ、ホロン、ヤハズ、メパアテ、48:22 デボン、ネボ、ベテ・デブラタイム、48:23 キリヤタイム、ベテ・ガムル、ベテ・メオン、48:24 ケリオテ、ボズラなどモアブの地ちのすべての町まちの、遠とおいものにも近ちかいものにも、臨のぞんだ。48:25 モアブの角つのは砕くだけ、その腕うでは折おれたと主しゅは言いわれる。 48:26 モアブを酔よわせよ、彼かれが主しゅに敵てきして自みずから高たかぶったからである。モアブは自分じぶんの吐はいた物ものの中なかにころがって、笑わらい草ぐさとなる。48:27 イスラエルはあなたの笑わらい草ぐさではなかったか。あなたが、彼かれのことを語かたるごとに首くびを振ふったのは、彼かれが盗賊とうぞくの中なかにいたとでもいうのか。48:28 モアブに住すむ者ものよ、町まちを去さって岩いわの間あいだに住すめ。谷たにの入口いりぐちのかたわらに巣すを作つくる山やまばとのようにせよ。48:29 われわれはモアブの高慢こうまんな事ことを聞きいた、その高慢こうまんは、はなはだしい。すなわち、その尊大そんだい、高慢こうまん、横柄おうへい、およびその心こころの高たかぶりのことを聞きいた。48:30 主しゅは言いわれる、わたしは彼かれの横着おうちゃくなのを知しる、彼かれの自慢じまんは偽いつわりで、その行おこないも偽いつわりである。48:31 それゆえ、わたしはモアブのために嘆なげき、モアブの全ぜん地ちのために呼よばわる。キルヘレスの人々ひとびとのためにわたしは悲かなしむ。48:32 シブマのぶどうの木きよ、わたしはヤゼルのために泣なくのにまさっておまえのために泣なく。おまえのつるは延のびて海うみを越こえ、ヤゼルに及およんだ。おまえの夏なつの実みと、その収穫しゅうかくを滅ほろぼす者ものが襲おそってきた。48:33 喜よろこびと楽たのしみは、実みのり多おおいモアブの地ちを去さった。わたしは、ぶどうをしぼる所ところにも酒さけをなくした。楽たのしく呼よばわって、ぶどうを踏ふむ者ものもなくなった。呼よばわっても、喜よろこんで呼よばわる声こえではない。48:34 ヘシボンとエレアレは叫さけぶ。ヤハヅに至いたるまで、ゾアルからホロナイムとエグラテ・シリシヤに至いたるまで、彼かれらはその声こえをあげる。ニムリムの水みずも絶たえたからである。48:35 主しゅは言いわれる、わたしは犠牲ぎせいを高たかき所ところにささげ、香こうをその神かみにたく者ものをモアブのうちに滅ほろぼす。48:36 それゆえ、わたしの心こころはモアブのために笛ふえのように嘆なげき、わたしの心こころはキルヘレスの人々ひとびとのために笛ふえのように嘆なげく。彼かれらの獲えた富とみが消きえうせたからである。 48:37 人ひとはみな髪かみをそり、皆みなひげをそり、みな手てに傷きずをつけ、腰こしに荒布あらぬのを着つける。48:38 モアブではどこの屋根やねの上うえも、広場ひろばも、ただ悲かなしみに包つつまれている。これは、わたしが、だれもほしがらない器うつわのようにモアブを砕くだいたからであると主しゅは言いわれる。48:39 ああ、モアブはついに滅ほろびた。人々ひとびとは嘆なげく。ああ、モアブは恥はじて顔かおをそむけた。モアブはその周囲しゅういのすべての者ものの笑わらい草ぐさとなり恐おそれとなった」。 48:40 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、敵てきはわしのように速はやく飛とんできて、モアブに向むかって翼つばさをのべる。48:41 町々まちまちは取とられ、城しろは奪うばわれる。その日ひモアブの勇士ゆうしの心こころは子こを産うむ女おんなの心こころのようになる。48:42 モアブは滅ほろぼされて、国くにを成なさないようになる。主しゅに敵てきして自みずから誇ほこったからである。48:43 主しゅは言いわれる、モアブに住すむ者ものよ、恐おそれと、穴あなと、わなとがあなたに臨のぞんでいる。48:44 恐おそれをさけて逃にげる者ものは穴あなにおちいり、穴あなをよじ上のぼって出でる者ものは、わなに捕とらえられる。わたしがモアブに、その罰ばっせられる年としに、これらのものを臨のぞませるからであると主しゅは言いわれる。 48:45 逃にげた者ものはヘシボンの陰かげに、力ちからなく立たちどまる。ヘシボンから火ひが出で、シホンの家いえから炎ほのおが出でて、モアブの額ひたい、騒さわぐ人々ひとびとの頭あたまの頂いただきを焼やいたからだ。48:46 モアブよ、おまえはわざわいだ。ケモシの民たみは滅ほろびた。おまえのむすこらは捕とらえ移うつされ、おまえの娘むすめらも捕とらえ行ゆかれたからである。48:47 しかし末すえの日ひにわたしは再ふたたびモアブを栄さかえさせると主しゅは言いわれる」。ここまではモアブのさばきの事ことをいったのである。 第49章 49:1 アンモンびとについて、主しゅはこう言いわれる、「イスラエルには子こがないのか、世継よつぎがないのか。どうしてミルコムがガドを追おい出だして、その民たみがその町々まちまちに住すんでいるのか。49:2 主しゅは言いわれる、それゆえ、見みよ、アンモンびとのラバを攻せめる戦たたかいの叫さけびを、わたしが聞きこえさせる日ひが来くる。ラバは荒塚あれづかとなり、その村々むらむらは火ひで焼やかれる。そのときイスラエルは自分じぶんを追おい出だした者ものどもを追おい出だすと主しゅは言いわれる。 49:3 ヘシボンよ嘆なげけ、アイは滅ほろぼされた。ラバの娘むすめたちよ呼よばわれ。荒布あらぬのを身みにまとい、悲かなしんで、まがきのうちを走はしりまわれ。ミルコムとその祭司さいしおよびつかさが共ともに捕とらえ移うつされるからだ。49:4 不信ふしんの娘むすめよ、あなたはなぜ自分じぶんの谷たにの事ことを誇ほこるのか。あなたは自分じぶんの富とみに寄より頼たよんで、『だれがわたしに攻せめてくるものか』と言いう。49:5 主しゅなる万軍ばんぐんの神かみは言いわれる、見みよ、わたしはあなたの上うえに恐おそれを臨のぞませる、それはあなたの周囲しゅういの者ものから来くる。あなたは追おわれて、おのおの直ただちに他人たにんに続つづき、逃にげる者ものを集あつめる人ひともない。49:6 しかし、のちになって、わたしはアンモンびとを再ふたたび栄さかえさせると、主しゅは言いわれる」。49:7 エドムの事ことについて、万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「テマンには、もはや知恵ちえがないのか。さとい者ものには計はかりごとがなくなったのか。その知恵ちえは消きえうせたのか。49:8 デダンに住すむ者ものよ、逃にげよ、のがれよ、深ふかい所ところに隠かくれよ。わたしがエサウの災難さいなんを彼かれの上うえに臨のぞませ、彼かれを罰ばっする時ときをこさせるからだ。49:9 ぶどうを集あつめる者ものがあなたの所ところに来きたならば、すこしの実みをも残のこさないであろうか。夜よる、盗ぬすびとが来きたならば、自分じぶんたちの満足まんぞくするだけ滅ほろぼさないであろうか。49:10 しかしわたしはエサウを裸はだかにし、その隠かくれる所ところを現あらわしたので、彼かれはその身みを隠かくすことができない。その子こどもたちも、兄弟きょうだいも、隣となり人びとも滅ほろぼされる。そして彼かれは、いなくなる。49:11 あなたのみなしごを残のこせ、わたしがそれを生いきながらえさせる。あなたのやもめには、わたしに寄より頼たのませよ」。49:12 主しゅはこう言いわれる、「もし、杯さかずきを飲のむべきでない者ものもそれを飲のまなければならなかったとすれば、あなたは罰ばつを免まぬかれることができようか。あなたは罰ばつを免まぬかれない。それを飲のまなければならない。49:13 主しゅは言いわれる、わたしは自分じぶんをさして誓ちかった、ボズラは驚おどろきとなり、ののしりとなり、荒あれ地ちとなり、のろいとなる。その町々まちまちは長ながく荒あれ地ちとなる」。 49:14 わたしは主しゅからのおとずれを聞きいた。ひとりの使者ししゃがつかわされて万国ばんこくに行いき、そして言いった、「あなたがたは集あつまり、行いって彼かれを攻せめ、立たって戦たたかえ。49:15 見みよ、わたしはあなたを万国ばんこくのうちに小ちいさい者ものとし、人々ひとびとのうちに卑いやしめられる者ものとする。49:16 岩いわの割われ目めに住すみ、山やまの高たかみを占しめる者ものよ、あなたの恐おそろしい事ことと、あなたの心こころの高たかぶりが、あなたを欺あざむいた。あなたは、わたしのように巣すを高たかい所ところに作つくっているが、わたしはその所ところからあなたを取とりおろすと主しゅは言いわれる。49:17 エドムは恐おそれとなる。そのかたわらを通とおり過すぎる者ものはみな恐おそれ、その災わざわいのために、舌打したうちする。49:18 主しゅは言いわれる、ソドムとゴモラとその隣となりの町々まちまちがくつがえされた時ときのように、そこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひともなくなる。49:19 見みよ、ししがヨルダンの密林みつりんから上のぼってきて、じょうぶな羊ひつじのおりを襲おそうように、わたしは、たちまち彼かれらをそこから逃にげ走はしらせ、わたしの選えらぶ者ものをその上うえに立たてる。だれかわたしのような者ものがあるであろうか。だれがわたしを呼よびつけることができようか。どの牧者ぼくしゃがわたしの前まえに立たつことができようか。49:20 それゆえ、エドムに対たいして主しゅが立たてた計はかりごとと、テマンに住すむ者ものに対たいしてしようとする事ことを聞きくがよい。彼かれらの群むれのうちの小ちいさいものまでも皆みな、引ひかれて行いく。彼かれらのおりのものもその終おわりを見みて恐おそれる。49:21 その倒たおれる音おとを聞きいて、地ちは震ふるい、彼かれらの叫さけび声ごえは紅海こうかいにも聞きこえる。49:22 見みよ、敵てきはわしのように上のぼり、すみやかに飛とびかけり、その翼つばさをボズラの上うえに張はり広ひろげる。その日ひエドムの勇士ゆうしの心こころは子こを産うむ女おんなの心こころのようになる」。 49:23 ダマスコの事ことについて、「ハマテとアルパデは、うろたえている、彼かれらは悪わるいおとずれを聞きいたからだ。彼かれらは勇気ゆうきを失うしない、穏おだやかになることのできない海うみのように悩なやむ。49:24 ダマスコは弱よわり、身みをめぐらして逃にげた、恐怖きょうふに襲おそわれている。子こを産うむ女おんなに臨のぞむように痛いたみと悲かなしみと彼かれに臨のぞむ。49:25 ああ、名なある町まち、楽たのしい町まちは捨すてられる。49:26 それゆえ、その日ひに、若わかい者ものは、広場ひろばに倒たおれ、兵士へいしはことごとく滅ほろぼされると万軍ばんぐんの主しゅは言いわれる。49:27 わたしはダマスコの城壁じょうへきの上うえに火ひを燃もやし、ベネハダデの宮殿きゅうでんを焼やき尽つくす」。49:28 バビロンの王おうネブカデレザルが攻せめ撃うったケダルとハゾルの諸国しょこくの事ことについて、 主しゅはこう言いわれる、「立たって、ケダルに向むかって進すすみ、東ひがしの人々ひとびとを滅ほろぼせ。49:29 彼かれらの天幕てんまくと、その羊ひつじの群むれとは取とられ、その垂幕たれまくとそのもろもろの器うつわと、らくだとは彼かれらの所ところから運はこび去さられ、人々ひとびとは彼かれらに向むかって叫さけぶ、『恐おそろしいことが四方しほうにある』と。49:30 主しゅは言いわれる、ハゾルに住すむ者ものよ、逃にげよ、遠とおくさまよい行いき、深ふかい所ところに隠かくれよ。バビロンの王おうネブカデレザルがあなたがたを攻せめる計はかりごとをめぐらし、あなたがたを攻せめる、てだてを設もうけたからだ。 49:31 主しゅは言いわれる、立たって進すすみ、安全あんぜんな所ところに住すむきらくな民たみを攻せめよ、彼かれらは門もんもなく、貫かんの木きもなく、ひとり離はなれて住すむ。49:32 彼かれらのらくだは、ぶんどり物ものとなり、家畜かちくの群むれは奪うばわれる。わたしは、かの髪かみの毛けのすみずみを切きる者ものを四方しほうに散ちらし、その災難さいなんを八方はっぽうからこさせると主しゅは言いわれる。49:33 ハゾルは山犬やまいぬのすまいとなり、いつまでも荒あれ地ちとなっている。だれもそこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひともない」。49:34 ユダの王おうゼデキヤの治世ちせいの初はじめのころに、エラムの事ことについて預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ主しゅの言葉ことば。 49:35 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしはエラムが力ちからとして頼たよんでいる弓ゆみを折おる。49:36 わたしは天てんの四方しほうから、四方しほうの風かぜをエラムにこさせ、彼かれらを四方しほうの風かぜに散ちらす。エラムから追おい出だされる者ものの行いかない国くにはない。49:37 主しゅは言いわれる、わたしはエラムをしてその敵てきの前まえ、またその命いのちを求もとめる者ものの前まえに恐おそれさせる。わたしは災わざわいをくだし、激はげしい怒いかりをその上うえにくだす。彼かれらのうしろに、つるぎを送おくって滅ほろぼし尽つくす。49:38 そしてわたしの位くらいをエラムにすえ、王おうとつかさたちとを滅ほろぼすと主しゅは言いわれる。 49:39 しかし末すえの日ひに、わたしはエラムを再ふたたび栄さかえさせると、主しゅは言いわれる」。 第50章 50:1 主しゅが預言者よげんしゃエレミヤによって語かたられたバビロンとカルデヤびとの地ちの事ことについての言葉ことば。 50:2 「国々くにぐにのうちに告つげ、また触ふれ示しめせよ、旗はたを立たてて、隠かくすことなく触ふれ示しめして言いえ、『バビロンは取とられ、ベルははずかしめられ、メロダクは砕くだかれ、その像ぞうははずかしめられ、その偶像ぐうぞうは砕くだかれる』と。50:3 それは、北きたの方ほうから一つの国民こくみんがきて、これを攻せめ、その地ちを荒あらして、住すむ人ひともないようにするからである。人ひとも獣けものもみな逃にげ去さってしまう。 50:4 主しゅは言いわれる、その日ひその時とき、イスラエルの民たみとユダの民たみは共ともに帰かえってくる。彼かれらは嘆なげきながら帰かえってくる。そしてその神かみ、主しゅを求もとめる。50:5 彼かれらは顔かおをシオンに向むけて、その道みちを問とい、『さあ、われわれは、永遠えいえんに忘わすれられることのない契約けいやくを結むすんで主しゅに連つらなろう』と言いう。 50:6 わたしの民たみは迷まよえる羊ひつじの群むれである、その牧者ぼくしゃがこれをいざなって、山やまに踏ふみ迷まよわせたので、山やまから丘おかへと行いきめぐり、その休やすむ所ところを忘わすれた。50:7 これに会あう者ものはみなこれを食たべた。その敵てきは言いった、『われわれに罪つみはない。彼かれらがそのまことのすみかである主しゅ、先祖せんぞたちの希望きぼうであった主しゅに対たいして罪つみを犯おかしたのだ』と。 50:8 バビロンのうちから逃にげよ。カルデヤびとの地ちから出でよ。群むれの前まえに行いく雄おやぎのようにせよ。50:9 見みよ、わたしは大おおきい国々くにぐにを起おこし集あつめて、北きたの地ちからバビロンに攻せめこさせる。彼かれらはこれに向むかって勢せいぞろいをし、これをその所ところから取とる。彼かれらの矢やはむなしく帰かえらない老練ろうれんな勇士ゆうしのようである。50:10 カルデヤは人ひとにかすめられる。これをかすめる者ものはみな飽あくことができると、主しゅは言いわれる。 50:11 わたしの嗣し業ぎょうをかすめる者ものどもよ、あなたがたは喜よろこび楽たのしみ、雌めすの子こ牛うしのように草くさに戯たわむれ、雄お馬うまのように、いなないているが、50:12 あなたがたの母はははいたくはずかしめられ、あなたがたを産うんだ者ものは恥はじをこうむる。見みよ、彼女かのじょは国々くにぐにのうちの最もっともあとなるものとなり、かわいた砂原すなはらの荒野あらのとなる。50:13 主しゅの怒いかりによって、ここに住すむ者ものはなく、完全かんぜんに荒あれ地ちとなる。バビロンのかたわらを通とおる者ものは、みなその傷きずを見みて驚おどろき、かつあざ笑わらう。50:14 あなたがたすべて弓ゆみを張はる者ものよ、バビロンの周囲しゅういに勢せいぞろいして、これを攻せめ、矢やを惜おしまずに、これを射いよ、彼女かのじょが主しゅに罪つみを犯おかしたからだ。50:15 その周囲しゅういに叫さけび声ごえをあげよ、彼女かのじょは降伏こうふくした。そのとりでは倒たおれ、その城壁じょうへきはくずれた、主しゅがあだをかえされたからだ。彼女かのじょに報復ほうふくせよ、彼女かのじょがおこなったように、これに行おこなえ。50:16 種たねまく者ものと、刈入かりいれどきに、かまを取とる者ものをバビロンに絶たやせ。滅ほろぼす者もののつるぎを恐おそれて、人ひとはおのおの自分じぶんの民たみの所ところに帰かえり、そのふるさとに逃にげて行いく。50:17 イスラエルは、ししに追おわれて散ちった羊ひつじである。初はじめにアッスリヤの王おうがこれを食くい、そして今いまはついにバビロンの王おうネブカデレザルがその骨ほねをかじった。50:18 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみは、こう言いわれる、見みよ、わたしはアッスリヤの王おうを罰ばっしたように、バビロンの王おうとその国くにに罰ばつを下くだす。50:19 わたしはイスラエルを再ふたたびその牧場まきばに帰かえらせる。彼かれはカルメルとバシャンで草くさを食たべる。またエフライムの山やまとギレアデでその望のぞみが満みたされる。50:20 主しゅは言いわれる、その日ひその時ときには、イスラエルのとがを探さがしても見当みあたらず、ユダの罪つみを探さがしてもない。それはわたしが残のこしておく人々ひとびとを、ゆるすからである。50:21 主しゅは言いわれる、上のぼって行いって、メラタイムの地ちを攻せめ、ペコデの民たみを攻せめ、彼かれらを殺ころして全まったく滅ほろぼし、わたしがあなたがたに命めいじたことを皆みな、行おこないなさい。50:22 その地ちに、いくさの叫さけびと、大おおいなる滅ほろびがある。50:23 ああ、全ぜん地ちを砕くだいた鎚つちはついに折おれ砕くだける。ああ、バビロンはついに国々くにぐにのうちの恐おそるべき見みものとなる。50:24 バビロンよ、わたしは、おまえを捕とらえるためにわなをかけたが、おまえはそれにかかった。そしておまえはそれを知しらなかった。おまえは主しゅに敵てきしたので、尋たずね出だされ、捕とらえられた。50:25 主しゅは武器ぶきの倉くらを開ひらいてその怒いかりの武器ぶきを取とり出だされた。主しゅなる万軍ばんぐんの神かみが、カルデヤびとの地ちに事ことを行おこなわれるからである。50:26 あらゆる方面ほうめんからきて、これを攻せめ、その穀倉こくぐらを開ひらき、これを穀物こくもつの山やまのように積つみ上あげ、完全かんぜんに滅ほろぼし尽つくし、そこに残のこる者もののないようにせよ。50:27 その雄牛おうしをことごとく殺ころせ、それを、ほふり場ばに下くだらせよ。それらのものはわざわいだ、その日ひ、その罰ばつを受うける時ときがきたからだ。50:28 聞きけよ、バビロンの地ちから逃にげ、のがれてきた者ものの声こえがする。われわれの神かみ、主しゅの報復ほうふく、その宮みやの報復ほうふくの事ことをシオンに告つげ示しめす。 50:29 弓ゆみを張はる射手いてをことごとく呼よび集あつめて、バビロンを攻せめよ。その周囲しゅういに陣じんを敷しけ。ひとりも逃がにがすな。そのしわざにしたがってバビロンに報むくい、これがおこなった所ところにしたがってこれに行おこなえ。彼かれがイスラエルの聖者せいじゃである主しゅに向むかって高慢こうまんにふるまったからだ。50:30 それゆえ、その日ひ、若わかい者ものは、広場ひろばに倒たおれ、兵士へいしはみな絶たやされると主しゅは言いわれる。 50:31 主しゅなる万軍ばんぐんの神かみは言いわれる、高たかぶる者ものよ、見みよ、わたしはおまえの敵てきとなる、あなたの日ひ、わたしがおまえを罰ばっする時ときが来きた。50:32 高たかぶる者ものはつまずき倒たおれる、これを助たすけ起おこすものはない。わたしはその町々まちまちに火ひを燃もやして、その周囲しゅういの者ものをことごとく焼やき尽つくす。50:33 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、イスラエルの民たみとユダの民たみは共ともにしえたげられている。彼かれらをとりこにした者ものはみな彼かれらを固かたく守まもって釈放しゃくほうすることを拒こばむ。50:34 彼かれらをあがなう者ものは強つよく、その名なは万軍ばんぐんの主しゅといわれる。彼かれは必かならず彼かれらの訴うったえをただし、この地ちに安やすきを与あたえるが、バビロンに住すむ者ものには不安ふあんを与あたえられる。 50:35 主しゅは言いわれる、カルデヤびとの上うえとバビロンに住すむ者ものの上うえ、そのつかさたち、その知者ちしゃたちの上うえにつるぎが臨のぞむ。50:36 占うらない師しの上うえにつるぎが臨のぞみ、彼かれらは愚おろか者ものとなる。その勇士ゆうしの上うえにつるぎが臨のぞみ、彼かれらは滅ほろぼされる。50:37 その馬うまの上うえと、その車くるまの上うえにつるぎが臨のぞみ、またそのうちにあるすべての雇やとい兵へいの上うえに臨のぞみ、彼かれらは女おんなのようになる。その財宝ざいほうの上うえにつるぎが臨のぞみ、それはかすめられる。50:38 その水みずの上うえに、ひでりが来きて、それはかわく。それは、この地ちが偶像ぐうぞうの地ちであって、人々ひとびとが偶像ぐうぞうに心こころが狂くるっているからだ。50:39 それゆえ、野のの獣けものと山犬やまいぬとは共ともにバビロンにおり、だちょうもそこに住すむ。しかし、いつまでもその地ちに住すむ人ひとはなく、世々よよここに住すむ人ひとはない。50:40 主しゅは言いわれる、神かみがソドムとゴモラと、その隣となりの町々まちまちを滅ほろぼされたように、そこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひとの子こはない。 50:41 見みよ、一つの民たみが北きたの方ほうから来くる。大おおいなる国くにと多おおくの王おうが地ちの果はてから立たち上あがっている。50:42 彼かれらは弓ゆみと、やりを取とる。残忍ざんにんで、あわれみがなく、その響ひびきは海うみの鳴なりとどろくようである。バビロンの娘むすめよ、彼かれらは馬うまに乗のり、いくさびとのように身みをよろって、あなたを攻せめる。50:43 バビロンの王おうはそのうわさを聞きいて、その手ては弱よわり、子こを産うむ女おんなに臨のぞむような痛いたみと苦くるしみに迫せまられた。50:44 見みよ、ししがヨルダンの密林みつりんから上のぼってきて、じょうぶな羊ひつじのおりを襲おそうように、わたしは、たちまち彼かれらをそこから逃にげ去さらせる。そしてわたしの選えらぶ者ものをその上うえに立たてる。だれかわたしのような者ものがあるであろうか。だれがわたしを呼よびつけることができようか。どの牧者ぼくしゃがわたしの前まえに立たつことができようか。50:45 それゆえ、バビロンに対たいして主しゅが立たてた計はかりごとと、カルデヤびとの地ちに対たいしてしようとする事ことを聞きくがよい。彼かれらの群むれのうちの小ちいさい者ものは、かならず引ひかれて行いく。彼かれらのおりのものも必かならずその終おわりを見みて恐おそれる。50:46 バビロンが取とられたとの声こえによって地ちは震ふるい、その叫さけびは国々くにぐにのうちに聞きこえる」。 第51章 51:1 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは、滅ほろぼす者ものの心こころを奮ふるい起おこして、バビロンを攻せめ、カルデヤに住すむ者ものを攻せめさせる。51:2 わたしはバビロンに、あおぎ分わける者ものをつかわす。彼かれらは、その災わざわいの日ひに、四方しほうからこれを攻せめ、それをあおぎ分わけて、その地ちをむなしくする。51:3 射手いてにはその弓ゆみを張はらせることなく、よろいを着きて立たち上あがらせるな。その若わかき者ものをあわれむことなく、その軍勢ぐんぜいをことごとく滅ほろぼせ。51:4 彼かれらはカルデヤびとの地ちに殺ころされて倒たおれ、そのちまたに傷きずついて倒たおれる。51:5 イスラエルとユダはその神かみ、万軍ばんぐんの主しゅに捨すてられてはいないが、しかしカルデヤびとの地ちにはイスラエルの聖者せいじゃに向むかって犯おかした罪つみが満みちている。 51:6 バビロンのうちからのがれ出でて、おのおのその命いのちを救すくえ。その罰ばつにまきこまれて断たち滅ほろぼされてはならない。今いまは主しゅがあだを返かえされる時ときだから、それに報復ほうふくをされるのである。51:7 バビロンは主しゅの手てのうちにある金きんの杯さかずきであって、すべての地ちを酔よわせた。国々くにぐにはその酒さけを飲のんだので、国々くにぐには狂くるった。51:8 バビロンはたちまち倒たおれて破やぶれた。これがために嘆なげけ。その傷きずのために乳香にゅうこうを取とれ。あるいは、いえるかも知しれない。51:9 われわれはバビロンをいやそうとしたが、これはいえなかった。われわれはこれを捨すてて、おのおの自分じぶんの国くにに帰かえろう。その罰ばつが天てんに達たっし、雲くもにまで及およんでいるからだ。51:10 主しゅはわれわれの正ただしいことを明あきらかにされた。さあ、われわれはシオンで、われわれの神かみ、主しゅのみわざを告つげ示しめそう。51:11 矢やをとぎ、 盾たてを取とれ。主しゅはメデアびとの王おうたちの心こころを引ひき立たてられる。主しゅのバビロンに思おもい図はかることは、これを滅ほろぼすことであり、主しゅがあだを返かえし、その宮みやのあだを返かえされるのである。 51:12 バビロンの城壁じょうへきに向むかって旗はたを立たて、見張みはりを強固きょうこにし、番兵ばんぺいを置おき、伏兵ふくへいを備そなえよ。主しゅがバビロンに住すむ者ものを攻せめようと図はかり、その言いわれたことを、いま行おこなわれるからだ。51:13 多おおくの水みずのほとりに住すみ、多おおくの財宝ざいほうを持もつ者ものよ、あなたの終おわりが来きて、その命いのちの糸いとは断たたれる。51:14 万軍ばんぐんの主しゅはみずからをさして誓ちかい、言いわれる、わたしは必かならずあなたのうちに、人ひとをいなごのように満みたす。彼かれらはあなたに向むかって、かちどきの声こえをあげる。 51:15 主しゅはその力ちからをもって地ちを造つくり、その知恵ちえをもって世界せかいを建たて、その悟さとりをもって天てんをのべられた。51:16 彼かれが声こえを出だされると、天てんに多おおくの水みずのざわめきがあり、また地ちの果はてから霧きりを立たちあがらせられる。彼かれは雨あめのためにいなびかりをおこし、その倉くらから風かぜを取とり出だされる。51:17 すべての人ひとは愚おろかで知恵ちえがなく、すべての金きん細工人ざいくにんはその造つくった偶像ぐうぞうのために恥はじをこうむる。その偶像ぐうぞうは偽いつわり物もので、そのうちに息いきがないからだ。51:18 それらは、むなしいもの、迷まよいのわざである。罰ばっせられる時ときになれば滅ほろびるものである。51:19 ヤコブの分ぶんである彼かれはこのようなものではない、彼かれは万物ばんぶつの造つくり主ぬしだからである。イスラエルは彼かれの嗣し業ぎょうとしての部族ぶぞくである。彼かれの名なは万軍ばんぐんの主しゅという。 51:20 おまえはわたしの鎚つちであり、戦たたかいの武器ぶきである。わたしはおまえをもってすべての国くにを砕くだき、おまえをもって万国ばんこくを滅ほろぼす。51:21 おまえをもってわたしは馬うまと、その騎手きしゅとを砕くだき、おまえをもって戦車せんしゃとそれに乗のる者ものとを砕くだく。51:22 わたしはおまえをもって男おとこと女おんなとを砕くだき、おまえをもって老おいた者ものと幼おさない者ものとを砕くだき、おまえをもって若わかい者ものと、おとめとを砕くだく。51:23 わたしはおまえをもって、羊飼ひつじかいと、その群むれとを砕くだき、おまえをもって農夫のうふと、くびきを負おう家畜かちくとを砕くだき、おまえをもっておさたちと、つかさたちとを砕くだく。51:24 わたしはバビロンとカルデヤに住すむすべての者ものとに、彼かれらがシオンで行いったもろもろの悪あしき事ことのために、あなたがたの目めの前まえで報むくいをすると、主しゅは言いわれる。 51:25 主しゅは言いわれる、全ぜん地ちを滅ほろぼし尽つくす滅ほろぼしの山やまよ、見みよ、わたしはおまえの敵てきとなる、わたしは手てをおまえの上うえに伸のべて、おまえを岩いわからころばし、おまえを焼やけ山やまにする。51:26 主しゅは言いわれる、人ひとがおまえから石いしを取とって、隅すみの石いしとすることなく、また礎いしずえとすることもない。おまえはいつまでも荒あれ地ちとなっている。51:27 地ちに旗はたを立たて、国々くにぐにのうちにラッパを吹ふき、国々くにぐにの民たみを集あつめてそれを攻せめ、アララテ、ミンニ、アシケナズの国々くにぐにをまねいてそれを攻せめ、軍ぐんの長ちょうを立たててそれを攻せめ、群むらがるいなごのように馬うまを上のぼり行いかせよ。51:28 国々くにぐにの民たみを集あつめてそれを攻せめ、メデアびとの王おうたちと、そのおさたち、つかさたち、およびすべての領地りょうちの人々ひとびとを集あつめてこれを攻せめよ。51:29 その地ちは震ふるい、かつもだえ苦くるしむ、主しゅがその思おもい図はかることをバビロンにおこない、バビロンの地ちを、住すむ人ひとなき荒あれ地ちとされるからだ。51:30 バビロンの勇士ゆうしたちは戦たたかいをやめて、その城しろにこもり、力ちからはうせて、女おんなのようになる。その家いえは焼やけ、その貫かんの木きは砕くだかれる。51:31 飛脚ひきゃくは走はしって飛脚ひきゃくに会あい、使者ししゃは走はしって使者ししゃに会あい、バビロンの王おうに告つげて、町まちはことごとく取とられ、51:32 渡わたし場ばは奪うばわれ、とりでは火ひで焼やかれ、兵士へいしはおびえていると言いう。51:33 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、バビロンの娘むすめは、打うち場ばのようだ、その踏ふまれる時ときが来きたのだ。しばらくしてその刈かり取とられる時ときが来くる」。 51:34 「バビロンの王おうネブカデレザルはわたしを食くい尽つくし、わたしを滅ほろぼし、わたしを、からの器うつわのようにし、龍りゅうのようにわたしを飲のみ、わたしのうまい物ものでその腹はらを満みたし、わたしを洗あらいざらいにした。51:35 わたしとわたしの肉親にくしんにおこなった暴虐ぼうぎゃくは、バビロンにふりかかる」とシオンに住すむ者ものは言いわなければならない。「わたしの血ちはカルデヤに住すむ者ものにふりかかる」とエルサレムは言いわなければならない。51:36 それゆえ主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしはあなたの訴うったえをただし、あなたのためにあだを返かえす。わたしはバビロンの海うみをかわかし、その泉いずみをかわかす。51:37 バビロンは荒塚あれづかとなり、山犬やまいぬのすまいとなり、驚おどろきとなり、笑わらいとなり、住すむ人ひとのない所ところとなる。51:38 彼かれらはししのように共ともにほえ、若わかいししのようにほえる。51:39 彼かれらの欲よくの燃もえている時とき、わたしは宴うたげを設もうけて彼かれらを酔よわせ、彼かれらがついに気きを失うしなって、ながい眠ねむりにいり、もはや目めをさますことのないようにしようと主しゅは言いわれる。51:40 わたしは彼かれらを小羊こひつじのように、また雄羊おひつじや雄おやぎのように、ほふり場ばに下くだらせよう。 51:41 ああ、バビロンはついに取とられた、全ぜん地ちの人ひとの、ほめたたえた者ものは捕とらえられた。ああ、バビロンはついに国々くにぐにのうちに驚おどろきとなった。51:42 海うみはバビロンにあふれかかり、どよめく波なみにおおわれた。51:43 その町々まちまちは荒あれて、かわいた地ちとなり、砂原すなはらとなり、住すむ人ひとのない地ちとなる。人ひとの子こはひとりとしてそこを過すぎることはない。51:44 わたしはバビロンでベルを罰ばっし、そののみこんだものを口くちから取とり出だす。国々くにぐにが川かわのように彼かれに流ながれ入いることはなくなる。バビロンの城壁じょうへきは倒たおれた。51:45 わが民たみよ、あなたがたはその中なかから出でて、おのおの主しゅの激はげしい怒いかりを免まぬかれ、その命いのちを救すくえ。51:46 心こころを弱よわくしてはならない、この地ちで聞きくうわさを恐おそれてはならない。うわさはこの年としにもくれば、また次つぎの年としにもくる。この地ちに暴虐ぼうぎゃくがあり、つかさとつかさとが攻せめあうことがある。51:47 それゆえ見みよ、わたしがバビロンの偶像ぐうぞうを罰ばっする日ひが来くる。その全ぜん地ちははずかしめられ、その殺ころされる者ものはみなその中なかに倒たおれる。51:48 天てんと地ちとそのうちにあるすべてのものはバビロンの事ことで喜よろこび歌うたう。滅ほろぼす者ものが北きたの方ほうからここに来くるからであると主しゅは言いわれる。51:49 イスラエルの殺ころされた者ものたちのために、バビロンは倒たおれなければならない、バビロンのために全ぜん地ちの殺ころされた者ものは倒たおれたのだ。 51:50 つるぎをのがれてきたあなたがたは、行いけ、立たちとどまってはならない。遠とおくから主しゅを覚おぼえ、エルサレムを心こころにとめよ。51:51 『われわれはののしりを聞きいたので、恥はじている。異邦人いほうじんが主しゅの宮みやの聖所せいじょにはいったので、恥はじがわれわれの顔かおをおおった』。 51:52 主しゅは言いわれる、それゆえ見みよ、わたしがその偶像ぐうぞうを罰ばっする日ひが来くる、傷きずつけられた者ものが、その全国ぜんこくにうめくようになる。51:53 たといバビロンが天てんに上のぼっても、その城しろを高たかくして固かためても、滅ほろぼす者ものはわたしから出でて、これに臨のぞむと主しゅは言いわれる。 51:54 聞きけ、バビロンの叫さけびを、カルデヤびとの地ちに起おこる大おおいなる滅ほろびの騒さわぎ声こえを。51:55 主しゅがバビロンを滅ほろぼし、その大おおいなる声こえを絶たやされるのだ。その波なみは大水おおみずのように鳴なりとどろき、その声こえはひびき渡わたる。51:56 滅ほろぼす者ものがこれに臨のぞみ、バビロンに来きた。その勇士ゆうしたちは捕とらえられ、その弓ゆみは折おられる。主しゅは報むくいをする神かみであるから必かならず報むくいられるのだ。51:57 わたしはその君きみたちと知者ちしゃたち、おさたち、つかさたち、および勇士ゆうしたちを酔よわせる。彼かれらは、ながい ねむりにいり、目めをさますことはない。万軍ばんぐんの主しゅと呼よばれる王おうがこれを言いわせる。51:58 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、バビロンの広ひろい城壁じょうへきは地ちにくずされ、その高たかい門もんは火ひに焼やかれる。こうして民たみの労苦ろうくはむなしくなり、国民こくみんはただ火ひのために疲つかれる」。51:59 マアセヤの子こであるネリヤの子こセラヤが、ユダの王おうゼデキヤと共ともに、その治世ちせいの四年ねんにバビロンへ行いくとき、預言者よげんしゃエレミヤがセラヤに命めいじた言葉ことば。セラヤは宿営しゅくえいの長ちょうであった。51:60 エレミヤはバビロンに臨のぞもうとするすべての災わざわいを巻物まきものにしるした。これはすなわちバビロンの事ことについてしるしたすべての言葉ことばである。51:61 エレミヤはセラヤに言いった、「あなたはバビロンへ行いったならば、忘わすれることなくこのすべての言葉ことばを読よみ、51:62 そして言いいなさい、『主しゅよ、あなたはこの所ところを滅ほろぼし、人ひとと獣けものとを問とわず、すべてここに住すむ者もののないようにし、永久えいきゅうにここを荒あれ地ちとしようと、この所ところについて語かたられました』と。51:63 あなたがこの巻物まきものを読よみ終おわったならば、これに石いしをむすびつけてユフラテ川かわの中なかに投なげこみ、51:64 そして言いいなさい、『バビロンはこのように沈しずんで、二度どと上あがってこない。わたしがこれに災わざわいを下くだすからである』と」。ここまではエレミヤの言葉ことばである。 第52章 52:1 ゼデキヤは王おうとなったとき二十一歳さいであったが、エルサレムで十一年ねん世よを治おさめた。母ははの名なはハムタルといい、リブナのエレミヤの娘むすめである。52:2 ゼデキヤはエホヤキムがすべて行いったように、主しゅの目めの前まえに悪事あくじを行おこなった。52:3 たしかに、主しゅの怒いかりによって、エルサレムとユダとは、そのみ前まえから捨すて去さられるようなことになった。 そしてゼデキヤはバビロンの王おうにそむいた。52:4 そこで彼かれの治世ちせいの九年ねん十月がつ十日かに、バビロンの王おうネブカデレザルはその軍勢ぐんぜいを率ひきい、エルサレムにきて、これを包囲ほういし、周囲しゅういに塁るいを築きずいてこれを攻せめた。52:5 こうしてこの町まちは攻せめ囲かこまれて、ゼデキヤ王おうの十一年ねんにまで及およんだが、52:6 その四月がつ九日かになって、町まちの中なかの食糧しょくりょうは、はなはだしく欠乏けつぼうし、その地ちの民たみは食物しょくもつを得えることができなくなった。52:7 そして町まちの城壁じょうへきはついに打うち破やぶられたので、兵士へいしたちはみな逃にげ、夜よるのうちに、王おうの園そのの近ちかくの、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちをのがれ出でて、カルデヤびとが、町まちを攻せめ囲かこんでいるうちに、アラバの方ほうへ落おちて行いった。52:8 しかしカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは王おうを追おって行いって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいついたが、彼かれの軍勢ぐんぜいがみな散ちって彼かれのそばを離はなれたので、52:9 カルデヤびとは王おうを捕とらえ、ハマテの地ちのリブラにいるバビロンの王おうのもとに引ひいていったので、王おうは彼かれの罪つみを定さだめた。52:10 すなわちバビロンの王おうはゼデキヤの子こたちをその目めの前まえで殺ころさせ、ユダのつかさたちをことごとくリブラで殺ころさせ、52:11 またゼデキヤの目めをつぶさせた。そしてバビロンの王おうは彼かれを鎖くさりにつないでバビロンへ連つれて行いき、その死しぬ日ひまで獄屋ごくやに入いれて置おいた。 52:12 五月がつ十日かに、――それはバビロンの王おうネブカデレザルの世よの十九年ねんであった――バビロンの王おうに仕つかえる侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはエルサレムに、はいって、52:13 主しゅの宮みやと王おうの宮殿きゅうでんを焼やき、エルサレムのすべての家いえを焼やいた。彼かれは大おおきな家いえをみな焼やきはらった。52:14 また侍衛じえいの長ちょうと共ともにいたカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは、エルサレムの周囲しゅういの城壁じょうへきをみな取とりこわした。52:15 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは民たみのうちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかん、そのほか町まちのうちに残のこった者もの、およびバビロンの王おうにくだった人ひと、その他た工 こうしょうたちを捕とらえ移うつした。52:16 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはその地ちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかんを残のこして、ぶどうを作つくる者ものとし、農夫のうふとした。 52:17 カルデヤびとはまた主しゅの宮みやの青銅せいどうの柱はしらと、洗盤せんばんの台だいと、青銅せいどうの海うみを砕くだいて、その青銅せいどうをことごとくバビロンへ運はこび、52:18 また、つぼと、十能じゅうのうと、心切しんきりばさみと、鉢はちと、香こうを盛もる皿さらおよび宮みやの勤つとめに用もちいる青銅せいどうの器うつわをことごとく取とって行いった。52:19 また彼かれらは小鉢こばちと、心取しんとり皿ざらと、鉢はちと、つぼと、燭台しょくだいと、香こうを盛もる皿さらと、灌祭かんさいの鉢はちを取とった。金きんで作つくった物ものは金きんとして、銀ぎんで作つくった物ものは銀ぎんとして、侍衛じえいの長ちょうは運はこび去さった。52:20 ソロモン王おうが主しゅの宮みやに造つくった二本ほんの柱はしらと、一つの海うみと、海うみの下したの十二の青銅せいどうの牛うしと、台だいなど、このすべての物ものの青銅せいどうの重おもさは量はかることもできなかった。52:21 この一本ぽんの柱はしらの高たかさは十八キュビト、周囲しゅういは十二キュビトで、指ゆび四本ほんの厚あつさがあり、中なかは、うつろであった。52:22 その上うえに青銅せいどうの柱頭ちゅうとうがあり、柱頭ちゅうとうの高たかさは五キュビト、柱頭ちゅうとうの周囲しゅういは網あみ細工ざいくと、ざくろとで飾かざり、これらもみな青銅せいどうであった。他たの柱はしらもそのざくろも、これと同おなじであった。52:23 その四方しほうに九十六個このざくろがあり、周囲しゅういの網あみ細工ざいくの上うえにあるざくろの数かずは百個こであった。 52:24 侍衛じえいの長ちょうは祭司さいし長ちょうセラヤと次席じせきの祭司さいしゼパニヤと三人にんの門もんを守まもる者ものを捕とらえ、52:25 また兵士へいしをつかさどるひとりの役人やくにんと、町まちにいた王おうの側近そっきんの者もの七人にんと、その地ちの民たみを募つのる軍勢ぐんぜいの長ちょうの書記官しょきかんと、町まちの中なかにいた六十人にんの者ものを町まちから捕とらえ去さった。52:26 侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、これらの人ひとを捕とらえて、リブラにいるバビロンの王おうのもとに連つれて行いった。52:27 バビロンの王おうは、ハマテの地ちのリブラで彼かれらを撃うち殺ころした。こうして、ユダは自分じぶんの地ちから捕とらえ移うつされた。 52:28 ネブカデレザルが捕とらえ移うつした民たみの数かずは次つぎのとおりである。第だい七年ねんにはユダヤ人ひと三千二十三人にん。52:29 またネブカデレザルはその第だい十八年ねんにエルサレムから八百三十二人にんを捕とらえ移うつした。52:30 ネブカデレザルの二十三年ねんに侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、ユダヤ人ひと七百四十五人にんを捕とらえ移うつした。この総数そうすうは四千六百人にんであった。 52:31 ユダの王おうエホヤキンが捕とらえ移うつされて後のち三十七年ねんの十二月がつ二十五日にちに、バビロンの王おうエビルメロダクはその即位そくいの年ねんに、ユダの王おうエホヤキンを獄屋ごくやから出だし、そのこうべを挙あげさせ、52:32 親切しんせつに彼かれを慰なぐさめ、その位くらいを、バビロンで共ともにいる王おうたちの位くらいよりも高たかくした。52:33 こうしてエホヤキンは獄屋ごくやの服ふくを脱ぬいだ。そして生いきている間あいだは毎日まいにち王おうの食卓しょくたくで食事しょくじし、52:34 彼かれの給与きゅうよとしては、その死しぬ日ひまで一生いっしょうの間あいだ、たえず日々ひびの必要ひつようにしたがって、バビロンの王おうから給与きゅうよを賜たまわった。
43:1 エレミヤがすべての民たみにむかって、彼かれらの神かみ、主しゅの言葉ことばをことごとく語かたり、彼かれらの神かみ、主しゅが自分じぶんをつかわして言いわせられるその言葉ことばをみな告つげ終おわった時とき、
43:2 ホシャヤの子こアザリヤと、カレヤの子こヨハナンおよび高慢こうまんな人々ひとびとはみなエレミヤに言いった、「あなたは偽いつわりを言いっている。われわれの神かみ、主しゅが、『エジプトへ行いってそこに住すむな』と言いわせるためにあなたをつかわされたのではない。
43:3 ネリヤの子こバルクがあなたをそそのかして、われわれに逆さからわせ、われわれをカルデヤびとの手てに渡わたして殺ころすか、あるいはバビロンに捕とらえ移うつさせるのだ」。
43:4 こうしてカレヤの子こヨハナンと軍勢ぐんぜいの長ちょうたちおよび民たみらは皆みな、主しゅの声こえにしたがわず、ユダの地ちにとどまろうとしなかった。
43:5 そしてカレヤの子こヨハナンと軍勢ぐんぜいの長ちょうたちは、ユダに残のこっている者ものすなわち追おいやられた国々くにぐにからユダの地ちに住すむために帰かえってきた者もの、――
43:6 男おとこ、女おんな、子供こども、王おうの娘むすめたち、およびすべて侍衛じえいの長ちょうネブザラダンがシャパンの子こであるアヒカムの子こゲダリヤに渡わたしておいた者もの、ならびに預言者よげんしゃエレミヤとネリヤの子こバルクをつれて、
43:7 エジプトの地ちへ行いった。彼かれらは主しゅの声こえにしたがわなかったのである。そして彼かれらはついにタパネスに行いった。
43:8 主しゅの言葉ことばはタパネスでエレミヤに臨のぞんだ、
43:9 「大おおきな石いしを手てに取とり、ユダの人々ひとびとの目めの前まえで、これをタパネスにあるパロの宮殿きゅうでんの入口いりぐちの敷石しきいしのしっくいの中なかに隠かくして、
43:10 彼かれらに言いいなさい、『万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、見みよ、わたしは使者ししゃをつかわして、わたしのしもべであるバビロンの王おうネブカデレザルを招まねく。彼かれはその位くらいをこの隠かくした石いしの上うえにすえ、その上うえに王おうの天蓋てんがいを張はる。
43:11 彼かれは来きてエジプトの地ちを撃うち、疫病えきびょうに定さだまっている者ものを疫病えきびょうに渡わたし、とりこに定さだまっている者ものをとりこにし、つるぎに定さだまっている者ものをつるぎにかける。
43:12 彼かれはエジプトの神々かみがみの宮みやに火ひをつけてこれを焼やき、彼かれらをとりこにする。そして羊ひつじを飼かう者ものが着物きものの虫むしをはらいきよめるように、エジプトの地ちをきよめる。彼かれは安やすらかにそこを去さる。
43:13 彼かれはエジプトの地ちにあるヘリオポリスのオベリスクをこわし、エジプトの神々かみがみの宮みやを火ひで焼やく』」。
第44章 44:1 エジプトの地ちに住すんでいるユダヤ人ひとすなわちミグドル、タパネス、メンピス、パテロスの地ちに住すむ者ものの事ことについてエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば、44:2 「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、あなたがたはわたしがエルサレムとユダの町々まちまちに下くだした災わざわいを見みた。見みよ、これらは今日こんにち、すでに荒あれ地ちとなって住すむ人ひともない。44:3 これは彼かれらが悪あくを行いって、わたしを怒いからせたことによるのである。すなわち彼かれらは自分じぶんも、あなたがたも、あなたがたの先祖せんぞたちも知しらなかった、ほかの神々かみがみに行いって、香こうをたき、これに仕つかえた。44:4 わたしは自分じぶんのしもべであるすべての預言者よげんしゃたちを、しきりにあなたがたにつかわして、『どうか、わたしの忌いみきらうこの憎にくむべき事ことをしないように』と言いわせたけれども、44:5 彼かれらは聞きかず、耳みみを傾かたむけず、ほかの神々かみがみに香こうをたいて、その悪あくを離はなれなかった。44:6 それゆえ、わたしは怒いかりと憤いきどおりをユダの町々まちまちとエルサレムのちまたに注そそぎ、それを焼やいたので、それらは今日こんにちのように荒あれ、滅ほろびてしまった。44:7 万軍ばんぐんの神かみ、イスラエルの神かみ、主しゅは今いまこう言いわれる、あなたがたはなぜ大おおいなる悪あくを行いって自分じぶん自身じしんを害がいし、ユダのうちから、あなたがたの男おとこと女おんなと、子供こどもと乳ちのみ子ごを断たって、ひとりも残のこらないようにしようとするのか。44:8 なぜあなたがたはその手てのわざをもってわたしを怒いからせ、あなたがたが行いって住すまうエジプトの地ちで、ほかの神々かみがみに香こうをたいて自分じぶんの身みを滅ほろぼし、地ちの万国ばんこくのうちに、のろいとなり、はずかしめとなろうとするのか。44:9 ユダの地ちとエルサレムのちまたで行いったあなたがたの先祖せんぞたちの悪あく、ユダの王おうたちの悪あく、その妻つまたちの悪あく、およびあなたがた自身じしんの悪あく、あなたがたの妻つまたちの悪あくをあなたがたは忘わすれたのか。44:10 彼かれらは今日こんにちに至いたるまで悔くいず、また恐おそれず、あなたがたとあなたがたの先祖せんぞたちの前まえに立たてた、わたしの律法りっぽうとわたしの定さだめとに従したがって歩あゆまないのである。 44:11 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、見みよ、わたしは顔かおをあなたがたに向むけて災わざわいを下くだし、ユダの人々ひとびとをことごとく断たつ。44:12 またわたしは、エジプトの地ちに住すむために、むりに行いったあのユダの残のこりの者ものを取とり除のぞく。彼かれらはみな滅ほろぼされてエジプトの地ちに倒たおれる。彼かれらは、つるぎとききんに滅ほろぼされ、最もっとも小ちいさい者ものから最もっとも大おおいなる者ものまで、つるぎとききんによって死しぬ。そして、のろいとなり、恐怖きょうふとなり、ののしりとなり、はずかしめとなる。44:13 わたしはエルサレムを罰ばっしたように、つるぎと、ききんと、疫病えきびょうをもってエジプトに住すんでいる者ものを罰ばっする。44:14 それゆえ、エジプトの地ちへ行いってそこに住すんでいるユダの残のこりの者もののうち、のがれ、または残のこって、帰かえり住すまおうと願ねがうユダの地ちへ帰かえる者ものはひとりもない。少数しょうすうののがれる者もののほかには、帰かえってくる者ものはない」。 44:15 その時とき、自分じぶんの妻つまがほかの神々かみがみに香こうをたいたことを知しっている人々ひとびと、およびその所ところに立たっている女おんなたちの大おおいなる群衆ぐんしゅう、ならびにエジプトの地ちのパテロスに住すんでいる民たみはエレミヤに答こたえて言いった、44:16 「あなたが主しゅの名なによってわたしたちに述のべられた言葉ことばは、わたしたちは聞きくことができません。44:17 わたしたちは誓ちかったことをみな行おこない、わたしたちが、もと行いっていたように香こうを天后てんこうにたき、また酒さけをその前まえに注そそぎます。すなわち、ユダの町々まちまちとエルサレムのちまたで、わたしたちとわたしたちの先祖せんぞたちおよびわたしたちの王おうたちと、わたしたちのつかさたちが行いったようにいたします。その時ときには、わたしたちは糧食りょうしょくには飽あき、しあわせで、災わざわいに会あいませんでした。44:18 ところが、わたしたちが、天后てんこうに香こうをたくことをやめ、酒さけをその前まえに注そそがなくなった時ときから、すべての物ものに乏とぼしくなり、つるぎとききんに滅ほろぼされました」。44:19 また女おんなたちは言いった、「わたしたちが天后てんこうに香こうをたき、酒さけをその前まえに注そそぐに当あたって、これにかたどってパンを つくり、酒さけを注そそいだのは、わたしたちの夫おっとが許ゆるしたことではありませんか」。 44:20 そこでエレミヤは男女だんじょのすべての人ひと、およびこの答こたえをしたすべての民たみに言いった、44:21 「ユダの町々まちまちとエルサレムのちまたで、あなたがたとあなたがたの先祖せんぞたち、およびあなたがたの王おうたちとあなたがたのつかさたち、およびその地ちの民たみが香こうをたいたことは、主しゅがこれを忘わすれず、また、心こころにとどめておられることではないか。44:22 主しゅはあなたがたの悪あしきわざのため、あなたがたの憎にくむべき行おこないのために、もはや忍しのぶことができなくなられた。それゆえ、あなたがたの地ちは今日こんにちのごとく荒あれ地ちとなり、驚おどろきとなり、のろいとなり、住すむ人ひとのない地ちとなった。44:23 あなたがたが香こうをたき、主しゅに罪つみを犯おかし、主しゅの声こえに聞きき従したがわず、その律法りっぽうと、定さだめと、あかしに従したがって歩あゆまなかったので、今日こんにちのようにこの災わざわいがあなたがたに臨のぞんだのである」。 44:24 エレミヤはまたすべての民たみと女おんなたちに言いった、「あなたがたすべてエジプトの地ちにいるユダの人々ひとびとよ、主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。44:25 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、あなたがたとあなたがたの妻つまたちは口くちで言いい、手てで行おこない、『わたしたちは天后てんこうに香こうをたき、酒さけを注そそいで立たてた誓ちかいを必かならずなし遂とげる』と言いう。それならば、あなたがたの誓ちかいをかため、あなたがたの誓ちかいをなし遂とげなさい。44:26 それゆえ、あなたがたすべてエジプトの地ちにいるユダの人々ひとびとよ、主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。主しゅは言いわれる、わたしは自分じぶんの大おおいなる名なをさして誓ちかう、すなわちエジプトの全ぜん地ちに、ユダの人々ひとびとで、その口くちに、『主しゅなる神かみは生いきておられる』と言いって、わたしの名なをとなえるものは、もはやひとりもないようになる。44:27 見みよ、わたしは彼かれらを見守みまもっている、それは幸さいわいを与あたえるためではなく、災わざわいを下くだすためである。エジプトの地ちにいるユダの人々ひとびとは、つるぎとききんによって滅ほろび絶たえる。44:28 しかし、つるぎをのがれるわずかの者ものはエジプトの地ちを出でてユダの地ちに帰かえる。そしてユダの残のこっている民たみでエジプトに来きて住すんだ者ものは、わたしの言葉ことばが立たつか、彼かれらの言葉ことばが立たつか、いずれであるかを知しるようになる。44:29 主しゅは言いわれる、わたしがこの所ところであなたがたを罰ばっするしるしはこれである。わたしはこのようにしてわたしがあなたがたに災わざわいを下くだそうと言いった事ことの必かならず立たつことを知しらせよう。44:30 すなわち主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしはユダの王おうゼデキヤを、その命いのちを求もとめる敵てきであるバビロンの王おうネブカデレザルの手てに渡わたしたように、エジプトの王おうパロ・ホフラをその敵てきの手て、その命いのちを求もとめる者ものの手てに渡わたす」。 第45章 45:1 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの四年ねんに、ネリヤの子こバルクがこれらの言葉ことばをエレミヤの口述こうじゅつにしたがって書しょにしるした時とき、預言者よげんしゃエレミヤが彼かれに語かたった言葉ことば、45:2 「バルクよ、イスラエルの神かみ、主しゅはあなたについてこう言いわれる、45:3 あなたはかつて、『ああ、わたしはわざわいだ、主しゅがわたしの苦くるしみに悲かなしみをお加くわえになった。わたしは嘆なげき疲つかれて、安息あんそくが得えられない』と言いった。45:4 あなたはこう彼かれに言いいなさい、主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしは自分じぶんで建たてたものをこわし、自分じぶんで植うえたものを抜ぬいている――それは、この全ぜん地ちである。45:5 あなたは自分じぶんのために大おおいなる事ことを求もとめるのか、これを求もとめてはならない。見みよ、わたしはすべての人ひとに災わざわいを下くだそうとしている。しかしあなたの命いのちはあなたの行ゆくすべての所ところで、ぶんどり物ものとしてあなたに与あたえると主しゅは言いわれる」。 第46章 46:1 もろもろの国くにの事ことについて預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ主しゅの言葉ことば。 46:2 エジプトの事こと、すなわちユフラテ川かわのほとりにあるカルケミシの近ちかくにいるエジプトの王おうパロ・ネコの軍勢ぐんぜいの事ことについて。これはユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの四年ねんに、バビロンの王おうネブカデレザルが撃うち破やぶったものである。その言葉ことばは次つぎのとおりである、 46:3 「大盾おおだてと小盾こだてとを備そなえ、進すすんで戦たたかえ。46:4 騎兵きへいよ、馬うまを戦車せんしゃにつなぎ、馬うまに乗のれ。かぶとをかぶって立たて。ほこをみがき、よろいを着きよ。46:5 わたしは見みたが、何なにゆえか彼かれらは恐おそれて退しりぞき、その勇士ゆうしたちは打うち敗やぶられ、あわてて逃にげて、うしろをふり向むくこともしない、――恐おそれが彼かれらの周囲しゅういにあると主しゅは言いわれる。46:6 足早あしばやき者ものも逃にげることができず、勇士ゆうしものがれることができない。北きたの方ほう、ユフラテ川かわのほとりで彼かれらはつまずき倒たおれた。 46:7 あのナイル川かわのようにわきあがり、川々かわがわのように、その水みずのさかまく者ものはだれか。46:8 エジプトはナイル川かわのようにわきあがり、その水みずは川々かわがわのようにさかまく。そしてこれは言いう、わたしは上のぼって、地ちをおおい、町々まちまちとそのうちに住すむ者ものを滅ほろぼそう。46:9 馬うまよ、進すすめ、車くるまよ、激はげしく走はしれ。勇士ゆうしよ、盾たてを取とるエチオピヤびとと、プテびとよ、弓ゆみを巧たくみに引ひくルデびとよ、進すすみ出でよ。46:10 その日ひは万軍ばんぐんの神かみ、主しゅの日ひであって、主しゅがあだを報むくいられる日ひ、その敵てきにあだをかえされる日ひだ。つるぎは食たべて飽あき、彼かれらの血ちに酔よう。万軍ばんぐんの神かみ、主しゅが、北きたの地ちで、ユフラテ川かわのほとりで、ほふることをなされるからだ。46:11 おとめなるエジプトの娘むすめよ、ギレアデに上のぼって乳香にゅうこうを取とれ。あなたは多おおくの薬くすりを用もちいても、むだだ。あなたは、いやされることはない。46:12 あなたの恥はじは国々くにぐにに聞きこえている、あなたの叫さけびは地ちに満みちている。勇士ゆうしが勇士ゆうしにつまずいて、共ともに倒たおれたからである」。46:13 バビロンの王おうネブカデレザルが来きて、エジプトの地ちを撃うとうとする事ことについて、主しゅが預言者よげんしゃエレミヤにお告つげになった言葉ことば、 46:14 「エジプトで宣のべ、ミグドルで告つげ示しめし、またメンピスとタパネスに告つげ示しめして言いえ、『堅かたく立たって、備そなえせよ、つるぎがあなたの周囲しゅういを、滅ほろぼし尽つくすからだ』。46:15 なぜ、アピスはのがれたのか。あなたの雄牛おうしは、なぜ立たたなかったのか。それは主しゅがこれを倒たおされたからだ。46:16 あなたに属ぞくする多おおくの兵へいは、つまずいて倒たおれた。そして互たがいに言いった、『立たてよ、われわれは、しえたげる者もののつるぎを避さけて、われわれの民たみに帰かえり、故郷こきょうの地ちへ行いこう』と。46:17 エジプトの王おうパロの名なを、『好機こうきを逸いっする騒さわがしい者もの』と呼よべ。 46:18 万軍ばんぐんの主しゅという名なの王おうは言いわれる、わたしは生いきている、彼かれは山々やまやまのうちのタボルのように、海うみのほとりのカルメルのように来きたり臨のぞむ。46:19 エジプトに住すむ民たみよ、捕とらわれのために荷物にもつを備そなえよ。メンピスは荒あれ地ちとなり、廃虚はいきょとなって住すむ人ひともなくなる。46:20 エジプトは美うつくしい雌めすの子こ牛うしだ、しかし北きたから、牛うしばえが来きて、それにとまった。46:21 そのうちにいる雇やとい兵へいでさえ、肥こえた子こ牛うしのようだ。彼かれらはふり返かえって共ともに逃にげ、立たつことをしなかった。彼かれらの災難さいなんの日ひ、その罰ばっせられる時ときが来きたからだ。46:22 彼かれは逃にげ去さるへびのような音おとをたてる。その敵てきが軍勢ぐんぜいを率ひきいて彼かれに臨のぞみ、きこりのように、おのをもって来くるからだ。46:23 彼かれらは彼かれの林はやしがいかに入いり込こみがたくとも、それを切きり倒たおす。彼かれらはいなごよりも多おおく、数かぞえがたいからであると、主しゅは言いわれる。46:24 エジプトの娘むすめははずかしめを受うけ、北きたからくる民たみの手てに渡わたされる」。46:25 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみは言いわれた、「見みよ、わたしはテーベのアモンと、パロと、エジプトとその神々かみがみとその王おうたち、すなわちパロと彼かれを頼たのむ者ものとを罰ばっする。46:26 わたしは彼かれらを、その命いのちを求もとめる者ものの手てと、バビロンの王おうネブカデレザルの手てと、その家来けらいたちの手てに渡わたす。その後のち、エジプトは昔むかしのように人ひとの住すむ所ところとなると、主しゅは言いわれる。 46:27 わたしのしもべヤコブよ、恐おそれることはない、イスラエルよ、驚おどろくことはない。見みよ、わたしがあなたを遠とおくから救すくい、あなたの子孫しそんをその捕とらえ移うつされた地ちから救すくうからだ。ヤコブは帰かえってきて、おだやかに、安やすらかになり、彼かれを恐おそれさせる者ものはない。46:28 主しゅは言いわれる、わたしのしもべヤコブよ、恐おそれることはない、わたしが共ともにいるからだ。わたしはあなたを追おいやった国々くにぐにをことごとく滅ほろぼし尽つくす。しかしあなたを滅ほろぼし尽つくすことはしない。わたしは正ただしい道みちに従したがって、あなたを懲こらしめる、決けっして罰ばっしないではおかない」。 第47章 47:1 パロがまだガザを撃うたなかったころ、ペリシテびとの事ことについて預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ主しゅの言葉ことば。 47:2 「主しゅはこう言いわれる、見みよ、水みずは北きたから起おこり、あふれ流ながれて、この地ちと、そこにあるすべての物もの、その町まちと、その中なかに住すむ者ものとにあふれかかる。その時とき、人々ひとびとは叫さけび、この地ちに住すむ者ものはみな嘆なげく。47:3 そのたくましい馬うまのひずめの踏ふみ鳴ならす音おとのため、その戦車せんしゃの響ひびきのため、その車輪しゃりんのとどろきのために、父ちちはその手てが弱よわくなって、自分じぶんの子こをも顧かえりみない。47:4 これは、ペリシテびとを滅ほろぼし尽つくし、ツロとシドンに残のこって助たすけをなす者ものをことごとく絶たやす日ひが来くるからである。主しゅはカフトルの海岸かいがんに残のこっているペリシテびとを滅ほろぼされる。47:5 ガザには髪かみをそることが始はじまっている。アシケロンは滅ほろびた。アナクびとの残のこりの民たみよ、いつまで自分じぶんの身みに傷きずつけるのか。47:6 主しゅのつるぎよ、おまえはいつになれば静しずかになるのか。おまえのさやに帰かえり、休やすんで静しずかにしておれ。47:7 主しゅがこれに命いのちを下くだされたのだ、どうして静しずかにしておれようか。アシケロンと海岸かいがんの地ちを攻せめることを定さだめられたのだ」。 第48章 48:1 モアブの事ことについて、万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、 「ああ、ネボはわざわいだ、これは滅ほろぼされた。キリヤタイムははずかしめられて取とられ、とりでは、はずかしめられてこわされた。48:2 モアブの誉ほまれは、消きえ去さった。ヘシボンで人々ひとびとはモアブの害がいを図はかり、『さあ、この国くにを断たち滅ほろぼそう』という。マデメンよ、おまえもまた滅ほろぼされる、つるぎがおまえを追おう。 48:3 ホロナイムから叫さけび声ごえが聞きこえる、『荒廃こうはいと大おおいなる滅亡めつぼうだ』という。48:4 モアブは滅ほろぼされ、叫さけびはゾアルにまで聞きこえる。48:5 彼かれらは泣なきながらルヒテの坂さかを登のぼる。彼かれらはホロナイムの下くだり坂ざかで、『滅亡めつぼう』の叫さけびを聞きいたからだ。48:6 逃にげて、自分じぶんの身みを救すくえ、荒野あらのの野のろばのようになれ。48:7 おまえが、とりでと財宝ざいほうとを頼たのみにしたので、おまえも捕とらえられるからだ。またケモシは、その祭司さいしとつかさたちと共ともに、捕とらえられて行いく。48:8 滅ほろぼす者ものはすべての町まちに来くる、一つの町まちものがれることができない。谷たには滅ほろび、平地へいちは荒あらされる、主しゅの言いわれたとおりである。48:9 モアブに翼つばさを与あたえて、飛とび去さらせよ。その町々まちまちは荒あれて、住すむ者ものはなくなる。48:10 主しゅのわざを行おこなうことを怠おこたる者ものはのろわれる。またそのつるぎを押おさえて血ちを流ながさない者ものはのろわれる。48:11 モアブはその幼おさない時ときから安やすらかで、酒さけが、沈しずんだおりの上うえにとどまって、器うつわから器うつわに、くみ移うつされなかったように、捕とらえ移うつされなかったので、その味あじはなお存そんし、その香気こうきも変かわることがない。48:12 主しゅは言いわれる、それゆえ見みよ、わたしがこれを傾かたむける者ものどもをつかわす日ひが来くる。彼かれらはこれを傾かたむけ、その器うつわをあけ、そのかめを砕くだく。48:13 その時ときモアブはケモシのために恥はじをかく。ちょうどイスラエルの家いえがその頼たのみとしたベテルのために恥はじをかいたようになる。48:14 あなたがたはどうして『われわれは勇士ゆうしだ。強つよい戦士せんしだ』というのか。48:15 モアブとその町々まちまちを滅ほろぼす者ものは上のぼって来き、モアブのえり抜ぬきの若者わかものたちは下くだって殺ころされたと万軍ばんぐんの主しゅと名なのる王おうが言いわれる。48:16 モアブの災難さいなんは近ちかづいている、その苦難くなんはすみやかに来くる。48:17 すべてその周囲しゅういにある者ものよ、またその名なを知しる者ものよ、彼かれのために嘆なげいて、『ああ、強つよき笏しゃく、麗うるわしきつえは、ついに折おれた』と言いえ。 48:18 デボンに住すむ者ものよ、ああなたの栄さかえを離はなれて下くだり、かわいた地ちに座ざせよ。モアブを滅ほろぼす者ものがあなたに攻せめのぼって来きて、あなたの城しろを滅ほろぼしたからだ。48:19 アロエルに住すむ者ものよ、道みちのかたわらに立たって見張みはりし、逃にげてくる男おとこ、のがれてくる女おんなに尋たずねて、『何なにが起おこったのか』と言いえ。48:20 モアブは敗やぶれて、恥はじをこうむっている。嘆なげき呼よばわれ。アルノン川かわのほとりで、モアブは滅ほろぼされたと告つげよ。48:21 さばきは高原こうげんの地ちに臨のぞみ、ホロン、ヤハズ、メパアテ、48:22 デボン、ネボ、ベテ・デブラタイム、48:23 キリヤタイム、ベテ・ガムル、ベテ・メオン、48:24 ケリオテ、ボズラなどモアブの地ちのすべての町まちの、遠とおいものにも近ちかいものにも、臨のぞんだ。48:25 モアブの角つのは砕くだけ、その腕うでは折おれたと主しゅは言いわれる。 48:26 モアブを酔よわせよ、彼かれが主しゅに敵てきして自みずから高たかぶったからである。モアブは自分じぶんの吐はいた物ものの中なかにころがって、笑わらい草ぐさとなる。48:27 イスラエルはあなたの笑わらい草ぐさではなかったか。あなたが、彼かれのことを語かたるごとに首くびを振ふったのは、彼かれが盗賊とうぞくの中なかにいたとでもいうのか。48:28 モアブに住すむ者ものよ、町まちを去さって岩いわの間あいだに住すめ。谷たにの入口いりぐちのかたわらに巣すを作つくる山やまばとのようにせよ。48:29 われわれはモアブの高慢こうまんな事ことを聞きいた、その高慢こうまんは、はなはだしい。すなわち、その尊大そんだい、高慢こうまん、横柄おうへい、およびその心こころの高たかぶりのことを聞きいた。48:30 主しゅは言いわれる、わたしは彼かれの横着おうちゃくなのを知しる、彼かれの自慢じまんは偽いつわりで、その行おこないも偽いつわりである。48:31 それゆえ、わたしはモアブのために嘆なげき、モアブの全ぜん地ちのために呼よばわる。キルヘレスの人々ひとびとのためにわたしは悲かなしむ。48:32 シブマのぶどうの木きよ、わたしはヤゼルのために泣なくのにまさっておまえのために泣なく。おまえのつるは延のびて海うみを越こえ、ヤゼルに及およんだ。おまえの夏なつの実みと、その収穫しゅうかくを滅ほろぼす者ものが襲おそってきた。48:33 喜よろこびと楽たのしみは、実みのり多おおいモアブの地ちを去さった。わたしは、ぶどうをしぼる所ところにも酒さけをなくした。楽たのしく呼よばわって、ぶどうを踏ふむ者ものもなくなった。呼よばわっても、喜よろこんで呼よばわる声こえではない。48:34 ヘシボンとエレアレは叫さけぶ。ヤハヅに至いたるまで、ゾアルからホロナイムとエグラテ・シリシヤに至いたるまで、彼かれらはその声こえをあげる。ニムリムの水みずも絶たえたからである。48:35 主しゅは言いわれる、わたしは犠牲ぎせいを高たかき所ところにささげ、香こうをその神かみにたく者ものをモアブのうちに滅ほろぼす。48:36 それゆえ、わたしの心こころはモアブのために笛ふえのように嘆なげき、わたしの心こころはキルヘレスの人々ひとびとのために笛ふえのように嘆なげく。彼かれらの獲えた富とみが消きえうせたからである。 48:37 人ひとはみな髪かみをそり、皆みなひげをそり、みな手てに傷きずをつけ、腰こしに荒布あらぬのを着つける。48:38 モアブではどこの屋根やねの上うえも、広場ひろばも、ただ悲かなしみに包つつまれている。これは、わたしが、だれもほしがらない器うつわのようにモアブを砕くだいたからであると主しゅは言いわれる。48:39 ああ、モアブはついに滅ほろびた。人々ひとびとは嘆なげく。ああ、モアブは恥はじて顔かおをそむけた。モアブはその周囲しゅういのすべての者ものの笑わらい草ぐさとなり恐おそれとなった」。 48:40 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、敵てきはわしのように速はやく飛とんできて、モアブに向むかって翼つばさをのべる。48:41 町々まちまちは取とられ、城しろは奪うばわれる。その日ひモアブの勇士ゆうしの心こころは子こを産うむ女おんなの心こころのようになる。48:42 モアブは滅ほろぼされて、国くにを成なさないようになる。主しゅに敵てきして自みずから誇ほこったからである。48:43 主しゅは言いわれる、モアブに住すむ者ものよ、恐おそれと、穴あなと、わなとがあなたに臨のぞんでいる。48:44 恐おそれをさけて逃にげる者ものは穴あなにおちいり、穴あなをよじ上のぼって出でる者ものは、わなに捕とらえられる。わたしがモアブに、その罰ばっせられる年としに、これらのものを臨のぞませるからであると主しゅは言いわれる。 48:45 逃にげた者ものはヘシボンの陰かげに、力ちからなく立たちどまる。ヘシボンから火ひが出で、シホンの家いえから炎ほのおが出でて、モアブの額ひたい、騒さわぐ人々ひとびとの頭あたまの頂いただきを焼やいたからだ。48:46 モアブよ、おまえはわざわいだ。ケモシの民たみは滅ほろびた。おまえのむすこらは捕とらえ移うつされ、おまえの娘むすめらも捕とらえ行ゆかれたからである。48:47 しかし末すえの日ひにわたしは再ふたたびモアブを栄さかえさせると主しゅは言いわれる」。ここまではモアブのさばきの事ことをいったのである。 第49章 49:1 アンモンびとについて、主しゅはこう言いわれる、「イスラエルには子こがないのか、世継よつぎがないのか。どうしてミルコムがガドを追おい出だして、その民たみがその町々まちまちに住すんでいるのか。49:2 主しゅは言いわれる、それゆえ、見みよ、アンモンびとのラバを攻せめる戦たたかいの叫さけびを、わたしが聞きこえさせる日ひが来くる。ラバは荒塚あれづかとなり、その村々むらむらは火ひで焼やかれる。そのときイスラエルは自分じぶんを追おい出だした者ものどもを追おい出だすと主しゅは言いわれる。 49:3 ヘシボンよ嘆なげけ、アイは滅ほろぼされた。ラバの娘むすめたちよ呼よばわれ。荒布あらぬのを身みにまとい、悲かなしんで、まがきのうちを走はしりまわれ。ミルコムとその祭司さいしおよびつかさが共ともに捕とらえ移うつされるからだ。49:4 不信ふしんの娘むすめよ、あなたはなぜ自分じぶんの谷たにの事ことを誇ほこるのか。あなたは自分じぶんの富とみに寄より頼たよんで、『だれがわたしに攻せめてくるものか』と言いう。49:5 主しゅなる万軍ばんぐんの神かみは言いわれる、見みよ、わたしはあなたの上うえに恐おそれを臨のぞませる、それはあなたの周囲しゅういの者ものから来くる。あなたは追おわれて、おのおの直ただちに他人たにんに続つづき、逃にげる者ものを集あつめる人ひともない。49:6 しかし、のちになって、わたしはアンモンびとを再ふたたび栄さかえさせると、主しゅは言いわれる」。49:7 エドムの事ことについて、万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「テマンには、もはや知恵ちえがないのか。さとい者ものには計はかりごとがなくなったのか。その知恵ちえは消きえうせたのか。49:8 デダンに住すむ者ものよ、逃にげよ、のがれよ、深ふかい所ところに隠かくれよ。わたしがエサウの災難さいなんを彼かれの上うえに臨のぞませ、彼かれを罰ばっする時ときをこさせるからだ。49:9 ぶどうを集あつめる者ものがあなたの所ところに来きたならば、すこしの実みをも残のこさないであろうか。夜よる、盗ぬすびとが来きたならば、自分じぶんたちの満足まんぞくするだけ滅ほろぼさないであろうか。49:10 しかしわたしはエサウを裸はだかにし、その隠かくれる所ところを現あらわしたので、彼かれはその身みを隠かくすことができない。その子こどもたちも、兄弟きょうだいも、隣となり人びとも滅ほろぼされる。そして彼かれは、いなくなる。49:11 あなたのみなしごを残のこせ、わたしがそれを生いきながらえさせる。あなたのやもめには、わたしに寄より頼たのませよ」。49:12 主しゅはこう言いわれる、「もし、杯さかずきを飲のむべきでない者ものもそれを飲のまなければならなかったとすれば、あなたは罰ばつを免まぬかれることができようか。あなたは罰ばつを免まぬかれない。それを飲のまなければならない。49:13 主しゅは言いわれる、わたしは自分じぶんをさして誓ちかった、ボズラは驚おどろきとなり、ののしりとなり、荒あれ地ちとなり、のろいとなる。その町々まちまちは長ながく荒あれ地ちとなる」。 49:14 わたしは主しゅからのおとずれを聞きいた。ひとりの使者ししゃがつかわされて万国ばんこくに行いき、そして言いった、「あなたがたは集あつまり、行いって彼かれを攻せめ、立たって戦たたかえ。49:15 見みよ、わたしはあなたを万国ばんこくのうちに小ちいさい者ものとし、人々ひとびとのうちに卑いやしめられる者ものとする。49:16 岩いわの割われ目めに住すみ、山やまの高たかみを占しめる者ものよ、あなたの恐おそろしい事ことと、あなたの心こころの高たかぶりが、あなたを欺あざむいた。あなたは、わたしのように巣すを高たかい所ところに作つくっているが、わたしはその所ところからあなたを取とりおろすと主しゅは言いわれる。49:17 エドムは恐おそれとなる。そのかたわらを通とおり過すぎる者ものはみな恐おそれ、その災わざわいのために、舌打したうちする。49:18 主しゅは言いわれる、ソドムとゴモラとその隣となりの町々まちまちがくつがえされた時ときのように、そこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひともなくなる。49:19 見みよ、ししがヨルダンの密林みつりんから上のぼってきて、じょうぶな羊ひつじのおりを襲おそうように、わたしは、たちまち彼かれらをそこから逃にげ走はしらせ、わたしの選えらぶ者ものをその上うえに立たてる。だれかわたしのような者ものがあるであろうか。だれがわたしを呼よびつけることができようか。どの牧者ぼくしゃがわたしの前まえに立たつことができようか。49:20 それゆえ、エドムに対たいして主しゅが立たてた計はかりごとと、テマンに住すむ者ものに対たいしてしようとする事ことを聞きくがよい。彼かれらの群むれのうちの小ちいさいものまでも皆みな、引ひかれて行いく。彼かれらのおりのものもその終おわりを見みて恐おそれる。49:21 その倒たおれる音おとを聞きいて、地ちは震ふるい、彼かれらの叫さけび声ごえは紅海こうかいにも聞きこえる。49:22 見みよ、敵てきはわしのように上のぼり、すみやかに飛とびかけり、その翼つばさをボズラの上うえに張はり広ひろげる。その日ひエドムの勇士ゆうしの心こころは子こを産うむ女おんなの心こころのようになる」。 49:23 ダマスコの事ことについて、「ハマテとアルパデは、うろたえている、彼かれらは悪わるいおとずれを聞きいたからだ。彼かれらは勇気ゆうきを失うしない、穏おだやかになることのできない海うみのように悩なやむ。49:24 ダマスコは弱よわり、身みをめぐらして逃にげた、恐怖きょうふに襲おそわれている。子こを産うむ女おんなに臨のぞむように痛いたみと悲かなしみと彼かれに臨のぞむ。49:25 ああ、名なある町まち、楽たのしい町まちは捨すてられる。49:26 それゆえ、その日ひに、若わかい者ものは、広場ひろばに倒たおれ、兵士へいしはことごとく滅ほろぼされると万軍ばんぐんの主しゅは言いわれる。49:27 わたしはダマスコの城壁じょうへきの上うえに火ひを燃もやし、ベネハダデの宮殿きゅうでんを焼やき尽つくす」。49:28 バビロンの王おうネブカデレザルが攻せめ撃うったケダルとハゾルの諸国しょこくの事ことについて、 主しゅはこう言いわれる、「立たって、ケダルに向むかって進すすみ、東ひがしの人々ひとびとを滅ほろぼせ。49:29 彼かれらの天幕てんまくと、その羊ひつじの群むれとは取とられ、その垂幕たれまくとそのもろもろの器うつわと、らくだとは彼かれらの所ところから運はこび去さられ、人々ひとびとは彼かれらに向むかって叫さけぶ、『恐おそろしいことが四方しほうにある』と。49:30 主しゅは言いわれる、ハゾルに住すむ者ものよ、逃にげよ、遠とおくさまよい行いき、深ふかい所ところに隠かくれよ。バビロンの王おうネブカデレザルがあなたがたを攻せめる計はかりごとをめぐらし、あなたがたを攻せめる、てだてを設もうけたからだ。 49:31 主しゅは言いわれる、立たって進すすみ、安全あんぜんな所ところに住すむきらくな民たみを攻せめよ、彼かれらは門もんもなく、貫かんの木きもなく、ひとり離はなれて住すむ。49:32 彼かれらのらくだは、ぶんどり物ものとなり、家畜かちくの群むれは奪うばわれる。わたしは、かの髪かみの毛けのすみずみを切きる者ものを四方しほうに散ちらし、その災難さいなんを八方はっぽうからこさせると主しゅは言いわれる。49:33 ハゾルは山犬やまいぬのすまいとなり、いつまでも荒あれ地ちとなっている。だれもそこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひともない」。49:34 ユダの王おうゼデキヤの治世ちせいの初はじめのころに、エラムの事ことについて預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ主しゅの言葉ことば。 49:35 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしはエラムが力ちからとして頼たよんでいる弓ゆみを折おる。49:36 わたしは天てんの四方しほうから、四方しほうの風かぜをエラムにこさせ、彼かれらを四方しほうの風かぜに散ちらす。エラムから追おい出だされる者ものの行いかない国くにはない。49:37 主しゅは言いわれる、わたしはエラムをしてその敵てきの前まえ、またその命いのちを求もとめる者ものの前まえに恐おそれさせる。わたしは災わざわいをくだし、激はげしい怒いかりをその上うえにくだす。彼かれらのうしろに、つるぎを送おくって滅ほろぼし尽つくす。49:38 そしてわたしの位くらいをエラムにすえ、王おうとつかさたちとを滅ほろぼすと主しゅは言いわれる。 49:39 しかし末すえの日ひに、わたしはエラムを再ふたたび栄さかえさせると、主しゅは言いわれる」。 第50章 50:1 主しゅが預言者よげんしゃエレミヤによって語かたられたバビロンとカルデヤびとの地ちの事ことについての言葉ことば。 50:2 「国々くにぐにのうちに告つげ、また触ふれ示しめせよ、旗はたを立たてて、隠かくすことなく触ふれ示しめして言いえ、『バビロンは取とられ、ベルははずかしめられ、メロダクは砕くだかれ、その像ぞうははずかしめられ、その偶像ぐうぞうは砕くだかれる』と。50:3 それは、北きたの方ほうから一つの国民こくみんがきて、これを攻せめ、その地ちを荒あらして、住すむ人ひともないようにするからである。人ひとも獣けものもみな逃にげ去さってしまう。 50:4 主しゅは言いわれる、その日ひその時とき、イスラエルの民たみとユダの民たみは共ともに帰かえってくる。彼かれらは嘆なげきながら帰かえってくる。そしてその神かみ、主しゅを求もとめる。50:5 彼かれらは顔かおをシオンに向むけて、その道みちを問とい、『さあ、われわれは、永遠えいえんに忘わすれられることのない契約けいやくを結むすんで主しゅに連つらなろう』と言いう。 50:6 わたしの民たみは迷まよえる羊ひつじの群むれである、その牧者ぼくしゃがこれをいざなって、山やまに踏ふみ迷まよわせたので、山やまから丘おかへと行いきめぐり、その休やすむ所ところを忘わすれた。50:7 これに会あう者ものはみなこれを食たべた。その敵てきは言いった、『われわれに罪つみはない。彼かれらがそのまことのすみかである主しゅ、先祖せんぞたちの希望きぼうであった主しゅに対たいして罪つみを犯おかしたのだ』と。 50:8 バビロンのうちから逃にげよ。カルデヤびとの地ちから出でよ。群むれの前まえに行いく雄おやぎのようにせよ。50:9 見みよ、わたしは大おおきい国々くにぐにを起おこし集あつめて、北きたの地ちからバビロンに攻せめこさせる。彼かれらはこれに向むかって勢せいぞろいをし、これをその所ところから取とる。彼かれらの矢やはむなしく帰かえらない老練ろうれんな勇士ゆうしのようである。50:10 カルデヤは人ひとにかすめられる。これをかすめる者ものはみな飽あくことができると、主しゅは言いわれる。 50:11 わたしの嗣し業ぎょうをかすめる者ものどもよ、あなたがたは喜よろこび楽たのしみ、雌めすの子こ牛うしのように草くさに戯たわむれ、雄お馬うまのように、いなないているが、50:12 あなたがたの母はははいたくはずかしめられ、あなたがたを産うんだ者ものは恥はじをこうむる。見みよ、彼女かのじょは国々くにぐにのうちの最もっともあとなるものとなり、かわいた砂原すなはらの荒野あらのとなる。50:13 主しゅの怒いかりによって、ここに住すむ者ものはなく、完全かんぜんに荒あれ地ちとなる。バビロンのかたわらを通とおる者ものは、みなその傷きずを見みて驚おどろき、かつあざ笑わらう。50:14 あなたがたすべて弓ゆみを張はる者ものよ、バビロンの周囲しゅういに勢せいぞろいして、これを攻せめ、矢やを惜おしまずに、これを射いよ、彼女かのじょが主しゅに罪つみを犯おかしたからだ。50:15 その周囲しゅういに叫さけび声ごえをあげよ、彼女かのじょは降伏こうふくした。そのとりでは倒たおれ、その城壁じょうへきはくずれた、主しゅがあだをかえされたからだ。彼女かのじょに報復ほうふくせよ、彼女かのじょがおこなったように、これに行おこなえ。50:16 種たねまく者ものと、刈入かりいれどきに、かまを取とる者ものをバビロンに絶たやせ。滅ほろぼす者もののつるぎを恐おそれて、人ひとはおのおの自分じぶんの民たみの所ところに帰かえり、そのふるさとに逃にげて行いく。50:17 イスラエルは、ししに追おわれて散ちった羊ひつじである。初はじめにアッスリヤの王おうがこれを食くい、そして今いまはついにバビロンの王おうネブカデレザルがその骨ほねをかじった。50:18 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみは、こう言いわれる、見みよ、わたしはアッスリヤの王おうを罰ばっしたように、バビロンの王おうとその国くにに罰ばつを下くだす。50:19 わたしはイスラエルを再ふたたびその牧場まきばに帰かえらせる。彼かれはカルメルとバシャンで草くさを食たべる。またエフライムの山やまとギレアデでその望のぞみが満みたされる。50:20 主しゅは言いわれる、その日ひその時ときには、イスラエルのとがを探さがしても見当みあたらず、ユダの罪つみを探さがしてもない。それはわたしが残のこしておく人々ひとびとを、ゆるすからである。50:21 主しゅは言いわれる、上のぼって行いって、メラタイムの地ちを攻せめ、ペコデの民たみを攻せめ、彼かれらを殺ころして全まったく滅ほろぼし、わたしがあなたがたに命めいじたことを皆みな、行おこないなさい。50:22 その地ちに、いくさの叫さけびと、大おおいなる滅ほろびがある。50:23 ああ、全ぜん地ちを砕くだいた鎚つちはついに折おれ砕くだける。ああ、バビロンはついに国々くにぐにのうちの恐おそるべき見みものとなる。50:24 バビロンよ、わたしは、おまえを捕とらえるためにわなをかけたが、おまえはそれにかかった。そしておまえはそれを知しらなかった。おまえは主しゅに敵てきしたので、尋たずね出だされ、捕とらえられた。50:25 主しゅは武器ぶきの倉くらを開ひらいてその怒いかりの武器ぶきを取とり出だされた。主しゅなる万軍ばんぐんの神かみが、カルデヤびとの地ちに事ことを行おこなわれるからである。50:26 あらゆる方面ほうめんからきて、これを攻せめ、その穀倉こくぐらを開ひらき、これを穀物こくもつの山やまのように積つみ上あげ、完全かんぜんに滅ほろぼし尽つくし、そこに残のこる者もののないようにせよ。50:27 その雄牛おうしをことごとく殺ころせ、それを、ほふり場ばに下くだらせよ。それらのものはわざわいだ、その日ひ、その罰ばつを受うける時ときがきたからだ。50:28 聞きけよ、バビロンの地ちから逃にげ、のがれてきた者ものの声こえがする。われわれの神かみ、主しゅの報復ほうふく、その宮みやの報復ほうふくの事ことをシオンに告つげ示しめす。 50:29 弓ゆみを張はる射手いてをことごとく呼よび集あつめて、バビロンを攻せめよ。その周囲しゅういに陣じんを敷しけ。ひとりも逃がにがすな。そのしわざにしたがってバビロンに報むくい、これがおこなった所ところにしたがってこれに行おこなえ。彼かれがイスラエルの聖者せいじゃである主しゅに向むかって高慢こうまんにふるまったからだ。50:30 それゆえ、その日ひ、若わかい者ものは、広場ひろばに倒たおれ、兵士へいしはみな絶たやされると主しゅは言いわれる。 50:31 主しゅなる万軍ばんぐんの神かみは言いわれる、高たかぶる者ものよ、見みよ、わたしはおまえの敵てきとなる、あなたの日ひ、わたしがおまえを罰ばっする時ときが来きた。50:32 高たかぶる者ものはつまずき倒たおれる、これを助たすけ起おこすものはない。わたしはその町々まちまちに火ひを燃もやして、その周囲しゅういの者ものをことごとく焼やき尽つくす。50:33 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、イスラエルの民たみとユダの民たみは共ともにしえたげられている。彼かれらをとりこにした者ものはみな彼かれらを固かたく守まもって釈放しゃくほうすることを拒こばむ。50:34 彼かれらをあがなう者ものは強つよく、その名なは万軍ばんぐんの主しゅといわれる。彼かれは必かならず彼かれらの訴うったえをただし、この地ちに安やすきを与あたえるが、バビロンに住すむ者ものには不安ふあんを与あたえられる。 50:35 主しゅは言いわれる、カルデヤびとの上うえとバビロンに住すむ者ものの上うえ、そのつかさたち、その知者ちしゃたちの上うえにつるぎが臨のぞむ。50:36 占うらない師しの上うえにつるぎが臨のぞみ、彼かれらは愚おろか者ものとなる。その勇士ゆうしの上うえにつるぎが臨のぞみ、彼かれらは滅ほろぼされる。50:37 その馬うまの上うえと、その車くるまの上うえにつるぎが臨のぞみ、またそのうちにあるすべての雇やとい兵へいの上うえに臨のぞみ、彼かれらは女おんなのようになる。その財宝ざいほうの上うえにつるぎが臨のぞみ、それはかすめられる。50:38 その水みずの上うえに、ひでりが来きて、それはかわく。それは、この地ちが偶像ぐうぞうの地ちであって、人々ひとびとが偶像ぐうぞうに心こころが狂くるっているからだ。50:39 それゆえ、野のの獣けものと山犬やまいぬとは共ともにバビロンにおり、だちょうもそこに住すむ。しかし、いつまでもその地ちに住すむ人ひとはなく、世々よよここに住すむ人ひとはない。50:40 主しゅは言いわれる、神かみがソドムとゴモラと、その隣となりの町々まちまちを滅ほろぼされたように、そこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひとの子こはない。 50:41 見みよ、一つの民たみが北きたの方ほうから来くる。大おおいなる国くにと多おおくの王おうが地ちの果はてから立たち上あがっている。50:42 彼かれらは弓ゆみと、やりを取とる。残忍ざんにんで、あわれみがなく、その響ひびきは海うみの鳴なりとどろくようである。バビロンの娘むすめよ、彼かれらは馬うまに乗のり、いくさびとのように身みをよろって、あなたを攻せめる。50:43 バビロンの王おうはそのうわさを聞きいて、その手ては弱よわり、子こを産うむ女おんなに臨のぞむような痛いたみと苦くるしみに迫せまられた。50:44 見みよ、ししがヨルダンの密林みつりんから上のぼってきて、じょうぶな羊ひつじのおりを襲おそうように、わたしは、たちまち彼かれらをそこから逃にげ去さらせる。そしてわたしの選えらぶ者ものをその上うえに立たてる。だれかわたしのような者ものがあるであろうか。だれがわたしを呼よびつけることができようか。どの牧者ぼくしゃがわたしの前まえに立たつことができようか。50:45 それゆえ、バビロンに対たいして主しゅが立たてた計はかりごとと、カルデヤびとの地ちに対たいしてしようとする事ことを聞きくがよい。彼かれらの群むれのうちの小ちいさい者ものは、かならず引ひかれて行いく。彼かれらのおりのものも必かならずその終おわりを見みて恐おそれる。50:46 バビロンが取とられたとの声こえによって地ちは震ふるい、その叫さけびは国々くにぐにのうちに聞きこえる」。 第51章 51:1 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは、滅ほろぼす者ものの心こころを奮ふるい起おこして、バビロンを攻せめ、カルデヤに住すむ者ものを攻せめさせる。51:2 わたしはバビロンに、あおぎ分わける者ものをつかわす。彼かれらは、その災わざわいの日ひに、四方しほうからこれを攻せめ、それをあおぎ分わけて、その地ちをむなしくする。51:3 射手いてにはその弓ゆみを張はらせることなく、よろいを着きて立たち上あがらせるな。その若わかき者ものをあわれむことなく、その軍勢ぐんぜいをことごとく滅ほろぼせ。51:4 彼かれらはカルデヤびとの地ちに殺ころされて倒たおれ、そのちまたに傷きずついて倒たおれる。51:5 イスラエルとユダはその神かみ、万軍ばんぐんの主しゅに捨すてられてはいないが、しかしカルデヤびとの地ちにはイスラエルの聖者せいじゃに向むかって犯おかした罪つみが満みちている。 51:6 バビロンのうちからのがれ出でて、おのおのその命いのちを救すくえ。その罰ばつにまきこまれて断たち滅ほろぼされてはならない。今いまは主しゅがあだを返かえされる時ときだから、それに報復ほうふくをされるのである。51:7 バビロンは主しゅの手てのうちにある金きんの杯さかずきであって、すべての地ちを酔よわせた。国々くにぐにはその酒さけを飲のんだので、国々くにぐには狂くるった。51:8 バビロンはたちまち倒たおれて破やぶれた。これがために嘆なげけ。その傷きずのために乳香にゅうこうを取とれ。あるいは、いえるかも知しれない。51:9 われわれはバビロンをいやそうとしたが、これはいえなかった。われわれはこれを捨すてて、おのおの自分じぶんの国くにに帰かえろう。その罰ばつが天てんに達たっし、雲くもにまで及およんでいるからだ。51:10 主しゅはわれわれの正ただしいことを明あきらかにされた。さあ、われわれはシオンで、われわれの神かみ、主しゅのみわざを告つげ示しめそう。51:11 矢やをとぎ、 盾たてを取とれ。主しゅはメデアびとの王おうたちの心こころを引ひき立たてられる。主しゅのバビロンに思おもい図はかることは、これを滅ほろぼすことであり、主しゅがあだを返かえし、その宮みやのあだを返かえされるのである。 51:12 バビロンの城壁じょうへきに向むかって旗はたを立たて、見張みはりを強固きょうこにし、番兵ばんぺいを置おき、伏兵ふくへいを備そなえよ。主しゅがバビロンに住すむ者ものを攻せめようと図はかり、その言いわれたことを、いま行おこなわれるからだ。51:13 多おおくの水みずのほとりに住すみ、多おおくの財宝ざいほうを持もつ者ものよ、あなたの終おわりが来きて、その命いのちの糸いとは断たたれる。51:14 万軍ばんぐんの主しゅはみずからをさして誓ちかい、言いわれる、わたしは必かならずあなたのうちに、人ひとをいなごのように満みたす。彼かれらはあなたに向むかって、かちどきの声こえをあげる。 51:15 主しゅはその力ちからをもって地ちを造つくり、その知恵ちえをもって世界せかいを建たて、その悟さとりをもって天てんをのべられた。51:16 彼かれが声こえを出だされると、天てんに多おおくの水みずのざわめきがあり、また地ちの果はてから霧きりを立たちあがらせられる。彼かれは雨あめのためにいなびかりをおこし、その倉くらから風かぜを取とり出だされる。51:17 すべての人ひとは愚おろかで知恵ちえがなく、すべての金きん細工人ざいくにんはその造つくった偶像ぐうぞうのために恥はじをこうむる。その偶像ぐうぞうは偽いつわり物もので、そのうちに息いきがないからだ。51:18 それらは、むなしいもの、迷まよいのわざである。罰ばっせられる時ときになれば滅ほろびるものである。51:19 ヤコブの分ぶんである彼かれはこのようなものではない、彼かれは万物ばんぶつの造つくり主ぬしだからである。イスラエルは彼かれの嗣し業ぎょうとしての部族ぶぞくである。彼かれの名なは万軍ばんぐんの主しゅという。 51:20 おまえはわたしの鎚つちであり、戦たたかいの武器ぶきである。わたしはおまえをもってすべての国くにを砕くだき、おまえをもって万国ばんこくを滅ほろぼす。51:21 おまえをもってわたしは馬うまと、その騎手きしゅとを砕くだき、おまえをもって戦車せんしゃとそれに乗のる者ものとを砕くだく。51:22 わたしはおまえをもって男おとこと女おんなとを砕くだき、おまえをもって老おいた者ものと幼おさない者ものとを砕くだき、おまえをもって若わかい者ものと、おとめとを砕くだく。51:23 わたしはおまえをもって、羊飼ひつじかいと、その群むれとを砕くだき、おまえをもって農夫のうふと、くびきを負おう家畜かちくとを砕くだき、おまえをもっておさたちと、つかさたちとを砕くだく。51:24 わたしはバビロンとカルデヤに住すむすべての者ものとに、彼かれらがシオンで行いったもろもろの悪あしき事ことのために、あなたがたの目めの前まえで報むくいをすると、主しゅは言いわれる。 51:25 主しゅは言いわれる、全ぜん地ちを滅ほろぼし尽つくす滅ほろぼしの山やまよ、見みよ、わたしはおまえの敵てきとなる、わたしは手てをおまえの上うえに伸のべて、おまえを岩いわからころばし、おまえを焼やけ山やまにする。51:26 主しゅは言いわれる、人ひとがおまえから石いしを取とって、隅すみの石いしとすることなく、また礎いしずえとすることもない。おまえはいつまでも荒あれ地ちとなっている。51:27 地ちに旗はたを立たて、国々くにぐにのうちにラッパを吹ふき、国々くにぐにの民たみを集あつめてそれを攻せめ、アララテ、ミンニ、アシケナズの国々くにぐにをまねいてそれを攻せめ、軍ぐんの長ちょうを立たててそれを攻せめ、群むらがるいなごのように馬うまを上のぼり行いかせよ。51:28 国々くにぐにの民たみを集あつめてそれを攻せめ、メデアびとの王おうたちと、そのおさたち、つかさたち、およびすべての領地りょうちの人々ひとびとを集あつめてこれを攻せめよ。51:29 その地ちは震ふるい、かつもだえ苦くるしむ、主しゅがその思おもい図はかることをバビロンにおこない、バビロンの地ちを、住すむ人ひとなき荒あれ地ちとされるからだ。51:30 バビロンの勇士ゆうしたちは戦たたかいをやめて、その城しろにこもり、力ちからはうせて、女おんなのようになる。その家いえは焼やけ、その貫かんの木きは砕くだかれる。51:31 飛脚ひきゃくは走はしって飛脚ひきゃくに会あい、使者ししゃは走はしって使者ししゃに会あい、バビロンの王おうに告つげて、町まちはことごとく取とられ、51:32 渡わたし場ばは奪うばわれ、とりでは火ひで焼やかれ、兵士へいしはおびえていると言いう。51:33 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、バビロンの娘むすめは、打うち場ばのようだ、その踏ふまれる時ときが来きたのだ。しばらくしてその刈かり取とられる時ときが来くる」。 51:34 「バビロンの王おうネブカデレザルはわたしを食くい尽つくし、わたしを滅ほろぼし、わたしを、からの器うつわのようにし、龍りゅうのようにわたしを飲のみ、わたしのうまい物ものでその腹はらを満みたし、わたしを洗あらいざらいにした。51:35 わたしとわたしの肉親にくしんにおこなった暴虐ぼうぎゃくは、バビロンにふりかかる」とシオンに住すむ者ものは言いわなければならない。「わたしの血ちはカルデヤに住すむ者ものにふりかかる」とエルサレムは言いわなければならない。51:36 それゆえ主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしはあなたの訴うったえをただし、あなたのためにあだを返かえす。わたしはバビロンの海うみをかわかし、その泉いずみをかわかす。51:37 バビロンは荒塚あれづかとなり、山犬やまいぬのすまいとなり、驚おどろきとなり、笑わらいとなり、住すむ人ひとのない所ところとなる。51:38 彼かれらはししのように共ともにほえ、若わかいししのようにほえる。51:39 彼かれらの欲よくの燃もえている時とき、わたしは宴うたげを設もうけて彼かれらを酔よわせ、彼かれらがついに気きを失うしなって、ながい眠ねむりにいり、もはや目めをさますことのないようにしようと主しゅは言いわれる。51:40 わたしは彼かれらを小羊こひつじのように、また雄羊おひつじや雄おやぎのように、ほふり場ばに下くだらせよう。 51:41 ああ、バビロンはついに取とられた、全ぜん地ちの人ひとの、ほめたたえた者ものは捕とらえられた。ああ、バビロンはついに国々くにぐにのうちに驚おどろきとなった。51:42 海うみはバビロンにあふれかかり、どよめく波なみにおおわれた。51:43 その町々まちまちは荒あれて、かわいた地ちとなり、砂原すなはらとなり、住すむ人ひとのない地ちとなる。人ひとの子こはひとりとしてそこを過すぎることはない。51:44 わたしはバビロンでベルを罰ばっし、そののみこんだものを口くちから取とり出だす。国々くにぐにが川かわのように彼かれに流ながれ入いることはなくなる。バビロンの城壁じょうへきは倒たおれた。51:45 わが民たみよ、あなたがたはその中なかから出でて、おのおの主しゅの激はげしい怒いかりを免まぬかれ、その命いのちを救すくえ。51:46 心こころを弱よわくしてはならない、この地ちで聞きくうわさを恐おそれてはならない。うわさはこの年としにもくれば、また次つぎの年としにもくる。この地ちに暴虐ぼうぎゃくがあり、つかさとつかさとが攻せめあうことがある。51:47 それゆえ見みよ、わたしがバビロンの偶像ぐうぞうを罰ばっする日ひが来くる。その全ぜん地ちははずかしめられ、その殺ころされる者ものはみなその中なかに倒たおれる。51:48 天てんと地ちとそのうちにあるすべてのものはバビロンの事ことで喜よろこび歌うたう。滅ほろぼす者ものが北きたの方ほうからここに来くるからであると主しゅは言いわれる。51:49 イスラエルの殺ころされた者ものたちのために、バビロンは倒たおれなければならない、バビロンのために全ぜん地ちの殺ころされた者ものは倒たおれたのだ。 51:50 つるぎをのがれてきたあなたがたは、行いけ、立たちとどまってはならない。遠とおくから主しゅを覚おぼえ、エルサレムを心こころにとめよ。51:51 『われわれはののしりを聞きいたので、恥はじている。異邦人いほうじんが主しゅの宮みやの聖所せいじょにはいったので、恥はじがわれわれの顔かおをおおった』。 51:52 主しゅは言いわれる、それゆえ見みよ、わたしがその偶像ぐうぞうを罰ばっする日ひが来くる、傷きずつけられた者ものが、その全国ぜんこくにうめくようになる。51:53 たといバビロンが天てんに上のぼっても、その城しろを高たかくして固かためても、滅ほろぼす者ものはわたしから出でて、これに臨のぞむと主しゅは言いわれる。 51:54 聞きけ、バビロンの叫さけびを、カルデヤびとの地ちに起おこる大おおいなる滅ほろびの騒さわぎ声こえを。51:55 主しゅがバビロンを滅ほろぼし、その大おおいなる声こえを絶たやされるのだ。その波なみは大水おおみずのように鳴なりとどろき、その声こえはひびき渡わたる。51:56 滅ほろぼす者ものがこれに臨のぞみ、バビロンに来きた。その勇士ゆうしたちは捕とらえられ、その弓ゆみは折おられる。主しゅは報むくいをする神かみであるから必かならず報むくいられるのだ。51:57 わたしはその君きみたちと知者ちしゃたち、おさたち、つかさたち、および勇士ゆうしたちを酔よわせる。彼かれらは、ながい ねむりにいり、目めをさますことはない。万軍ばんぐんの主しゅと呼よばれる王おうがこれを言いわせる。51:58 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、バビロンの広ひろい城壁じょうへきは地ちにくずされ、その高たかい門もんは火ひに焼やかれる。こうして民たみの労苦ろうくはむなしくなり、国民こくみんはただ火ひのために疲つかれる」。51:59 マアセヤの子こであるネリヤの子こセラヤが、ユダの王おうゼデキヤと共ともに、その治世ちせいの四年ねんにバビロンへ行いくとき、預言者よげんしゃエレミヤがセラヤに命めいじた言葉ことば。セラヤは宿営しゅくえいの長ちょうであった。51:60 エレミヤはバビロンに臨のぞもうとするすべての災わざわいを巻物まきものにしるした。これはすなわちバビロンの事ことについてしるしたすべての言葉ことばである。51:61 エレミヤはセラヤに言いった、「あなたはバビロンへ行いったならば、忘わすれることなくこのすべての言葉ことばを読よみ、51:62 そして言いいなさい、『主しゅよ、あなたはこの所ところを滅ほろぼし、人ひとと獣けものとを問とわず、すべてここに住すむ者もののないようにし、永久えいきゅうにここを荒あれ地ちとしようと、この所ところについて語かたられました』と。51:63 あなたがこの巻物まきものを読よみ終おわったならば、これに石いしをむすびつけてユフラテ川かわの中なかに投なげこみ、51:64 そして言いいなさい、『バビロンはこのように沈しずんで、二度どと上あがってこない。わたしがこれに災わざわいを下くだすからである』と」。ここまではエレミヤの言葉ことばである。 第52章 52:1 ゼデキヤは王おうとなったとき二十一歳さいであったが、エルサレムで十一年ねん世よを治おさめた。母ははの名なはハムタルといい、リブナのエレミヤの娘むすめである。52:2 ゼデキヤはエホヤキムがすべて行いったように、主しゅの目めの前まえに悪事あくじを行おこなった。52:3 たしかに、主しゅの怒いかりによって、エルサレムとユダとは、そのみ前まえから捨すて去さられるようなことになった。 そしてゼデキヤはバビロンの王おうにそむいた。52:4 そこで彼かれの治世ちせいの九年ねん十月がつ十日かに、バビロンの王おうネブカデレザルはその軍勢ぐんぜいを率ひきい、エルサレムにきて、これを包囲ほういし、周囲しゅういに塁るいを築きずいてこれを攻せめた。52:5 こうしてこの町まちは攻せめ囲かこまれて、ゼデキヤ王おうの十一年ねんにまで及およんだが、52:6 その四月がつ九日かになって、町まちの中なかの食糧しょくりょうは、はなはだしく欠乏けつぼうし、その地ちの民たみは食物しょくもつを得えることができなくなった。52:7 そして町まちの城壁じょうへきはついに打うち破やぶられたので、兵士へいしたちはみな逃にげ、夜よるのうちに、王おうの園そのの近ちかくの、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちをのがれ出でて、カルデヤびとが、町まちを攻せめ囲かこんでいるうちに、アラバの方ほうへ落おちて行いった。52:8 しかしカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは王おうを追おって行いって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいついたが、彼かれの軍勢ぐんぜいがみな散ちって彼かれのそばを離はなれたので、52:9 カルデヤびとは王おうを捕とらえ、ハマテの地ちのリブラにいるバビロンの王おうのもとに引ひいていったので、王おうは彼かれの罪つみを定さだめた。52:10 すなわちバビロンの王おうはゼデキヤの子こたちをその目めの前まえで殺ころさせ、ユダのつかさたちをことごとくリブラで殺ころさせ、52:11 またゼデキヤの目めをつぶさせた。そしてバビロンの王おうは彼かれを鎖くさりにつないでバビロンへ連つれて行いき、その死しぬ日ひまで獄屋ごくやに入いれて置おいた。 52:12 五月がつ十日かに、――それはバビロンの王おうネブカデレザルの世よの十九年ねんであった――バビロンの王おうに仕つかえる侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはエルサレムに、はいって、52:13 主しゅの宮みやと王おうの宮殿きゅうでんを焼やき、エルサレムのすべての家いえを焼やいた。彼かれは大おおきな家いえをみな焼やきはらった。52:14 また侍衛じえいの長ちょうと共ともにいたカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは、エルサレムの周囲しゅういの城壁じょうへきをみな取とりこわした。52:15 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは民たみのうちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかん、そのほか町まちのうちに残のこった者もの、およびバビロンの王おうにくだった人ひと、その他た工 こうしょうたちを捕とらえ移うつした。52:16 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはその地ちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかんを残のこして、ぶどうを作つくる者ものとし、農夫のうふとした。 52:17 カルデヤびとはまた主しゅの宮みやの青銅せいどうの柱はしらと、洗盤せんばんの台だいと、青銅せいどうの海うみを砕くだいて、その青銅せいどうをことごとくバビロンへ運はこび、52:18 また、つぼと、十能じゅうのうと、心切しんきりばさみと、鉢はちと、香こうを盛もる皿さらおよび宮みやの勤つとめに用もちいる青銅せいどうの器うつわをことごとく取とって行いった。52:19 また彼かれらは小鉢こばちと、心取しんとり皿ざらと、鉢はちと、つぼと、燭台しょくだいと、香こうを盛もる皿さらと、灌祭かんさいの鉢はちを取とった。金きんで作つくった物ものは金きんとして、銀ぎんで作つくった物ものは銀ぎんとして、侍衛じえいの長ちょうは運はこび去さった。52:20 ソロモン王おうが主しゅの宮みやに造つくった二本ほんの柱はしらと、一つの海うみと、海うみの下したの十二の青銅せいどうの牛うしと、台だいなど、このすべての物ものの青銅せいどうの重おもさは量はかることもできなかった。52:21 この一本ぽんの柱はしらの高たかさは十八キュビト、周囲しゅういは十二キュビトで、指ゆび四本ほんの厚あつさがあり、中なかは、うつろであった。52:22 その上うえに青銅せいどうの柱頭ちゅうとうがあり、柱頭ちゅうとうの高たかさは五キュビト、柱頭ちゅうとうの周囲しゅういは網あみ細工ざいくと、ざくろとで飾かざり、これらもみな青銅せいどうであった。他たの柱はしらもそのざくろも、これと同おなじであった。52:23 その四方しほうに九十六個このざくろがあり、周囲しゅういの網あみ細工ざいくの上うえにあるざくろの数かずは百個こであった。 52:24 侍衛じえいの長ちょうは祭司さいし長ちょうセラヤと次席じせきの祭司さいしゼパニヤと三人にんの門もんを守まもる者ものを捕とらえ、52:25 また兵士へいしをつかさどるひとりの役人やくにんと、町まちにいた王おうの側近そっきんの者もの七人にんと、その地ちの民たみを募つのる軍勢ぐんぜいの長ちょうの書記官しょきかんと、町まちの中なかにいた六十人にんの者ものを町まちから捕とらえ去さった。52:26 侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、これらの人ひとを捕とらえて、リブラにいるバビロンの王おうのもとに連つれて行いった。52:27 バビロンの王おうは、ハマテの地ちのリブラで彼かれらを撃うち殺ころした。こうして、ユダは自分じぶんの地ちから捕とらえ移うつされた。 52:28 ネブカデレザルが捕とらえ移うつした民たみの数かずは次つぎのとおりである。第だい七年ねんにはユダヤ人ひと三千二十三人にん。52:29 またネブカデレザルはその第だい十八年ねんにエルサレムから八百三十二人にんを捕とらえ移うつした。52:30 ネブカデレザルの二十三年ねんに侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、ユダヤ人ひと七百四十五人にんを捕とらえ移うつした。この総数そうすうは四千六百人にんであった。 52:31 ユダの王おうエホヤキンが捕とらえ移うつされて後のち三十七年ねんの十二月がつ二十五日にちに、バビロンの王おうエビルメロダクはその即位そくいの年ねんに、ユダの王おうエホヤキンを獄屋ごくやから出だし、そのこうべを挙あげさせ、52:32 親切しんせつに彼かれを慰なぐさめ、その位くらいを、バビロンで共ともにいる王おうたちの位くらいよりも高たかくした。52:33 こうしてエホヤキンは獄屋ごくやの服ふくを脱ぬいだ。そして生いきている間あいだは毎日まいにち王おうの食卓しょくたくで食事しょくじし、52:34 彼かれの給与きゅうよとしては、その死しぬ日ひまで一生いっしょうの間あいだ、たえず日々ひびの必要ひつようにしたがって、バビロンの王おうから給与きゅうよを賜たまわった。
44:1 エジプトの地ちに住すんでいるユダヤ人ひとすなわちミグドル、タパネス、メンピス、パテロスの地ちに住すむ者ものの事ことについてエレミヤに臨のぞんだ言葉ことば、
44:2 「万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、あなたがたはわたしがエルサレムとユダの町々まちまちに下くだした災わざわいを見みた。見みよ、これらは今日こんにち、すでに荒あれ地ちとなって住すむ人ひともない。
44:3 これは彼かれらが悪あくを行いって、わたしを怒いからせたことによるのである。すなわち彼かれらは自分じぶんも、あなたがたも、あなたがたの先祖せんぞたちも知しらなかった、ほかの神々かみがみに行いって、香こうをたき、これに仕つかえた。
44:4 わたしは自分じぶんのしもべであるすべての預言者よげんしゃたちを、しきりにあなたがたにつかわして、『どうか、わたしの忌いみきらうこの憎にくむべき事ことをしないように』と言いわせたけれども、
44:5 彼かれらは聞きかず、耳みみを傾かたむけず、ほかの神々かみがみに香こうをたいて、その悪あくを離はなれなかった。
44:6 それゆえ、わたしは怒いかりと憤いきどおりをユダの町々まちまちとエルサレムのちまたに注そそぎ、それを焼やいたので、それらは今日こんにちのように荒あれ、滅ほろびてしまった。
44:7 万軍ばんぐんの神かみ、イスラエルの神かみ、主しゅは今いまこう言いわれる、あなたがたはなぜ大おおいなる悪あくを行いって自分じぶん自身じしんを害がいし、ユダのうちから、あなたがたの男おとこと女おんなと、子供こどもと乳ちのみ子ごを断たって、ひとりも残のこらないようにしようとするのか。
44:8 なぜあなたがたはその手てのわざをもってわたしを怒いからせ、あなたがたが行いって住すまうエジプトの地ちで、ほかの神々かみがみに香こうをたいて自分じぶんの身みを滅ほろぼし、地ちの万国ばんこくのうちに、のろいとなり、はずかしめとなろうとするのか。
44:9 ユダの地ちとエルサレムのちまたで行いったあなたがたの先祖せんぞたちの悪あく、ユダの王おうたちの悪あく、その妻つまたちの悪あく、およびあなたがた自身じしんの悪あく、あなたがたの妻つまたちの悪あくをあなたがたは忘わすれたのか。
44:10 彼かれらは今日こんにちに至いたるまで悔くいず、また恐おそれず、あなたがたとあなたがたの先祖せんぞたちの前まえに立たてた、わたしの律法りっぽうとわたしの定さだめとに従したがって歩あゆまないのである。
44:11 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、見みよ、わたしは顔かおをあなたがたに向むけて災わざわいを下くだし、ユダの人々ひとびとをことごとく断たつ。
44:12 またわたしは、エジプトの地ちに住すむために、むりに行いったあのユダの残のこりの者ものを取とり除のぞく。彼かれらはみな滅ほろぼされてエジプトの地ちに倒たおれる。彼かれらは、つるぎとききんに滅ほろぼされ、最もっとも小ちいさい者ものから最もっとも大おおいなる者ものまで、つるぎとききんによって死しぬ。そして、のろいとなり、恐怖きょうふとなり、ののしりとなり、はずかしめとなる。
44:13 わたしはエルサレムを罰ばっしたように、つるぎと、ききんと、疫病えきびょうをもってエジプトに住すんでいる者ものを罰ばっする。
44:14 それゆえ、エジプトの地ちへ行いってそこに住すんでいるユダの残のこりの者もののうち、のがれ、または残のこって、帰かえり住すまおうと願ねがうユダの地ちへ帰かえる者ものはひとりもない。少数しょうすうののがれる者もののほかには、帰かえってくる者ものはない」。
44:15 その時とき、自分じぶんの妻つまがほかの神々かみがみに香こうをたいたことを知しっている人々ひとびと、およびその所ところに立たっている女おんなたちの大おおいなる群衆ぐんしゅう、ならびにエジプトの地ちのパテロスに住すんでいる民たみはエレミヤに答こたえて言いった、
44:16 「あなたが主しゅの名なによってわたしたちに述のべられた言葉ことばは、わたしたちは聞きくことができません。
44:17 わたしたちは誓ちかったことをみな行おこない、わたしたちが、もと行いっていたように香こうを天后てんこうにたき、また酒さけをその前まえに注そそぎます。すなわち、ユダの町々まちまちとエルサレムのちまたで、わたしたちとわたしたちの先祖せんぞたちおよびわたしたちの王おうたちと、わたしたちのつかさたちが行いったようにいたします。その時ときには、わたしたちは糧食りょうしょくには飽あき、しあわせで、災わざわいに会あいませんでした。
44:18 ところが、わたしたちが、天后てんこうに香こうをたくことをやめ、酒さけをその前まえに注そそがなくなった時ときから、すべての物ものに乏とぼしくなり、つるぎとききんに滅ほろぼされました」。
44:19 また女おんなたちは言いった、「わたしたちが天后てんこうに香こうをたき、酒さけをその前まえに注そそぐに当あたって、これにかたどってパンを つくり、酒さけを注そそいだのは、わたしたちの夫おっとが許ゆるしたことではありませんか」。
44:20 そこでエレミヤは男女だんじょのすべての人ひと、およびこの答こたえをしたすべての民たみに言いった、
44:21 「ユダの町々まちまちとエルサレムのちまたで、あなたがたとあなたがたの先祖せんぞたち、およびあなたがたの王おうたちとあなたがたのつかさたち、およびその地ちの民たみが香こうをたいたことは、主しゅがこれを忘わすれず、また、心こころにとどめておられることではないか。
44:22 主しゅはあなたがたの悪あしきわざのため、あなたがたの憎にくむべき行おこないのために、もはや忍しのぶことができなくなられた。それゆえ、あなたがたの地ちは今日こんにちのごとく荒あれ地ちとなり、驚おどろきとなり、のろいとなり、住すむ人ひとのない地ちとなった。
44:23 あなたがたが香こうをたき、主しゅに罪つみを犯おかし、主しゅの声こえに聞きき従したがわず、その律法りっぽうと、定さだめと、あかしに従したがって歩あゆまなかったので、今日こんにちのようにこの災わざわいがあなたがたに臨のぞんだのである」。
44:24 エレミヤはまたすべての民たみと女おんなたちに言いった、「あなたがたすべてエジプトの地ちにいるユダの人々ひとびとよ、主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。
44:25 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、あなたがたとあなたがたの妻つまたちは口くちで言いい、手てで行おこない、『わたしたちは天后てんこうに香こうをたき、酒さけを注そそいで立たてた誓ちかいを必かならずなし遂とげる』と言いう。それならば、あなたがたの誓ちかいをかため、あなたがたの誓ちかいをなし遂とげなさい。
44:26 それゆえ、あなたがたすべてエジプトの地ちにいるユダの人々ひとびとよ、主しゅの言葉ことばを聞ききなさい。主しゅは言いわれる、わたしは自分じぶんの大おおいなる名なをさして誓ちかう、すなわちエジプトの全ぜん地ちに、ユダの人々ひとびとで、その口くちに、『主しゅなる神かみは生いきておられる』と言いって、わたしの名なをとなえるものは、もはやひとりもないようになる。
44:27 見みよ、わたしは彼かれらを見守みまもっている、それは幸さいわいを与あたえるためではなく、災わざわいを下くだすためである。エジプトの地ちにいるユダの人々ひとびとは、つるぎとききんによって滅ほろび絶たえる。
44:28 しかし、つるぎをのがれるわずかの者ものはエジプトの地ちを出でてユダの地ちに帰かえる。そしてユダの残のこっている民たみでエジプトに来きて住すんだ者ものは、わたしの言葉ことばが立たつか、彼かれらの言葉ことばが立たつか、いずれであるかを知しるようになる。
44:29 主しゅは言いわれる、わたしがこの所ところであなたがたを罰ばっするしるしはこれである。わたしはこのようにしてわたしがあなたがたに災わざわいを下くだそうと言いった事ことの必かならず立たつことを知しらせよう。
44:30 すなわち主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしはユダの王おうゼデキヤを、その命いのちを求もとめる敵てきであるバビロンの王おうネブカデレザルの手てに渡わたしたように、エジプトの王おうパロ・ホフラをその敵てきの手て、その命いのちを求もとめる者ものの手てに渡わたす」。
第45章 45:1 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの四年ねんに、ネリヤの子こバルクがこれらの言葉ことばをエレミヤの口述こうじゅつにしたがって書しょにしるした時とき、預言者よげんしゃエレミヤが彼かれに語かたった言葉ことば、45:2 「バルクよ、イスラエルの神かみ、主しゅはあなたについてこう言いわれる、45:3 あなたはかつて、『ああ、わたしはわざわいだ、主しゅがわたしの苦くるしみに悲かなしみをお加くわえになった。わたしは嘆なげき疲つかれて、安息あんそくが得えられない』と言いった。45:4 あなたはこう彼かれに言いいなさい、主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしは自分じぶんで建たてたものをこわし、自分じぶんで植うえたものを抜ぬいている――それは、この全ぜん地ちである。45:5 あなたは自分じぶんのために大おおいなる事ことを求もとめるのか、これを求もとめてはならない。見みよ、わたしはすべての人ひとに災わざわいを下くだそうとしている。しかしあなたの命いのちはあなたの行ゆくすべての所ところで、ぶんどり物ものとしてあなたに与あたえると主しゅは言いわれる」。 第46章 46:1 もろもろの国くにの事ことについて預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ主しゅの言葉ことば。 46:2 エジプトの事こと、すなわちユフラテ川かわのほとりにあるカルケミシの近ちかくにいるエジプトの王おうパロ・ネコの軍勢ぐんぜいの事ことについて。これはユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの四年ねんに、バビロンの王おうネブカデレザルが撃うち破やぶったものである。その言葉ことばは次つぎのとおりである、 46:3 「大盾おおだてと小盾こだてとを備そなえ、進すすんで戦たたかえ。46:4 騎兵きへいよ、馬うまを戦車せんしゃにつなぎ、馬うまに乗のれ。かぶとをかぶって立たて。ほこをみがき、よろいを着きよ。46:5 わたしは見みたが、何なにゆえか彼かれらは恐おそれて退しりぞき、その勇士ゆうしたちは打うち敗やぶられ、あわてて逃にげて、うしろをふり向むくこともしない、――恐おそれが彼かれらの周囲しゅういにあると主しゅは言いわれる。46:6 足早あしばやき者ものも逃にげることができず、勇士ゆうしものがれることができない。北きたの方ほう、ユフラテ川かわのほとりで彼かれらはつまずき倒たおれた。 46:7 あのナイル川かわのようにわきあがり、川々かわがわのように、その水みずのさかまく者ものはだれか。46:8 エジプトはナイル川かわのようにわきあがり、その水みずは川々かわがわのようにさかまく。そしてこれは言いう、わたしは上のぼって、地ちをおおい、町々まちまちとそのうちに住すむ者ものを滅ほろぼそう。46:9 馬うまよ、進すすめ、車くるまよ、激はげしく走はしれ。勇士ゆうしよ、盾たてを取とるエチオピヤびとと、プテびとよ、弓ゆみを巧たくみに引ひくルデびとよ、進すすみ出でよ。46:10 その日ひは万軍ばんぐんの神かみ、主しゅの日ひであって、主しゅがあだを報むくいられる日ひ、その敵てきにあだをかえされる日ひだ。つるぎは食たべて飽あき、彼かれらの血ちに酔よう。万軍ばんぐんの神かみ、主しゅが、北きたの地ちで、ユフラテ川かわのほとりで、ほふることをなされるからだ。46:11 おとめなるエジプトの娘むすめよ、ギレアデに上のぼって乳香にゅうこうを取とれ。あなたは多おおくの薬くすりを用もちいても、むだだ。あなたは、いやされることはない。46:12 あなたの恥はじは国々くにぐにに聞きこえている、あなたの叫さけびは地ちに満みちている。勇士ゆうしが勇士ゆうしにつまずいて、共ともに倒たおれたからである」。46:13 バビロンの王おうネブカデレザルが来きて、エジプトの地ちを撃うとうとする事ことについて、主しゅが預言者よげんしゃエレミヤにお告つげになった言葉ことば、 46:14 「エジプトで宣のべ、ミグドルで告つげ示しめし、またメンピスとタパネスに告つげ示しめして言いえ、『堅かたく立たって、備そなえせよ、つるぎがあなたの周囲しゅういを、滅ほろぼし尽つくすからだ』。46:15 なぜ、アピスはのがれたのか。あなたの雄牛おうしは、なぜ立たたなかったのか。それは主しゅがこれを倒たおされたからだ。46:16 あなたに属ぞくする多おおくの兵へいは、つまずいて倒たおれた。そして互たがいに言いった、『立たてよ、われわれは、しえたげる者もののつるぎを避さけて、われわれの民たみに帰かえり、故郷こきょうの地ちへ行いこう』と。46:17 エジプトの王おうパロの名なを、『好機こうきを逸いっする騒さわがしい者もの』と呼よべ。 46:18 万軍ばんぐんの主しゅという名なの王おうは言いわれる、わたしは生いきている、彼かれは山々やまやまのうちのタボルのように、海うみのほとりのカルメルのように来きたり臨のぞむ。46:19 エジプトに住すむ民たみよ、捕とらわれのために荷物にもつを備そなえよ。メンピスは荒あれ地ちとなり、廃虚はいきょとなって住すむ人ひともなくなる。46:20 エジプトは美うつくしい雌めすの子こ牛うしだ、しかし北きたから、牛うしばえが来きて、それにとまった。46:21 そのうちにいる雇やとい兵へいでさえ、肥こえた子こ牛うしのようだ。彼かれらはふり返かえって共ともに逃にげ、立たつことをしなかった。彼かれらの災難さいなんの日ひ、その罰ばっせられる時ときが来きたからだ。46:22 彼かれは逃にげ去さるへびのような音おとをたてる。その敵てきが軍勢ぐんぜいを率ひきいて彼かれに臨のぞみ、きこりのように、おのをもって来くるからだ。46:23 彼かれらは彼かれの林はやしがいかに入いり込こみがたくとも、それを切きり倒たおす。彼かれらはいなごよりも多おおく、数かぞえがたいからであると、主しゅは言いわれる。46:24 エジプトの娘むすめははずかしめを受うけ、北きたからくる民たみの手てに渡わたされる」。46:25 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみは言いわれた、「見みよ、わたしはテーベのアモンと、パロと、エジプトとその神々かみがみとその王おうたち、すなわちパロと彼かれを頼たのむ者ものとを罰ばっする。46:26 わたしは彼かれらを、その命いのちを求もとめる者ものの手てと、バビロンの王おうネブカデレザルの手てと、その家来けらいたちの手てに渡わたす。その後のち、エジプトは昔むかしのように人ひとの住すむ所ところとなると、主しゅは言いわれる。 46:27 わたしのしもべヤコブよ、恐おそれることはない、イスラエルよ、驚おどろくことはない。見みよ、わたしがあなたを遠とおくから救すくい、あなたの子孫しそんをその捕とらえ移うつされた地ちから救すくうからだ。ヤコブは帰かえってきて、おだやかに、安やすらかになり、彼かれを恐おそれさせる者ものはない。46:28 主しゅは言いわれる、わたしのしもべヤコブよ、恐おそれることはない、わたしが共ともにいるからだ。わたしはあなたを追おいやった国々くにぐにをことごとく滅ほろぼし尽つくす。しかしあなたを滅ほろぼし尽つくすことはしない。わたしは正ただしい道みちに従したがって、あなたを懲こらしめる、決けっして罰ばっしないではおかない」。 第47章 47:1 パロがまだガザを撃うたなかったころ、ペリシテびとの事ことについて預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ主しゅの言葉ことば。 47:2 「主しゅはこう言いわれる、見みよ、水みずは北きたから起おこり、あふれ流ながれて、この地ちと、そこにあるすべての物もの、その町まちと、その中なかに住すむ者ものとにあふれかかる。その時とき、人々ひとびとは叫さけび、この地ちに住すむ者ものはみな嘆なげく。47:3 そのたくましい馬うまのひずめの踏ふみ鳴ならす音おとのため、その戦車せんしゃの響ひびきのため、その車輪しゃりんのとどろきのために、父ちちはその手てが弱よわくなって、自分じぶんの子こをも顧かえりみない。47:4 これは、ペリシテびとを滅ほろぼし尽つくし、ツロとシドンに残のこって助たすけをなす者ものをことごとく絶たやす日ひが来くるからである。主しゅはカフトルの海岸かいがんに残のこっているペリシテびとを滅ほろぼされる。47:5 ガザには髪かみをそることが始はじまっている。アシケロンは滅ほろびた。アナクびとの残のこりの民たみよ、いつまで自分じぶんの身みに傷きずつけるのか。47:6 主しゅのつるぎよ、おまえはいつになれば静しずかになるのか。おまえのさやに帰かえり、休やすんで静しずかにしておれ。47:7 主しゅがこれに命いのちを下くだされたのだ、どうして静しずかにしておれようか。アシケロンと海岸かいがんの地ちを攻せめることを定さだめられたのだ」。 第48章 48:1 モアブの事ことについて、万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、 「ああ、ネボはわざわいだ、これは滅ほろぼされた。キリヤタイムははずかしめられて取とられ、とりでは、はずかしめられてこわされた。48:2 モアブの誉ほまれは、消きえ去さった。ヘシボンで人々ひとびとはモアブの害がいを図はかり、『さあ、この国くにを断たち滅ほろぼそう』という。マデメンよ、おまえもまた滅ほろぼされる、つるぎがおまえを追おう。 48:3 ホロナイムから叫さけび声ごえが聞きこえる、『荒廃こうはいと大おおいなる滅亡めつぼうだ』という。48:4 モアブは滅ほろぼされ、叫さけびはゾアルにまで聞きこえる。48:5 彼かれらは泣なきながらルヒテの坂さかを登のぼる。彼かれらはホロナイムの下くだり坂ざかで、『滅亡めつぼう』の叫さけびを聞きいたからだ。48:6 逃にげて、自分じぶんの身みを救すくえ、荒野あらのの野のろばのようになれ。48:7 おまえが、とりでと財宝ざいほうとを頼たのみにしたので、おまえも捕とらえられるからだ。またケモシは、その祭司さいしとつかさたちと共ともに、捕とらえられて行いく。48:8 滅ほろぼす者ものはすべての町まちに来くる、一つの町まちものがれることができない。谷たには滅ほろび、平地へいちは荒あらされる、主しゅの言いわれたとおりである。48:9 モアブに翼つばさを与あたえて、飛とび去さらせよ。その町々まちまちは荒あれて、住すむ者ものはなくなる。48:10 主しゅのわざを行おこなうことを怠おこたる者ものはのろわれる。またそのつるぎを押おさえて血ちを流ながさない者ものはのろわれる。48:11 モアブはその幼おさない時ときから安やすらかで、酒さけが、沈しずんだおりの上うえにとどまって、器うつわから器うつわに、くみ移うつされなかったように、捕とらえ移うつされなかったので、その味あじはなお存そんし、その香気こうきも変かわることがない。48:12 主しゅは言いわれる、それゆえ見みよ、わたしがこれを傾かたむける者ものどもをつかわす日ひが来くる。彼かれらはこれを傾かたむけ、その器うつわをあけ、そのかめを砕くだく。48:13 その時ときモアブはケモシのために恥はじをかく。ちょうどイスラエルの家いえがその頼たのみとしたベテルのために恥はじをかいたようになる。48:14 あなたがたはどうして『われわれは勇士ゆうしだ。強つよい戦士せんしだ』というのか。48:15 モアブとその町々まちまちを滅ほろぼす者ものは上のぼって来き、モアブのえり抜ぬきの若者わかものたちは下くだって殺ころされたと万軍ばんぐんの主しゅと名なのる王おうが言いわれる。48:16 モアブの災難さいなんは近ちかづいている、その苦難くなんはすみやかに来くる。48:17 すべてその周囲しゅういにある者ものよ、またその名なを知しる者ものよ、彼かれのために嘆なげいて、『ああ、強つよき笏しゃく、麗うるわしきつえは、ついに折おれた』と言いえ。 48:18 デボンに住すむ者ものよ、ああなたの栄さかえを離はなれて下くだり、かわいた地ちに座ざせよ。モアブを滅ほろぼす者ものがあなたに攻せめのぼって来きて、あなたの城しろを滅ほろぼしたからだ。48:19 アロエルに住すむ者ものよ、道みちのかたわらに立たって見張みはりし、逃にげてくる男おとこ、のがれてくる女おんなに尋たずねて、『何なにが起おこったのか』と言いえ。48:20 モアブは敗やぶれて、恥はじをこうむっている。嘆なげき呼よばわれ。アルノン川かわのほとりで、モアブは滅ほろぼされたと告つげよ。48:21 さばきは高原こうげんの地ちに臨のぞみ、ホロン、ヤハズ、メパアテ、48:22 デボン、ネボ、ベテ・デブラタイム、48:23 キリヤタイム、ベテ・ガムル、ベテ・メオン、48:24 ケリオテ、ボズラなどモアブの地ちのすべての町まちの、遠とおいものにも近ちかいものにも、臨のぞんだ。48:25 モアブの角つのは砕くだけ、その腕うでは折おれたと主しゅは言いわれる。 48:26 モアブを酔よわせよ、彼かれが主しゅに敵てきして自みずから高たかぶったからである。モアブは自分じぶんの吐はいた物ものの中なかにころがって、笑わらい草ぐさとなる。48:27 イスラエルはあなたの笑わらい草ぐさではなかったか。あなたが、彼かれのことを語かたるごとに首くびを振ふったのは、彼かれが盗賊とうぞくの中なかにいたとでもいうのか。48:28 モアブに住すむ者ものよ、町まちを去さって岩いわの間あいだに住すめ。谷たにの入口いりぐちのかたわらに巣すを作つくる山やまばとのようにせよ。48:29 われわれはモアブの高慢こうまんな事ことを聞きいた、その高慢こうまんは、はなはだしい。すなわち、その尊大そんだい、高慢こうまん、横柄おうへい、およびその心こころの高たかぶりのことを聞きいた。48:30 主しゅは言いわれる、わたしは彼かれの横着おうちゃくなのを知しる、彼かれの自慢じまんは偽いつわりで、その行おこないも偽いつわりである。48:31 それゆえ、わたしはモアブのために嘆なげき、モアブの全ぜん地ちのために呼よばわる。キルヘレスの人々ひとびとのためにわたしは悲かなしむ。48:32 シブマのぶどうの木きよ、わたしはヤゼルのために泣なくのにまさっておまえのために泣なく。おまえのつるは延のびて海うみを越こえ、ヤゼルに及およんだ。おまえの夏なつの実みと、その収穫しゅうかくを滅ほろぼす者ものが襲おそってきた。48:33 喜よろこびと楽たのしみは、実みのり多おおいモアブの地ちを去さった。わたしは、ぶどうをしぼる所ところにも酒さけをなくした。楽たのしく呼よばわって、ぶどうを踏ふむ者ものもなくなった。呼よばわっても、喜よろこんで呼よばわる声こえではない。48:34 ヘシボンとエレアレは叫さけぶ。ヤハヅに至いたるまで、ゾアルからホロナイムとエグラテ・シリシヤに至いたるまで、彼かれらはその声こえをあげる。ニムリムの水みずも絶たえたからである。48:35 主しゅは言いわれる、わたしは犠牲ぎせいを高たかき所ところにささげ、香こうをその神かみにたく者ものをモアブのうちに滅ほろぼす。48:36 それゆえ、わたしの心こころはモアブのために笛ふえのように嘆なげき、わたしの心こころはキルヘレスの人々ひとびとのために笛ふえのように嘆なげく。彼かれらの獲えた富とみが消きえうせたからである。 48:37 人ひとはみな髪かみをそり、皆みなひげをそり、みな手てに傷きずをつけ、腰こしに荒布あらぬのを着つける。48:38 モアブではどこの屋根やねの上うえも、広場ひろばも、ただ悲かなしみに包つつまれている。これは、わたしが、だれもほしがらない器うつわのようにモアブを砕くだいたからであると主しゅは言いわれる。48:39 ああ、モアブはついに滅ほろびた。人々ひとびとは嘆なげく。ああ、モアブは恥はじて顔かおをそむけた。モアブはその周囲しゅういのすべての者ものの笑わらい草ぐさとなり恐おそれとなった」。 48:40 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、敵てきはわしのように速はやく飛とんできて、モアブに向むかって翼つばさをのべる。48:41 町々まちまちは取とられ、城しろは奪うばわれる。その日ひモアブの勇士ゆうしの心こころは子こを産うむ女おんなの心こころのようになる。48:42 モアブは滅ほろぼされて、国くにを成なさないようになる。主しゅに敵てきして自みずから誇ほこったからである。48:43 主しゅは言いわれる、モアブに住すむ者ものよ、恐おそれと、穴あなと、わなとがあなたに臨のぞんでいる。48:44 恐おそれをさけて逃にげる者ものは穴あなにおちいり、穴あなをよじ上のぼって出でる者ものは、わなに捕とらえられる。わたしがモアブに、その罰ばっせられる年としに、これらのものを臨のぞませるからであると主しゅは言いわれる。 48:45 逃にげた者ものはヘシボンの陰かげに、力ちからなく立たちどまる。ヘシボンから火ひが出で、シホンの家いえから炎ほのおが出でて、モアブの額ひたい、騒さわぐ人々ひとびとの頭あたまの頂いただきを焼やいたからだ。48:46 モアブよ、おまえはわざわいだ。ケモシの民たみは滅ほろびた。おまえのむすこらは捕とらえ移うつされ、おまえの娘むすめらも捕とらえ行ゆかれたからである。48:47 しかし末すえの日ひにわたしは再ふたたびモアブを栄さかえさせると主しゅは言いわれる」。ここまではモアブのさばきの事ことをいったのである。 第49章 49:1 アンモンびとについて、主しゅはこう言いわれる、「イスラエルには子こがないのか、世継よつぎがないのか。どうしてミルコムがガドを追おい出だして、その民たみがその町々まちまちに住すんでいるのか。49:2 主しゅは言いわれる、それゆえ、見みよ、アンモンびとのラバを攻せめる戦たたかいの叫さけびを、わたしが聞きこえさせる日ひが来くる。ラバは荒塚あれづかとなり、その村々むらむらは火ひで焼やかれる。そのときイスラエルは自分じぶんを追おい出だした者ものどもを追おい出だすと主しゅは言いわれる。 49:3 ヘシボンよ嘆なげけ、アイは滅ほろぼされた。ラバの娘むすめたちよ呼よばわれ。荒布あらぬのを身みにまとい、悲かなしんで、まがきのうちを走はしりまわれ。ミルコムとその祭司さいしおよびつかさが共ともに捕とらえ移うつされるからだ。49:4 不信ふしんの娘むすめよ、あなたはなぜ自分じぶんの谷たにの事ことを誇ほこるのか。あなたは自分じぶんの富とみに寄より頼たよんで、『だれがわたしに攻せめてくるものか』と言いう。49:5 主しゅなる万軍ばんぐんの神かみは言いわれる、見みよ、わたしはあなたの上うえに恐おそれを臨のぞませる、それはあなたの周囲しゅういの者ものから来くる。あなたは追おわれて、おのおの直ただちに他人たにんに続つづき、逃にげる者ものを集あつめる人ひともない。49:6 しかし、のちになって、わたしはアンモンびとを再ふたたび栄さかえさせると、主しゅは言いわれる」。49:7 エドムの事ことについて、万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「テマンには、もはや知恵ちえがないのか。さとい者ものには計はかりごとがなくなったのか。その知恵ちえは消きえうせたのか。49:8 デダンに住すむ者ものよ、逃にげよ、のがれよ、深ふかい所ところに隠かくれよ。わたしがエサウの災難さいなんを彼かれの上うえに臨のぞませ、彼かれを罰ばっする時ときをこさせるからだ。49:9 ぶどうを集あつめる者ものがあなたの所ところに来きたならば、すこしの実みをも残のこさないであろうか。夜よる、盗ぬすびとが来きたならば、自分じぶんたちの満足まんぞくするだけ滅ほろぼさないであろうか。49:10 しかしわたしはエサウを裸はだかにし、その隠かくれる所ところを現あらわしたので、彼かれはその身みを隠かくすことができない。その子こどもたちも、兄弟きょうだいも、隣となり人びとも滅ほろぼされる。そして彼かれは、いなくなる。49:11 あなたのみなしごを残のこせ、わたしがそれを生いきながらえさせる。あなたのやもめには、わたしに寄より頼たのませよ」。49:12 主しゅはこう言いわれる、「もし、杯さかずきを飲のむべきでない者ものもそれを飲のまなければならなかったとすれば、あなたは罰ばつを免まぬかれることができようか。あなたは罰ばつを免まぬかれない。それを飲のまなければならない。49:13 主しゅは言いわれる、わたしは自分じぶんをさして誓ちかった、ボズラは驚おどろきとなり、ののしりとなり、荒あれ地ちとなり、のろいとなる。その町々まちまちは長ながく荒あれ地ちとなる」。 49:14 わたしは主しゅからのおとずれを聞きいた。ひとりの使者ししゃがつかわされて万国ばんこくに行いき、そして言いった、「あなたがたは集あつまり、行いって彼かれを攻せめ、立たって戦たたかえ。49:15 見みよ、わたしはあなたを万国ばんこくのうちに小ちいさい者ものとし、人々ひとびとのうちに卑いやしめられる者ものとする。49:16 岩いわの割われ目めに住すみ、山やまの高たかみを占しめる者ものよ、あなたの恐おそろしい事ことと、あなたの心こころの高たかぶりが、あなたを欺あざむいた。あなたは、わたしのように巣すを高たかい所ところに作つくっているが、わたしはその所ところからあなたを取とりおろすと主しゅは言いわれる。49:17 エドムは恐おそれとなる。そのかたわらを通とおり過すぎる者ものはみな恐おそれ、その災わざわいのために、舌打したうちする。49:18 主しゅは言いわれる、ソドムとゴモラとその隣となりの町々まちまちがくつがえされた時ときのように、そこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひともなくなる。49:19 見みよ、ししがヨルダンの密林みつりんから上のぼってきて、じょうぶな羊ひつじのおりを襲おそうように、わたしは、たちまち彼かれらをそこから逃にげ走はしらせ、わたしの選えらぶ者ものをその上うえに立たてる。だれかわたしのような者ものがあるであろうか。だれがわたしを呼よびつけることができようか。どの牧者ぼくしゃがわたしの前まえに立たつことができようか。49:20 それゆえ、エドムに対たいして主しゅが立たてた計はかりごとと、テマンに住すむ者ものに対たいしてしようとする事ことを聞きくがよい。彼かれらの群むれのうちの小ちいさいものまでも皆みな、引ひかれて行いく。彼かれらのおりのものもその終おわりを見みて恐おそれる。49:21 その倒たおれる音おとを聞きいて、地ちは震ふるい、彼かれらの叫さけび声ごえは紅海こうかいにも聞きこえる。49:22 見みよ、敵てきはわしのように上のぼり、すみやかに飛とびかけり、その翼つばさをボズラの上うえに張はり広ひろげる。その日ひエドムの勇士ゆうしの心こころは子こを産うむ女おんなの心こころのようになる」。 49:23 ダマスコの事ことについて、「ハマテとアルパデは、うろたえている、彼かれらは悪わるいおとずれを聞きいたからだ。彼かれらは勇気ゆうきを失うしない、穏おだやかになることのできない海うみのように悩なやむ。49:24 ダマスコは弱よわり、身みをめぐらして逃にげた、恐怖きょうふに襲おそわれている。子こを産うむ女おんなに臨のぞむように痛いたみと悲かなしみと彼かれに臨のぞむ。49:25 ああ、名なある町まち、楽たのしい町まちは捨すてられる。49:26 それゆえ、その日ひに、若わかい者ものは、広場ひろばに倒たおれ、兵士へいしはことごとく滅ほろぼされると万軍ばんぐんの主しゅは言いわれる。49:27 わたしはダマスコの城壁じょうへきの上うえに火ひを燃もやし、ベネハダデの宮殿きゅうでんを焼やき尽つくす」。49:28 バビロンの王おうネブカデレザルが攻せめ撃うったケダルとハゾルの諸国しょこくの事ことについて、 主しゅはこう言いわれる、「立たって、ケダルに向むかって進すすみ、東ひがしの人々ひとびとを滅ほろぼせ。49:29 彼かれらの天幕てんまくと、その羊ひつじの群むれとは取とられ、その垂幕たれまくとそのもろもろの器うつわと、らくだとは彼かれらの所ところから運はこび去さられ、人々ひとびとは彼かれらに向むかって叫さけぶ、『恐おそろしいことが四方しほうにある』と。49:30 主しゅは言いわれる、ハゾルに住すむ者ものよ、逃にげよ、遠とおくさまよい行いき、深ふかい所ところに隠かくれよ。バビロンの王おうネブカデレザルがあなたがたを攻せめる計はかりごとをめぐらし、あなたがたを攻せめる、てだてを設もうけたからだ。 49:31 主しゅは言いわれる、立たって進すすみ、安全あんぜんな所ところに住すむきらくな民たみを攻せめよ、彼かれらは門もんもなく、貫かんの木きもなく、ひとり離はなれて住すむ。49:32 彼かれらのらくだは、ぶんどり物ものとなり、家畜かちくの群むれは奪うばわれる。わたしは、かの髪かみの毛けのすみずみを切きる者ものを四方しほうに散ちらし、その災難さいなんを八方はっぽうからこさせると主しゅは言いわれる。49:33 ハゾルは山犬やまいぬのすまいとなり、いつまでも荒あれ地ちとなっている。だれもそこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひともない」。49:34 ユダの王おうゼデキヤの治世ちせいの初はじめのころに、エラムの事ことについて預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ主しゅの言葉ことば。 49:35 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしはエラムが力ちからとして頼たよんでいる弓ゆみを折おる。49:36 わたしは天てんの四方しほうから、四方しほうの風かぜをエラムにこさせ、彼かれらを四方しほうの風かぜに散ちらす。エラムから追おい出だされる者ものの行いかない国くにはない。49:37 主しゅは言いわれる、わたしはエラムをしてその敵てきの前まえ、またその命いのちを求もとめる者ものの前まえに恐おそれさせる。わたしは災わざわいをくだし、激はげしい怒いかりをその上うえにくだす。彼かれらのうしろに、つるぎを送おくって滅ほろぼし尽つくす。49:38 そしてわたしの位くらいをエラムにすえ、王おうとつかさたちとを滅ほろぼすと主しゅは言いわれる。 49:39 しかし末すえの日ひに、わたしはエラムを再ふたたび栄さかえさせると、主しゅは言いわれる」。 第50章 50:1 主しゅが預言者よげんしゃエレミヤによって語かたられたバビロンとカルデヤびとの地ちの事ことについての言葉ことば。 50:2 「国々くにぐにのうちに告つげ、また触ふれ示しめせよ、旗はたを立たてて、隠かくすことなく触ふれ示しめして言いえ、『バビロンは取とられ、ベルははずかしめられ、メロダクは砕くだかれ、その像ぞうははずかしめられ、その偶像ぐうぞうは砕くだかれる』と。50:3 それは、北きたの方ほうから一つの国民こくみんがきて、これを攻せめ、その地ちを荒あらして、住すむ人ひともないようにするからである。人ひとも獣けものもみな逃にげ去さってしまう。 50:4 主しゅは言いわれる、その日ひその時とき、イスラエルの民たみとユダの民たみは共ともに帰かえってくる。彼かれらは嘆なげきながら帰かえってくる。そしてその神かみ、主しゅを求もとめる。50:5 彼かれらは顔かおをシオンに向むけて、その道みちを問とい、『さあ、われわれは、永遠えいえんに忘わすれられることのない契約けいやくを結むすんで主しゅに連つらなろう』と言いう。 50:6 わたしの民たみは迷まよえる羊ひつじの群むれである、その牧者ぼくしゃがこれをいざなって、山やまに踏ふみ迷まよわせたので、山やまから丘おかへと行いきめぐり、その休やすむ所ところを忘わすれた。50:7 これに会あう者ものはみなこれを食たべた。その敵てきは言いった、『われわれに罪つみはない。彼かれらがそのまことのすみかである主しゅ、先祖せんぞたちの希望きぼうであった主しゅに対たいして罪つみを犯おかしたのだ』と。 50:8 バビロンのうちから逃にげよ。カルデヤびとの地ちから出でよ。群むれの前まえに行いく雄おやぎのようにせよ。50:9 見みよ、わたしは大おおきい国々くにぐにを起おこし集あつめて、北きたの地ちからバビロンに攻せめこさせる。彼かれらはこれに向むかって勢せいぞろいをし、これをその所ところから取とる。彼かれらの矢やはむなしく帰かえらない老練ろうれんな勇士ゆうしのようである。50:10 カルデヤは人ひとにかすめられる。これをかすめる者ものはみな飽あくことができると、主しゅは言いわれる。 50:11 わたしの嗣し業ぎょうをかすめる者ものどもよ、あなたがたは喜よろこび楽たのしみ、雌めすの子こ牛うしのように草くさに戯たわむれ、雄お馬うまのように、いなないているが、50:12 あなたがたの母はははいたくはずかしめられ、あなたがたを産うんだ者ものは恥はじをこうむる。見みよ、彼女かのじょは国々くにぐにのうちの最もっともあとなるものとなり、かわいた砂原すなはらの荒野あらのとなる。50:13 主しゅの怒いかりによって、ここに住すむ者ものはなく、完全かんぜんに荒あれ地ちとなる。バビロンのかたわらを通とおる者ものは、みなその傷きずを見みて驚おどろき、かつあざ笑わらう。50:14 あなたがたすべて弓ゆみを張はる者ものよ、バビロンの周囲しゅういに勢せいぞろいして、これを攻せめ、矢やを惜おしまずに、これを射いよ、彼女かのじょが主しゅに罪つみを犯おかしたからだ。50:15 その周囲しゅういに叫さけび声ごえをあげよ、彼女かのじょは降伏こうふくした。そのとりでは倒たおれ、その城壁じょうへきはくずれた、主しゅがあだをかえされたからだ。彼女かのじょに報復ほうふくせよ、彼女かのじょがおこなったように、これに行おこなえ。50:16 種たねまく者ものと、刈入かりいれどきに、かまを取とる者ものをバビロンに絶たやせ。滅ほろぼす者もののつるぎを恐おそれて、人ひとはおのおの自分じぶんの民たみの所ところに帰かえり、そのふるさとに逃にげて行いく。50:17 イスラエルは、ししに追おわれて散ちった羊ひつじである。初はじめにアッスリヤの王おうがこれを食くい、そして今いまはついにバビロンの王おうネブカデレザルがその骨ほねをかじった。50:18 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみは、こう言いわれる、見みよ、わたしはアッスリヤの王おうを罰ばっしたように、バビロンの王おうとその国くにに罰ばつを下くだす。50:19 わたしはイスラエルを再ふたたびその牧場まきばに帰かえらせる。彼かれはカルメルとバシャンで草くさを食たべる。またエフライムの山やまとギレアデでその望のぞみが満みたされる。50:20 主しゅは言いわれる、その日ひその時ときには、イスラエルのとがを探さがしても見当みあたらず、ユダの罪つみを探さがしてもない。それはわたしが残のこしておく人々ひとびとを、ゆるすからである。50:21 主しゅは言いわれる、上のぼって行いって、メラタイムの地ちを攻せめ、ペコデの民たみを攻せめ、彼かれらを殺ころして全まったく滅ほろぼし、わたしがあなたがたに命めいじたことを皆みな、行おこないなさい。50:22 その地ちに、いくさの叫さけびと、大おおいなる滅ほろびがある。50:23 ああ、全ぜん地ちを砕くだいた鎚つちはついに折おれ砕くだける。ああ、バビロンはついに国々くにぐにのうちの恐おそるべき見みものとなる。50:24 バビロンよ、わたしは、おまえを捕とらえるためにわなをかけたが、おまえはそれにかかった。そしておまえはそれを知しらなかった。おまえは主しゅに敵てきしたので、尋たずね出だされ、捕とらえられた。50:25 主しゅは武器ぶきの倉くらを開ひらいてその怒いかりの武器ぶきを取とり出だされた。主しゅなる万軍ばんぐんの神かみが、カルデヤびとの地ちに事ことを行おこなわれるからである。50:26 あらゆる方面ほうめんからきて、これを攻せめ、その穀倉こくぐらを開ひらき、これを穀物こくもつの山やまのように積つみ上あげ、完全かんぜんに滅ほろぼし尽つくし、そこに残のこる者もののないようにせよ。50:27 その雄牛おうしをことごとく殺ころせ、それを、ほふり場ばに下くだらせよ。それらのものはわざわいだ、その日ひ、その罰ばつを受うける時ときがきたからだ。50:28 聞きけよ、バビロンの地ちから逃にげ、のがれてきた者ものの声こえがする。われわれの神かみ、主しゅの報復ほうふく、その宮みやの報復ほうふくの事ことをシオンに告つげ示しめす。 50:29 弓ゆみを張はる射手いてをことごとく呼よび集あつめて、バビロンを攻せめよ。その周囲しゅういに陣じんを敷しけ。ひとりも逃がにがすな。そのしわざにしたがってバビロンに報むくい、これがおこなった所ところにしたがってこれに行おこなえ。彼かれがイスラエルの聖者せいじゃである主しゅに向むかって高慢こうまんにふるまったからだ。50:30 それゆえ、その日ひ、若わかい者ものは、広場ひろばに倒たおれ、兵士へいしはみな絶たやされると主しゅは言いわれる。 50:31 主しゅなる万軍ばんぐんの神かみは言いわれる、高たかぶる者ものよ、見みよ、わたしはおまえの敵てきとなる、あなたの日ひ、わたしがおまえを罰ばっする時ときが来きた。50:32 高たかぶる者ものはつまずき倒たおれる、これを助たすけ起おこすものはない。わたしはその町々まちまちに火ひを燃もやして、その周囲しゅういの者ものをことごとく焼やき尽つくす。50:33 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、イスラエルの民たみとユダの民たみは共ともにしえたげられている。彼かれらをとりこにした者ものはみな彼かれらを固かたく守まもって釈放しゃくほうすることを拒こばむ。50:34 彼かれらをあがなう者ものは強つよく、その名なは万軍ばんぐんの主しゅといわれる。彼かれは必かならず彼かれらの訴うったえをただし、この地ちに安やすきを与あたえるが、バビロンに住すむ者ものには不安ふあんを与あたえられる。 50:35 主しゅは言いわれる、カルデヤびとの上うえとバビロンに住すむ者ものの上うえ、そのつかさたち、その知者ちしゃたちの上うえにつるぎが臨のぞむ。50:36 占うらない師しの上うえにつるぎが臨のぞみ、彼かれらは愚おろか者ものとなる。その勇士ゆうしの上うえにつるぎが臨のぞみ、彼かれらは滅ほろぼされる。50:37 その馬うまの上うえと、その車くるまの上うえにつるぎが臨のぞみ、またそのうちにあるすべての雇やとい兵へいの上うえに臨のぞみ、彼かれらは女おんなのようになる。その財宝ざいほうの上うえにつるぎが臨のぞみ、それはかすめられる。50:38 その水みずの上うえに、ひでりが来きて、それはかわく。それは、この地ちが偶像ぐうぞうの地ちであって、人々ひとびとが偶像ぐうぞうに心こころが狂くるっているからだ。50:39 それゆえ、野のの獣けものと山犬やまいぬとは共ともにバビロンにおり、だちょうもそこに住すむ。しかし、いつまでもその地ちに住すむ人ひとはなく、世々よよここに住すむ人ひとはない。50:40 主しゅは言いわれる、神かみがソドムとゴモラと、その隣となりの町々まちまちを滅ほろぼされたように、そこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひとの子こはない。 50:41 見みよ、一つの民たみが北きたの方ほうから来くる。大おおいなる国くにと多おおくの王おうが地ちの果はてから立たち上あがっている。50:42 彼かれらは弓ゆみと、やりを取とる。残忍ざんにんで、あわれみがなく、その響ひびきは海うみの鳴なりとどろくようである。バビロンの娘むすめよ、彼かれらは馬うまに乗のり、いくさびとのように身みをよろって、あなたを攻せめる。50:43 バビロンの王おうはそのうわさを聞きいて、その手ては弱よわり、子こを産うむ女おんなに臨のぞむような痛いたみと苦くるしみに迫せまられた。50:44 見みよ、ししがヨルダンの密林みつりんから上のぼってきて、じょうぶな羊ひつじのおりを襲おそうように、わたしは、たちまち彼かれらをそこから逃にげ去さらせる。そしてわたしの選えらぶ者ものをその上うえに立たてる。だれかわたしのような者ものがあるであろうか。だれがわたしを呼よびつけることができようか。どの牧者ぼくしゃがわたしの前まえに立たつことができようか。50:45 それゆえ、バビロンに対たいして主しゅが立たてた計はかりごとと、カルデヤびとの地ちに対たいしてしようとする事ことを聞きくがよい。彼かれらの群むれのうちの小ちいさい者ものは、かならず引ひかれて行いく。彼かれらのおりのものも必かならずその終おわりを見みて恐おそれる。50:46 バビロンが取とられたとの声こえによって地ちは震ふるい、その叫さけびは国々くにぐにのうちに聞きこえる」。 第51章 51:1 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは、滅ほろぼす者ものの心こころを奮ふるい起おこして、バビロンを攻せめ、カルデヤに住すむ者ものを攻せめさせる。51:2 わたしはバビロンに、あおぎ分わける者ものをつかわす。彼かれらは、その災わざわいの日ひに、四方しほうからこれを攻せめ、それをあおぎ分わけて、その地ちをむなしくする。51:3 射手いてにはその弓ゆみを張はらせることなく、よろいを着きて立たち上あがらせるな。その若わかき者ものをあわれむことなく、その軍勢ぐんぜいをことごとく滅ほろぼせ。51:4 彼かれらはカルデヤびとの地ちに殺ころされて倒たおれ、そのちまたに傷きずついて倒たおれる。51:5 イスラエルとユダはその神かみ、万軍ばんぐんの主しゅに捨すてられてはいないが、しかしカルデヤびとの地ちにはイスラエルの聖者せいじゃに向むかって犯おかした罪つみが満みちている。 51:6 バビロンのうちからのがれ出でて、おのおのその命いのちを救すくえ。その罰ばつにまきこまれて断たち滅ほろぼされてはならない。今いまは主しゅがあだを返かえされる時ときだから、それに報復ほうふくをされるのである。51:7 バビロンは主しゅの手てのうちにある金きんの杯さかずきであって、すべての地ちを酔よわせた。国々くにぐにはその酒さけを飲のんだので、国々くにぐには狂くるった。51:8 バビロンはたちまち倒たおれて破やぶれた。これがために嘆なげけ。その傷きずのために乳香にゅうこうを取とれ。あるいは、いえるかも知しれない。51:9 われわれはバビロンをいやそうとしたが、これはいえなかった。われわれはこれを捨すてて、おのおの自分じぶんの国くにに帰かえろう。その罰ばつが天てんに達たっし、雲くもにまで及およんでいるからだ。51:10 主しゅはわれわれの正ただしいことを明あきらかにされた。さあ、われわれはシオンで、われわれの神かみ、主しゅのみわざを告つげ示しめそう。51:11 矢やをとぎ、 盾たてを取とれ。主しゅはメデアびとの王おうたちの心こころを引ひき立たてられる。主しゅのバビロンに思おもい図はかることは、これを滅ほろぼすことであり、主しゅがあだを返かえし、その宮みやのあだを返かえされるのである。 51:12 バビロンの城壁じょうへきに向むかって旗はたを立たて、見張みはりを強固きょうこにし、番兵ばんぺいを置おき、伏兵ふくへいを備そなえよ。主しゅがバビロンに住すむ者ものを攻せめようと図はかり、その言いわれたことを、いま行おこなわれるからだ。51:13 多おおくの水みずのほとりに住すみ、多おおくの財宝ざいほうを持もつ者ものよ、あなたの終おわりが来きて、その命いのちの糸いとは断たたれる。51:14 万軍ばんぐんの主しゅはみずからをさして誓ちかい、言いわれる、わたしは必かならずあなたのうちに、人ひとをいなごのように満みたす。彼かれらはあなたに向むかって、かちどきの声こえをあげる。 51:15 主しゅはその力ちからをもって地ちを造つくり、その知恵ちえをもって世界せかいを建たて、その悟さとりをもって天てんをのべられた。51:16 彼かれが声こえを出だされると、天てんに多おおくの水みずのざわめきがあり、また地ちの果はてから霧きりを立たちあがらせられる。彼かれは雨あめのためにいなびかりをおこし、その倉くらから風かぜを取とり出だされる。51:17 すべての人ひとは愚おろかで知恵ちえがなく、すべての金きん細工人ざいくにんはその造つくった偶像ぐうぞうのために恥はじをこうむる。その偶像ぐうぞうは偽いつわり物もので、そのうちに息いきがないからだ。51:18 それらは、むなしいもの、迷まよいのわざである。罰ばっせられる時ときになれば滅ほろびるものである。51:19 ヤコブの分ぶんである彼かれはこのようなものではない、彼かれは万物ばんぶつの造つくり主ぬしだからである。イスラエルは彼かれの嗣し業ぎょうとしての部族ぶぞくである。彼かれの名なは万軍ばんぐんの主しゅという。 51:20 おまえはわたしの鎚つちであり、戦たたかいの武器ぶきである。わたしはおまえをもってすべての国くにを砕くだき、おまえをもって万国ばんこくを滅ほろぼす。51:21 おまえをもってわたしは馬うまと、その騎手きしゅとを砕くだき、おまえをもって戦車せんしゃとそれに乗のる者ものとを砕くだく。51:22 わたしはおまえをもって男おとこと女おんなとを砕くだき、おまえをもって老おいた者ものと幼おさない者ものとを砕くだき、おまえをもって若わかい者ものと、おとめとを砕くだく。51:23 わたしはおまえをもって、羊飼ひつじかいと、その群むれとを砕くだき、おまえをもって農夫のうふと、くびきを負おう家畜かちくとを砕くだき、おまえをもっておさたちと、つかさたちとを砕くだく。51:24 わたしはバビロンとカルデヤに住すむすべての者ものとに、彼かれらがシオンで行いったもろもろの悪あしき事ことのために、あなたがたの目めの前まえで報むくいをすると、主しゅは言いわれる。 51:25 主しゅは言いわれる、全ぜん地ちを滅ほろぼし尽つくす滅ほろぼしの山やまよ、見みよ、わたしはおまえの敵てきとなる、わたしは手てをおまえの上うえに伸のべて、おまえを岩いわからころばし、おまえを焼やけ山やまにする。51:26 主しゅは言いわれる、人ひとがおまえから石いしを取とって、隅すみの石いしとすることなく、また礎いしずえとすることもない。おまえはいつまでも荒あれ地ちとなっている。51:27 地ちに旗はたを立たて、国々くにぐにのうちにラッパを吹ふき、国々くにぐにの民たみを集あつめてそれを攻せめ、アララテ、ミンニ、アシケナズの国々くにぐにをまねいてそれを攻せめ、軍ぐんの長ちょうを立たててそれを攻せめ、群むらがるいなごのように馬うまを上のぼり行いかせよ。51:28 国々くにぐにの民たみを集あつめてそれを攻せめ、メデアびとの王おうたちと、そのおさたち、つかさたち、およびすべての領地りょうちの人々ひとびとを集あつめてこれを攻せめよ。51:29 その地ちは震ふるい、かつもだえ苦くるしむ、主しゅがその思おもい図はかることをバビロンにおこない、バビロンの地ちを、住すむ人ひとなき荒あれ地ちとされるからだ。51:30 バビロンの勇士ゆうしたちは戦たたかいをやめて、その城しろにこもり、力ちからはうせて、女おんなのようになる。その家いえは焼やけ、その貫かんの木きは砕くだかれる。51:31 飛脚ひきゃくは走はしって飛脚ひきゃくに会あい、使者ししゃは走はしって使者ししゃに会あい、バビロンの王おうに告つげて、町まちはことごとく取とられ、51:32 渡わたし場ばは奪うばわれ、とりでは火ひで焼やかれ、兵士へいしはおびえていると言いう。51:33 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、バビロンの娘むすめは、打うち場ばのようだ、その踏ふまれる時ときが来きたのだ。しばらくしてその刈かり取とられる時ときが来くる」。 51:34 「バビロンの王おうネブカデレザルはわたしを食くい尽つくし、わたしを滅ほろぼし、わたしを、からの器うつわのようにし、龍りゅうのようにわたしを飲のみ、わたしのうまい物ものでその腹はらを満みたし、わたしを洗あらいざらいにした。51:35 わたしとわたしの肉親にくしんにおこなった暴虐ぼうぎゃくは、バビロンにふりかかる」とシオンに住すむ者ものは言いわなければならない。「わたしの血ちはカルデヤに住すむ者ものにふりかかる」とエルサレムは言いわなければならない。51:36 それゆえ主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしはあなたの訴うったえをただし、あなたのためにあだを返かえす。わたしはバビロンの海うみをかわかし、その泉いずみをかわかす。51:37 バビロンは荒塚あれづかとなり、山犬やまいぬのすまいとなり、驚おどろきとなり、笑わらいとなり、住すむ人ひとのない所ところとなる。51:38 彼かれらはししのように共ともにほえ、若わかいししのようにほえる。51:39 彼かれらの欲よくの燃もえている時とき、わたしは宴うたげを設もうけて彼かれらを酔よわせ、彼かれらがついに気きを失うしなって、ながい眠ねむりにいり、もはや目めをさますことのないようにしようと主しゅは言いわれる。51:40 わたしは彼かれらを小羊こひつじのように、また雄羊おひつじや雄おやぎのように、ほふり場ばに下くだらせよう。 51:41 ああ、バビロンはついに取とられた、全ぜん地ちの人ひとの、ほめたたえた者ものは捕とらえられた。ああ、バビロンはついに国々くにぐにのうちに驚おどろきとなった。51:42 海うみはバビロンにあふれかかり、どよめく波なみにおおわれた。51:43 その町々まちまちは荒あれて、かわいた地ちとなり、砂原すなはらとなり、住すむ人ひとのない地ちとなる。人ひとの子こはひとりとしてそこを過すぎることはない。51:44 わたしはバビロンでベルを罰ばっし、そののみこんだものを口くちから取とり出だす。国々くにぐにが川かわのように彼かれに流ながれ入いることはなくなる。バビロンの城壁じょうへきは倒たおれた。51:45 わが民たみよ、あなたがたはその中なかから出でて、おのおの主しゅの激はげしい怒いかりを免まぬかれ、その命いのちを救すくえ。51:46 心こころを弱よわくしてはならない、この地ちで聞きくうわさを恐おそれてはならない。うわさはこの年としにもくれば、また次つぎの年としにもくる。この地ちに暴虐ぼうぎゃくがあり、つかさとつかさとが攻せめあうことがある。51:47 それゆえ見みよ、わたしがバビロンの偶像ぐうぞうを罰ばっする日ひが来くる。その全ぜん地ちははずかしめられ、その殺ころされる者ものはみなその中なかに倒たおれる。51:48 天てんと地ちとそのうちにあるすべてのものはバビロンの事ことで喜よろこび歌うたう。滅ほろぼす者ものが北きたの方ほうからここに来くるからであると主しゅは言いわれる。51:49 イスラエルの殺ころされた者ものたちのために、バビロンは倒たおれなければならない、バビロンのために全ぜん地ちの殺ころされた者ものは倒たおれたのだ。 51:50 つるぎをのがれてきたあなたがたは、行いけ、立たちとどまってはならない。遠とおくから主しゅを覚おぼえ、エルサレムを心こころにとめよ。51:51 『われわれはののしりを聞きいたので、恥はじている。異邦人いほうじんが主しゅの宮みやの聖所せいじょにはいったので、恥はじがわれわれの顔かおをおおった』。 51:52 主しゅは言いわれる、それゆえ見みよ、わたしがその偶像ぐうぞうを罰ばっする日ひが来くる、傷きずつけられた者ものが、その全国ぜんこくにうめくようになる。51:53 たといバビロンが天てんに上のぼっても、その城しろを高たかくして固かためても、滅ほろぼす者ものはわたしから出でて、これに臨のぞむと主しゅは言いわれる。 51:54 聞きけ、バビロンの叫さけびを、カルデヤびとの地ちに起おこる大おおいなる滅ほろびの騒さわぎ声こえを。51:55 主しゅがバビロンを滅ほろぼし、その大おおいなる声こえを絶たやされるのだ。その波なみは大水おおみずのように鳴なりとどろき、その声こえはひびき渡わたる。51:56 滅ほろぼす者ものがこれに臨のぞみ、バビロンに来きた。その勇士ゆうしたちは捕とらえられ、その弓ゆみは折おられる。主しゅは報むくいをする神かみであるから必かならず報むくいられるのだ。51:57 わたしはその君きみたちと知者ちしゃたち、おさたち、つかさたち、および勇士ゆうしたちを酔よわせる。彼かれらは、ながい ねむりにいり、目めをさますことはない。万軍ばんぐんの主しゅと呼よばれる王おうがこれを言いわせる。51:58 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、バビロンの広ひろい城壁じょうへきは地ちにくずされ、その高たかい門もんは火ひに焼やかれる。こうして民たみの労苦ろうくはむなしくなり、国民こくみんはただ火ひのために疲つかれる」。51:59 マアセヤの子こであるネリヤの子こセラヤが、ユダの王おうゼデキヤと共ともに、その治世ちせいの四年ねんにバビロンへ行いくとき、預言者よげんしゃエレミヤがセラヤに命めいじた言葉ことば。セラヤは宿営しゅくえいの長ちょうであった。51:60 エレミヤはバビロンに臨のぞもうとするすべての災わざわいを巻物まきものにしるした。これはすなわちバビロンの事ことについてしるしたすべての言葉ことばである。51:61 エレミヤはセラヤに言いった、「あなたはバビロンへ行いったならば、忘わすれることなくこのすべての言葉ことばを読よみ、51:62 そして言いいなさい、『主しゅよ、あなたはこの所ところを滅ほろぼし、人ひとと獣けものとを問とわず、すべてここに住すむ者もののないようにし、永久えいきゅうにここを荒あれ地ちとしようと、この所ところについて語かたられました』と。51:63 あなたがこの巻物まきものを読よみ終おわったならば、これに石いしをむすびつけてユフラテ川かわの中なかに投なげこみ、51:64 そして言いいなさい、『バビロンはこのように沈しずんで、二度どと上あがってこない。わたしがこれに災わざわいを下くだすからである』と」。ここまではエレミヤの言葉ことばである。 第52章 52:1 ゼデキヤは王おうとなったとき二十一歳さいであったが、エルサレムで十一年ねん世よを治おさめた。母ははの名なはハムタルといい、リブナのエレミヤの娘むすめである。52:2 ゼデキヤはエホヤキムがすべて行いったように、主しゅの目めの前まえに悪事あくじを行おこなった。52:3 たしかに、主しゅの怒いかりによって、エルサレムとユダとは、そのみ前まえから捨すて去さられるようなことになった。 そしてゼデキヤはバビロンの王おうにそむいた。52:4 そこで彼かれの治世ちせいの九年ねん十月がつ十日かに、バビロンの王おうネブカデレザルはその軍勢ぐんぜいを率ひきい、エルサレムにきて、これを包囲ほういし、周囲しゅういに塁るいを築きずいてこれを攻せめた。52:5 こうしてこの町まちは攻せめ囲かこまれて、ゼデキヤ王おうの十一年ねんにまで及およんだが、52:6 その四月がつ九日かになって、町まちの中なかの食糧しょくりょうは、はなはだしく欠乏けつぼうし、その地ちの民たみは食物しょくもつを得えることができなくなった。52:7 そして町まちの城壁じょうへきはついに打うち破やぶられたので、兵士へいしたちはみな逃にげ、夜よるのうちに、王おうの園そのの近ちかくの、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちをのがれ出でて、カルデヤびとが、町まちを攻せめ囲かこんでいるうちに、アラバの方ほうへ落おちて行いった。52:8 しかしカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは王おうを追おって行いって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいついたが、彼かれの軍勢ぐんぜいがみな散ちって彼かれのそばを離はなれたので、52:9 カルデヤびとは王おうを捕とらえ、ハマテの地ちのリブラにいるバビロンの王おうのもとに引ひいていったので、王おうは彼かれの罪つみを定さだめた。52:10 すなわちバビロンの王おうはゼデキヤの子こたちをその目めの前まえで殺ころさせ、ユダのつかさたちをことごとくリブラで殺ころさせ、52:11 またゼデキヤの目めをつぶさせた。そしてバビロンの王おうは彼かれを鎖くさりにつないでバビロンへ連つれて行いき、その死しぬ日ひまで獄屋ごくやに入いれて置おいた。 52:12 五月がつ十日かに、――それはバビロンの王おうネブカデレザルの世よの十九年ねんであった――バビロンの王おうに仕つかえる侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはエルサレムに、はいって、52:13 主しゅの宮みやと王おうの宮殿きゅうでんを焼やき、エルサレムのすべての家いえを焼やいた。彼かれは大おおきな家いえをみな焼やきはらった。52:14 また侍衛じえいの長ちょうと共ともにいたカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは、エルサレムの周囲しゅういの城壁じょうへきをみな取とりこわした。52:15 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは民たみのうちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかん、そのほか町まちのうちに残のこった者もの、およびバビロンの王おうにくだった人ひと、その他た工 こうしょうたちを捕とらえ移うつした。52:16 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはその地ちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかんを残のこして、ぶどうを作つくる者ものとし、農夫のうふとした。 52:17 カルデヤびとはまた主しゅの宮みやの青銅せいどうの柱はしらと、洗盤せんばんの台だいと、青銅せいどうの海うみを砕くだいて、その青銅せいどうをことごとくバビロンへ運はこび、52:18 また、つぼと、十能じゅうのうと、心切しんきりばさみと、鉢はちと、香こうを盛もる皿さらおよび宮みやの勤つとめに用もちいる青銅せいどうの器うつわをことごとく取とって行いった。52:19 また彼かれらは小鉢こばちと、心取しんとり皿ざらと、鉢はちと、つぼと、燭台しょくだいと、香こうを盛もる皿さらと、灌祭かんさいの鉢はちを取とった。金きんで作つくった物ものは金きんとして、銀ぎんで作つくった物ものは銀ぎんとして、侍衛じえいの長ちょうは運はこび去さった。52:20 ソロモン王おうが主しゅの宮みやに造つくった二本ほんの柱はしらと、一つの海うみと、海うみの下したの十二の青銅せいどうの牛うしと、台だいなど、このすべての物ものの青銅せいどうの重おもさは量はかることもできなかった。52:21 この一本ぽんの柱はしらの高たかさは十八キュビト、周囲しゅういは十二キュビトで、指ゆび四本ほんの厚あつさがあり、中なかは、うつろであった。52:22 その上うえに青銅せいどうの柱頭ちゅうとうがあり、柱頭ちゅうとうの高たかさは五キュビト、柱頭ちゅうとうの周囲しゅういは網あみ細工ざいくと、ざくろとで飾かざり、これらもみな青銅せいどうであった。他たの柱はしらもそのざくろも、これと同おなじであった。52:23 その四方しほうに九十六個このざくろがあり、周囲しゅういの網あみ細工ざいくの上うえにあるざくろの数かずは百個こであった。 52:24 侍衛じえいの長ちょうは祭司さいし長ちょうセラヤと次席じせきの祭司さいしゼパニヤと三人にんの門もんを守まもる者ものを捕とらえ、52:25 また兵士へいしをつかさどるひとりの役人やくにんと、町まちにいた王おうの側近そっきんの者もの七人にんと、その地ちの民たみを募つのる軍勢ぐんぜいの長ちょうの書記官しょきかんと、町まちの中なかにいた六十人にんの者ものを町まちから捕とらえ去さった。52:26 侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、これらの人ひとを捕とらえて、リブラにいるバビロンの王おうのもとに連つれて行いった。52:27 バビロンの王おうは、ハマテの地ちのリブラで彼かれらを撃うち殺ころした。こうして、ユダは自分じぶんの地ちから捕とらえ移うつされた。 52:28 ネブカデレザルが捕とらえ移うつした民たみの数かずは次つぎのとおりである。第だい七年ねんにはユダヤ人ひと三千二十三人にん。52:29 またネブカデレザルはその第だい十八年ねんにエルサレムから八百三十二人にんを捕とらえ移うつした。52:30 ネブカデレザルの二十三年ねんに侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、ユダヤ人ひと七百四十五人にんを捕とらえ移うつした。この総数そうすうは四千六百人にんであった。 52:31 ユダの王おうエホヤキンが捕とらえ移うつされて後のち三十七年ねんの十二月がつ二十五日にちに、バビロンの王おうエビルメロダクはその即位そくいの年ねんに、ユダの王おうエホヤキンを獄屋ごくやから出だし、そのこうべを挙あげさせ、52:32 親切しんせつに彼かれを慰なぐさめ、その位くらいを、バビロンで共ともにいる王おうたちの位くらいよりも高たかくした。52:33 こうしてエホヤキンは獄屋ごくやの服ふくを脱ぬいだ。そして生いきている間あいだは毎日まいにち王おうの食卓しょくたくで食事しょくじし、52:34 彼かれの給与きゅうよとしては、その死しぬ日ひまで一生いっしょうの間あいだ、たえず日々ひびの必要ひつようにしたがって、バビロンの王おうから給与きゅうよを賜たまわった。
45:1 ユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの四年ねんに、ネリヤの子こバルクがこれらの言葉ことばをエレミヤの口述こうじゅつにしたがって書しょにしるした時とき、預言者よげんしゃエレミヤが彼かれに語かたった言葉ことば、
45:2 「バルクよ、イスラエルの神かみ、主しゅはあなたについてこう言いわれる、
45:3 あなたはかつて、『ああ、わたしはわざわいだ、主しゅがわたしの苦くるしみに悲かなしみをお加くわえになった。わたしは嘆なげき疲つかれて、安息あんそくが得えられない』と言いった。
45:4 あなたはこう彼かれに言いいなさい、主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしは自分じぶんで建たてたものをこわし、自分じぶんで植うえたものを抜ぬいている――それは、この全ぜん地ちである。
45:5 あなたは自分じぶんのために大おおいなる事ことを求もとめるのか、これを求もとめてはならない。見みよ、わたしはすべての人ひとに災わざわいを下くだそうとしている。しかしあなたの命いのちはあなたの行ゆくすべての所ところで、ぶんどり物ものとしてあなたに与あたえると主しゅは言いわれる」。
第46章 46:1 もろもろの国くにの事ことについて預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ主しゅの言葉ことば。 46:2 エジプトの事こと、すなわちユフラテ川かわのほとりにあるカルケミシの近ちかくにいるエジプトの王おうパロ・ネコの軍勢ぐんぜいの事ことについて。これはユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの四年ねんに、バビロンの王おうネブカデレザルが撃うち破やぶったものである。その言葉ことばは次つぎのとおりである、 46:3 「大盾おおだてと小盾こだてとを備そなえ、進すすんで戦たたかえ。46:4 騎兵きへいよ、馬うまを戦車せんしゃにつなぎ、馬うまに乗のれ。かぶとをかぶって立たて。ほこをみがき、よろいを着きよ。46:5 わたしは見みたが、何なにゆえか彼かれらは恐おそれて退しりぞき、その勇士ゆうしたちは打うち敗やぶられ、あわてて逃にげて、うしろをふり向むくこともしない、――恐おそれが彼かれらの周囲しゅういにあると主しゅは言いわれる。46:6 足早あしばやき者ものも逃にげることができず、勇士ゆうしものがれることができない。北きたの方ほう、ユフラテ川かわのほとりで彼かれらはつまずき倒たおれた。 46:7 あのナイル川かわのようにわきあがり、川々かわがわのように、その水みずのさかまく者ものはだれか。46:8 エジプトはナイル川かわのようにわきあがり、その水みずは川々かわがわのようにさかまく。そしてこれは言いう、わたしは上のぼって、地ちをおおい、町々まちまちとそのうちに住すむ者ものを滅ほろぼそう。46:9 馬うまよ、進すすめ、車くるまよ、激はげしく走はしれ。勇士ゆうしよ、盾たてを取とるエチオピヤびとと、プテびとよ、弓ゆみを巧たくみに引ひくルデびとよ、進すすみ出でよ。46:10 その日ひは万軍ばんぐんの神かみ、主しゅの日ひであって、主しゅがあだを報むくいられる日ひ、その敵てきにあだをかえされる日ひだ。つるぎは食たべて飽あき、彼かれらの血ちに酔よう。万軍ばんぐんの神かみ、主しゅが、北きたの地ちで、ユフラテ川かわのほとりで、ほふることをなされるからだ。46:11 おとめなるエジプトの娘むすめよ、ギレアデに上のぼって乳香にゅうこうを取とれ。あなたは多おおくの薬くすりを用もちいても、むだだ。あなたは、いやされることはない。46:12 あなたの恥はじは国々くにぐにに聞きこえている、あなたの叫さけびは地ちに満みちている。勇士ゆうしが勇士ゆうしにつまずいて、共ともに倒たおれたからである」。46:13 バビロンの王おうネブカデレザルが来きて、エジプトの地ちを撃うとうとする事ことについて、主しゅが預言者よげんしゃエレミヤにお告つげになった言葉ことば、 46:14 「エジプトで宣のべ、ミグドルで告つげ示しめし、またメンピスとタパネスに告つげ示しめして言いえ、『堅かたく立たって、備そなえせよ、つるぎがあなたの周囲しゅういを、滅ほろぼし尽つくすからだ』。46:15 なぜ、アピスはのがれたのか。あなたの雄牛おうしは、なぜ立たたなかったのか。それは主しゅがこれを倒たおされたからだ。46:16 あなたに属ぞくする多おおくの兵へいは、つまずいて倒たおれた。そして互たがいに言いった、『立たてよ、われわれは、しえたげる者もののつるぎを避さけて、われわれの民たみに帰かえり、故郷こきょうの地ちへ行いこう』と。46:17 エジプトの王おうパロの名なを、『好機こうきを逸いっする騒さわがしい者もの』と呼よべ。 46:18 万軍ばんぐんの主しゅという名なの王おうは言いわれる、わたしは生いきている、彼かれは山々やまやまのうちのタボルのように、海うみのほとりのカルメルのように来きたり臨のぞむ。46:19 エジプトに住すむ民たみよ、捕とらわれのために荷物にもつを備そなえよ。メンピスは荒あれ地ちとなり、廃虚はいきょとなって住すむ人ひともなくなる。46:20 エジプトは美うつくしい雌めすの子こ牛うしだ、しかし北きたから、牛うしばえが来きて、それにとまった。46:21 そのうちにいる雇やとい兵へいでさえ、肥こえた子こ牛うしのようだ。彼かれらはふり返かえって共ともに逃にげ、立たつことをしなかった。彼かれらの災難さいなんの日ひ、その罰ばっせられる時ときが来きたからだ。46:22 彼かれは逃にげ去さるへびのような音おとをたてる。その敵てきが軍勢ぐんぜいを率ひきいて彼かれに臨のぞみ、きこりのように、おのをもって来くるからだ。46:23 彼かれらは彼かれの林はやしがいかに入いり込こみがたくとも、それを切きり倒たおす。彼かれらはいなごよりも多おおく、数かぞえがたいからであると、主しゅは言いわれる。46:24 エジプトの娘むすめははずかしめを受うけ、北きたからくる民たみの手てに渡わたされる」。46:25 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみは言いわれた、「見みよ、わたしはテーベのアモンと、パロと、エジプトとその神々かみがみとその王おうたち、すなわちパロと彼かれを頼たのむ者ものとを罰ばっする。46:26 わたしは彼かれらを、その命いのちを求もとめる者ものの手てと、バビロンの王おうネブカデレザルの手てと、その家来けらいたちの手てに渡わたす。その後のち、エジプトは昔むかしのように人ひとの住すむ所ところとなると、主しゅは言いわれる。 46:27 わたしのしもべヤコブよ、恐おそれることはない、イスラエルよ、驚おどろくことはない。見みよ、わたしがあなたを遠とおくから救すくい、あなたの子孫しそんをその捕とらえ移うつされた地ちから救すくうからだ。ヤコブは帰かえってきて、おだやかに、安やすらかになり、彼かれを恐おそれさせる者ものはない。46:28 主しゅは言いわれる、わたしのしもべヤコブよ、恐おそれることはない、わたしが共ともにいるからだ。わたしはあなたを追おいやった国々くにぐにをことごとく滅ほろぼし尽つくす。しかしあなたを滅ほろぼし尽つくすことはしない。わたしは正ただしい道みちに従したがって、あなたを懲こらしめる、決けっして罰ばっしないではおかない」。 第47章 47:1 パロがまだガザを撃うたなかったころ、ペリシテびとの事ことについて預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ主しゅの言葉ことば。 47:2 「主しゅはこう言いわれる、見みよ、水みずは北きたから起おこり、あふれ流ながれて、この地ちと、そこにあるすべての物もの、その町まちと、その中なかに住すむ者ものとにあふれかかる。その時とき、人々ひとびとは叫さけび、この地ちに住すむ者ものはみな嘆なげく。47:3 そのたくましい馬うまのひずめの踏ふみ鳴ならす音おとのため、その戦車せんしゃの響ひびきのため、その車輪しゃりんのとどろきのために、父ちちはその手てが弱よわくなって、自分じぶんの子こをも顧かえりみない。47:4 これは、ペリシテびとを滅ほろぼし尽つくし、ツロとシドンに残のこって助たすけをなす者ものをことごとく絶たやす日ひが来くるからである。主しゅはカフトルの海岸かいがんに残のこっているペリシテびとを滅ほろぼされる。47:5 ガザには髪かみをそることが始はじまっている。アシケロンは滅ほろびた。アナクびとの残のこりの民たみよ、いつまで自分じぶんの身みに傷きずつけるのか。47:6 主しゅのつるぎよ、おまえはいつになれば静しずかになるのか。おまえのさやに帰かえり、休やすんで静しずかにしておれ。47:7 主しゅがこれに命いのちを下くだされたのだ、どうして静しずかにしておれようか。アシケロンと海岸かいがんの地ちを攻せめることを定さだめられたのだ」。 第48章 48:1 モアブの事ことについて、万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、 「ああ、ネボはわざわいだ、これは滅ほろぼされた。キリヤタイムははずかしめられて取とられ、とりでは、はずかしめられてこわされた。48:2 モアブの誉ほまれは、消きえ去さった。ヘシボンで人々ひとびとはモアブの害がいを図はかり、『さあ、この国くにを断たち滅ほろぼそう』という。マデメンよ、おまえもまた滅ほろぼされる、つるぎがおまえを追おう。 48:3 ホロナイムから叫さけび声ごえが聞きこえる、『荒廃こうはいと大おおいなる滅亡めつぼうだ』という。48:4 モアブは滅ほろぼされ、叫さけびはゾアルにまで聞きこえる。48:5 彼かれらは泣なきながらルヒテの坂さかを登のぼる。彼かれらはホロナイムの下くだり坂ざかで、『滅亡めつぼう』の叫さけびを聞きいたからだ。48:6 逃にげて、自分じぶんの身みを救すくえ、荒野あらのの野のろばのようになれ。48:7 おまえが、とりでと財宝ざいほうとを頼たのみにしたので、おまえも捕とらえられるからだ。またケモシは、その祭司さいしとつかさたちと共ともに、捕とらえられて行いく。48:8 滅ほろぼす者ものはすべての町まちに来くる、一つの町まちものがれることができない。谷たには滅ほろび、平地へいちは荒あらされる、主しゅの言いわれたとおりである。48:9 モアブに翼つばさを与あたえて、飛とび去さらせよ。その町々まちまちは荒あれて、住すむ者ものはなくなる。48:10 主しゅのわざを行おこなうことを怠おこたる者ものはのろわれる。またそのつるぎを押おさえて血ちを流ながさない者ものはのろわれる。48:11 モアブはその幼おさない時ときから安やすらかで、酒さけが、沈しずんだおりの上うえにとどまって、器うつわから器うつわに、くみ移うつされなかったように、捕とらえ移うつされなかったので、その味あじはなお存そんし、その香気こうきも変かわることがない。48:12 主しゅは言いわれる、それゆえ見みよ、わたしがこれを傾かたむける者ものどもをつかわす日ひが来くる。彼かれらはこれを傾かたむけ、その器うつわをあけ、そのかめを砕くだく。48:13 その時ときモアブはケモシのために恥はじをかく。ちょうどイスラエルの家いえがその頼たのみとしたベテルのために恥はじをかいたようになる。48:14 あなたがたはどうして『われわれは勇士ゆうしだ。強つよい戦士せんしだ』というのか。48:15 モアブとその町々まちまちを滅ほろぼす者ものは上のぼって来き、モアブのえり抜ぬきの若者わかものたちは下くだって殺ころされたと万軍ばんぐんの主しゅと名なのる王おうが言いわれる。48:16 モアブの災難さいなんは近ちかづいている、その苦難くなんはすみやかに来くる。48:17 すべてその周囲しゅういにある者ものよ、またその名なを知しる者ものよ、彼かれのために嘆なげいて、『ああ、強つよき笏しゃく、麗うるわしきつえは、ついに折おれた』と言いえ。 48:18 デボンに住すむ者ものよ、ああなたの栄さかえを離はなれて下くだり、かわいた地ちに座ざせよ。モアブを滅ほろぼす者ものがあなたに攻せめのぼって来きて、あなたの城しろを滅ほろぼしたからだ。48:19 アロエルに住すむ者ものよ、道みちのかたわらに立たって見張みはりし、逃にげてくる男おとこ、のがれてくる女おんなに尋たずねて、『何なにが起おこったのか』と言いえ。48:20 モアブは敗やぶれて、恥はじをこうむっている。嘆なげき呼よばわれ。アルノン川かわのほとりで、モアブは滅ほろぼされたと告つげよ。48:21 さばきは高原こうげんの地ちに臨のぞみ、ホロン、ヤハズ、メパアテ、48:22 デボン、ネボ、ベテ・デブラタイム、48:23 キリヤタイム、ベテ・ガムル、ベテ・メオン、48:24 ケリオテ、ボズラなどモアブの地ちのすべての町まちの、遠とおいものにも近ちかいものにも、臨のぞんだ。48:25 モアブの角つのは砕くだけ、その腕うでは折おれたと主しゅは言いわれる。 48:26 モアブを酔よわせよ、彼かれが主しゅに敵てきして自みずから高たかぶったからである。モアブは自分じぶんの吐はいた物ものの中なかにころがって、笑わらい草ぐさとなる。48:27 イスラエルはあなたの笑わらい草ぐさではなかったか。あなたが、彼かれのことを語かたるごとに首くびを振ふったのは、彼かれが盗賊とうぞくの中なかにいたとでもいうのか。48:28 モアブに住すむ者ものよ、町まちを去さって岩いわの間あいだに住すめ。谷たにの入口いりぐちのかたわらに巣すを作つくる山やまばとのようにせよ。48:29 われわれはモアブの高慢こうまんな事ことを聞きいた、その高慢こうまんは、はなはだしい。すなわち、その尊大そんだい、高慢こうまん、横柄おうへい、およびその心こころの高たかぶりのことを聞きいた。48:30 主しゅは言いわれる、わたしは彼かれの横着おうちゃくなのを知しる、彼かれの自慢じまんは偽いつわりで、その行おこないも偽いつわりである。48:31 それゆえ、わたしはモアブのために嘆なげき、モアブの全ぜん地ちのために呼よばわる。キルヘレスの人々ひとびとのためにわたしは悲かなしむ。48:32 シブマのぶどうの木きよ、わたしはヤゼルのために泣なくのにまさっておまえのために泣なく。おまえのつるは延のびて海うみを越こえ、ヤゼルに及およんだ。おまえの夏なつの実みと、その収穫しゅうかくを滅ほろぼす者ものが襲おそってきた。48:33 喜よろこびと楽たのしみは、実みのり多おおいモアブの地ちを去さった。わたしは、ぶどうをしぼる所ところにも酒さけをなくした。楽たのしく呼よばわって、ぶどうを踏ふむ者ものもなくなった。呼よばわっても、喜よろこんで呼よばわる声こえではない。48:34 ヘシボンとエレアレは叫さけぶ。ヤハヅに至いたるまで、ゾアルからホロナイムとエグラテ・シリシヤに至いたるまで、彼かれらはその声こえをあげる。ニムリムの水みずも絶たえたからである。48:35 主しゅは言いわれる、わたしは犠牲ぎせいを高たかき所ところにささげ、香こうをその神かみにたく者ものをモアブのうちに滅ほろぼす。48:36 それゆえ、わたしの心こころはモアブのために笛ふえのように嘆なげき、わたしの心こころはキルヘレスの人々ひとびとのために笛ふえのように嘆なげく。彼かれらの獲えた富とみが消きえうせたからである。 48:37 人ひとはみな髪かみをそり、皆みなひげをそり、みな手てに傷きずをつけ、腰こしに荒布あらぬのを着つける。48:38 モアブではどこの屋根やねの上うえも、広場ひろばも、ただ悲かなしみに包つつまれている。これは、わたしが、だれもほしがらない器うつわのようにモアブを砕くだいたからであると主しゅは言いわれる。48:39 ああ、モアブはついに滅ほろびた。人々ひとびとは嘆なげく。ああ、モアブは恥はじて顔かおをそむけた。モアブはその周囲しゅういのすべての者ものの笑わらい草ぐさとなり恐おそれとなった」。 48:40 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、敵てきはわしのように速はやく飛とんできて、モアブに向むかって翼つばさをのべる。48:41 町々まちまちは取とられ、城しろは奪うばわれる。その日ひモアブの勇士ゆうしの心こころは子こを産うむ女おんなの心こころのようになる。48:42 モアブは滅ほろぼされて、国くにを成なさないようになる。主しゅに敵てきして自みずから誇ほこったからである。48:43 主しゅは言いわれる、モアブに住すむ者ものよ、恐おそれと、穴あなと、わなとがあなたに臨のぞんでいる。48:44 恐おそれをさけて逃にげる者ものは穴あなにおちいり、穴あなをよじ上のぼって出でる者ものは、わなに捕とらえられる。わたしがモアブに、その罰ばっせられる年としに、これらのものを臨のぞませるからであると主しゅは言いわれる。 48:45 逃にげた者ものはヘシボンの陰かげに、力ちからなく立たちどまる。ヘシボンから火ひが出で、シホンの家いえから炎ほのおが出でて、モアブの額ひたい、騒さわぐ人々ひとびとの頭あたまの頂いただきを焼やいたからだ。48:46 モアブよ、おまえはわざわいだ。ケモシの民たみは滅ほろびた。おまえのむすこらは捕とらえ移うつされ、おまえの娘むすめらも捕とらえ行ゆかれたからである。48:47 しかし末すえの日ひにわたしは再ふたたびモアブを栄さかえさせると主しゅは言いわれる」。ここまではモアブのさばきの事ことをいったのである。 第49章 49:1 アンモンびとについて、主しゅはこう言いわれる、「イスラエルには子こがないのか、世継よつぎがないのか。どうしてミルコムがガドを追おい出だして、その民たみがその町々まちまちに住すんでいるのか。49:2 主しゅは言いわれる、それゆえ、見みよ、アンモンびとのラバを攻せめる戦たたかいの叫さけびを、わたしが聞きこえさせる日ひが来くる。ラバは荒塚あれづかとなり、その村々むらむらは火ひで焼やかれる。そのときイスラエルは自分じぶんを追おい出だした者ものどもを追おい出だすと主しゅは言いわれる。 49:3 ヘシボンよ嘆なげけ、アイは滅ほろぼされた。ラバの娘むすめたちよ呼よばわれ。荒布あらぬのを身みにまとい、悲かなしんで、まがきのうちを走はしりまわれ。ミルコムとその祭司さいしおよびつかさが共ともに捕とらえ移うつされるからだ。49:4 不信ふしんの娘むすめよ、あなたはなぜ自分じぶんの谷たにの事ことを誇ほこるのか。あなたは自分じぶんの富とみに寄より頼たよんで、『だれがわたしに攻せめてくるものか』と言いう。49:5 主しゅなる万軍ばんぐんの神かみは言いわれる、見みよ、わたしはあなたの上うえに恐おそれを臨のぞませる、それはあなたの周囲しゅういの者ものから来くる。あなたは追おわれて、おのおの直ただちに他人たにんに続つづき、逃にげる者ものを集あつめる人ひともない。49:6 しかし、のちになって、わたしはアンモンびとを再ふたたび栄さかえさせると、主しゅは言いわれる」。49:7 エドムの事ことについて、万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「テマンには、もはや知恵ちえがないのか。さとい者ものには計はかりごとがなくなったのか。その知恵ちえは消きえうせたのか。49:8 デダンに住すむ者ものよ、逃にげよ、のがれよ、深ふかい所ところに隠かくれよ。わたしがエサウの災難さいなんを彼かれの上うえに臨のぞませ、彼かれを罰ばっする時ときをこさせるからだ。49:9 ぶどうを集あつめる者ものがあなたの所ところに来きたならば、すこしの実みをも残のこさないであろうか。夜よる、盗ぬすびとが来きたならば、自分じぶんたちの満足まんぞくするだけ滅ほろぼさないであろうか。49:10 しかしわたしはエサウを裸はだかにし、その隠かくれる所ところを現あらわしたので、彼かれはその身みを隠かくすことができない。その子こどもたちも、兄弟きょうだいも、隣となり人びとも滅ほろぼされる。そして彼かれは、いなくなる。49:11 あなたのみなしごを残のこせ、わたしがそれを生いきながらえさせる。あなたのやもめには、わたしに寄より頼たのませよ」。49:12 主しゅはこう言いわれる、「もし、杯さかずきを飲のむべきでない者ものもそれを飲のまなければならなかったとすれば、あなたは罰ばつを免まぬかれることができようか。あなたは罰ばつを免まぬかれない。それを飲のまなければならない。49:13 主しゅは言いわれる、わたしは自分じぶんをさして誓ちかった、ボズラは驚おどろきとなり、ののしりとなり、荒あれ地ちとなり、のろいとなる。その町々まちまちは長ながく荒あれ地ちとなる」。 49:14 わたしは主しゅからのおとずれを聞きいた。ひとりの使者ししゃがつかわされて万国ばんこくに行いき、そして言いった、「あなたがたは集あつまり、行いって彼かれを攻せめ、立たって戦たたかえ。49:15 見みよ、わたしはあなたを万国ばんこくのうちに小ちいさい者ものとし、人々ひとびとのうちに卑いやしめられる者ものとする。49:16 岩いわの割われ目めに住すみ、山やまの高たかみを占しめる者ものよ、あなたの恐おそろしい事ことと、あなたの心こころの高たかぶりが、あなたを欺あざむいた。あなたは、わたしのように巣すを高たかい所ところに作つくっているが、わたしはその所ところからあなたを取とりおろすと主しゅは言いわれる。49:17 エドムは恐おそれとなる。そのかたわらを通とおり過すぎる者ものはみな恐おそれ、その災わざわいのために、舌打したうちする。49:18 主しゅは言いわれる、ソドムとゴモラとその隣となりの町々まちまちがくつがえされた時ときのように、そこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひともなくなる。49:19 見みよ、ししがヨルダンの密林みつりんから上のぼってきて、じょうぶな羊ひつじのおりを襲おそうように、わたしは、たちまち彼かれらをそこから逃にげ走はしらせ、わたしの選えらぶ者ものをその上うえに立たてる。だれかわたしのような者ものがあるであろうか。だれがわたしを呼よびつけることができようか。どの牧者ぼくしゃがわたしの前まえに立たつことができようか。49:20 それゆえ、エドムに対たいして主しゅが立たてた計はかりごとと、テマンに住すむ者ものに対たいしてしようとする事ことを聞きくがよい。彼かれらの群むれのうちの小ちいさいものまでも皆みな、引ひかれて行いく。彼かれらのおりのものもその終おわりを見みて恐おそれる。49:21 その倒たおれる音おとを聞きいて、地ちは震ふるい、彼かれらの叫さけび声ごえは紅海こうかいにも聞きこえる。49:22 見みよ、敵てきはわしのように上のぼり、すみやかに飛とびかけり、その翼つばさをボズラの上うえに張はり広ひろげる。その日ひエドムの勇士ゆうしの心こころは子こを産うむ女おんなの心こころのようになる」。 49:23 ダマスコの事ことについて、「ハマテとアルパデは、うろたえている、彼かれらは悪わるいおとずれを聞きいたからだ。彼かれらは勇気ゆうきを失うしない、穏おだやかになることのできない海うみのように悩なやむ。49:24 ダマスコは弱よわり、身みをめぐらして逃にげた、恐怖きょうふに襲おそわれている。子こを産うむ女おんなに臨のぞむように痛いたみと悲かなしみと彼かれに臨のぞむ。49:25 ああ、名なある町まち、楽たのしい町まちは捨すてられる。49:26 それゆえ、その日ひに、若わかい者ものは、広場ひろばに倒たおれ、兵士へいしはことごとく滅ほろぼされると万軍ばんぐんの主しゅは言いわれる。49:27 わたしはダマスコの城壁じょうへきの上うえに火ひを燃もやし、ベネハダデの宮殿きゅうでんを焼やき尽つくす」。49:28 バビロンの王おうネブカデレザルが攻せめ撃うったケダルとハゾルの諸国しょこくの事ことについて、 主しゅはこう言いわれる、「立たって、ケダルに向むかって進すすみ、東ひがしの人々ひとびとを滅ほろぼせ。49:29 彼かれらの天幕てんまくと、その羊ひつじの群むれとは取とられ、その垂幕たれまくとそのもろもろの器うつわと、らくだとは彼かれらの所ところから運はこび去さられ、人々ひとびとは彼かれらに向むかって叫さけぶ、『恐おそろしいことが四方しほうにある』と。49:30 主しゅは言いわれる、ハゾルに住すむ者ものよ、逃にげよ、遠とおくさまよい行いき、深ふかい所ところに隠かくれよ。バビロンの王おうネブカデレザルがあなたがたを攻せめる計はかりごとをめぐらし、あなたがたを攻せめる、てだてを設もうけたからだ。 49:31 主しゅは言いわれる、立たって進すすみ、安全あんぜんな所ところに住すむきらくな民たみを攻せめよ、彼かれらは門もんもなく、貫かんの木きもなく、ひとり離はなれて住すむ。49:32 彼かれらのらくだは、ぶんどり物ものとなり、家畜かちくの群むれは奪うばわれる。わたしは、かの髪かみの毛けのすみずみを切きる者ものを四方しほうに散ちらし、その災難さいなんを八方はっぽうからこさせると主しゅは言いわれる。49:33 ハゾルは山犬やまいぬのすまいとなり、いつまでも荒あれ地ちとなっている。だれもそこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひともない」。49:34 ユダの王おうゼデキヤの治世ちせいの初はじめのころに、エラムの事ことについて預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ主しゅの言葉ことば。 49:35 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしはエラムが力ちからとして頼たよんでいる弓ゆみを折おる。49:36 わたしは天てんの四方しほうから、四方しほうの風かぜをエラムにこさせ、彼かれらを四方しほうの風かぜに散ちらす。エラムから追おい出だされる者ものの行いかない国くにはない。49:37 主しゅは言いわれる、わたしはエラムをしてその敵てきの前まえ、またその命いのちを求もとめる者ものの前まえに恐おそれさせる。わたしは災わざわいをくだし、激はげしい怒いかりをその上うえにくだす。彼かれらのうしろに、つるぎを送おくって滅ほろぼし尽つくす。49:38 そしてわたしの位くらいをエラムにすえ、王おうとつかさたちとを滅ほろぼすと主しゅは言いわれる。 49:39 しかし末すえの日ひに、わたしはエラムを再ふたたび栄さかえさせると、主しゅは言いわれる」。 第50章 50:1 主しゅが預言者よげんしゃエレミヤによって語かたられたバビロンとカルデヤびとの地ちの事ことについての言葉ことば。 50:2 「国々くにぐにのうちに告つげ、また触ふれ示しめせよ、旗はたを立たてて、隠かくすことなく触ふれ示しめして言いえ、『バビロンは取とられ、ベルははずかしめられ、メロダクは砕くだかれ、その像ぞうははずかしめられ、その偶像ぐうぞうは砕くだかれる』と。50:3 それは、北きたの方ほうから一つの国民こくみんがきて、これを攻せめ、その地ちを荒あらして、住すむ人ひともないようにするからである。人ひとも獣けものもみな逃にげ去さってしまう。 50:4 主しゅは言いわれる、その日ひその時とき、イスラエルの民たみとユダの民たみは共ともに帰かえってくる。彼かれらは嘆なげきながら帰かえってくる。そしてその神かみ、主しゅを求もとめる。50:5 彼かれらは顔かおをシオンに向むけて、その道みちを問とい、『さあ、われわれは、永遠えいえんに忘わすれられることのない契約けいやくを結むすんで主しゅに連つらなろう』と言いう。 50:6 わたしの民たみは迷まよえる羊ひつじの群むれである、その牧者ぼくしゃがこれをいざなって、山やまに踏ふみ迷まよわせたので、山やまから丘おかへと行いきめぐり、その休やすむ所ところを忘わすれた。50:7 これに会あう者ものはみなこれを食たべた。その敵てきは言いった、『われわれに罪つみはない。彼かれらがそのまことのすみかである主しゅ、先祖せんぞたちの希望きぼうであった主しゅに対たいして罪つみを犯おかしたのだ』と。 50:8 バビロンのうちから逃にげよ。カルデヤびとの地ちから出でよ。群むれの前まえに行いく雄おやぎのようにせよ。50:9 見みよ、わたしは大おおきい国々くにぐにを起おこし集あつめて、北きたの地ちからバビロンに攻せめこさせる。彼かれらはこれに向むかって勢せいぞろいをし、これをその所ところから取とる。彼かれらの矢やはむなしく帰かえらない老練ろうれんな勇士ゆうしのようである。50:10 カルデヤは人ひとにかすめられる。これをかすめる者ものはみな飽あくことができると、主しゅは言いわれる。 50:11 わたしの嗣し業ぎょうをかすめる者ものどもよ、あなたがたは喜よろこび楽たのしみ、雌めすの子こ牛うしのように草くさに戯たわむれ、雄お馬うまのように、いなないているが、50:12 あなたがたの母はははいたくはずかしめられ、あなたがたを産うんだ者ものは恥はじをこうむる。見みよ、彼女かのじょは国々くにぐにのうちの最もっともあとなるものとなり、かわいた砂原すなはらの荒野あらのとなる。50:13 主しゅの怒いかりによって、ここに住すむ者ものはなく、完全かんぜんに荒あれ地ちとなる。バビロンのかたわらを通とおる者ものは、みなその傷きずを見みて驚おどろき、かつあざ笑わらう。50:14 あなたがたすべて弓ゆみを張はる者ものよ、バビロンの周囲しゅういに勢せいぞろいして、これを攻せめ、矢やを惜おしまずに、これを射いよ、彼女かのじょが主しゅに罪つみを犯おかしたからだ。50:15 その周囲しゅういに叫さけび声ごえをあげよ、彼女かのじょは降伏こうふくした。そのとりでは倒たおれ、その城壁じょうへきはくずれた、主しゅがあだをかえされたからだ。彼女かのじょに報復ほうふくせよ、彼女かのじょがおこなったように、これに行おこなえ。50:16 種たねまく者ものと、刈入かりいれどきに、かまを取とる者ものをバビロンに絶たやせ。滅ほろぼす者もののつるぎを恐おそれて、人ひとはおのおの自分じぶんの民たみの所ところに帰かえり、そのふるさとに逃にげて行いく。50:17 イスラエルは、ししに追おわれて散ちった羊ひつじである。初はじめにアッスリヤの王おうがこれを食くい、そして今いまはついにバビロンの王おうネブカデレザルがその骨ほねをかじった。50:18 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみは、こう言いわれる、見みよ、わたしはアッスリヤの王おうを罰ばっしたように、バビロンの王おうとその国くにに罰ばつを下くだす。50:19 わたしはイスラエルを再ふたたびその牧場まきばに帰かえらせる。彼かれはカルメルとバシャンで草くさを食たべる。またエフライムの山やまとギレアデでその望のぞみが満みたされる。50:20 主しゅは言いわれる、その日ひその時ときには、イスラエルのとがを探さがしても見当みあたらず、ユダの罪つみを探さがしてもない。それはわたしが残のこしておく人々ひとびとを、ゆるすからである。50:21 主しゅは言いわれる、上のぼって行いって、メラタイムの地ちを攻せめ、ペコデの民たみを攻せめ、彼かれらを殺ころして全まったく滅ほろぼし、わたしがあなたがたに命めいじたことを皆みな、行おこないなさい。50:22 その地ちに、いくさの叫さけびと、大おおいなる滅ほろびがある。50:23 ああ、全ぜん地ちを砕くだいた鎚つちはついに折おれ砕くだける。ああ、バビロンはついに国々くにぐにのうちの恐おそるべき見みものとなる。50:24 バビロンよ、わたしは、おまえを捕とらえるためにわなをかけたが、おまえはそれにかかった。そしておまえはそれを知しらなかった。おまえは主しゅに敵てきしたので、尋たずね出だされ、捕とらえられた。50:25 主しゅは武器ぶきの倉くらを開ひらいてその怒いかりの武器ぶきを取とり出だされた。主しゅなる万軍ばんぐんの神かみが、カルデヤびとの地ちに事ことを行おこなわれるからである。50:26 あらゆる方面ほうめんからきて、これを攻せめ、その穀倉こくぐらを開ひらき、これを穀物こくもつの山やまのように積つみ上あげ、完全かんぜんに滅ほろぼし尽つくし、そこに残のこる者もののないようにせよ。50:27 その雄牛おうしをことごとく殺ころせ、それを、ほふり場ばに下くだらせよ。それらのものはわざわいだ、その日ひ、その罰ばつを受うける時ときがきたからだ。50:28 聞きけよ、バビロンの地ちから逃にげ、のがれてきた者ものの声こえがする。われわれの神かみ、主しゅの報復ほうふく、その宮みやの報復ほうふくの事ことをシオンに告つげ示しめす。 50:29 弓ゆみを張はる射手いてをことごとく呼よび集あつめて、バビロンを攻せめよ。その周囲しゅういに陣じんを敷しけ。ひとりも逃がにがすな。そのしわざにしたがってバビロンに報むくい、これがおこなった所ところにしたがってこれに行おこなえ。彼かれがイスラエルの聖者せいじゃである主しゅに向むかって高慢こうまんにふるまったからだ。50:30 それゆえ、その日ひ、若わかい者ものは、広場ひろばに倒たおれ、兵士へいしはみな絶たやされると主しゅは言いわれる。 50:31 主しゅなる万軍ばんぐんの神かみは言いわれる、高たかぶる者ものよ、見みよ、わたしはおまえの敵てきとなる、あなたの日ひ、わたしがおまえを罰ばっする時ときが来きた。50:32 高たかぶる者ものはつまずき倒たおれる、これを助たすけ起おこすものはない。わたしはその町々まちまちに火ひを燃もやして、その周囲しゅういの者ものをことごとく焼やき尽つくす。50:33 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、イスラエルの民たみとユダの民たみは共ともにしえたげられている。彼かれらをとりこにした者ものはみな彼かれらを固かたく守まもって釈放しゃくほうすることを拒こばむ。50:34 彼かれらをあがなう者ものは強つよく、その名なは万軍ばんぐんの主しゅといわれる。彼かれは必かならず彼かれらの訴うったえをただし、この地ちに安やすきを与あたえるが、バビロンに住すむ者ものには不安ふあんを与あたえられる。 50:35 主しゅは言いわれる、カルデヤびとの上うえとバビロンに住すむ者ものの上うえ、そのつかさたち、その知者ちしゃたちの上うえにつるぎが臨のぞむ。50:36 占うらない師しの上うえにつるぎが臨のぞみ、彼かれらは愚おろか者ものとなる。その勇士ゆうしの上うえにつるぎが臨のぞみ、彼かれらは滅ほろぼされる。50:37 その馬うまの上うえと、その車くるまの上うえにつるぎが臨のぞみ、またそのうちにあるすべての雇やとい兵へいの上うえに臨のぞみ、彼かれらは女おんなのようになる。その財宝ざいほうの上うえにつるぎが臨のぞみ、それはかすめられる。50:38 その水みずの上うえに、ひでりが来きて、それはかわく。それは、この地ちが偶像ぐうぞうの地ちであって、人々ひとびとが偶像ぐうぞうに心こころが狂くるっているからだ。50:39 それゆえ、野のの獣けものと山犬やまいぬとは共ともにバビロンにおり、だちょうもそこに住すむ。しかし、いつまでもその地ちに住すむ人ひとはなく、世々よよここに住すむ人ひとはない。50:40 主しゅは言いわれる、神かみがソドムとゴモラと、その隣となりの町々まちまちを滅ほろぼされたように、そこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひとの子こはない。 50:41 見みよ、一つの民たみが北きたの方ほうから来くる。大おおいなる国くにと多おおくの王おうが地ちの果はてから立たち上あがっている。50:42 彼かれらは弓ゆみと、やりを取とる。残忍ざんにんで、あわれみがなく、その響ひびきは海うみの鳴なりとどろくようである。バビロンの娘むすめよ、彼かれらは馬うまに乗のり、いくさびとのように身みをよろって、あなたを攻せめる。50:43 バビロンの王おうはそのうわさを聞きいて、その手ては弱よわり、子こを産うむ女おんなに臨のぞむような痛いたみと苦くるしみに迫せまられた。50:44 見みよ、ししがヨルダンの密林みつりんから上のぼってきて、じょうぶな羊ひつじのおりを襲おそうように、わたしは、たちまち彼かれらをそこから逃にげ去さらせる。そしてわたしの選えらぶ者ものをその上うえに立たてる。だれかわたしのような者ものがあるであろうか。だれがわたしを呼よびつけることができようか。どの牧者ぼくしゃがわたしの前まえに立たつことができようか。50:45 それゆえ、バビロンに対たいして主しゅが立たてた計はかりごとと、カルデヤびとの地ちに対たいしてしようとする事ことを聞きくがよい。彼かれらの群むれのうちの小ちいさい者ものは、かならず引ひかれて行いく。彼かれらのおりのものも必かならずその終おわりを見みて恐おそれる。50:46 バビロンが取とられたとの声こえによって地ちは震ふるい、その叫さけびは国々くにぐにのうちに聞きこえる」。 第51章 51:1 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは、滅ほろぼす者ものの心こころを奮ふるい起おこして、バビロンを攻せめ、カルデヤに住すむ者ものを攻せめさせる。51:2 わたしはバビロンに、あおぎ分わける者ものをつかわす。彼かれらは、その災わざわいの日ひに、四方しほうからこれを攻せめ、それをあおぎ分わけて、その地ちをむなしくする。51:3 射手いてにはその弓ゆみを張はらせることなく、よろいを着きて立たち上あがらせるな。その若わかき者ものをあわれむことなく、その軍勢ぐんぜいをことごとく滅ほろぼせ。51:4 彼かれらはカルデヤびとの地ちに殺ころされて倒たおれ、そのちまたに傷きずついて倒たおれる。51:5 イスラエルとユダはその神かみ、万軍ばんぐんの主しゅに捨すてられてはいないが、しかしカルデヤびとの地ちにはイスラエルの聖者せいじゃに向むかって犯おかした罪つみが満みちている。 51:6 バビロンのうちからのがれ出でて、おのおのその命いのちを救すくえ。その罰ばつにまきこまれて断たち滅ほろぼされてはならない。今いまは主しゅがあだを返かえされる時ときだから、それに報復ほうふくをされるのである。51:7 バビロンは主しゅの手てのうちにある金きんの杯さかずきであって、すべての地ちを酔よわせた。国々くにぐにはその酒さけを飲のんだので、国々くにぐには狂くるった。51:8 バビロンはたちまち倒たおれて破やぶれた。これがために嘆なげけ。その傷きずのために乳香にゅうこうを取とれ。あるいは、いえるかも知しれない。51:9 われわれはバビロンをいやそうとしたが、これはいえなかった。われわれはこれを捨すてて、おのおの自分じぶんの国くにに帰かえろう。その罰ばつが天てんに達たっし、雲くもにまで及およんでいるからだ。51:10 主しゅはわれわれの正ただしいことを明あきらかにされた。さあ、われわれはシオンで、われわれの神かみ、主しゅのみわざを告つげ示しめそう。51:11 矢やをとぎ、 盾たてを取とれ。主しゅはメデアびとの王おうたちの心こころを引ひき立たてられる。主しゅのバビロンに思おもい図はかることは、これを滅ほろぼすことであり、主しゅがあだを返かえし、その宮みやのあだを返かえされるのである。 51:12 バビロンの城壁じょうへきに向むかって旗はたを立たて、見張みはりを強固きょうこにし、番兵ばんぺいを置おき、伏兵ふくへいを備そなえよ。主しゅがバビロンに住すむ者ものを攻せめようと図はかり、その言いわれたことを、いま行おこなわれるからだ。51:13 多おおくの水みずのほとりに住すみ、多おおくの財宝ざいほうを持もつ者ものよ、あなたの終おわりが来きて、その命いのちの糸いとは断たたれる。51:14 万軍ばんぐんの主しゅはみずからをさして誓ちかい、言いわれる、わたしは必かならずあなたのうちに、人ひとをいなごのように満みたす。彼かれらはあなたに向むかって、かちどきの声こえをあげる。 51:15 主しゅはその力ちからをもって地ちを造つくり、その知恵ちえをもって世界せかいを建たて、その悟さとりをもって天てんをのべられた。51:16 彼かれが声こえを出だされると、天てんに多おおくの水みずのざわめきがあり、また地ちの果はてから霧きりを立たちあがらせられる。彼かれは雨あめのためにいなびかりをおこし、その倉くらから風かぜを取とり出だされる。51:17 すべての人ひとは愚おろかで知恵ちえがなく、すべての金きん細工人ざいくにんはその造つくった偶像ぐうぞうのために恥はじをこうむる。その偶像ぐうぞうは偽いつわり物もので、そのうちに息いきがないからだ。51:18 それらは、むなしいもの、迷まよいのわざである。罰ばっせられる時ときになれば滅ほろびるものである。51:19 ヤコブの分ぶんである彼かれはこのようなものではない、彼かれは万物ばんぶつの造つくり主ぬしだからである。イスラエルは彼かれの嗣し業ぎょうとしての部族ぶぞくである。彼かれの名なは万軍ばんぐんの主しゅという。 51:20 おまえはわたしの鎚つちであり、戦たたかいの武器ぶきである。わたしはおまえをもってすべての国くにを砕くだき、おまえをもって万国ばんこくを滅ほろぼす。51:21 おまえをもってわたしは馬うまと、その騎手きしゅとを砕くだき、おまえをもって戦車せんしゃとそれに乗のる者ものとを砕くだく。51:22 わたしはおまえをもって男おとこと女おんなとを砕くだき、おまえをもって老おいた者ものと幼おさない者ものとを砕くだき、おまえをもって若わかい者ものと、おとめとを砕くだく。51:23 わたしはおまえをもって、羊飼ひつじかいと、その群むれとを砕くだき、おまえをもって農夫のうふと、くびきを負おう家畜かちくとを砕くだき、おまえをもっておさたちと、つかさたちとを砕くだく。51:24 わたしはバビロンとカルデヤに住すむすべての者ものとに、彼かれらがシオンで行いったもろもろの悪あしき事ことのために、あなたがたの目めの前まえで報むくいをすると、主しゅは言いわれる。 51:25 主しゅは言いわれる、全ぜん地ちを滅ほろぼし尽つくす滅ほろぼしの山やまよ、見みよ、わたしはおまえの敵てきとなる、わたしは手てをおまえの上うえに伸のべて、おまえを岩いわからころばし、おまえを焼やけ山やまにする。51:26 主しゅは言いわれる、人ひとがおまえから石いしを取とって、隅すみの石いしとすることなく、また礎いしずえとすることもない。おまえはいつまでも荒あれ地ちとなっている。51:27 地ちに旗はたを立たて、国々くにぐにのうちにラッパを吹ふき、国々くにぐにの民たみを集あつめてそれを攻せめ、アララテ、ミンニ、アシケナズの国々くにぐにをまねいてそれを攻せめ、軍ぐんの長ちょうを立たててそれを攻せめ、群むらがるいなごのように馬うまを上のぼり行いかせよ。51:28 国々くにぐにの民たみを集あつめてそれを攻せめ、メデアびとの王おうたちと、そのおさたち、つかさたち、およびすべての領地りょうちの人々ひとびとを集あつめてこれを攻せめよ。51:29 その地ちは震ふるい、かつもだえ苦くるしむ、主しゅがその思おもい図はかることをバビロンにおこない、バビロンの地ちを、住すむ人ひとなき荒あれ地ちとされるからだ。51:30 バビロンの勇士ゆうしたちは戦たたかいをやめて、その城しろにこもり、力ちからはうせて、女おんなのようになる。その家いえは焼やけ、その貫かんの木きは砕くだかれる。51:31 飛脚ひきゃくは走はしって飛脚ひきゃくに会あい、使者ししゃは走はしって使者ししゃに会あい、バビロンの王おうに告つげて、町まちはことごとく取とられ、51:32 渡わたし場ばは奪うばわれ、とりでは火ひで焼やかれ、兵士へいしはおびえていると言いう。51:33 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、バビロンの娘むすめは、打うち場ばのようだ、その踏ふまれる時ときが来きたのだ。しばらくしてその刈かり取とられる時ときが来くる」。 51:34 「バビロンの王おうネブカデレザルはわたしを食くい尽つくし、わたしを滅ほろぼし、わたしを、からの器うつわのようにし、龍りゅうのようにわたしを飲のみ、わたしのうまい物ものでその腹はらを満みたし、わたしを洗あらいざらいにした。51:35 わたしとわたしの肉親にくしんにおこなった暴虐ぼうぎゃくは、バビロンにふりかかる」とシオンに住すむ者ものは言いわなければならない。「わたしの血ちはカルデヤに住すむ者ものにふりかかる」とエルサレムは言いわなければならない。51:36 それゆえ主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしはあなたの訴うったえをただし、あなたのためにあだを返かえす。わたしはバビロンの海うみをかわかし、その泉いずみをかわかす。51:37 バビロンは荒塚あれづかとなり、山犬やまいぬのすまいとなり、驚おどろきとなり、笑わらいとなり、住すむ人ひとのない所ところとなる。51:38 彼かれらはししのように共ともにほえ、若わかいししのようにほえる。51:39 彼かれらの欲よくの燃もえている時とき、わたしは宴うたげを設もうけて彼かれらを酔よわせ、彼かれらがついに気きを失うしなって、ながい眠ねむりにいり、もはや目めをさますことのないようにしようと主しゅは言いわれる。51:40 わたしは彼かれらを小羊こひつじのように、また雄羊おひつじや雄おやぎのように、ほふり場ばに下くだらせよう。 51:41 ああ、バビロンはついに取とられた、全ぜん地ちの人ひとの、ほめたたえた者ものは捕とらえられた。ああ、バビロンはついに国々くにぐにのうちに驚おどろきとなった。51:42 海うみはバビロンにあふれかかり、どよめく波なみにおおわれた。51:43 その町々まちまちは荒あれて、かわいた地ちとなり、砂原すなはらとなり、住すむ人ひとのない地ちとなる。人ひとの子こはひとりとしてそこを過すぎることはない。51:44 わたしはバビロンでベルを罰ばっし、そののみこんだものを口くちから取とり出だす。国々くにぐにが川かわのように彼かれに流ながれ入いることはなくなる。バビロンの城壁じょうへきは倒たおれた。51:45 わが民たみよ、あなたがたはその中なかから出でて、おのおの主しゅの激はげしい怒いかりを免まぬかれ、その命いのちを救すくえ。51:46 心こころを弱よわくしてはならない、この地ちで聞きくうわさを恐おそれてはならない。うわさはこの年としにもくれば、また次つぎの年としにもくる。この地ちに暴虐ぼうぎゃくがあり、つかさとつかさとが攻せめあうことがある。51:47 それゆえ見みよ、わたしがバビロンの偶像ぐうぞうを罰ばっする日ひが来くる。その全ぜん地ちははずかしめられ、その殺ころされる者ものはみなその中なかに倒たおれる。51:48 天てんと地ちとそのうちにあるすべてのものはバビロンの事ことで喜よろこび歌うたう。滅ほろぼす者ものが北きたの方ほうからここに来くるからであると主しゅは言いわれる。51:49 イスラエルの殺ころされた者ものたちのために、バビロンは倒たおれなければならない、バビロンのために全ぜん地ちの殺ころされた者ものは倒たおれたのだ。 51:50 つるぎをのがれてきたあなたがたは、行いけ、立たちとどまってはならない。遠とおくから主しゅを覚おぼえ、エルサレムを心こころにとめよ。51:51 『われわれはののしりを聞きいたので、恥はじている。異邦人いほうじんが主しゅの宮みやの聖所せいじょにはいったので、恥はじがわれわれの顔かおをおおった』。 51:52 主しゅは言いわれる、それゆえ見みよ、わたしがその偶像ぐうぞうを罰ばっする日ひが来くる、傷きずつけられた者ものが、その全国ぜんこくにうめくようになる。51:53 たといバビロンが天てんに上のぼっても、その城しろを高たかくして固かためても、滅ほろぼす者ものはわたしから出でて、これに臨のぞむと主しゅは言いわれる。 51:54 聞きけ、バビロンの叫さけびを、カルデヤびとの地ちに起おこる大おおいなる滅ほろびの騒さわぎ声こえを。51:55 主しゅがバビロンを滅ほろぼし、その大おおいなる声こえを絶たやされるのだ。その波なみは大水おおみずのように鳴なりとどろき、その声こえはひびき渡わたる。51:56 滅ほろぼす者ものがこれに臨のぞみ、バビロンに来きた。その勇士ゆうしたちは捕とらえられ、その弓ゆみは折おられる。主しゅは報むくいをする神かみであるから必かならず報むくいられるのだ。51:57 わたしはその君きみたちと知者ちしゃたち、おさたち、つかさたち、および勇士ゆうしたちを酔よわせる。彼かれらは、ながい ねむりにいり、目めをさますことはない。万軍ばんぐんの主しゅと呼よばれる王おうがこれを言いわせる。51:58 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、バビロンの広ひろい城壁じょうへきは地ちにくずされ、その高たかい門もんは火ひに焼やかれる。こうして民たみの労苦ろうくはむなしくなり、国民こくみんはただ火ひのために疲つかれる」。51:59 マアセヤの子こであるネリヤの子こセラヤが、ユダの王おうゼデキヤと共ともに、その治世ちせいの四年ねんにバビロンへ行いくとき、預言者よげんしゃエレミヤがセラヤに命めいじた言葉ことば。セラヤは宿営しゅくえいの長ちょうであった。51:60 エレミヤはバビロンに臨のぞもうとするすべての災わざわいを巻物まきものにしるした。これはすなわちバビロンの事ことについてしるしたすべての言葉ことばである。51:61 エレミヤはセラヤに言いった、「あなたはバビロンへ行いったならば、忘わすれることなくこのすべての言葉ことばを読よみ、51:62 そして言いいなさい、『主しゅよ、あなたはこの所ところを滅ほろぼし、人ひとと獣けものとを問とわず、すべてここに住すむ者もののないようにし、永久えいきゅうにここを荒あれ地ちとしようと、この所ところについて語かたられました』と。51:63 あなたがこの巻物まきものを読よみ終おわったならば、これに石いしをむすびつけてユフラテ川かわの中なかに投なげこみ、51:64 そして言いいなさい、『バビロンはこのように沈しずんで、二度どと上あがってこない。わたしがこれに災わざわいを下くだすからである』と」。ここまではエレミヤの言葉ことばである。 第52章 52:1 ゼデキヤは王おうとなったとき二十一歳さいであったが、エルサレムで十一年ねん世よを治おさめた。母ははの名なはハムタルといい、リブナのエレミヤの娘むすめである。52:2 ゼデキヤはエホヤキムがすべて行いったように、主しゅの目めの前まえに悪事あくじを行おこなった。52:3 たしかに、主しゅの怒いかりによって、エルサレムとユダとは、そのみ前まえから捨すて去さられるようなことになった。 そしてゼデキヤはバビロンの王おうにそむいた。52:4 そこで彼かれの治世ちせいの九年ねん十月がつ十日かに、バビロンの王おうネブカデレザルはその軍勢ぐんぜいを率ひきい、エルサレムにきて、これを包囲ほういし、周囲しゅういに塁るいを築きずいてこれを攻せめた。52:5 こうしてこの町まちは攻せめ囲かこまれて、ゼデキヤ王おうの十一年ねんにまで及およんだが、52:6 その四月がつ九日かになって、町まちの中なかの食糧しょくりょうは、はなはだしく欠乏けつぼうし、その地ちの民たみは食物しょくもつを得えることができなくなった。52:7 そして町まちの城壁じょうへきはついに打うち破やぶられたので、兵士へいしたちはみな逃にげ、夜よるのうちに、王おうの園そのの近ちかくの、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちをのがれ出でて、カルデヤびとが、町まちを攻せめ囲かこんでいるうちに、アラバの方ほうへ落おちて行いった。52:8 しかしカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは王おうを追おって行いって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいついたが、彼かれの軍勢ぐんぜいがみな散ちって彼かれのそばを離はなれたので、52:9 カルデヤびとは王おうを捕とらえ、ハマテの地ちのリブラにいるバビロンの王おうのもとに引ひいていったので、王おうは彼かれの罪つみを定さだめた。52:10 すなわちバビロンの王おうはゼデキヤの子こたちをその目めの前まえで殺ころさせ、ユダのつかさたちをことごとくリブラで殺ころさせ、52:11 またゼデキヤの目めをつぶさせた。そしてバビロンの王おうは彼かれを鎖くさりにつないでバビロンへ連つれて行いき、その死しぬ日ひまで獄屋ごくやに入いれて置おいた。 52:12 五月がつ十日かに、――それはバビロンの王おうネブカデレザルの世よの十九年ねんであった――バビロンの王おうに仕つかえる侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはエルサレムに、はいって、52:13 主しゅの宮みやと王おうの宮殿きゅうでんを焼やき、エルサレムのすべての家いえを焼やいた。彼かれは大おおきな家いえをみな焼やきはらった。52:14 また侍衛じえいの長ちょうと共ともにいたカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは、エルサレムの周囲しゅういの城壁じょうへきをみな取とりこわした。52:15 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは民たみのうちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかん、そのほか町まちのうちに残のこった者もの、およびバビロンの王おうにくだった人ひと、その他た工 こうしょうたちを捕とらえ移うつした。52:16 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはその地ちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかんを残のこして、ぶどうを作つくる者ものとし、農夫のうふとした。 52:17 カルデヤびとはまた主しゅの宮みやの青銅せいどうの柱はしらと、洗盤せんばんの台だいと、青銅せいどうの海うみを砕くだいて、その青銅せいどうをことごとくバビロンへ運はこび、52:18 また、つぼと、十能じゅうのうと、心切しんきりばさみと、鉢はちと、香こうを盛もる皿さらおよび宮みやの勤つとめに用もちいる青銅せいどうの器うつわをことごとく取とって行いった。52:19 また彼かれらは小鉢こばちと、心取しんとり皿ざらと、鉢はちと、つぼと、燭台しょくだいと、香こうを盛もる皿さらと、灌祭かんさいの鉢はちを取とった。金きんで作つくった物ものは金きんとして、銀ぎんで作つくった物ものは銀ぎんとして、侍衛じえいの長ちょうは運はこび去さった。52:20 ソロモン王おうが主しゅの宮みやに造つくった二本ほんの柱はしらと、一つの海うみと、海うみの下したの十二の青銅せいどうの牛うしと、台だいなど、このすべての物ものの青銅せいどうの重おもさは量はかることもできなかった。52:21 この一本ぽんの柱はしらの高たかさは十八キュビト、周囲しゅういは十二キュビトで、指ゆび四本ほんの厚あつさがあり、中なかは、うつろであった。52:22 その上うえに青銅せいどうの柱頭ちゅうとうがあり、柱頭ちゅうとうの高たかさは五キュビト、柱頭ちゅうとうの周囲しゅういは網あみ細工ざいくと、ざくろとで飾かざり、これらもみな青銅せいどうであった。他たの柱はしらもそのざくろも、これと同おなじであった。52:23 その四方しほうに九十六個このざくろがあり、周囲しゅういの網あみ細工ざいくの上うえにあるざくろの数かずは百個こであった。 52:24 侍衛じえいの長ちょうは祭司さいし長ちょうセラヤと次席じせきの祭司さいしゼパニヤと三人にんの門もんを守まもる者ものを捕とらえ、52:25 また兵士へいしをつかさどるひとりの役人やくにんと、町まちにいた王おうの側近そっきんの者もの七人にんと、その地ちの民たみを募つのる軍勢ぐんぜいの長ちょうの書記官しょきかんと、町まちの中なかにいた六十人にんの者ものを町まちから捕とらえ去さった。52:26 侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、これらの人ひとを捕とらえて、リブラにいるバビロンの王おうのもとに連つれて行いった。52:27 バビロンの王おうは、ハマテの地ちのリブラで彼かれらを撃うち殺ころした。こうして、ユダは自分じぶんの地ちから捕とらえ移うつされた。 52:28 ネブカデレザルが捕とらえ移うつした民たみの数かずは次つぎのとおりである。第だい七年ねんにはユダヤ人ひと三千二十三人にん。52:29 またネブカデレザルはその第だい十八年ねんにエルサレムから八百三十二人にんを捕とらえ移うつした。52:30 ネブカデレザルの二十三年ねんに侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、ユダヤ人ひと七百四十五人にんを捕とらえ移うつした。この総数そうすうは四千六百人にんであった。 52:31 ユダの王おうエホヤキンが捕とらえ移うつされて後のち三十七年ねんの十二月がつ二十五日にちに、バビロンの王おうエビルメロダクはその即位そくいの年ねんに、ユダの王おうエホヤキンを獄屋ごくやから出だし、そのこうべを挙あげさせ、52:32 親切しんせつに彼かれを慰なぐさめ、その位くらいを、バビロンで共ともにいる王おうたちの位くらいよりも高たかくした。52:33 こうしてエホヤキンは獄屋ごくやの服ふくを脱ぬいだ。そして生いきている間あいだは毎日まいにち王おうの食卓しょくたくで食事しょくじし、52:34 彼かれの給与きゅうよとしては、その死しぬ日ひまで一生いっしょうの間あいだ、たえず日々ひびの必要ひつようにしたがって、バビロンの王おうから給与きゅうよを賜たまわった。
46:1 もろもろの国くにの事ことについて預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ主しゅの言葉ことば。
46:2 エジプトの事こと、すなわちユフラテ川かわのほとりにあるカルケミシの近ちかくにいるエジプトの王おうパロ・ネコの軍勢ぐんぜいの事ことについて。これはユダの王おうヨシヤの子こエホヤキムの四年ねんに、バビロンの王おうネブカデレザルが撃うち破やぶったものである。その言葉ことばは次つぎのとおりである、
46:3 「大盾おおだてと小盾こだてとを備そなえ、進すすんで戦たたかえ。
46:4 騎兵きへいよ、馬うまを戦車せんしゃにつなぎ、馬うまに乗のれ。かぶとをかぶって立たて。ほこをみがき、よろいを着きよ。
46:5 わたしは見みたが、何なにゆえか彼かれらは恐おそれて退しりぞき、その勇士ゆうしたちは打うち敗やぶられ、あわてて逃にげて、うしろをふり向むくこともしない、――恐おそれが彼かれらの周囲しゅういにあると主しゅは言いわれる。
46:6 足早あしばやき者ものも逃にげることができず、勇士ゆうしものがれることができない。北きたの方ほう、ユフラテ川かわのほとりで彼かれらはつまずき倒たおれた。
46:7 あのナイル川かわのようにわきあがり、川々かわがわのように、その水みずのさかまく者ものはだれか。
46:8 エジプトはナイル川かわのようにわきあがり、その水みずは川々かわがわのようにさかまく。そしてこれは言いう、わたしは上のぼって、地ちをおおい、町々まちまちとそのうちに住すむ者ものを滅ほろぼそう。
46:9 馬うまよ、進すすめ、車くるまよ、激はげしく走はしれ。勇士ゆうしよ、盾たてを取とるエチオピヤびとと、プテびとよ、弓ゆみを巧たくみに引ひくルデびとよ、進すすみ出でよ。
46:10 その日ひは万軍ばんぐんの神かみ、主しゅの日ひであって、主しゅがあだを報むくいられる日ひ、その敵てきにあだをかえされる日ひだ。つるぎは食たべて飽あき、彼かれらの血ちに酔よう。万軍ばんぐんの神かみ、主しゅが、北きたの地ちで、ユフラテ川かわのほとりで、ほふることをなされるからだ。
46:11 おとめなるエジプトの娘むすめよ、ギレアデに上のぼって乳香にゅうこうを取とれ。あなたは多おおくの薬くすりを用もちいても、むだだ。あなたは、いやされることはない。
46:12 あなたの恥はじは国々くにぐにに聞きこえている、あなたの叫さけびは地ちに満みちている。勇士ゆうしが勇士ゆうしにつまずいて、共ともに倒たおれたからである」。
46:13 バビロンの王おうネブカデレザルが来きて、エジプトの地ちを撃うとうとする事ことについて、主しゅが預言者よげんしゃエレミヤにお告つげになった言葉ことば、
46:14 「エジプトで宣のべ、ミグドルで告つげ示しめし、またメンピスとタパネスに告つげ示しめして言いえ、『堅かたく立たって、備そなえせよ、つるぎがあなたの周囲しゅういを、滅ほろぼし尽つくすからだ』。
46:15 なぜ、アピスはのがれたのか。あなたの雄牛おうしは、なぜ立たたなかったのか。それは主しゅがこれを倒たおされたからだ。
46:16 あなたに属ぞくする多おおくの兵へいは、つまずいて倒たおれた。そして互たがいに言いった、『立たてよ、われわれは、しえたげる者もののつるぎを避さけて、われわれの民たみに帰かえり、故郷こきょうの地ちへ行いこう』と。
46:17 エジプトの王おうパロの名なを、『好機こうきを逸いっする騒さわがしい者もの』と呼よべ。
46:18 万軍ばんぐんの主しゅという名なの王おうは言いわれる、わたしは生いきている、彼かれは山々やまやまのうちのタボルのように、海うみのほとりのカルメルのように来きたり臨のぞむ。
46:19 エジプトに住すむ民たみよ、捕とらわれのために荷物にもつを備そなえよ。メンピスは荒あれ地ちとなり、廃虚はいきょとなって住すむ人ひともなくなる。
46:20 エジプトは美うつくしい雌めすの子こ牛うしだ、しかし北きたから、牛うしばえが来きて、それにとまった。
46:21 そのうちにいる雇やとい兵へいでさえ、肥こえた子こ牛うしのようだ。彼かれらはふり返かえって共ともに逃にげ、立たつことをしなかった。彼かれらの災難さいなんの日ひ、その罰ばっせられる時ときが来きたからだ。
46:22 彼かれは逃にげ去さるへびのような音おとをたてる。その敵てきが軍勢ぐんぜいを率ひきいて彼かれに臨のぞみ、きこりのように、おのをもって来くるからだ。
46:23 彼かれらは彼かれの林はやしがいかに入いり込こみがたくとも、それを切きり倒たおす。彼かれらはいなごよりも多おおく、数かぞえがたいからであると、主しゅは言いわれる。
46:24 エジプトの娘むすめははずかしめを受うけ、北きたからくる民たみの手てに渡わたされる」。
46:25 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみは言いわれた、「見みよ、わたしはテーベのアモンと、パロと、エジプトとその神々かみがみとその王おうたち、すなわちパロと彼かれを頼たのむ者ものとを罰ばっする。
46:26 わたしは彼かれらを、その命いのちを求もとめる者ものの手てと、バビロンの王おうネブカデレザルの手てと、その家来けらいたちの手てに渡わたす。その後のち、エジプトは昔むかしのように人ひとの住すむ所ところとなると、主しゅは言いわれる。
46:27 わたしのしもべヤコブよ、恐おそれることはない、イスラエルよ、驚おどろくことはない。見みよ、わたしがあなたを遠とおくから救すくい、あなたの子孫しそんをその捕とらえ移うつされた地ちから救すくうからだ。ヤコブは帰かえってきて、おだやかに、安やすらかになり、彼かれを恐おそれさせる者ものはない。
46:28 主しゅは言いわれる、わたしのしもべヤコブよ、恐おそれることはない、わたしが共ともにいるからだ。わたしはあなたを追おいやった国々くにぐにをことごとく滅ほろぼし尽つくす。しかしあなたを滅ほろぼし尽つくすことはしない。わたしは正ただしい道みちに従したがって、あなたを懲こらしめる、決けっして罰ばっしないではおかない」。
第47章 47:1 パロがまだガザを撃うたなかったころ、ペリシテびとの事ことについて預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ主しゅの言葉ことば。 47:2 「主しゅはこう言いわれる、見みよ、水みずは北きたから起おこり、あふれ流ながれて、この地ちと、そこにあるすべての物もの、その町まちと、その中なかに住すむ者ものとにあふれかかる。その時とき、人々ひとびとは叫さけび、この地ちに住すむ者ものはみな嘆なげく。47:3 そのたくましい馬うまのひずめの踏ふみ鳴ならす音おとのため、その戦車せんしゃの響ひびきのため、その車輪しゃりんのとどろきのために、父ちちはその手てが弱よわくなって、自分じぶんの子こをも顧かえりみない。47:4 これは、ペリシテびとを滅ほろぼし尽つくし、ツロとシドンに残のこって助たすけをなす者ものをことごとく絶たやす日ひが来くるからである。主しゅはカフトルの海岸かいがんに残のこっているペリシテびとを滅ほろぼされる。47:5 ガザには髪かみをそることが始はじまっている。アシケロンは滅ほろびた。アナクびとの残のこりの民たみよ、いつまで自分じぶんの身みに傷きずつけるのか。47:6 主しゅのつるぎよ、おまえはいつになれば静しずかになるのか。おまえのさやに帰かえり、休やすんで静しずかにしておれ。47:7 主しゅがこれに命いのちを下くだされたのだ、どうして静しずかにしておれようか。アシケロンと海岸かいがんの地ちを攻せめることを定さだめられたのだ」。 第48章 48:1 モアブの事ことについて、万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、 「ああ、ネボはわざわいだ、これは滅ほろぼされた。キリヤタイムははずかしめられて取とられ、とりでは、はずかしめられてこわされた。48:2 モアブの誉ほまれは、消きえ去さった。ヘシボンで人々ひとびとはモアブの害がいを図はかり、『さあ、この国くにを断たち滅ほろぼそう』という。マデメンよ、おまえもまた滅ほろぼされる、つるぎがおまえを追おう。 48:3 ホロナイムから叫さけび声ごえが聞きこえる、『荒廃こうはいと大おおいなる滅亡めつぼうだ』という。48:4 モアブは滅ほろぼされ、叫さけびはゾアルにまで聞きこえる。48:5 彼かれらは泣なきながらルヒテの坂さかを登のぼる。彼かれらはホロナイムの下くだり坂ざかで、『滅亡めつぼう』の叫さけびを聞きいたからだ。48:6 逃にげて、自分じぶんの身みを救すくえ、荒野あらのの野のろばのようになれ。48:7 おまえが、とりでと財宝ざいほうとを頼たのみにしたので、おまえも捕とらえられるからだ。またケモシは、その祭司さいしとつかさたちと共ともに、捕とらえられて行いく。48:8 滅ほろぼす者ものはすべての町まちに来くる、一つの町まちものがれることができない。谷たには滅ほろび、平地へいちは荒あらされる、主しゅの言いわれたとおりである。48:9 モアブに翼つばさを与あたえて、飛とび去さらせよ。その町々まちまちは荒あれて、住すむ者ものはなくなる。48:10 主しゅのわざを行おこなうことを怠おこたる者ものはのろわれる。またそのつるぎを押おさえて血ちを流ながさない者ものはのろわれる。48:11 モアブはその幼おさない時ときから安やすらかで、酒さけが、沈しずんだおりの上うえにとどまって、器うつわから器うつわに、くみ移うつされなかったように、捕とらえ移うつされなかったので、その味あじはなお存そんし、その香気こうきも変かわることがない。48:12 主しゅは言いわれる、それゆえ見みよ、わたしがこれを傾かたむける者ものどもをつかわす日ひが来くる。彼かれらはこれを傾かたむけ、その器うつわをあけ、そのかめを砕くだく。48:13 その時ときモアブはケモシのために恥はじをかく。ちょうどイスラエルの家いえがその頼たのみとしたベテルのために恥はじをかいたようになる。48:14 あなたがたはどうして『われわれは勇士ゆうしだ。強つよい戦士せんしだ』というのか。48:15 モアブとその町々まちまちを滅ほろぼす者ものは上のぼって来き、モアブのえり抜ぬきの若者わかものたちは下くだって殺ころされたと万軍ばんぐんの主しゅと名なのる王おうが言いわれる。48:16 モアブの災難さいなんは近ちかづいている、その苦難くなんはすみやかに来くる。48:17 すべてその周囲しゅういにある者ものよ、またその名なを知しる者ものよ、彼かれのために嘆なげいて、『ああ、強つよき笏しゃく、麗うるわしきつえは、ついに折おれた』と言いえ。 48:18 デボンに住すむ者ものよ、ああなたの栄さかえを離はなれて下くだり、かわいた地ちに座ざせよ。モアブを滅ほろぼす者ものがあなたに攻せめのぼって来きて、あなたの城しろを滅ほろぼしたからだ。48:19 アロエルに住すむ者ものよ、道みちのかたわらに立たって見張みはりし、逃にげてくる男おとこ、のがれてくる女おんなに尋たずねて、『何なにが起おこったのか』と言いえ。48:20 モアブは敗やぶれて、恥はじをこうむっている。嘆なげき呼よばわれ。アルノン川かわのほとりで、モアブは滅ほろぼされたと告つげよ。48:21 さばきは高原こうげんの地ちに臨のぞみ、ホロン、ヤハズ、メパアテ、48:22 デボン、ネボ、ベテ・デブラタイム、48:23 キリヤタイム、ベテ・ガムル、ベテ・メオン、48:24 ケリオテ、ボズラなどモアブの地ちのすべての町まちの、遠とおいものにも近ちかいものにも、臨のぞんだ。48:25 モアブの角つのは砕くだけ、その腕うでは折おれたと主しゅは言いわれる。 48:26 モアブを酔よわせよ、彼かれが主しゅに敵てきして自みずから高たかぶったからである。モアブは自分じぶんの吐はいた物ものの中なかにころがって、笑わらい草ぐさとなる。48:27 イスラエルはあなたの笑わらい草ぐさではなかったか。あなたが、彼かれのことを語かたるごとに首くびを振ふったのは、彼かれが盗賊とうぞくの中なかにいたとでもいうのか。48:28 モアブに住すむ者ものよ、町まちを去さって岩いわの間あいだに住すめ。谷たにの入口いりぐちのかたわらに巣すを作つくる山やまばとのようにせよ。48:29 われわれはモアブの高慢こうまんな事ことを聞きいた、その高慢こうまんは、はなはだしい。すなわち、その尊大そんだい、高慢こうまん、横柄おうへい、およびその心こころの高たかぶりのことを聞きいた。48:30 主しゅは言いわれる、わたしは彼かれの横着おうちゃくなのを知しる、彼かれの自慢じまんは偽いつわりで、その行おこないも偽いつわりである。48:31 それゆえ、わたしはモアブのために嘆なげき、モアブの全ぜん地ちのために呼よばわる。キルヘレスの人々ひとびとのためにわたしは悲かなしむ。48:32 シブマのぶどうの木きよ、わたしはヤゼルのために泣なくのにまさっておまえのために泣なく。おまえのつるは延のびて海うみを越こえ、ヤゼルに及およんだ。おまえの夏なつの実みと、その収穫しゅうかくを滅ほろぼす者ものが襲おそってきた。48:33 喜よろこびと楽たのしみは、実みのり多おおいモアブの地ちを去さった。わたしは、ぶどうをしぼる所ところにも酒さけをなくした。楽たのしく呼よばわって、ぶどうを踏ふむ者ものもなくなった。呼よばわっても、喜よろこんで呼よばわる声こえではない。48:34 ヘシボンとエレアレは叫さけぶ。ヤハヅに至いたるまで、ゾアルからホロナイムとエグラテ・シリシヤに至いたるまで、彼かれらはその声こえをあげる。ニムリムの水みずも絶たえたからである。48:35 主しゅは言いわれる、わたしは犠牲ぎせいを高たかき所ところにささげ、香こうをその神かみにたく者ものをモアブのうちに滅ほろぼす。48:36 それゆえ、わたしの心こころはモアブのために笛ふえのように嘆なげき、わたしの心こころはキルヘレスの人々ひとびとのために笛ふえのように嘆なげく。彼かれらの獲えた富とみが消きえうせたからである。 48:37 人ひとはみな髪かみをそり、皆みなひげをそり、みな手てに傷きずをつけ、腰こしに荒布あらぬのを着つける。48:38 モアブではどこの屋根やねの上うえも、広場ひろばも、ただ悲かなしみに包つつまれている。これは、わたしが、だれもほしがらない器うつわのようにモアブを砕くだいたからであると主しゅは言いわれる。48:39 ああ、モアブはついに滅ほろびた。人々ひとびとは嘆なげく。ああ、モアブは恥はじて顔かおをそむけた。モアブはその周囲しゅういのすべての者ものの笑わらい草ぐさとなり恐おそれとなった」。 48:40 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、敵てきはわしのように速はやく飛とんできて、モアブに向むかって翼つばさをのべる。48:41 町々まちまちは取とられ、城しろは奪うばわれる。その日ひモアブの勇士ゆうしの心こころは子こを産うむ女おんなの心こころのようになる。48:42 モアブは滅ほろぼされて、国くにを成なさないようになる。主しゅに敵てきして自みずから誇ほこったからである。48:43 主しゅは言いわれる、モアブに住すむ者ものよ、恐おそれと、穴あなと、わなとがあなたに臨のぞんでいる。48:44 恐おそれをさけて逃にげる者ものは穴あなにおちいり、穴あなをよじ上のぼって出でる者ものは、わなに捕とらえられる。わたしがモアブに、その罰ばっせられる年としに、これらのものを臨のぞませるからであると主しゅは言いわれる。 48:45 逃にげた者ものはヘシボンの陰かげに、力ちからなく立たちどまる。ヘシボンから火ひが出で、シホンの家いえから炎ほのおが出でて、モアブの額ひたい、騒さわぐ人々ひとびとの頭あたまの頂いただきを焼やいたからだ。48:46 モアブよ、おまえはわざわいだ。ケモシの民たみは滅ほろびた。おまえのむすこらは捕とらえ移うつされ、おまえの娘むすめらも捕とらえ行ゆかれたからである。48:47 しかし末すえの日ひにわたしは再ふたたびモアブを栄さかえさせると主しゅは言いわれる」。ここまではモアブのさばきの事ことをいったのである。 第49章 49:1 アンモンびとについて、主しゅはこう言いわれる、「イスラエルには子こがないのか、世継よつぎがないのか。どうしてミルコムがガドを追おい出だして、その民たみがその町々まちまちに住すんでいるのか。49:2 主しゅは言いわれる、それゆえ、見みよ、アンモンびとのラバを攻せめる戦たたかいの叫さけびを、わたしが聞きこえさせる日ひが来くる。ラバは荒塚あれづかとなり、その村々むらむらは火ひで焼やかれる。そのときイスラエルは自分じぶんを追おい出だした者ものどもを追おい出だすと主しゅは言いわれる。 49:3 ヘシボンよ嘆なげけ、アイは滅ほろぼされた。ラバの娘むすめたちよ呼よばわれ。荒布あらぬのを身みにまとい、悲かなしんで、まがきのうちを走はしりまわれ。ミルコムとその祭司さいしおよびつかさが共ともに捕とらえ移うつされるからだ。49:4 不信ふしんの娘むすめよ、あなたはなぜ自分じぶんの谷たにの事ことを誇ほこるのか。あなたは自分じぶんの富とみに寄より頼たよんで、『だれがわたしに攻せめてくるものか』と言いう。49:5 主しゅなる万軍ばんぐんの神かみは言いわれる、見みよ、わたしはあなたの上うえに恐おそれを臨のぞませる、それはあなたの周囲しゅういの者ものから来くる。あなたは追おわれて、おのおの直ただちに他人たにんに続つづき、逃にげる者ものを集あつめる人ひともない。49:6 しかし、のちになって、わたしはアンモンびとを再ふたたび栄さかえさせると、主しゅは言いわれる」。49:7 エドムの事ことについて、万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「テマンには、もはや知恵ちえがないのか。さとい者ものには計はかりごとがなくなったのか。その知恵ちえは消きえうせたのか。49:8 デダンに住すむ者ものよ、逃にげよ、のがれよ、深ふかい所ところに隠かくれよ。わたしがエサウの災難さいなんを彼かれの上うえに臨のぞませ、彼かれを罰ばっする時ときをこさせるからだ。49:9 ぶどうを集あつめる者ものがあなたの所ところに来きたならば、すこしの実みをも残のこさないであろうか。夜よる、盗ぬすびとが来きたならば、自分じぶんたちの満足まんぞくするだけ滅ほろぼさないであろうか。49:10 しかしわたしはエサウを裸はだかにし、その隠かくれる所ところを現あらわしたので、彼かれはその身みを隠かくすことができない。その子こどもたちも、兄弟きょうだいも、隣となり人びとも滅ほろぼされる。そして彼かれは、いなくなる。49:11 あなたのみなしごを残のこせ、わたしがそれを生いきながらえさせる。あなたのやもめには、わたしに寄より頼たのませよ」。49:12 主しゅはこう言いわれる、「もし、杯さかずきを飲のむべきでない者ものもそれを飲のまなければならなかったとすれば、あなたは罰ばつを免まぬかれることができようか。あなたは罰ばつを免まぬかれない。それを飲のまなければならない。49:13 主しゅは言いわれる、わたしは自分じぶんをさして誓ちかった、ボズラは驚おどろきとなり、ののしりとなり、荒あれ地ちとなり、のろいとなる。その町々まちまちは長ながく荒あれ地ちとなる」。 49:14 わたしは主しゅからのおとずれを聞きいた。ひとりの使者ししゃがつかわされて万国ばんこくに行いき、そして言いった、「あなたがたは集あつまり、行いって彼かれを攻せめ、立たって戦たたかえ。49:15 見みよ、わたしはあなたを万国ばんこくのうちに小ちいさい者ものとし、人々ひとびとのうちに卑いやしめられる者ものとする。49:16 岩いわの割われ目めに住すみ、山やまの高たかみを占しめる者ものよ、あなたの恐おそろしい事ことと、あなたの心こころの高たかぶりが、あなたを欺あざむいた。あなたは、わたしのように巣すを高たかい所ところに作つくっているが、わたしはその所ところからあなたを取とりおろすと主しゅは言いわれる。49:17 エドムは恐おそれとなる。そのかたわらを通とおり過すぎる者ものはみな恐おそれ、その災わざわいのために、舌打したうちする。49:18 主しゅは言いわれる、ソドムとゴモラとその隣となりの町々まちまちがくつがえされた時ときのように、そこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひともなくなる。49:19 見みよ、ししがヨルダンの密林みつりんから上のぼってきて、じょうぶな羊ひつじのおりを襲おそうように、わたしは、たちまち彼かれらをそこから逃にげ走はしらせ、わたしの選えらぶ者ものをその上うえに立たてる。だれかわたしのような者ものがあるであろうか。だれがわたしを呼よびつけることができようか。どの牧者ぼくしゃがわたしの前まえに立たつことができようか。49:20 それゆえ、エドムに対たいして主しゅが立たてた計はかりごとと、テマンに住すむ者ものに対たいしてしようとする事ことを聞きくがよい。彼かれらの群むれのうちの小ちいさいものまでも皆みな、引ひかれて行いく。彼かれらのおりのものもその終おわりを見みて恐おそれる。49:21 その倒たおれる音おとを聞きいて、地ちは震ふるい、彼かれらの叫さけび声ごえは紅海こうかいにも聞きこえる。49:22 見みよ、敵てきはわしのように上のぼり、すみやかに飛とびかけり、その翼つばさをボズラの上うえに張はり広ひろげる。その日ひエドムの勇士ゆうしの心こころは子こを産うむ女おんなの心こころのようになる」。 49:23 ダマスコの事ことについて、「ハマテとアルパデは、うろたえている、彼かれらは悪わるいおとずれを聞きいたからだ。彼かれらは勇気ゆうきを失うしない、穏おだやかになることのできない海うみのように悩なやむ。49:24 ダマスコは弱よわり、身みをめぐらして逃にげた、恐怖きょうふに襲おそわれている。子こを産うむ女おんなに臨のぞむように痛いたみと悲かなしみと彼かれに臨のぞむ。49:25 ああ、名なある町まち、楽たのしい町まちは捨すてられる。49:26 それゆえ、その日ひに、若わかい者ものは、広場ひろばに倒たおれ、兵士へいしはことごとく滅ほろぼされると万軍ばんぐんの主しゅは言いわれる。49:27 わたしはダマスコの城壁じょうへきの上うえに火ひを燃もやし、ベネハダデの宮殿きゅうでんを焼やき尽つくす」。49:28 バビロンの王おうネブカデレザルが攻せめ撃うったケダルとハゾルの諸国しょこくの事ことについて、 主しゅはこう言いわれる、「立たって、ケダルに向むかって進すすみ、東ひがしの人々ひとびとを滅ほろぼせ。49:29 彼かれらの天幕てんまくと、その羊ひつじの群むれとは取とられ、その垂幕たれまくとそのもろもろの器うつわと、らくだとは彼かれらの所ところから運はこび去さられ、人々ひとびとは彼かれらに向むかって叫さけぶ、『恐おそろしいことが四方しほうにある』と。49:30 主しゅは言いわれる、ハゾルに住すむ者ものよ、逃にげよ、遠とおくさまよい行いき、深ふかい所ところに隠かくれよ。バビロンの王おうネブカデレザルがあなたがたを攻せめる計はかりごとをめぐらし、あなたがたを攻せめる、てだてを設もうけたからだ。 49:31 主しゅは言いわれる、立たって進すすみ、安全あんぜんな所ところに住すむきらくな民たみを攻せめよ、彼かれらは門もんもなく、貫かんの木きもなく、ひとり離はなれて住すむ。49:32 彼かれらのらくだは、ぶんどり物ものとなり、家畜かちくの群むれは奪うばわれる。わたしは、かの髪かみの毛けのすみずみを切きる者ものを四方しほうに散ちらし、その災難さいなんを八方はっぽうからこさせると主しゅは言いわれる。49:33 ハゾルは山犬やまいぬのすまいとなり、いつまでも荒あれ地ちとなっている。だれもそこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひともない」。49:34 ユダの王おうゼデキヤの治世ちせいの初はじめのころに、エラムの事ことについて預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ主しゅの言葉ことば。 49:35 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしはエラムが力ちからとして頼たよんでいる弓ゆみを折おる。49:36 わたしは天てんの四方しほうから、四方しほうの風かぜをエラムにこさせ、彼かれらを四方しほうの風かぜに散ちらす。エラムから追おい出だされる者ものの行いかない国くにはない。49:37 主しゅは言いわれる、わたしはエラムをしてその敵てきの前まえ、またその命いのちを求もとめる者ものの前まえに恐おそれさせる。わたしは災わざわいをくだし、激はげしい怒いかりをその上うえにくだす。彼かれらのうしろに、つるぎを送おくって滅ほろぼし尽つくす。49:38 そしてわたしの位くらいをエラムにすえ、王おうとつかさたちとを滅ほろぼすと主しゅは言いわれる。 49:39 しかし末すえの日ひに、わたしはエラムを再ふたたび栄さかえさせると、主しゅは言いわれる」。 第50章 50:1 主しゅが預言者よげんしゃエレミヤによって語かたられたバビロンとカルデヤびとの地ちの事ことについての言葉ことば。 50:2 「国々くにぐにのうちに告つげ、また触ふれ示しめせよ、旗はたを立たてて、隠かくすことなく触ふれ示しめして言いえ、『バビロンは取とられ、ベルははずかしめられ、メロダクは砕くだかれ、その像ぞうははずかしめられ、その偶像ぐうぞうは砕くだかれる』と。50:3 それは、北きたの方ほうから一つの国民こくみんがきて、これを攻せめ、その地ちを荒あらして、住すむ人ひともないようにするからである。人ひとも獣けものもみな逃にげ去さってしまう。 50:4 主しゅは言いわれる、その日ひその時とき、イスラエルの民たみとユダの民たみは共ともに帰かえってくる。彼かれらは嘆なげきながら帰かえってくる。そしてその神かみ、主しゅを求もとめる。50:5 彼かれらは顔かおをシオンに向むけて、その道みちを問とい、『さあ、われわれは、永遠えいえんに忘わすれられることのない契約けいやくを結むすんで主しゅに連つらなろう』と言いう。 50:6 わたしの民たみは迷まよえる羊ひつじの群むれである、その牧者ぼくしゃがこれをいざなって、山やまに踏ふみ迷まよわせたので、山やまから丘おかへと行いきめぐり、その休やすむ所ところを忘わすれた。50:7 これに会あう者ものはみなこれを食たべた。その敵てきは言いった、『われわれに罪つみはない。彼かれらがそのまことのすみかである主しゅ、先祖せんぞたちの希望きぼうであった主しゅに対たいして罪つみを犯おかしたのだ』と。 50:8 バビロンのうちから逃にげよ。カルデヤびとの地ちから出でよ。群むれの前まえに行いく雄おやぎのようにせよ。50:9 見みよ、わたしは大おおきい国々くにぐにを起おこし集あつめて、北きたの地ちからバビロンに攻せめこさせる。彼かれらはこれに向むかって勢せいぞろいをし、これをその所ところから取とる。彼かれらの矢やはむなしく帰かえらない老練ろうれんな勇士ゆうしのようである。50:10 カルデヤは人ひとにかすめられる。これをかすめる者ものはみな飽あくことができると、主しゅは言いわれる。 50:11 わたしの嗣し業ぎょうをかすめる者ものどもよ、あなたがたは喜よろこび楽たのしみ、雌めすの子こ牛うしのように草くさに戯たわむれ、雄お馬うまのように、いなないているが、50:12 あなたがたの母はははいたくはずかしめられ、あなたがたを産うんだ者ものは恥はじをこうむる。見みよ、彼女かのじょは国々くにぐにのうちの最もっともあとなるものとなり、かわいた砂原すなはらの荒野あらのとなる。50:13 主しゅの怒いかりによって、ここに住すむ者ものはなく、完全かんぜんに荒あれ地ちとなる。バビロンのかたわらを通とおる者ものは、みなその傷きずを見みて驚おどろき、かつあざ笑わらう。50:14 あなたがたすべて弓ゆみを張はる者ものよ、バビロンの周囲しゅういに勢せいぞろいして、これを攻せめ、矢やを惜おしまずに、これを射いよ、彼女かのじょが主しゅに罪つみを犯おかしたからだ。50:15 その周囲しゅういに叫さけび声ごえをあげよ、彼女かのじょは降伏こうふくした。そのとりでは倒たおれ、その城壁じょうへきはくずれた、主しゅがあだをかえされたからだ。彼女かのじょに報復ほうふくせよ、彼女かのじょがおこなったように、これに行おこなえ。50:16 種たねまく者ものと、刈入かりいれどきに、かまを取とる者ものをバビロンに絶たやせ。滅ほろぼす者もののつるぎを恐おそれて、人ひとはおのおの自分じぶんの民たみの所ところに帰かえり、そのふるさとに逃にげて行いく。50:17 イスラエルは、ししに追おわれて散ちった羊ひつじである。初はじめにアッスリヤの王おうがこれを食くい、そして今いまはついにバビロンの王おうネブカデレザルがその骨ほねをかじった。50:18 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみは、こう言いわれる、見みよ、わたしはアッスリヤの王おうを罰ばっしたように、バビロンの王おうとその国くにに罰ばつを下くだす。50:19 わたしはイスラエルを再ふたたびその牧場まきばに帰かえらせる。彼かれはカルメルとバシャンで草くさを食たべる。またエフライムの山やまとギレアデでその望のぞみが満みたされる。50:20 主しゅは言いわれる、その日ひその時ときには、イスラエルのとがを探さがしても見当みあたらず、ユダの罪つみを探さがしてもない。それはわたしが残のこしておく人々ひとびとを、ゆるすからである。50:21 主しゅは言いわれる、上のぼって行いって、メラタイムの地ちを攻せめ、ペコデの民たみを攻せめ、彼かれらを殺ころして全まったく滅ほろぼし、わたしがあなたがたに命めいじたことを皆みな、行おこないなさい。50:22 その地ちに、いくさの叫さけびと、大おおいなる滅ほろびがある。50:23 ああ、全ぜん地ちを砕くだいた鎚つちはついに折おれ砕くだける。ああ、バビロンはついに国々くにぐにのうちの恐おそるべき見みものとなる。50:24 バビロンよ、わたしは、おまえを捕とらえるためにわなをかけたが、おまえはそれにかかった。そしておまえはそれを知しらなかった。おまえは主しゅに敵てきしたので、尋たずね出だされ、捕とらえられた。50:25 主しゅは武器ぶきの倉くらを開ひらいてその怒いかりの武器ぶきを取とり出だされた。主しゅなる万軍ばんぐんの神かみが、カルデヤびとの地ちに事ことを行おこなわれるからである。50:26 あらゆる方面ほうめんからきて、これを攻せめ、その穀倉こくぐらを開ひらき、これを穀物こくもつの山やまのように積つみ上あげ、完全かんぜんに滅ほろぼし尽つくし、そこに残のこる者もののないようにせよ。50:27 その雄牛おうしをことごとく殺ころせ、それを、ほふり場ばに下くだらせよ。それらのものはわざわいだ、その日ひ、その罰ばつを受うける時ときがきたからだ。50:28 聞きけよ、バビロンの地ちから逃にげ、のがれてきた者ものの声こえがする。われわれの神かみ、主しゅの報復ほうふく、その宮みやの報復ほうふくの事ことをシオンに告つげ示しめす。 50:29 弓ゆみを張はる射手いてをことごとく呼よび集あつめて、バビロンを攻せめよ。その周囲しゅういに陣じんを敷しけ。ひとりも逃がにがすな。そのしわざにしたがってバビロンに報むくい、これがおこなった所ところにしたがってこれに行おこなえ。彼かれがイスラエルの聖者せいじゃである主しゅに向むかって高慢こうまんにふるまったからだ。50:30 それゆえ、その日ひ、若わかい者ものは、広場ひろばに倒たおれ、兵士へいしはみな絶たやされると主しゅは言いわれる。 50:31 主しゅなる万軍ばんぐんの神かみは言いわれる、高たかぶる者ものよ、見みよ、わたしはおまえの敵てきとなる、あなたの日ひ、わたしがおまえを罰ばっする時ときが来きた。50:32 高たかぶる者ものはつまずき倒たおれる、これを助たすけ起おこすものはない。わたしはその町々まちまちに火ひを燃もやして、その周囲しゅういの者ものをことごとく焼やき尽つくす。50:33 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、イスラエルの民たみとユダの民たみは共ともにしえたげられている。彼かれらをとりこにした者ものはみな彼かれらを固かたく守まもって釈放しゃくほうすることを拒こばむ。50:34 彼かれらをあがなう者ものは強つよく、その名なは万軍ばんぐんの主しゅといわれる。彼かれは必かならず彼かれらの訴うったえをただし、この地ちに安やすきを与あたえるが、バビロンに住すむ者ものには不安ふあんを与あたえられる。 50:35 主しゅは言いわれる、カルデヤびとの上うえとバビロンに住すむ者ものの上うえ、そのつかさたち、その知者ちしゃたちの上うえにつるぎが臨のぞむ。50:36 占うらない師しの上うえにつるぎが臨のぞみ、彼かれらは愚おろか者ものとなる。その勇士ゆうしの上うえにつるぎが臨のぞみ、彼かれらは滅ほろぼされる。50:37 その馬うまの上うえと、その車くるまの上うえにつるぎが臨のぞみ、またそのうちにあるすべての雇やとい兵へいの上うえに臨のぞみ、彼かれらは女おんなのようになる。その財宝ざいほうの上うえにつるぎが臨のぞみ、それはかすめられる。50:38 その水みずの上うえに、ひでりが来きて、それはかわく。それは、この地ちが偶像ぐうぞうの地ちであって、人々ひとびとが偶像ぐうぞうに心こころが狂くるっているからだ。50:39 それゆえ、野のの獣けものと山犬やまいぬとは共ともにバビロンにおり、だちょうもそこに住すむ。しかし、いつまでもその地ちに住すむ人ひとはなく、世々よよここに住すむ人ひとはない。50:40 主しゅは言いわれる、神かみがソドムとゴモラと、その隣となりの町々まちまちを滅ほろぼされたように、そこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひとの子こはない。 50:41 見みよ、一つの民たみが北きたの方ほうから来くる。大おおいなる国くにと多おおくの王おうが地ちの果はてから立たち上あがっている。50:42 彼かれらは弓ゆみと、やりを取とる。残忍ざんにんで、あわれみがなく、その響ひびきは海うみの鳴なりとどろくようである。バビロンの娘むすめよ、彼かれらは馬うまに乗のり、いくさびとのように身みをよろって、あなたを攻せめる。50:43 バビロンの王おうはそのうわさを聞きいて、その手ては弱よわり、子こを産うむ女おんなに臨のぞむような痛いたみと苦くるしみに迫せまられた。50:44 見みよ、ししがヨルダンの密林みつりんから上のぼってきて、じょうぶな羊ひつじのおりを襲おそうように、わたしは、たちまち彼かれらをそこから逃にげ去さらせる。そしてわたしの選えらぶ者ものをその上うえに立たてる。だれかわたしのような者ものがあるであろうか。だれがわたしを呼よびつけることができようか。どの牧者ぼくしゃがわたしの前まえに立たつことができようか。50:45 それゆえ、バビロンに対たいして主しゅが立たてた計はかりごとと、カルデヤびとの地ちに対たいしてしようとする事ことを聞きくがよい。彼かれらの群むれのうちの小ちいさい者ものは、かならず引ひかれて行いく。彼かれらのおりのものも必かならずその終おわりを見みて恐おそれる。50:46 バビロンが取とられたとの声こえによって地ちは震ふるい、その叫さけびは国々くにぐにのうちに聞きこえる」。 第51章 51:1 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは、滅ほろぼす者ものの心こころを奮ふるい起おこして、バビロンを攻せめ、カルデヤに住すむ者ものを攻せめさせる。51:2 わたしはバビロンに、あおぎ分わける者ものをつかわす。彼かれらは、その災わざわいの日ひに、四方しほうからこれを攻せめ、それをあおぎ分わけて、その地ちをむなしくする。51:3 射手いてにはその弓ゆみを張はらせることなく、よろいを着きて立たち上あがらせるな。その若わかき者ものをあわれむことなく、その軍勢ぐんぜいをことごとく滅ほろぼせ。51:4 彼かれらはカルデヤびとの地ちに殺ころされて倒たおれ、そのちまたに傷きずついて倒たおれる。51:5 イスラエルとユダはその神かみ、万軍ばんぐんの主しゅに捨すてられてはいないが、しかしカルデヤびとの地ちにはイスラエルの聖者せいじゃに向むかって犯おかした罪つみが満みちている。 51:6 バビロンのうちからのがれ出でて、おのおのその命いのちを救すくえ。その罰ばつにまきこまれて断たち滅ほろぼされてはならない。今いまは主しゅがあだを返かえされる時ときだから、それに報復ほうふくをされるのである。51:7 バビロンは主しゅの手てのうちにある金きんの杯さかずきであって、すべての地ちを酔よわせた。国々くにぐにはその酒さけを飲のんだので、国々くにぐには狂くるった。51:8 バビロンはたちまち倒たおれて破やぶれた。これがために嘆なげけ。その傷きずのために乳香にゅうこうを取とれ。あるいは、いえるかも知しれない。51:9 われわれはバビロンをいやそうとしたが、これはいえなかった。われわれはこれを捨すてて、おのおの自分じぶんの国くにに帰かえろう。その罰ばつが天てんに達たっし、雲くもにまで及およんでいるからだ。51:10 主しゅはわれわれの正ただしいことを明あきらかにされた。さあ、われわれはシオンで、われわれの神かみ、主しゅのみわざを告つげ示しめそう。51:11 矢やをとぎ、 盾たてを取とれ。主しゅはメデアびとの王おうたちの心こころを引ひき立たてられる。主しゅのバビロンに思おもい図はかることは、これを滅ほろぼすことであり、主しゅがあだを返かえし、その宮みやのあだを返かえされるのである。 51:12 バビロンの城壁じょうへきに向むかって旗はたを立たて、見張みはりを強固きょうこにし、番兵ばんぺいを置おき、伏兵ふくへいを備そなえよ。主しゅがバビロンに住すむ者ものを攻せめようと図はかり、その言いわれたことを、いま行おこなわれるからだ。51:13 多おおくの水みずのほとりに住すみ、多おおくの財宝ざいほうを持もつ者ものよ、あなたの終おわりが来きて、その命いのちの糸いとは断たたれる。51:14 万軍ばんぐんの主しゅはみずからをさして誓ちかい、言いわれる、わたしは必かならずあなたのうちに、人ひとをいなごのように満みたす。彼かれらはあなたに向むかって、かちどきの声こえをあげる。 51:15 主しゅはその力ちからをもって地ちを造つくり、その知恵ちえをもって世界せかいを建たて、その悟さとりをもって天てんをのべられた。51:16 彼かれが声こえを出だされると、天てんに多おおくの水みずのざわめきがあり、また地ちの果はてから霧きりを立たちあがらせられる。彼かれは雨あめのためにいなびかりをおこし、その倉くらから風かぜを取とり出だされる。51:17 すべての人ひとは愚おろかで知恵ちえがなく、すべての金きん細工人ざいくにんはその造つくった偶像ぐうぞうのために恥はじをこうむる。その偶像ぐうぞうは偽いつわり物もので、そのうちに息いきがないからだ。51:18 それらは、むなしいもの、迷まよいのわざである。罰ばっせられる時ときになれば滅ほろびるものである。51:19 ヤコブの分ぶんである彼かれはこのようなものではない、彼かれは万物ばんぶつの造つくり主ぬしだからである。イスラエルは彼かれの嗣し業ぎょうとしての部族ぶぞくである。彼かれの名なは万軍ばんぐんの主しゅという。 51:20 おまえはわたしの鎚つちであり、戦たたかいの武器ぶきである。わたしはおまえをもってすべての国くにを砕くだき、おまえをもって万国ばんこくを滅ほろぼす。51:21 おまえをもってわたしは馬うまと、その騎手きしゅとを砕くだき、おまえをもって戦車せんしゃとそれに乗のる者ものとを砕くだく。51:22 わたしはおまえをもって男おとこと女おんなとを砕くだき、おまえをもって老おいた者ものと幼おさない者ものとを砕くだき、おまえをもって若わかい者ものと、おとめとを砕くだく。51:23 わたしはおまえをもって、羊飼ひつじかいと、その群むれとを砕くだき、おまえをもって農夫のうふと、くびきを負おう家畜かちくとを砕くだき、おまえをもっておさたちと、つかさたちとを砕くだく。51:24 わたしはバビロンとカルデヤに住すむすべての者ものとに、彼かれらがシオンで行いったもろもろの悪あしき事ことのために、あなたがたの目めの前まえで報むくいをすると、主しゅは言いわれる。 51:25 主しゅは言いわれる、全ぜん地ちを滅ほろぼし尽つくす滅ほろぼしの山やまよ、見みよ、わたしはおまえの敵てきとなる、わたしは手てをおまえの上うえに伸のべて、おまえを岩いわからころばし、おまえを焼やけ山やまにする。51:26 主しゅは言いわれる、人ひとがおまえから石いしを取とって、隅すみの石いしとすることなく、また礎いしずえとすることもない。おまえはいつまでも荒あれ地ちとなっている。51:27 地ちに旗はたを立たて、国々くにぐにのうちにラッパを吹ふき、国々くにぐにの民たみを集あつめてそれを攻せめ、アララテ、ミンニ、アシケナズの国々くにぐにをまねいてそれを攻せめ、軍ぐんの長ちょうを立たててそれを攻せめ、群むらがるいなごのように馬うまを上のぼり行いかせよ。51:28 国々くにぐにの民たみを集あつめてそれを攻せめ、メデアびとの王おうたちと、そのおさたち、つかさたち、およびすべての領地りょうちの人々ひとびとを集あつめてこれを攻せめよ。51:29 その地ちは震ふるい、かつもだえ苦くるしむ、主しゅがその思おもい図はかることをバビロンにおこない、バビロンの地ちを、住すむ人ひとなき荒あれ地ちとされるからだ。51:30 バビロンの勇士ゆうしたちは戦たたかいをやめて、その城しろにこもり、力ちからはうせて、女おんなのようになる。その家いえは焼やけ、その貫かんの木きは砕くだかれる。51:31 飛脚ひきゃくは走はしって飛脚ひきゃくに会あい、使者ししゃは走はしって使者ししゃに会あい、バビロンの王おうに告つげて、町まちはことごとく取とられ、51:32 渡わたし場ばは奪うばわれ、とりでは火ひで焼やかれ、兵士へいしはおびえていると言いう。51:33 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、バビロンの娘むすめは、打うち場ばのようだ、その踏ふまれる時ときが来きたのだ。しばらくしてその刈かり取とられる時ときが来くる」。 51:34 「バビロンの王おうネブカデレザルはわたしを食くい尽つくし、わたしを滅ほろぼし、わたしを、からの器うつわのようにし、龍りゅうのようにわたしを飲のみ、わたしのうまい物ものでその腹はらを満みたし、わたしを洗あらいざらいにした。51:35 わたしとわたしの肉親にくしんにおこなった暴虐ぼうぎゃくは、バビロンにふりかかる」とシオンに住すむ者ものは言いわなければならない。「わたしの血ちはカルデヤに住すむ者ものにふりかかる」とエルサレムは言いわなければならない。51:36 それゆえ主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしはあなたの訴うったえをただし、あなたのためにあだを返かえす。わたしはバビロンの海うみをかわかし、その泉いずみをかわかす。51:37 バビロンは荒塚あれづかとなり、山犬やまいぬのすまいとなり、驚おどろきとなり、笑わらいとなり、住すむ人ひとのない所ところとなる。51:38 彼かれらはししのように共ともにほえ、若わかいししのようにほえる。51:39 彼かれらの欲よくの燃もえている時とき、わたしは宴うたげを設もうけて彼かれらを酔よわせ、彼かれらがついに気きを失うしなって、ながい眠ねむりにいり、もはや目めをさますことのないようにしようと主しゅは言いわれる。51:40 わたしは彼かれらを小羊こひつじのように、また雄羊おひつじや雄おやぎのように、ほふり場ばに下くだらせよう。 51:41 ああ、バビロンはついに取とられた、全ぜん地ちの人ひとの、ほめたたえた者ものは捕とらえられた。ああ、バビロンはついに国々くにぐにのうちに驚おどろきとなった。51:42 海うみはバビロンにあふれかかり、どよめく波なみにおおわれた。51:43 その町々まちまちは荒あれて、かわいた地ちとなり、砂原すなはらとなり、住すむ人ひとのない地ちとなる。人ひとの子こはひとりとしてそこを過すぎることはない。51:44 わたしはバビロンでベルを罰ばっし、そののみこんだものを口くちから取とり出だす。国々くにぐにが川かわのように彼かれに流ながれ入いることはなくなる。バビロンの城壁じょうへきは倒たおれた。51:45 わが民たみよ、あなたがたはその中なかから出でて、おのおの主しゅの激はげしい怒いかりを免まぬかれ、その命いのちを救すくえ。51:46 心こころを弱よわくしてはならない、この地ちで聞きくうわさを恐おそれてはならない。うわさはこの年としにもくれば、また次つぎの年としにもくる。この地ちに暴虐ぼうぎゃくがあり、つかさとつかさとが攻せめあうことがある。51:47 それゆえ見みよ、わたしがバビロンの偶像ぐうぞうを罰ばっする日ひが来くる。その全ぜん地ちははずかしめられ、その殺ころされる者ものはみなその中なかに倒たおれる。51:48 天てんと地ちとそのうちにあるすべてのものはバビロンの事ことで喜よろこび歌うたう。滅ほろぼす者ものが北きたの方ほうからここに来くるからであると主しゅは言いわれる。51:49 イスラエルの殺ころされた者ものたちのために、バビロンは倒たおれなければならない、バビロンのために全ぜん地ちの殺ころされた者ものは倒たおれたのだ。 51:50 つるぎをのがれてきたあなたがたは、行いけ、立たちとどまってはならない。遠とおくから主しゅを覚おぼえ、エルサレムを心こころにとめよ。51:51 『われわれはののしりを聞きいたので、恥はじている。異邦人いほうじんが主しゅの宮みやの聖所せいじょにはいったので、恥はじがわれわれの顔かおをおおった』。 51:52 主しゅは言いわれる、それゆえ見みよ、わたしがその偶像ぐうぞうを罰ばっする日ひが来くる、傷きずつけられた者ものが、その全国ぜんこくにうめくようになる。51:53 たといバビロンが天てんに上のぼっても、その城しろを高たかくして固かためても、滅ほろぼす者ものはわたしから出でて、これに臨のぞむと主しゅは言いわれる。 51:54 聞きけ、バビロンの叫さけびを、カルデヤびとの地ちに起おこる大おおいなる滅ほろびの騒さわぎ声こえを。51:55 主しゅがバビロンを滅ほろぼし、その大おおいなる声こえを絶たやされるのだ。その波なみは大水おおみずのように鳴なりとどろき、その声こえはひびき渡わたる。51:56 滅ほろぼす者ものがこれに臨のぞみ、バビロンに来きた。その勇士ゆうしたちは捕とらえられ、その弓ゆみは折おられる。主しゅは報むくいをする神かみであるから必かならず報むくいられるのだ。51:57 わたしはその君きみたちと知者ちしゃたち、おさたち、つかさたち、および勇士ゆうしたちを酔よわせる。彼かれらは、ながい ねむりにいり、目めをさますことはない。万軍ばんぐんの主しゅと呼よばれる王おうがこれを言いわせる。51:58 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、バビロンの広ひろい城壁じょうへきは地ちにくずされ、その高たかい門もんは火ひに焼やかれる。こうして民たみの労苦ろうくはむなしくなり、国民こくみんはただ火ひのために疲つかれる」。51:59 マアセヤの子こであるネリヤの子こセラヤが、ユダの王おうゼデキヤと共ともに、その治世ちせいの四年ねんにバビロンへ行いくとき、預言者よげんしゃエレミヤがセラヤに命めいじた言葉ことば。セラヤは宿営しゅくえいの長ちょうであった。51:60 エレミヤはバビロンに臨のぞもうとするすべての災わざわいを巻物まきものにしるした。これはすなわちバビロンの事ことについてしるしたすべての言葉ことばである。51:61 エレミヤはセラヤに言いった、「あなたはバビロンへ行いったならば、忘わすれることなくこのすべての言葉ことばを読よみ、51:62 そして言いいなさい、『主しゅよ、あなたはこの所ところを滅ほろぼし、人ひとと獣けものとを問とわず、すべてここに住すむ者もののないようにし、永久えいきゅうにここを荒あれ地ちとしようと、この所ところについて語かたられました』と。51:63 あなたがこの巻物まきものを読よみ終おわったならば、これに石いしをむすびつけてユフラテ川かわの中なかに投なげこみ、51:64 そして言いいなさい、『バビロンはこのように沈しずんで、二度どと上あがってこない。わたしがこれに災わざわいを下くだすからである』と」。ここまではエレミヤの言葉ことばである。 第52章 52:1 ゼデキヤは王おうとなったとき二十一歳さいであったが、エルサレムで十一年ねん世よを治おさめた。母ははの名なはハムタルといい、リブナのエレミヤの娘むすめである。52:2 ゼデキヤはエホヤキムがすべて行いったように、主しゅの目めの前まえに悪事あくじを行おこなった。52:3 たしかに、主しゅの怒いかりによって、エルサレムとユダとは、そのみ前まえから捨すて去さられるようなことになった。 そしてゼデキヤはバビロンの王おうにそむいた。52:4 そこで彼かれの治世ちせいの九年ねん十月がつ十日かに、バビロンの王おうネブカデレザルはその軍勢ぐんぜいを率ひきい、エルサレムにきて、これを包囲ほういし、周囲しゅういに塁るいを築きずいてこれを攻せめた。52:5 こうしてこの町まちは攻せめ囲かこまれて、ゼデキヤ王おうの十一年ねんにまで及およんだが、52:6 その四月がつ九日かになって、町まちの中なかの食糧しょくりょうは、はなはだしく欠乏けつぼうし、その地ちの民たみは食物しょくもつを得えることができなくなった。52:7 そして町まちの城壁じょうへきはついに打うち破やぶられたので、兵士へいしたちはみな逃にげ、夜よるのうちに、王おうの園そのの近ちかくの、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちをのがれ出でて、カルデヤびとが、町まちを攻せめ囲かこんでいるうちに、アラバの方ほうへ落おちて行いった。52:8 しかしカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは王おうを追おって行いって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいついたが、彼かれの軍勢ぐんぜいがみな散ちって彼かれのそばを離はなれたので、52:9 カルデヤびとは王おうを捕とらえ、ハマテの地ちのリブラにいるバビロンの王おうのもとに引ひいていったので、王おうは彼かれの罪つみを定さだめた。52:10 すなわちバビロンの王おうはゼデキヤの子こたちをその目めの前まえで殺ころさせ、ユダのつかさたちをことごとくリブラで殺ころさせ、52:11 またゼデキヤの目めをつぶさせた。そしてバビロンの王おうは彼かれを鎖くさりにつないでバビロンへ連つれて行いき、その死しぬ日ひまで獄屋ごくやに入いれて置おいた。 52:12 五月がつ十日かに、――それはバビロンの王おうネブカデレザルの世よの十九年ねんであった――バビロンの王おうに仕つかえる侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはエルサレムに、はいって、52:13 主しゅの宮みやと王おうの宮殿きゅうでんを焼やき、エルサレムのすべての家いえを焼やいた。彼かれは大おおきな家いえをみな焼やきはらった。52:14 また侍衛じえいの長ちょうと共ともにいたカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは、エルサレムの周囲しゅういの城壁じょうへきをみな取とりこわした。52:15 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは民たみのうちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかん、そのほか町まちのうちに残のこった者もの、およびバビロンの王おうにくだった人ひと、その他た工 こうしょうたちを捕とらえ移うつした。52:16 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはその地ちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかんを残のこして、ぶどうを作つくる者ものとし、農夫のうふとした。 52:17 カルデヤびとはまた主しゅの宮みやの青銅せいどうの柱はしらと、洗盤せんばんの台だいと、青銅せいどうの海うみを砕くだいて、その青銅せいどうをことごとくバビロンへ運はこび、52:18 また、つぼと、十能じゅうのうと、心切しんきりばさみと、鉢はちと、香こうを盛もる皿さらおよび宮みやの勤つとめに用もちいる青銅せいどうの器うつわをことごとく取とって行いった。52:19 また彼かれらは小鉢こばちと、心取しんとり皿ざらと、鉢はちと、つぼと、燭台しょくだいと、香こうを盛もる皿さらと、灌祭かんさいの鉢はちを取とった。金きんで作つくった物ものは金きんとして、銀ぎんで作つくった物ものは銀ぎんとして、侍衛じえいの長ちょうは運はこび去さった。52:20 ソロモン王おうが主しゅの宮みやに造つくった二本ほんの柱はしらと、一つの海うみと、海うみの下したの十二の青銅せいどうの牛うしと、台だいなど、このすべての物ものの青銅せいどうの重おもさは量はかることもできなかった。52:21 この一本ぽんの柱はしらの高たかさは十八キュビト、周囲しゅういは十二キュビトで、指ゆび四本ほんの厚あつさがあり、中なかは、うつろであった。52:22 その上うえに青銅せいどうの柱頭ちゅうとうがあり、柱頭ちゅうとうの高たかさは五キュビト、柱頭ちゅうとうの周囲しゅういは網あみ細工ざいくと、ざくろとで飾かざり、これらもみな青銅せいどうであった。他たの柱はしらもそのざくろも、これと同おなじであった。52:23 その四方しほうに九十六個このざくろがあり、周囲しゅういの網あみ細工ざいくの上うえにあるざくろの数かずは百個こであった。 52:24 侍衛じえいの長ちょうは祭司さいし長ちょうセラヤと次席じせきの祭司さいしゼパニヤと三人にんの門もんを守まもる者ものを捕とらえ、52:25 また兵士へいしをつかさどるひとりの役人やくにんと、町まちにいた王おうの側近そっきんの者もの七人にんと、その地ちの民たみを募つのる軍勢ぐんぜいの長ちょうの書記官しょきかんと、町まちの中なかにいた六十人にんの者ものを町まちから捕とらえ去さった。52:26 侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、これらの人ひとを捕とらえて、リブラにいるバビロンの王おうのもとに連つれて行いった。52:27 バビロンの王おうは、ハマテの地ちのリブラで彼かれらを撃うち殺ころした。こうして、ユダは自分じぶんの地ちから捕とらえ移うつされた。 52:28 ネブカデレザルが捕とらえ移うつした民たみの数かずは次つぎのとおりである。第だい七年ねんにはユダヤ人ひと三千二十三人にん。52:29 またネブカデレザルはその第だい十八年ねんにエルサレムから八百三十二人にんを捕とらえ移うつした。52:30 ネブカデレザルの二十三年ねんに侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、ユダヤ人ひと七百四十五人にんを捕とらえ移うつした。この総数そうすうは四千六百人にんであった。 52:31 ユダの王おうエホヤキンが捕とらえ移うつされて後のち三十七年ねんの十二月がつ二十五日にちに、バビロンの王おうエビルメロダクはその即位そくいの年ねんに、ユダの王おうエホヤキンを獄屋ごくやから出だし、そのこうべを挙あげさせ、52:32 親切しんせつに彼かれを慰なぐさめ、その位くらいを、バビロンで共ともにいる王おうたちの位くらいよりも高たかくした。52:33 こうしてエホヤキンは獄屋ごくやの服ふくを脱ぬいだ。そして生いきている間あいだは毎日まいにち王おうの食卓しょくたくで食事しょくじし、52:34 彼かれの給与きゅうよとしては、その死しぬ日ひまで一生いっしょうの間あいだ、たえず日々ひびの必要ひつようにしたがって、バビロンの王おうから給与きゅうよを賜たまわった。
47:1 パロがまだガザを撃うたなかったころ、ペリシテびとの事ことについて預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ主しゅの言葉ことば。
47:2 「主しゅはこう言いわれる、見みよ、水みずは北きたから起おこり、あふれ流ながれて、この地ちと、そこにあるすべての物もの、その町まちと、その中なかに住すむ者ものとにあふれかかる。その時とき、人々ひとびとは叫さけび、この地ちに住すむ者ものはみな嘆なげく。
47:3 そのたくましい馬うまのひずめの踏ふみ鳴ならす音おとのため、その戦車せんしゃの響ひびきのため、その車輪しゃりんのとどろきのために、父ちちはその手てが弱よわくなって、自分じぶんの子こをも顧かえりみない。
47:4 これは、ペリシテびとを滅ほろぼし尽つくし、ツロとシドンに残のこって助たすけをなす者ものをことごとく絶たやす日ひが来くるからである。主しゅはカフトルの海岸かいがんに残のこっているペリシテびとを滅ほろぼされる。
47:5 ガザには髪かみをそることが始はじまっている。アシケロンは滅ほろびた。アナクびとの残のこりの民たみよ、いつまで自分じぶんの身みに傷きずつけるのか。
47:6 主しゅのつるぎよ、おまえはいつになれば静しずかになるのか。おまえのさやに帰かえり、休やすんで静しずかにしておれ。
47:7 主しゅがこれに命いのちを下くだされたのだ、どうして静しずかにしておれようか。アシケロンと海岸かいがんの地ちを攻せめることを定さだめられたのだ」。
第48章 48:1 モアブの事ことについて、万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、 「ああ、ネボはわざわいだ、これは滅ほろぼされた。キリヤタイムははずかしめられて取とられ、とりでは、はずかしめられてこわされた。48:2 モアブの誉ほまれは、消きえ去さった。ヘシボンで人々ひとびとはモアブの害がいを図はかり、『さあ、この国くにを断たち滅ほろぼそう』という。マデメンよ、おまえもまた滅ほろぼされる、つるぎがおまえを追おう。 48:3 ホロナイムから叫さけび声ごえが聞きこえる、『荒廃こうはいと大おおいなる滅亡めつぼうだ』という。48:4 モアブは滅ほろぼされ、叫さけびはゾアルにまで聞きこえる。48:5 彼かれらは泣なきながらルヒテの坂さかを登のぼる。彼かれらはホロナイムの下くだり坂ざかで、『滅亡めつぼう』の叫さけびを聞きいたからだ。48:6 逃にげて、自分じぶんの身みを救すくえ、荒野あらのの野のろばのようになれ。48:7 おまえが、とりでと財宝ざいほうとを頼たのみにしたので、おまえも捕とらえられるからだ。またケモシは、その祭司さいしとつかさたちと共ともに、捕とらえられて行いく。48:8 滅ほろぼす者ものはすべての町まちに来くる、一つの町まちものがれることができない。谷たには滅ほろび、平地へいちは荒あらされる、主しゅの言いわれたとおりである。48:9 モアブに翼つばさを与あたえて、飛とび去さらせよ。その町々まちまちは荒あれて、住すむ者ものはなくなる。48:10 主しゅのわざを行おこなうことを怠おこたる者ものはのろわれる。またそのつるぎを押おさえて血ちを流ながさない者ものはのろわれる。48:11 モアブはその幼おさない時ときから安やすらかで、酒さけが、沈しずんだおりの上うえにとどまって、器うつわから器うつわに、くみ移うつされなかったように、捕とらえ移うつされなかったので、その味あじはなお存そんし、その香気こうきも変かわることがない。48:12 主しゅは言いわれる、それゆえ見みよ、わたしがこれを傾かたむける者ものどもをつかわす日ひが来くる。彼かれらはこれを傾かたむけ、その器うつわをあけ、そのかめを砕くだく。48:13 その時ときモアブはケモシのために恥はじをかく。ちょうどイスラエルの家いえがその頼たのみとしたベテルのために恥はじをかいたようになる。48:14 あなたがたはどうして『われわれは勇士ゆうしだ。強つよい戦士せんしだ』というのか。48:15 モアブとその町々まちまちを滅ほろぼす者ものは上のぼって来き、モアブのえり抜ぬきの若者わかものたちは下くだって殺ころされたと万軍ばんぐんの主しゅと名なのる王おうが言いわれる。48:16 モアブの災難さいなんは近ちかづいている、その苦難くなんはすみやかに来くる。48:17 すべてその周囲しゅういにある者ものよ、またその名なを知しる者ものよ、彼かれのために嘆なげいて、『ああ、強つよき笏しゃく、麗うるわしきつえは、ついに折おれた』と言いえ。 48:18 デボンに住すむ者ものよ、ああなたの栄さかえを離はなれて下くだり、かわいた地ちに座ざせよ。モアブを滅ほろぼす者ものがあなたに攻せめのぼって来きて、あなたの城しろを滅ほろぼしたからだ。48:19 アロエルに住すむ者ものよ、道みちのかたわらに立たって見張みはりし、逃にげてくる男おとこ、のがれてくる女おんなに尋たずねて、『何なにが起おこったのか』と言いえ。48:20 モアブは敗やぶれて、恥はじをこうむっている。嘆なげき呼よばわれ。アルノン川かわのほとりで、モアブは滅ほろぼされたと告つげよ。48:21 さばきは高原こうげんの地ちに臨のぞみ、ホロン、ヤハズ、メパアテ、48:22 デボン、ネボ、ベテ・デブラタイム、48:23 キリヤタイム、ベテ・ガムル、ベテ・メオン、48:24 ケリオテ、ボズラなどモアブの地ちのすべての町まちの、遠とおいものにも近ちかいものにも、臨のぞんだ。48:25 モアブの角つのは砕くだけ、その腕うでは折おれたと主しゅは言いわれる。 48:26 モアブを酔よわせよ、彼かれが主しゅに敵てきして自みずから高たかぶったからである。モアブは自分じぶんの吐はいた物ものの中なかにころがって、笑わらい草ぐさとなる。48:27 イスラエルはあなたの笑わらい草ぐさではなかったか。あなたが、彼かれのことを語かたるごとに首くびを振ふったのは、彼かれが盗賊とうぞくの中なかにいたとでもいうのか。48:28 モアブに住すむ者ものよ、町まちを去さって岩いわの間あいだに住すめ。谷たにの入口いりぐちのかたわらに巣すを作つくる山やまばとのようにせよ。48:29 われわれはモアブの高慢こうまんな事ことを聞きいた、その高慢こうまんは、はなはだしい。すなわち、その尊大そんだい、高慢こうまん、横柄おうへい、およびその心こころの高たかぶりのことを聞きいた。48:30 主しゅは言いわれる、わたしは彼かれの横着おうちゃくなのを知しる、彼かれの自慢じまんは偽いつわりで、その行おこないも偽いつわりである。48:31 それゆえ、わたしはモアブのために嘆なげき、モアブの全ぜん地ちのために呼よばわる。キルヘレスの人々ひとびとのためにわたしは悲かなしむ。48:32 シブマのぶどうの木きよ、わたしはヤゼルのために泣なくのにまさっておまえのために泣なく。おまえのつるは延のびて海うみを越こえ、ヤゼルに及およんだ。おまえの夏なつの実みと、その収穫しゅうかくを滅ほろぼす者ものが襲おそってきた。48:33 喜よろこびと楽たのしみは、実みのり多おおいモアブの地ちを去さった。わたしは、ぶどうをしぼる所ところにも酒さけをなくした。楽たのしく呼よばわって、ぶどうを踏ふむ者ものもなくなった。呼よばわっても、喜よろこんで呼よばわる声こえではない。48:34 ヘシボンとエレアレは叫さけぶ。ヤハヅに至いたるまで、ゾアルからホロナイムとエグラテ・シリシヤに至いたるまで、彼かれらはその声こえをあげる。ニムリムの水みずも絶たえたからである。48:35 主しゅは言いわれる、わたしは犠牲ぎせいを高たかき所ところにささげ、香こうをその神かみにたく者ものをモアブのうちに滅ほろぼす。48:36 それゆえ、わたしの心こころはモアブのために笛ふえのように嘆なげき、わたしの心こころはキルヘレスの人々ひとびとのために笛ふえのように嘆なげく。彼かれらの獲えた富とみが消きえうせたからである。 48:37 人ひとはみな髪かみをそり、皆みなひげをそり、みな手てに傷きずをつけ、腰こしに荒布あらぬのを着つける。48:38 モアブではどこの屋根やねの上うえも、広場ひろばも、ただ悲かなしみに包つつまれている。これは、わたしが、だれもほしがらない器うつわのようにモアブを砕くだいたからであると主しゅは言いわれる。48:39 ああ、モアブはついに滅ほろびた。人々ひとびとは嘆なげく。ああ、モアブは恥はじて顔かおをそむけた。モアブはその周囲しゅういのすべての者ものの笑わらい草ぐさとなり恐おそれとなった」。 48:40 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、敵てきはわしのように速はやく飛とんできて、モアブに向むかって翼つばさをのべる。48:41 町々まちまちは取とられ、城しろは奪うばわれる。その日ひモアブの勇士ゆうしの心こころは子こを産うむ女おんなの心こころのようになる。48:42 モアブは滅ほろぼされて、国くにを成なさないようになる。主しゅに敵てきして自みずから誇ほこったからである。48:43 主しゅは言いわれる、モアブに住すむ者ものよ、恐おそれと、穴あなと、わなとがあなたに臨のぞんでいる。48:44 恐おそれをさけて逃にげる者ものは穴あなにおちいり、穴あなをよじ上のぼって出でる者ものは、わなに捕とらえられる。わたしがモアブに、その罰ばっせられる年としに、これらのものを臨のぞませるからであると主しゅは言いわれる。 48:45 逃にげた者ものはヘシボンの陰かげに、力ちからなく立たちどまる。ヘシボンから火ひが出で、シホンの家いえから炎ほのおが出でて、モアブの額ひたい、騒さわぐ人々ひとびとの頭あたまの頂いただきを焼やいたからだ。48:46 モアブよ、おまえはわざわいだ。ケモシの民たみは滅ほろびた。おまえのむすこらは捕とらえ移うつされ、おまえの娘むすめらも捕とらえ行ゆかれたからである。48:47 しかし末すえの日ひにわたしは再ふたたびモアブを栄さかえさせると主しゅは言いわれる」。ここまではモアブのさばきの事ことをいったのである。 第49章 49:1 アンモンびとについて、主しゅはこう言いわれる、「イスラエルには子こがないのか、世継よつぎがないのか。どうしてミルコムがガドを追おい出だして、その民たみがその町々まちまちに住すんでいるのか。49:2 主しゅは言いわれる、それゆえ、見みよ、アンモンびとのラバを攻せめる戦たたかいの叫さけびを、わたしが聞きこえさせる日ひが来くる。ラバは荒塚あれづかとなり、その村々むらむらは火ひで焼やかれる。そのときイスラエルは自分じぶんを追おい出だした者ものどもを追おい出だすと主しゅは言いわれる。 49:3 ヘシボンよ嘆なげけ、アイは滅ほろぼされた。ラバの娘むすめたちよ呼よばわれ。荒布あらぬのを身みにまとい、悲かなしんで、まがきのうちを走はしりまわれ。ミルコムとその祭司さいしおよびつかさが共ともに捕とらえ移うつされるからだ。49:4 不信ふしんの娘むすめよ、あなたはなぜ自分じぶんの谷たにの事ことを誇ほこるのか。あなたは自分じぶんの富とみに寄より頼たよんで、『だれがわたしに攻せめてくるものか』と言いう。49:5 主しゅなる万軍ばんぐんの神かみは言いわれる、見みよ、わたしはあなたの上うえに恐おそれを臨のぞませる、それはあなたの周囲しゅういの者ものから来くる。あなたは追おわれて、おのおの直ただちに他人たにんに続つづき、逃にげる者ものを集あつめる人ひともない。49:6 しかし、のちになって、わたしはアンモンびとを再ふたたび栄さかえさせると、主しゅは言いわれる」。49:7 エドムの事ことについて、万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「テマンには、もはや知恵ちえがないのか。さとい者ものには計はかりごとがなくなったのか。その知恵ちえは消きえうせたのか。49:8 デダンに住すむ者ものよ、逃にげよ、のがれよ、深ふかい所ところに隠かくれよ。わたしがエサウの災難さいなんを彼かれの上うえに臨のぞませ、彼かれを罰ばっする時ときをこさせるからだ。49:9 ぶどうを集あつめる者ものがあなたの所ところに来きたならば、すこしの実みをも残のこさないであろうか。夜よる、盗ぬすびとが来きたならば、自分じぶんたちの満足まんぞくするだけ滅ほろぼさないであろうか。49:10 しかしわたしはエサウを裸はだかにし、その隠かくれる所ところを現あらわしたので、彼かれはその身みを隠かくすことができない。その子こどもたちも、兄弟きょうだいも、隣となり人びとも滅ほろぼされる。そして彼かれは、いなくなる。49:11 あなたのみなしごを残のこせ、わたしがそれを生いきながらえさせる。あなたのやもめには、わたしに寄より頼たのませよ」。49:12 主しゅはこう言いわれる、「もし、杯さかずきを飲のむべきでない者ものもそれを飲のまなければならなかったとすれば、あなたは罰ばつを免まぬかれることができようか。あなたは罰ばつを免まぬかれない。それを飲のまなければならない。49:13 主しゅは言いわれる、わたしは自分じぶんをさして誓ちかった、ボズラは驚おどろきとなり、ののしりとなり、荒あれ地ちとなり、のろいとなる。その町々まちまちは長ながく荒あれ地ちとなる」。 49:14 わたしは主しゅからのおとずれを聞きいた。ひとりの使者ししゃがつかわされて万国ばんこくに行いき、そして言いった、「あなたがたは集あつまり、行いって彼かれを攻せめ、立たって戦たたかえ。49:15 見みよ、わたしはあなたを万国ばんこくのうちに小ちいさい者ものとし、人々ひとびとのうちに卑いやしめられる者ものとする。49:16 岩いわの割われ目めに住すみ、山やまの高たかみを占しめる者ものよ、あなたの恐おそろしい事ことと、あなたの心こころの高たかぶりが、あなたを欺あざむいた。あなたは、わたしのように巣すを高たかい所ところに作つくっているが、わたしはその所ところからあなたを取とりおろすと主しゅは言いわれる。49:17 エドムは恐おそれとなる。そのかたわらを通とおり過すぎる者ものはみな恐おそれ、その災わざわいのために、舌打したうちする。49:18 主しゅは言いわれる、ソドムとゴモラとその隣となりの町々まちまちがくつがえされた時ときのように、そこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひともなくなる。49:19 見みよ、ししがヨルダンの密林みつりんから上のぼってきて、じょうぶな羊ひつじのおりを襲おそうように、わたしは、たちまち彼かれらをそこから逃にげ走はしらせ、わたしの選えらぶ者ものをその上うえに立たてる。だれかわたしのような者ものがあるであろうか。だれがわたしを呼よびつけることができようか。どの牧者ぼくしゃがわたしの前まえに立たつことができようか。49:20 それゆえ、エドムに対たいして主しゅが立たてた計はかりごとと、テマンに住すむ者ものに対たいしてしようとする事ことを聞きくがよい。彼かれらの群むれのうちの小ちいさいものまでも皆みな、引ひかれて行いく。彼かれらのおりのものもその終おわりを見みて恐おそれる。49:21 その倒たおれる音おとを聞きいて、地ちは震ふるい、彼かれらの叫さけび声ごえは紅海こうかいにも聞きこえる。49:22 見みよ、敵てきはわしのように上のぼり、すみやかに飛とびかけり、その翼つばさをボズラの上うえに張はり広ひろげる。その日ひエドムの勇士ゆうしの心こころは子こを産うむ女おんなの心こころのようになる」。 49:23 ダマスコの事ことについて、「ハマテとアルパデは、うろたえている、彼かれらは悪わるいおとずれを聞きいたからだ。彼かれらは勇気ゆうきを失うしない、穏おだやかになることのできない海うみのように悩なやむ。49:24 ダマスコは弱よわり、身みをめぐらして逃にげた、恐怖きょうふに襲おそわれている。子こを産うむ女おんなに臨のぞむように痛いたみと悲かなしみと彼かれに臨のぞむ。49:25 ああ、名なある町まち、楽たのしい町まちは捨すてられる。49:26 それゆえ、その日ひに、若わかい者ものは、広場ひろばに倒たおれ、兵士へいしはことごとく滅ほろぼされると万軍ばんぐんの主しゅは言いわれる。49:27 わたしはダマスコの城壁じょうへきの上うえに火ひを燃もやし、ベネハダデの宮殿きゅうでんを焼やき尽つくす」。49:28 バビロンの王おうネブカデレザルが攻せめ撃うったケダルとハゾルの諸国しょこくの事ことについて、 主しゅはこう言いわれる、「立たって、ケダルに向むかって進すすみ、東ひがしの人々ひとびとを滅ほろぼせ。49:29 彼かれらの天幕てんまくと、その羊ひつじの群むれとは取とられ、その垂幕たれまくとそのもろもろの器うつわと、らくだとは彼かれらの所ところから運はこび去さられ、人々ひとびとは彼かれらに向むかって叫さけぶ、『恐おそろしいことが四方しほうにある』と。49:30 主しゅは言いわれる、ハゾルに住すむ者ものよ、逃にげよ、遠とおくさまよい行いき、深ふかい所ところに隠かくれよ。バビロンの王おうネブカデレザルがあなたがたを攻せめる計はかりごとをめぐらし、あなたがたを攻せめる、てだてを設もうけたからだ。 49:31 主しゅは言いわれる、立たって進すすみ、安全あんぜんな所ところに住すむきらくな民たみを攻せめよ、彼かれらは門もんもなく、貫かんの木きもなく、ひとり離はなれて住すむ。49:32 彼かれらのらくだは、ぶんどり物ものとなり、家畜かちくの群むれは奪うばわれる。わたしは、かの髪かみの毛けのすみずみを切きる者ものを四方しほうに散ちらし、その災難さいなんを八方はっぽうからこさせると主しゅは言いわれる。49:33 ハゾルは山犬やまいぬのすまいとなり、いつまでも荒あれ地ちとなっている。だれもそこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひともない」。49:34 ユダの王おうゼデキヤの治世ちせいの初はじめのころに、エラムの事ことについて預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ主しゅの言葉ことば。 49:35 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしはエラムが力ちからとして頼たよんでいる弓ゆみを折おる。49:36 わたしは天てんの四方しほうから、四方しほうの風かぜをエラムにこさせ、彼かれらを四方しほうの風かぜに散ちらす。エラムから追おい出だされる者ものの行いかない国くにはない。49:37 主しゅは言いわれる、わたしはエラムをしてその敵てきの前まえ、またその命いのちを求もとめる者ものの前まえに恐おそれさせる。わたしは災わざわいをくだし、激はげしい怒いかりをその上うえにくだす。彼かれらのうしろに、つるぎを送おくって滅ほろぼし尽つくす。49:38 そしてわたしの位くらいをエラムにすえ、王おうとつかさたちとを滅ほろぼすと主しゅは言いわれる。 49:39 しかし末すえの日ひに、わたしはエラムを再ふたたび栄さかえさせると、主しゅは言いわれる」。 第50章 50:1 主しゅが預言者よげんしゃエレミヤによって語かたられたバビロンとカルデヤびとの地ちの事ことについての言葉ことば。 50:2 「国々くにぐにのうちに告つげ、また触ふれ示しめせよ、旗はたを立たてて、隠かくすことなく触ふれ示しめして言いえ、『バビロンは取とられ、ベルははずかしめられ、メロダクは砕くだかれ、その像ぞうははずかしめられ、その偶像ぐうぞうは砕くだかれる』と。50:3 それは、北きたの方ほうから一つの国民こくみんがきて、これを攻せめ、その地ちを荒あらして、住すむ人ひともないようにするからである。人ひとも獣けものもみな逃にげ去さってしまう。 50:4 主しゅは言いわれる、その日ひその時とき、イスラエルの民たみとユダの民たみは共ともに帰かえってくる。彼かれらは嘆なげきながら帰かえってくる。そしてその神かみ、主しゅを求もとめる。50:5 彼かれらは顔かおをシオンに向むけて、その道みちを問とい、『さあ、われわれは、永遠えいえんに忘わすれられることのない契約けいやくを結むすんで主しゅに連つらなろう』と言いう。 50:6 わたしの民たみは迷まよえる羊ひつじの群むれである、その牧者ぼくしゃがこれをいざなって、山やまに踏ふみ迷まよわせたので、山やまから丘おかへと行いきめぐり、その休やすむ所ところを忘わすれた。50:7 これに会あう者ものはみなこれを食たべた。その敵てきは言いった、『われわれに罪つみはない。彼かれらがそのまことのすみかである主しゅ、先祖せんぞたちの希望きぼうであった主しゅに対たいして罪つみを犯おかしたのだ』と。 50:8 バビロンのうちから逃にげよ。カルデヤびとの地ちから出でよ。群むれの前まえに行いく雄おやぎのようにせよ。50:9 見みよ、わたしは大おおきい国々くにぐにを起おこし集あつめて、北きたの地ちからバビロンに攻せめこさせる。彼かれらはこれに向むかって勢せいぞろいをし、これをその所ところから取とる。彼かれらの矢やはむなしく帰かえらない老練ろうれんな勇士ゆうしのようである。50:10 カルデヤは人ひとにかすめられる。これをかすめる者ものはみな飽あくことができると、主しゅは言いわれる。 50:11 わたしの嗣し業ぎょうをかすめる者ものどもよ、あなたがたは喜よろこび楽たのしみ、雌めすの子こ牛うしのように草くさに戯たわむれ、雄お馬うまのように、いなないているが、50:12 あなたがたの母はははいたくはずかしめられ、あなたがたを産うんだ者ものは恥はじをこうむる。見みよ、彼女かのじょは国々くにぐにのうちの最もっともあとなるものとなり、かわいた砂原すなはらの荒野あらのとなる。50:13 主しゅの怒いかりによって、ここに住すむ者ものはなく、完全かんぜんに荒あれ地ちとなる。バビロンのかたわらを通とおる者ものは、みなその傷きずを見みて驚おどろき、かつあざ笑わらう。50:14 あなたがたすべて弓ゆみを張はる者ものよ、バビロンの周囲しゅういに勢せいぞろいして、これを攻せめ、矢やを惜おしまずに、これを射いよ、彼女かのじょが主しゅに罪つみを犯おかしたからだ。50:15 その周囲しゅういに叫さけび声ごえをあげよ、彼女かのじょは降伏こうふくした。そのとりでは倒たおれ、その城壁じょうへきはくずれた、主しゅがあだをかえされたからだ。彼女かのじょに報復ほうふくせよ、彼女かのじょがおこなったように、これに行おこなえ。50:16 種たねまく者ものと、刈入かりいれどきに、かまを取とる者ものをバビロンに絶たやせ。滅ほろぼす者もののつるぎを恐おそれて、人ひとはおのおの自分じぶんの民たみの所ところに帰かえり、そのふるさとに逃にげて行いく。50:17 イスラエルは、ししに追おわれて散ちった羊ひつじである。初はじめにアッスリヤの王おうがこれを食くい、そして今いまはついにバビロンの王おうネブカデレザルがその骨ほねをかじった。50:18 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみは、こう言いわれる、見みよ、わたしはアッスリヤの王おうを罰ばっしたように、バビロンの王おうとその国くにに罰ばつを下くだす。50:19 わたしはイスラエルを再ふたたびその牧場まきばに帰かえらせる。彼かれはカルメルとバシャンで草くさを食たべる。またエフライムの山やまとギレアデでその望のぞみが満みたされる。50:20 主しゅは言いわれる、その日ひその時ときには、イスラエルのとがを探さがしても見当みあたらず、ユダの罪つみを探さがしてもない。それはわたしが残のこしておく人々ひとびとを、ゆるすからである。50:21 主しゅは言いわれる、上のぼって行いって、メラタイムの地ちを攻せめ、ペコデの民たみを攻せめ、彼かれらを殺ころして全まったく滅ほろぼし、わたしがあなたがたに命めいじたことを皆みな、行おこないなさい。50:22 その地ちに、いくさの叫さけびと、大おおいなる滅ほろびがある。50:23 ああ、全ぜん地ちを砕くだいた鎚つちはついに折おれ砕くだける。ああ、バビロンはついに国々くにぐにのうちの恐おそるべき見みものとなる。50:24 バビロンよ、わたしは、おまえを捕とらえるためにわなをかけたが、おまえはそれにかかった。そしておまえはそれを知しらなかった。おまえは主しゅに敵てきしたので、尋たずね出だされ、捕とらえられた。50:25 主しゅは武器ぶきの倉くらを開ひらいてその怒いかりの武器ぶきを取とり出だされた。主しゅなる万軍ばんぐんの神かみが、カルデヤびとの地ちに事ことを行おこなわれるからである。50:26 あらゆる方面ほうめんからきて、これを攻せめ、その穀倉こくぐらを開ひらき、これを穀物こくもつの山やまのように積つみ上あげ、完全かんぜんに滅ほろぼし尽つくし、そこに残のこる者もののないようにせよ。50:27 その雄牛おうしをことごとく殺ころせ、それを、ほふり場ばに下くだらせよ。それらのものはわざわいだ、その日ひ、その罰ばつを受うける時ときがきたからだ。50:28 聞きけよ、バビロンの地ちから逃にげ、のがれてきた者ものの声こえがする。われわれの神かみ、主しゅの報復ほうふく、その宮みやの報復ほうふくの事ことをシオンに告つげ示しめす。 50:29 弓ゆみを張はる射手いてをことごとく呼よび集あつめて、バビロンを攻せめよ。その周囲しゅういに陣じんを敷しけ。ひとりも逃がにがすな。そのしわざにしたがってバビロンに報むくい、これがおこなった所ところにしたがってこれに行おこなえ。彼かれがイスラエルの聖者せいじゃである主しゅに向むかって高慢こうまんにふるまったからだ。50:30 それゆえ、その日ひ、若わかい者ものは、広場ひろばに倒たおれ、兵士へいしはみな絶たやされると主しゅは言いわれる。 50:31 主しゅなる万軍ばんぐんの神かみは言いわれる、高たかぶる者ものよ、見みよ、わたしはおまえの敵てきとなる、あなたの日ひ、わたしがおまえを罰ばっする時ときが来きた。50:32 高たかぶる者ものはつまずき倒たおれる、これを助たすけ起おこすものはない。わたしはその町々まちまちに火ひを燃もやして、その周囲しゅういの者ものをことごとく焼やき尽つくす。50:33 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、イスラエルの民たみとユダの民たみは共ともにしえたげられている。彼かれらをとりこにした者ものはみな彼かれらを固かたく守まもって釈放しゃくほうすることを拒こばむ。50:34 彼かれらをあがなう者ものは強つよく、その名なは万軍ばんぐんの主しゅといわれる。彼かれは必かならず彼かれらの訴うったえをただし、この地ちに安やすきを与あたえるが、バビロンに住すむ者ものには不安ふあんを与あたえられる。 50:35 主しゅは言いわれる、カルデヤびとの上うえとバビロンに住すむ者ものの上うえ、そのつかさたち、その知者ちしゃたちの上うえにつるぎが臨のぞむ。50:36 占うらない師しの上うえにつるぎが臨のぞみ、彼かれらは愚おろか者ものとなる。その勇士ゆうしの上うえにつるぎが臨のぞみ、彼かれらは滅ほろぼされる。50:37 その馬うまの上うえと、その車くるまの上うえにつるぎが臨のぞみ、またそのうちにあるすべての雇やとい兵へいの上うえに臨のぞみ、彼かれらは女おんなのようになる。その財宝ざいほうの上うえにつるぎが臨のぞみ、それはかすめられる。50:38 その水みずの上うえに、ひでりが来きて、それはかわく。それは、この地ちが偶像ぐうぞうの地ちであって、人々ひとびとが偶像ぐうぞうに心こころが狂くるっているからだ。50:39 それゆえ、野のの獣けものと山犬やまいぬとは共ともにバビロンにおり、だちょうもそこに住すむ。しかし、いつまでもその地ちに住すむ人ひとはなく、世々よよここに住すむ人ひとはない。50:40 主しゅは言いわれる、神かみがソドムとゴモラと、その隣となりの町々まちまちを滅ほろぼされたように、そこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひとの子こはない。 50:41 見みよ、一つの民たみが北きたの方ほうから来くる。大おおいなる国くにと多おおくの王おうが地ちの果はてから立たち上あがっている。50:42 彼かれらは弓ゆみと、やりを取とる。残忍ざんにんで、あわれみがなく、その響ひびきは海うみの鳴なりとどろくようである。バビロンの娘むすめよ、彼かれらは馬うまに乗のり、いくさびとのように身みをよろって、あなたを攻せめる。50:43 バビロンの王おうはそのうわさを聞きいて、その手ては弱よわり、子こを産うむ女おんなに臨のぞむような痛いたみと苦くるしみに迫せまられた。50:44 見みよ、ししがヨルダンの密林みつりんから上のぼってきて、じょうぶな羊ひつじのおりを襲おそうように、わたしは、たちまち彼かれらをそこから逃にげ去さらせる。そしてわたしの選えらぶ者ものをその上うえに立たてる。だれかわたしのような者ものがあるであろうか。だれがわたしを呼よびつけることができようか。どの牧者ぼくしゃがわたしの前まえに立たつことができようか。50:45 それゆえ、バビロンに対たいして主しゅが立たてた計はかりごとと、カルデヤびとの地ちに対たいしてしようとする事ことを聞きくがよい。彼かれらの群むれのうちの小ちいさい者ものは、かならず引ひかれて行いく。彼かれらのおりのものも必かならずその終おわりを見みて恐おそれる。50:46 バビロンが取とられたとの声こえによって地ちは震ふるい、その叫さけびは国々くにぐにのうちに聞きこえる」。 第51章 51:1 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは、滅ほろぼす者ものの心こころを奮ふるい起おこして、バビロンを攻せめ、カルデヤに住すむ者ものを攻せめさせる。51:2 わたしはバビロンに、あおぎ分わける者ものをつかわす。彼かれらは、その災わざわいの日ひに、四方しほうからこれを攻せめ、それをあおぎ分わけて、その地ちをむなしくする。51:3 射手いてにはその弓ゆみを張はらせることなく、よろいを着きて立たち上あがらせるな。その若わかき者ものをあわれむことなく、その軍勢ぐんぜいをことごとく滅ほろぼせ。51:4 彼かれらはカルデヤびとの地ちに殺ころされて倒たおれ、そのちまたに傷きずついて倒たおれる。51:5 イスラエルとユダはその神かみ、万軍ばんぐんの主しゅに捨すてられてはいないが、しかしカルデヤびとの地ちにはイスラエルの聖者せいじゃに向むかって犯おかした罪つみが満みちている。 51:6 バビロンのうちからのがれ出でて、おのおのその命いのちを救すくえ。その罰ばつにまきこまれて断たち滅ほろぼされてはならない。今いまは主しゅがあだを返かえされる時ときだから、それに報復ほうふくをされるのである。51:7 バビロンは主しゅの手てのうちにある金きんの杯さかずきであって、すべての地ちを酔よわせた。国々くにぐにはその酒さけを飲のんだので、国々くにぐには狂くるった。51:8 バビロンはたちまち倒たおれて破やぶれた。これがために嘆なげけ。その傷きずのために乳香にゅうこうを取とれ。あるいは、いえるかも知しれない。51:9 われわれはバビロンをいやそうとしたが、これはいえなかった。われわれはこれを捨すてて、おのおの自分じぶんの国くにに帰かえろう。その罰ばつが天てんに達たっし、雲くもにまで及およんでいるからだ。51:10 主しゅはわれわれの正ただしいことを明あきらかにされた。さあ、われわれはシオンで、われわれの神かみ、主しゅのみわざを告つげ示しめそう。51:11 矢やをとぎ、 盾たてを取とれ。主しゅはメデアびとの王おうたちの心こころを引ひき立たてられる。主しゅのバビロンに思おもい図はかることは、これを滅ほろぼすことであり、主しゅがあだを返かえし、その宮みやのあだを返かえされるのである。 51:12 バビロンの城壁じょうへきに向むかって旗はたを立たて、見張みはりを強固きょうこにし、番兵ばんぺいを置おき、伏兵ふくへいを備そなえよ。主しゅがバビロンに住すむ者ものを攻せめようと図はかり、その言いわれたことを、いま行おこなわれるからだ。51:13 多おおくの水みずのほとりに住すみ、多おおくの財宝ざいほうを持もつ者ものよ、あなたの終おわりが来きて、その命いのちの糸いとは断たたれる。51:14 万軍ばんぐんの主しゅはみずからをさして誓ちかい、言いわれる、わたしは必かならずあなたのうちに、人ひとをいなごのように満みたす。彼かれらはあなたに向むかって、かちどきの声こえをあげる。 51:15 主しゅはその力ちからをもって地ちを造つくり、その知恵ちえをもって世界せかいを建たて、その悟さとりをもって天てんをのべられた。51:16 彼かれが声こえを出だされると、天てんに多おおくの水みずのざわめきがあり、また地ちの果はてから霧きりを立たちあがらせられる。彼かれは雨あめのためにいなびかりをおこし、その倉くらから風かぜを取とり出だされる。51:17 すべての人ひとは愚おろかで知恵ちえがなく、すべての金きん細工人ざいくにんはその造つくった偶像ぐうぞうのために恥はじをこうむる。その偶像ぐうぞうは偽いつわり物もので、そのうちに息いきがないからだ。51:18 それらは、むなしいもの、迷まよいのわざである。罰ばっせられる時ときになれば滅ほろびるものである。51:19 ヤコブの分ぶんである彼かれはこのようなものではない、彼かれは万物ばんぶつの造つくり主ぬしだからである。イスラエルは彼かれの嗣し業ぎょうとしての部族ぶぞくである。彼かれの名なは万軍ばんぐんの主しゅという。 51:20 おまえはわたしの鎚つちであり、戦たたかいの武器ぶきである。わたしはおまえをもってすべての国くにを砕くだき、おまえをもって万国ばんこくを滅ほろぼす。51:21 おまえをもってわたしは馬うまと、その騎手きしゅとを砕くだき、おまえをもって戦車せんしゃとそれに乗のる者ものとを砕くだく。51:22 わたしはおまえをもって男おとこと女おんなとを砕くだき、おまえをもって老おいた者ものと幼おさない者ものとを砕くだき、おまえをもって若わかい者ものと、おとめとを砕くだく。51:23 わたしはおまえをもって、羊飼ひつじかいと、その群むれとを砕くだき、おまえをもって農夫のうふと、くびきを負おう家畜かちくとを砕くだき、おまえをもっておさたちと、つかさたちとを砕くだく。51:24 わたしはバビロンとカルデヤに住すむすべての者ものとに、彼かれらがシオンで行いったもろもろの悪あしき事ことのために、あなたがたの目めの前まえで報むくいをすると、主しゅは言いわれる。 51:25 主しゅは言いわれる、全ぜん地ちを滅ほろぼし尽つくす滅ほろぼしの山やまよ、見みよ、わたしはおまえの敵てきとなる、わたしは手てをおまえの上うえに伸のべて、おまえを岩いわからころばし、おまえを焼やけ山やまにする。51:26 主しゅは言いわれる、人ひとがおまえから石いしを取とって、隅すみの石いしとすることなく、また礎いしずえとすることもない。おまえはいつまでも荒あれ地ちとなっている。51:27 地ちに旗はたを立たて、国々くにぐにのうちにラッパを吹ふき、国々くにぐにの民たみを集あつめてそれを攻せめ、アララテ、ミンニ、アシケナズの国々くにぐにをまねいてそれを攻せめ、軍ぐんの長ちょうを立たててそれを攻せめ、群むらがるいなごのように馬うまを上のぼり行いかせよ。51:28 国々くにぐにの民たみを集あつめてそれを攻せめ、メデアびとの王おうたちと、そのおさたち、つかさたち、およびすべての領地りょうちの人々ひとびとを集あつめてこれを攻せめよ。51:29 その地ちは震ふるい、かつもだえ苦くるしむ、主しゅがその思おもい図はかることをバビロンにおこない、バビロンの地ちを、住すむ人ひとなき荒あれ地ちとされるからだ。51:30 バビロンの勇士ゆうしたちは戦たたかいをやめて、その城しろにこもり、力ちからはうせて、女おんなのようになる。その家いえは焼やけ、その貫かんの木きは砕くだかれる。51:31 飛脚ひきゃくは走はしって飛脚ひきゃくに会あい、使者ししゃは走はしって使者ししゃに会あい、バビロンの王おうに告つげて、町まちはことごとく取とられ、51:32 渡わたし場ばは奪うばわれ、とりでは火ひで焼やかれ、兵士へいしはおびえていると言いう。51:33 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、バビロンの娘むすめは、打うち場ばのようだ、その踏ふまれる時ときが来きたのだ。しばらくしてその刈かり取とられる時ときが来くる」。 51:34 「バビロンの王おうネブカデレザルはわたしを食くい尽つくし、わたしを滅ほろぼし、わたしを、からの器うつわのようにし、龍りゅうのようにわたしを飲のみ、わたしのうまい物ものでその腹はらを満みたし、わたしを洗あらいざらいにした。51:35 わたしとわたしの肉親にくしんにおこなった暴虐ぼうぎゃくは、バビロンにふりかかる」とシオンに住すむ者ものは言いわなければならない。「わたしの血ちはカルデヤに住すむ者ものにふりかかる」とエルサレムは言いわなければならない。51:36 それゆえ主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしはあなたの訴うったえをただし、あなたのためにあだを返かえす。わたしはバビロンの海うみをかわかし、その泉いずみをかわかす。51:37 バビロンは荒塚あれづかとなり、山犬やまいぬのすまいとなり、驚おどろきとなり、笑わらいとなり、住すむ人ひとのない所ところとなる。51:38 彼かれらはししのように共ともにほえ、若わかいししのようにほえる。51:39 彼かれらの欲よくの燃もえている時とき、わたしは宴うたげを設もうけて彼かれらを酔よわせ、彼かれらがついに気きを失うしなって、ながい眠ねむりにいり、もはや目めをさますことのないようにしようと主しゅは言いわれる。51:40 わたしは彼かれらを小羊こひつじのように、また雄羊おひつじや雄おやぎのように、ほふり場ばに下くだらせよう。 51:41 ああ、バビロンはついに取とられた、全ぜん地ちの人ひとの、ほめたたえた者ものは捕とらえられた。ああ、バビロンはついに国々くにぐにのうちに驚おどろきとなった。51:42 海うみはバビロンにあふれかかり、どよめく波なみにおおわれた。51:43 その町々まちまちは荒あれて、かわいた地ちとなり、砂原すなはらとなり、住すむ人ひとのない地ちとなる。人ひとの子こはひとりとしてそこを過すぎることはない。51:44 わたしはバビロンでベルを罰ばっし、そののみこんだものを口くちから取とり出だす。国々くにぐにが川かわのように彼かれに流ながれ入いることはなくなる。バビロンの城壁じょうへきは倒たおれた。51:45 わが民たみよ、あなたがたはその中なかから出でて、おのおの主しゅの激はげしい怒いかりを免まぬかれ、その命いのちを救すくえ。51:46 心こころを弱よわくしてはならない、この地ちで聞きくうわさを恐おそれてはならない。うわさはこの年としにもくれば、また次つぎの年としにもくる。この地ちに暴虐ぼうぎゃくがあり、つかさとつかさとが攻せめあうことがある。51:47 それゆえ見みよ、わたしがバビロンの偶像ぐうぞうを罰ばっする日ひが来くる。その全ぜん地ちははずかしめられ、その殺ころされる者ものはみなその中なかに倒たおれる。51:48 天てんと地ちとそのうちにあるすべてのものはバビロンの事ことで喜よろこび歌うたう。滅ほろぼす者ものが北きたの方ほうからここに来くるからであると主しゅは言いわれる。51:49 イスラエルの殺ころされた者ものたちのために、バビロンは倒たおれなければならない、バビロンのために全ぜん地ちの殺ころされた者ものは倒たおれたのだ。 51:50 つるぎをのがれてきたあなたがたは、行いけ、立たちとどまってはならない。遠とおくから主しゅを覚おぼえ、エルサレムを心こころにとめよ。51:51 『われわれはののしりを聞きいたので、恥はじている。異邦人いほうじんが主しゅの宮みやの聖所せいじょにはいったので、恥はじがわれわれの顔かおをおおった』。 51:52 主しゅは言いわれる、それゆえ見みよ、わたしがその偶像ぐうぞうを罰ばっする日ひが来くる、傷きずつけられた者ものが、その全国ぜんこくにうめくようになる。51:53 たといバビロンが天てんに上のぼっても、その城しろを高たかくして固かためても、滅ほろぼす者ものはわたしから出でて、これに臨のぞむと主しゅは言いわれる。 51:54 聞きけ、バビロンの叫さけびを、カルデヤびとの地ちに起おこる大おおいなる滅ほろびの騒さわぎ声こえを。51:55 主しゅがバビロンを滅ほろぼし、その大おおいなる声こえを絶たやされるのだ。その波なみは大水おおみずのように鳴なりとどろき、その声こえはひびき渡わたる。51:56 滅ほろぼす者ものがこれに臨のぞみ、バビロンに来きた。その勇士ゆうしたちは捕とらえられ、その弓ゆみは折おられる。主しゅは報むくいをする神かみであるから必かならず報むくいられるのだ。51:57 わたしはその君きみたちと知者ちしゃたち、おさたち、つかさたち、および勇士ゆうしたちを酔よわせる。彼かれらは、ながい ねむりにいり、目めをさますことはない。万軍ばんぐんの主しゅと呼よばれる王おうがこれを言いわせる。51:58 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、バビロンの広ひろい城壁じょうへきは地ちにくずされ、その高たかい門もんは火ひに焼やかれる。こうして民たみの労苦ろうくはむなしくなり、国民こくみんはただ火ひのために疲つかれる」。51:59 マアセヤの子こであるネリヤの子こセラヤが、ユダの王おうゼデキヤと共ともに、その治世ちせいの四年ねんにバビロンへ行いくとき、預言者よげんしゃエレミヤがセラヤに命めいじた言葉ことば。セラヤは宿営しゅくえいの長ちょうであった。51:60 エレミヤはバビロンに臨のぞもうとするすべての災わざわいを巻物まきものにしるした。これはすなわちバビロンの事ことについてしるしたすべての言葉ことばである。51:61 エレミヤはセラヤに言いった、「あなたはバビロンへ行いったならば、忘わすれることなくこのすべての言葉ことばを読よみ、51:62 そして言いいなさい、『主しゅよ、あなたはこの所ところを滅ほろぼし、人ひとと獣けものとを問とわず、すべてここに住すむ者もののないようにし、永久えいきゅうにここを荒あれ地ちとしようと、この所ところについて語かたられました』と。51:63 あなたがこの巻物まきものを読よみ終おわったならば、これに石いしをむすびつけてユフラテ川かわの中なかに投なげこみ、51:64 そして言いいなさい、『バビロンはこのように沈しずんで、二度どと上あがってこない。わたしがこれに災わざわいを下くだすからである』と」。ここまではエレミヤの言葉ことばである。 第52章 52:1 ゼデキヤは王おうとなったとき二十一歳さいであったが、エルサレムで十一年ねん世よを治おさめた。母ははの名なはハムタルといい、リブナのエレミヤの娘むすめである。52:2 ゼデキヤはエホヤキムがすべて行いったように、主しゅの目めの前まえに悪事あくじを行おこなった。52:3 たしかに、主しゅの怒いかりによって、エルサレムとユダとは、そのみ前まえから捨すて去さられるようなことになった。 そしてゼデキヤはバビロンの王おうにそむいた。52:4 そこで彼かれの治世ちせいの九年ねん十月がつ十日かに、バビロンの王おうネブカデレザルはその軍勢ぐんぜいを率ひきい、エルサレムにきて、これを包囲ほういし、周囲しゅういに塁るいを築きずいてこれを攻せめた。52:5 こうしてこの町まちは攻せめ囲かこまれて、ゼデキヤ王おうの十一年ねんにまで及およんだが、52:6 その四月がつ九日かになって、町まちの中なかの食糧しょくりょうは、はなはだしく欠乏けつぼうし、その地ちの民たみは食物しょくもつを得えることができなくなった。52:7 そして町まちの城壁じょうへきはついに打うち破やぶられたので、兵士へいしたちはみな逃にげ、夜よるのうちに、王おうの園そのの近ちかくの、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちをのがれ出でて、カルデヤびとが、町まちを攻せめ囲かこんでいるうちに、アラバの方ほうへ落おちて行いった。52:8 しかしカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは王おうを追おって行いって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいついたが、彼かれの軍勢ぐんぜいがみな散ちって彼かれのそばを離はなれたので、52:9 カルデヤびとは王おうを捕とらえ、ハマテの地ちのリブラにいるバビロンの王おうのもとに引ひいていったので、王おうは彼かれの罪つみを定さだめた。52:10 すなわちバビロンの王おうはゼデキヤの子こたちをその目めの前まえで殺ころさせ、ユダのつかさたちをことごとくリブラで殺ころさせ、52:11 またゼデキヤの目めをつぶさせた。そしてバビロンの王おうは彼かれを鎖くさりにつないでバビロンへ連つれて行いき、その死しぬ日ひまで獄屋ごくやに入いれて置おいた。 52:12 五月がつ十日かに、――それはバビロンの王おうネブカデレザルの世よの十九年ねんであった――バビロンの王おうに仕つかえる侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはエルサレムに、はいって、52:13 主しゅの宮みやと王おうの宮殿きゅうでんを焼やき、エルサレムのすべての家いえを焼やいた。彼かれは大おおきな家いえをみな焼やきはらった。52:14 また侍衛じえいの長ちょうと共ともにいたカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは、エルサレムの周囲しゅういの城壁じょうへきをみな取とりこわした。52:15 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは民たみのうちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかん、そのほか町まちのうちに残のこった者もの、およびバビロンの王おうにくだった人ひと、その他た工 こうしょうたちを捕とらえ移うつした。52:16 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはその地ちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかんを残のこして、ぶどうを作つくる者ものとし、農夫のうふとした。 52:17 カルデヤびとはまた主しゅの宮みやの青銅せいどうの柱はしらと、洗盤せんばんの台だいと、青銅せいどうの海うみを砕くだいて、その青銅せいどうをことごとくバビロンへ運はこび、52:18 また、つぼと、十能じゅうのうと、心切しんきりばさみと、鉢はちと、香こうを盛もる皿さらおよび宮みやの勤つとめに用もちいる青銅せいどうの器うつわをことごとく取とって行いった。52:19 また彼かれらは小鉢こばちと、心取しんとり皿ざらと、鉢はちと、つぼと、燭台しょくだいと、香こうを盛もる皿さらと、灌祭かんさいの鉢はちを取とった。金きんで作つくった物ものは金きんとして、銀ぎんで作つくった物ものは銀ぎんとして、侍衛じえいの長ちょうは運はこび去さった。52:20 ソロモン王おうが主しゅの宮みやに造つくった二本ほんの柱はしらと、一つの海うみと、海うみの下したの十二の青銅せいどうの牛うしと、台だいなど、このすべての物ものの青銅せいどうの重おもさは量はかることもできなかった。52:21 この一本ぽんの柱はしらの高たかさは十八キュビト、周囲しゅういは十二キュビトで、指ゆび四本ほんの厚あつさがあり、中なかは、うつろであった。52:22 その上うえに青銅せいどうの柱頭ちゅうとうがあり、柱頭ちゅうとうの高たかさは五キュビト、柱頭ちゅうとうの周囲しゅういは網あみ細工ざいくと、ざくろとで飾かざり、これらもみな青銅せいどうであった。他たの柱はしらもそのざくろも、これと同おなじであった。52:23 その四方しほうに九十六個このざくろがあり、周囲しゅういの網あみ細工ざいくの上うえにあるざくろの数かずは百個こであった。 52:24 侍衛じえいの長ちょうは祭司さいし長ちょうセラヤと次席じせきの祭司さいしゼパニヤと三人にんの門もんを守まもる者ものを捕とらえ、52:25 また兵士へいしをつかさどるひとりの役人やくにんと、町まちにいた王おうの側近そっきんの者もの七人にんと、その地ちの民たみを募つのる軍勢ぐんぜいの長ちょうの書記官しょきかんと、町まちの中なかにいた六十人にんの者ものを町まちから捕とらえ去さった。52:26 侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、これらの人ひとを捕とらえて、リブラにいるバビロンの王おうのもとに連つれて行いった。52:27 バビロンの王おうは、ハマテの地ちのリブラで彼かれらを撃うち殺ころした。こうして、ユダは自分じぶんの地ちから捕とらえ移うつされた。 52:28 ネブカデレザルが捕とらえ移うつした民たみの数かずは次つぎのとおりである。第だい七年ねんにはユダヤ人ひと三千二十三人にん。52:29 またネブカデレザルはその第だい十八年ねんにエルサレムから八百三十二人にんを捕とらえ移うつした。52:30 ネブカデレザルの二十三年ねんに侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、ユダヤ人ひと七百四十五人にんを捕とらえ移うつした。この総数そうすうは四千六百人にんであった。 52:31 ユダの王おうエホヤキンが捕とらえ移うつされて後のち三十七年ねんの十二月がつ二十五日にちに、バビロンの王おうエビルメロダクはその即位そくいの年ねんに、ユダの王おうエホヤキンを獄屋ごくやから出だし、そのこうべを挙あげさせ、52:32 親切しんせつに彼かれを慰なぐさめ、その位くらいを、バビロンで共ともにいる王おうたちの位くらいよりも高たかくした。52:33 こうしてエホヤキンは獄屋ごくやの服ふくを脱ぬいだ。そして生いきている間あいだは毎日まいにち王おうの食卓しょくたくで食事しょくじし、52:34 彼かれの給与きゅうよとしては、その死しぬ日ひまで一生いっしょうの間あいだ、たえず日々ひびの必要ひつようにしたがって、バビロンの王おうから給与きゅうよを賜たまわった。
48:1 モアブの事ことについて、万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、 「ああ、ネボはわざわいだ、これは滅ほろぼされた。キリヤタイムははずかしめられて取とられ、とりでは、はずかしめられてこわされた。
48:2 モアブの誉ほまれは、消きえ去さった。ヘシボンで人々ひとびとはモアブの害がいを図はかり、『さあ、この国くにを断たち滅ほろぼそう』という。マデメンよ、おまえもまた滅ほろぼされる、つるぎがおまえを追おう。
48:3 ホロナイムから叫さけび声ごえが聞きこえる、『荒廃こうはいと大おおいなる滅亡めつぼうだ』という。
48:4 モアブは滅ほろぼされ、叫さけびはゾアルにまで聞きこえる。
48:5 彼かれらは泣なきながらルヒテの坂さかを登のぼる。彼かれらはホロナイムの下くだり坂ざかで、『滅亡めつぼう』の叫さけびを聞きいたからだ。
48:6 逃にげて、自分じぶんの身みを救すくえ、荒野あらのの野のろばのようになれ。
48:7 おまえが、とりでと財宝ざいほうとを頼たのみにしたので、おまえも捕とらえられるからだ。またケモシは、その祭司さいしとつかさたちと共ともに、捕とらえられて行いく。
48:8 滅ほろぼす者ものはすべての町まちに来くる、一つの町まちものがれることができない。谷たには滅ほろび、平地へいちは荒あらされる、主しゅの言いわれたとおりである。
48:9 モアブに翼つばさを与あたえて、飛とび去さらせよ。その町々まちまちは荒あれて、住すむ者ものはなくなる。
48:10 主しゅのわざを行おこなうことを怠おこたる者ものはのろわれる。またそのつるぎを押おさえて血ちを流ながさない者ものはのろわれる。
48:11 モアブはその幼おさない時ときから安やすらかで、酒さけが、沈しずんだおりの上うえにとどまって、器うつわから器うつわに、くみ移うつされなかったように、捕とらえ移うつされなかったので、その味あじはなお存そんし、その香気こうきも変かわることがない。
48:12 主しゅは言いわれる、それゆえ見みよ、わたしがこれを傾かたむける者ものどもをつかわす日ひが来くる。彼かれらはこれを傾かたむけ、その器うつわをあけ、そのかめを砕くだく。
48:13 その時ときモアブはケモシのために恥はじをかく。ちょうどイスラエルの家いえがその頼たのみとしたベテルのために恥はじをかいたようになる。
48:14 あなたがたはどうして『われわれは勇士ゆうしだ。強つよい戦士せんしだ』というのか。
48:15 モアブとその町々まちまちを滅ほろぼす者ものは上のぼって来き、モアブのえり抜ぬきの若者わかものたちは下くだって殺ころされたと万軍ばんぐんの主しゅと名なのる王おうが言いわれる。
48:16 モアブの災難さいなんは近ちかづいている、その苦難くなんはすみやかに来くる。
48:17 すべてその周囲しゅういにある者ものよ、またその名なを知しる者ものよ、彼かれのために嘆なげいて、『ああ、強つよき笏しゃく、麗うるわしきつえは、ついに折おれた』と言いえ。
48:18 デボンに住すむ者ものよ、ああなたの栄さかえを離はなれて下くだり、かわいた地ちに座ざせよ。モアブを滅ほろぼす者ものがあなたに攻せめのぼって来きて、あなたの城しろを滅ほろぼしたからだ。
48:19 アロエルに住すむ者ものよ、道みちのかたわらに立たって見張みはりし、逃にげてくる男おとこ、のがれてくる女おんなに尋たずねて、『何なにが起おこったのか』と言いえ。
48:20 モアブは敗やぶれて、恥はじをこうむっている。嘆なげき呼よばわれ。アルノン川かわのほとりで、モアブは滅ほろぼされたと告つげよ。
48:21 さばきは高原こうげんの地ちに臨のぞみ、ホロン、ヤハズ、メパアテ、
48:22 デボン、ネボ、ベテ・デブラタイム、
48:23 キリヤタイム、ベテ・ガムル、ベテ・メオン、
48:24 ケリオテ、ボズラなどモアブの地ちのすべての町まちの、遠とおいものにも近ちかいものにも、臨のぞんだ。
48:25 モアブの角つのは砕くだけ、その腕うでは折おれたと主しゅは言いわれる。
48:26 モアブを酔よわせよ、彼かれが主しゅに敵てきして自みずから高たかぶったからである。モアブは自分じぶんの吐はいた物ものの中なかにころがって、笑わらい草ぐさとなる。
48:27 イスラエルはあなたの笑わらい草ぐさではなかったか。あなたが、彼かれのことを語かたるごとに首くびを振ふったのは、彼かれが盗賊とうぞくの中なかにいたとでもいうのか。
48:28 モアブに住すむ者ものよ、町まちを去さって岩いわの間あいだに住すめ。谷たにの入口いりぐちのかたわらに巣すを作つくる山やまばとのようにせよ。
48:29 われわれはモアブの高慢こうまんな事ことを聞きいた、その高慢こうまんは、はなはだしい。すなわち、その尊大そんだい、高慢こうまん、横柄おうへい、およびその心こころの高たかぶりのことを聞きいた。
48:30 主しゅは言いわれる、わたしは彼かれの横着おうちゃくなのを知しる、彼かれの自慢じまんは偽いつわりで、その行おこないも偽いつわりである。
48:31 それゆえ、わたしはモアブのために嘆なげき、モアブの全ぜん地ちのために呼よばわる。キルヘレスの人々ひとびとのためにわたしは悲かなしむ。
48:32 シブマのぶどうの木きよ、わたしはヤゼルのために泣なくのにまさっておまえのために泣なく。おまえのつるは延のびて海うみを越こえ、ヤゼルに及およんだ。おまえの夏なつの実みと、その収穫しゅうかくを滅ほろぼす者ものが襲おそってきた。
48:33 喜よろこびと楽たのしみは、実みのり多おおいモアブの地ちを去さった。わたしは、ぶどうをしぼる所ところにも酒さけをなくした。楽たのしく呼よばわって、ぶどうを踏ふむ者ものもなくなった。呼よばわっても、喜よろこんで呼よばわる声こえではない。
48:34 ヘシボンとエレアレは叫さけぶ。ヤハヅに至いたるまで、ゾアルからホロナイムとエグラテ・シリシヤに至いたるまで、彼かれらはその声こえをあげる。ニムリムの水みずも絶たえたからである。
48:35 主しゅは言いわれる、わたしは犠牲ぎせいを高たかき所ところにささげ、香こうをその神かみにたく者ものをモアブのうちに滅ほろぼす。
48:36 それゆえ、わたしの心こころはモアブのために笛ふえのように嘆なげき、わたしの心こころはキルヘレスの人々ひとびとのために笛ふえのように嘆なげく。彼かれらの獲えた富とみが消きえうせたからである。
48:37 人ひとはみな髪かみをそり、皆みなひげをそり、みな手てに傷きずをつけ、腰こしに荒布あらぬのを着つける。
48:38 モアブではどこの屋根やねの上うえも、広場ひろばも、ただ悲かなしみに包つつまれている。これは、わたしが、だれもほしがらない器うつわのようにモアブを砕くだいたからであると主しゅは言いわれる。
48:39 ああ、モアブはついに滅ほろびた。人々ひとびとは嘆なげく。ああ、モアブは恥はじて顔かおをそむけた。モアブはその周囲しゅういのすべての者ものの笑わらい草ぐさとなり恐おそれとなった」。
48:40 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、敵てきはわしのように速はやく飛とんできて、モアブに向むかって翼つばさをのべる。
48:41 町々まちまちは取とられ、城しろは奪うばわれる。その日ひモアブの勇士ゆうしの心こころは子こを産うむ女おんなの心こころのようになる。
48:42 モアブは滅ほろぼされて、国くにを成なさないようになる。主しゅに敵てきして自みずから誇ほこったからである。
48:43 主しゅは言いわれる、モアブに住すむ者ものよ、恐おそれと、穴あなと、わなとがあなたに臨のぞんでいる。
48:44 恐おそれをさけて逃にげる者ものは穴あなにおちいり、穴あなをよじ上のぼって出でる者ものは、わなに捕とらえられる。わたしがモアブに、その罰ばっせられる年としに、これらのものを臨のぞませるからであると主しゅは言いわれる。
48:45 逃にげた者ものはヘシボンの陰かげに、力ちからなく立たちどまる。ヘシボンから火ひが出で、シホンの家いえから炎ほのおが出でて、モアブの額ひたい、騒さわぐ人々ひとびとの頭あたまの頂いただきを焼やいたからだ。
48:46 モアブよ、おまえはわざわいだ。ケモシの民たみは滅ほろびた。おまえのむすこらは捕とらえ移うつされ、おまえの娘むすめらも捕とらえ行ゆかれたからである。
48:47 しかし末すえの日ひにわたしは再ふたたびモアブを栄さかえさせると主しゅは言いわれる」。ここまではモアブのさばきの事ことをいったのである。
第49章 49:1 アンモンびとについて、主しゅはこう言いわれる、「イスラエルには子こがないのか、世継よつぎがないのか。どうしてミルコムがガドを追おい出だして、その民たみがその町々まちまちに住すんでいるのか。49:2 主しゅは言いわれる、それゆえ、見みよ、アンモンびとのラバを攻せめる戦たたかいの叫さけびを、わたしが聞きこえさせる日ひが来くる。ラバは荒塚あれづかとなり、その村々むらむらは火ひで焼やかれる。そのときイスラエルは自分じぶんを追おい出だした者ものどもを追おい出だすと主しゅは言いわれる。 49:3 ヘシボンよ嘆なげけ、アイは滅ほろぼされた。ラバの娘むすめたちよ呼よばわれ。荒布あらぬのを身みにまとい、悲かなしんで、まがきのうちを走はしりまわれ。ミルコムとその祭司さいしおよびつかさが共ともに捕とらえ移うつされるからだ。49:4 不信ふしんの娘むすめよ、あなたはなぜ自分じぶんの谷たにの事ことを誇ほこるのか。あなたは自分じぶんの富とみに寄より頼たよんで、『だれがわたしに攻せめてくるものか』と言いう。49:5 主しゅなる万軍ばんぐんの神かみは言いわれる、見みよ、わたしはあなたの上うえに恐おそれを臨のぞませる、それはあなたの周囲しゅういの者ものから来くる。あなたは追おわれて、おのおの直ただちに他人たにんに続つづき、逃にげる者ものを集あつめる人ひともない。49:6 しかし、のちになって、わたしはアンモンびとを再ふたたび栄さかえさせると、主しゅは言いわれる」。49:7 エドムの事ことについて、万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「テマンには、もはや知恵ちえがないのか。さとい者ものには計はかりごとがなくなったのか。その知恵ちえは消きえうせたのか。49:8 デダンに住すむ者ものよ、逃にげよ、のがれよ、深ふかい所ところに隠かくれよ。わたしがエサウの災難さいなんを彼かれの上うえに臨のぞませ、彼かれを罰ばっする時ときをこさせるからだ。49:9 ぶどうを集あつめる者ものがあなたの所ところに来きたならば、すこしの実みをも残のこさないであろうか。夜よる、盗ぬすびとが来きたならば、自分じぶんたちの満足まんぞくするだけ滅ほろぼさないであろうか。49:10 しかしわたしはエサウを裸はだかにし、その隠かくれる所ところを現あらわしたので、彼かれはその身みを隠かくすことができない。その子こどもたちも、兄弟きょうだいも、隣となり人びとも滅ほろぼされる。そして彼かれは、いなくなる。49:11 あなたのみなしごを残のこせ、わたしがそれを生いきながらえさせる。あなたのやもめには、わたしに寄より頼たのませよ」。49:12 主しゅはこう言いわれる、「もし、杯さかずきを飲のむべきでない者ものもそれを飲のまなければならなかったとすれば、あなたは罰ばつを免まぬかれることができようか。あなたは罰ばつを免まぬかれない。それを飲のまなければならない。49:13 主しゅは言いわれる、わたしは自分じぶんをさして誓ちかった、ボズラは驚おどろきとなり、ののしりとなり、荒あれ地ちとなり、のろいとなる。その町々まちまちは長ながく荒あれ地ちとなる」。 49:14 わたしは主しゅからのおとずれを聞きいた。ひとりの使者ししゃがつかわされて万国ばんこくに行いき、そして言いった、「あなたがたは集あつまり、行いって彼かれを攻せめ、立たって戦たたかえ。49:15 見みよ、わたしはあなたを万国ばんこくのうちに小ちいさい者ものとし、人々ひとびとのうちに卑いやしめられる者ものとする。49:16 岩いわの割われ目めに住すみ、山やまの高たかみを占しめる者ものよ、あなたの恐おそろしい事ことと、あなたの心こころの高たかぶりが、あなたを欺あざむいた。あなたは、わたしのように巣すを高たかい所ところに作つくっているが、わたしはその所ところからあなたを取とりおろすと主しゅは言いわれる。49:17 エドムは恐おそれとなる。そのかたわらを通とおり過すぎる者ものはみな恐おそれ、その災わざわいのために、舌打したうちする。49:18 主しゅは言いわれる、ソドムとゴモラとその隣となりの町々まちまちがくつがえされた時ときのように、そこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひともなくなる。49:19 見みよ、ししがヨルダンの密林みつりんから上のぼってきて、じょうぶな羊ひつじのおりを襲おそうように、わたしは、たちまち彼かれらをそこから逃にげ走はしらせ、わたしの選えらぶ者ものをその上うえに立たてる。だれかわたしのような者ものがあるであろうか。だれがわたしを呼よびつけることができようか。どの牧者ぼくしゃがわたしの前まえに立たつことができようか。49:20 それゆえ、エドムに対たいして主しゅが立たてた計はかりごとと、テマンに住すむ者ものに対たいしてしようとする事ことを聞きくがよい。彼かれらの群むれのうちの小ちいさいものまでも皆みな、引ひかれて行いく。彼かれらのおりのものもその終おわりを見みて恐おそれる。49:21 その倒たおれる音おとを聞きいて、地ちは震ふるい、彼かれらの叫さけび声ごえは紅海こうかいにも聞きこえる。49:22 見みよ、敵てきはわしのように上のぼり、すみやかに飛とびかけり、その翼つばさをボズラの上うえに張はり広ひろげる。その日ひエドムの勇士ゆうしの心こころは子こを産うむ女おんなの心こころのようになる」。 49:23 ダマスコの事ことについて、「ハマテとアルパデは、うろたえている、彼かれらは悪わるいおとずれを聞きいたからだ。彼かれらは勇気ゆうきを失うしない、穏おだやかになることのできない海うみのように悩なやむ。49:24 ダマスコは弱よわり、身みをめぐらして逃にげた、恐怖きょうふに襲おそわれている。子こを産うむ女おんなに臨のぞむように痛いたみと悲かなしみと彼かれに臨のぞむ。49:25 ああ、名なある町まち、楽たのしい町まちは捨すてられる。49:26 それゆえ、その日ひに、若わかい者ものは、広場ひろばに倒たおれ、兵士へいしはことごとく滅ほろぼされると万軍ばんぐんの主しゅは言いわれる。49:27 わたしはダマスコの城壁じょうへきの上うえに火ひを燃もやし、ベネハダデの宮殿きゅうでんを焼やき尽つくす」。49:28 バビロンの王おうネブカデレザルが攻せめ撃うったケダルとハゾルの諸国しょこくの事ことについて、 主しゅはこう言いわれる、「立たって、ケダルに向むかって進すすみ、東ひがしの人々ひとびとを滅ほろぼせ。49:29 彼かれらの天幕てんまくと、その羊ひつじの群むれとは取とられ、その垂幕たれまくとそのもろもろの器うつわと、らくだとは彼かれらの所ところから運はこび去さられ、人々ひとびとは彼かれらに向むかって叫さけぶ、『恐おそろしいことが四方しほうにある』と。49:30 主しゅは言いわれる、ハゾルに住すむ者ものよ、逃にげよ、遠とおくさまよい行いき、深ふかい所ところに隠かくれよ。バビロンの王おうネブカデレザルがあなたがたを攻せめる計はかりごとをめぐらし、あなたがたを攻せめる、てだてを設もうけたからだ。 49:31 主しゅは言いわれる、立たって進すすみ、安全あんぜんな所ところに住すむきらくな民たみを攻せめよ、彼かれらは門もんもなく、貫かんの木きもなく、ひとり離はなれて住すむ。49:32 彼かれらのらくだは、ぶんどり物ものとなり、家畜かちくの群むれは奪うばわれる。わたしは、かの髪かみの毛けのすみずみを切きる者ものを四方しほうに散ちらし、その災難さいなんを八方はっぽうからこさせると主しゅは言いわれる。49:33 ハゾルは山犬やまいぬのすまいとなり、いつまでも荒あれ地ちとなっている。だれもそこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひともない」。49:34 ユダの王おうゼデキヤの治世ちせいの初はじめのころに、エラムの事ことについて預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ主しゅの言葉ことば。 49:35 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしはエラムが力ちからとして頼たよんでいる弓ゆみを折おる。49:36 わたしは天てんの四方しほうから、四方しほうの風かぜをエラムにこさせ、彼かれらを四方しほうの風かぜに散ちらす。エラムから追おい出だされる者ものの行いかない国くにはない。49:37 主しゅは言いわれる、わたしはエラムをしてその敵てきの前まえ、またその命いのちを求もとめる者ものの前まえに恐おそれさせる。わたしは災わざわいをくだし、激はげしい怒いかりをその上うえにくだす。彼かれらのうしろに、つるぎを送おくって滅ほろぼし尽つくす。49:38 そしてわたしの位くらいをエラムにすえ、王おうとつかさたちとを滅ほろぼすと主しゅは言いわれる。 49:39 しかし末すえの日ひに、わたしはエラムを再ふたたび栄さかえさせると、主しゅは言いわれる」。 第50章 50:1 主しゅが預言者よげんしゃエレミヤによって語かたられたバビロンとカルデヤびとの地ちの事ことについての言葉ことば。 50:2 「国々くにぐにのうちに告つげ、また触ふれ示しめせよ、旗はたを立たてて、隠かくすことなく触ふれ示しめして言いえ、『バビロンは取とられ、ベルははずかしめられ、メロダクは砕くだかれ、その像ぞうははずかしめられ、その偶像ぐうぞうは砕くだかれる』と。50:3 それは、北きたの方ほうから一つの国民こくみんがきて、これを攻せめ、その地ちを荒あらして、住すむ人ひともないようにするからである。人ひとも獣けものもみな逃にげ去さってしまう。 50:4 主しゅは言いわれる、その日ひその時とき、イスラエルの民たみとユダの民たみは共ともに帰かえってくる。彼かれらは嘆なげきながら帰かえってくる。そしてその神かみ、主しゅを求もとめる。50:5 彼かれらは顔かおをシオンに向むけて、その道みちを問とい、『さあ、われわれは、永遠えいえんに忘わすれられることのない契約けいやくを結むすんで主しゅに連つらなろう』と言いう。 50:6 わたしの民たみは迷まよえる羊ひつじの群むれである、その牧者ぼくしゃがこれをいざなって、山やまに踏ふみ迷まよわせたので、山やまから丘おかへと行いきめぐり、その休やすむ所ところを忘わすれた。50:7 これに会あう者ものはみなこれを食たべた。その敵てきは言いった、『われわれに罪つみはない。彼かれらがそのまことのすみかである主しゅ、先祖せんぞたちの希望きぼうであった主しゅに対たいして罪つみを犯おかしたのだ』と。 50:8 バビロンのうちから逃にげよ。カルデヤびとの地ちから出でよ。群むれの前まえに行いく雄おやぎのようにせよ。50:9 見みよ、わたしは大おおきい国々くにぐにを起おこし集あつめて、北きたの地ちからバビロンに攻せめこさせる。彼かれらはこれに向むかって勢せいぞろいをし、これをその所ところから取とる。彼かれらの矢やはむなしく帰かえらない老練ろうれんな勇士ゆうしのようである。50:10 カルデヤは人ひとにかすめられる。これをかすめる者ものはみな飽あくことができると、主しゅは言いわれる。 50:11 わたしの嗣し業ぎょうをかすめる者ものどもよ、あなたがたは喜よろこび楽たのしみ、雌めすの子こ牛うしのように草くさに戯たわむれ、雄お馬うまのように、いなないているが、50:12 あなたがたの母はははいたくはずかしめられ、あなたがたを産うんだ者ものは恥はじをこうむる。見みよ、彼女かのじょは国々くにぐにのうちの最もっともあとなるものとなり、かわいた砂原すなはらの荒野あらのとなる。50:13 主しゅの怒いかりによって、ここに住すむ者ものはなく、完全かんぜんに荒あれ地ちとなる。バビロンのかたわらを通とおる者ものは、みなその傷きずを見みて驚おどろき、かつあざ笑わらう。50:14 あなたがたすべて弓ゆみを張はる者ものよ、バビロンの周囲しゅういに勢せいぞろいして、これを攻せめ、矢やを惜おしまずに、これを射いよ、彼女かのじょが主しゅに罪つみを犯おかしたからだ。50:15 その周囲しゅういに叫さけび声ごえをあげよ、彼女かのじょは降伏こうふくした。そのとりでは倒たおれ、その城壁じょうへきはくずれた、主しゅがあだをかえされたからだ。彼女かのじょに報復ほうふくせよ、彼女かのじょがおこなったように、これに行おこなえ。50:16 種たねまく者ものと、刈入かりいれどきに、かまを取とる者ものをバビロンに絶たやせ。滅ほろぼす者もののつるぎを恐おそれて、人ひとはおのおの自分じぶんの民たみの所ところに帰かえり、そのふるさとに逃にげて行いく。50:17 イスラエルは、ししに追おわれて散ちった羊ひつじである。初はじめにアッスリヤの王おうがこれを食くい、そして今いまはついにバビロンの王おうネブカデレザルがその骨ほねをかじった。50:18 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみは、こう言いわれる、見みよ、わたしはアッスリヤの王おうを罰ばっしたように、バビロンの王おうとその国くにに罰ばつを下くだす。50:19 わたしはイスラエルを再ふたたびその牧場まきばに帰かえらせる。彼かれはカルメルとバシャンで草くさを食たべる。またエフライムの山やまとギレアデでその望のぞみが満みたされる。50:20 主しゅは言いわれる、その日ひその時ときには、イスラエルのとがを探さがしても見当みあたらず、ユダの罪つみを探さがしてもない。それはわたしが残のこしておく人々ひとびとを、ゆるすからである。50:21 主しゅは言いわれる、上のぼって行いって、メラタイムの地ちを攻せめ、ペコデの民たみを攻せめ、彼かれらを殺ころして全まったく滅ほろぼし、わたしがあなたがたに命めいじたことを皆みな、行おこないなさい。50:22 その地ちに、いくさの叫さけびと、大おおいなる滅ほろびがある。50:23 ああ、全ぜん地ちを砕くだいた鎚つちはついに折おれ砕くだける。ああ、バビロンはついに国々くにぐにのうちの恐おそるべき見みものとなる。50:24 バビロンよ、わたしは、おまえを捕とらえるためにわなをかけたが、おまえはそれにかかった。そしておまえはそれを知しらなかった。おまえは主しゅに敵てきしたので、尋たずね出だされ、捕とらえられた。50:25 主しゅは武器ぶきの倉くらを開ひらいてその怒いかりの武器ぶきを取とり出だされた。主しゅなる万軍ばんぐんの神かみが、カルデヤびとの地ちに事ことを行おこなわれるからである。50:26 あらゆる方面ほうめんからきて、これを攻せめ、その穀倉こくぐらを開ひらき、これを穀物こくもつの山やまのように積つみ上あげ、完全かんぜんに滅ほろぼし尽つくし、そこに残のこる者もののないようにせよ。50:27 その雄牛おうしをことごとく殺ころせ、それを、ほふり場ばに下くだらせよ。それらのものはわざわいだ、その日ひ、その罰ばつを受うける時ときがきたからだ。50:28 聞きけよ、バビロンの地ちから逃にげ、のがれてきた者ものの声こえがする。われわれの神かみ、主しゅの報復ほうふく、その宮みやの報復ほうふくの事ことをシオンに告つげ示しめす。 50:29 弓ゆみを張はる射手いてをことごとく呼よび集あつめて、バビロンを攻せめよ。その周囲しゅういに陣じんを敷しけ。ひとりも逃がにがすな。そのしわざにしたがってバビロンに報むくい、これがおこなった所ところにしたがってこれに行おこなえ。彼かれがイスラエルの聖者せいじゃである主しゅに向むかって高慢こうまんにふるまったからだ。50:30 それゆえ、その日ひ、若わかい者ものは、広場ひろばに倒たおれ、兵士へいしはみな絶たやされると主しゅは言いわれる。 50:31 主しゅなる万軍ばんぐんの神かみは言いわれる、高たかぶる者ものよ、見みよ、わたしはおまえの敵てきとなる、あなたの日ひ、わたしがおまえを罰ばっする時ときが来きた。50:32 高たかぶる者ものはつまずき倒たおれる、これを助たすけ起おこすものはない。わたしはその町々まちまちに火ひを燃もやして、その周囲しゅういの者ものをことごとく焼やき尽つくす。50:33 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、イスラエルの民たみとユダの民たみは共ともにしえたげられている。彼かれらをとりこにした者ものはみな彼かれらを固かたく守まもって釈放しゃくほうすることを拒こばむ。50:34 彼かれらをあがなう者ものは強つよく、その名なは万軍ばんぐんの主しゅといわれる。彼かれは必かならず彼かれらの訴うったえをただし、この地ちに安やすきを与あたえるが、バビロンに住すむ者ものには不安ふあんを与あたえられる。 50:35 主しゅは言いわれる、カルデヤびとの上うえとバビロンに住すむ者ものの上うえ、そのつかさたち、その知者ちしゃたちの上うえにつるぎが臨のぞむ。50:36 占うらない師しの上うえにつるぎが臨のぞみ、彼かれらは愚おろか者ものとなる。その勇士ゆうしの上うえにつるぎが臨のぞみ、彼かれらは滅ほろぼされる。50:37 その馬うまの上うえと、その車くるまの上うえにつるぎが臨のぞみ、またそのうちにあるすべての雇やとい兵へいの上うえに臨のぞみ、彼かれらは女おんなのようになる。その財宝ざいほうの上うえにつるぎが臨のぞみ、それはかすめられる。50:38 その水みずの上うえに、ひでりが来きて、それはかわく。それは、この地ちが偶像ぐうぞうの地ちであって、人々ひとびとが偶像ぐうぞうに心こころが狂くるっているからだ。50:39 それゆえ、野のの獣けものと山犬やまいぬとは共ともにバビロンにおり、だちょうもそこに住すむ。しかし、いつまでもその地ちに住すむ人ひとはなく、世々よよここに住すむ人ひとはない。50:40 主しゅは言いわれる、神かみがソドムとゴモラと、その隣となりの町々まちまちを滅ほろぼされたように、そこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひとの子こはない。 50:41 見みよ、一つの民たみが北きたの方ほうから来くる。大おおいなる国くにと多おおくの王おうが地ちの果はてから立たち上あがっている。50:42 彼かれらは弓ゆみと、やりを取とる。残忍ざんにんで、あわれみがなく、その響ひびきは海うみの鳴なりとどろくようである。バビロンの娘むすめよ、彼かれらは馬うまに乗のり、いくさびとのように身みをよろって、あなたを攻せめる。50:43 バビロンの王おうはそのうわさを聞きいて、その手ては弱よわり、子こを産うむ女おんなに臨のぞむような痛いたみと苦くるしみに迫せまられた。50:44 見みよ、ししがヨルダンの密林みつりんから上のぼってきて、じょうぶな羊ひつじのおりを襲おそうように、わたしは、たちまち彼かれらをそこから逃にげ去さらせる。そしてわたしの選えらぶ者ものをその上うえに立たてる。だれかわたしのような者ものがあるであろうか。だれがわたしを呼よびつけることができようか。どの牧者ぼくしゃがわたしの前まえに立たつことができようか。50:45 それゆえ、バビロンに対たいして主しゅが立たてた計はかりごとと、カルデヤびとの地ちに対たいしてしようとする事ことを聞きくがよい。彼かれらの群むれのうちの小ちいさい者ものは、かならず引ひかれて行いく。彼かれらのおりのものも必かならずその終おわりを見みて恐おそれる。50:46 バビロンが取とられたとの声こえによって地ちは震ふるい、その叫さけびは国々くにぐにのうちに聞きこえる」。 第51章 51:1 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは、滅ほろぼす者ものの心こころを奮ふるい起おこして、バビロンを攻せめ、カルデヤに住すむ者ものを攻せめさせる。51:2 わたしはバビロンに、あおぎ分わける者ものをつかわす。彼かれらは、その災わざわいの日ひに、四方しほうからこれを攻せめ、それをあおぎ分わけて、その地ちをむなしくする。51:3 射手いてにはその弓ゆみを張はらせることなく、よろいを着きて立たち上あがらせるな。その若わかき者ものをあわれむことなく、その軍勢ぐんぜいをことごとく滅ほろぼせ。51:4 彼かれらはカルデヤびとの地ちに殺ころされて倒たおれ、そのちまたに傷きずついて倒たおれる。51:5 イスラエルとユダはその神かみ、万軍ばんぐんの主しゅに捨すてられてはいないが、しかしカルデヤびとの地ちにはイスラエルの聖者せいじゃに向むかって犯おかした罪つみが満みちている。 51:6 バビロンのうちからのがれ出でて、おのおのその命いのちを救すくえ。その罰ばつにまきこまれて断たち滅ほろぼされてはならない。今いまは主しゅがあだを返かえされる時ときだから、それに報復ほうふくをされるのである。51:7 バビロンは主しゅの手てのうちにある金きんの杯さかずきであって、すべての地ちを酔よわせた。国々くにぐにはその酒さけを飲のんだので、国々くにぐには狂くるった。51:8 バビロンはたちまち倒たおれて破やぶれた。これがために嘆なげけ。その傷きずのために乳香にゅうこうを取とれ。あるいは、いえるかも知しれない。51:9 われわれはバビロンをいやそうとしたが、これはいえなかった。われわれはこれを捨すてて、おのおの自分じぶんの国くにに帰かえろう。その罰ばつが天てんに達たっし、雲くもにまで及およんでいるからだ。51:10 主しゅはわれわれの正ただしいことを明あきらかにされた。さあ、われわれはシオンで、われわれの神かみ、主しゅのみわざを告つげ示しめそう。51:11 矢やをとぎ、 盾たてを取とれ。主しゅはメデアびとの王おうたちの心こころを引ひき立たてられる。主しゅのバビロンに思おもい図はかることは、これを滅ほろぼすことであり、主しゅがあだを返かえし、その宮みやのあだを返かえされるのである。 51:12 バビロンの城壁じょうへきに向むかって旗はたを立たて、見張みはりを強固きょうこにし、番兵ばんぺいを置おき、伏兵ふくへいを備そなえよ。主しゅがバビロンに住すむ者ものを攻せめようと図はかり、その言いわれたことを、いま行おこなわれるからだ。51:13 多おおくの水みずのほとりに住すみ、多おおくの財宝ざいほうを持もつ者ものよ、あなたの終おわりが来きて、その命いのちの糸いとは断たたれる。51:14 万軍ばんぐんの主しゅはみずからをさして誓ちかい、言いわれる、わたしは必かならずあなたのうちに、人ひとをいなごのように満みたす。彼かれらはあなたに向むかって、かちどきの声こえをあげる。 51:15 主しゅはその力ちからをもって地ちを造つくり、その知恵ちえをもって世界せかいを建たて、その悟さとりをもって天てんをのべられた。51:16 彼かれが声こえを出だされると、天てんに多おおくの水みずのざわめきがあり、また地ちの果はてから霧きりを立たちあがらせられる。彼かれは雨あめのためにいなびかりをおこし、その倉くらから風かぜを取とり出だされる。51:17 すべての人ひとは愚おろかで知恵ちえがなく、すべての金きん細工人ざいくにんはその造つくった偶像ぐうぞうのために恥はじをこうむる。その偶像ぐうぞうは偽いつわり物もので、そのうちに息いきがないからだ。51:18 それらは、むなしいもの、迷まよいのわざである。罰ばっせられる時ときになれば滅ほろびるものである。51:19 ヤコブの分ぶんである彼かれはこのようなものではない、彼かれは万物ばんぶつの造つくり主ぬしだからである。イスラエルは彼かれの嗣し業ぎょうとしての部族ぶぞくである。彼かれの名なは万軍ばんぐんの主しゅという。 51:20 おまえはわたしの鎚つちであり、戦たたかいの武器ぶきである。わたしはおまえをもってすべての国くにを砕くだき、おまえをもって万国ばんこくを滅ほろぼす。51:21 おまえをもってわたしは馬うまと、その騎手きしゅとを砕くだき、おまえをもって戦車せんしゃとそれに乗のる者ものとを砕くだく。51:22 わたしはおまえをもって男おとこと女おんなとを砕くだき、おまえをもって老おいた者ものと幼おさない者ものとを砕くだき、おまえをもって若わかい者ものと、おとめとを砕くだく。51:23 わたしはおまえをもって、羊飼ひつじかいと、その群むれとを砕くだき、おまえをもって農夫のうふと、くびきを負おう家畜かちくとを砕くだき、おまえをもっておさたちと、つかさたちとを砕くだく。51:24 わたしはバビロンとカルデヤに住すむすべての者ものとに、彼かれらがシオンで行いったもろもろの悪あしき事ことのために、あなたがたの目めの前まえで報むくいをすると、主しゅは言いわれる。 51:25 主しゅは言いわれる、全ぜん地ちを滅ほろぼし尽つくす滅ほろぼしの山やまよ、見みよ、わたしはおまえの敵てきとなる、わたしは手てをおまえの上うえに伸のべて、おまえを岩いわからころばし、おまえを焼やけ山やまにする。51:26 主しゅは言いわれる、人ひとがおまえから石いしを取とって、隅すみの石いしとすることなく、また礎いしずえとすることもない。おまえはいつまでも荒あれ地ちとなっている。51:27 地ちに旗はたを立たて、国々くにぐにのうちにラッパを吹ふき、国々くにぐにの民たみを集あつめてそれを攻せめ、アララテ、ミンニ、アシケナズの国々くにぐにをまねいてそれを攻せめ、軍ぐんの長ちょうを立たててそれを攻せめ、群むらがるいなごのように馬うまを上のぼり行いかせよ。51:28 国々くにぐにの民たみを集あつめてそれを攻せめ、メデアびとの王おうたちと、そのおさたち、つかさたち、およびすべての領地りょうちの人々ひとびとを集あつめてこれを攻せめよ。51:29 その地ちは震ふるい、かつもだえ苦くるしむ、主しゅがその思おもい図はかることをバビロンにおこない、バビロンの地ちを、住すむ人ひとなき荒あれ地ちとされるからだ。51:30 バビロンの勇士ゆうしたちは戦たたかいをやめて、その城しろにこもり、力ちからはうせて、女おんなのようになる。その家いえは焼やけ、その貫かんの木きは砕くだかれる。51:31 飛脚ひきゃくは走はしって飛脚ひきゃくに会あい、使者ししゃは走はしって使者ししゃに会あい、バビロンの王おうに告つげて、町まちはことごとく取とられ、51:32 渡わたし場ばは奪うばわれ、とりでは火ひで焼やかれ、兵士へいしはおびえていると言いう。51:33 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、バビロンの娘むすめは、打うち場ばのようだ、その踏ふまれる時ときが来きたのだ。しばらくしてその刈かり取とられる時ときが来くる」。 51:34 「バビロンの王おうネブカデレザルはわたしを食くい尽つくし、わたしを滅ほろぼし、わたしを、からの器うつわのようにし、龍りゅうのようにわたしを飲のみ、わたしのうまい物ものでその腹はらを満みたし、わたしを洗あらいざらいにした。51:35 わたしとわたしの肉親にくしんにおこなった暴虐ぼうぎゃくは、バビロンにふりかかる」とシオンに住すむ者ものは言いわなければならない。「わたしの血ちはカルデヤに住すむ者ものにふりかかる」とエルサレムは言いわなければならない。51:36 それゆえ主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしはあなたの訴うったえをただし、あなたのためにあだを返かえす。わたしはバビロンの海うみをかわかし、その泉いずみをかわかす。51:37 バビロンは荒塚あれづかとなり、山犬やまいぬのすまいとなり、驚おどろきとなり、笑わらいとなり、住すむ人ひとのない所ところとなる。51:38 彼かれらはししのように共ともにほえ、若わかいししのようにほえる。51:39 彼かれらの欲よくの燃もえている時とき、わたしは宴うたげを設もうけて彼かれらを酔よわせ、彼かれらがついに気きを失うしなって、ながい眠ねむりにいり、もはや目めをさますことのないようにしようと主しゅは言いわれる。51:40 わたしは彼かれらを小羊こひつじのように、また雄羊おひつじや雄おやぎのように、ほふり場ばに下くだらせよう。 51:41 ああ、バビロンはついに取とられた、全ぜん地ちの人ひとの、ほめたたえた者ものは捕とらえられた。ああ、バビロンはついに国々くにぐにのうちに驚おどろきとなった。51:42 海うみはバビロンにあふれかかり、どよめく波なみにおおわれた。51:43 その町々まちまちは荒あれて、かわいた地ちとなり、砂原すなはらとなり、住すむ人ひとのない地ちとなる。人ひとの子こはひとりとしてそこを過すぎることはない。51:44 わたしはバビロンでベルを罰ばっし、そののみこんだものを口くちから取とり出だす。国々くにぐにが川かわのように彼かれに流ながれ入いることはなくなる。バビロンの城壁じょうへきは倒たおれた。51:45 わが民たみよ、あなたがたはその中なかから出でて、おのおの主しゅの激はげしい怒いかりを免まぬかれ、その命いのちを救すくえ。51:46 心こころを弱よわくしてはならない、この地ちで聞きくうわさを恐おそれてはならない。うわさはこの年としにもくれば、また次つぎの年としにもくる。この地ちに暴虐ぼうぎゃくがあり、つかさとつかさとが攻せめあうことがある。51:47 それゆえ見みよ、わたしがバビロンの偶像ぐうぞうを罰ばっする日ひが来くる。その全ぜん地ちははずかしめられ、その殺ころされる者ものはみなその中なかに倒たおれる。51:48 天てんと地ちとそのうちにあるすべてのものはバビロンの事ことで喜よろこび歌うたう。滅ほろぼす者ものが北きたの方ほうからここに来くるからであると主しゅは言いわれる。51:49 イスラエルの殺ころされた者ものたちのために、バビロンは倒たおれなければならない、バビロンのために全ぜん地ちの殺ころされた者ものは倒たおれたのだ。 51:50 つるぎをのがれてきたあなたがたは、行いけ、立たちとどまってはならない。遠とおくから主しゅを覚おぼえ、エルサレムを心こころにとめよ。51:51 『われわれはののしりを聞きいたので、恥はじている。異邦人いほうじんが主しゅの宮みやの聖所せいじょにはいったので、恥はじがわれわれの顔かおをおおった』。 51:52 主しゅは言いわれる、それゆえ見みよ、わたしがその偶像ぐうぞうを罰ばっする日ひが来くる、傷きずつけられた者ものが、その全国ぜんこくにうめくようになる。51:53 たといバビロンが天てんに上のぼっても、その城しろを高たかくして固かためても、滅ほろぼす者ものはわたしから出でて、これに臨のぞむと主しゅは言いわれる。 51:54 聞きけ、バビロンの叫さけびを、カルデヤびとの地ちに起おこる大おおいなる滅ほろびの騒さわぎ声こえを。51:55 主しゅがバビロンを滅ほろぼし、その大おおいなる声こえを絶たやされるのだ。その波なみは大水おおみずのように鳴なりとどろき、その声こえはひびき渡わたる。51:56 滅ほろぼす者ものがこれに臨のぞみ、バビロンに来きた。その勇士ゆうしたちは捕とらえられ、その弓ゆみは折おられる。主しゅは報むくいをする神かみであるから必かならず報むくいられるのだ。51:57 わたしはその君きみたちと知者ちしゃたち、おさたち、つかさたち、および勇士ゆうしたちを酔よわせる。彼かれらは、ながい ねむりにいり、目めをさますことはない。万軍ばんぐんの主しゅと呼よばれる王おうがこれを言いわせる。51:58 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、バビロンの広ひろい城壁じょうへきは地ちにくずされ、その高たかい門もんは火ひに焼やかれる。こうして民たみの労苦ろうくはむなしくなり、国民こくみんはただ火ひのために疲つかれる」。51:59 マアセヤの子こであるネリヤの子こセラヤが、ユダの王おうゼデキヤと共ともに、その治世ちせいの四年ねんにバビロンへ行いくとき、預言者よげんしゃエレミヤがセラヤに命めいじた言葉ことば。セラヤは宿営しゅくえいの長ちょうであった。51:60 エレミヤはバビロンに臨のぞもうとするすべての災わざわいを巻物まきものにしるした。これはすなわちバビロンの事ことについてしるしたすべての言葉ことばである。51:61 エレミヤはセラヤに言いった、「あなたはバビロンへ行いったならば、忘わすれることなくこのすべての言葉ことばを読よみ、51:62 そして言いいなさい、『主しゅよ、あなたはこの所ところを滅ほろぼし、人ひとと獣けものとを問とわず、すべてここに住すむ者もののないようにし、永久えいきゅうにここを荒あれ地ちとしようと、この所ところについて語かたられました』と。51:63 あなたがこの巻物まきものを読よみ終おわったならば、これに石いしをむすびつけてユフラテ川かわの中なかに投なげこみ、51:64 そして言いいなさい、『バビロンはこのように沈しずんで、二度どと上あがってこない。わたしがこれに災わざわいを下くだすからである』と」。ここまではエレミヤの言葉ことばである。 第52章 52:1 ゼデキヤは王おうとなったとき二十一歳さいであったが、エルサレムで十一年ねん世よを治おさめた。母ははの名なはハムタルといい、リブナのエレミヤの娘むすめである。52:2 ゼデキヤはエホヤキムがすべて行いったように、主しゅの目めの前まえに悪事あくじを行おこなった。52:3 たしかに、主しゅの怒いかりによって、エルサレムとユダとは、そのみ前まえから捨すて去さられるようなことになった。 そしてゼデキヤはバビロンの王おうにそむいた。52:4 そこで彼かれの治世ちせいの九年ねん十月がつ十日かに、バビロンの王おうネブカデレザルはその軍勢ぐんぜいを率ひきい、エルサレムにきて、これを包囲ほういし、周囲しゅういに塁るいを築きずいてこれを攻せめた。52:5 こうしてこの町まちは攻せめ囲かこまれて、ゼデキヤ王おうの十一年ねんにまで及およんだが、52:6 その四月がつ九日かになって、町まちの中なかの食糧しょくりょうは、はなはだしく欠乏けつぼうし、その地ちの民たみは食物しょくもつを得えることができなくなった。52:7 そして町まちの城壁じょうへきはついに打うち破やぶられたので、兵士へいしたちはみな逃にげ、夜よるのうちに、王おうの園そのの近ちかくの、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちをのがれ出でて、カルデヤびとが、町まちを攻せめ囲かこんでいるうちに、アラバの方ほうへ落おちて行いった。52:8 しかしカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは王おうを追おって行いって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいついたが、彼かれの軍勢ぐんぜいがみな散ちって彼かれのそばを離はなれたので、52:9 カルデヤびとは王おうを捕とらえ、ハマテの地ちのリブラにいるバビロンの王おうのもとに引ひいていったので、王おうは彼かれの罪つみを定さだめた。52:10 すなわちバビロンの王おうはゼデキヤの子こたちをその目めの前まえで殺ころさせ、ユダのつかさたちをことごとくリブラで殺ころさせ、52:11 またゼデキヤの目めをつぶさせた。そしてバビロンの王おうは彼かれを鎖くさりにつないでバビロンへ連つれて行いき、その死しぬ日ひまで獄屋ごくやに入いれて置おいた。 52:12 五月がつ十日かに、――それはバビロンの王おうネブカデレザルの世よの十九年ねんであった――バビロンの王おうに仕つかえる侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはエルサレムに、はいって、52:13 主しゅの宮みやと王おうの宮殿きゅうでんを焼やき、エルサレムのすべての家いえを焼やいた。彼かれは大おおきな家いえをみな焼やきはらった。52:14 また侍衛じえいの長ちょうと共ともにいたカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは、エルサレムの周囲しゅういの城壁じょうへきをみな取とりこわした。52:15 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは民たみのうちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかん、そのほか町まちのうちに残のこった者もの、およびバビロンの王おうにくだった人ひと、その他た工 こうしょうたちを捕とらえ移うつした。52:16 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはその地ちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかんを残のこして、ぶどうを作つくる者ものとし、農夫のうふとした。 52:17 カルデヤびとはまた主しゅの宮みやの青銅せいどうの柱はしらと、洗盤せんばんの台だいと、青銅せいどうの海うみを砕くだいて、その青銅せいどうをことごとくバビロンへ運はこび、52:18 また、つぼと、十能じゅうのうと、心切しんきりばさみと、鉢はちと、香こうを盛もる皿さらおよび宮みやの勤つとめに用もちいる青銅せいどうの器うつわをことごとく取とって行いった。52:19 また彼かれらは小鉢こばちと、心取しんとり皿ざらと、鉢はちと、つぼと、燭台しょくだいと、香こうを盛もる皿さらと、灌祭かんさいの鉢はちを取とった。金きんで作つくった物ものは金きんとして、銀ぎんで作つくった物ものは銀ぎんとして、侍衛じえいの長ちょうは運はこび去さった。52:20 ソロモン王おうが主しゅの宮みやに造つくった二本ほんの柱はしらと、一つの海うみと、海うみの下したの十二の青銅せいどうの牛うしと、台だいなど、このすべての物ものの青銅せいどうの重おもさは量はかることもできなかった。52:21 この一本ぽんの柱はしらの高たかさは十八キュビト、周囲しゅういは十二キュビトで、指ゆび四本ほんの厚あつさがあり、中なかは、うつろであった。52:22 その上うえに青銅せいどうの柱頭ちゅうとうがあり、柱頭ちゅうとうの高たかさは五キュビト、柱頭ちゅうとうの周囲しゅういは網あみ細工ざいくと、ざくろとで飾かざり、これらもみな青銅せいどうであった。他たの柱はしらもそのざくろも、これと同おなじであった。52:23 その四方しほうに九十六個このざくろがあり、周囲しゅういの網あみ細工ざいくの上うえにあるざくろの数かずは百個こであった。 52:24 侍衛じえいの長ちょうは祭司さいし長ちょうセラヤと次席じせきの祭司さいしゼパニヤと三人にんの門もんを守まもる者ものを捕とらえ、52:25 また兵士へいしをつかさどるひとりの役人やくにんと、町まちにいた王おうの側近そっきんの者もの七人にんと、その地ちの民たみを募つのる軍勢ぐんぜいの長ちょうの書記官しょきかんと、町まちの中なかにいた六十人にんの者ものを町まちから捕とらえ去さった。52:26 侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、これらの人ひとを捕とらえて、リブラにいるバビロンの王おうのもとに連つれて行いった。52:27 バビロンの王おうは、ハマテの地ちのリブラで彼かれらを撃うち殺ころした。こうして、ユダは自分じぶんの地ちから捕とらえ移うつされた。 52:28 ネブカデレザルが捕とらえ移うつした民たみの数かずは次つぎのとおりである。第だい七年ねんにはユダヤ人ひと三千二十三人にん。52:29 またネブカデレザルはその第だい十八年ねんにエルサレムから八百三十二人にんを捕とらえ移うつした。52:30 ネブカデレザルの二十三年ねんに侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、ユダヤ人ひと七百四十五人にんを捕とらえ移うつした。この総数そうすうは四千六百人にんであった。 52:31 ユダの王おうエホヤキンが捕とらえ移うつされて後のち三十七年ねんの十二月がつ二十五日にちに、バビロンの王おうエビルメロダクはその即位そくいの年ねんに、ユダの王おうエホヤキンを獄屋ごくやから出だし、そのこうべを挙あげさせ、52:32 親切しんせつに彼かれを慰なぐさめ、その位くらいを、バビロンで共ともにいる王おうたちの位くらいよりも高たかくした。52:33 こうしてエホヤキンは獄屋ごくやの服ふくを脱ぬいだ。そして生いきている間あいだは毎日まいにち王おうの食卓しょくたくで食事しょくじし、52:34 彼かれの給与きゅうよとしては、その死しぬ日ひまで一生いっしょうの間あいだ、たえず日々ひびの必要ひつようにしたがって、バビロンの王おうから給与きゅうよを賜たまわった。
49:1 アンモンびとについて、主しゅはこう言いわれる、「イスラエルには子こがないのか、世継よつぎがないのか。どうしてミルコムがガドを追おい出だして、その民たみがその町々まちまちに住すんでいるのか。
49:2 主しゅは言いわれる、それゆえ、見みよ、アンモンびとのラバを攻せめる戦たたかいの叫さけびを、わたしが聞きこえさせる日ひが来くる。ラバは荒塚あれづかとなり、その村々むらむらは火ひで焼やかれる。そのときイスラエルは自分じぶんを追おい出だした者ものどもを追おい出だすと主しゅは言いわれる。
49:3 ヘシボンよ嘆なげけ、アイは滅ほろぼされた。ラバの娘むすめたちよ呼よばわれ。荒布あらぬのを身みにまとい、悲かなしんで、まがきのうちを走はしりまわれ。ミルコムとその祭司さいしおよびつかさが共ともに捕とらえ移うつされるからだ。
49:4 不信ふしんの娘むすめよ、あなたはなぜ自分じぶんの谷たにの事ことを誇ほこるのか。あなたは自分じぶんの富とみに寄より頼たよんで、『だれがわたしに攻せめてくるものか』と言いう。
49:5 主しゅなる万軍ばんぐんの神かみは言いわれる、見みよ、わたしはあなたの上うえに恐おそれを臨のぞませる、それはあなたの周囲しゅういの者ものから来くる。あなたは追おわれて、おのおの直ただちに他人たにんに続つづき、逃にげる者ものを集あつめる人ひともない。
49:6 しかし、のちになって、わたしはアンモンびとを再ふたたび栄さかえさせると、主しゅは言いわれる」。
49:7 エドムの事ことについて、万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「テマンには、もはや知恵ちえがないのか。さとい者ものには計はかりごとがなくなったのか。その知恵ちえは消きえうせたのか。
49:8 デダンに住すむ者ものよ、逃にげよ、のがれよ、深ふかい所ところに隠かくれよ。わたしがエサウの災難さいなんを彼かれの上うえに臨のぞませ、彼かれを罰ばっする時ときをこさせるからだ。
49:9 ぶどうを集あつめる者ものがあなたの所ところに来きたならば、すこしの実みをも残のこさないであろうか。夜よる、盗ぬすびとが来きたならば、自分じぶんたちの満足まんぞくするだけ滅ほろぼさないであろうか。
49:10 しかしわたしはエサウを裸はだかにし、その隠かくれる所ところを現あらわしたので、彼かれはその身みを隠かくすことができない。その子こどもたちも、兄弟きょうだいも、隣となり人びとも滅ほろぼされる。そして彼かれは、いなくなる。
49:11 あなたのみなしごを残のこせ、わたしがそれを生いきながらえさせる。あなたのやもめには、わたしに寄より頼たのませよ」。
49:12 主しゅはこう言いわれる、「もし、杯さかずきを飲のむべきでない者ものもそれを飲のまなければならなかったとすれば、あなたは罰ばつを免まぬかれることができようか。あなたは罰ばつを免まぬかれない。それを飲のまなければならない。
49:13 主しゅは言いわれる、わたしは自分じぶんをさして誓ちかった、ボズラは驚おどろきとなり、ののしりとなり、荒あれ地ちとなり、のろいとなる。その町々まちまちは長ながく荒あれ地ちとなる」。
49:14 わたしは主しゅからのおとずれを聞きいた。ひとりの使者ししゃがつかわされて万国ばんこくに行いき、そして言いった、「あなたがたは集あつまり、行いって彼かれを攻せめ、立たって戦たたかえ。
49:15 見みよ、わたしはあなたを万国ばんこくのうちに小ちいさい者ものとし、人々ひとびとのうちに卑いやしめられる者ものとする。
49:16 岩いわの割われ目めに住すみ、山やまの高たかみを占しめる者ものよ、あなたの恐おそろしい事ことと、あなたの心こころの高たかぶりが、あなたを欺あざむいた。あなたは、わたしのように巣すを高たかい所ところに作つくっているが、わたしはその所ところからあなたを取とりおろすと主しゅは言いわれる。
49:17 エドムは恐おそれとなる。そのかたわらを通とおり過すぎる者ものはみな恐おそれ、その災わざわいのために、舌打したうちする。
49:18 主しゅは言いわれる、ソドムとゴモラとその隣となりの町々まちまちがくつがえされた時ときのように、そこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひともなくなる。
49:19 見みよ、ししがヨルダンの密林みつりんから上のぼってきて、じょうぶな羊ひつじのおりを襲おそうように、わたしは、たちまち彼かれらをそこから逃にげ走はしらせ、わたしの選えらぶ者ものをその上うえに立たてる。だれかわたしのような者ものがあるであろうか。だれがわたしを呼よびつけることができようか。どの牧者ぼくしゃがわたしの前まえに立たつことができようか。
49:20 それゆえ、エドムに対たいして主しゅが立たてた計はかりごとと、テマンに住すむ者ものに対たいしてしようとする事ことを聞きくがよい。彼かれらの群むれのうちの小ちいさいものまでも皆みな、引ひかれて行いく。彼かれらのおりのものもその終おわりを見みて恐おそれる。
49:21 その倒たおれる音おとを聞きいて、地ちは震ふるい、彼かれらの叫さけび声ごえは紅海こうかいにも聞きこえる。
49:22 見みよ、敵てきはわしのように上のぼり、すみやかに飛とびかけり、その翼つばさをボズラの上うえに張はり広ひろげる。その日ひエドムの勇士ゆうしの心こころは子こを産うむ女おんなの心こころのようになる」。
49:23 ダマスコの事ことについて、「ハマテとアルパデは、うろたえている、彼かれらは悪わるいおとずれを聞きいたからだ。彼かれらは勇気ゆうきを失うしない、穏おだやかになることのできない海うみのように悩なやむ。
49:24 ダマスコは弱よわり、身みをめぐらして逃にげた、恐怖きょうふに襲おそわれている。子こを産うむ女おんなに臨のぞむように痛いたみと悲かなしみと彼かれに臨のぞむ。
49:25 ああ、名なある町まち、楽たのしい町まちは捨すてられる。
49:26 それゆえ、その日ひに、若わかい者ものは、広場ひろばに倒たおれ、兵士へいしはことごとく滅ほろぼされると万軍ばんぐんの主しゅは言いわれる。
49:27 わたしはダマスコの城壁じょうへきの上うえに火ひを燃もやし、ベネハダデの宮殿きゅうでんを焼やき尽つくす」。
49:28 バビロンの王おうネブカデレザルが攻せめ撃うったケダルとハゾルの諸国しょこくの事ことについて、 主しゅはこう言いわれる、「立たって、ケダルに向むかって進すすみ、東ひがしの人々ひとびとを滅ほろぼせ。
49:29 彼かれらの天幕てんまくと、その羊ひつじの群むれとは取とられ、その垂幕たれまくとそのもろもろの器うつわと、らくだとは彼かれらの所ところから運はこび去さられ、人々ひとびとは彼かれらに向むかって叫さけぶ、『恐おそろしいことが四方しほうにある』と。
49:30 主しゅは言いわれる、ハゾルに住すむ者ものよ、逃にげよ、遠とおくさまよい行いき、深ふかい所ところに隠かくれよ。バビロンの王おうネブカデレザルがあなたがたを攻せめる計はかりごとをめぐらし、あなたがたを攻せめる、てだてを設もうけたからだ。
49:31 主しゅは言いわれる、立たって進すすみ、安全あんぜんな所ところに住すむきらくな民たみを攻せめよ、彼かれらは門もんもなく、貫かんの木きもなく、ひとり離はなれて住すむ。
49:32 彼かれらのらくだは、ぶんどり物ものとなり、家畜かちくの群むれは奪うばわれる。わたしは、かの髪かみの毛けのすみずみを切きる者ものを四方しほうに散ちらし、その災難さいなんを八方はっぽうからこさせると主しゅは言いわれる。
49:33 ハゾルは山犬やまいぬのすまいとなり、いつまでも荒あれ地ちとなっている。だれもそこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひともない」。
49:34 ユダの王おうゼデキヤの治世ちせいの初はじめのころに、エラムの事ことについて預言者よげんしゃエレミヤに臨のぞんだ主しゅの言葉ことば。
49:35 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしはエラムが力ちからとして頼たよんでいる弓ゆみを折おる。
49:36 わたしは天てんの四方しほうから、四方しほうの風かぜをエラムにこさせ、彼かれらを四方しほうの風かぜに散ちらす。エラムから追おい出だされる者ものの行いかない国くにはない。
49:37 主しゅは言いわれる、わたしはエラムをしてその敵てきの前まえ、またその命いのちを求もとめる者ものの前まえに恐おそれさせる。わたしは災わざわいをくだし、激はげしい怒いかりをその上うえにくだす。彼かれらのうしろに、つるぎを送おくって滅ほろぼし尽つくす。
49:38 そしてわたしの位くらいをエラムにすえ、王おうとつかさたちとを滅ほろぼすと主しゅは言いわれる。
49:39 しかし末すえの日ひに、わたしはエラムを再ふたたび栄さかえさせると、主しゅは言いわれる」。
第50章 50:1 主しゅが預言者よげんしゃエレミヤによって語かたられたバビロンとカルデヤびとの地ちの事ことについての言葉ことば。 50:2 「国々くにぐにのうちに告つげ、また触ふれ示しめせよ、旗はたを立たてて、隠かくすことなく触ふれ示しめして言いえ、『バビロンは取とられ、ベルははずかしめられ、メロダクは砕くだかれ、その像ぞうははずかしめられ、その偶像ぐうぞうは砕くだかれる』と。50:3 それは、北きたの方ほうから一つの国民こくみんがきて、これを攻せめ、その地ちを荒あらして、住すむ人ひともないようにするからである。人ひとも獣けものもみな逃にげ去さってしまう。 50:4 主しゅは言いわれる、その日ひその時とき、イスラエルの民たみとユダの民たみは共ともに帰かえってくる。彼かれらは嘆なげきながら帰かえってくる。そしてその神かみ、主しゅを求もとめる。50:5 彼かれらは顔かおをシオンに向むけて、その道みちを問とい、『さあ、われわれは、永遠えいえんに忘わすれられることのない契約けいやくを結むすんで主しゅに連つらなろう』と言いう。 50:6 わたしの民たみは迷まよえる羊ひつじの群むれである、その牧者ぼくしゃがこれをいざなって、山やまに踏ふみ迷まよわせたので、山やまから丘おかへと行いきめぐり、その休やすむ所ところを忘わすれた。50:7 これに会あう者ものはみなこれを食たべた。その敵てきは言いった、『われわれに罪つみはない。彼かれらがそのまことのすみかである主しゅ、先祖せんぞたちの希望きぼうであった主しゅに対たいして罪つみを犯おかしたのだ』と。 50:8 バビロンのうちから逃にげよ。カルデヤびとの地ちから出でよ。群むれの前まえに行いく雄おやぎのようにせよ。50:9 見みよ、わたしは大おおきい国々くにぐにを起おこし集あつめて、北きたの地ちからバビロンに攻せめこさせる。彼かれらはこれに向むかって勢せいぞろいをし、これをその所ところから取とる。彼かれらの矢やはむなしく帰かえらない老練ろうれんな勇士ゆうしのようである。50:10 カルデヤは人ひとにかすめられる。これをかすめる者ものはみな飽あくことができると、主しゅは言いわれる。 50:11 わたしの嗣し業ぎょうをかすめる者ものどもよ、あなたがたは喜よろこび楽たのしみ、雌めすの子こ牛うしのように草くさに戯たわむれ、雄お馬うまのように、いなないているが、50:12 あなたがたの母はははいたくはずかしめられ、あなたがたを産うんだ者ものは恥はじをこうむる。見みよ、彼女かのじょは国々くにぐにのうちの最もっともあとなるものとなり、かわいた砂原すなはらの荒野あらのとなる。50:13 主しゅの怒いかりによって、ここに住すむ者ものはなく、完全かんぜんに荒あれ地ちとなる。バビロンのかたわらを通とおる者ものは、みなその傷きずを見みて驚おどろき、かつあざ笑わらう。50:14 あなたがたすべて弓ゆみを張はる者ものよ、バビロンの周囲しゅういに勢せいぞろいして、これを攻せめ、矢やを惜おしまずに、これを射いよ、彼女かのじょが主しゅに罪つみを犯おかしたからだ。50:15 その周囲しゅういに叫さけび声ごえをあげよ、彼女かのじょは降伏こうふくした。そのとりでは倒たおれ、その城壁じょうへきはくずれた、主しゅがあだをかえされたからだ。彼女かのじょに報復ほうふくせよ、彼女かのじょがおこなったように、これに行おこなえ。50:16 種たねまく者ものと、刈入かりいれどきに、かまを取とる者ものをバビロンに絶たやせ。滅ほろぼす者もののつるぎを恐おそれて、人ひとはおのおの自分じぶんの民たみの所ところに帰かえり、そのふるさとに逃にげて行いく。50:17 イスラエルは、ししに追おわれて散ちった羊ひつじである。初はじめにアッスリヤの王おうがこれを食くい、そして今いまはついにバビロンの王おうネブカデレザルがその骨ほねをかじった。50:18 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみは、こう言いわれる、見みよ、わたしはアッスリヤの王おうを罰ばっしたように、バビロンの王おうとその国くにに罰ばつを下くだす。50:19 わたしはイスラエルを再ふたたびその牧場まきばに帰かえらせる。彼かれはカルメルとバシャンで草くさを食たべる。またエフライムの山やまとギレアデでその望のぞみが満みたされる。50:20 主しゅは言いわれる、その日ひその時ときには、イスラエルのとがを探さがしても見当みあたらず、ユダの罪つみを探さがしてもない。それはわたしが残のこしておく人々ひとびとを、ゆるすからである。50:21 主しゅは言いわれる、上のぼって行いって、メラタイムの地ちを攻せめ、ペコデの民たみを攻せめ、彼かれらを殺ころして全まったく滅ほろぼし、わたしがあなたがたに命めいじたことを皆みな、行おこないなさい。50:22 その地ちに、いくさの叫さけびと、大おおいなる滅ほろびがある。50:23 ああ、全ぜん地ちを砕くだいた鎚つちはついに折おれ砕くだける。ああ、バビロンはついに国々くにぐにのうちの恐おそるべき見みものとなる。50:24 バビロンよ、わたしは、おまえを捕とらえるためにわなをかけたが、おまえはそれにかかった。そしておまえはそれを知しらなかった。おまえは主しゅに敵てきしたので、尋たずね出だされ、捕とらえられた。50:25 主しゅは武器ぶきの倉くらを開ひらいてその怒いかりの武器ぶきを取とり出だされた。主しゅなる万軍ばんぐんの神かみが、カルデヤびとの地ちに事ことを行おこなわれるからである。50:26 あらゆる方面ほうめんからきて、これを攻せめ、その穀倉こくぐらを開ひらき、これを穀物こくもつの山やまのように積つみ上あげ、完全かんぜんに滅ほろぼし尽つくし、そこに残のこる者もののないようにせよ。50:27 その雄牛おうしをことごとく殺ころせ、それを、ほふり場ばに下くだらせよ。それらのものはわざわいだ、その日ひ、その罰ばつを受うける時ときがきたからだ。50:28 聞きけよ、バビロンの地ちから逃にげ、のがれてきた者ものの声こえがする。われわれの神かみ、主しゅの報復ほうふく、その宮みやの報復ほうふくの事ことをシオンに告つげ示しめす。 50:29 弓ゆみを張はる射手いてをことごとく呼よび集あつめて、バビロンを攻せめよ。その周囲しゅういに陣じんを敷しけ。ひとりも逃がにがすな。そのしわざにしたがってバビロンに報むくい、これがおこなった所ところにしたがってこれに行おこなえ。彼かれがイスラエルの聖者せいじゃである主しゅに向むかって高慢こうまんにふるまったからだ。50:30 それゆえ、その日ひ、若わかい者ものは、広場ひろばに倒たおれ、兵士へいしはみな絶たやされると主しゅは言いわれる。 50:31 主しゅなる万軍ばんぐんの神かみは言いわれる、高たかぶる者ものよ、見みよ、わたしはおまえの敵てきとなる、あなたの日ひ、わたしがおまえを罰ばっする時ときが来きた。50:32 高たかぶる者ものはつまずき倒たおれる、これを助たすけ起おこすものはない。わたしはその町々まちまちに火ひを燃もやして、その周囲しゅういの者ものをことごとく焼やき尽つくす。50:33 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、イスラエルの民たみとユダの民たみは共ともにしえたげられている。彼かれらをとりこにした者ものはみな彼かれらを固かたく守まもって釈放しゃくほうすることを拒こばむ。50:34 彼かれらをあがなう者ものは強つよく、その名なは万軍ばんぐんの主しゅといわれる。彼かれは必かならず彼かれらの訴うったえをただし、この地ちに安やすきを与あたえるが、バビロンに住すむ者ものには不安ふあんを与あたえられる。 50:35 主しゅは言いわれる、カルデヤびとの上うえとバビロンに住すむ者ものの上うえ、そのつかさたち、その知者ちしゃたちの上うえにつるぎが臨のぞむ。50:36 占うらない師しの上うえにつるぎが臨のぞみ、彼かれらは愚おろか者ものとなる。その勇士ゆうしの上うえにつるぎが臨のぞみ、彼かれらは滅ほろぼされる。50:37 その馬うまの上うえと、その車くるまの上うえにつるぎが臨のぞみ、またそのうちにあるすべての雇やとい兵へいの上うえに臨のぞみ、彼かれらは女おんなのようになる。その財宝ざいほうの上うえにつるぎが臨のぞみ、それはかすめられる。50:38 その水みずの上うえに、ひでりが来きて、それはかわく。それは、この地ちが偶像ぐうぞうの地ちであって、人々ひとびとが偶像ぐうぞうに心こころが狂くるっているからだ。50:39 それゆえ、野のの獣けものと山犬やまいぬとは共ともにバビロンにおり、だちょうもそこに住すむ。しかし、いつまでもその地ちに住すむ人ひとはなく、世々よよここに住すむ人ひとはない。50:40 主しゅは言いわれる、神かみがソドムとゴモラと、その隣となりの町々まちまちを滅ほろぼされたように、そこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひとの子こはない。 50:41 見みよ、一つの民たみが北きたの方ほうから来くる。大おおいなる国くにと多おおくの王おうが地ちの果はてから立たち上あがっている。50:42 彼かれらは弓ゆみと、やりを取とる。残忍ざんにんで、あわれみがなく、その響ひびきは海うみの鳴なりとどろくようである。バビロンの娘むすめよ、彼かれらは馬うまに乗のり、いくさびとのように身みをよろって、あなたを攻せめる。50:43 バビロンの王おうはそのうわさを聞きいて、その手ては弱よわり、子こを産うむ女おんなに臨のぞむような痛いたみと苦くるしみに迫せまられた。50:44 見みよ、ししがヨルダンの密林みつりんから上のぼってきて、じょうぶな羊ひつじのおりを襲おそうように、わたしは、たちまち彼かれらをそこから逃にげ去さらせる。そしてわたしの選えらぶ者ものをその上うえに立たてる。だれかわたしのような者ものがあるであろうか。だれがわたしを呼よびつけることができようか。どの牧者ぼくしゃがわたしの前まえに立たつことができようか。50:45 それゆえ、バビロンに対たいして主しゅが立たてた計はかりごとと、カルデヤびとの地ちに対たいしてしようとする事ことを聞きくがよい。彼かれらの群むれのうちの小ちいさい者ものは、かならず引ひかれて行いく。彼かれらのおりのものも必かならずその終おわりを見みて恐おそれる。50:46 バビロンが取とられたとの声こえによって地ちは震ふるい、その叫さけびは国々くにぐにのうちに聞きこえる」。 第51章 51:1 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは、滅ほろぼす者ものの心こころを奮ふるい起おこして、バビロンを攻せめ、カルデヤに住すむ者ものを攻せめさせる。51:2 わたしはバビロンに、あおぎ分わける者ものをつかわす。彼かれらは、その災わざわいの日ひに、四方しほうからこれを攻せめ、それをあおぎ分わけて、その地ちをむなしくする。51:3 射手いてにはその弓ゆみを張はらせることなく、よろいを着きて立たち上あがらせるな。その若わかき者ものをあわれむことなく、その軍勢ぐんぜいをことごとく滅ほろぼせ。51:4 彼かれらはカルデヤびとの地ちに殺ころされて倒たおれ、そのちまたに傷きずついて倒たおれる。51:5 イスラエルとユダはその神かみ、万軍ばんぐんの主しゅに捨すてられてはいないが、しかしカルデヤびとの地ちにはイスラエルの聖者せいじゃに向むかって犯おかした罪つみが満みちている。 51:6 バビロンのうちからのがれ出でて、おのおのその命いのちを救すくえ。その罰ばつにまきこまれて断たち滅ほろぼされてはならない。今いまは主しゅがあだを返かえされる時ときだから、それに報復ほうふくをされるのである。51:7 バビロンは主しゅの手てのうちにある金きんの杯さかずきであって、すべての地ちを酔よわせた。国々くにぐにはその酒さけを飲のんだので、国々くにぐには狂くるった。51:8 バビロンはたちまち倒たおれて破やぶれた。これがために嘆なげけ。その傷きずのために乳香にゅうこうを取とれ。あるいは、いえるかも知しれない。51:9 われわれはバビロンをいやそうとしたが、これはいえなかった。われわれはこれを捨すてて、おのおの自分じぶんの国くにに帰かえろう。その罰ばつが天てんに達たっし、雲くもにまで及およんでいるからだ。51:10 主しゅはわれわれの正ただしいことを明あきらかにされた。さあ、われわれはシオンで、われわれの神かみ、主しゅのみわざを告つげ示しめそう。51:11 矢やをとぎ、 盾たてを取とれ。主しゅはメデアびとの王おうたちの心こころを引ひき立たてられる。主しゅのバビロンに思おもい図はかることは、これを滅ほろぼすことであり、主しゅがあだを返かえし、その宮みやのあだを返かえされるのである。 51:12 バビロンの城壁じょうへきに向むかって旗はたを立たて、見張みはりを強固きょうこにし、番兵ばんぺいを置おき、伏兵ふくへいを備そなえよ。主しゅがバビロンに住すむ者ものを攻せめようと図はかり、その言いわれたことを、いま行おこなわれるからだ。51:13 多おおくの水みずのほとりに住すみ、多おおくの財宝ざいほうを持もつ者ものよ、あなたの終おわりが来きて、その命いのちの糸いとは断たたれる。51:14 万軍ばんぐんの主しゅはみずからをさして誓ちかい、言いわれる、わたしは必かならずあなたのうちに、人ひとをいなごのように満みたす。彼かれらはあなたに向むかって、かちどきの声こえをあげる。 51:15 主しゅはその力ちからをもって地ちを造つくり、その知恵ちえをもって世界せかいを建たて、その悟さとりをもって天てんをのべられた。51:16 彼かれが声こえを出だされると、天てんに多おおくの水みずのざわめきがあり、また地ちの果はてから霧きりを立たちあがらせられる。彼かれは雨あめのためにいなびかりをおこし、その倉くらから風かぜを取とり出だされる。51:17 すべての人ひとは愚おろかで知恵ちえがなく、すべての金きん細工人ざいくにんはその造つくった偶像ぐうぞうのために恥はじをこうむる。その偶像ぐうぞうは偽いつわり物もので、そのうちに息いきがないからだ。51:18 それらは、むなしいもの、迷まよいのわざである。罰ばっせられる時ときになれば滅ほろびるものである。51:19 ヤコブの分ぶんである彼かれはこのようなものではない、彼かれは万物ばんぶつの造つくり主ぬしだからである。イスラエルは彼かれの嗣し業ぎょうとしての部族ぶぞくである。彼かれの名なは万軍ばんぐんの主しゅという。 51:20 おまえはわたしの鎚つちであり、戦たたかいの武器ぶきである。わたしはおまえをもってすべての国くにを砕くだき、おまえをもって万国ばんこくを滅ほろぼす。51:21 おまえをもってわたしは馬うまと、その騎手きしゅとを砕くだき、おまえをもって戦車せんしゃとそれに乗のる者ものとを砕くだく。51:22 わたしはおまえをもって男おとこと女おんなとを砕くだき、おまえをもって老おいた者ものと幼おさない者ものとを砕くだき、おまえをもって若わかい者ものと、おとめとを砕くだく。51:23 わたしはおまえをもって、羊飼ひつじかいと、その群むれとを砕くだき、おまえをもって農夫のうふと、くびきを負おう家畜かちくとを砕くだき、おまえをもっておさたちと、つかさたちとを砕くだく。51:24 わたしはバビロンとカルデヤに住すむすべての者ものとに、彼かれらがシオンで行いったもろもろの悪あしき事ことのために、あなたがたの目めの前まえで報むくいをすると、主しゅは言いわれる。 51:25 主しゅは言いわれる、全ぜん地ちを滅ほろぼし尽つくす滅ほろぼしの山やまよ、見みよ、わたしはおまえの敵てきとなる、わたしは手てをおまえの上うえに伸のべて、おまえを岩いわからころばし、おまえを焼やけ山やまにする。51:26 主しゅは言いわれる、人ひとがおまえから石いしを取とって、隅すみの石いしとすることなく、また礎いしずえとすることもない。おまえはいつまでも荒あれ地ちとなっている。51:27 地ちに旗はたを立たて、国々くにぐにのうちにラッパを吹ふき、国々くにぐにの民たみを集あつめてそれを攻せめ、アララテ、ミンニ、アシケナズの国々くにぐにをまねいてそれを攻せめ、軍ぐんの長ちょうを立たててそれを攻せめ、群むらがるいなごのように馬うまを上のぼり行いかせよ。51:28 国々くにぐにの民たみを集あつめてそれを攻せめ、メデアびとの王おうたちと、そのおさたち、つかさたち、およびすべての領地りょうちの人々ひとびとを集あつめてこれを攻せめよ。51:29 その地ちは震ふるい、かつもだえ苦くるしむ、主しゅがその思おもい図はかることをバビロンにおこない、バビロンの地ちを、住すむ人ひとなき荒あれ地ちとされるからだ。51:30 バビロンの勇士ゆうしたちは戦たたかいをやめて、その城しろにこもり、力ちからはうせて、女おんなのようになる。その家いえは焼やけ、その貫かんの木きは砕くだかれる。51:31 飛脚ひきゃくは走はしって飛脚ひきゃくに会あい、使者ししゃは走はしって使者ししゃに会あい、バビロンの王おうに告つげて、町まちはことごとく取とられ、51:32 渡わたし場ばは奪うばわれ、とりでは火ひで焼やかれ、兵士へいしはおびえていると言いう。51:33 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、バビロンの娘むすめは、打うち場ばのようだ、その踏ふまれる時ときが来きたのだ。しばらくしてその刈かり取とられる時ときが来くる」。 51:34 「バビロンの王おうネブカデレザルはわたしを食くい尽つくし、わたしを滅ほろぼし、わたしを、からの器うつわのようにし、龍りゅうのようにわたしを飲のみ、わたしのうまい物ものでその腹はらを満みたし、わたしを洗あらいざらいにした。51:35 わたしとわたしの肉親にくしんにおこなった暴虐ぼうぎゃくは、バビロンにふりかかる」とシオンに住すむ者ものは言いわなければならない。「わたしの血ちはカルデヤに住すむ者ものにふりかかる」とエルサレムは言いわなければならない。51:36 それゆえ主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしはあなたの訴うったえをただし、あなたのためにあだを返かえす。わたしはバビロンの海うみをかわかし、その泉いずみをかわかす。51:37 バビロンは荒塚あれづかとなり、山犬やまいぬのすまいとなり、驚おどろきとなり、笑わらいとなり、住すむ人ひとのない所ところとなる。51:38 彼かれらはししのように共ともにほえ、若わかいししのようにほえる。51:39 彼かれらの欲よくの燃もえている時とき、わたしは宴うたげを設もうけて彼かれらを酔よわせ、彼かれらがついに気きを失うしなって、ながい眠ねむりにいり、もはや目めをさますことのないようにしようと主しゅは言いわれる。51:40 わたしは彼かれらを小羊こひつじのように、また雄羊おひつじや雄おやぎのように、ほふり場ばに下くだらせよう。 51:41 ああ、バビロンはついに取とられた、全ぜん地ちの人ひとの、ほめたたえた者ものは捕とらえられた。ああ、バビロンはついに国々くにぐにのうちに驚おどろきとなった。51:42 海うみはバビロンにあふれかかり、どよめく波なみにおおわれた。51:43 その町々まちまちは荒あれて、かわいた地ちとなり、砂原すなはらとなり、住すむ人ひとのない地ちとなる。人ひとの子こはひとりとしてそこを過すぎることはない。51:44 わたしはバビロンでベルを罰ばっし、そののみこんだものを口くちから取とり出だす。国々くにぐにが川かわのように彼かれに流ながれ入いることはなくなる。バビロンの城壁じょうへきは倒たおれた。51:45 わが民たみよ、あなたがたはその中なかから出でて、おのおの主しゅの激はげしい怒いかりを免まぬかれ、その命いのちを救すくえ。51:46 心こころを弱よわくしてはならない、この地ちで聞きくうわさを恐おそれてはならない。うわさはこの年としにもくれば、また次つぎの年としにもくる。この地ちに暴虐ぼうぎゃくがあり、つかさとつかさとが攻せめあうことがある。51:47 それゆえ見みよ、わたしがバビロンの偶像ぐうぞうを罰ばっする日ひが来くる。その全ぜん地ちははずかしめられ、その殺ころされる者ものはみなその中なかに倒たおれる。51:48 天てんと地ちとそのうちにあるすべてのものはバビロンの事ことで喜よろこび歌うたう。滅ほろぼす者ものが北きたの方ほうからここに来くるからであると主しゅは言いわれる。51:49 イスラエルの殺ころされた者ものたちのために、バビロンは倒たおれなければならない、バビロンのために全ぜん地ちの殺ころされた者ものは倒たおれたのだ。 51:50 つるぎをのがれてきたあなたがたは、行いけ、立たちとどまってはならない。遠とおくから主しゅを覚おぼえ、エルサレムを心こころにとめよ。51:51 『われわれはののしりを聞きいたので、恥はじている。異邦人いほうじんが主しゅの宮みやの聖所せいじょにはいったので、恥はじがわれわれの顔かおをおおった』。 51:52 主しゅは言いわれる、それゆえ見みよ、わたしがその偶像ぐうぞうを罰ばっする日ひが来くる、傷きずつけられた者ものが、その全国ぜんこくにうめくようになる。51:53 たといバビロンが天てんに上のぼっても、その城しろを高たかくして固かためても、滅ほろぼす者ものはわたしから出でて、これに臨のぞむと主しゅは言いわれる。 51:54 聞きけ、バビロンの叫さけびを、カルデヤびとの地ちに起おこる大おおいなる滅ほろびの騒さわぎ声こえを。51:55 主しゅがバビロンを滅ほろぼし、その大おおいなる声こえを絶たやされるのだ。その波なみは大水おおみずのように鳴なりとどろき、その声こえはひびき渡わたる。51:56 滅ほろぼす者ものがこれに臨のぞみ、バビロンに来きた。その勇士ゆうしたちは捕とらえられ、その弓ゆみは折おられる。主しゅは報むくいをする神かみであるから必かならず報むくいられるのだ。51:57 わたしはその君きみたちと知者ちしゃたち、おさたち、つかさたち、および勇士ゆうしたちを酔よわせる。彼かれらは、ながい ねむりにいり、目めをさますことはない。万軍ばんぐんの主しゅと呼よばれる王おうがこれを言いわせる。51:58 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、バビロンの広ひろい城壁じょうへきは地ちにくずされ、その高たかい門もんは火ひに焼やかれる。こうして民たみの労苦ろうくはむなしくなり、国民こくみんはただ火ひのために疲つかれる」。51:59 マアセヤの子こであるネリヤの子こセラヤが、ユダの王おうゼデキヤと共ともに、その治世ちせいの四年ねんにバビロンへ行いくとき、預言者よげんしゃエレミヤがセラヤに命めいじた言葉ことば。セラヤは宿営しゅくえいの長ちょうであった。51:60 エレミヤはバビロンに臨のぞもうとするすべての災わざわいを巻物まきものにしるした。これはすなわちバビロンの事ことについてしるしたすべての言葉ことばである。51:61 エレミヤはセラヤに言いった、「あなたはバビロンへ行いったならば、忘わすれることなくこのすべての言葉ことばを読よみ、51:62 そして言いいなさい、『主しゅよ、あなたはこの所ところを滅ほろぼし、人ひとと獣けものとを問とわず、すべてここに住すむ者もののないようにし、永久えいきゅうにここを荒あれ地ちとしようと、この所ところについて語かたられました』と。51:63 あなたがこの巻物まきものを読よみ終おわったならば、これに石いしをむすびつけてユフラテ川かわの中なかに投なげこみ、51:64 そして言いいなさい、『バビロンはこのように沈しずんで、二度どと上あがってこない。わたしがこれに災わざわいを下くだすからである』と」。ここまではエレミヤの言葉ことばである。 第52章 52:1 ゼデキヤは王おうとなったとき二十一歳さいであったが、エルサレムで十一年ねん世よを治おさめた。母ははの名なはハムタルといい、リブナのエレミヤの娘むすめである。52:2 ゼデキヤはエホヤキムがすべて行いったように、主しゅの目めの前まえに悪事あくじを行おこなった。52:3 たしかに、主しゅの怒いかりによって、エルサレムとユダとは、そのみ前まえから捨すて去さられるようなことになった。 そしてゼデキヤはバビロンの王おうにそむいた。52:4 そこで彼かれの治世ちせいの九年ねん十月がつ十日かに、バビロンの王おうネブカデレザルはその軍勢ぐんぜいを率ひきい、エルサレムにきて、これを包囲ほういし、周囲しゅういに塁るいを築きずいてこれを攻せめた。52:5 こうしてこの町まちは攻せめ囲かこまれて、ゼデキヤ王おうの十一年ねんにまで及およんだが、52:6 その四月がつ九日かになって、町まちの中なかの食糧しょくりょうは、はなはだしく欠乏けつぼうし、その地ちの民たみは食物しょくもつを得えることができなくなった。52:7 そして町まちの城壁じょうへきはついに打うち破やぶられたので、兵士へいしたちはみな逃にげ、夜よるのうちに、王おうの園そのの近ちかくの、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちをのがれ出でて、カルデヤびとが、町まちを攻せめ囲かこんでいるうちに、アラバの方ほうへ落おちて行いった。52:8 しかしカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは王おうを追おって行いって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいついたが、彼かれの軍勢ぐんぜいがみな散ちって彼かれのそばを離はなれたので、52:9 カルデヤびとは王おうを捕とらえ、ハマテの地ちのリブラにいるバビロンの王おうのもとに引ひいていったので、王おうは彼かれの罪つみを定さだめた。52:10 すなわちバビロンの王おうはゼデキヤの子こたちをその目めの前まえで殺ころさせ、ユダのつかさたちをことごとくリブラで殺ころさせ、52:11 またゼデキヤの目めをつぶさせた。そしてバビロンの王おうは彼かれを鎖くさりにつないでバビロンへ連つれて行いき、その死しぬ日ひまで獄屋ごくやに入いれて置おいた。 52:12 五月がつ十日かに、――それはバビロンの王おうネブカデレザルの世よの十九年ねんであった――バビロンの王おうに仕つかえる侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはエルサレムに、はいって、52:13 主しゅの宮みやと王おうの宮殿きゅうでんを焼やき、エルサレムのすべての家いえを焼やいた。彼かれは大おおきな家いえをみな焼やきはらった。52:14 また侍衛じえいの長ちょうと共ともにいたカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは、エルサレムの周囲しゅういの城壁じょうへきをみな取とりこわした。52:15 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは民たみのうちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかん、そのほか町まちのうちに残のこった者もの、およびバビロンの王おうにくだった人ひと、その他た工 こうしょうたちを捕とらえ移うつした。52:16 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはその地ちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかんを残のこして、ぶどうを作つくる者ものとし、農夫のうふとした。 52:17 カルデヤびとはまた主しゅの宮みやの青銅せいどうの柱はしらと、洗盤せんばんの台だいと、青銅せいどうの海うみを砕くだいて、その青銅せいどうをことごとくバビロンへ運はこび、52:18 また、つぼと、十能じゅうのうと、心切しんきりばさみと、鉢はちと、香こうを盛もる皿さらおよび宮みやの勤つとめに用もちいる青銅せいどうの器うつわをことごとく取とって行いった。52:19 また彼かれらは小鉢こばちと、心取しんとり皿ざらと、鉢はちと、つぼと、燭台しょくだいと、香こうを盛もる皿さらと、灌祭かんさいの鉢はちを取とった。金きんで作つくった物ものは金きんとして、銀ぎんで作つくった物ものは銀ぎんとして、侍衛じえいの長ちょうは運はこび去さった。52:20 ソロモン王おうが主しゅの宮みやに造つくった二本ほんの柱はしらと、一つの海うみと、海うみの下したの十二の青銅せいどうの牛うしと、台だいなど、このすべての物ものの青銅せいどうの重おもさは量はかることもできなかった。52:21 この一本ぽんの柱はしらの高たかさは十八キュビト、周囲しゅういは十二キュビトで、指ゆび四本ほんの厚あつさがあり、中なかは、うつろであった。52:22 その上うえに青銅せいどうの柱頭ちゅうとうがあり、柱頭ちゅうとうの高たかさは五キュビト、柱頭ちゅうとうの周囲しゅういは網あみ細工ざいくと、ざくろとで飾かざり、これらもみな青銅せいどうであった。他たの柱はしらもそのざくろも、これと同おなじであった。52:23 その四方しほうに九十六個このざくろがあり、周囲しゅういの網あみ細工ざいくの上うえにあるざくろの数かずは百個こであった。 52:24 侍衛じえいの長ちょうは祭司さいし長ちょうセラヤと次席じせきの祭司さいしゼパニヤと三人にんの門もんを守まもる者ものを捕とらえ、52:25 また兵士へいしをつかさどるひとりの役人やくにんと、町まちにいた王おうの側近そっきんの者もの七人にんと、その地ちの民たみを募つのる軍勢ぐんぜいの長ちょうの書記官しょきかんと、町まちの中なかにいた六十人にんの者ものを町まちから捕とらえ去さった。52:26 侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、これらの人ひとを捕とらえて、リブラにいるバビロンの王おうのもとに連つれて行いった。52:27 バビロンの王おうは、ハマテの地ちのリブラで彼かれらを撃うち殺ころした。こうして、ユダは自分じぶんの地ちから捕とらえ移うつされた。 52:28 ネブカデレザルが捕とらえ移うつした民たみの数かずは次つぎのとおりである。第だい七年ねんにはユダヤ人ひと三千二十三人にん。52:29 またネブカデレザルはその第だい十八年ねんにエルサレムから八百三十二人にんを捕とらえ移うつした。52:30 ネブカデレザルの二十三年ねんに侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、ユダヤ人ひと七百四十五人にんを捕とらえ移うつした。この総数そうすうは四千六百人にんであった。 52:31 ユダの王おうエホヤキンが捕とらえ移うつされて後のち三十七年ねんの十二月がつ二十五日にちに、バビロンの王おうエビルメロダクはその即位そくいの年ねんに、ユダの王おうエホヤキンを獄屋ごくやから出だし、そのこうべを挙あげさせ、52:32 親切しんせつに彼かれを慰なぐさめ、その位くらいを、バビロンで共ともにいる王おうたちの位くらいよりも高たかくした。52:33 こうしてエホヤキンは獄屋ごくやの服ふくを脱ぬいだ。そして生いきている間あいだは毎日まいにち王おうの食卓しょくたくで食事しょくじし、52:34 彼かれの給与きゅうよとしては、その死しぬ日ひまで一生いっしょうの間あいだ、たえず日々ひびの必要ひつようにしたがって、バビロンの王おうから給与きゅうよを賜たまわった。
50:1 主しゅが預言者よげんしゃエレミヤによって語かたられたバビロンとカルデヤびとの地ちの事ことについての言葉ことば。
50:2 「国々くにぐにのうちに告つげ、また触ふれ示しめせよ、旗はたを立たてて、隠かくすことなく触ふれ示しめして言いえ、『バビロンは取とられ、ベルははずかしめられ、メロダクは砕くだかれ、その像ぞうははずかしめられ、その偶像ぐうぞうは砕くだかれる』と。
50:3 それは、北きたの方ほうから一つの国民こくみんがきて、これを攻せめ、その地ちを荒あらして、住すむ人ひともないようにするからである。人ひとも獣けものもみな逃にげ去さってしまう。
50:4 主しゅは言いわれる、その日ひその時とき、イスラエルの民たみとユダの民たみは共ともに帰かえってくる。彼かれらは嘆なげきながら帰かえってくる。そしてその神かみ、主しゅを求もとめる。
50:5 彼かれらは顔かおをシオンに向むけて、その道みちを問とい、『さあ、われわれは、永遠えいえんに忘わすれられることのない契約けいやくを結むすんで主しゅに連つらなろう』と言いう。
50:6 わたしの民たみは迷まよえる羊ひつじの群むれである、その牧者ぼくしゃがこれをいざなって、山やまに踏ふみ迷まよわせたので、山やまから丘おかへと行いきめぐり、その休やすむ所ところを忘わすれた。
50:7 これに会あう者ものはみなこれを食たべた。その敵てきは言いった、『われわれに罪つみはない。彼かれらがそのまことのすみかである主しゅ、先祖せんぞたちの希望きぼうであった主しゅに対たいして罪つみを犯おかしたのだ』と。
50:8 バビロンのうちから逃にげよ。カルデヤびとの地ちから出でよ。群むれの前まえに行いく雄おやぎのようにせよ。
50:9 見みよ、わたしは大おおきい国々くにぐにを起おこし集あつめて、北きたの地ちからバビロンに攻せめこさせる。彼かれらはこれに向むかって勢せいぞろいをし、これをその所ところから取とる。彼かれらの矢やはむなしく帰かえらない老練ろうれんな勇士ゆうしのようである。
50:10 カルデヤは人ひとにかすめられる。これをかすめる者ものはみな飽あくことができると、主しゅは言いわれる。
50:11 わたしの嗣し業ぎょうをかすめる者ものどもよ、あなたがたは喜よろこび楽たのしみ、雌めすの子こ牛うしのように草くさに戯たわむれ、雄お馬うまのように、いなないているが、
50:12 あなたがたの母はははいたくはずかしめられ、あなたがたを産うんだ者ものは恥はじをこうむる。見みよ、彼女かのじょは国々くにぐにのうちの最もっともあとなるものとなり、かわいた砂原すなはらの荒野あらのとなる。
50:13 主しゅの怒いかりによって、ここに住すむ者ものはなく、完全かんぜんに荒あれ地ちとなる。バビロンのかたわらを通とおる者ものは、みなその傷きずを見みて驚おどろき、かつあざ笑わらう。
50:14 あなたがたすべて弓ゆみを張はる者ものよ、バビロンの周囲しゅういに勢せいぞろいして、これを攻せめ、矢やを惜おしまずに、これを射いよ、彼女かのじょが主しゅに罪つみを犯おかしたからだ。
50:15 その周囲しゅういに叫さけび声ごえをあげよ、彼女かのじょは降伏こうふくした。そのとりでは倒たおれ、その城壁じょうへきはくずれた、主しゅがあだをかえされたからだ。彼女かのじょに報復ほうふくせよ、彼女かのじょがおこなったように、これに行おこなえ。
50:16 種たねまく者ものと、刈入かりいれどきに、かまを取とる者ものをバビロンに絶たやせ。滅ほろぼす者もののつるぎを恐おそれて、人ひとはおのおの自分じぶんの民たみの所ところに帰かえり、そのふるさとに逃にげて行いく。
50:17 イスラエルは、ししに追おわれて散ちった羊ひつじである。初はじめにアッスリヤの王おうがこれを食くい、そして今いまはついにバビロンの王おうネブカデレザルがその骨ほねをかじった。
50:18 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみは、こう言いわれる、見みよ、わたしはアッスリヤの王おうを罰ばっしたように、バビロンの王おうとその国くにに罰ばつを下くだす。
50:19 わたしはイスラエルを再ふたたびその牧場まきばに帰かえらせる。彼かれはカルメルとバシャンで草くさを食たべる。またエフライムの山やまとギレアデでその望のぞみが満みたされる。
50:20 主しゅは言いわれる、その日ひその時ときには、イスラエルのとがを探さがしても見当みあたらず、ユダの罪つみを探さがしてもない。それはわたしが残のこしておく人々ひとびとを、ゆるすからである。
50:21 主しゅは言いわれる、上のぼって行いって、メラタイムの地ちを攻せめ、ペコデの民たみを攻せめ、彼かれらを殺ころして全まったく滅ほろぼし、わたしがあなたがたに命めいじたことを皆みな、行おこないなさい。
50:22 その地ちに、いくさの叫さけびと、大おおいなる滅ほろびがある。
50:23 ああ、全ぜん地ちを砕くだいた鎚つちはついに折おれ砕くだける。ああ、バビロンはついに国々くにぐにのうちの恐おそるべき見みものとなる。
50:24 バビロンよ、わたしは、おまえを捕とらえるためにわなをかけたが、おまえはそれにかかった。そしておまえはそれを知しらなかった。おまえは主しゅに敵てきしたので、尋たずね出だされ、捕とらえられた。
50:25 主しゅは武器ぶきの倉くらを開ひらいてその怒いかりの武器ぶきを取とり出だされた。主しゅなる万軍ばんぐんの神かみが、カルデヤびとの地ちに事ことを行おこなわれるからである。
50:26 あらゆる方面ほうめんからきて、これを攻せめ、その穀倉こくぐらを開ひらき、これを穀物こくもつの山やまのように積つみ上あげ、完全かんぜんに滅ほろぼし尽つくし、そこに残のこる者もののないようにせよ。
50:27 その雄牛おうしをことごとく殺ころせ、それを、ほふり場ばに下くだらせよ。それらのものはわざわいだ、その日ひ、その罰ばつを受うける時ときがきたからだ。
50:28 聞きけよ、バビロンの地ちから逃にげ、のがれてきた者ものの声こえがする。われわれの神かみ、主しゅの報復ほうふく、その宮みやの報復ほうふくの事ことをシオンに告つげ示しめす。
50:29 弓ゆみを張はる射手いてをことごとく呼よび集あつめて、バビロンを攻せめよ。その周囲しゅういに陣じんを敷しけ。ひとりも逃がにがすな。そのしわざにしたがってバビロンに報むくい、これがおこなった所ところにしたがってこれに行おこなえ。彼かれがイスラエルの聖者せいじゃである主しゅに向むかって高慢こうまんにふるまったからだ。
50:30 それゆえ、その日ひ、若わかい者ものは、広場ひろばに倒たおれ、兵士へいしはみな絶たやされると主しゅは言いわれる。
50:31 主しゅなる万軍ばんぐんの神かみは言いわれる、高たかぶる者ものよ、見みよ、わたしはおまえの敵てきとなる、あなたの日ひ、わたしがおまえを罰ばっする時ときが来きた。
50:32 高たかぶる者ものはつまずき倒たおれる、これを助たすけ起おこすものはない。わたしはその町々まちまちに火ひを燃もやして、その周囲しゅういの者ものをことごとく焼やき尽つくす。
50:33 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、イスラエルの民たみとユダの民たみは共ともにしえたげられている。彼かれらをとりこにした者ものはみな彼かれらを固かたく守まもって釈放しゃくほうすることを拒こばむ。
50:34 彼かれらをあがなう者ものは強つよく、その名なは万軍ばんぐんの主しゅといわれる。彼かれは必かならず彼かれらの訴うったえをただし、この地ちに安やすきを与あたえるが、バビロンに住すむ者ものには不安ふあんを与あたえられる。
50:35 主しゅは言いわれる、カルデヤびとの上うえとバビロンに住すむ者ものの上うえ、そのつかさたち、その知者ちしゃたちの上うえにつるぎが臨のぞむ。
50:36 占うらない師しの上うえにつるぎが臨のぞみ、彼かれらは愚おろか者ものとなる。その勇士ゆうしの上うえにつるぎが臨のぞみ、彼かれらは滅ほろぼされる。
50:37 その馬うまの上うえと、その車くるまの上うえにつるぎが臨のぞみ、またそのうちにあるすべての雇やとい兵へいの上うえに臨のぞみ、彼かれらは女おんなのようになる。その財宝ざいほうの上うえにつるぎが臨のぞみ、それはかすめられる。
50:38 その水みずの上うえに、ひでりが来きて、それはかわく。それは、この地ちが偶像ぐうぞうの地ちであって、人々ひとびとが偶像ぐうぞうに心こころが狂くるっているからだ。
50:39 それゆえ、野のの獣けものと山犬やまいぬとは共ともにバビロンにおり、だちょうもそこに住すむ。しかし、いつまでもその地ちに住すむ人ひとはなく、世々よよここに住すむ人ひとはない。
50:40 主しゅは言いわれる、神かみがソドムとゴモラと、その隣となりの町々まちまちを滅ほろぼされたように、そこに住すむ人ひとはなく、そこに宿やどる人ひとの子こはない。
50:41 見みよ、一つの民たみが北きたの方ほうから来くる。大おおいなる国くにと多おおくの王おうが地ちの果はてから立たち上あがっている。
50:42 彼かれらは弓ゆみと、やりを取とる。残忍ざんにんで、あわれみがなく、その響ひびきは海うみの鳴なりとどろくようである。バビロンの娘むすめよ、彼かれらは馬うまに乗のり、いくさびとのように身みをよろって、あなたを攻せめる。
50:43 バビロンの王おうはそのうわさを聞きいて、その手ては弱よわり、子こを産うむ女おんなに臨のぞむような痛いたみと苦くるしみに迫せまられた。
50:44 見みよ、ししがヨルダンの密林みつりんから上のぼってきて、じょうぶな羊ひつじのおりを襲おそうように、わたしは、たちまち彼かれらをそこから逃にげ去さらせる。そしてわたしの選えらぶ者ものをその上うえに立たてる。だれかわたしのような者ものがあるであろうか。だれがわたしを呼よびつけることができようか。どの牧者ぼくしゃがわたしの前まえに立たつことができようか。
50:45 それゆえ、バビロンに対たいして主しゅが立たてた計はかりごとと、カルデヤびとの地ちに対たいしてしようとする事ことを聞きくがよい。彼かれらの群むれのうちの小ちいさい者ものは、かならず引ひかれて行いく。彼かれらのおりのものも必かならずその終おわりを見みて恐おそれる。
50:46 バビロンが取とられたとの声こえによって地ちは震ふるい、その叫さけびは国々くにぐにのうちに聞きこえる」。
第51章 51:1 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは、滅ほろぼす者ものの心こころを奮ふるい起おこして、バビロンを攻せめ、カルデヤに住すむ者ものを攻せめさせる。51:2 わたしはバビロンに、あおぎ分わける者ものをつかわす。彼かれらは、その災わざわいの日ひに、四方しほうからこれを攻せめ、それをあおぎ分わけて、その地ちをむなしくする。51:3 射手いてにはその弓ゆみを張はらせることなく、よろいを着きて立たち上あがらせるな。その若わかき者ものをあわれむことなく、その軍勢ぐんぜいをことごとく滅ほろぼせ。51:4 彼かれらはカルデヤびとの地ちに殺ころされて倒たおれ、そのちまたに傷きずついて倒たおれる。51:5 イスラエルとユダはその神かみ、万軍ばんぐんの主しゅに捨すてられてはいないが、しかしカルデヤびとの地ちにはイスラエルの聖者せいじゃに向むかって犯おかした罪つみが満みちている。 51:6 バビロンのうちからのがれ出でて、おのおのその命いのちを救すくえ。その罰ばつにまきこまれて断たち滅ほろぼされてはならない。今いまは主しゅがあだを返かえされる時ときだから、それに報復ほうふくをされるのである。51:7 バビロンは主しゅの手てのうちにある金きんの杯さかずきであって、すべての地ちを酔よわせた。国々くにぐにはその酒さけを飲のんだので、国々くにぐには狂くるった。51:8 バビロンはたちまち倒たおれて破やぶれた。これがために嘆なげけ。その傷きずのために乳香にゅうこうを取とれ。あるいは、いえるかも知しれない。51:9 われわれはバビロンをいやそうとしたが、これはいえなかった。われわれはこれを捨すてて、おのおの自分じぶんの国くにに帰かえろう。その罰ばつが天てんに達たっし、雲くもにまで及およんでいるからだ。51:10 主しゅはわれわれの正ただしいことを明あきらかにされた。さあ、われわれはシオンで、われわれの神かみ、主しゅのみわざを告つげ示しめそう。51:11 矢やをとぎ、 盾たてを取とれ。主しゅはメデアびとの王おうたちの心こころを引ひき立たてられる。主しゅのバビロンに思おもい図はかることは、これを滅ほろぼすことであり、主しゅがあだを返かえし、その宮みやのあだを返かえされるのである。 51:12 バビロンの城壁じょうへきに向むかって旗はたを立たて、見張みはりを強固きょうこにし、番兵ばんぺいを置おき、伏兵ふくへいを備そなえよ。主しゅがバビロンに住すむ者ものを攻せめようと図はかり、その言いわれたことを、いま行おこなわれるからだ。51:13 多おおくの水みずのほとりに住すみ、多おおくの財宝ざいほうを持もつ者ものよ、あなたの終おわりが来きて、その命いのちの糸いとは断たたれる。51:14 万軍ばんぐんの主しゅはみずからをさして誓ちかい、言いわれる、わたしは必かならずあなたのうちに、人ひとをいなごのように満みたす。彼かれらはあなたに向むかって、かちどきの声こえをあげる。 51:15 主しゅはその力ちからをもって地ちを造つくり、その知恵ちえをもって世界せかいを建たて、その悟さとりをもって天てんをのべられた。51:16 彼かれが声こえを出だされると、天てんに多おおくの水みずのざわめきがあり、また地ちの果はてから霧きりを立たちあがらせられる。彼かれは雨あめのためにいなびかりをおこし、その倉くらから風かぜを取とり出だされる。51:17 すべての人ひとは愚おろかで知恵ちえがなく、すべての金きん細工人ざいくにんはその造つくった偶像ぐうぞうのために恥はじをこうむる。その偶像ぐうぞうは偽いつわり物もので、そのうちに息いきがないからだ。51:18 それらは、むなしいもの、迷まよいのわざである。罰ばっせられる時ときになれば滅ほろびるものである。51:19 ヤコブの分ぶんである彼かれはこのようなものではない、彼かれは万物ばんぶつの造つくり主ぬしだからである。イスラエルは彼かれの嗣し業ぎょうとしての部族ぶぞくである。彼かれの名なは万軍ばんぐんの主しゅという。 51:20 おまえはわたしの鎚つちであり、戦たたかいの武器ぶきである。わたしはおまえをもってすべての国くにを砕くだき、おまえをもって万国ばんこくを滅ほろぼす。51:21 おまえをもってわたしは馬うまと、その騎手きしゅとを砕くだき、おまえをもって戦車せんしゃとそれに乗のる者ものとを砕くだく。51:22 わたしはおまえをもって男おとこと女おんなとを砕くだき、おまえをもって老おいた者ものと幼おさない者ものとを砕くだき、おまえをもって若わかい者ものと、おとめとを砕くだく。51:23 わたしはおまえをもって、羊飼ひつじかいと、その群むれとを砕くだき、おまえをもって農夫のうふと、くびきを負おう家畜かちくとを砕くだき、おまえをもっておさたちと、つかさたちとを砕くだく。51:24 わたしはバビロンとカルデヤに住すむすべての者ものとに、彼かれらがシオンで行いったもろもろの悪あしき事ことのために、あなたがたの目めの前まえで報むくいをすると、主しゅは言いわれる。 51:25 主しゅは言いわれる、全ぜん地ちを滅ほろぼし尽つくす滅ほろぼしの山やまよ、見みよ、わたしはおまえの敵てきとなる、わたしは手てをおまえの上うえに伸のべて、おまえを岩いわからころばし、おまえを焼やけ山やまにする。51:26 主しゅは言いわれる、人ひとがおまえから石いしを取とって、隅すみの石いしとすることなく、また礎いしずえとすることもない。おまえはいつまでも荒あれ地ちとなっている。51:27 地ちに旗はたを立たて、国々くにぐにのうちにラッパを吹ふき、国々くにぐにの民たみを集あつめてそれを攻せめ、アララテ、ミンニ、アシケナズの国々くにぐにをまねいてそれを攻せめ、軍ぐんの長ちょうを立たててそれを攻せめ、群むらがるいなごのように馬うまを上のぼり行いかせよ。51:28 国々くにぐにの民たみを集あつめてそれを攻せめ、メデアびとの王おうたちと、そのおさたち、つかさたち、およびすべての領地りょうちの人々ひとびとを集あつめてこれを攻せめよ。51:29 その地ちは震ふるい、かつもだえ苦くるしむ、主しゅがその思おもい図はかることをバビロンにおこない、バビロンの地ちを、住すむ人ひとなき荒あれ地ちとされるからだ。51:30 バビロンの勇士ゆうしたちは戦たたかいをやめて、その城しろにこもり、力ちからはうせて、女おんなのようになる。その家いえは焼やけ、その貫かんの木きは砕くだかれる。51:31 飛脚ひきゃくは走はしって飛脚ひきゃくに会あい、使者ししゃは走はしって使者ししゃに会あい、バビロンの王おうに告つげて、町まちはことごとく取とられ、51:32 渡わたし場ばは奪うばわれ、とりでは火ひで焼やかれ、兵士へいしはおびえていると言いう。51:33 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、バビロンの娘むすめは、打うち場ばのようだ、その踏ふまれる時ときが来きたのだ。しばらくしてその刈かり取とられる時ときが来くる」。 51:34 「バビロンの王おうネブカデレザルはわたしを食くい尽つくし、わたしを滅ほろぼし、わたしを、からの器うつわのようにし、龍りゅうのようにわたしを飲のみ、わたしのうまい物ものでその腹はらを満みたし、わたしを洗あらいざらいにした。51:35 わたしとわたしの肉親にくしんにおこなった暴虐ぼうぎゃくは、バビロンにふりかかる」とシオンに住すむ者ものは言いわなければならない。「わたしの血ちはカルデヤに住すむ者ものにふりかかる」とエルサレムは言いわなければならない。51:36 それゆえ主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしはあなたの訴うったえをただし、あなたのためにあだを返かえす。わたしはバビロンの海うみをかわかし、その泉いずみをかわかす。51:37 バビロンは荒塚あれづかとなり、山犬やまいぬのすまいとなり、驚おどろきとなり、笑わらいとなり、住すむ人ひとのない所ところとなる。51:38 彼かれらはししのように共ともにほえ、若わかいししのようにほえる。51:39 彼かれらの欲よくの燃もえている時とき、わたしは宴うたげを設もうけて彼かれらを酔よわせ、彼かれらがついに気きを失うしなって、ながい眠ねむりにいり、もはや目めをさますことのないようにしようと主しゅは言いわれる。51:40 わたしは彼かれらを小羊こひつじのように、また雄羊おひつじや雄おやぎのように、ほふり場ばに下くだらせよう。 51:41 ああ、バビロンはついに取とられた、全ぜん地ちの人ひとの、ほめたたえた者ものは捕とらえられた。ああ、バビロンはついに国々くにぐにのうちに驚おどろきとなった。51:42 海うみはバビロンにあふれかかり、どよめく波なみにおおわれた。51:43 その町々まちまちは荒あれて、かわいた地ちとなり、砂原すなはらとなり、住すむ人ひとのない地ちとなる。人ひとの子こはひとりとしてそこを過すぎることはない。51:44 わたしはバビロンでベルを罰ばっし、そののみこんだものを口くちから取とり出だす。国々くにぐにが川かわのように彼かれに流ながれ入いることはなくなる。バビロンの城壁じょうへきは倒たおれた。51:45 わが民たみよ、あなたがたはその中なかから出でて、おのおの主しゅの激はげしい怒いかりを免まぬかれ、その命いのちを救すくえ。51:46 心こころを弱よわくしてはならない、この地ちで聞きくうわさを恐おそれてはならない。うわさはこの年としにもくれば、また次つぎの年としにもくる。この地ちに暴虐ぼうぎゃくがあり、つかさとつかさとが攻せめあうことがある。51:47 それゆえ見みよ、わたしがバビロンの偶像ぐうぞうを罰ばっする日ひが来くる。その全ぜん地ちははずかしめられ、その殺ころされる者ものはみなその中なかに倒たおれる。51:48 天てんと地ちとそのうちにあるすべてのものはバビロンの事ことで喜よろこび歌うたう。滅ほろぼす者ものが北きたの方ほうからここに来くるからであると主しゅは言いわれる。51:49 イスラエルの殺ころされた者ものたちのために、バビロンは倒たおれなければならない、バビロンのために全ぜん地ちの殺ころされた者ものは倒たおれたのだ。 51:50 つるぎをのがれてきたあなたがたは、行いけ、立たちとどまってはならない。遠とおくから主しゅを覚おぼえ、エルサレムを心こころにとめよ。51:51 『われわれはののしりを聞きいたので、恥はじている。異邦人いほうじんが主しゅの宮みやの聖所せいじょにはいったので、恥はじがわれわれの顔かおをおおった』。 51:52 主しゅは言いわれる、それゆえ見みよ、わたしがその偶像ぐうぞうを罰ばっする日ひが来くる、傷きずつけられた者ものが、その全国ぜんこくにうめくようになる。51:53 たといバビロンが天てんに上のぼっても、その城しろを高たかくして固かためても、滅ほろぼす者ものはわたしから出でて、これに臨のぞむと主しゅは言いわれる。 51:54 聞きけ、バビロンの叫さけびを、カルデヤびとの地ちに起おこる大おおいなる滅ほろびの騒さわぎ声こえを。51:55 主しゅがバビロンを滅ほろぼし、その大おおいなる声こえを絶たやされるのだ。その波なみは大水おおみずのように鳴なりとどろき、その声こえはひびき渡わたる。51:56 滅ほろぼす者ものがこれに臨のぞみ、バビロンに来きた。その勇士ゆうしたちは捕とらえられ、その弓ゆみは折おられる。主しゅは報むくいをする神かみであるから必かならず報むくいられるのだ。51:57 わたしはその君きみたちと知者ちしゃたち、おさたち、つかさたち、および勇士ゆうしたちを酔よわせる。彼かれらは、ながい ねむりにいり、目めをさますことはない。万軍ばんぐんの主しゅと呼よばれる王おうがこれを言いわせる。51:58 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、バビロンの広ひろい城壁じょうへきは地ちにくずされ、その高たかい門もんは火ひに焼やかれる。こうして民たみの労苦ろうくはむなしくなり、国民こくみんはただ火ひのために疲つかれる」。51:59 マアセヤの子こであるネリヤの子こセラヤが、ユダの王おうゼデキヤと共ともに、その治世ちせいの四年ねんにバビロンへ行いくとき、預言者よげんしゃエレミヤがセラヤに命めいじた言葉ことば。セラヤは宿営しゅくえいの長ちょうであった。51:60 エレミヤはバビロンに臨のぞもうとするすべての災わざわいを巻物まきものにしるした。これはすなわちバビロンの事ことについてしるしたすべての言葉ことばである。51:61 エレミヤはセラヤに言いった、「あなたはバビロンへ行いったならば、忘わすれることなくこのすべての言葉ことばを読よみ、51:62 そして言いいなさい、『主しゅよ、あなたはこの所ところを滅ほろぼし、人ひとと獣けものとを問とわず、すべてここに住すむ者もののないようにし、永久えいきゅうにここを荒あれ地ちとしようと、この所ところについて語かたられました』と。51:63 あなたがこの巻物まきものを読よみ終おわったならば、これに石いしをむすびつけてユフラテ川かわの中なかに投なげこみ、51:64 そして言いいなさい、『バビロンはこのように沈しずんで、二度どと上あがってこない。わたしがこれに災わざわいを下くだすからである』と」。ここまではエレミヤの言葉ことばである。 第52章 52:1 ゼデキヤは王おうとなったとき二十一歳さいであったが、エルサレムで十一年ねん世よを治おさめた。母ははの名なはハムタルといい、リブナのエレミヤの娘むすめである。52:2 ゼデキヤはエホヤキムがすべて行いったように、主しゅの目めの前まえに悪事あくじを行おこなった。52:3 たしかに、主しゅの怒いかりによって、エルサレムとユダとは、そのみ前まえから捨すて去さられるようなことになった。 そしてゼデキヤはバビロンの王おうにそむいた。52:4 そこで彼かれの治世ちせいの九年ねん十月がつ十日かに、バビロンの王おうネブカデレザルはその軍勢ぐんぜいを率ひきい、エルサレムにきて、これを包囲ほういし、周囲しゅういに塁るいを築きずいてこれを攻せめた。52:5 こうしてこの町まちは攻せめ囲かこまれて、ゼデキヤ王おうの十一年ねんにまで及およんだが、52:6 その四月がつ九日かになって、町まちの中なかの食糧しょくりょうは、はなはだしく欠乏けつぼうし、その地ちの民たみは食物しょくもつを得えることができなくなった。52:7 そして町まちの城壁じょうへきはついに打うち破やぶられたので、兵士へいしたちはみな逃にげ、夜よるのうちに、王おうの園そのの近ちかくの、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちをのがれ出でて、カルデヤびとが、町まちを攻せめ囲かこんでいるうちに、アラバの方ほうへ落おちて行いった。52:8 しかしカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは王おうを追おって行いって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいついたが、彼かれの軍勢ぐんぜいがみな散ちって彼かれのそばを離はなれたので、52:9 カルデヤびとは王おうを捕とらえ、ハマテの地ちのリブラにいるバビロンの王おうのもとに引ひいていったので、王おうは彼かれの罪つみを定さだめた。52:10 すなわちバビロンの王おうはゼデキヤの子こたちをその目めの前まえで殺ころさせ、ユダのつかさたちをことごとくリブラで殺ころさせ、52:11 またゼデキヤの目めをつぶさせた。そしてバビロンの王おうは彼かれを鎖くさりにつないでバビロンへ連つれて行いき、その死しぬ日ひまで獄屋ごくやに入いれて置おいた。 52:12 五月がつ十日かに、――それはバビロンの王おうネブカデレザルの世よの十九年ねんであった――バビロンの王おうに仕つかえる侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはエルサレムに、はいって、52:13 主しゅの宮みやと王おうの宮殿きゅうでんを焼やき、エルサレムのすべての家いえを焼やいた。彼かれは大おおきな家いえをみな焼やきはらった。52:14 また侍衛じえいの長ちょうと共ともにいたカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは、エルサレムの周囲しゅういの城壁じょうへきをみな取とりこわした。52:15 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは民たみのうちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかん、そのほか町まちのうちに残のこった者もの、およびバビロンの王おうにくだった人ひと、その他た工 こうしょうたちを捕とらえ移うつした。52:16 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはその地ちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかんを残のこして、ぶどうを作つくる者ものとし、農夫のうふとした。 52:17 カルデヤびとはまた主しゅの宮みやの青銅せいどうの柱はしらと、洗盤せんばんの台だいと、青銅せいどうの海うみを砕くだいて、その青銅せいどうをことごとくバビロンへ運はこび、52:18 また、つぼと、十能じゅうのうと、心切しんきりばさみと、鉢はちと、香こうを盛もる皿さらおよび宮みやの勤つとめに用もちいる青銅せいどうの器うつわをことごとく取とって行いった。52:19 また彼かれらは小鉢こばちと、心取しんとり皿ざらと、鉢はちと、つぼと、燭台しょくだいと、香こうを盛もる皿さらと、灌祭かんさいの鉢はちを取とった。金きんで作つくった物ものは金きんとして、銀ぎんで作つくった物ものは銀ぎんとして、侍衛じえいの長ちょうは運はこび去さった。52:20 ソロモン王おうが主しゅの宮みやに造つくった二本ほんの柱はしらと、一つの海うみと、海うみの下したの十二の青銅せいどうの牛うしと、台だいなど、このすべての物ものの青銅せいどうの重おもさは量はかることもできなかった。52:21 この一本ぽんの柱はしらの高たかさは十八キュビト、周囲しゅういは十二キュビトで、指ゆび四本ほんの厚あつさがあり、中なかは、うつろであった。52:22 その上うえに青銅せいどうの柱頭ちゅうとうがあり、柱頭ちゅうとうの高たかさは五キュビト、柱頭ちゅうとうの周囲しゅういは網あみ細工ざいくと、ざくろとで飾かざり、これらもみな青銅せいどうであった。他たの柱はしらもそのざくろも、これと同おなじであった。52:23 その四方しほうに九十六個このざくろがあり、周囲しゅういの網あみ細工ざいくの上うえにあるざくろの数かずは百個こであった。 52:24 侍衛じえいの長ちょうは祭司さいし長ちょうセラヤと次席じせきの祭司さいしゼパニヤと三人にんの門もんを守まもる者ものを捕とらえ、52:25 また兵士へいしをつかさどるひとりの役人やくにんと、町まちにいた王おうの側近そっきんの者もの七人にんと、その地ちの民たみを募つのる軍勢ぐんぜいの長ちょうの書記官しょきかんと、町まちの中なかにいた六十人にんの者ものを町まちから捕とらえ去さった。52:26 侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、これらの人ひとを捕とらえて、リブラにいるバビロンの王おうのもとに連つれて行いった。52:27 バビロンの王おうは、ハマテの地ちのリブラで彼かれらを撃うち殺ころした。こうして、ユダは自分じぶんの地ちから捕とらえ移うつされた。 52:28 ネブカデレザルが捕とらえ移うつした民たみの数かずは次つぎのとおりである。第だい七年ねんにはユダヤ人ひと三千二十三人にん。52:29 またネブカデレザルはその第だい十八年ねんにエルサレムから八百三十二人にんを捕とらえ移うつした。52:30 ネブカデレザルの二十三年ねんに侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、ユダヤ人ひと七百四十五人にんを捕とらえ移うつした。この総数そうすうは四千六百人にんであった。 52:31 ユダの王おうエホヤキンが捕とらえ移うつされて後のち三十七年ねんの十二月がつ二十五日にちに、バビロンの王おうエビルメロダクはその即位そくいの年ねんに、ユダの王おうエホヤキンを獄屋ごくやから出だし、そのこうべを挙あげさせ、52:32 親切しんせつに彼かれを慰なぐさめ、その位くらいを、バビロンで共ともにいる王おうたちの位くらいよりも高たかくした。52:33 こうしてエホヤキンは獄屋ごくやの服ふくを脱ぬいだ。そして生いきている間あいだは毎日まいにち王おうの食卓しょくたくで食事しょくじし、52:34 彼かれの給与きゅうよとしては、その死しぬ日ひまで一生いっしょうの間あいだ、たえず日々ひびの必要ひつようにしたがって、バビロンの王おうから給与きゅうよを賜たまわった。
51:1 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは、滅ほろぼす者ものの心こころを奮ふるい起おこして、バビロンを攻せめ、カルデヤに住すむ者ものを攻せめさせる。
51:2 わたしはバビロンに、あおぎ分わける者ものをつかわす。彼かれらは、その災わざわいの日ひに、四方しほうからこれを攻せめ、それをあおぎ分わけて、その地ちをむなしくする。
51:3 射手いてにはその弓ゆみを張はらせることなく、よろいを着きて立たち上あがらせるな。その若わかき者ものをあわれむことなく、その軍勢ぐんぜいをことごとく滅ほろぼせ。
51:4 彼かれらはカルデヤびとの地ちに殺ころされて倒たおれ、そのちまたに傷きずついて倒たおれる。
51:5 イスラエルとユダはその神かみ、万軍ばんぐんの主しゅに捨すてられてはいないが、しかしカルデヤびとの地ちにはイスラエルの聖者せいじゃに向むかって犯おかした罪つみが満みちている。
51:6 バビロンのうちからのがれ出でて、おのおのその命いのちを救すくえ。その罰ばつにまきこまれて断たち滅ほろぼされてはならない。今いまは主しゅがあだを返かえされる時ときだから、それに報復ほうふくをされるのである。
51:7 バビロンは主しゅの手てのうちにある金きんの杯さかずきであって、すべての地ちを酔よわせた。国々くにぐにはその酒さけを飲のんだので、国々くにぐには狂くるった。
51:8 バビロンはたちまち倒たおれて破やぶれた。これがために嘆なげけ。その傷きずのために乳香にゅうこうを取とれ。あるいは、いえるかも知しれない。
51:9 われわれはバビロンをいやそうとしたが、これはいえなかった。われわれはこれを捨すてて、おのおの自分じぶんの国くにに帰かえろう。その罰ばつが天てんに達たっし、雲くもにまで及およんでいるからだ。
51:10 主しゅはわれわれの正ただしいことを明あきらかにされた。さあ、われわれはシオンで、われわれの神かみ、主しゅのみわざを告つげ示しめそう。
51:11 矢やをとぎ、
盾たてを取とれ。主しゅはメデアびとの王おうたちの心こころを引ひき立たてられる。主しゅのバビロンに思おもい図はかることは、これを滅ほろぼすことであり、主しゅがあだを返かえし、その宮みやのあだを返かえされるのである。
51:12 バビロンの城壁じょうへきに向むかって旗はたを立たて、見張みはりを強固きょうこにし、番兵ばんぺいを置おき、伏兵ふくへいを備そなえよ。主しゅがバビロンに住すむ者ものを攻せめようと図はかり、その言いわれたことを、いま行おこなわれるからだ。
51:13 多おおくの水みずのほとりに住すみ、多おおくの財宝ざいほうを持もつ者ものよ、あなたの終おわりが来きて、その命いのちの糸いとは断たたれる。
51:14 万軍ばんぐんの主しゅはみずからをさして誓ちかい、言いわれる、わたしは必かならずあなたのうちに、人ひとをいなごのように満みたす。彼かれらはあなたに向むかって、かちどきの声こえをあげる。
51:15 主しゅはその力ちからをもって地ちを造つくり、その知恵ちえをもって世界せかいを建たて、その悟さとりをもって天てんをのべられた。
51:16 彼かれが声こえを出だされると、天てんに多おおくの水みずのざわめきがあり、また地ちの果はてから霧きりを立たちあがらせられる。彼かれは雨あめのためにいなびかりをおこし、その倉くらから風かぜを取とり出だされる。
51:17 すべての人ひとは愚おろかで知恵ちえがなく、すべての金きん細工人ざいくにんはその造つくった偶像ぐうぞうのために恥はじをこうむる。その偶像ぐうぞうは偽いつわり物もので、そのうちに息いきがないからだ。
51:18 それらは、むなしいもの、迷まよいのわざである。罰ばっせられる時ときになれば滅ほろびるものである。
51:19 ヤコブの分ぶんである彼かれはこのようなものではない、彼かれは万物ばんぶつの造つくり主ぬしだからである。イスラエルは彼かれの嗣し業ぎょうとしての部族ぶぞくである。彼かれの名なは万軍ばんぐんの主しゅという。
51:20 おまえはわたしの鎚つちであり、戦たたかいの武器ぶきである。わたしはおまえをもってすべての国くにを砕くだき、おまえをもって万国ばんこくを滅ほろぼす。
51:21 おまえをもってわたしは馬うまと、その騎手きしゅとを砕くだき、おまえをもって戦車せんしゃとそれに乗のる者ものとを砕くだく。
51:22 わたしはおまえをもって男おとこと女おんなとを砕くだき、おまえをもって老おいた者ものと幼おさない者ものとを砕くだき、おまえをもって若わかい者ものと、おとめとを砕くだく。
51:23 わたしはおまえをもって、羊飼ひつじかいと、その群むれとを砕くだき、おまえをもって農夫のうふと、くびきを負おう家畜かちくとを砕くだき、おまえをもっておさたちと、つかさたちとを砕くだく。
51:24 わたしはバビロンとカルデヤに住すむすべての者ものとに、彼かれらがシオンで行いったもろもろの悪あしき事ことのために、あなたがたの目めの前まえで報むくいをすると、主しゅは言いわれる。
51:25 主しゅは言いわれる、全ぜん地ちを滅ほろぼし尽つくす滅ほろぼしの山やまよ、見みよ、わたしはおまえの敵てきとなる、わたしは手てをおまえの上うえに伸のべて、おまえを岩いわからころばし、おまえを焼やけ山やまにする。
51:26 主しゅは言いわれる、人ひとがおまえから石いしを取とって、隅すみの石いしとすることなく、また礎いしずえとすることもない。おまえはいつまでも荒あれ地ちとなっている。
51:27 地ちに旗はたを立たて、国々くにぐにのうちにラッパを吹ふき、国々くにぐにの民たみを集あつめてそれを攻せめ、アララテ、ミンニ、アシケナズの国々くにぐにをまねいてそれを攻せめ、軍ぐんの長ちょうを立たててそれを攻せめ、群むらがるいなごのように馬うまを上のぼり行いかせよ。
51:28 国々くにぐにの民たみを集あつめてそれを攻せめ、メデアびとの王おうたちと、そのおさたち、つかさたち、およびすべての領地りょうちの人々ひとびとを集あつめてこれを攻せめよ。
51:29 その地ちは震ふるい、かつもだえ苦くるしむ、主しゅがその思おもい図はかることをバビロンにおこない、バビロンの地ちを、住すむ人ひとなき荒あれ地ちとされるからだ。
51:30 バビロンの勇士ゆうしたちは戦たたかいをやめて、その城しろにこもり、力ちからはうせて、女おんなのようになる。その家いえは焼やけ、その貫かんの木きは砕くだかれる。
51:31 飛脚ひきゃくは走はしって飛脚ひきゃくに会あい、使者ししゃは走はしって使者ししゃに会あい、バビロンの王おうに告つげて、町まちはことごとく取とられ、
51:32 渡わたし場ばは奪うばわれ、とりでは火ひで焼やかれ、兵士へいしはおびえていると言いう。
51:33 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、バビロンの娘むすめは、打うち場ばのようだ、その踏ふまれる時ときが来きたのだ。しばらくしてその刈かり取とられる時ときが来くる」。
51:34 「バビロンの王おうネブカデレザルはわたしを食くい尽つくし、わたしを滅ほろぼし、わたしを、からの器うつわのようにし、龍りゅうのようにわたしを飲のみ、わたしのうまい物ものでその腹はらを満みたし、わたしを洗あらいざらいにした。
51:35 わたしとわたしの肉親にくしんにおこなった暴虐ぼうぎゃくは、バビロンにふりかかる」とシオンに住すむ者ものは言いわなければならない。「わたしの血ちはカルデヤに住すむ者ものにふりかかる」とエルサレムは言いわなければならない。
51:36 それゆえ主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしはあなたの訴うったえをただし、あなたのためにあだを返かえす。わたしはバビロンの海うみをかわかし、その泉いずみをかわかす。
51:37 バビロンは荒塚あれづかとなり、山犬やまいぬのすまいとなり、驚おどろきとなり、笑わらいとなり、住すむ人ひとのない所ところとなる。
51:38 彼かれらはししのように共ともにほえ、若わかいししのようにほえる。
51:39 彼かれらの欲よくの燃もえている時とき、わたしは宴うたげを設もうけて彼かれらを酔よわせ、彼かれらがついに気きを失うしなって、ながい眠ねむりにいり、もはや目めをさますことのないようにしようと主しゅは言いわれる。
51:40 わたしは彼かれらを小羊こひつじのように、また雄羊おひつじや雄おやぎのように、ほふり場ばに下くだらせよう。
51:41 ああ、バビロンはついに取とられた、全ぜん地ちの人ひとの、ほめたたえた者ものは捕とらえられた。ああ、バビロンはついに国々くにぐにのうちに驚おどろきとなった。
51:42 海うみはバビロンにあふれかかり、どよめく波なみにおおわれた。
51:43 その町々まちまちは荒あれて、かわいた地ちとなり、砂原すなはらとなり、住すむ人ひとのない地ちとなる。人ひとの子こはひとりとしてそこを過すぎることはない。
51:44 わたしはバビロンでベルを罰ばっし、そののみこんだものを口くちから取とり出だす。国々くにぐにが川かわのように彼かれに流ながれ入いることはなくなる。バビロンの城壁じょうへきは倒たおれた。
51:45 わが民たみよ、あなたがたはその中なかから出でて、おのおの主しゅの激はげしい怒いかりを免まぬかれ、その命いのちを救すくえ。
51:46 心こころを弱よわくしてはならない、この地ちで聞きくうわさを恐おそれてはならない。うわさはこの年としにもくれば、また次つぎの年としにもくる。この地ちに暴虐ぼうぎゃくがあり、つかさとつかさとが攻せめあうことがある。
51:47 それゆえ見みよ、わたしがバビロンの偶像ぐうぞうを罰ばっする日ひが来くる。その全ぜん地ちははずかしめられ、その殺ころされる者ものはみなその中なかに倒たおれる。
51:48 天てんと地ちとそのうちにあるすべてのものはバビロンの事ことで喜よろこび歌うたう。滅ほろぼす者ものが北きたの方ほうからここに来くるからであると主しゅは言いわれる。
51:49 イスラエルの殺ころされた者ものたちのために、バビロンは倒たおれなければならない、バビロンのために全ぜん地ちの殺ころされた者ものは倒たおれたのだ。
51:50 つるぎをのがれてきたあなたがたは、行いけ、立たちとどまってはならない。遠とおくから主しゅを覚おぼえ、エルサレムを心こころにとめよ。
51:51 『われわれはののしりを聞きいたので、恥はじている。異邦人いほうじんが主しゅの宮みやの聖所せいじょにはいったので、恥はじがわれわれの顔かおをおおった』。
51:52 主しゅは言いわれる、それゆえ見みよ、わたしがその偶像ぐうぞうを罰ばっする日ひが来くる、傷きずつけられた者ものが、その全国ぜんこくにうめくようになる。
51:53 たといバビロンが天てんに上のぼっても、その城しろを高たかくして固かためても、滅ほろぼす者ものはわたしから出でて、これに臨のぞむと主しゅは言いわれる。
51:54 聞きけ、バビロンの叫さけびを、カルデヤびとの地ちに起おこる大おおいなる滅ほろびの騒さわぎ声こえを。
51:55 主しゅがバビロンを滅ほろぼし、その大おおいなる声こえを絶たやされるのだ。その波なみは大水おおみずのように鳴なりとどろき、その声こえはひびき渡わたる。
51:56 滅ほろぼす者ものがこれに臨のぞみ、バビロンに来きた。その勇士ゆうしたちは捕とらえられ、その弓ゆみは折おられる。主しゅは報むくいをする神かみであるから必かならず報むくいられるのだ。
51:57 わたしはその君きみたちと知者ちしゃたち、おさたち、つかさたち、および勇士ゆうしたちを酔よわせる。彼かれらは、ながい ねむりにいり、目めをさますことはない。万軍ばんぐんの主しゅと呼よばれる王おうがこれを言いわせる。
51:58 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、バビロンの広ひろい城壁じょうへきは地ちにくずされ、その高たかい門もんは火ひに焼やかれる。こうして民たみの労苦ろうくはむなしくなり、国民こくみんはただ火ひのために疲つかれる」。
51:59 マアセヤの子こであるネリヤの子こセラヤが、ユダの王おうゼデキヤと共ともに、その治世ちせいの四年ねんにバビロンへ行いくとき、預言者よげんしゃエレミヤがセラヤに命めいじた言葉ことば。セラヤは宿営しゅくえいの長ちょうであった。
51:60 エレミヤはバビロンに臨のぞもうとするすべての災わざわいを巻物まきものにしるした。これはすなわちバビロンの事ことについてしるしたすべての言葉ことばである。
51:61 エレミヤはセラヤに言いった、「あなたはバビロンへ行いったならば、忘わすれることなくこのすべての言葉ことばを読よみ、
51:62 そして言いいなさい、『主しゅよ、あなたはこの所ところを滅ほろぼし、人ひとと獣けものとを問とわず、すべてここに住すむ者もののないようにし、永久えいきゅうにここを荒あれ地ちとしようと、この所ところについて語かたられました』と。
51:63 あなたがこの巻物まきものを読よみ終おわったならば、これに石いしをむすびつけてユフラテ川かわの中なかに投なげこみ、
51:64 そして言いいなさい、『バビロンはこのように沈しずんで、二度どと上あがってこない。わたしがこれに災わざわいを下くだすからである』と」。ここまではエレミヤの言葉ことばである。
第52章 52:1 ゼデキヤは王おうとなったとき二十一歳さいであったが、エルサレムで十一年ねん世よを治おさめた。母ははの名なはハムタルといい、リブナのエレミヤの娘むすめである。52:2 ゼデキヤはエホヤキムがすべて行いったように、主しゅの目めの前まえに悪事あくじを行おこなった。52:3 たしかに、主しゅの怒いかりによって、エルサレムとユダとは、そのみ前まえから捨すて去さられるようなことになった。 そしてゼデキヤはバビロンの王おうにそむいた。52:4 そこで彼かれの治世ちせいの九年ねん十月がつ十日かに、バビロンの王おうネブカデレザルはその軍勢ぐんぜいを率ひきい、エルサレムにきて、これを包囲ほういし、周囲しゅういに塁るいを築きずいてこれを攻せめた。52:5 こうしてこの町まちは攻せめ囲かこまれて、ゼデキヤ王おうの十一年ねんにまで及およんだが、52:6 その四月がつ九日かになって、町まちの中なかの食糧しょくりょうは、はなはだしく欠乏けつぼうし、その地ちの民たみは食物しょくもつを得えることができなくなった。52:7 そして町まちの城壁じょうへきはついに打うち破やぶられたので、兵士へいしたちはみな逃にげ、夜よるのうちに、王おうの園そのの近ちかくの、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちをのがれ出でて、カルデヤびとが、町まちを攻せめ囲かこんでいるうちに、アラバの方ほうへ落おちて行いった。52:8 しかしカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは王おうを追おって行いって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいついたが、彼かれの軍勢ぐんぜいがみな散ちって彼かれのそばを離はなれたので、52:9 カルデヤびとは王おうを捕とらえ、ハマテの地ちのリブラにいるバビロンの王おうのもとに引ひいていったので、王おうは彼かれの罪つみを定さだめた。52:10 すなわちバビロンの王おうはゼデキヤの子こたちをその目めの前まえで殺ころさせ、ユダのつかさたちをことごとくリブラで殺ころさせ、52:11 またゼデキヤの目めをつぶさせた。そしてバビロンの王おうは彼かれを鎖くさりにつないでバビロンへ連つれて行いき、その死しぬ日ひまで獄屋ごくやに入いれて置おいた。 52:12 五月がつ十日かに、――それはバビロンの王おうネブカデレザルの世よの十九年ねんであった――バビロンの王おうに仕つかえる侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはエルサレムに、はいって、52:13 主しゅの宮みやと王おうの宮殿きゅうでんを焼やき、エルサレムのすべての家いえを焼やいた。彼かれは大おおきな家いえをみな焼やきはらった。52:14 また侍衛じえいの長ちょうと共ともにいたカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは、エルサレムの周囲しゅういの城壁じょうへきをみな取とりこわした。52:15 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは民たみのうちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかん、そのほか町まちのうちに残のこった者もの、およびバビロンの王おうにくだった人ひと、その他た工 こうしょうたちを捕とらえ移うつした。52:16 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはその地ちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかんを残のこして、ぶどうを作つくる者ものとし、農夫のうふとした。 52:17 カルデヤびとはまた主しゅの宮みやの青銅せいどうの柱はしらと、洗盤せんばんの台だいと、青銅せいどうの海うみを砕くだいて、その青銅せいどうをことごとくバビロンへ運はこび、52:18 また、つぼと、十能じゅうのうと、心切しんきりばさみと、鉢はちと、香こうを盛もる皿さらおよび宮みやの勤つとめに用もちいる青銅せいどうの器うつわをことごとく取とって行いった。52:19 また彼かれらは小鉢こばちと、心取しんとり皿ざらと、鉢はちと、つぼと、燭台しょくだいと、香こうを盛もる皿さらと、灌祭かんさいの鉢はちを取とった。金きんで作つくった物ものは金きんとして、銀ぎんで作つくった物ものは銀ぎんとして、侍衛じえいの長ちょうは運はこび去さった。52:20 ソロモン王おうが主しゅの宮みやに造つくった二本ほんの柱はしらと、一つの海うみと、海うみの下したの十二の青銅せいどうの牛うしと、台だいなど、このすべての物ものの青銅せいどうの重おもさは量はかることもできなかった。52:21 この一本ぽんの柱はしらの高たかさは十八キュビト、周囲しゅういは十二キュビトで、指ゆび四本ほんの厚あつさがあり、中なかは、うつろであった。52:22 その上うえに青銅せいどうの柱頭ちゅうとうがあり、柱頭ちゅうとうの高たかさは五キュビト、柱頭ちゅうとうの周囲しゅういは網あみ細工ざいくと、ざくろとで飾かざり、これらもみな青銅せいどうであった。他たの柱はしらもそのざくろも、これと同おなじであった。52:23 その四方しほうに九十六個このざくろがあり、周囲しゅういの網あみ細工ざいくの上うえにあるざくろの数かずは百個こであった。 52:24 侍衛じえいの長ちょうは祭司さいし長ちょうセラヤと次席じせきの祭司さいしゼパニヤと三人にんの門もんを守まもる者ものを捕とらえ、52:25 また兵士へいしをつかさどるひとりの役人やくにんと、町まちにいた王おうの側近そっきんの者もの七人にんと、その地ちの民たみを募つのる軍勢ぐんぜいの長ちょうの書記官しょきかんと、町まちの中なかにいた六十人にんの者ものを町まちから捕とらえ去さった。52:26 侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、これらの人ひとを捕とらえて、リブラにいるバビロンの王おうのもとに連つれて行いった。52:27 バビロンの王おうは、ハマテの地ちのリブラで彼かれらを撃うち殺ころした。こうして、ユダは自分じぶんの地ちから捕とらえ移うつされた。 52:28 ネブカデレザルが捕とらえ移うつした民たみの数かずは次つぎのとおりである。第だい七年ねんにはユダヤ人ひと三千二十三人にん。52:29 またネブカデレザルはその第だい十八年ねんにエルサレムから八百三十二人にんを捕とらえ移うつした。52:30 ネブカデレザルの二十三年ねんに侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、ユダヤ人ひと七百四十五人にんを捕とらえ移うつした。この総数そうすうは四千六百人にんであった。 52:31 ユダの王おうエホヤキンが捕とらえ移うつされて後のち三十七年ねんの十二月がつ二十五日にちに、バビロンの王おうエビルメロダクはその即位そくいの年ねんに、ユダの王おうエホヤキンを獄屋ごくやから出だし、そのこうべを挙あげさせ、52:32 親切しんせつに彼かれを慰なぐさめ、その位くらいを、バビロンで共ともにいる王おうたちの位くらいよりも高たかくした。52:33 こうしてエホヤキンは獄屋ごくやの服ふくを脱ぬいだ。そして生いきている間あいだは毎日まいにち王おうの食卓しょくたくで食事しょくじし、52:34 彼かれの給与きゅうよとしては、その死しぬ日ひまで一生いっしょうの間あいだ、たえず日々ひびの必要ひつようにしたがって、バビロンの王おうから給与きゅうよを賜たまわった。
52:1 ゼデキヤは王おうとなったとき二十一歳さいであったが、エルサレムで十一年ねん世よを治おさめた。母ははの名なはハムタルといい、リブナのエレミヤの娘むすめである。
52:2 ゼデキヤはエホヤキムがすべて行いったように、主しゅの目めの前まえに悪事あくじを行おこなった。
52:3 たしかに、主しゅの怒いかりによって、エルサレムとユダとは、そのみ前まえから捨すて去さられるようなことになった。
そしてゼデキヤはバビロンの王おうにそむいた。
52:4 そこで彼かれの治世ちせいの九年ねん十月がつ十日かに、バビロンの王おうネブカデレザルはその軍勢ぐんぜいを率ひきい、エルサレムにきて、これを包囲ほういし、周囲しゅういに塁るいを築きずいてこれを攻せめた。
52:5 こうしてこの町まちは攻せめ囲かこまれて、ゼデキヤ王おうの十一年ねんにまで及およんだが、
52:6 その四月がつ九日かになって、町まちの中なかの食糧しょくりょうは、はなはだしく欠乏けつぼうし、その地ちの民たみは食物しょくもつを得えることができなくなった。
52:7 そして町まちの城壁じょうへきはついに打うち破やぶられたので、兵士へいしたちはみな逃にげ、夜よるのうちに、王おうの園そのの近ちかくの、二つの城壁じょうへきの間あいだの門もんから町まちをのがれ出でて、カルデヤびとが、町まちを攻せめ囲かこんでいるうちに、アラバの方ほうへ落おちて行いった。
52:8 しかしカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは王おうを追おって行いって、エリコの平地へいちでゼデキヤに追おいついたが、彼かれの軍勢ぐんぜいがみな散ちって彼かれのそばを離はなれたので、
52:9 カルデヤびとは王おうを捕とらえ、ハマテの地ちのリブラにいるバビロンの王おうのもとに引ひいていったので、王おうは彼かれの罪つみを定さだめた。
52:10 すなわちバビロンの王おうはゼデキヤの子こたちをその目めの前まえで殺ころさせ、ユダのつかさたちをことごとくリブラで殺ころさせ、
52:11 またゼデキヤの目めをつぶさせた。そしてバビロンの王おうは彼かれを鎖くさりにつないでバビロンへ連つれて行いき、その死しぬ日ひまで獄屋ごくやに入いれて置おいた。
52:12 五月がつ十日かに、――それはバビロンの王おうネブカデレザルの世よの十九年ねんであった――バビロンの王おうに仕つかえる侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはエルサレムに、はいって、
52:13 主しゅの宮みやと王おうの宮殿きゅうでんを焼やき、エルサレムのすべての家いえを焼やいた。彼かれは大おおきな家いえをみな焼やきはらった。
52:14 また侍衛じえいの長ちょうと共ともにいたカルデヤびとの軍勢ぐんぜいは、エルサレムの周囲しゅういの城壁じょうへきをみな取とりこわした。
52:15 そして侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは民たみのうちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかん、そのほか町まちのうちに残のこった者もの、およびバビロンの王おうにくだった人ひと、その他た工 こうしょうたちを捕とらえ移うつした。
52:16 しかし侍衛じえいの長ちょうネブザラダンはその地ちの最もっとも貧まずしい者もの若干じゃっかんを残のこして、ぶどうを作つくる者ものとし、農夫のうふとした。
52:17 カルデヤびとはまた主しゅの宮みやの青銅せいどうの柱はしらと、洗盤せんばんの台だいと、青銅せいどうの海うみを砕くだいて、その青銅せいどうをことごとくバビロンへ運はこび、
52:18 また、つぼと、十能じゅうのうと、心切しんきりばさみと、鉢はちと、香こうを盛もる皿さらおよび宮みやの勤つとめに用もちいる青銅せいどうの器うつわをことごとく取とって行いった。
52:19 また彼かれらは小鉢こばちと、心取しんとり皿ざらと、鉢はちと、つぼと、燭台しょくだいと、香こうを盛もる皿さらと、灌祭かんさいの鉢はちを取とった。金きんで作つくった物ものは金きんとして、銀ぎんで作つくった物ものは銀ぎんとして、侍衛じえいの長ちょうは運はこび去さった。
52:20 ソロモン王おうが主しゅの宮みやに造つくった二本ほんの柱はしらと、一つの海うみと、海うみの下したの十二の青銅せいどうの牛うしと、台だいなど、このすべての物ものの青銅せいどうの重おもさは量はかることもできなかった。
52:21 この一本ぽんの柱はしらの高たかさは十八キュビト、周囲しゅういは十二キュビトで、指ゆび四本ほんの厚あつさがあり、中なかは、うつろであった。
52:22 その上うえに青銅せいどうの柱頭ちゅうとうがあり、柱頭ちゅうとうの高たかさは五キュビト、柱頭ちゅうとうの周囲しゅういは網あみ細工ざいくと、ざくろとで飾かざり、これらもみな青銅せいどうであった。他たの柱はしらもそのざくろも、これと同おなじであった。
52:23 その四方しほうに九十六個このざくろがあり、周囲しゅういの網あみ細工ざいくの上うえにあるざくろの数かずは百個こであった。
52:24 侍衛じえいの長ちょうは祭司さいし長ちょうセラヤと次席じせきの祭司さいしゼパニヤと三人にんの門もんを守まもる者ものを捕とらえ、
52:25 また兵士へいしをつかさどるひとりの役人やくにんと、町まちにいた王おうの側近そっきんの者もの七人にんと、その地ちの民たみを募つのる軍勢ぐんぜいの長ちょうの書記官しょきかんと、町まちの中なかにいた六十人にんの者ものを町まちから捕とらえ去さった。
52:26 侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、これらの人ひとを捕とらえて、リブラにいるバビロンの王おうのもとに連つれて行いった。
52:27 バビロンの王おうは、ハマテの地ちのリブラで彼かれらを撃うち殺ころした。こうして、ユダは自分じぶんの地ちから捕とらえ移うつされた。
52:28 ネブカデレザルが捕とらえ移うつした民たみの数かずは次つぎのとおりである。第だい七年ねんにはユダヤ人ひと三千二十三人にん。
52:29 またネブカデレザルはその第だい十八年ねんにエルサレムから八百三十二人にんを捕とらえ移うつした。
52:30 ネブカデレザルの二十三年ねんに侍衛じえいの長ちょうネブザラダンは、ユダヤ人ひと七百四十五人にんを捕とらえ移うつした。この総数そうすうは四千六百人にんであった。
52:31 ユダの王おうエホヤキンが捕とらえ移うつされて後のち三十七年ねんの十二月がつ二十五日にちに、バビロンの王おうエビルメロダクはその即位そくいの年ねんに、ユダの王おうエホヤキンを獄屋ごくやから出だし、そのこうべを挙あげさせ、
52:32 親切しんせつに彼かれを慰なぐさめ、その位くらいを、バビロンで共ともにいる王おうたちの位くらいよりも高たかくした。
52:33 こうしてエホヤキンは獄屋ごくやの服ふくを脱ぬいだ。そして生いきている間あいだは毎日まいにち王おうの食卓しょくたくで食事しょくじし、
52:34 彼かれの給与きゅうよとしては、その死しぬ日ひまで一生いっしょうの間あいだ、たえず日々ひびの必要ひつようにしたがって、バビロンの王おうから給与きゅうよを賜たまわった。