口語訳聖書(振り仮名付き)

章:  13  14  15  16  17  18  19  20  21

マタイによる福音ふくいんしょ

第13章    Mt-Audio 

13:1 その、イエスはいえて、うみべにすわっておられた。

13:2 ところが、おおぜいの群衆ぐんしゅうがみもとにあつまったので、イエスはふねってすわられ、群衆ぐんしゅうはみなきしっていた。

13:3 イエスはたとえおおくのことかたり、こうわれた、「よ、たねまきがたねをまきにった。

13:4 まいているうちに、みちばたにちたたねがあった。すると、とりがきてべてしまった。

13:5 ほかのたねつちうす石地いしじちた。そこはつちふかくないので、すぐしたが、

13:6 のぼるとけて、がないためにれてしまった。

13:7 ほかのたねはいばらのちた。すると、いばらがびて、ふさいでしまった。

13:8 ほかのたねちてむすび、あるものは百ばい、あるものは六十ばい、あるものは三十ばいにもなった。

13:9 みみのあるものくがよい」。

13:10 それから、弟子でしたちがイエスに近寄ちかよってきてった、「なぜ、かれらにたとえでおはなしになるのですか」。

13:11 そこでイエスはこたえてわれた、「あなたがたには、天国てんごく奥義おくぎることがゆるされているが、かれらにはゆるされていない。

13:12 おおよそ、っているひとあたえられて、いよいよゆたかになるが、っていないひとは、っているものまでもげられるであろう。

13:13 だから、かれらにはたとえかたるのである。それはかれらが、てもず、いてもかず、またさとらないからである。

13:14 こうしてイザヤのった預言よげんが、かれらのうえ成就じょうじゅしたのである。

『あなたがたはくにはくが、けっしてさとらない。るにはるが、けっしてみとめない。

13:15 このたみこころにぶくなり、そのみみきこえにくく、そのじている。それは、かれらがず、みみかず、こころさとらず、あらためていやされることがないためである』。

13:16 しかし、あなたがたのており、みみいているから、さいわいである。

13:17 あなたがたによくっておく。おおくの預言者よげんしゃ義人ぎじんは、あなたがたのていることをようと熱心ねっしんねがったが、ることができず、またあなたがたのいていることをこうとしたが、けなかったのである。

13:18 そこで、たねまきのたとえきなさい。

13:19 だれでも御国みくにことばいてさとらないならば、わるものがきて、そのひとこころにまかれたものをうばいとってく。みちばたにまかれたものというのは、そういうひとのことである。

13:20 石地いしじにまかれたものというのは、御言みことばくと、すぐによろこんでけるひとのことである。

13:21 そのなかがないので、しばらくつづくだけであって、御言みことばのために困難こんなん迫害はくがいおこってくると、すぐつまずいてしまう。

13:22 また、いばらのなかにまかれたものとは、御言みことばくが、こころづかいととみまどわしとが御言みことばをふさぐので、むすばなくなるひとのことである。

13:23 また、にまかれたものとは、御言みことばいてさとひとのことであって、そういうひとむすび、百ばい、あるいは六十ばい、あるいは三十ばいにもなるのである」。

13:24 また、ほかのたとえかれらにしめしてわれた、「天国てんごくは、たね自分じぶんはたけにまいておいたひとのようなものである。

13:25 人々ひとびとねむっているあいだてきがきて、むぎなかどくむぎをまいてった。

13:26 がはえむすぶと、同時どうじどくむぎもあらわれてきた。

13:27 しもべたちがきて、いえ主人しゅじんった、『ご主人様しゅじんさまはたけにおまきになったのは、たねではありませんでしたか。どうしてどくむぎがはえてきたのですか』。

13:28 主人しゅじんった、『それはてきのしわざだ』。するとしもべたちがった『ではって、それをあつめましょうか』。

13:29 かれった、『いや、どくむぎあつめようとして、むぎ一緒いっしょくかもれない。

13:30 収穫しゅうかくまで、両方りょうほうともそだつままにしておけ。収穫しゅうかくときになったら、ものに、まずどくむぎあつめてたばにしてき、むぎほうあつめてくられてくれ、といつけよう』」。

13:31 また、ほかのたとえかれらにしめしてわれた、「天国てんごくは、一つぶのからしだねのようなものである。あるひとがそれをとってはたけにまくと、

13:32 それはどんなたねよりもちいさいが、成長せいちょうすると、野菜やさいなかでいちばんおおきくなり、そらとりがきて、そのえだ宿やどるほどのになる」。

13:33 またほかのたとえかれらにかたられた、「天国てんごくは、パンたねのようなものである。おんながそれをって三こななかぜると、全体ぜんたいがふくらんでくる」。

13:34 イエスはこれらのことをすべて、たとえ群衆ぐんしゅうかたられた。たとえによらないでは何事なにごとかれらにかたられなかった。

13:35 これは預言者よげんしゃによってわれたことが、成就じょうじゅするためである、

「わたしはくちひらいてたとえかたり、はじめからかくされていることをかたそう」。

13:36 それからイエスは、群衆ぐんしゅうをあとにのこしていえにはいられた。すると弟子でしたちは、みもとにきてった、「はたけどくむぎたとえ説明せつめいしてください」。

13:37 イエスはこたえてわれた、「たねをまくものは、ひとである。

13:38 はたけ世界せかいである。たねうのは御国みくにたちで、どくむぎわるものたちである。

13:39 それをまいたてき悪魔あくまである。収穫しゅうかくとはおわりのことで、もの御使みつかいたちである。

13:40 だから、どくむぎあつめられてかれるように、おわりにもそのとおりになるであろう。

13:41 ひとはその使つかいたちをつかわし、つまずきとなるものと不法ふほうおこなものとを、ことごとく御国みくにからとりあつめて、

13:42 れさせるであろう。そこではさけんだり、がみをしたりするであろう。

13:43 そのとき、義人ぎじんたちはかれらのちち御国みくにで、太陽たいようのようにかがやきわたるであろう。みみのあるものくがよい。

13:44 天国てんごくは、はたけかくしてあるたからのようなものである。ひとがそれをつけるとかくしておき、よろこびのあまり、ってものをみなりはらい、そしてそのはたけうのである。

13:45 また天国てんごくは、真珠しんじゅさがしている商人しょうにんのようなものである。

13:46 高価こうか真珠しんじゅいだすと、ってものをみなりはらい、そしてこれをうのである。

13:47 また天国てんごくは、うみにおろして、あらゆる種類しゅるいうおかこみいれるあみのようなものである。

13:48 それがいっぱいになるときしげ、そしてすわって、いのをうつわれ、わるいのをそとてるのである。

13:49 おわりにも、そのとおりになるであろう。すなわち、御使みつかいたちがきて、義人ぎじんのうちから悪人あくにんをえりけ、

13:50 そしてげこむであろう。そこではさけんだり、がみをしたりするであろう。

13:51 あなたがたは、これらのことがみなわかったか」。かれらは「わかりました」とこたえた。

13:52 そこで、イエスはかれらにわれた、「それだから、天国てんごくのことをまなんだ学者がくしゃは、あたらしいものとふるいものとを、そのくらから一家いっか主人しゅじんのようなものである」。

13:53 イエスはこれらのたとえかたえてから、そこをられた。

13:54 そして郷里きょうりき、会堂かいどう人々ひとびとおしえられたところ、かれらはおどろいてった、「このひとは、この知恵ちえとこれらのちからあるわざとを、どこでならってきたのか。

13:55 このひと大工だいくではないか。はははマリヤといい、兄弟きょうだいたちは、ヤコブ、ヨセフ、シモン、ユダではないか。

13:56 またその姉妹しまいたちもみな、わたしたちと一緒いっしょにいるではないか。こんな数々かずかずのことを、いったい、どこでならってきたのか」。

13:57 こうして人々ひとびとはイエスにつまずいた。しかし、イエスはわれた、「預言者よげんしゃは、自分じぶん郷里きょうり自分じぶんいえ以外いがいでは、どこででもうやまわれないことはない」。

13:58 そしてかれらの信仰しんこうのゆえに、そこではちからあるわざを、あまりなさらなかった。 

第14章 

14:1 そのころ、領主りょうしゅヘロデはイエスのうわさをいて、

14:2 家来けらいった、「あれはバプテスマのヨハネだ。死人しにんなかからよみがえったのだ。それで、あのようなちからかれのうちにはたらいているのだ」。

14:3 というのは、ヘロデはさきに、自分じぶん兄弟きょうだいピリポのつまヘロデヤのことで、ヨハネをとらえてしばり、ごくれていた。

14:4 すなわち、ヨハネはヘロデに、「そのおんなをめとるのは、よろしくない」とったからである。

14:5 そこでヘロデはヨハネをころそうとおもったが、群衆ぐんしゅうおそれた。かれらがヨハネを預言者よげんしゃみとめていたからである。

14:6 さてヘロデの誕生たんじょういわいに、ヘロデヤのむすめがその席上せきじょうまいをまい、ヘロデをよろこばせたので、

14:7 彼女かのじょねがうものは、なんでもあたえようと、かれちかって約束やくそくまでした。

14:8 すると彼女かのじょははにそそのかされて、「バプテスマのヨハネのくびぼんせて、ここにってきていただきとうございます」とった。

14:9 おうこまったが、いったんちかったのと、また列座れつざひとたちの手前てまえ、それをあたえるようにめいじ、

14:10 ひとをつかわして、獄中ごくちゅうでヨハネのくびらせた。

14:11 そのくびぼんせてはこばれ、少女しょうじょにわたされ、少女しょうじょはそれをははのところにってった。

14:12 それから、ヨハネの弟子でしたちがきて、死体したいってほうむった。そして、イエスのところにって報告ほうこくした。

14:13 イエスはこのことをくと、ふねってそこをり、自分じぶんひとりでさびしいところかれた。しかし、群衆ぐんしゅうはそれといて、町々まちまちから徒歩とほであとをってきた。

14:14 イエスはふねからがって、おおぜいの群衆ぐんしゅうをごらんになり、かれらをふかくあわれんで、そのうちの病人びょうにんたちをおいやしになった。

14:15 夕方ゆうがたになったので、弟子でしたちがイエスのもとにきてった、「ここはさびしいところでもあり、もうときもおそくなりました。群衆ぐんしゅう解散かいさんさせ、めいめいで食物しょくもついに、村々むらむらかせてください」。

14:16 するとイエスはわれた、「かれらがかけてくにはおよばない。あなたがたの食物しょくもつをやりなさい」。

14:17 弟子でしたちはった、「わたしたちはここに、パン五つとうお二ひきしかっていません」。

14:18 イエスはわれた、「それをここにってきなさい」。

14:19 そして群衆ぐんしゅうめいじて、くさうえにすわらせ、五つのパンと二ひきのうおとをり、てんあおいでそれを祝福しゅくふくし、パンをさいて弟子でしたちにわたされた。弟子でしたちはそれを群衆ぐんしゅうあたえた。

14:20 みんなのものべて満腹まんぷくした。パンくずののこりをあつめると、十二のかごにいっぱいになった。

14:21 べたものは、おんな子供こどもとをのぞいて、おおよそ五千にんであった。

14:22 それからすぐ、イエスは群衆ぐんしゅう解散かいさんさせておられるあいだに、しいて弟子でしたちをふねませ、こうぎしさきにおやりになった。

14:23 そして群衆ぐんしゅう解散かいさんさせてから、いのるためひそかにやまのぼられた。夕方ゆうがたになっても、ただひとりそこにおられた。

14:24 ところがふねは、もうすでにりくから数丁すうちょうはなれており、逆風ぎゃくふういていたために、なみなやまされていた。

14:25 イエスは夜明よあけの四ごろ、うみうえあるいてかれらのほうかれた。

14:26 弟子でしたちは、イエスがうみうえあるいておられるのをて、幽霊ゆうれいだとっておじまどい、恐怖きょうふのあまりさけごえをあげた。

14:27 しかし、イエスはすぐにかれらにこえをかけて、「しっかりするのだ、わたしである。おそれることはない」とわれた。

14:28 するとペテロがこたえてった、「しゅよ、あなたでしたか。では、わたしにめいじて、みずうえわたってみもとにかせてください」。

14:29 イエスは、「おいでなさい」とわれたので、ペテロはふねからおり、みずうえあるいてイエスのところへった。

14:30 しかし、かぜおそろしくなり、そしておぼれかけたので、かれさけんで、「しゅよ、おたすけください」とった。

14:31 イエスはすぐにばし、かれをつかまえてわれた、「信仰しんこううすものよ、なぜうたがったのか」。

14:32 ふたりがふねむと、かぜはやんでしまった。

14:33 ふねなかにいたものたちはイエスをはいして、「ほんとうに、あなたはかみです」とった。

14:34 それから、かれらはうみわたってゲネサレのいた。

14:35 するとその土地とち人々ひとびとはイエスとって、その附近ふきん全体ぜんたいひとをつかわし、イエスのところに病人びょうにんをみなれてこさせた。

14:36 そしてかれらにイエスの上着うわぎのふさにでも、さわらせてやっていただきたいとおねがいした。そしてさわったものみないやされた。 

第15章 

15:1 ときに、パリサイびと律法りっぽう学者がくしゃたちとが、エルサレムからイエスのもとにきてった、

15:2 「あなたの弟子でしたちは、なぜむかし人々ひとびと言伝いいつたえをやぶるのですか。かれらは食事しょくじときあらっていません」。

15:3 イエスはこたえてわれた、「なぜ、あなたがたも自分じぶんたちの言伝いいつたえによって、かみのいましめをやぶっているのか。

15:4 かみわれた、『ちちははとをうやまえ』、また『ちちまたはははをののしるものは、かならさだめられる』と。

15:5 それだのに、あなたがたは『だれでもちちまたはははにむかって、あなたにさしあげるはずのこのものはそなものです、とえば、

15:6 ちちまたはははうやまわなくてもよろしい』とっている。こうしてあなたがたは自分じぶんたちの言伝いいつたえによって、かみことばにしている。

15:7 偽善者ぎぜんしゃたちよ、イザヤがあなたがたについて、こういう適切てきせつ預言よげんをしている、

15:8 『このたみは、くちさきではわたしをうやまうが、そのこころはわたしからとおはなれている。

15:9 人間にんげんのいましめをおしえとしておしえ、無意味むいみにわたしをおがんでいる』」。

15:10 それからイエスは群衆ぐんしゅうせてわれた、「いてさとるがよい。

15:11 くちにはいるものはひとけがすことはない。かえって、くちからるものがひとけがすのである」。

15:12 そのとき、弟子でしたちが近寄ちかよってきてイエスにった、「パリサイびとたちが御言みことばいてつまずいたことを、ごぞんじですか」。

15:13 イエスはこたえてわれた、「わたしのてんちちがおえにならなかったものは、みなられるであろう。

15:14 かれらをそのままにしておけ。かれらは盲人もうじん手引てびきする盲人もうじんである。もし盲人もうじん盲人もうじん手引てびきするなら、ふたりともあなむであろう」。

15:15 ペテロがこたえてった、「そのたとえ説明せつめいしてください」。

15:16 イエスはわれた、「あなたがたも、まだわからないのか。

15:17 くちにはいってくるものは、みなはらなかにはいり、そして、そとくことをらないのか。

15:18 しかし、くちからくものは、こころなかからてくるのであって、それがひとけがすのである。

15:19 というのは、わるおもい、すなわち、殺人さつじん姦淫かんいん不品行ふひんこうぬすみ、偽証ぎしょうそしりは、こころなかからてくるのであって、

15:20 これらのものがひとけがすのである。しかし、あらわない食事しょくじすることは、ひとけがすのではない」。

15:21 さて、イエスはそこをて、ツロとシドンとの地方ちほうかれた。

15:22 すると、そこへ、その地方ちほうのカナンのおんなてきて、「しゅよ、ダビデのよ、わたしをあわれんでください。むすめ悪霊あくれいにとりつかれてくるしんでいます」とってさけびつづけた。

15:23 しかし、イエスはひとこともおこたえにならなかった。そこで弟子でしたちがみもとにきてねがってった、「このおんなはらってください。さけびながらついてきていますから」。

15:24 するとイエスはこたえてわれた、「わたしは、イスラエルのいえうしなわれたひつじ以外いがいものには、つかわされていない」。

15:25 しかし、おんな近寄ちかよりイエスをはいしてった、「しゅよ、わたしをおたすけください」。

15:26 イエスはこたえてわれた、「子供こどもたちのパンをって小犬こいぬげてやるのは、よろしくない」。

15:27 するとおんなった、「しゅよ、お言葉ことばどおりです。でも、小犬こいぬもその主人しゅじん食卓しょくたくからちるパンくずは、いただきます」。

15:28 そこでイエスはこたえてわれた、「おんなよ、あなたの信仰しんこうあげたものである。あなたのねがいどおりになるように」。そのときに、むすめはいやされた。

15:29 イエスはそこをって、ガリラヤのうみべにき、それからやまのぼってそこにすわられた。

15:30 するとおおぜいの群衆ぐんしゅうが、あしなえ、不具者ふぐしゃ盲人もうじん、おし、そのほかおおくの人々ひとびとれてきて、イエスのあしもとにいたので、かれらをおいやしになった。

15:31 群衆ぐんしゅうは、おしがものい、不具者ふぐしゃなおり、あしなえがあるき、盲人もうじんえるようになったのをおどろき、そしてイスラエルのかみをほめたたえた。

15:32 イエスは弟子でしたちをせてわれた、「この群衆ぐんしゅうがかわいそうである。もう三日間かかんもわたしと一緒いっしょにいるのに、なにべるものがない。しかし、かれらを空腹くうふくのままでかえらせたくはない。おそらく途中とちゅうよわってしまうであろう」。

15:33 弟子でしたちはった、「荒野あらのなかで、こんなにおおぜいの群衆ぐんしゅうにじゅうぶんべさせるほどたくさんのパンを、どこでれましょうか」。

15:34 イエスは弟子でしたちに「パンはいくつあるか」とたずねられると、「七つあります。またちいさいうおすこしあります」とこたえた。

15:35 そこでイエスは群衆ぐんしゅうに、にすわるようにとめいじ、

15:36 七つのパンとうおとをり、感謝かんしゃしてこれをさき、弟子でしたちにわたされ、弟子でしたちはこれを群衆ぐんしゅうにわけた。

15:37 一同いちどうものべて満腹まんぷくした。そしてのこったパンくずをあつめると、七つのかごにいっぱいになった。

15:38 べたものは、おんな子供こどもとをのぞいて四千にんであった。

15:39 そこでイエスは群衆ぐんしゅう解散かいさんさせ、ふねってマガダンの地方ちほうかれた。 

第16章 

16:1 パリサイびととサドカイびととが近寄ちかよってきて、イエスをこころみ、てんからのしるしをせてもらいたいとった。

16:2 イエスはかれらにわれた、「あなたがたは夕方ゆうがたになると、『そらがまっかだから、はれだ』とい、

16:3 またがたには『そらくもってまっかだから、きょうはれだ』とう。あなたがたはそら模様もよう見分みわけることをりながら、ときのしるしを見分みわけることができないのか。

16:4 邪悪じゃあく不義ふぎ時代じだいは、しるしをもとめる。しかし、ヨナのしるしのほかには、なんのしるしもあたえられないであろう」。そして、イエスはかれらをあとにのこしてられた。

16:5 弟子でしたちはこうぎしったが、パンをってるのをわすれていた。

16:6 そこでイエスはわれた、「パリサイびととサドカイびととのパンだねを、よくよく警戒けいかいせよ」。

16:7 弟子でしたちは、これは自分じぶんたちがパンをってこなかったためであろうとって、たがいろんった。

16:8 イエスはそれとってわれた、「信仰しんこううすものたちよ、なぜパンがないからだとたがいろんっているのか。

16:9 まだわからないのか。おぼえていないのか。五つのパンを五千にんけたとき、いくかごひろったか。

16:10 また、七つのパンを四千にんけたとき、いくかごひろったか。

16:11 わたしがったのは、パンについてではないことを、どうしてさとらないのか。ただ、パリサイびととサドカイびととのパンだね警戒けいかいしなさい」。

16:12 そのときかれらは、イエスが警戒けいかいせよとわれたのは、パンだねのことではなく、パリサイびととサドカイびととのおしえのことであるとさとった。

16:13 イエスがピリポ・カイザリヤの地方ちほうかれたとき、弟子でしたちにたずねてわれた、「人々ひとびとひとをだれとっているか」。

16:14 かれらはった、「ある人々ひとびとはバプテスマのヨハネだとっています。しかし、ほかのひとたちは、エリヤだとい、また、エレミヤあるいは預言者よげんしゃのひとりだ、とっているものもあります」。

16:15 そこでイエスはかれらにわれた、「それでは、あなたがたはわたしをだれとうか」。

16:16 シモン・ペテロがこたえてった、「あなたこそ、けるかみキリストです」。

16:17 すると、イエスはかれにむかってわれた、「バルヨナ・シモン、あなたはさいわいである。あなたにこのことをあらわしたのは、血肉けつにくではなく、てんにいますわたしのちちである。

16:18 そこで、わたしもあなたにう。あなたはペテロである。そして、わたしはこのいわうえにわたしの教会きょうかいてよう。黄泉よみちからもそれにつことはない。

16:19 わたしは、あなたに天国てんごくのかぎをさづけよう。そして、あなたが地上ちじょうでつなぐことは、てんでもつながれ、あなたが地上ちじょうくことはてんでもかれるであろう」。

16:20 そのとき、イエスは、自分じぶんがキリストであることをだれにもってはいけないと、弟子でしたちをいましめられた。

16:21 このときから、イエス・キリストは、自分じぶんかならずエルサレムにき、長老ちょうろう祭司長さいしちょう律法りっぽう学者がくしゃたちからおおくのくるしみをけ、ころされ、そして三によみがえるべきことを、弟子でしたちにしめしはじめられた。

16:22 すると、ペテロはイエスをわきへせて、いさめはじめ、「しゅよ、とんでもないことです。そんなことがあるはずはございません」とった。

16:23 イエスはいて、ペテロにわれた、「サタンよ、きさがれ。わたしの邪魔じゃまをするものだ。あなたはかみのことをおもわないで、ひとのことをおもっている」。

16:24 それからイエスは弟子でしたちにわれた、「だれでもわたしについてきたいとおもうなら、自分じぶんて、自分じぶん十字架じゅうじかうて、わたしにしたがってきなさい。

16:25 自分じぶんいのちすくおうとおもものはそれをうしない、わたしのために自分じぶんいのちうしなものは、それをいだすであろう。

16:26 たといひとぜん世界せかいをもうけても、自分じぶんいのちそんしたら、なんのとくになろうか。また、ひとはどんな代価だいかはらって、そのいのちいもどすことができようか。

16:27 ひとちち栄光えいこうのうちに、御使みつかいたちをしたがえてるが、そのときには、実際じっさいのおこないにおうじて、それぞれにむくいるであろう。

16:28 よくいておくがよい、ひと御国みくにちからをもってるのをるまでは、あじわわないものが、ここにっているものなかにいる」。 

第17章 

17:1 六日むいかののち、イエスはペテロ、ヤコブ、ヤコブの兄弟きょうだいヨハネだけをれて、たかやまのぼられた。

17:2 ところが、かれらのまえでイエスの姿すがたかわり、そのかおのようにかがやき、そのころもひかりのようにしろくなった。

17:3 すると、よ、モーセとエリヤがかれらにあらわれて、イエスとかたっていた。

17:4 ペテロはイエスにむかってった、「しゅよ、わたしたちがここにいるのは、すばらしいことです。もし、おさしつかえなければ、わたしはここに小屋こやを三つてましょう。一つはあなたのために、一つはモーセのために、一つはエリヤのために」。

17:5 かれがまだはなえないうちに、たちまち、かがやくもかれらをおおい、そしてくもなかからこえがした、「これはわたしのあいする、わたしのこころにかなうものである。これにけ」。

17:6 弟子でしたちはこれをいて非常ひじょうおそれ、かおせた。

17:7 イエスはちかづいてきて、かれらにおいてわれた、「きなさい、おそれることはない」。

17:8 かれらがをあげると、イエスのほかには、だれもえなかった。

17:9 一同いちどうやまくだってるとき、イエスは「ひと死人しにんなかからよみがえるまでは、いまたことをだれにもはなしてはならない」と、かれらにめいじられた。

17:10 弟子でしたちはイエスにおたずねしてった、「いったい、律法りっぽう学者がくしゃたちは、なぜ、エリヤがさきるはずだとっているのですか」。

17:11 こたえてわれた、「たしかに、エリヤがきて、万事ばんじもとどおりにあらためるであろう。

17:12 しかし、あなたがたにっておく。エリヤはすでにきたのだ。しかし人々ひとびとかれみとめず、自分じぶんかってにかれをあしらった。ひともまた、そのようにかれらからくるしみをけることになろう」。

17:13 そのとき、弟子でしたちは、イエスがバプテスマのヨハネのことをわれたのだとさとった。

17:14 さてかれらが群衆ぐんしゅうのところにかえると、ひとりのひとがイエスに近寄ちかよってきて、ひざまずいて、った、

17:15 「しゅよ、わたしのをあわれんでください。てんかんでくるしんでおります。なんなんなかみずなかたおれるのです。

17:16 それで、そのをお弟子でしたちのところにれてきましたが、なおしていただけませんでした」。

17:17 イエスはこたえてわれた、「ああ、なんという信仰しんこうな、まがった時代じだいであろう。いつまで、わたしはあなたがたと一緒いっしょにおられようか。いつまであなたがたに我慢がまんができようか。そのをここに、わたしのところにれてきなさい」。

17:18 イエスがおしかりになると、悪霊あくれいはそのからった。そしてはそのときいやされた。

17:19 それから、弟子でしたちがひそかにイエスのもとにきてった、「わたしたちは、どうしてれいせなかったのですか」。

17:20 するとイエスはわれた、「あなたがたの信仰しんこうりないからである。よくかせておくが、もし、からしだねつぶほどの信仰しんこうがあるなら、このやまにむかって『ここからあそこにうつれ』とえば、うつるであろう。このように、あなたがたにできないことは、なにもないであろう。〔

17:21 しかし、このたぐいは、いのり断食だんじきとによらなければ、すことはできない〕」。

17:22 かれらがガリラヤであつまっていたとき、イエスはわれた、「ひと人々ひとびとにわたされ、

17:23 かれらにころされ、そして三によみがえるであろう」。弟子でしたちは非常ひじょうこころをいためた。

17:24 かれらがカペナウムにきたとき、みや納入のうにゅうきんあつめるひとたちがペテロのところにきてった、「あなたがたの先生せんせいみや納入のうにゅうきんおさめないのか」。

17:25 ペテロは「おさめておられます」とった。そしてかれいえにはいると、イエスからさきはなしかけてわれた、「シモン、あなたはどうおもうか。このおうたちはぜいみつぎをだれからるのか。自分じぶんからか、それとも、ほかのひとたちからか」。

17:26 ペテロが「ほかのひとたちからです」とこたえると、イエスはわれた、「それでは、おさめなくてもよいわけである。

17:27 しかし、かれらをつまずかせないために、うみって、つりはりをたれなさい。そして最初さいしょにつれたうおをとって、そのくちをあけると、銀貨ぎんかまいつかるであろう。それをとりして、わたしとあなたのためにおさめなさい」。 

第18章 

18:1 そのとき、弟子でしたちがイエスのもとにきてった、「いったい、天国てんごくではだれがいちばんえらいのですか」。

18:2 すると、イエスはおさせ、かれらのまんなかたせてわれた、

18:3 「よくきなさい。こころをいれかえておさのようにならなければ、天国てんごくにはいることはできないであろう。

18:4 このおさのように自分じぶんひくくするものが、天国てんごくでいちばんえらいのである。

18:5 また、だれでも、このようなひとりのおさを、わたしののゆえにけいれるものは、わたしをけいれるのである。

18:6 しかし、わたしをしんずるこれらのちいさいもののひとりをつまずかせるものは、おおきなひきうすをくびにかけられてうみふかみにしずめられるほうが、そのひとえきになる。

18:7 このは、つみ誘惑ゆうわくがあるから、わざわいである。つみ誘惑ゆうわくかならる。しかし、それをきたらせるひとは、わざわいである。

18:8 もしあなたの片手かたてまたは片足かたあしが、つみおかさせるなら、それをっててなさい。両手りょうて両足りょうあしがそろったままで、永遠えいえんまれるよりは、片手かたて片足かたあしになっていのちはいほうがよい。

18:9 もしあなたの片目かためつみおかさせるなら、それをしててなさい。りょうがんがそろったままで地獄じごくれられるよりは、片目かためになっていのちはいほうがよい。

18:10 あなたがたは、これらのちいさいもののひとりをもかろんじないように、をつけなさい。あなたがたにうが、かれらの御使みつかいたちはてんにあって、てんにいますわたしのちちのみかおをいつもあおいでいるのである。〔

18:11 ひとは、ほろびるものすくうためにきたのである。〕

18:12 あなたがたはどうおもうか。あるひとに百ぴきひつじがあり、そのなかの一ぴきまよたとすれば、九十九ひきやまのこしておいて、そのまよているひつじさがしにかけないであろうか。

18:13 もしそれをつけたなら、よくきなさい、まよわないでいる九十九ひきのためよりも、むしろその一ぴきのためによろこぶであろう。

18:14 そのように、これらのちいさいもののひとりがほろびることは、てんにいますあなたがたのちちのみこころではない。

18:15 もしあなたの兄弟きょうだいつみおかすなら、って、かれとふたりだけのところ忠告ちゅうこくしなさい。もしいてくれたら、あなたの兄弟きょうだいたことになる。

18:16 もしいてくれないなら、ほかにひとりふたりを、一緒いっしょれてきなさい。それは、ふたりまたは三にん証人しょうにんくちによって、すべてのことがらがたしかめられるためである。

18:17 もしかれらのうことをかないなら、教会きょうかいもうなさい。もし教会きょうかいうこともかないなら、そのひと異邦人いほうじんまたは取税人しゅぜいにん同様どうようあつかいなさい。

18:18 よくっておく。あなたがたが地上ちじょうでつなぐことは、てんでもみなつながれ、あなたがたが地上ちじょうくことは、てんでもみなかれるであろう。

18:19 また、よくっておく。もしあなたがたのうちのふたりが、どんなねがごとについても地上ちじょうこころわせるなら、てんにいますわたしのちちはそれをかなえてくださるであろう。

18:20 ふたりまたは三にんが、わたしのによってあつまっているところには、わたしもそのなかにいるのである」。

18:21 そのとき、ペテロがイエスのもとにきてった、「しゅよ、兄弟きょうだいがわたしにたいしてつみおかした場合ばあいいくたびゆるさねばなりませんか。七たびまでですか」。

18:22 イエスはかれわれた、「わたしは七たびまでとはわない。七たびを七十ばいするまでにしなさい。

18:23 それだから、天国てんごくおうしもべたちと決算けっさんをするようなものだ。

18:24 決算けっさんはじまると、一万タラントの負債ふさいのあるものが、おうのところにれられてきた。

18:25 しかし、かえせなかったので、主人しゅじんは、そのひと自身じしんとその妻子さいしもの全部ぜんぶとをってかえすようにめいじた。

18:26 そこで、このしもべはひれして哀願あいがんした、『どうぞおちください。全部ぜんぶかえしいたしますから』。

18:27 しもべ主人しゅじんはあわれにおもって、かれをゆるし、その負債ふさいめんじてやった。

18:28 そのしもべくと、百デナリをしているひとりの仲間なかま出会であい、かれをつかまえ、くびをしめて『借金しゃっきんかえせ』とった。

18:29 そこでこの仲間なかまはひれし、『どうかってくれ。かえすから』とってたのんだ。

18:30 しかし承知しょうちせずに、そのひとをひっぱってって、借金しゃっきんかえすまでごくれた。

18:31 そのひと仲間なかまたちは、この様子ようすて、非常ひじょうこころをいため、ってそのことをのこらず主人しゅじんはなした。

18:32 そこでこの主人しゅじんかれびつけてった、『わるしもべ、わたしにねがったからこそ、あの負債ふさい全部ぜんぶゆるしてやったのだ。

18:33 わたしがあわれんでやったように、あの仲間なかまをあわれんでやるべきではなかったか』。

18:34 そして主人しゅじん立腹りっぷくして、負債ふさい全部ぜんぶかえしてしまうまで、かれ獄吏ごくりきわたした。

18:35 あなたがためいめいも、もしこころから兄弟きょうだいをゆるさないならば、わたしのてんちちもまたあなたがたにたいして、そのようになさるであろう」。 

第19章 

19:1 イエスはこれらのことをかたえられてから、ガリラヤをってヨルダンのこうのユダヤの地方ちほうかれた。

19:2 するとおおぜいの群衆ぐんしゅうがついてきたので、かれらをそこでおいやしになった。

19:3 さてパリサイびとたちがちかづいてきて、イエスをこころみようとしてった、「なにかの理由りゆうで、おっとがそのつますのは、さしつかえないでしょうか」。

19:4 イエスはこたえてわれた、「あなたがたはまだんだことがないのか。『創造者そうぞうしゃはじめからひとおとこおんなとに つくられ、

19:5 そしてわれた、それゆえに、ひと父母ふぼはなれ、そのつまむすばれ、ふたりのもの一体いったいとなるべきである』。

19:6 かれらはもはや、ふたりではなく一体いったいである。だから、かみわせられたものを、ひとはなしてはならない」。

19:7 かれらはイエスにった、「それでは、なぜモーセは、つま場合ばあいには離縁りえんじょうわたせ、とさだめたのですか」。

19:8 イエスがわれた、「モーセはあなたがたのこころが、かたくななので、つますことをゆるしたのだが、はじめからそうではなかった。

19:9 そこでわたしはあなたがたにう。不品行ふひんこうのゆえでなくて、自分じぶんつましておんなをめとるものは、姦淫かんいんおこなうのである」。

19:10 弟子でしたちはった、「もしつまたいするおっと立場たちばがそうだとすれば、結婚けっこんしないほうがましです」。

19:11 するとイエスはかれらにわれた、「その言葉ことばけいれることができるのはすべてのひとではなく、ただそれをさづけられている人々ひとびとだけである。

19:12 というのは、はは胎内たいないから独身者どくしんしゃうまれついているものがあり、またほかから独身者どくしんしゃにされたものもあり、また天国てんごくのために、みずからすすんで独身者どくしんしゃとなったものもある。この言葉ことばけられるものは、けいれるがよい」。

19:13 そのとき、イエスにをおいていのっていただくために、人々ひとびとおさらをみもとにれてきた。ところが、弟子でしたちはかれらをたしなめた。

19:14 するとイエスはわれた、「おさらをそのままにしておきなさい。わたしのところにるのをとめてはならない。天国てんごくはこのようなものくにである」。

19:15 そしてかれらのうえにおいてから、そこをってかれた。

19:16 すると、ひとりのひとがイエスに近寄ちかよってきてった、「先生せんせい永遠えいえん生命せいめいるためには、どんなよいことをしたらいいでしょうか」。

19:17 イエスはわれた、「なぜよいことについてわたしにたずねるのか。よいかたはただひとりだけである。もしいのちはいりたいとおもうなら、いましめをまもりなさい」。

19:18 かれった、「どのいましめですか」。イエスはわれた、「『ころすな、姦淫かんいんするな、ぬすむな、偽証ぎしょうてるな。

19:19 ちちははとをうやまえ』。また『自分じぶんあいするように、あなたのとなひとあいせよ』」。

19:20 この青年せいねんはイエスにった、「それはみなまもってきました。ほかになにりないのでしょう」。

19:21 イエスはかれわれた、「もしあなたが完全かんぜんになりたいとおもうなら、かえってあなたのものはらい、まずしい人々ひとびとほどこしなさい。そうすれば、てんたからつようになろう。そして、わたしにしたがってきなさい」。

19:22 この言葉ことばいて、青年せいねんかなしみながらった。たくさんの資産しさんっていたからである。

19:23 それからイエスは弟子でしたちにわれた、「よくきなさい。んでいるもの天国てんごくにはいるのは、むずかしいものである。

19:24 また、あなたがたにうが、んでいるものかみくににはいるよりは、らくだがはりあなとおほうが、もっとやさしい」。

19:25 弟子でしたちはこれをいて非常ひじょうおどろいてった、「では、だれがすくわれることができるのだろう」。

19:26 イエスはかれらをつめてわれた、「ひとにはそれはできないが、かみにはなんでもできないことはない」。

19:27 そのとき、ペテロがイエスにこたえてった、「ごらんなさい、わたしたちはいっさいをてて、あなたにしたがいました。ついては、なにがいただけるでしょうか」。

19:28 イエスはかれらにわれた、「よくいておくがよい。あらたまって、ひとがその栄光えいこうにつくときには、わたしにしたがってきたあなたがたもまた、十二のくらいしてイスラエルの十二の部族ぶぞくをさばくであろう。

19:29 おおよそ、わたしののために、いえ兄弟きょうだい姉妹しまいちちはは、もしくははたけてたものは、そのいくばいもをけ、また永遠えいえん生命せいめいけつぐであろう。

19:30 しかし、おおくのさきものはあとになり、あとのものさきになるであろう。 

第20章 

20:1 天国てんごくは、あるいえ主人しゅじんが、自分じぶんのぶどうえん労働者ろうどうしゃやとうために、けると同時どうじに、かけてくようなものである。

20:2 かれ労働者ろうどうしゃたちと、一にち一デナリの約束やくそくをして、かれらをぶどうえんおくった。

20:3 それから九ごろにって、人々ひとびと市場いちばなにもせずにっているのをた。

20:4 そして、そのひとたちにった、『あなたがたも、ぶどうえんきなさい。相当そうとう賃銀ちんぎんはらうから』。

20:5 そこで、かれらはかけてった。主人しゅじんはまた、十二ごろと三ごろとにって、おなじようにした。

20:6 五ときごろまたくと、まだっている人々ひとびとたので、かれらにった、『なぜ、なにもしないで、一にちぢゅうここにっていたのか』。

20:7 かれらが『だれもわたしたちをやとってくれませんから』とこたえたので、その人々ひとびとった、『あなたがたも、ぶどうえんきなさい』。

20:8 さて、夕方ゆうがたになって、ぶどうえん主人しゅじん管理人かんりにんった、『労働者ろうどうしゃたちをびなさい。そして、最後さいごにきた人々ひとびとからはじめて順々じゅんじゅん最初さいしょにきた人々ひとびとにわたるように、賃銀ちんぎんはらってやりなさい』。

20:9 そこで、五ときごろにやとわれた人々ひとびとがきて、それぞれ一デナリずつもらった。

20:10 ところが、最初さいしょ人々ひとびとがきて、もっとおおくもらえるだろうとおもっていたのに、かれらも一デナリずつもらっただけであった。

20:11 もらったとき、いえ主人しゅじんにむかって不平ふへいをもらして

20:12 った、『この最後さいごものたちは一時間じかんしかはたらかなかったのに、あなたは一にちじゅう、労苦ろうくあつさを辛抱しんぼうしたわたしたちとおなあつかいをなさいました』。

20:13 そこでかれはそのひとりにこたえてった、『ともよ、わたしはあなたにたいして不正ふせいをしてはいない。あなたはわたしと一デナリの約束やくそくをしたではないか。

20:14 自分じぶん賃銀ちんぎんをもらってきなさい。わたしは、この最後さいごものにもあなたと同様どうようはらってやりたいのだ。

20:15 自分じぶんもの自分じぶんがしたいようにするのは、あたりまえではないか。それともわたしが気前きまえよくしているので、ねたましくおもうのか』。

20:16 このように、あとのものさきになり、さきものはあとになるであろう」。

20:17 さて、イエスはエルサレムへのぼるとき、十二弟子でしをひそかにびよせ、その途中とちゅうかれらにわれた、

20:18 「よ、わたしたちはエルサレムへのぼってくが、ひと祭司長さいしちょう律法りっぽう学者がくしゃたちのわたされるであろう。かれらはかれ死刑しけい宣告せんこくし、

20:19 そしてかれをあざけり、むちち、十字架じゅうじかにつけさせるために、異邦人いほうじんきわたすであろう。そしてかれは三によみがえるであろう」。

20:20 そのとき、ゼベダイのらのははが、そのらと一緒いっしょにイエスのもとにきてひざまずき、何事なにごとかをおねがいした。

20:21 そこでイエスは彼女かのじょわれた、「なにをしてほしいのか」。彼女かのじょった、「わたしのこのふたりのむすこが、あなたの御国みくにで、ひとりはあなたのみぎに、ひとりはひだりにすわれるように、お言葉ことばをください」。

20:22 イエスはこたえてわれた、「あなたがたは、自分じぶんなにもとめているのか、わかっていない。わたしのもうとしているさかずきむことができるか」。かれらは「できます」とこたえた。

20:23 イエスはかれらにわれた、「たしかに、あなたがたはわたしのさかずきむことになろう。しかし、わたしのみぎひだりにすわらせることは、わたしのすることではなく、わたしのちちによってそなえられている人々ひとびとだけにゆるされることである」。

20:24 十にんものはこれをいて、このふたりの兄弟きょうだいたちのことで憤慨ふんがいした。

20:25 そこで、イエスはかれらをせてわれた、「あなたがたのっているとおり、異邦人いほうじん支配者しはいしゃたちはそのたみおさめ、またえらひとたちは、そのたみうえ権力けんりょくをふるっている。

20:26 あなたがたのあいだではそうであってはならない。かえって、あなたがたのあいだえらくなりたいとおもものは、つかえるひととなり、

20:27 あなたがたのあいだでかしらになりたいとおもものは、しもべとならねばならない。

20:28 それは、ひとがきたのも、つかえられるためではなく、つかえるためであり、またおおくのひとのあがないとして、自分じぶんいのちあたえるためであるのと、ちょうどおなじである」。

20:29 それから、かれらがエリコをったとき、おおぜいの群衆ぐんしゅうがイエスにしたがってきた。

20:30 すると、ふたりの盲人もうじんみちばたにすわっていたが、イエスがとおってかれるといて、さけんでった、「しゅよ、ダビデのよ、わたしたちをあわれんでください」。

20:31 群衆ぐんしゅうかれらをしかってだまらせようとしたが、かれらはますますさけびつづけてった、「しゅよ、ダビデのよ、わたしたちをあわれんでください」。

20:32 イエスはちどまり、かれらをんでわれた、「わたしになにをしてほしいのか」。

20:33 かれらはった、「しゅよ、をあけていただくことです」。

20:34 イエスはふかくあわれんで、かれらのにさわられた。するとかれらは、たちまちえるようになり、イエスにしたがってった。 

第21章 

21:1 さて、かれらがエルサレムにちかづき、オリブやま沿いのベテパゲにいたとき、イエスはふたりの弟子でしをつかわしてわれた、

21:2 「こうのむらきなさい。するとすぐ、ろばがつながれていて、ろばがそばにいるのをるであろう。それをいてわたしのところにいてきなさい。

21:3 もしだれかが、あなたがたになにったなら、しゅがおようなのです、といなさい。そうえば、すぐわたしてくれるであろう」。

21:4 こうしたのは、預言者よげんしゃによってわれたことが、成就じょうじゅするためである。

21:5 すなわち、

「シオンのむすめげよ、よ、あなたのおうがおいでになる、柔和にゅうわなおかたで、ろばにって、くびきをうろばのって」。

21:6 弟子でしたちはって、イエスがおめいじになったとおりにし、

21:7 ろばとろばとをいてきた。そしてそのうえ自分じぶんたちの上着うわぎをかけると、イエスはそれにおりになった。

21:8 群衆ぐんしゅうのうちおおくのもの自分じぶんたちの上着うわぎみちき、また、ほかのものたちはえだってきてみちいた。

21:9 そして群衆ぐんしゅうは、まえものも、あとにしたがものも、ともさけびつづけた、

「ダビデのに、ホサナ。しゅ御名みなによってきたるものに、祝福しゅくふくあれ。いとたかところに、ホサナ」。

21:10 イエスがエルサレムにはいってかれたとき、町中まちじゅうがこぞってさわち、「これは、いったい、どなただろう」とった。

21:11 そこで群衆ぐんしゅうは、「このひとはガリラヤのナザレから預言者よげんしゃイエスである」とった。

21:12 それから、イエスはみやにはいられた。そして、みやにわいしていた人々ひとびとをみなし、また両替人りょうがえにんだいや、はとをもの腰掛こしかけをくつがえされた。

21:13 そしてかれらにわれた、「『わたしのいえは、いのりいえととなえらるべきである』といてある。それだのに、あなたがたはそれを強盗ごうとうにしている」。

21:14 そのときみやにわで、盲人もうじんあしなえがみもとにきたので、かれらをおいやしになった。

21:15 しかし、祭司長さいしちょう律法りっぽう学者がくしゃたちは、イエスがなされた不思議ふしぎなわざを、またみやにわで「ダビデのに、ホサナ」とさけんでいる子供こどもたちを立腹りっぷくし、

21:16 イエスにった、「あのたちがなにっているのか、おきですか」。イエスはかれらにわれた、「そうだ、いている。あなたがたは『おさのみたちのくちにさんびをそなえられた』とあるのをんだことがないのか」。

21:17 それから、イエスはかれらをあとにのこし、みやこてベタニヤにき、そこでごされた。

21:18 あさはやくみやこかえるとき、イエスは空腹くうふくをおぼえられた。

21:19 そして、みちのかたわらに一ぽんのいちじくのがあるのをて、そこにかれたが、ただのほかはなに見当みあたらなかった。そこでそのにむかって、「いまからのちいつまでも、おまえにはがならないように」とわれた。すると、いちじくのはたちまちれた。

21:20 弟子でしたちはこれをて、おどろいてった、「いちじくがどうして、こうすぐにれたのでしょう」。

21:21 イエスはこたえてわれた、「よくいておくがよい。もしあなたがたがしんじてうたがわないならば、このいちじくにあったようなことが、できるばかりでなく、このやまにむかって、うごしてうみなかにはいれとっても、そのとおりになるであろう。

21:22 また、いのりのとき、しんじてもとめるものは、みなあたえられるであろう」。

21:23 イエスがみやにはいられたとき、祭司長さいしちょうたちやたみ長老ちょうろうたちが、そのおしえておられるところにきてった、「なに権威けんいによって、これらのことをするのですか。だれが、そうする権威けんいさづけたのですか」。

21:24 そこでイエスはかれらにわれた、「わたしも一つだけたずねよう。あなたがたがそれにこたえてくれたなら、わたしも、なに権威けんいによってこれらのことをするのか、あなたがたにおう。

21:25 ヨハネのバプテスマはどこからきたのであったか。てんからであったか、ひとからであったか」。すると、かれらはたがいろんじてった、「もしてんからだとえば、では、なぜかれしんじなかったのか、とイエスはうだろう。

21:26 しかし、もしひとからだとえば、群衆ぐんしゅうおそろしい。人々ひとびとがみなヨハネを預言者よげんしゃおもっているのだから」。

21:27 そこでかれらは、「わたしたちにはわかりません」とこたえた。すると、イエスがわれた、「わたしもなに権威けんいによってこれらのことをするのか、あなたがたにうまい。

21:28 あなたがたはどうおもうか。あるひとにふたりのがあったが、あにのところにってった、『よ、きょう、ぶどうえんってはたらいてくれ』。

21:29 するとかれは『おとうさん、まいります』とこたえたが、かなかった。

21:30 またおとうとのところにきておなじようにった。かれは『いやです』とこたえたが、あとからこころえて、かけた。

21:31 このふたりのうち、どちらがちちのぞみどおりにしたのか」。かれらはった、「あとのものです」。イエスはわれた、「よくきなさい。取税人しゅぜいにん遊女ゆうじょは、あなたがたよりさきかみくににはいる。

21:32 というのは、ヨハネがあなたがたのところにきて、みちいたのに、あなたがたはかれしんじなかった。ところが、取税人しゅぜいにん遊女ゆうじょかれしんじた。あなたがたはそれをたのに、あとになっても、こころをいれえてかれしんじようとしなかった。

21:33 もう一つのたとえきなさい。あるところに、ひとりのいえ主人しゅじんがいたが、ぶどうえんつくり、かきをめぐらし、そのなかさかぶねのあなり、やぐらをて、それを農夫のうふたちにして、たびかけた。

21:34 収穫しゅうかく季節きせつがきたので、そのまえろうとして、しもべたちを農夫のうふのところへおくった。

21:35 すると、農夫のうふたちは、そのしもべたちをつかまえて、ひとりをふくろだたきにし、ひとりをころし、もうひとりをいしころした。

21:36 またべつに、まえよりもおおくのしもべたちをおくったが、かれらをもおなじようにあしらった。

21:37 しかし、最後さいごに、わたしのうやまってくれるだろうとおもって、主人しゅじんはそのかれらのところにつかわした。

21:38 すると農夫のうふたちは、そのたがいった、『あれはあとりだ。さあ、これをころして、その財産ざいさんれよう』。

21:39 そしてかれをつかまえて、ぶどうえんそとしてころした。

21:40 このぶどうえん主人しゅじんかえってきたら、この農夫のうふたちをどうするだろうか」。

21:41 かれらはイエスにった、「悪人あくにんどもを、皆殺みなごろしにして、季節きせつごとに収穫しゅうかくおさめるほかの農夫のうふたちに、そのぶどうえんあたえるでしょう」。

21:42 イエスはかれらにわれた、「あなたがたは、聖書せいしょでまだんだことがないのか、

いえつくりらのてたいしすみのかしらいしになった。これはしゅがなされたことで、わたしたちのには不思議ふしぎえる』。

21:43 それだから、あなたがたにうが、かみくにはあなたがたからげられて、御国みくににふさわしいむすぶような異邦人いほうじんあたえられるであろう。

21:44 またそのいしうえちるものくだかれ、それがだれかのうえちかかるなら、そのひとはこなみじんにされるであろう」。

21:45 祭司長さいしちょうたちやパリサイびとたちがこのたとえいたとき、自分じぶんたちのことをさしてっておられることをさとったので、

21:46 イエスをとらえようとしたが、群衆ぐんしゅうおそれた。群衆ぐんしゅうはイエスを預言者よげんしゃだとおもっていたからである。