口語訳聖書(振り仮名付き)

章:  9  10  11  12  13  14  15  16

マルコによる福音ふくいんしょ

第9章    Mk-Audio 

9:1 また、かれらにわれた、「よくいておくがよい。かみくにちからをもってるのをるまでは、けっしてあじわわないものが、ここにっているものなかにいる」。

9:2 六日むいかのち、イエスは、ただペテロ、ヤコブ、ヨハネだけをれて、たかやまのぼられた。ところが、かれらのまえでイエスの姿すがたかわり、

9:3 そのころも真白まっしろかがやき、どんなぬのさらしでも、それほどにしろくすることはできないくらいになった。

9:4 すると、エリヤがモーセとともかれらにあらわれて、イエスとかたっていた。

9:5 ペテロはイエスにむかってった、「先生せんせい、わたしたちがここにいるのは、すばらしいことです。それで、わたしたちは小屋こやを三つてましょう。一つはあなたのために、一つはモーセのために、一つはエリヤのために」。

9:6 そうったのは、みんなのもの非常ひじょうおそれていたので、ペテロはなにってよいか、わからなかったからである。

9:7 すると、くもがわきおこってかれらをおおった。そして、そのくもなかからこえがあった、「これはわたしのあいするである。これにけ」。

9:8 かれらはいそいでまわしたが、もはやだれもえず、ただイエスだけが、自分じぶんたちと一緒いっしょにおられた。

9:9 一同いちどうやまくだってるとき、イエスは「ひと死人しにんなかからよみがえるまでは、いまたことをだれにもはなしてはならない」と、かれらにめいじられた。

9:10 かれらはこの言葉ことばこころにとめ、死人しにんなかからよみがえるとはどういうことかと、たがいろんった。

9:11 そしてイエスにたずねた、「なぜ、律法りっぽう学者がくしゃたちは、エリヤがさきるはずだとっているのですか」。

9:12 イエスはわれた、「たしかに、エリヤがさきにきて、万事ばんじもとどおりにあらためる。しかし、ひとについて、かれおおくのくるしみをけ、かつずかしめられると、いてあるのはなぜか。

9:13 しかしあなたがたにっておく、エリヤはすでにきたのだ。そしてかれについていてあるように、人々ひとびと自分じぶんかってにかれをあしらった」。

9:14 さて、かれらがほかの弟子でしたちのところにきてると、おおぜいの群衆ぐんしゅう弟子でしたちをかこみ、そして律法りっぽう学者がくしゃたちがかれらとろんっていた。

9:15 群衆ぐんしゅうはみな、すぐイエスをつけて、非常ひじょうおどろき、ってきて、あいさつをした。

9:16 イエスがかれらに、「あなたがたはかれらとなにろんじているのか」とたずねられると、

9:17 群衆ぐんしゅうのひとりがこたえた、「先生せんせい、おしのれいにつかれているわたしのむすこを、こちらにれてまいりました。

9:18 れいがこのむすこにとりつきますと、どこででもかれたおし、それからかれはあわをき、をくいしばり、からだをこわばらせてしまいます。それでお弟子でしたちに、このれいしてくださるようにねがいましたが、できませんでした」。

9:19 イエスはこたえてわれた、「ああ、なんという信仰しんこう時代じだいであろう。いつまで、わたしはあなたがたと一緒いっしょにおられようか。いつまで、あなたがたに我慢がまんができようか。そのをわたしのところれてきなさい」。

9:20 そこで人々ひとびとは、そのをみもとにれてきた。れいがイエスをるやいなや、そのをひきつけさせたので、たおれ、あわをきながらころげまわった。

9:21 そこで、イエスが父親ちちおやに「いつごろから、こんなになったのか」とたずねられると、父親ちちおやこたえた、「おさなときからです。

9:22 れいはたびたび、このなかみずなかれて、ころそうとしました。しかしできますれば、わたしどもをあわれんでおたすけください」。

9:23 イエスはかれわれた、「もしできれば、とうのか。しんずるものには、どんなことでもできる」。

9:24 その父親ちちおやはすぐさけんでった、「しんじます。信仰しんこうなわたしを、おたすけください」。

9:25 イエスは群衆ぐんしゅうってるのをごらんになって、けがれたれいをしかってわれた、「おしとつんぼのれいよ、わたしがおまえにめいじる。このからけ。二と、はいってるな」。

9:26 するとれいさけごえをあげ、はげしくきつけさせてった。その死人しにんのようになったので、おおくのひとは、んだのだとった。

9:27 しかし、イエスがっておこされると、そのがった。

9:28 いえにはいられたとき、弟子でしたちはひそかにおたずねした、「わたしたちは、どうしてれいせなかったのですか」。

9:29 すると、イエスはわれた、「このたぐいは、いのりによらなければ、どうしてもすことはできない」。

9:30 それからかれらはそこをり、ガリラヤをとおってったが、イエスはひとづかれるのをこのまれなかった。

9:31 それは、イエスが弟子でしたちにおしえて、「ひと人々ひとびとにわたされ、かれらにころされ、ころされてから三のちによみがえるであろう」とっておられたからである。

9:32 しかし、かれらはイエスのわれたことをさとらず、またたずねるのをおそれていた。

9:33 それからかれらはカペナウムにきた。そしていえにおられるとき、イエスは弟子でしたちにたずねられた、「あなたがたは途中とちゅうなにろんじていたのか」。

9:34 かれらはだまっていた。それは途中とちゅうで、だれが一ばんえらいかと、たがいろんっていたからである。

9:35 そこで、イエスはすわって十二弟子でしび、そしてわれた、「だれでも一ばんさきになろうとおもうならば、一ばんあとになり、みんなにつかえるものとならねばならない」。

9:36 そして、ひとりのおさをとりあげて、かれらのまんなかたせ、それをいてわれた。

9:37 「だれでも、このようなおさのひとりを、わたしののゆえにけいれるものは、わたしをけいれるのである。そして、わたしをけいれるものは、わたしをけいれるのではなく、わたしをおつかわしになったかたをけいれるのである」。

9:38 ヨハネがイエスにった、「先生せんせい、わたしたちについてこないものが、あなたの使つかって悪霊あくれいしているのをましたが、そのひとはわたしたちについてこなかったので、やめさせました」。

9:39 イエスはわれた、「やめさせないがよい。だれでもわたしのちからあるわざをおこないながら、すぐそのあとで、わたしをそしることはできない。

9:40 わたしたちに反対はんたいしないものは、わたしたちの味方みかたである。

9:41 だれでも、キリストについているものだというので、あなたがたにみず一杯いっぱいでもませてくれるものは、よくっておくが、けっしてそのむくいからもれることはないであろう。

9:42 また、わたしをしんじるこれらのちいさいもののひとりをつまずかせるものは、おおきなひきうすをくびにかけられてうみまれたほうが、はるかによい。

9:43 もし、あなたの片手かたてつみおかさせるなら、それをてなさい。両手りょうてがそろったままで地獄じごくえないなかむよりは、かたわになっていのちはいほうがよい。〔

9:44 地獄じごくでは、うじがつきず、えることがない。〕

9:45 もし、あなたの片足かたあしつみおかさせるなら、それをてなさい。両足りょうあしがそろったままで地獄じごくれられるよりは、片足かたあしいのちはいほうがよい。〔

9:46 地獄じごくでは、うじがつきず、えることがない。〕

9:47 もし、あなたの片目かためつみおかさせるなら、それをしなさい。りょうがんがそろったままで地獄じごくれられるよりは、片目かためになってかみくにはいほうがよい。

9:48 地獄じごくでは、うじがつきず、えることがない。

9:49 ひとはすべてしおづけられねばならない。

9:50 しおはよいものである。しかし、もしそのしおあじがぬけたら、なにによってそのあじりもどされようか。あなたがた自身じしんうちしおちなさい。そして、たがいやわらぎなさい」。 

第10章 

10:1 それから、イエスはそこをって、ユダヤの地方ちほうとヨルダンのこうがわかれたが、群衆ぐんしゅうがまたあつまったので、いつものように、またおしえておられた。

10:2 そのとき、パリサイびとたちがちかづいてきて、イエスをこころみようとして質問しつもんした、「おっとはそのつましてもしつかえないでしょうか」。

10:3 イエスはこたえてわれた、「モーセはあなたがたになんとめいじたか」。

10:4 かれらはった、「モーセは、離縁りえんじょういてつますことをゆるしました」。

10:5 そこでイエスはわれた、「モーセはあなたがたのこころが、かたくななので、あなたがたのためにこのさだめをいたのである。

10:6 しかし、天地てんち創造そうぞうはじめから、『かみひとおとこおんなとにつくられた。

10:7 それゆえに、ひとはその父母ふぼはなれ、

10:8 ふたりのもの一体いったいとなるべきである』。かれらはもはや、ふたりではなく一体いったいである。

10:9 だから、かみわせられたものを、ひとはなしてはならない」。

10:10 いえにはいってから、弟子でしたちはまたこのことについてたずねた。

10:11 そこで、イエスはわれた、「だれでも、自分じぶんつましておんなをめとるものは、そのつまたいして姦淫かんいんおこなうのである。

10:12 またつまが、そのおっとわかれておとこにとつぐならば、姦淫かんいんおこなうのである」。

10:13 イエスにさわっていただくために、人々ひとびとおさらをみもとにれてきた。ところが、弟子でしたちはかれらをたしなめた。

10:14 それをてイエスはいきどおり、かれらにわれた、「おさらをわたしのところるままにしておきなさい。めてはならない。かみくにはこのようなものくにである。

10:15 よくいておくがよい。だれでもおさのようにかみくにけいれるものでなければ、そこにはいることはけっしてできない」。

10:16 そしてかれらをいだき、をそのうえにおいて祝福しゅくふくされた。

10:17 イエスがみちかれると、ひとりのひとはしり、みまえにひざまずいてたずねた、「よきよ、永遠えいえん生命せいめいけるために、なにをしたらよいでしょうか」。

10:18 イエスはわれた、「なぜわたしをよきものうのか。かみひとりのほかによいものはいない。

10:19 いましめはあなたのっているとおりである。『ころすな、姦淫かんいんするな、ぬすむな、偽証ぎしょうてるな。あざむるな。ちちははとをうやまえ』」。

10:20 すると、かれった、「先生せんせい、それらのことはみな、ちいさいときからまもっております」。

10:21 イエスはかれをとめ、いつくしんでわれた、「あなたにりないことが一つある。かえって、っているものをみなはらって、まずしい人々ひとびとほどこしなさい。そうすれば、てんたからつようになろう。そして、わたしにしたがってきなさい」。

10:22 すると、かれはこの言葉ことばいて、かおくもらせ、かなしみながらった。たくさんの資産しさんっていたからである。

10:23 それから、イエスはまわして、弟子でしたちにわれた、「財産ざいさんのあるものかみくににはいるのは、なんとむずかしいことであろう」。

10:24 弟子でしたちはこの言葉ことばおどろあやしんだ。イエスはさらわれた、「たちよ、かみくににはいるのは、なんとむずかしいことであろう。

10:25 んでいるものかみくににはいるよりは、らくだがはりあなとおほうが、もっとやさしい」。

10:26 するとかれらはますますおどろいて、たがいった、「それでは、だれがすくわれることができるのだろう」。

10:27 イエスはかれらをつめてわれた、「ひとにはできないが、かみにはできる。かみはなんでもできるからである」。

10:28 ペテロがイエスにした、「ごらんなさい、わたしたちはいっさいをてて、あなたにしたがってまいりました」。

10:29 イエスはわれた、「よくいておくがよい。だれでもわたしのために、また福音ふくいんのために、いえ兄弟きょうだい姉妹しまいははちち、もしくははたけてたものは、

10:30 かならずその百ばいける。すなわち、いまこの時代じだいではいえ兄弟きょうだい姉妹しまいははおよびはたけ迫害はくがいともけ、また、きたるべきでは永遠えいえん生命せいめいける。

10:31 しかし、おおくのさきものはあとになり、あとのものさきになるであろう」。

10:32 さて、一同いちどうはエルサレムへのぼ途上とじょうにあったが、イエスが先頭せんとうってかれたので、かれらはおどろあやしみ、したがものたちはおそれた。するとイエスはまた十二弟子でしせて、自分じぶんおころうとすることについてかたりはじめられた、

10:33 「よ、わたしたちはエルサレムへのぼってくが、ひと祭司長さいしちょう律法りっぽう学者がくしゃたちのきわたされる。そしてかれらは死刑しけい宣告せんこくしたうえかれ異邦人いほうじんきわたすであろう。

10:34 またかれをあざけり、つばきをかけ、むちち、ついにころしてしまう。そしてかれは三のちによみがえるであろう」。

10:35 さて、ゼベダイののヤコブとヨハネとがイエスのもとにきてった、「先生せんせい、わたしたちがおたのみすることは、なんでもかなえてくださるようにおねがいします」。

10:36 イエスはかれらに「なにをしてほしいと、ねがうのか」とわれた。

10:37 するとかれらはった、「栄光えいこうをおけになるとき、ひとりをあなたのみぎに、ひとりをひだりにすわるようにしてください」。

10:38 イエスはわれた、「あなたがたは自分じぶんなにもとめているのか、わかっていない。あなたがたは、わたしがさかずきみ、わたしがけるバプテスマをけることができるか」。

10:39 かれらは「できます」とこたえた。するとイエスはわれた、「あなたがたは、わたしがさかずきみ、わたしがけるバプテスマをけるであろう。

10:40 しかし、わたしのみぎひだりにすわらせることは、わたしのすることではなく、ただそなえられている人々ひとびとだけにゆるされることである」。

10:41 十にんものはこれをいて、ヤコブとヨハネとのことで憤慨ふんがいした。

10:42 そこで、イエスはかれらをせてわれた、「あなたがたのっているとおり、異邦人いほうじん支配者しはいしゃられている人々ひとびとは、そのたみおさめ、またえらひとたちは、そのたみうえ権力けんりょくをふるっている。

10:43 しかし、あなたがたのあいだでは、そうであってはならない。かえって、あなたがたのあいだえらくなりたいとおもものは、つかえるひととなり、

10:44 あなたがたのあいだでかしらになりたいとおもものは、すべてのひとしもべとならねばならない。

10:45 ひとがきたのも、つかえられるためではなく、つかえるためであり、またおおくのひとのあがないとして、自分じぶんいのちあたえるためである」。

10:46 それから、かれらはエリコにきた。そして、イエスが弟子でしたちやおおぜいの群衆ぐんしゅうともにエリコからかけられたとき、テマイの、バルテマイという盲人もうじんのこじきが、みちばたにすわっていた。

10:47 ところが、ナザレのイエスだといて、かれは「ダビデのイエスよ、わたしをあわれんでください」とさけした。

10:48 おおくの人々ひとびとかれをしかってだまらせようとしたが、かれはますますはげしくさけびつづけた、「ダビデのイエスよ、わたしをあわれんでください」。

10:49 イエスはちどまって「かれべ」とめいじられた。そこで、人々ひとびとはその盲人もうじんんでった、「よろこべ、て、おまえをんでおられる」。

10:50 そこでかれ上着うわぎて、おどりあがってイエスのもとにきた。

10:51 イエスはかれにむかってわれた、「わたしになにをしてほしいのか」。その盲人もうじんった、「先生せんせいえるようになることです」。

10:52 そこでイエスはわれた、「け、あなたの信仰しんこうがあなたをすくった」。するとかれは、たちまちえるようになり、イエスにしたがってった。 

第11章 

11:1 さて、かれらがエルサレムにちかづき、オリブのやま沿ったベテパゲ、ベタニヤの附近ふきんにきたとき、イエスはふたりの弟子でしをつかわしてわれた、

11:2 「むこうのむらきなさい。そこにはいるとすぐ、まだだれもったことのないろばのが、つないであるのをるであろう。それをいていてきなさい。

11:3 もし、だれかがあなたがたに、なぜそんなことをするのかとったなら、しゅがおようなのです。またすぐ、ここへかえしてくださいますと、いなさい」。

11:4 そこで、かれらはかけてき、そして表通おもてどおりの戸口とぐちに、ろばのがつないであるのをたので、それをいた。

11:5 すると、そこにっていた人々ひとびとった、「そのろばのいて、どうするのか」。

11:6 弟子でしたちは、イエスがわれたとおりかれらにはなしたので、ゆるしてくれた。

11:7 そこで、弟子でしたちは、そのろばのをイエスのところにいてきて、自分じぶんたちの上着うわぎをそれにげかけると、イエスはそのうえにおりになった。

11:8 するとおおくの人々ひとびと自分じぶんたちの上着うわぎみちき、また人々ひとびとのついたえだ野原のはらからってきていた。

11:9 そして、まえものも、あとにしたがものともさけびつづけた、

「ホサナ、しゅ御名みなによってきたるものに、祝福しゅくふくあれ。

11:10 いまきたる、われらのちちダビデのくにに、祝福しゅくふくあれ。いとたかところに、ホサナ」。

11:11 こうしてイエスはエルサレムにき、みやにはいられた。そして、すべてのものをまわったのち、もはやときもおそくなっていたので、十二弟子でしともにベタニヤにかれた。

11:12 翌日よくじつかれらがベタニヤからかけてきたとき、イエスは空腹くうふくをおぼえられた。

11:13 そして、しげったいちじくのとおくからごらんになって、そのなにかありはしないかと近寄ちかよられたが、のほかはなに見当みあたらなかった。いちじくの季節きせつでなかったからである。

11:14 そこで、イエスはそのにむかって、「いまからのちいつまでも、おまえのべるものがないように」とわれた。弟子でしたちはこれをいていた。

11:15 それから、かれらはエルサレムにきた。イエスはみやはいり、みやにわいしていた人々ひとびとしはじめ、両替人りょうがえにんだいや、はとをもの腰掛こしかけをくつがえし、

11:16 またうつわものをってみやにわとおけるのをおゆるしにならなかった。

11:17 そして、かれらにおしえてわれた、「『わたしのいえは、すべての国民こくみんいのりいえととなえらるべきである』といてあるではないか。それだのに、あなたがたはそれを強盗ごうとうにしてしまった」。

11:18 祭司長さいしちょう律法りっぽう学者がくしゃたちはこれをいて、どうかしてイエスをころそうとはかった。かれらは、群衆ぐんしゅうがみなそのおしえ感動かんどうしていたので、イエスをおそれていたからである。

11:19 夕方ゆうがたになると、イエスと弟子でしたちとは、いつものようにみやこそとった。

11:20 あさはやくみちをとおっていると、かれらはさきのいちじくが根元ねもとかられているのをた。

11:21 そこで、ペテロはおもしてイエスにった、「先生せんせい、ごらんなさい。あなたがのろわれたいちじくが、れています」。

11:22 イエスはこたえてわれた、「かみしんじなさい。

11:23 よくいておくがよい。だれでもこのやまに、うごして、うみなかにはいれとい、そのったことはかならると、こころうたがわないでしんじるなら、そのとおりにるであろう。

11:24 そこで、あなたがたにうが、なんでもいのもとめることは、すでにかなえられたとしんじなさい。そうすれば、そのとおりになるであろう。

11:25 またっていのるとき、だれかにたいして、なにうらことがあるならば、ゆるしてやりなさい。そうすれば、てんにいますあなたがたのちちも、あなたがたのあやまちを、ゆるしてくださるであろう。〔

11:26 もしゆるさないならば、てんにいますあなたがたのちちも、あなたがたのあやまちを、ゆるしてくださらないであろう〕」。

11:27 かれらはまたエルサレムにきた。そして、イエスがみやうちあるいておられると、祭司長さいしちょう律法りっぽう学者がくしゃ長老ちょうろうたちが、みもとにきてった、

11:28 「なに権威けんいによってこれらのことをするのですか。だれが、そうする権威けんいさづけたのですか」。

11:29 そこで、イエスはかれらにわれた、「一つだけたずねよう。それにこたえてほしい。そうしたら、なに権威けんいによって、わたしがこれらのことをするのか、あなたがたにおう。

11:30 ヨハネのバプテスマはてんからであったか、ひとからであったか、こたえなさい」。

11:31 すると、かれらはたがいろんじてった、「もしてんからだとえば、では、なぜかれしんじなかったのか、とイエスはうだろう。

11:32 しかし、ひとからだとえば……」。かれらは群衆ぐんしゅうおそれていた。人々ひとびとみな、ヨハネを預言者よげんしゃだとほんとうにおもっていたからである。

11:33 それでかれらは「わたしたちにはわかりません」とこたえた。するとイエスはわれた、「わたしもなに権威けんいによってこれらのことをするのか、あなたがたにうまい」。 

第12章 

12:1 そこでイエスはたとえかれらにかたされた、「あるひとがぶどうえんつくり、かきをめぐらし、またさかぶねのあなり、やぐらをて、それを農夫のうふたちにして、たびかけた。

12:2 季節きせつになったので、農夫のうふたちのところへ、ひとりのしもべおくって、ぶどうえん収穫しゅうかくまえてさせようとした。

12:3 すると、かれらはそのしもべをつかまえて、ふくろだたきにし、からかえらせた。

12:4 またしもべおくったが、そのあたまをなぐって侮辱ぶじょくした。

12:5 そこでまたものおくったが、今度こんどはそれをころしてしまった。そのほか、なおおおぜいのものおくったが、かれらをったり、ころしたりした。

12:6 ここに、もうひとりのものがいた。それはかれ愛子あいしであった。自分じぶんうやまってくれるだろうとおもって、最後さいごかれをつかわした。

12:7 すると、農夫のうふたちは『あれはあとりだ。さあ、これをころしてしまおう。そうしたら、その財産ざいさんはわれわれのものになるのだ』とはない、

12:8 かれをつかまえてころし、ぶどうえんそとてた。

12:9 このぶどうえん主人しゅじんは、どうするだろうか。かれてきて、農夫のうふたちをころし、ぶどうえん人々ひとびとあたえるであろう。

12:10 あなたがたは、この聖書せいしょんだことがないのか。

いえつくりらのてたいしすみのかしらいしになった。

12:11 これはしゅがなされたことで、わたしたちのには不思議ふしぎえる』」。

12:12 かれらはいまのたとえが、自分じぶんたちにててかたられたことをさとったので、イエスをとらえようとしたが、群衆ぐんしゅうおそれた。そしてイエスをそこにのこしてった。

12:13 さて、人々ひとびとはパリサイびとやヘロデとうもの数人すうにん、イエスのもとにつかわして、その言葉ことばじりをとらえようとした。

12:14 かれらはきてイエスにった、「先生せんせい、わたしたちはあなたが真実しんじつなかたで、だれをも、はばかられないことをっています。あなたはひとへだてをなさらないで、真理しんりもとづいてかみみちおしえてくださいます。ところで、カイザルに税金ぜいきんおさめてよいでしょうか、いけないでしょうか。おさめるべきでしょうか、おさめてはならないのでしょうか」。

12:15 イエスはかれらの偽善ぎぜん見抜みぬいてわれた、「なぜわたしをためそうとするのか。デナリをってきてせなさい」。

12:16 かれらはそれをってきた。そこでイエスはわれた、「これは、だれの肖像しょうぞう、だれの記号きごうか」。かれらは「カイザルのです」とこたえた。

12:17 するとイエスはわれた、「カイザルのものはカイザルに、かみのものはかみかえしなさい」。かれらはイエスに驚嘆きょうたんした。

12:18 復活ふっかつということはないと主張しゅちょうしていたサドカイびとたちが、イエスのもとにきて質問しつもんした、

12:19 「先生せんせい、モーセは、わたしたちのためにこういています、『もし、あるひとあにんで、そののこされたつまに、がない場合ばあいには、おとうとはこのおんなをめとって、あにのためにをもうけねばならない』。

12:20 ここに、七にん兄弟きょうだいがいました。長男ちょうなんつまをめとりましたが、がなくてに、

12:21 次男じなんがそのおんなをめとって、またをもうけずにに、三男さんなん同様どうようでした。

12:22 こうして、七にんともみな子孫しそんのこしませんでした。最後さいごにそのおんなにました。

12:23 復活ふっかつのとき、かれらがみなよみがえった場合ばあい、このおんなはだれのつまなのでしょうか。七にんとも彼女かのじょつまにしたのですが」。

12:24 イエスはわれた、「あなたがたがそんなおもちがいをしているのは、聖書せいしょかみちかららないからではないか。

12:25 かれらが死人しにんなかからよみがえるときには、めとったり、とついだりすることはない。かれらはてんにいる御使みつかいのようなものである。

12:26 死人しにんがよみがえることについては、モーセのしょしばへんで、かみがモーセにおおせられた言葉ことばんだことがないのか。『わたしはアブラハムのかみ、イサクのかみ、ヤコブのかみである』とあるではないか。

12:27 かみんだものかみではなく、きているものかみである。あなたがたは非常ひじょうおもちがいをしている」。

12:28 ひとりの律法りっぽう学者がくしゃがきて、かれらがたがいろんっているのをき、またイエスがたくみにこたえられたのをみとめて、イエスに質問しつもんした、「すべてのいましめのなかで、どれがだい一のものですか」。

12:29 イエスはこたえられた、「だい一のいましめはこれである、『イスラエルよ、け。しゅなるわたしたちのかみは、ただひとりのしゅである。

12:30 こころをつくし、精神せいしんをつくし、おもいをつくし、ちからをつくして、しゅなるあなたのかみあいせよ』。

12:31 だい二はこれである、『自分じぶんあいするようにあなたのとなひとあいせよ』。これより大事だいじないましめは、ほかにない」。

12:32 そこで、この律法りっぽう学者がくしゃはイエスにった、「先生せんせいおおせのとおりです、『かみはひとりであって、そのほかにかみはない』とわれたのは、ほんとうです。

12:33 また『こころをつくし、知恵ちえをつくし、ちからをつくしてかみあいし、また自分じぶんあいするようにとなひとあいする』ということは、すべての燔祭はんさい犠牲ぎせいよりも、はるかに大事だいじなことです」。

12:34 イエスは、かれ適切てきせつこたえをしたのをわれた、「あなたはかみくにからとおくない」。それからのちは、イエスにあえてものはなかった。

12:35 イエスがみやおしえておられたとき、こうわれた、「律法りっぽう学者がくしゃたちは、どうしてキリストをダビデのだとうのか。

12:36 ダビデ自身じしん聖霊せいれいかんじてった、

しゅはわがしゅおおせになった、あなたのてきをあなたのあしもとにくときまでは、わたしのみぎしていなさい』。

12:37 このように、ダビデ自身じしんがキリストをしゅんでいる。それなら、どうしてキリストはダビデのであろうか」。

おおぜいの群衆ぐんしゅうは、よろこんでイエスにみみかたむけていた。

12:38 イエスはそのおしえなかわれた、「律法りっぽう学者がくしゃをつけなさい。かれらはながころもあるくことや、広場ひろばであいさつされることや、

12:39 また会堂かいどう上席じょうせき宴会えんかい上座かみざこのんでいる。

12:40 また、やもめたちのいえたおし、えのためにながいのりをする。かれらはもっときびしいさばきをけるであろう」。

12:41 イエスは、さいせんはこにむかってすわり、群衆ぐんしゅうがそのはこかねれる様子ようすておられた。おおくの金持かねもちは、たくさんのかねれていた。

12:42 ところが、ひとりのまずしいやもめがきて、レプタ二つをれた。それは一コドラントにあたる。

12:43 そこで、イエスは弟子でしたちをせてわれた、「よくきなさい。あのまずしいやもめは、さいせんはこれているひとたちのなかで、だれよりもたくさんれたのだ。

12:44 みんなのものはありあまるなかかられたが、あの婦人ふじんはそのとぼしいなかから、あらゆるもの、その生活せいかつ全部ぜんぶれたからである」。 

第13章 

13:1 イエスがみやからかれるとき、弟子でしのひとりがった、「先生せんせい、ごらんなさい。なんという見事みごといし、なんという立派りっぱ建物たてものでしょう」。

13:2 イエスはわれた、「あなたは、これらのおおきな建物たてものをながめているのか。そのいし一つでもくずされないままで、いしうえのこることもなくなるであろう」。

13:3 またオリブやまで、みやにむかってすわっておられると、ペテロ、ヤコブ、ヨハネ、アンデレが、ひそかにおたずねした。

13:4 「わたしたちにおはなしください。いつ、そんなことがおこるのでしょうか。またそんなことがことごとく成就じょうじゅするような場合ばあいには、どんな前兆ぜんちょうがありますか」。

13:5 そこで、イエスははなしはじめられた、「ひとまどわされないようにをつけなさい。

13:6 おおくのものがわたしののってあらわれ、自分じぶんがそれだとって、おおくのひとまどわすであろう。

13:7 また、戦争せんそう戦争せんそうのうわさとをくときにも、あわてるな。それはおこらねばならないが、まだおわりではない。

13:8 たみたみに、くにくに敵対てきたいしてがるであろう。またあちこちに地震じしんがあり、またききんがおこるであろう。これらはみのくるしみのはじめである。

13:9 あなたがたは自分じぶんをつけていなさい。あなたがたは、わたしのために、衆議所しゅうぎしょきわたされ、会堂かいどうたれ、長官ちょうかんたちやおうたちのまえたされ、かれらにたいしてあかしをさせられるであろう。

13:10 こうして、福音ふくいんはまずすべてのたみつたえられねばならない。

13:11 そして、人々ひとびとがあなたがたをれてってきわたすとき、なにおうかと、まえもって心配しんぱいするな。その場合ばあい自分じぶんしめされることをかたるがよい。かたものはあなたがた自身じしんではなくて、聖霊せいれいである。

13:12 また兄弟きょうだい兄弟きょうだいを、ちちころすためにわたし、両親りょうしんさからってち、かれらをころさせるであろう。

13:13 また、あなたがたはわたしののゆえに、すべてのひとにくまれるであろう。しかし、最後さいごまでしのものすくわれる。

13:14 らすにくむべきものが、ってはならぬところつのをたならば(読者どくしゃよ、さとれ)、そのとき、ユダヤにいる人々ひとびとやまげよ。

13:15 屋上おくじょうにいるものは、したにおりるな。またいえからものそうとしてうちにはいるな。

13:16 はたけにいるものは、上着うわぎりにあとへもどるな。

13:17 そのには、身重みおもおんな乳飲ちのをもつおんなとは、不幸ふこうである。

13:18 このことふゆおこらぬようにいのれ。

13:19 そのには、かみ万物ばんぶつ つくられた創造そうぞうはじめから現在げんざいいたるまで、かつてなく今後こんごもないような患難かんなんおこるからである。

13:20 もししゅがその期間きかんちぢめてくださらないなら、すくわれるものはひとりもないであろう。しかし、えらばれた選民せんみんのために、その期間きかんちぢめてくださったのである。

13:21 そのとき、だれかがあなたがたに『よ、ここにキリストがいる』、『よ、あそこにいる』とっても、それをしんじるな。

13:22 にせキリストたちや、にせ預言者よげんしゃたちがおこって、しるしと奇跡きせきとをおこない、できれば、選民せんみんをもまどわそうとするであろう。

13:23 だから、をつけていなさい。いっさいのことを、あなたがたにまえもってっておく。

13:24 そのには、この患難かんなんのちくらくなり、つきはそのひかりはなつことをやめ、

13:25 ほしそらからち、天体てんたいうごかされるであろう。

13:26 そのとき、おおいなるちから栄光えいこうとをもって、ひとくもってるのを、人々ひとびとるであろう。

13:27 そのとき、かれ御使みつかいたちをつかわして、のはてからてんのはてまで、四方しほうからその選民せんみんあつめるであろう。

13:28 いちじくのからこのたとえまなびなさい。そのえだやわらかになり、るようになると、なつちかいことがわかる。

13:29 そのように、これらのことおこるのをたならば、ひと戸口とぐちまでちかづいているとりなさい。

13:30 よくいておきなさい。これらのことが、ことごとくおこるまでは、この時代じだいほろびることがない。

13:31 天地てんちほろびるであろう。しかしわたしの言葉ことばほろびることがない。

13:32 その、そのときは、だれもらない。てんにいる御使みつかいたちも、またらない、ただちちだけがっておられる。

13:33 をつけて、をさましていなさい。そのときがいつであるか、あなたがたにはわからないからである。

13:34 それはちょうど、たびひといえるにあたり、そのしもべたちに、それぞれ仕事しごとてて責任せきにんをもたせ、門番もんばんにはをさましておれと、めいじるようなものである。

13:35 だから、をさましていなさい。いつ、いえ主人しゅじんかえってるのか、夕方ゆうがたか、夜中よなかか、にわとりのくころか、がたか、わからないからである。

13:36 あるいはきゅうかえってきて、あなたがたのねむっているところをつけるかもれない。

13:37 をさましていなさい。わたしがあなたがたにうこの言葉ことばは、すべての人々ひとびとうのである」。 

第14章 

14:1 さて、過越すぎこし除酵じょこうとのまつりの二まえになった。祭司長さいしちょうたちや律法りっぽう学者がくしゃたちは、策略さくりゃくをもってイエスをとらえたうえ、なんとかしてころそうとはかっていた。

14:2 かれらは、「まつりあいだはいけない。民衆みんしゅうさわぎをおこすかもれない」とっていた。

14:3 イエスがベタニヤで、らい病人びょうにんシモンのいえにいて、食卓しょくたくについておられたとき、ひとりのおんなが、非常ひじょう高価こうか純粋じゅんすいなナルドの香油こうゆれてある石膏せっこうのつぼをってきて、それをこわし、香油こうゆをイエスのあたまそそぎかけた。

14:4 すると、ある人々ひとびといきどおってたがいった、「なんのために香油こうゆをこんなにむだにするのか。

14:5 この香油こうゆを三百デナリ以上いじょうにでもって、まずしいひとたちにほどこすことができたのに」。そしておんなをきびしくとがめた。

14:6 するとイエスはわれた、「するままにさせておきなさい。なぜおんなこまらせるのか。わたしによいことをしてくれたのだ。

14:7 まずしいひとたちはいつもあなたがたと一緒いっしょにいるから、したいときにはいつでも、よいことをしてやれる。しかし、わたしはあなたがたといつも一緒いっしょにいるわけではない。

14:8 このおんなはできるかぎりのことをしたのだ。すなわち、わたしのからだにあぶらそそいで、あらかじめほうむりの用意よういをしてくれたのである。

14:9 よくきなさい。ぜん世界せかいのどこででも、福音ふくいんつたえられるところでは、このおんなのしたこと記念きねんとしてかたられるであろう」。

14:10 ときに、十二弟子でしのひとりイスカリオテのユダは、イエスを祭司長さいしちょうたちにきわたそうとして、かれらのところった。

14:11 かれらはこれをいてよろこび、きんあたえることを約束やくそくした。そこでユダは、どうかしてイエスをきわたそうと、機会きかいをねらっていた。

14:12 除酵祭じょこうさいだいにち、すなわち過越すぎこし小羊こひつじをほふるに、弟子でしたちがイエスにたずねた、「わたしたちは、過越すぎこし食事しょくじをなさる用意よういを、どこへってしたらよいでしょうか」。

14:13 そこで、イエスはふたりの弟子でし使つかいにしてわれた、「市内しないくと、みずがめをっているおとこ出会であうであろう。そのひとについてきなさい。

14:14 そして、そのひとがはいっていえ主人しゅじんいなさい、『弟子でしたちと一緒いっしょ過越すぎこし食事しょくじをする座敷ざしきはどこか、と先生せんせいっておられます』。

14:15 するとその主人しゅじんは、せきととのえて用意よういされた二かい広間ひろませてくれるから、そこにわたしたちのために用意よういをしなさい」。

14:16 弟子でしたちはかけて市内しないってると、イエスがわれたとおりであったので、過越すぎこし食事しょくじ用意よういをした。

14:17 夕方ゆうがたになって、イエスは十二弟子でし一緒いっしょにそこにかれた。

14:18 そして、一同いちどうせきについて食事しょくじをしているときわれた、「とくにあなたがたにっておくが、あなたがたのなかのひとりで、わたしと一緒いっしょ食事しょくじをしているものが、わたしを裏切うらぎろうとしている」。

14:19 弟子でしたちは心配しんぱいして、ひとりびとり「まさか、わたしではないでしょう」とした。

14:20 イエスはわれた、「十二にんなかのひとりで、わたしと一緒いっしょおなはちにパンをひたしているものが、それである。

14:21 たしかにひとは、自分じぶんについていてあるとおりにってく。しかし、ひと裏切うらぎるそのひとは、わざわいである。そのひとうまれなかったほうが、かれのためによかったであろう」。

14:22 一同いちどう食事しょくじをしているとき、イエスはパンをり、祝福しゅくふくしてこれをさき、弟子でしたちにあたえてわれた、「れ、これはわたしのからだである」。

14:23 またさかずきり、感謝かんしゃしてかれらにあたえられると、一同いちどうはそのさかずきからんだ。

14:24 イエスはまたわれた、「これは、おおくのひとのためにながすわたしの契約けいやくである。

14:25 あなたがたによくっておく。かみくにあたらしくむそのまでは、わたしはけっして二と、ぶどうのからつくったものをむことをしない」。

14:26 かれらは、さんびをうたったのち、オリブやまかけてった。

14:27 そのとき、イエスは弟子でしたちにわれた、「あなたがたはみな、わたしにつまずくであろう。『わたしは羊飼ひつじかいつ。そして、ひつじらされるであろう』といてあるからである。

14:28 しかしわたしは、よみがえってから、あなたがたよりさきにガリラヤへくであろう」。

14:29 するとペテロはイエスにった、「たとい、みんなのものがつまずいても、わたしはつまずきません」。

14:30 イエスはわれた、「あなたによくっておく。きょう、今夜こんや、にわとりが二まえに、そううあなたが、三わたしをらないとうだろう」。

14:31 ペテロはちからをこめてった、「たといあなたと一緒いっしょなねばならなくなっても、あなたをらないなどとは、けっしてもうしません」。みんなのものもまた、おなじようなことをった。

14:32 さて、一同いちどうはゲツセマネというところにきた。そしてイエスは弟子でしたちにわれた、「わたしがいのっているあいだ、ここにすわっていなさい」。

14:33 そしてペテロ、ヤコブ、ヨハネを一緒いっしょれてかれたが、おそれおののき、またなやみはじめて、かれらにわれた、

14:34 「わたしはかなしみのあまりぬほどである。ここにっていて、をさましていなさい」。

14:35 そしてすこすすんでき、にひれし、もしできることなら、このときらせてくださるようにといのりつづけ、そしてわれた、

14:36 「アバ、ちちよ、あなたには、できないことはありません。どうか、このさかずきをわたしからりのけてください。しかし、わたしのおもいではなく、みこころのままになさってください」。

14:37 それから、きてごらんになると、弟子でしたちがねむっていたので、ペテロにわれた、「シモンよ、ねむっているのか、ひとときをさましていることができなかったのか。

14:38 誘惑ゆうわくおちいらないように、をさましていのっていなさい。こころねっしているが、肉体にくたいよわいのである」。

14:39 またはなれてっておな言葉ことばいのられた。

14:40 またきてごらんになると、かれらはまだねむっていた。そのおもくなっていたのである。そして、かれらはどうおこたえしてよいか、わからなかった。

14:41 三度目どめにきてわれた、「まだねむっているのか、やすんでいるのか。もうそれでよかろう。ときがきた。よ、ひと罪人つみびとらのわたされるのだ。

14:42 て、さあこう。よ、わたしを裏切うらぎものちかづいてきた」。

14:43 そしてすぐ、イエスがまだはなしておられるうちに、十二弟子でしのひとりのユダがすすみよってきた。また祭司長さいしちょう律法りっぽう学者がくしゃ長老ちょうろうたちからおくられた群衆ぐんしゅうも、けんぼうとをってかれについてきた。

14:44 イエスを裏切うらぎものは、あらかじめかれらに合図あいずをしておいた、「わたしの接吻せっぷんするものが、そのひとだ。そのひとをつかまえて、まちがいなくひっぱってけ」。

14:45 かれるとすぐ、イエスに近寄ちかより、「先生せんせい」とって接吻せっぷんした。

14:46 人々ひとびとはイエスにをかけてつかまえた。

14:47 すると、イエスのそばにっていたもののひとりが、けんいて大祭司だいさいししもべりかかり、その片耳かたみみおとした。

14:48 イエスはかれらにむかってわれた、「あなたがたは強盗ごうとうにむかうように、けんぼうってわたしをとらえにきたのか。

14:49 わたしは毎日まいにちあなたがたと一緒いっしょみやにいておしえていたのに、わたしをつかまえはしなかった。しかし聖書せいしょ言葉ことば成就じょうじゅされねばならない」。

14:50 弟子でしたちはみなイエスを見捨みすててった。

14:51 ときに、ある若者わかもの亜麻布あまぬのをまとって、イエスのあとについてったが、人々ひとびとかれをつかまえようとしたので、

14:52 その亜麻布あまぬのてて、はだかげてった。

14:53 それから、イエスを大祭司だいさいしのところにれてくと、祭司長さいしちょう長老ちょうろう律法りっぽう学者がくしゃたちがみなあつまってきた。

14:54 ペテロはとおくからイエスについてって、大祭司だいさいし中庭なかにわまではいりみ、その下役したやくどもにまじってすわり、にあたっていた。

14:55 さて、祭司長さいしちょうたちとぜん議会ぎかいとは、イエスを死刑しけいにするために、イエスに不利ふり証拠しょうこつけようとしたが、られなかった。

14:56 おおくのものがイエスにたいして偽証ぎしょうてたが、その証言しょうげんわなかったからである。

14:57 ついに、ある人々ひとびとちあがり、イエスにたいして偽証ぎしょうててった、

14:58 「わたしたちはこのひとが『わたしはつくったこの神殿しんでんちこわし、三のちつくられないべつ神殿しんでんてるのだ』とうのをきました」。

14:59 しかし、このような証言しょうげんたがいわなかった。

14:60 そこで大祭司だいさいしちあがって、まんなかすすみ、イエスにきただしてった、「なにこたえないのか。これらの人々ひとびとがあなたにたいして不利ふり証言しょうげんもうてているが、どうなのか」。

14:61 しかし、イエスはだまっていて、なにもおこたえにならなかった。大祭司だいさいしふたたきただしてった、「あなたは、ほむべきもの、キリストであるか」。

14:62 イエスはわれた、「わたしがそれである。あなたがたはひとちからあるものみぎし、てんくもってるのをるであろう」。

14:63 すると、大祭司だいさいしはそのころもいてった、「どうして、これ以上いじょう証人しょうにん必要ひつようがあろう。

14:64 あなたがたはこのけがしごといた。あなたがたの意見いけんはどうか」。すると、かれらはみな、イエスをあたるものと断定だんていした。

14:65 そして、あるものはイエスにつばきをかけ、目隠めかくしをし、こぶしでたたいて、「いあててみよ」といはじめた。また下役したやくどもはイエスをきとって、のひらでたたいた。

14:66 ペテロはした中庭なかにわにいたが、大祭司だいさいし女中じょちゅうのひとりがきて、

14:67 ペテロがにあたっているのをると、かれつめて、「あなたもあのナザレびとイエスと一緒いっしょだった」とった。

14:68 するとペテロはそれをして、「わたしはらない。あなたのうことがなんのことか、わからない」とって、庭口にわぐちほうった。

14:69 ところが、さき女中じょちゅうかれて、そばにっていた人々ひとびとに、またもや「このひとはあの仲間なかまのひとりです」といだした。

14:70 ペテロはふたたびそれをした。しばらくして、そばにっていたひとたちがまたペテロにった、「たしかにあなたはかれらの仲間なかまだ。あなたもガリラヤびとだから」。

14:71 しかし、かれは、「あなたがたのはなしているそのひとのことはなにらない」とって、はげしくちかいはじめた。

14:72 するとすぐ、にわとりが二度目どめいた。ペテロは、「にわとりが二まえに、三わたしをらないとうであろう」とわれたイエスの言葉ことばおもし、そしておもいかえしてきつづけた。 

第15章 

15:1 けるとすぐ、祭司長さいしちょうたちは長老ちょうろう律法りっぽう学者がくしゃたち、およびぜん議会ぎかい協議きょうぎをこらしたすえ、イエスをしばってし、ピラトにわたした。

15:2 ピラトはイエスにたずねた、「あなたがユダヤじんおうであるか」。イエスは、「そのとおりである」とおこたえになった。

15:3 そこで祭司長さいしちょうたちは、イエスのことをいろいろとうったえた。

15:4 ピラトはもう一度いちどイエスにたずねた、「なにこたえないのか。よ、あなたにたいしてあんなにまで次々つぎつぎうったえているではないか」。

15:5 しかし、イエスはピラトが不思議ふしぎおもうほどに、もうなにもおこたえにならなかった。

15:6 さて、まつりのたびごとに、ピラトは人々ひとびとねが囚人しゅうじんひとりを、ゆるしてやることにしていた。

15:7 ここに、暴動ぼうどうおこ人殺ひとごろしをしてつながれていた暴徒ぼうとなかに、バラバというものがいた。

15:8 群衆ぐんしゅうしかけてきて、いつものとおりにしてほしいと要求ようきゅうしはじめたので、

15:9 ピラトはかれらにむかって、「おまえたちはユダヤじんおうをゆるしてもらいたいのか」とった。

15:10 それは、祭司長さいしちょうたちがイエスをきわたしたのは、ねたみのためであることが、ピラトにわかっていたからである。

15:11 しかし祭司長さいしちょうたちは、バラバのほうをゆるしてもらうように、群衆ぐんしゅう煽動せんどうした。

15:12 そこでピラトはまたかれらにった、「それでは、おまえたちがユダヤじんおうんでいるあのひとは、どうしたらよいか」。

15:13 かれらは、またさけんだ、「十字架じゅうじかにつけよ」。

15:14 ピラトはった、「あのひとは、いったい、どんな悪事あくじをしたのか」。すると、かれらは一そうはげしくさけんで、「十字架じゅうじかにつけよ」とった。

15:15 それで、ピラトは群衆ぐんしゅう満足まんぞくさせようとおもって、バラバをゆるしてやり、イエスをむちったのち、十字架じゅうじかにつけるためにきわたした。

15:16 兵士へいしたちはイエスを、邸宅ていたく、すなわち総督そうとく官邸かんていうちれてき、ぜん部隊ぶたいあつめた。

15:17 そしてイエスにむらさきころもせ、いばらのかんむりんでかぶらせ、

15:18 「ユダヤじんおう、ばんざい」とって敬礼けいれいをしはじめた。

15:19 また、あしぼうでそのあたまをたたき、つばきをかけ、ひざまずいておがんだりした。

15:20 こうして、イエスを嘲弄ちょうろうしたあげく、むらさきころもをはぎとり、もと上着うわぎせた。それから、かれらはイエスを十字架じゅうじかにつけるためにした。

15:21 そこへ、アレキサンデルとルポスとのちちシモンというクレネびとが、郊外こうがいからきてとおりかかったので、人々ひとびとはイエスの十字架じゅうじか無理むりわせた。

15:22 そしてイエスをゴルゴタ、その意味いみは、されこうべ、というところれてった。

15:23 そしてイエスに、没薬もつやくをまぜたぶどうしゅをさししたが、おけにならなかった。

15:24 それから、イエスを十字架じゅうじかにつけた。そしてくじをいて、だれがなにるかをさだめたうえ、イエスの着物きものけた。

15:25 イエスを十字架じゅうじかにつけたのは、あさの九ごろであった。

15:26 イエスの罪状ざいじょうきには「ユダヤじんおう」と、しるしてあった。

15:27 また、イエスとともにふたりの強盗ごうとうを、ひとりをみぎに、ひとりをひだりに、十字架じゅうじかにつけた。〔

15:28 こうして「かれ罪人つみびとたちのひとりにかぞえられた」といてある言葉ことば成就じょうじゅしたのである。〕

15:29 そこをとおりかかったものたちは、あたまりながら、イエスをののしってった、「ああ、神殿しんでんちこわして三のうちにてるものよ、

15:30 十字架じゅうじかからおりてきて自分じぶんすくえ」。

15:31 祭司長さいしちょうたちもおなじように、律法りっぽう学者がくしゃたちと一緒いっしょになって、かわるがわる嘲弄ちょうろうしてった、「他人たにんすくったが、自分じぶん自身じしんすくうことができない。

15:32 イスラエルのおうキリスト、いま十字架じゅうじかからおりてみるがよい。それをたらしんじよう」。また、一緒いっしょ十字架じゅうじかにつけられたものたちも、イエスをののしった。

15:33 ひるの十二になると、ぜんくらくなって、三およんだ。

15:34 そして三に、イエスは大声おおごえで、「エロイ、エロイ、ラマ、サバクタニ」とさけばれた。それは「わがかみ、わがかみ、どうしてわたしをお見捨みすてになったのですか」という意味いみである。

15:35 すると、そばにっていたある人々ひとびとが、これをいてった、「そら、エリヤをんでいる」。

15:36 ひとりのひとはしってき、海綿かいめんいぶどうしゅふくませてあしぼうにつけ、イエスにませようとしてった、「て、エリヤがかれをおろしにるかどうか、ていよう」。

15:37 イエスはこえたかさけんで、ついにいきをひきとられた。

15:38 そのとき、神殿しんでんまくうえからしたまで真二まっぷたつにけた。

15:39 イエスにむかってっていた百卒長ひゃくそつちょうは、このようにしていきをひきとられたのをった、「まことに、このひとかみであった」。

15:40 また、とおくのほうからているおんなたちもいた。そのなかには、マグダラのマリヤ、しょうヤコブとヨセとのははマリヤ、またサロメがいた。

15:41 かれらはイエスがガリラヤにおられたとき、そのあとにしたがってつかえたおんなたちであった。なおそのほか、イエスとともにエルサレムにのぼってきたおおくのおんなたちもいた。

15:42 さて、すでにゆうがたになったが、その準備じゅんび、すなわち安息日あんそくにち前日ぜんじつであったので、

15:43 アリマタヤのヨセフが大胆だいたんにもピラトのところき、イエスのからだの引りかたをねがった。かれ地位ちいたか議員ぎいんであって、かれ自身じしんかみくにのぞんでいるひとであった。

15:44 ピラトは、イエスがもはやんでしまったのかと不審ふしんおもい、百卒長ひゃくそつちょうんで、もうんだのかとたずねた。

15:45 そして、百卒長ひゃくそつちょうからたしかめたうえ死体したいをヨセフにわたした。

15:46 そこで、ヨセフは亜麻布あまぬのもとめ、イエスをとりおろして、その亜麻布あまぬのつつみ、いわって つくったはかおさめ、はか入口いりぐちいしをころがしておいた。

15:47 マグダラのマリヤとヨセのははマリヤとは、イエスがおさめられた場所ばしょとどけた。 

第16章 

16:1 さて、安息日あんそくにちおわったので、マグダラのマリヤとヤコブのははマリヤとサロメとが、ってイエスにるために、香料こうりょうもとめた。

16:2 そしてしゅうはじめのに、早朝そうちょうのころはかった。

16:3 そして、かれらは「だれが、わたしたちのために、はか入口いりぐちからいしをころがしてくれるのでしょうか」とはなっていた。

16:4 ところが、をあげてると、いしはすでにころがしてあった。このいし非常ひじょうおおきかった。

16:5 はかなかにはいると、右手みぎて真白まっしろながころも若者わかものがすわっているのをて、非常ひじょうおどろいた。

16:6 するとこの若者わかものった、「おどろくことはない。あなたがたは十字架じゅうじかにつけられたナザレびとイエスをさがしているのであろうが、イエスはよみがえって、ここにはおられない。ごらんなさい、ここがおおさめした場所ばしょである。

16:7 いまから弟子でしたちとペテロとのところって、こうつたえなさい。イエスはあなたがたよりさきにガリラヤへかれる。かねて、あなたがたにわれたとおり、そこでおいできるであろう、と」。

16:8 おんなたちはおののきおそれながら、はかからった。そして、ひとにはなにわなかった。おそろしかったからである。

16:9 しゅうはじめのあさはやく、イエスはよみがえって、まずマグダラのマリヤに自身じしんをあらわされた。イエスは以前いぜんに、このおんなから七つの悪霊あくれいされたことがある。

16:10 マリヤは、イエスと一緒いっしょにいた人々ひとびとかなしんでいるところって、それをらせた。

16:11 かれらは、イエスがきておられることと、彼女かのじょ自身じしんをあらわされたこととをいたが、しんじなかった。

16:12 こののち、そのうちのふたりが、いなかのほうあるいていると、イエスはちがった姿すがた自身じしんをあらわされた。

16:13 このふたりも、ほかの人々ひとびとところってはなしたが、かれらはそのはなししんじなかった。

16:14 そののち、イエスは十一弟子でし食卓しょくたくについているところにあらわれ、かれらの信仰しんこうと、こころのかたくななことをおめになった。かれらは、よみがえられたイエスを人々ひとびとうことを、しんじなかったからである。

16:15 そしてかれらにわれた、「ぜん世界せかいって、すべての つくられたものに福音ふくいんつたえよ。

16:16 しんじてバプテスマをけるものすくわれる。しかし、信仰しんこうものつみさだめられる。

16:17 しんじるものには、このようなしるしがともなう。すなわち、かれらはわたしの悪霊あくれいし、あたらしい言葉ことばかたり、

16:18 へびをつかむであろう。また、どくんでも、けっしてがいけない。病人びょうにんをおけば、いやされる」。

16:19 しゅイエスはかれらにかたおわってから、てんにあげられ、かみみぎにすわられた。

16:20 弟子でしたちはって、いたところ福音ふくいんつたえた。しゅかれらとともはたらき、御言みことばともなうしるしをもって、そのたしかなことをおしめしになった。〕