口語訳聖書(振り仮名付き)
章: 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
エレミヤ書しょ
第1章 Jr-Audio
1:1 ベニヤミンの地ちアナトテの祭司さいしのひとりである、ヒルキヤの子こエレミヤの言葉ことば。
1:2 アモンの子こ、ユダの王おうヨシヤの時とき、すなわちその治世ちせいの十三年ねんに、主しゅの言葉ことばがエレミヤに臨のぞんだ。
1:3 その言葉ことばはまたヨシヤの子こ、ユダの王おうエホヤキムの時ときにも臨のぞんで、ヨシヤの子こ、ユダの王おうゼデキヤの十一年ねんの終おわり、すなわちその年ねんの五月がつにエルサレムの民たみが捕とらえ移うつされた時ときにまで及およんだ。
1:4 主しゅの言葉ことばがわたしに臨のぞんで言いう、
1:5 「わたしはあなたをまだ母ははの胎たいにつくらないさきに、あなたを知しり、あなたがまだ生うまれないさきに、あなたを聖別せいべつし、あなたを立たてて万国ばんこくの預言者よげんしゃとした」。
1:6 その時ときわたしは言いった、「ああ、主しゅなる神かみよ、わたしはただ若者わかものにすぎず、どのように語かたってよいか知しりません」。
1:7 しかし主しゅはわたしに言いわれた、 「あなたはただ若者わかものにすぎないと言いってはならない。だれにでも、すべてわたしがつかわす人ひとへ行いき、あなたに命めいじることをみな語かたらなければならない。
1:8 彼かれらを恐おそれてはならない、わたしがあなたと共ともにいて、あなたを救すくうからである」と主しゅは仰おおせられる。
1:9 そして主しゅはみ手てを伸のべて、わたしの口くちにつけ、主しゅはわたしに言いわれた、 「見みよ、わたしの言葉ことばをあなたの口くちに入いれた。
1:10 見みよ、わたしはきょう、あなたを万民ばんみんの上うえと、万国ばんこくの上うえに立たて、あなたに、あるいは抜ぬき、あるいはこわし、あるいは滅ほろぼし、あるいは倒たおし、あるいは建たて、あるいは植うえさせる」。
1:11 主しゅの言葉ことばがまたわたしに臨のぞんで言いう、「エレミヤよ、あなたは何なにを見みるか」。わたしは答こたえた、「あめんどうの枝えだを見みます」。
1:12 主しゅはわたしに言いわれた、「あなたの見みたとおりだ。わたしは自分じぶんの言葉ことばを行おこなおうとして見張みはっているのだ」。
1:13 主しゅの言葉ことばがふたたびわたしに臨のぞんで言いう、「あなたは何なにを見みるか」。わたしは答こたえた、「煮にえ立たっているなべを見みます。北きたからこちらに向むかっています」。
1:14 主しゅはわたしに言いわれた、「災わざわいが北きたから起たって、この地ちに住すむすべての者ものの上うえに臨のぞむ」。
1:15 主しゅは言いわれる、「見みよ、わたしは北きたの国々くにぐにのすべての民たみを呼よぶ。彼かれらは来きて、エルサレムの門もんの入口いりぐちと、周囲しゅういのすべての城壁じょうへき、およびユダのすべての町々まちまちに向むかって、おのおのその座ざを設もうける。
1:16 わたしは、彼かれらがわたしを捨すてて、すべての悪事あくじを行おこなったゆえに、わたしのさばきを彼かれらに告つげる。彼かれらは他たの神々かみがみに香こうをたき、自分じぶんの手てで作つくった物ものを拝はいしたのである。
1:17 しかしあなたは腰こしに帯おびして立たち、わたしが命めいじるすべての事ことを彼かれらに告つげよ。彼かれらを恐おそれてはならない。さもないと、わたしは彼かれらの前まえであなたをあわてさせる。
1:18 見みよ、わたしはきょう、この全国ぜんこくと、ユダの王おうと、そのつかさと、その祭司さいしと、その地ちの民たみの前まえに、あなたを堅かたき城しろ、鉄てつの柱はしら、青銅せいどうの城壁じょうへきとする。
1:19 彼かれらはあなたと戦たたかうが、あなたに勝かつことはできない。わたしがあなたと共ともにいて、あなたを救すくうからである」と主しゅは言いわれる。
第2章 2:1 主しゅの言葉ことばがわたしに臨のぞんで言いう、2:2 「行いって、エルサレムに住すむ者ものの耳みみに告つげよ、主しゅはこう言いわれる、 わたしはあなたの若わかい時ときの純情じゅんじょう、花嫁はなよめの時ときの愛あい、荒野あらのなる、種たねまかぬ地ちでわたしに従したがったことを覚おぼえている。2:3 イスラエルは主しゅのために聖別せいべつされたもの、その刈入かりいれの初穂はつほである。すべてこれを食たべる者ものは罪つみせられ、災わざわいにあう」と主しゅは言いわれる。2:4 ヤコブの家いえとイスラエルの家いえのすべてのやからよ、主しゅの言葉ことばを聞きけ。2:5 主しゅはこう言いわれる、 「あなたがたの先祖せんぞは、わたしになんの悪わるい事ことがあるのを見みて、わたしから遠とおざかり、むなしいものに従したがって、むなしくなったのか。2:6 彼かれらは言いわなかった、『われわれをエジプトの地ちより導みちびき出だし、荒野あらのなる、穴あなの多おおい荒あれた地ち、かわいた濃こい暗黒あんこくの地ち、人ひとの通とおらない、人ひとの住すまない地ちを通とおらせた主しゅはどこにおられるか』と。2:7 わたしはあなたがたを導みちびいて豊ゆたかな地ちに入いれ、その実みと良よい物ものを食たべさせた。しかしあなたがたはここにはいって、わたしの地ちを汚けがし、わたしの嗣し業ぎょうを憎にくむべきものとした。2:8 祭司さいしたちは、『主しゅはどこにおられるか』と言いわなかった。律法りっぽうを扱あつかう者ものたちはわたしを知しらず、つかさたちはわたしにそむき、預言者よげんしゃたちはバアルによって預言よげんし、益えきなき者ものに従したがって行いった。 2:9 それゆえ、わたしはなお、あなたがたと争あらそう、またあなたがたの子孫しそんと争あらそう」と主しゅは言いわれる。2:10 「あなたがたはクプロの島々しまじまに渡わたってみよ、また人ひとをケダルにつかわして、このようなことがかつてあったかをつまびらかに、しらべてみよ。2:11 その神かみを神かみではない者ものに取とり替かえた国くにがあろうか。ところが、わたしの民たみはその栄光えいこうを益えきなきものと取とり替かえた。2:12 天てんよ、この事ことを知しって驚おどろけ、おののけ、いたく恐おそれよ」と主しゅは言いわれる。2:13 「それは、わたしの民たみが二つの悪あしき事ことを行おこなったからである。すなわち生いける水みずの源みなもとであるわたしを捨すてて、自分じぶんで水みずためを掘ほった。それは、こわれた水みずためで、水みずを入いれておくことのできないものだ。 2:14 イスラエルは奴隷どれいであるか、家いえに生うまれたしもべであるか。それならなぜ捕とらわれの身みとなったのか。2:15 ししは彼かれに向むかってほえ、その声こえを高たかくあげて、彼かれの地ちを荒あらした。その町々まちまちは滅ほろびて住すむ人ひともない。2:16 メンピスとタパネスの人々ひとびともまた、あなたのかしらの冠かんむりを砕くだいた。2:17 あなたの神かみ、主しゅがあなたを道みちに導みちびかれた時とき、あなたは主しゅを捨すてたので、この事ことがあなたに及およんだのではないか。2:18 あなたがナイルの水みずを飲のもうとして、エジプトへ行いくのは何なにのためか。またユフラテの水みずを飲のもうとして、アッスリヤへ行いくのは何なにのためか。2:19 あなたの悪事あくじはあなたを懲こらしめ、あなたの背信はいしんはあなたを責せめる。あなたが、あなたの神かみ、主しゅを捨すてることの悪あしくかつ苦にがいことであるのを見みて知しるがよい。わたしを恐おそれることがあなたのうちにないのだ」と万軍ばんぐんの神かみ、主しゅは言いわれる。 2:20 「あなたは久ひさしい以前いぜんに自分じぶんのくびきを折おり、自分じぶんのなわめを断たち切きって、『わたしは仕つかえることをしない』と言いった。そして、すべての高たかい丘おかの上うえと、すべての青あお木きの下したで、遊女ゆうじょのように身みをかがめた。2:21 わたしはあなたを、まったく良よい種たねのすぐれたぶどうの木きとして植うえたのに、どうしてあなたは変かわって、悪わるい野のぶどうの木きとなったのか。2:22 たといソーダをもって自みずから洗あらい、また多おおくの灰汁あくを用もちいても、あなたの悪あくの汚けがれは、なおわたしの前まえにある」と主しゅなる神かみは言いわれる。2:23 「どうしてあなたは、『わたしは汚けがれていない、バアルに従したがわなかった』と言いうことができようか。谷たにの中なかでのあなたの行おこないを見みるがよい。あなたのしたことを知しるがよい。あなたは御ぎょしがたい若わかいらくだであって、その道みちを行ゆきつもどりつする。2:24 あなたは荒野あらのに慣なれた野のの雌めろばである、その欲情よくじょうのために風かぜにあえぐ。その欲情よくじょうをだれがとどめることができようか。すべてこれを尋たずねる者ものは苦く労ろうするにおよばない、その月つきであればこれに会あうことができる。2:25 あなたの足あしが、はだしにならないように、のどが、かわかないようにせよ。ところが、あなたは言いった、『それはだめだ、わたしは異ことなる国くにの者ものを愛あいして、それに従したがって行いこう』と。 2:26 盗ぬすびとが捕とらえられて、はずかしめを受うけるように、イスラエルの家いえは、はずかしめを受うける。彼かれらはその王おうも、そのつかさも、その祭司さいしも、その預言者よげんしゃもみなそのとおりである。2:27 彼かれらは木きに向むかって、『あなたはわたしの父ちちです』と言いい、また石いしに向むかって、『あなたはわたしを生うんでくださった』と言いう。彼かれらは背せをわたしに向むけて、その顔かおをわたしに向むけない。しかし彼かれらが災わざわいにあう時ときは、『立たって、われわれを救すくいたまえ』と言いう。2:28 あなたが自分じぶんのために造つくった神々かみがみはどこにいるのか。あなたが災わざわいにあう時とき、もし彼かれらがあなたを救すくえるなら、立たってもらうがよい。ユダよ、あなたの神々かみがみは、あなたの町まちの数かずほど多おおいからである。2:29 あなたがたは、なぜわたしと争あらそうのか。あなたがたは皆みなわたしにそむいている」と主しゅは言いわれる。2:30 「わたしがあなたがたの子こどもたちを打うったのはむだであった。彼かれらは戒いましめを受うけず、あなたがたのつるぎは、たけりたつししのように、預言者よげんしゃたちを滅ほろぼした。2:31 あなたがたこの世代せだいの人ひとよ、主しゅの言葉ことばを聞きけ。わたしはイスラエルにとって、荒野あらのであったであろうか。暗黒あんこくの地ちであったであろうか。それならなぜ、わたしの民たみは『われわれは自由じゆうだ、もはやあなたのところへは行いかない』と言いうのか。2:32 おとめはその飾かざり物ものを忘わすれることができようか。花嫁はなよめはその帯おびを忘わすれることができようか。ところが、わたしの民たみの、わたしを忘わすれた日ひは数かぞえがたい。 2:33 あなたは恋人こいびとを尋たずねて、いかにも巧たくみにその方ほうに足あしを向むける。それゆえ悪わるい女おんなさえ、あなたの道みちを学まなんだ。2:34 また、あなたの着物きもののすそには罪つみのない貧まずしい人ひとの命いのちの血ちがついている。あなたは彼かれらが押おし入いるのを見みたのではない。しかも、すべてこれらの事ことにもかかわらず、2:35 あなたは言いう、『わたしは罪つみがない。彼かれの怒いかりは、決けっしてわたしに臨のぞむことがない』と。あなたが『わたしは罪つみを犯おかさなかった』と言いうことによって、わたしはあなたをさばく。2:36 あなたはなぜ軽々かるがるしくさまよって、その道みちを変かえようとするのか。あなたはアッスリヤに、はずかしめを受うけたように、エジプトにもまた、はずかしめを受うける。2:37 あなたはまた両手りょうてを頭あたまに置おいて、そこから出でて来くる。主しゅがあなたの頼たのみとする者ものどもを捨すてられたので、あなたは彼かれらによって栄さかえることがないからだ。 第3章 3:1 もし人ひとがその妻つまを離婚りこんし、女おんなが彼かれのもとを去さって、他人たにんの妻つまとなるなら、その人ひとはふたたび彼女かのじょに帰かえるであろうか。その地ちは大おおいに汚けがれないであろうか。あなたは多おおくの恋人こいびとと姦淫かんいんを行おこなった。しかもわたしに帰かえろうというのか」と主しゅは言いわれる。3:2 「目めをあげてもろもろの裸はだかの山やまを見みよ、姦淫かんいんを行おこなわなかった所ところがどこにあるか。荒野あらのにいるアラビヤびとがするように、あなたは道みちのかたわらに座ざして恋人こいびとを待まった。あなたは姦淫かんいんの悪事あくじをもって、この地ちを汚けがした。3:3 それゆえ雨あめはとどめられ、春はるの雨あめは降ふらなかった。しかもあなたには遊女ゆうじょの額ひたいがあり、少すこしも恥はじようとはしない。3:4 今いまあなたは、わたしを呼よんで言いったではないか、『わが父ちちよ、あなたはわたしの若わかい時ときの友ともです。3:5 永久えいきゅうに怒いかられるのですか、終おわりまで憤いきどおられるのですか』と。見みよ、あなたはこう言いったけれども、なしうるかぎりのもろもろの悪あくを行おこなった」。3:6 ヨシヤ王おうの時とき、主しゅはまたわたしに言いわれた、「あなたは、かの背信はいしんのイスラエルがしたことを見みたか。彼女かのじょはすべての高たかい丘おかにのぼり、すべての青あお木きの下したに行いって、そこで姦淫かんいんを行おこなった。3:7 わたしは、彼女かのじょがこのすべてを行おこなった後のち、わたしの所ところに帰かえるであろうと思おもったが、帰かえってこなかった。その不信ふしんの姉妹しまいユダはこれを見みた。3:8 わたしが背信はいしんのイスラエルを、そのすべての姦淫かんいんのゆえに、離縁りえん状じょうを与あたえて出だしたのをユダは見みた。しかもその不信ふしんの姉妹しまいユダは恐おそれず、自分じぶんも行いって姦淫かんいんを行おこなった。3:9 彼女かのじょにとって姦淫かんいんは軽かるいことであったので、石いしと木きとに姦淫かんいんを行いって、この地ちを汚けがした。3:10 このすべての事ことがあっても、なおその不信ふしんの姉妹しまいユダは真心まごころをもってわたしに帰かえらない、ただ偽いつわっているだけだ」と主しゅは言いわれる。 3:11 主しゅはまたわたしに言いわれた、「背信はいしんのイスラエルは不信ふしんのユダよりも自分じぶんの罪つみの少すくないことを示しめした。3:12 あなたは行いって北きたにむかい、この言葉ことばをのべて言いうがよい、 『主しゅは言いわれる、背信はいしんのイスラエルよ、帰かえれ。わたしは怒いかりの顔かおをあなたがたに向むけない、わたしはいつくしみ深ふかい者ものである。いつまでも怒いかることはしないと、主しゅは言いわれる。3:13 ただあなたは自分じぶんの罪つみを認みとめ、あなたの神かみ、主しゅにそむいてすべての青あお木きの下したで異ことなる神々かみがみにあなたの愛あいを惜おしまず与あたえたこと、わたしの声こえに聞きき従したがわなかったことを言いいあらわせと、主しゅは言いわれる。3:14 主しゅは言いわれる、背信はいしんの子こらよ、帰かえれ。わたしはあなたがたの夫おっとだからである。町まちからひとり、氏族しぞくからふたりを取とって、あなたがたをシオンへ連つれて行いこう。3:15 わたしは自分じぶんの心こころにかなう牧者ぼくしゃたちをあなたがたに与あたえる。彼かれらは知識ちしきと悟さとりとをもってあなたがたを養やしなう。3:16 主しゅは言いわれる、あなたがたが地ちに増まして多おおくなるとき、その日ひには、人々ひとびとはかさねて「主しゅの契約けいやくの箱はこ」と言いわず、これを思おもい出ださず、これを覚おぼえず、これを尋たずねず、これを作つくらない。3:17 そのときエルサレムは主しゅのみ位くらいととなえられ、万国ばんこくの民たみはここに集あつまる。すなわち主しゅの名なのもとにエルサレムに集あつまり、かさねて、かたくなに自分じぶんの悪わるい心こころに従したがうことはしない。3:18 その日ひには、ユダの家いえはイスラエルの家いえと一緒いっしょになり、北きたの地ちから出でて、わたしがあなたがたの先祖せんぞたちに嗣し業ぎょうとして与あたえた地ちに共ともに来くる。 3:19 どのようにして、あなたをわたしの子こどもたちのうちに置おき、万国ばんこくのうちで最もっとも美うつくしい嗣し業ぎょうである良よい地ちをあなたに与あたえようかと、わたしは思おもっていた。わたしはまた、あなたがわたしを「わが父ちち」と呼よび、わたしに従したがって離はなれることはないと思おもっていた。3:20 イスラエルの家いえよ、背信はいしんの妻つまが夫おっとのもとを去さるように、たしかに、あなたがたはわたしにそむいた』と主しゅは言いわれる」。 3:21 裸はだかの山やまの上うえに声こえが聞きこえる、イスラエルの民たみが悲かなしみ祈いのるのである。彼かれらが曲まがった道みちに歩あゆみ、その神かみ、主しゅを忘わすれたからだ。3:22 「背信はいしんの子こどもたちよ、帰かえれ。わたしはあなたがたの背信はいしんをいやす」。 「見みよ、われわれはあなたのもとに帰かえります。あなたはわれわれの神かみ、主しゅであらせられます。3:23 まことに、もろもろの丘おかは迷まよいであり、山やまの上うえの騒さわぎも同おなじです。まことに、イスラエルの救すくいはわれわれの神かみ、主しゅにあるのです。3:24 しかし、われわれの幼少ようしょうの時ときから、恥はずべきことが、われわれの先祖せんぞのほねおって得えたもの、すなわちその羊ひつじ、その牛うし、およびそのむすこ、娘むすめたちをことごとくのみ尽つくしました。3:25 われわれは恥はじの中なかに伏ふし、はずかしめにおおわれています。それはわれわれと先祖せんぞとが、われわれの幼少ようしょうの時ときから今日こんにちまで、われわれの神かみ、主しゅに罪つみを犯おかし、われわれの神かみ、主しゅの声こえに従したがわなかったからです」。 第4章 4:1 主しゅは言いわれる、「イスラエルよ、もし、あなたが帰かえるならば、わたしのもとに帰かえらなければならない。もし、あなたが憎にくむべき者ものをわたしの前まえから取とり除のぞいて、ためらうことなく、4:2 また真実しんじつと正義せいぎと正直しょうじきとをもって、『主しゅは生いきておられる』と誓ちかうならば、万国ばんこくの民たみは彼かれによって祝福しゅくふくを受うけ、彼かれによって誇ほこる」。4:3 主しゅはユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ人々ひとびとにこう言いわれる、「あなたがたの新田しんでんを耕たがやせ、いばらの中なかに種たねをまくな。4:4 ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ人々ひとびとよ、あなたがたは自みずから割礼かつれいを行おこなって、主しゅに属ぞくするものとなり、自分じぶんの心こころの前まえの皮かわを取とり去され。さもないと、あなたがたの悪あしき行おこないのためにわたしの怒いかりが火ひのように発はっして燃もえ、これを消けす者ものはない」。 4:5 ユダに告つげ、エルサレムに示しめして言いえ、「国中くにぢゅうにラッパを吹ふき、大声おおごえに呼よばわって言いえ、『集あつまれ、われわれは堅固けんごな町々まちまちへ行いこう』と。4:6 シオンの方ほうを示しめす旗はたを立たてよ。避難ひなんせよ、とどまってはならない、わたしが北きたから災わざわいと大おおいなる破滅はめつをこさせるからだ。4:7 ししはその森もりから出でてのぼり、国々くにぐにを滅ほろぼす者ものは進すすんできた。彼かれはあなたの国くにを荒あらそうとして、すでにその所ところから出でてきた。あなたの町々まちまちは滅ほろぼされて、住すむ者ものもなくなる。4:8 このために、あなたがたは荒布あらぬのを身みにまとって、悲かなしみ嘆なげけ。主しゅの激はげしい怒いかりが、まだわれわれを離はなれないからだ」。4:9 主しゅは言いわれる、「その日ひ、王おうと君きみたちとはその心こころを失うしない、祭司さいしは驚おどろき、預言者よげんしゃは怪あやしむ」。4:10 そこでわたしは言いった、「ああ主しゅなる神かみよ、まことにあなたはこの民たみとエルサレムとをまったく欺あざむかれました。『あなたがたは安やすらかになる』と言いわれましたが、つるぎが命いのちにまでも及およびました」。 4:11 その時ときこの民たみとエルサレムとはこう告つげられる、「熱あつい風かぜが荒野あらのの裸はだかの山やまからわたしの民たみの娘むすめのほうに吹ふいてくる。これはあおぎ分わけるためではなく、清きよめるためでもない。4:12 これよりもなお激はげしい風かぜがわたしのために吹ふく。いまわたしは彼かれらにさばきを告つげる」。 4:13 見みよ、彼かれは雲くものように上のぼってくる。その戦車せんしゃはつむじ風かぜのよう、その馬うまはわしの飛とぶよりも速はやい。ああ、われわれはわざわいだ、われわれは滅ほろぼされる。4:14 エルサレムよ、あなたの心こころの悪あくを洗あらい清きよめよ、そうするならば救すくわれる。悪あしき思おもいはいつまであなたのうちにとどまるのか。4:15 ダンから告つげる声こえがある、エフライムの山やまから災わざわいを知しらせている。4:16 国々くにぐにの民たみに彼かれの来くることを告つげ、またエルサレムに知しらせよ。「攻せめかこむ者ものが遠とおくの国くにから来きて、ユダの町々まちまちにむかってその声こえをあげる。4:17 彼かれらは畑はたけを守まもる者もののようにこれを攻せめかこむ。それはわたしにそむいたからだと、主しゅは言いわれる。4:18 あなたの道みちとその行おこないとが、あなたの身みにこれを招まねいたのだ。これはあなたの悪あくの結果けっかで、まことに苦にがく、あなたの心こころをつらぬく」。 4:19 ああ、わがはらわたよ、わがはらわたよ、わたしは苦くるしみにもだえる。ああ、わが心臓しんぞうの壁かべよ、わたしの心臓しんぞうは、はげしく鼓動こどうする。わたしは沈黙ちんもくを守まもることができない、ラッパの声こえと、戦たたかいの叫さけびを聞きくからである。4:20 破壊はかいに次つぐに破壊はかいがあり、全ぜん地ちは荒あらされ、わたしの天幕てんまくはにわかに破やぶられ、わたしの幕まくはたちまち破やぶられた。4:21 いつまでわたしは旗はたを見み、またラッパの声こえを聞きかなければならないのか。4:22 「わたしの民たみは愚おろかであって、わたしを知しらない。彼かれらは愚鈍ぐどんな子こどもらで、悟さとることがない。彼かれらは悪あくを行おこなうのにさといけれども、善ぜんを行おこなうことを知しらない」。 4:23 わたしは地ちを見みたが、それは形かたちがなく、またむなしかった。天てんをあおいだが、そこには光ひかりがなかった。4:24 わたしは山やまを見みたが、みな震ふるえ、もろもろの丘おかは動うごいていた。4:25 わたしは見みたが、人ひとはひとりもおらず、空そらの鳥とりはみな飛とび去さっていた。4:26 わたしは見みたが、豊ゆたかな地ちは荒あれ地ちとなり、そのすべての町まちは、主しゅの前まえに、その激はげしい怒いかりの前まえに、破壊はかいされていた。4:27 それは主しゅがこう言いわれたからだ、「全ぜん地ちは荒あれ地ちとなる。しかしわたしはことごとくはこれを滅ほろぼさない。4:28 このために地ちは悲かなしみ、上うえなる天てんは暗くらくなる。わたしがすでにこれを言いい、これを定さだめたからだ。わたしは悔くいない、またそれをする事ことをやめない」。 4:29 どの町まちの人ひとも、騎兵きへいと射手いての叫さけびのために逃にげて森もりに入はいり、岩いわに上のぼる。町まちはみな捨すてられ、そこに住すむ人ひとはない。4:30 ああ、荒あらされた女おんなよ、あなたが紅べにの着物きものをき、金きんの飾かざりで身みをよそおい、目めを塗ぬって大おおきくするのは、なんのためか。あなたが美うつくしくしても、むだである。あなたの恋人こいびとらはあなたを卑いやしめ、あなたの命いのちを求もとめている。4:31 わたしは子こを産うむ女おんなのような声こえ、ういごを産うむ女おんなの苦くるしむような声こえを聞きいた。シオンの娘むすめのあえぐ叫さけびである。両手りょうてを伸のべて彼女かのじょは言いう、「わたしはわざわいだ、わたしを殺ころす者ものらの前まえにわたしは気きが遠とおくなる」と。 第5章 5:1 エルサレムのちまたを行いきめぐり、見みて、知しるがよい。その広場ひろばを尋たずねて、公平こうへいを行おこない、真実しんじつを求もとめる者ものが、ひとりでもあるか捜さがしてみよ。あれば、わたしはエルサレムをゆるす。5:2 彼かれらは、「主しゅは生いきておられる」と言いうけれども、実じつは、偽いつわって誓ちかうのだ。5:3 主しゅよ、あなたの目めは、真実しんじつを顧かえりみられるではありませんか。あなたが彼かれらを打うたれても、痛いたみを覚おぼえず、彼かれらを滅ほろぼされても、懲こらしめを受うけることを拒こばみ、その顔かおを岩いわよりも堅かたくして、悔くい改あらためることを拒こばみました。 5:4 それで、わたしは言いった、「これらはただ貧まずしい愚おろかな人々ひとびとで、主しゅの道みちと、神かみのおきてを知しりません。5:5 わたしは偉えらい人ひとたちの所ところへ行いって、彼かれらに語かたります。彼かれらは主しゅの道みちを知しり、神かみのおきてを知しっています」。ところが、彼かれらも皆みなおなじように、くびきを折おり、なわめを断たっていた。 5:6 それゆえ林はやしから、ししが出でてきて彼かれらを殺ころし、荒野あらのから、おおかみが出でてきて彼かれらを滅ほろぼす。ひょうは彼かれらの町々まちまちをねらっている。そこから出でる者ものはみな裂さかれる。彼かれらの罪つみが多おおく、その背信はいしんがはなはだしいからである。 5:7 「わたしはどうしてあなたを、ゆるすことができようか。あなたの子こどもらは、わたしを捨すてさり、神かみでもないものをさして誓ちかった。わたしが彼かれらを満みち足たらせた時とき、彼かれらは姦淫かんいんを行おこない、遊女ゆうじょの家いえに群むれ集あつまった。5:8 彼かれらは肥こえ太ふとった丈夫じょうぶな雄お馬うまのように、おのおの、いなないて隣となりの妻つまを慕したう。5:9 わたしはこれらの事ことのために彼かれらを罰ばっしないでいられようか。このような国民こくみんにあだを返かえさないであろうか」と主しゅは言いわれる。 5:10 「あなたがたはユダのぶどうの並なみ木きの間あいだを、のぼって行いって、滅ほろぼせ、ただ、ことごとく滅ほろぼしてはならない。その枝えだを切きり除のぞけ、主しゅのものではないからである。5:11 イスラエルの家いえとユダの家いえとはわたしにまったく不信ふしんであった」と主しゅは言いわれる。5:12 「彼かれらは主しゅについて偽いつわり語かたって言いった、『主しゅは何事なにごともなされない、災わざわいはわれわれに来こない、またつるぎや、ききんを見みることはない。5:13 預言者よげんしゃらは風かぜとなり、彼かれらのうちに言葉ことばはない。彼かれらはこのようになる』と」。 5:14 それゆえ万軍ばんぐんの神かみ、主しゅはこう言いわれる、「彼かれらがこの言葉ことばを語かたったので、見みよ、わたしはあなたの口くちにあるわたしの言葉ことばを火ひとし、この民たみをたきぎとする。火ひは彼かれらを焼やき尽つくす」。5:15 主しゅは言いわれる、「イスラエルの家いえよ、見みよ、わたしは遠とおい国くにの民たみをあなたがたのところに攻せめこさせる。その国くには長ながく続つづく国くに、古ふるい国くにで、あなたがたはその国くにの言葉ことばを知しらず、人々ひとびとの語かたるのを悟さとることもできない。5:16 その箙えびらは開ひらいた墓はかのようであり、彼かれらはみな勇士ゆうしである。5:17 彼かれらはあなたが刈かり入いれた物ものと、あなたの糧食りょうしょくとを食くい尽つくし、あなたのむすこ娘むすめを食くい尽つくし、あなたの羊ひつじと牛うしを食くい尽つくし、あなたのぶどうの木きといちじくの木きを食くい尽つくし、またつるぎをもって、あなたが頼たのみとする堅固けんごな町々まちまちを滅ほろぼす」。5:18 主しゅは言いわれる、「しかしその時ときでも、わたしはことごとくはあなたを滅ほろぼさない。5:19 あなたの民たみが、『どうしてわれわれの神かみ、主しゅはこれらのすべての事ことをわれわれになされたのか』と言いうならば、あなたは彼かれらに答こたえなければならない、『あなたがたがわたしを捨すてて、自分じぶんの地ちで異ことなる神々かみがみに仕つかえたように、あなたがたは自分じぶんのものでない地ちで異邦いほうの人ひとに仕つかえるようになる』と」。5:20 これをヤコブの家いえにのべ、またユダに示しめして言いえ、5:21 「愚おろかで、悟さとりもなく、目めがあっても見みえず、耳みみがあっても聞きこえない民たみよ、これを聞きけ。5:22 主しゅは言いわれる、あなたがたはわたしを恐おそれないのか、わたしの前まえにおののかないのか。わたしは砂すなを置おいて海うみの境さかいとし、これを永遠えいえんの限界げんかいとして、越こえることができないようにした。波なみはさかまいても、勝かつことはできない、鳴なりわたっても、これを越こえることはできない。5:23 ところが、この民たみには強情ごうじょうな、そむく心こころがあり、彼かれらはわき道みちにそれて、去さってしまった。5:24 彼かれらは『われわれに雨あめを与あたえ、秋あきの雨あめと春はるの雨あめを時ときにしたがって降ふらせ、われわれのために刈入かりいれの時ときを定さだめられたわれわれの神かみ、主しゅを恐おそれよう』とその心こころのうちに言いわないのだ。5:25 あなたがたのとがは、これらの事ことをしりぞけ、あなたがたの罪つみは、良よい物ものがあなたがたに来くるのをさまたげた。5:26 わが民たみのうちには悪わるい者ものがあって、鳥とりをとる人ひとのように身みをかがめてうかがい、わなを置おいて人ひとを捕とらえる。5:27 かごに鳥とりが満みちているように、彼かれらの家いえは不義ふぎの宝たからで満みちている。それゆえ、彼かれらは大おおいなる者もの、裕福ゆうふくな者ものとなり、5:28 肥こえて、つやがあり、その悪あしき行おこないには際限さいげんがない。彼かれらは公正こうせいに、みなしごの訴うったえをさばいて、それを助たすけようとはせず、また貧まずしい人ひとの訴うったえをさばかない。5:29 主しゅは言いわれる、わたしはこのような事ことのために、彼かれらを罰ばっしないであろうか。わたしはこのような民たみに、あだを返かえさないであろうか」。 5:30 驚おどろくべきこと、恐おそるべきことがこの地ちに起おこっている。5:31 預言者よげんしゃは偽いつわって預言よげんし、祭司さいしは自分じぶんの手てによって治おさめ、わが民たみはこのようにすることを愛あいしている。しかしあなたがたはその終おわりにはどうするつもりか。 第6章 6:1 ベニヤミンの人々ひとびとよ、エルサレムの中なかから避難ひなんせよ。テコアでラッパを吹ふき、ベテハケレムに合図あいずの火ひをあげよ。北きたから災わざわいが臨のぞみ、大おおいなる滅ほろびが来くるからである。6:2 わたしは美うつくしい、たおやかなシオンの娘むすめを滅ほろぼす。6:3 牧者ぼくしゃたちは、その群むれをひきいて来きて、彼女かのじょを攻せめ、彼女かのじょの周囲しゅういに天幕てんまくを張はる。群むれはおのおのその所ところで草くさを食くう。6:4 「戦たたかいを始はじめ、彼女かのじょを攻せめよ。立たて、われわれは真昼まひるに攻撃こうげきしよう」。「わざわいなるかな、日ひははや傾かたむき、夕日ゆうひの影かげは長ながくなった」。6:5 「立たて、われわれは夜よるの間あいだに攻撃こうげきしよう、そして彼女かのじょのもろもろの宮殿きゅうでんを破壊はかいしよう」。 6:6 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「あなたがたは彼女かのじょの木きを切きり倒たおし、エルサレムにむかって塁るいを築きずけ。これは罰ばつすべき町まちである、そのうちにはただ圧制あっせいだけがある。6:7 井戸いどに新あたらしい水みずがわくように彼女かのじょはその悪あくを常つねにあらたに流ながす。そのうちには暴虐ぼうぎゃくと破滅はめつとが聞きこえる。わたしの前まえに病やまいと傷きずとが絶たえない。6:8 エルサレムよ、戒いましめを受うけいれよ。さもないと、わたしはあなたから離はなれ、あなたを荒あれ地ちとし、住すむ人ひとのない地ちとする」。 6:9 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「ぶどうの残のこりを摘つみとるように、イスラエルの残のこりの民たみをのこらず摘つみ取とれ。ぶどうを摘つみとる人ひとのように、あなたの手てをふたたびその枝えだに伸のばせ」。6:10 わたしはだれに語かたり、だれを戒いましめて、聞きかせようか。見みよ、彼かれらの耳みみは閉とざされて、聞きくことができない。見みよ、彼かれらは主しゅの言葉ことばをあざけり、それを喜よろこばない。6:11 それゆえ、わたしの身みには主しゅの怒いかりが満みち、それを忍しのぶのに、うみつかれている。「それをちまたにいる子供こどもらと、集あつまっている若わかい人々ひとびととに漏もらせ。夫おっとも妻つまも、老おいた人ひとも、年としのひじょうに進すすんだ人ひとも捕とらえられ、6:12 彼かれらの家いえと畑はたけと妻つまとは共ともに他人たにんに渡わたる。わたしが手てを伸のばして、この地ちに住すむ者ものを撃うつからである」と主しゅは言いわれる。6:13 「それは彼かれらが、小ちいさい者ものから大おおきい者ものまで、みな不正ふせいな利りをむさぼり、また預言者よげんしゃから祭司さいしにいたるまで、みな偽いつわりを行おこなっているからだ。6:14 彼かれらは、手軽てがるにわたしの民たみの傷きずをいやし、平安へいあんがないのに『平安へいあん、平安へいあん』と言いっている。6:15 彼かれらは憎にくむべきことをして、恥はじたであろうか。すこしも恥はずかしいとは思おもわず、また恥はじることを知しらなかった。それゆえ彼かれらは倒たおれる者ものと共ともに倒たおれる。わたしが彼かれらを罰ばっするとき、彼かれらは倒たおれる」と主しゅは言いわれる。 6:16 主しゅはこう言いわれる、「あなたがたはわかれ道みちに立たって、よく見み、いにしえの道みちにつき、良よい道みちがどれかを尋たずねて、その道みちに歩あゆみ、そしてあなたがたの魂たましいのために、安息あんそくを得えよ。しかし彼かれらは答こたえて、『われわれはその道みちに歩あゆまない』と言いった。6:17 わたしはあなたがたの上うえに見張みはりびとを立たて、『ラッパの音おとに気きをつけよ』と言いった。しかし彼かれらは答こたえて、『われわれは気きをつけることはしない』と言いった。6:18 それゆえ国々くにぐにの民たみよ、聞きけ。会衆かいしゅうよ、彼かれらにどのようなことが起おこるかを知しれ。6:19 地ちよ、聞きけ。見みよ、わたしはこの民たみに災わざわいをくだす。それは彼かれらのたくらみの実みである。彼かれらがわたしの言葉ことばに気きをつけず、わたしのおきてを捨すてたからである。6:20 シバから、わたしの所ところに乳香にゅうこうが来き、遠とおい国くにから、菖蒲しょうぶが来くるのはなんのためか。あなたがたの燔祭はんさいはわたしには喜よろこばしくなく、あなたがたの犠牲ぎせいもうれしくはない。6:21 それゆえ主しゅはこう言いわれる、『見みよ、わたしはこの民たみの前まえにつまずく石いしを置おく、人々ひとびとは父ちちも子こも共ともにそれにつまずき、隣となり人びともその友ともも滅ほろびる』」。 6:22 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、民たみが北きたの国くにから来くる、大おおいなる国民こくみんが地ちの果はてから興おこる。6:23 彼かれらは弓ゆみとやりをとる。彼かれらは残忍ざんにんで、あわれみがなく、海うみのような響ひびきを立たてる。シオンの娘むすめよ、彼かれらは馬うまに乗のり、いくさ人ひとのように身みをよろって、あなたを攻せめる」。6:24 われわれはそのうわさを聞きいて、手ては弱よわり、子こを産うむ女おんなに臨のぞむような悩なやみと苦くるしみとに捕とらえられた。6:25 畑はたけに出でてはならない、また道みちを歩あるいてはならない。敵てきはつるぎを持もち、恐おそれが四方しほうにあるからだ。6:26 わが民たみの娘むすめよ、荒布あらぬのを身みにまとい、灰はいの中なかにまろび、ひとり子こを失うしなった時ときのように、悲かなしみ、いたく嘆なげけ。滅ほろぼす者ものが、にわかにわれわれを襲おそうからだ。 6:27 「わたしはあなたを民たみのうちに立たてて、ためす者もの、試こころみる者ものとした。あなたが彼かれらの道みちを知しり、それをためすことができるようにするためである。6:28 彼かれらはみな、強情ごうじょうな反逆者はんぎゃくしゃであって、歩あるきまわって人ひとをそしる。彼かれらは青銅せいどうや鉄てつであって、みな卑いやしいことを行おこなう。6:29 ふいごは激はげしく吹ふき、鉛なまりは火ひにとけて尽つき、精錬せいれんはいたずらに進すすむ。悪あしき者ものがまだ除のぞかれないからである。6:30 主しゅが彼かれらを捨すてられたので、彼かれらは捨すてられた銀ぎんと呼よばれる」。 第7章 7:1 主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことばはこうである。7:2 「主しゅの家いえの門もんに立たち、その所ところで、この言葉ことばをのべて言いえ、主しゅを拝おがむために、この門もんをはいるユダのすべての人ひとよ、主しゅの言葉ことばを聞きけ。7:3 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、あなたがたの道みちとあなたがたの行おこないを改あらためるならば、わたしはあなたがたをこの所ところに住すまわせる。7:4 あなたがたは、『これは主しゅの神殿しんでんだ、主しゅの神殿しんでんだ、主しゅの神殿しんでんだ』という偽いつわりの言葉ことばを頼たのみとしてはならない。 7:5 もしあなたがたが、まことに、その道みちと行おこないを改あらためて、互たがいに公正こうせいを行おこない、7:6 寄留きりゅうの他国たこく人じんと、みなしごと、やもめをしえたげることなく、罪つみのない人ひとの血ちをこの所ところに流ながすことなく、また、ほかの神々かみがみに従したがって自みずから害がいをまねくことをしないならば、7:7 わたしはあなたがたを、わたしが昔むかしあなたがたの先祖せんぞに与あたえたこの地ちに永遠えいえんに住すまわせる。 7:8 見みよ、あなたがたは偽いつわりの言葉ことばを頼たのみとしているが、それはむだである。7:9 あなたがたは盗ぬすみ、殺ころし、姦淫かんいんし、偽いつわって誓ちかい、バアルに香こうをたき、あなたがたが以前いぜんには知しらなかった他たの神々かみがみに従したがいながら、7:10 わたしの名なをもって、となえられるこの家いえに来きてわたしの前まえに立たち、『われわれは救すくわれた』と言いい、しかもすべてこれら憎にくむべきことを行おこなうのは、どうしたことか。7:11 わたしの名なをもって、となえられるこの家いえが、あなたがたの目めには盗賊とうぞくの巣すと見みえるのか。わたし自身じしん、そう見みたと主しゅは言いわれる。7:12 わたしが初はじめにわたしの名なを置おいた場所ばしょシロへ行いき、わが民たみイスラエルの悪あくのために、わたしがその場所ばしょに対たいして行おこなったことを見みよ。7:13 主しゅは言いわれる、今いまあなたがたはこれらのすべてのことを行おこなっている。またわたしはあなたがたに、しきりに語かたったけれども、あなたがたは聞きかず、あなたがたを呼よんだけれども答こたえなかった。7:14 それゆえわたしはシロに対たいして行おこなったように、わたしの名なをもって、となえられるこの家いえにも行おこなう。すなわちあなたがたが頼たのみとする所ところ、わたしがあなたがたと、あなたがたの先祖せんぞに与あたえたこの所ところに行おこなう。7:15 そしてわたしは、あなたがたのすべての兄弟きょうだい、すなわちエフライムのすべての子孫しそんを捨すてたように、わたしの前まえからあなたがたをも捨すてる。 7:16 あなたはこの民たみのために祈いのってはならない。彼かれらのために嘆なげき、祈いのってはならない。またわたしに、とりなしをしてはならない。わたしはあなたの求もとめを聞きかない。7:17 あなたは彼かれらがユダの町々まちまちと、エルサレムのちまたでしていることを見みないのか。7:18 子こどもらは、たきぎを集あつめ、父ちちたちは火ひをたき、女おんなは粉こなをこね、パンを つくってこれを天后てんこうに供そなえる。また彼かれらは他たの神々かみがみの前まえに酒さけを注そそいで、わたしを怒いからせる。7:19 主しゅは言いわれる、彼かれらが怒いからせるのはわたしなのか。自分じぶんたち自身じしんではないのか。そして自みずからうろたえている。7:20 それゆえ主しゅなる神かみはこう言いわれる、見みよ、わたしの怒いかりと憤いきどおりを、この所ところと、人ひとと獣けものと、畑はたけの木きと、地ちの産物さんぶつとに注そそぐ。怒いかりは燃もえて消きえることがない」。 7:21 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、「あなたがたの犠牲ぎせいに燔祭はんさいの物ものを合あわせて肉にくを食たべるがよい。7:22 それはあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ちから導みちびき出だした日ひに、わたしは燔祭はんさいと犠牲ぎせいとについて彼かれらに語かたったこともなく、また命めいじたこともないからである。7:23 ただわたしはこの戒いましめを彼かれらに与あたえて言いった、『わたしの声こえに聞ききしたがいなさい。そうすれば、わたしはあなたがたの神かみとなり、あなたがたはわたしの民たみとなる。わたしがあなたがたに命めいじるすべての道みちを歩あゆんで幸さいわいを得えなさい』と。7:24 しかし彼かれらは聞きき従したがわず、耳みみを傾かたむけず、自分じぶんの悪わるい心こころの計はかりごとと強情ごうじょうにしたがって歩あゆみ、悪わるくなるばかりで、よくはならなかった。7:25 あなたがたの先祖せんぞがエジプトの地ちを出でた日ひから今日こんにちまで、わたしはわたしのしもべである預言者よげんしゃたちを日々ひび彼かれらにつかわした。7:26 しかし彼かれらはわたしに聞きかず、耳みみを傾かたむけないで強情ごうじょうになり、先祖せんぞたちにもまさって悪あくを行おこなった。 7:27 たといあなたが彼かれらにこのすべての言葉ことばを語かたっても彼かれらは聞きかない。また彼かれらを呼よんでもあなたに答こたえない。7:28 それゆえ、あなたはこう彼かれらに言いわなければならない、『これはその神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがわず、その戒いましめを受うけいれなかった国民こくみんである。真実しんじつはうせ、彼かれらの口くちから絶たえた。 7:29 あなたの髪かみの毛けを切きって捨すてよ、裸はだかの山やまの上うえに嘆なげきの声こえをあげよ。主しゅが、お怒いかりになっている世よの人ひとを退しりぞけ捨すてられたからだ』。7:30 主しゅは言いわれる、ユダの民たみはわたしの前まえに悪あくを行おこない、わたしの名なをもってとなえられる家いえに、憎にくむべき者ものを置おいてそこを汚けがした。7:31 またベンヒンノムの谷たににあるトペテの高たかき所ところを築きずいて、むすこ娘むすめを火ひに焼やいた。わたしはそれを命めいじたことはなく、またそのようなことを考かんがえたこともなかった。7:32 主しゅは言いわれる、それゆえに見みよ、その所ところをトペテ、またはベンヒンノムの谷たにと呼よばないで、ほふりの谷たにと呼よぶ日ひが来くる。それはほかに場所ばしょがないので、トペテに葬ほうむるからである。7:33 この民たみの死体したいは空そらの鳥とりと地ちの獣けものの食物しょくもつとなり、これを追おい払はらう者ものもない。7:34 そのときわたしはユダの町々まちまちとエルサレムのちまたに、喜よろこびの声こえ、楽たのしみの声こえ、花婿はなむこの声こえ、花嫁はなよめの声こえを絶たやす。この地ちは荒あれ果はてるからである。 第8章 8:1 主しゅは言いわれる、その時ときユダの王おうたちの骨ほねと、そのつかさたちの骨ほねと、祭司さいしたちの骨ほねと、預言者よげんしゃたちの骨ほねと、エルサレムに住すむ人々ひとびとの骨ほねは墓はかより掘ほり出だされて、8:2 彼かれらの愛あいし、仕つかえ、従したがい、求もとめ、また拝おがんだ、日ひと月つきと天てんの衆しゅう群ぐんの前まえにさらされる。その骨ほねは集あつめる者ものも葬ほうむる者ものもなく、地ちのおもてに糞土ふんどのようになる。8:3 この悪あしき民たみのうちの残のこっている残のこりの者ものはみな、わたしが追おいやった場所ばしょで、生いきることよりも死しぬことを願ねがうようになると、万軍ばんぐんの主しゅは言いわれる。 8:4 あなたは彼かれらに言いわなければならない。主しゅはこう仰おおせられる、人ひとは倒たおれたならば、また起おきあがらないであろうか。離はなれていったならば、帰かえってこないであろうか。8:5 それにどうしてこの民たみは、常つねにそむいて離はなれていくのか。彼かれらは偽いつわりを固かたくとらえて、帰かえってくることを拒こばんでいる。8:6 わたしは気きをつけて聞きいたが、彼かれらは正ただしくは語かたらなかった。その悪あくを悔くいて、『わたしのした事ことは何なにか』という者ものはひとりもない。彼かれらはみな戦場せんじょうに、はせ入いる馬うまのように、自分じぶんのすきな道みちに向むかう。8:7 空そらのこうのとりでもその時ときを知しり、山やまばとと、つばめと、つるはその来くる時ときを守まもる。しかしわが民たみは主しゅのおきてを知しらない。 8:8 どうしてあなたがたは、『われわれには知恵ちえがある、主しゅのおきてがある』と言いうことができようか。見みよ、まことに書記しょきの偽いつわりの筆ふでがこれを偽いつわりにしたのだ。8:9 知恵ちえある者ものは、はずかしめられ、あわてふためき、捕とらえられる。見みよ、彼かれらは主しゅの言葉ことばを捨すてた、彼かれらになんの知恵ちえがあろうか。8:10 それゆえ、わたしは彼かれらの妻つまを他人たにんに与あたえ、その畑はたけを征服せいふく者しゃに与あたえる。それは彼かれらが小ちいさい者ものから大おおきい者ものにいたるまで、みな不正ふせいな利りをむさぼり、預言者よげんしゃから祭司さいしにいたるまで、みな偽いつわりを行いっているからである。8:11 彼かれらは手軽てがるに、わたしの民たみの傷きずをいやし、平安へいあんがないのに、『平安へいあん、平安へいあん』と言いっている。8:12 彼かれらは憎にくむべきことをして、恥はじたであろうか。すこしも恥はずかしいとは思おもわず、また恥はじることを知しらなかった。それゆえ彼かれらは倒たおれる者ものと共ともに倒たおれる。わたしが彼かれらを罰ばっするとき、彼かれらは倒たおれると、主しゅは言いわれる。8:13 主しゅは言いわれる、わたしが集あつめようと思おもうとき、ぶどうの木きにぶどうはなく、いちじくの木きに、いちじくはなく、葉はさえ、しぼんでいる。わたしが彼かれらに与あたえたものも、彼かれらを離はなれて、うせ去さった」。 8:14 どうしてわれわれはなす事こともなく座ざしているのか。集あつまって、堅固けんごな町まちにはいり、そこでわれわれは滅ほろびよう。われわれが主しゅに罪つみを犯おかしたので、われわれの神かみ、主しゅがわれわれを滅ほろぼそうとして、毒どくの水みずを飲のませられるのだ。8:15 われわれは平安へいあんを望のぞんだが、良よい事ことはこなかった。いやされる時ときを望のぞんだが、かえって恐怖きょうふが来きた。 8:16 「彼かれらの馬うまのいななきはダンから聞きこえてくる。彼かれらの強つよい馬うまの声こえによって全ぜん地ちは震ふるう。彼かれらは来きて、この地ちと、ここにあるすべてのもの、町まちと、そのうちに住すむ者ものとを食くい滅ほろぼす。8:17 見みよ、魔法まほうをもってならすことのできない、へびや、まむしをあなたがたのうちにつかわす。それはあなたがたをかむ」と主しゅは言いわれる。 8:18 わが嘆なげきはいやしがたく、わが心こころはうちに悩なやむ。8:19 聞きけ、地ちの全面ぜんめんから、わが民たみの娘むすめの声こえがあがるのを。「主しゅはシオンにおられないのか、シオンの王おうはそのうちにおられないのか」。「なぜ彼かれらはその彫像ちょうぞうと、異邦いほうの偶像ぐうぞうとをもって、わたしを怒いからせたのか」。8:20 「刈入かりいれの時ときは過すぎ、夏なつもはや終おわった、しかしわれわれはまだ救すくわれない」。8:21 わが民たみの娘むすめの傷きずによって、わが心こころは痛いたむ。わたしは嘆なげき、うろたえる。 8:22 ギレアデに乳香にゅうこうがあるではないか。その所ところに医者いしゃがいるではないか。それにどうしてわが民たみの娘むすめはいやされることがないのか。 第9章 9:1 ああ、わたしの頭あたまが水みずとなり、わたしの目めが涙なみだの泉いずみとなればよいのに。そうすれば、わたしは民たみの娘むすめの殺ころされた者もののために昼ひるも夜よるも嘆なげくことができる。9:2 ああ、わたしが荒野あらのに、隊商たいしょうの宿やどを得えることができればよいのに。そうすれば、わたしは民たみを離はなれて去さって行いくことができる。彼かれらはみな姦淫かんいんする者もの、不信ふしんのともがらだからである。9:3 彼かれらは弓ゆみをひくように、その舌したを曲まげる。真実しんじつではなく、偽いつわりがこの地ちに強つよくなった。彼かれらは悪あくより悪あくに進すすみ、またわたしを知しらないと、主しゅは言いわれる。 9:4 あなたがたはおのおの隣となり人びとに気きをつけよ。どの兄弟きょうだいをも信しんじてはならない。兄弟きょうだいはみな、押おしのける者ものであり、隣となり人びとはみな、ののしって歩あるく者ものだからである。9:5 人ひとはみな、その隣となり人びとを欺あざむき、真実しんじつを言いう者ものはない。彼かれらは自分じぶんの舌したに偽いつわりを言いうことを教おしえ、悪あくを行おこない、疲つかれて悔くい改あらためるいとまもなく、9:6 しえたげに、しえたげを積つみ重かさね、偽いつわりに偽いつわりを積つみ重かさね、わたしを知しることを拒こばんでいると、主しゅは言いわれる。 9:7 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらを溶とかし、試こころみる。このほか、わが民たみをどうすることができよう。9:8 彼かれらの舌したは殺ころす矢やのようだ、それは偽いつわりを言いう。その口くちではおのおの隣となり人びとにおだやかに語かたるが、その心こころでは彼かれを待まち伏ぶせる計はかりごとを立たてる。9:9 主しゅは言いわれる、これらのことのために、わたしが彼かれらを罰ばっしないだろうか。わたしがこのような民たみにあだを返かえさないだろうか。 9:10 山やまのために泣なき叫さけび、野のの牧場まきばのために悲かなしめ。これらは荒あれすたれて、通とおり過すぎる人ひともない。ここには牛うし、羊ひつじの鳴なく声こえも聞きこえず、空そらの鳥とりも獣けものも皆みな逃にげ去さった。9:11 わたしはエルサレムを荒塚あれづかとし、山犬やまいぬの巣すとする。またユダの町々まちまちを荒あらして、住すむ人ひともない所ところとする」。9:12 知恵ちえがあって、これを悟さとることのできる人ひとはだれか。主しゅの口くちの言葉ことばをうけて、それを示しめす人ひとはだれか。この地ちが滅ほろぼされて荒野あらののようになり、通とおり過すぎる人ひともなくなったのはどういうわけか。9:13 主しゅは言いわれる、「それは彼かれらの前まえにわたしが立たてたおきてを彼かれらが捨すてて、わたしの声こえに聞きき従したがわず、そのとおりに歩あるかなかったからである。9:14 彼かれらは強情ごうじょうに自分じぶんの心こころに従したがい、また先祖せんぞの教おしえたようにバアルに従したがった。9:15 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、見みよ、わたしはこの民たみに、にがよもぎを食たべさせ、毒どくの水みずを飲のませ、9:16 彼かれらも、その先祖せんぞたちも知しらなかった国くにびとのうちに彼かれらを散ちらし、また彼かれらを滅ほろぼし尽つくすまで、そのうしろに、つるぎをつかわす」。9:17 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「よく考かんがえて、泣なき女おんなを呼よべ。また人ひとをつかわして巧たくみな女おんなを招まねけ。9:18 彼かれらに急いそいでこさせ、われわれのために泣なき悲かなしませて、われわれの目めに涙なみだをこぼさせ、まぶたから水みずをあふれさせよ。9:19 シオンから悲かなしみの声こえが聞きこえる。それは言いう、『ああ、われわれは滅ほろぼされ、いたく、はずかしめられている。われわれはその地ちを去さり、彼かれらがわれわれのすみかをこわしたからだ』」。 9:20 女おんなたちよ、主しゅの言葉ことばを聞きけ。あなたがたの耳みみに、その口くちの言葉ことばをいれよ。あなたがたの娘むすめに悲かなしみの歌うたを教おしえ、おのおのその隣となり人びとに哀悼あいとうの歌うたを教おしえよ。9:21 死しがわれわれの窓まどに上のぼって来き、われわれの邸宅ていたくの中なかにはいり、ちまたにいる子こどもらを絶たやし、広場ひろばにいる若わかい人ひとたちを殺ころそうとしているからだ。9:22 あなたはこう言いいなさい、「主しゅは言いわれる、『人ひとの死体したいが糞土ふんどのように、野のに倒たおれているようになり、また刈入かりいれする人ひとのうしろに残のこって、だれも集あつめることをしない束たばのようになる』」。9:23 主しゅはこう言いわれる、「知恵ちえある人ひとはその知恵ちえを誇ほこってはならない。力ちからある人ひとはその力ちからを誇ほこってはならない。富とめる者ものはその富とみを誇ほこってはならない。9:24 誇ほこる者ものはこれを誇ほこりとせよ。すなわち、さとくあって、わたしを知しっていること、わたしが主しゅであって、地ちに、いつくしみと公平こうへいと正義せいぎを行いっている者ものであることを知しることがそれである。わたしはこれらの事ことを喜よろこぶと、主しゅは言いわれる」。 9:25 主しゅは言いわれる、「見みよ、このような日ひが来くる。その日ひには、割礼かつれいをうけても、心こころに割礼かつれいをうけていないすべての人ひとをわたしは罰ばっする。9:26 エジプト、ユダ、エドム、アンモンの人々ひとびと、モアブ、および野のにいて、髪かみの毛けのすみずみをそる人々ひとびとはそれである。これらの国くにびとはみな割礼かつれいをうけていない者ものであり、イスラエルの全家ぜんかもみな心こころに割礼かつれいをうけていない者ものである」。 第10章 10:1 イスラエルの家いえよ、主しゅのあなたがたに語かたられる言葉ことばを聞きけ。10:2 主しゅはこう言いわれる、 「異邦いほうの人ひとの道みちに習ならってはならない。また異邦いほうの人ひとが天てんに現あらわれるしるしを恐おそれても、あなたがたはそれを恐おそれてはならない。10:3 異邦いほうの民たみのならわしはむなしいからだ。彼かれらの崇拝すうはいするものは、林はやしから切きりだした木きで、木工もっこうの手てで、おのをもって つくったものだ。10:4 人々ひとびとは銀ぎんや金きんをもって、それを飾かざり、くぎと鎚つちをもって動うごかないようにそれをとめる。10:5 その偶像ぐうぞうは、きゅうり畑はたけのかかしのようで、ものを言いうことができない。歩あるくこともできないから、人ひとに運はこんでもらわなければならない。それを恐おそれるに及およばない。それは災わざわいをくだすことができず、また幸さいわいをくだす力ちからもないからだ」。 10:6 主しゅよ、あなたに並ならびうる者ものはありません。あなたは大おおいなる者ものであり、あなたの名なもその力ちからのために大おおいなるものであります。10:7 万国ばんこくの王おうであるあなたを、恐おそれない者ものがありましょうか。あなたを恐おそれるのは当然とうぜんのことであります。万国ばんこくのすべての知恵ちえある者もののうちにも、その国々くにぐにのうちにも、あなたに並ならびうる者ものはありません。10:8 彼かれらは皆みな、愚おろかで鈍にぶく、偶像ぐうぞうの教おしえは、ただ木きにすぎない。10:9 銀ぎんぱくはタルシシから渡来とらいし、金きんはウパズから携たずさえてくる。これらは工人こうじんと金きん細工人ざいくにんの工作こうさくである。彼かれらの着物きものはすみれ色いろと紫色むらさきいろである。これらはみな巧たくみな細工人さいくにんの作つくった物ものである。10:10 しかし主しゅはまことの神かみである。生いきた神かみであり、永遠えいえんの王おうである。その怒いかりによって地ちは震ふるいうごき、万国ばんこくはその憤いきどおりに当あたることができない。10:11 あなたがたは彼かれらに、こう言いわなければならない、「天地てんちを つくらなかった神々かみがみは地ちの上うえ、天てんの下したから滅ほろび去さる」と。 10:12 主しゅはその力ちからをもって地ちを造つくり、その知恵ちえをもって世界せかいを建たて、その悟さとりをもって天てんをのべられた。10:13 彼かれが声こえを出だされると、天てんに多おおくの水みずのざわめきがあり、また地ちの果はてから霧きりを立たちあがらせられる。彼かれは雨あめのために、いなびかりをおこし、その倉くらから風かぜを取とり出だされる。10:14 すべての人ひとは愚おろかで知恵ちえがなく、すべての金きん細工人ざいくにんはその造つくった偶像ぐうぞうのために恥はじをこうむる。その偶像ぐうぞうは偽いつわり物もので、そのうちに息いきがないからだ。10:15 これらは、むなしいもので、迷まよいのわざである。罰ばっせられる時ときに滅ほろびるものである。10:16 ヤコブの分ぶんである彼かれはこのようなものではない。彼かれは万物ばんぶつの造つくり主ぬしだからである。イスラエルは彼かれの嗣し業ぎょうとしての部族ぶぞくである。彼かれの名なを万軍ばんぐんの主しゅという。 10:17 囲かこみの中なかにおる者ものよ、あなたの包つつみを地ちから取とり上あげよ。10:18 主しゅがこう言いわれるからだ、「見みよ、わたしはこのたび、この地ちに住すむ者ものを投なげ捨すてる。かつ彼かれらをせめなやまして、思おもい知しらせる」。 10:19 わたしはいたでをうけた、ああ、わざわいなるかな、わたしの傷きずは重おもい。しかしわたしは言いった、「まことに、これは悩なやみである。わたしはこれを忍しのばなければならない」と。10:20 わたしの天幕てんまくは破やぶれ、綱つなはことごとく切きれ、子こどもたちはわたしを捨すてて行いって、いなくなった。もはやわたしの天幕てんまくを張はる者ものはなく、幕まくを掛かける者ものもない。10:21 牧者ぼくしゃは愚おろかであって、主しゅに問とうことをしないからである。それゆえ彼かれらは栄さかえることもなく、その群むれはみな散ちり去さっている。 10:22 聞きけよ、うわさのあるのを。見みよ、北きたの国くにから大おおいなる騒さわぎが来くる。これはユダの町々まちまちを荒あらして山犬やまいぬの巣すとする。 10:23 主しゅよ、わたしは知しっています、人ひとの道みちは自身じしんによるのではなく、歩あゆむ人ひとが、その歩あゆみを自分じぶんで決きめることのできないことを。10:24 主しゅよ、わたしを懲こらしてください。正ただしい道みちにしたがって、怒いからずに懲こらしてください。さもないと、わたしは無むに帰きしてしまうでしょう。 10:25 あなたを知しらない国民くにたみと、あなたの名なをとなえない人々ひとびとにあなたの怒いかりを注そそいでください。彼かれらはヤコブを食くい尽つくしこれを食くい尽つくして滅ほろぼし、そのすみかを荒あらしたからです。 第11章 11:1 主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことばは言いう、11:2 「この契約けいやくの言葉ことばを聞きき、ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者ものに告つげよ。11:3 彼かれらに言いえ、イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、この契約けいやくの言葉ことばに従したがわない人ひとは、のろわれる。11:4 この契約けいやくは、わたしがあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ち、鉄てつのかまどの中なかから導みちびき出だした時ときに、彼かれらに命めいじたところのものである。すなわち、その時ときわたしは彼かれらに言いった、わたしの声こえを聞きき、あなたがたに命めいじるすべてのことを行おこなうならば、あなたがたはわたしの民たみとなり、わたしはあなたがたの神かみとなる。11:5 そして、わたしがあなたがたの先祖せんぞに、乳ちちと蜜みつとの流ながれる地ちを与あたえると誓ちかったことを、なし遂とげると。すなわち今日こんにちのとおりである」。その時ときわたしは、「主しゅよ、仰おおせのとおりです」と答こたえた。 11:6 主しゅはわたしに言いわれた、「このすべての言葉ことばを、ユダの町々まちまちと、エルサレムのちまたに告つげ示しめし、この契約けいやくの言葉ことばを聞きき、これを行おこなえ、と言いいなさい。11:7 わたしは、あなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ちから導みちびき出だした時ときから今日こんにちにいたるまで、おごそかに彼かれらを戒いましめ、絶たえず戒いましめて、わたしの声こえに聞きき従したがうようにと言いった。11:8 しかし彼かれらは従したがわず、その耳みみを傾かたむけず、おのおの自分じぶんの悪わるい強情ごうじょうな心こころに従したがって歩あゆんだ。それゆえ、わたしはこの契約けいやくの言葉ことばをもって彼かれらを責せめた。これはわたしが彼かれらに行おこなえと命めいじたが、行おこなわなかったものである」。 11:9 主しゅはまたわたしに言いわれた、「ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者もののうちに反逆はんぎゃくの事ことがある。11:10 彼かれらは、わたしの言葉ことばを聞きくことを拒こばんだその先祖せんぞたちの罪つみに立たち返かえり、またほかの神々かみがみに従したがってそれに仕つかえた。イスラエルの家いえとユダの家いえとは、わたしがその先祖せんぞたちと結むすんだ契約けいやくを破やぶった。11:11 それゆえ主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしは災わざわいを彼かれらの上うえに下くだす。彼かれらはそれを免まぬかれることはできない。彼かれらがわたしを呼よんでも、わたしは聞きかない。11:12 ユダの町々まちまちとエルサレムに住すむ者ものは、行いって、自分じぶんたちがそれに香こうをたいている神々かみがみに呼よび求もとめるが、これらは、彼かれらの災わざわいの時ときにも決けっして彼かれらを救すくうことはできない。11:13 ユダよ、あなたの神々かみがみは、あなたの町まちの数かずほど多おおくなった。またあなたがたはエルサレムのちまたの数かずほどの祭壇さいだんを恥はずべき者もののために立たてた。すなわちバアルに香こうをたくための祭壇さいだんである。 11:14 それゆえ、この民たみのために祈いのってはならない。また彼かれらのために泣なき、あるいは祈いのり求もとめてはならない。彼かれらがその災わざわいの時ときに、わたしに呼よばわっても、わたしは彼かれらに聞きくことをしないからだ。11:15 わが愛あいする者ものは、わたしの家いえで何なにをするのか。すでにこれは悪事あくじを行おこなった。誓願せいがんと犠牲ぎせいの肉にくとがあなたに災わざわいを免まぬかれさせることができるであろうか。それであなたは喜よろこぶことができるであろうか。11:16 主しゅはあなたを、かつては『良よい実みのなる美うつくしい青々あおあおとしたオリブの木き』と呼よばれたが、激はげしい暴風ぼうふうのとどろきと共ともに、主しゅはそれに火ひをかけ、その枝えだを焼やき払はらわれるのである。11:17 あなたを植うえた万軍ばんぐんの主しゅは、あなたに向むかって災わざわいを言いい渡わたされた。これはイスラエルの家いえとユダの家いえとが悪あくを行おこない、バアルに香こうをたいて、わたしを怒いからせたからである」。11:18 主しゅが知しらせてくださったので、わたしはそれを知しった。その時とき、あなたは彼かれらの悪あしきわざをわたしに示しめされた。11:19 しかしわたしは、ほふられに行いく、おとなしい小羊こひつじのようで、彼かれらがわたしを害がいしようと、計はかりごとをめぐらしているのを知しらなかった。彼かれらは言いう、「さあ、木きとその実みを共ともに滅ほろぼそう。生いける者ものの地ちから彼かれを絶たって、その名なを人ひとに忘わすれさせよう」。11:20 正ただしいさばきをし、人ひとの心こころと思おもいを探さぐられる万軍ばんぐんの主しゅよ、わたしは自分じぶんの訴うったえをあなたにお任まかせしました。あなたが彼かれらにあだをかえされるのを見みさせてください。11:21 それゆえ主しゅはアナトテの人々ひとびとについてこう言いわれる、彼かれらはあなたの命いのちを取とろうと求もとめて言いう、「主しゅの名なによって預言よげんしてはならない。それをするならば、あなたはわれわれの手てにかかって死しぬであろう」。11:22 それで万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらを罰ばっする。若わかい人ひとはつるぎで死しに、彼かれらのむすこ娘むすめは、ききんで死しに、11:23 だれも残のこる者ものはない。わたしがアナトテの人々ひとびとに災わざわいを下くだし、彼かれらを罰ばっする年としをこさせるからである」。 第12章 12:1 主しゅよ、わたしがあなたと論ろんじ争あらそう時とき、あなたは常つねに正ただしい。しかしなお、わたしはあなたの前まえに、さばきのことを論ろんじてみたい。悪人あくにんの道みちがさかえ、不信実ふしんじつな者ものがみな繁栄はんえいするのはなにゆえですか。12:2 あなたが彼かれらを植うえられたので、彼かれらは根ねづき、育そだって、実みを結むすびます。彼かれらは口くちではあなたに近ちかづきますが、心こころはあなたから遠とおざかっています。12:3 主しゅよ、あなたはわたしを知しり、わたしを見み、わたしの心こころがあなたに対たいしていかにあるかを試こころみられます。ほふるために羊ひつじを引ひき出だすように、彼かれらを引ひき出だし、殺ころす日ひにそなえて、彼かれらを残のこしておいてください。12:4 いつまで、この地ちは嘆なげき、どの畑はたけの野菜やさいも枯かれていてよいでしょうか。この地ちに住すむ者ものの悪あくによって、獣けものと鳥とりは滅ほろびうせます。人々ひとびとは言いいました、「彼かれはわれわれの終おわりを見みることはない」と。 12:5 「もしあなたが、徒歩とほの人ひとと競争きょうそうして疲つかれるなら、どうして騎馬きばの人ひとと競きそうことができようか。もし安全あんぜんな地ちで、あなたが倒たおれるなら、ヨルダンの密林みつりんでは、どうするつもりか。12:6 あなたの兄弟きょうだいたち、あなたの父ちちの家いえのものさえ、あなたを欺あざむき、大声おおごえをあげて、あなたを追おっている。彼かれらが親したしげにあなたに語かたることがあっても、彼かれらを信しんじてはならない」。 12:7 「わたしはわが家いえを離はなれ、わが嗣し業ぎょうを捨すて、わが魂たましいの愛あいする者ものを敵てきの手てに渡わたした。12:8 わたしの嗣し業ぎょうは、わたしにとって林はやしの中なかのししのようになった。これはわたしに向むかってその声こえをあげる。それゆえわたしはこれを憎にくむ。12:9 わたしの嗣し業ぎょうは、わたしにとって、斑点はんてんのある猛禽もうきんのようではないか。他たの猛禽もうきんがこれを囲かこんでいるではないか。行いって、野のの獣けものをみな集あつめ、連つれてきてこれを食たべさせよ。12:10 多おおくの牧者ぼくしゃたちはわたしのぶどう畑はたけを滅ほろぼし、わたしの地ちを踏ふみ荒あらした。わたしの麗うるわしい地ちを荒あれた野のにした。12:11 彼かれらはこれを荒あれ地ちとしてしまった。その荒あれ地ちがわたしに向むかって嘆なげくのだ。全ぜん地ちは荒あれ地ちにされた。しかし、ひとりもこれを心こころに留とめる者ものはない。12:12 滅ほろぼす者ものどもが荒野あらののすべての、はげ山やまの上うえにきた。主しゅのつるぎが、地ちの、この果はてから、かの果はてまでを滅ほろぼすのだ。命いのちあるものは安やすらかであることができない。12:13 彼かれらは麦むぎをまいて、いばらを刈かり取とる。苦労くろうしてもなんの利益りえきもない。彼かれらはその収穫しゅうかくを恥はじるようになる。主しゅの激はげしい怒いかりによってである」。12:14 わたしがわが民たみイスラエルにつがせた嗣し業ぎょうに手てを触ふれるすべての悪わるい隣となり人びとについて、主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらをその地ちから抜ぬき出だし、ユダの家いえを彼かれらのうちから抜ぬき出だす。12:15 わたしは、彼かれらを抜ぬき出だしたのちに、また彼かれらをあわれんで、それぞれその嗣し業ぎょうに導みちびき返かえし、おのおのを、その地ちに帰かえらせる。12:16 もし彼かれらがわたしの民たみの道みちを学まなび、わたしの名なによって、『主しゅは生いきておられる』と言いって誓ちかうことが、かつて彼かれらがわたしの民たみに教おしえてバアルをさして誓ちかわせたようになるならば、彼かれらはわたしの民たみのうちに建たてられる。12:17 しかし耳みみをかさない民たみがあるときは、わたしはその民たみを抜ぬき出だして滅ほろぼすと、主しゅは言いわれる」。
2:1 主しゅの言葉ことばがわたしに臨のぞんで言いう、
2:2 「行いって、エルサレムに住すむ者ものの耳みみに告つげよ、主しゅはこう言いわれる、 わたしはあなたの若わかい時ときの純情じゅんじょう、花嫁はなよめの時ときの愛あい、荒野あらのなる、種たねまかぬ地ちでわたしに従したがったことを覚おぼえている。
2:3 イスラエルは主しゅのために聖別せいべつされたもの、その刈入かりいれの初穂はつほである。すべてこれを食たべる者ものは罪つみせられ、災わざわいにあう」と主しゅは言いわれる。
2:4 ヤコブの家いえとイスラエルの家いえのすべてのやからよ、主しゅの言葉ことばを聞きけ。
2:5 主しゅはこう言いわれる、 「あなたがたの先祖せんぞは、わたしになんの悪わるい事ことがあるのを見みて、わたしから遠とおざかり、むなしいものに従したがって、むなしくなったのか。
2:6 彼かれらは言いわなかった、『われわれをエジプトの地ちより導みちびき出だし、荒野あらのなる、穴あなの多おおい荒あれた地ち、かわいた濃こい暗黒あんこくの地ち、人ひとの通とおらない、人ひとの住すまない地ちを通とおらせた主しゅはどこにおられるか』と。
2:7 わたしはあなたがたを導みちびいて豊ゆたかな地ちに入いれ、その実みと良よい物ものを食たべさせた。しかしあなたがたはここにはいって、わたしの地ちを汚けがし、わたしの嗣し業ぎょうを憎にくむべきものとした。
2:8 祭司さいしたちは、『主しゅはどこにおられるか』と言いわなかった。律法りっぽうを扱あつかう者ものたちはわたしを知しらず、つかさたちはわたしにそむき、預言者よげんしゃたちはバアルによって預言よげんし、益えきなき者ものに従したがって行いった。
2:9 それゆえ、わたしはなお、あなたがたと争あらそう、またあなたがたの子孫しそんと争あらそう」と主しゅは言いわれる。
2:10 「あなたがたはクプロの島々しまじまに渡わたってみよ、また人ひとをケダルにつかわして、このようなことがかつてあったかをつまびらかに、しらべてみよ。
2:11 その神かみを神かみではない者ものに取とり替かえた国くにがあろうか。ところが、わたしの民たみはその栄光えいこうを益えきなきものと取とり替かえた。
2:12 天てんよ、この事ことを知しって驚おどろけ、おののけ、いたく恐おそれよ」と主しゅは言いわれる。
2:13 「それは、わたしの民たみが二つの悪あしき事ことを行おこなったからである。すなわち生いける水みずの源みなもとであるわたしを捨すてて、自分じぶんで水みずためを掘ほった。それは、こわれた水みずためで、水みずを入いれておくことのできないものだ。
2:14 イスラエルは奴隷どれいであるか、家いえに生うまれたしもべであるか。それならなぜ捕とらわれの身みとなったのか。
2:15 ししは彼かれに向むかってほえ、その声こえを高たかくあげて、彼かれの地ちを荒あらした。その町々まちまちは滅ほろびて住すむ人ひともない。
2:16 メンピスとタパネスの人々ひとびともまた、あなたのかしらの冠かんむりを砕くだいた。
2:17 あなたの神かみ、主しゅがあなたを道みちに導みちびかれた時とき、あなたは主しゅを捨すてたので、この事ことがあなたに及およんだのではないか。
2:18 あなたがナイルの水みずを飲のもうとして、エジプトへ行いくのは何なにのためか。またユフラテの水みずを飲のもうとして、アッスリヤへ行いくのは何なにのためか。
2:19 あなたの悪事あくじはあなたを懲こらしめ、あなたの背信はいしんはあなたを責せめる。あなたが、あなたの神かみ、主しゅを捨すてることの悪あしくかつ苦にがいことであるのを見みて知しるがよい。わたしを恐おそれることがあなたのうちにないのだ」と万軍ばんぐんの神かみ、主しゅは言いわれる。
2:20 「あなたは久ひさしい以前いぜんに自分じぶんのくびきを折おり、自分じぶんのなわめを断たち切きって、『わたしは仕つかえることをしない』と言いった。そして、すべての高たかい丘おかの上うえと、すべての青あお木きの下したで、遊女ゆうじょのように身みをかがめた。
2:21 わたしはあなたを、まったく良よい種たねのすぐれたぶどうの木きとして植うえたのに、どうしてあなたは変かわって、悪わるい野のぶどうの木きとなったのか。
2:22 たといソーダをもって自みずから洗あらい、また多おおくの灰汁あくを用もちいても、あなたの悪あくの汚けがれは、なおわたしの前まえにある」と主しゅなる神かみは言いわれる。
2:23 「どうしてあなたは、『わたしは汚けがれていない、バアルに従したがわなかった』と言いうことができようか。谷たにの中なかでのあなたの行おこないを見みるがよい。あなたのしたことを知しるがよい。あなたは御ぎょしがたい若わかいらくだであって、その道みちを行ゆきつもどりつする。
2:24 あなたは荒野あらのに慣なれた野のの雌めろばである、その欲情よくじょうのために風かぜにあえぐ。その欲情よくじょうをだれがとどめることができようか。すべてこれを尋たずねる者ものは苦く労ろうするにおよばない、その月つきであればこれに会あうことができる。
2:25 あなたの足あしが、はだしにならないように、のどが、かわかないようにせよ。ところが、あなたは言いった、『それはだめだ、わたしは異ことなる国くにの者ものを愛あいして、それに従したがって行いこう』と。
2:26 盗ぬすびとが捕とらえられて、はずかしめを受うけるように、イスラエルの家いえは、はずかしめを受うける。彼かれらはその王おうも、そのつかさも、その祭司さいしも、その預言者よげんしゃもみなそのとおりである。
2:27 彼かれらは木きに向むかって、『あなたはわたしの父ちちです』と言いい、また石いしに向むかって、『あなたはわたしを生うんでくださった』と言いう。彼かれらは背せをわたしに向むけて、その顔かおをわたしに向むけない。しかし彼かれらが災わざわいにあう時ときは、『立たって、われわれを救すくいたまえ』と言いう。
2:28 あなたが自分じぶんのために造つくった神々かみがみはどこにいるのか。あなたが災わざわいにあう時とき、もし彼かれらがあなたを救すくえるなら、立たってもらうがよい。ユダよ、あなたの神々かみがみは、あなたの町まちの数かずほど多おおいからである。
2:29 あなたがたは、なぜわたしと争あらそうのか。あなたがたは皆みなわたしにそむいている」と主しゅは言いわれる。
2:30 「わたしがあなたがたの子こどもたちを打うったのはむだであった。彼かれらは戒いましめを受うけず、あなたがたのつるぎは、たけりたつししのように、預言者よげんしゃたちを滅ほろぼした。
2:31 あなたがたこの世代せだいの人ひとよ、主しゅの言葉ことばを聞きけ。わたしはイスラエルにとって、荒野あらのであったであろうか。暗黒あんこくの地ちであったであろうか。それならなぜ、わたしの民たみは『われわれは自由じゆうだ、もはやあなたのところへは行いかない』と言いうのか。
2:32 おとめはその飾かざり物ものを忘わすれることができようか。花嫁はなよめはその帯おびを忘わすれることができようか。ところが、わたしの民たみの、わたしを忘わすれた日ひは数かぞえがたい。
2:33 あなたは恋人こいびとを尋たずねて、いかにも巧たくみにその方ほうに足あしを向むける。それゆえ悪わるい女おんなさえ、あなたの道みちを学まなんだ。
2:34 また、あなたの着物きもののすそには罪つみのない貧まずしい人ひとの命いのちの血ちがついている。あなたは彼かれらが押おし入いるのを見みたのではない。しかも、すべてこれらの事ことにもかかわらず、
2:35 あなたは言いう、『わたしは罪つみがない。彼かれの怒いかりは、決けっしてわたしに臨のぞむことがない』と。あなたが『わたしは罪つみを犯おかさなかった』と言いうことによって、わたしはあなたをさばく。
2:36 あなたはなぜ軽々かるがるしくさまよって、その道みちを変かえようとするのか。あなたはアッスリヤに、はずかしめを受うけたように、エジプトにもまた、はずかしめを受うける。
2:37 あなたはまた両手りょうてを頭あたまに置おいて、そこから出でて来くる。主しゅがあなたの頼たのみとする者ものどもを捨すてられたので、あなたは彼かれらによって栄さかえることがないからだ。
第3章 3:1 もし人ひとがその妻つまを離婚りこんし、女おんなが彼かれのもとを去さって、他人たにんの妻つまとなるなら、その人ひとはふたたび彼女かのじょに帰かえるであろうか。その地ちは大おおいに汚けがれないであろうか。あなたは多おおくの恋人こいびとと姦淫かんいんを行おこなった。しかもわたしに帰かえろうというのか」と主しゅは言いわれる。3:2 「目めをあげてもろもろの裸はだかの山やまを見みよ、姦淫かんいんを行おこなわなかった所ところがどこにあるか。荒野あらのにいるアラビヤびとがするように、あなたは道みちのかたわらに座ざして恋人こいびとを待まった。あなたは姦淫かんいんの悪事あくじをもって、この地ちを汚けがした。3:3 それゆえ雨あめはとどめられ、春はるの雨あめは降ふらなかった。しかもあなたには遊女ゆうじょの額ひたいがあり、少すこしも恥はじようとはしない。3:4 今いまあなたは、わたしを呼よんで言いったではないか、『わが父ちちよ、あなたはわたしの若わかい時ときの友ともです。3:5 永久えいきゅうに怒いかられるのですか、終おわりまで憤いきどおられるのですか』と。見みよ、あなたはこう言いったけれども、なしうるかぎりのもろもろの悪あくを行おこなった」。3:6 ヨシヤ王おうの時とき、主しゅはまたわたしに言いわれた、「あなたは、かの背信はいしんのイスラエルがしたことを見みたか。彼女かのじょはすべての高たかい丘おかにのぼり、すべての青あお木きの下したに行いって、そこで姦淫かんいんを行おこなった。3:7 わたしは、彼女かのじょがこのすべてを行おこなった後のち、わたしの所ところに帰かえるであろうと思おもったが、帰かえってこなかった。その不信ふしんの姉妹しまいユダはこれを見みた。3:8 わたしが背信はいしんのイスラエルを、そのすべての姦淫かんいんのゆえに、離縁りえん状じょうを与あたえて出だしたのをユダは見みた。しかもその不信ふしんの姉妹しまいユダは恐おそれず、自分じぶんも行いって姦淫かんいんを行おこなった。3:9 彼女かのじょにとって姦淫かんいんは軽かるいことであったので、石いしと木きとに姦淫かんいんを行いって、この地ちを汚けがした。3:10 このすべての事ことがあっても、なおその不信ふしんの姉妹しまいユダは真心まごころをもってわたしに帰かえらない、ただ偽いつわっているだけだ」と主しゅは言いわれる。 3:11 主しゅはまたわたしに言いわれた、「背信はいしんのイスラエルは不信ふしんのユダよりも自分じぶんの罪つみの少すくないことを示しめした。3:12 あなたは行いって北きたにむかい、この言葉ことばをのべて言いうがよい、 『主しゅは言いわれる、背信はいしんのイスラエルよ、帰かえれ。わたしは怒いかりの顔かおをあなたがたに向むけない、わたしはいつくしみ深ふかい者ものである。いつまでも怒いかることはしないと、主しゅは言いわれる。3:13 ただあなたは自分じぶんの罪つみを認みとめ、あなたの神かみ、主しゅにそむいてすべての青あお木きの下したで異ことなる神々かみがみにあなたの愛あいを惜おしまず与あたえたこと、わたしの声こえに聞きき従したがわなかったことを言いいあらわせと、主しゅは言いわれる。3:14 主しゅは言いわれる、背信はいしんの子こらよ、帰かえれ。わたしはあなたがたの夫おっとだからである。町まちからひとり、氏族しぞくからふたりを取とって、あなたがたをシオンへ連つれて行いこう。3:15 わたしは自分じぶんの心こころにかなう牧者ぼくしゃたちをあなたがたに与あたえる。彼かれらは知識ちしきと悟さとりとをもってあなたがたを養やしなう。3:16 主しゅは言いわれる、あなたがたが地ちに増まして多おおくなるとき、その日ひには、人々ひとびとはかさねて「主しゅの契約けいやくの箱はこ」と言いわず、これを思おもい出ださず、これを覚おぼえず、これを尋たずねず、これを作つくらない。3:17 そのときエルサレムは主しゅのみ位くらいととなえられ、万国ばんこくの民たみはここに集あつまる。すなわち主しゅの名なのもとにエルサレムに集あつまり、かさねて、かたくなに自分じぶんの悪わるい心こころに従したがうことはしない。3:18 その日ひには、ユダの家いえはイスラエルの家いえと一緒いっしょになり、北きたの地ちから出でて、わたしがあなたがたの先祖せんぞたちに嗣し業ぎょうとして与あたえた地ちに共ともに来くる。 3:19 どのようにして、あなたをわたしの子こどもたちのうちに置おき、万国ばんこくのうちで最もっとも美うつくしい嗣し業ぎょうである良よい地ちをあなたに与あたえようかと、わたしは思おもっていた。わたしはまた、あなたがわたしを「わが父ちち」と呼よび、わたしに従したがって離はなれることはないと思おもっていた。3:20 イスラエルの家いえよ、背信はいしんの妻つまが夫おっとのもとを去さるように、たしかに、あなたがたはわたしにそむいた』と主しゅは言いわれる」。 3:21 裸はだかの山やまの上うえに声こえが聞きこえる、イスラエルの民たみが悲かなしみ祈いのるのである。彼かれらが曲まがった道みちに歩あゆみ、その神かみ、主しゅを忘わすれたからだ。3:22 「背信はいしんの子こどもたちよ、帰かえれ。わたしはあなたがたの背信はいしんをいやす」。 「見みよ、われわれはあなたのもとに帰かえります。あなたはわれわれの神かみ、主しゅであらせられます。3:23 まことに、もろもろの丘おかは迷まよいであり、山やまの上うえの騒さわぎも同おなじです。まことに、イスラエルの救すくいはわれわれの神かみ、主しゅにあるのです。3:24 しかし、われわれの幼少ようしょうの時ときから、恥はずべきことが、われわれの先祖せんぞのほねおって得えたもの、すなわちその羊ひつじ、その牛うし、およびそのむすこ、娘むすめたちをことごとくのみ尽つくしました。3:25 われわれは恥はじの中なかに伏ふし、はずかしめにおおわれています。それはわれわれと先祖せんぞとが、われわれの幼少ようしょうの時ときから今日こんにちまで、われわれの神かみ、主しゅに罪つみを犯おかし、われわれの神かみ、主しゅの声こえに従したがわなかったからです」。 第4章 4:1 主しゅは言いわれる、「イスラエルよ、もし、あなたが帰かえるならば、わたしのもとに帰かえらなければならない。もし、あなたが憎にくむべき者ものをわたしの前まえから取とり除のぞいて、ためらうことなく、4:2 また真実しんじつと正義せいぎと正直しょうじきとをもって、『主しゅは生いきておられる』と誓ちかうならば、万国ばんこくの民たみは彼かれによって祝福しゅくふくを受うけ、彼かれによって誇ほこる」。4:3 主しゅはユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ人々ひとびとにこう言いわれる、「あなたがたの新田しんでんを耕たがやせ、いばらの中なかに種たねをまくな。4:4 ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ人々ひとびとよ、あなたがたは自みずから割礼かつれいを行おこなって、主しゅに属ぞくするものとなり、自分じぶんの心こころの前まえの皮かわを取とり去され。さもないと、あなたがたの悪あしき行おこないのためにわたしの怒いかりが火ひのように発はっして燃もえ、これを消けす者ものはない」。 4:5 ユダに告つげ、エルサレムに示しめして言いえ、「国中くにぢゅうにラッパを吹ふき、大声おおごえに呼よばわって言いえ、『集あつまれ、われわれは堅固けんごな町々まちまちへ行いこう』と。4:6 シオンの方ほうを示しめす旗はたを立たてよ。避難ひなんせよ、とどまってはならない、わたしが北きたから災わざわいと大おおいなる破滅はめつをこさせるからだ。4:7 ししはその森もりから出でてのぼり、国々くにぐにを滅ほろぼす者ものは進すすんできた。彼かれはあなたの国くにを荒あらそうとして、すでにその所ところから出でてきた。あなたの町々まちまちは滅ほろぼされて、住すむ者ものもなくなる。4:8 このために、あなたがたは荒布あらぬのを身みにまとって、悲かなしみ嘆なげけ。主しゅの激はげしい怒いかりが、まだわれわれを離はなれないからだ」。4:9 主しゅは言いわれる、「その日ひ、王おうと君きみたちとはその心こころを失うしない、祭司さいしは驚おどろき、預言者よげんしゃは怪あやしむ」。4:10 そこでわたしは言いった、「ああ主しゅなる神かみよ、まことにあなたはこの民たみとエルサレムとをまったく欺あざむかれました。『あなたがたは安やすらかになる』と言いわれましたが、つるぎが命いのちにまでも及およびました」。 4:11 その時ときこの民たみとエルサレムとはこう告つげられる、「熱あつい風かぜが荒野あらのの裸はだかの山やまからわたしの民たみの娘むすめのほうに吹ふいてくる。これはあおぎ分わけるためではなく、清きよめるためでもない。4:12 これよりもなお激はげしい風かぜがわたしのために吹ふく。いまわたしは彼かれらにさばきを告つげる」。 4:13 見みよ、彼かれは雲くものように上のぼってくる。その戦車せんしゃはつむじ風かぜのよう、その馬うまはわしの飛とぶよりも速はやい。ああ、われわれはわざわいだ、われわれは滅ほろぼされる。4:14 エルサレムよ、あなたの心こころの悪あくを洗あらい清きよめよ、そうするならば救すくわれる。悪あしき思おもいはいつまであなたのうちにとどまるのか。4:15 ダンから告つげる声こえがある、エフライムの山やまから災わざわいを知しらせている。4:16 国々くにぐにの民たみに彼かれの来くることを告つげ、またエルサレムに知しらせよ。「攻せめかこむ者ものが遠とおくの国くにから来きて、ユダの町々まちまちにむかってその声こえをあげる。4:17 彼かれらは畑はたけを守まもる者もののようにこれを攻せめかこむ。それはわたしにそむいたからだと、主しゅは言いわれる。4:18 あなたの道みちとその行おこないとが、あなたの身みにこれを招まねいたのだ。これはあなたの悪あくの結果けっかで、まことに苦にがく、あなたの心こころをつらぬく」。 4:19 ああ、わがはらわたよ、わがはらわたよ、わたしは苦くるしみにもだえる。ああ、わが心臓しんぞうの壁かべよ、わたしの心臓しんぞうは、はげしく鼓動こどうする。わたしは沈黙ちんもくを守まもることができない、ラッパの声こえと、戦たたかいの叫さけびを聞きくからである。4:20 破壊はかいに次つぐに破壊はかいがあり、全ぜん地ちは荒あらされ、わたしの天幕てんまくはにわかに破やぶられ、わたしの幕まくはたちまち破やぶられた。4:21 いつまでわたしは旗はたを見み、またラッパの声こえを聞きかなければならないのか。4:22 「わたしの民たみは愚おろかであって、わたしを知しらない。彼かれらは愚鈍ぐどんな子こどもらで、悟さとることがない。彼かれらは悪あくを行おこなうのにさといけれども、善ぜんを行おこなうことを知しらない」。 4:23 わたしは地ちを見みたが、それは形かたちがなく、またむなしかった。天てんをあおいだが、そこには光ひかりがなかった。4:24 わたしは山やまを見みたが、みな震ふるえ、もろもろの丘おかは動うごいていた。4:25 わたしは見みたが、人ひとはひとりもおらず、空そらの鳥とりはみな飛とび去さっていた。4:26 わたしは見みたが、豊ゆたかな地ちは荒あれ地ちとなり、そのすべての町まちは、主しゅの前まえに、その激はげしい怒いかりの前まえに、破壊はかいされていた。4:27 それは主しゅがこう言いわれたからだ、「全ぜん地ちは荒あれ地ちとなる。しかしわたしはことごとくはこれを滅ほろぼさない。4:28 このために地ちは悲かなしみ、上うえなる天てんは暗くらくなる。わたしがすでにこれを言いい、これを定さだめたからだ。わたしは悔くいない、またそれをする事ことをやめない」。 4:29 どの町まちの人ひとも、騎兵きへいと射手いての叫さけびのために逃にげて森もりに入はいり、岩いわに上のぼる。町まちはみな捨すてられ、そこに住すむ人ひとはない。4:30 ああ、荒あらされた女おんなよ、あなたが紅べにの着物きものをき、金きんの飾かざりで身みをよそおい、目めを塗ぬって大おおきくするのは、なんのためか。あなたが美うつくしくしても、むだである。あなたの恋人こいびとらはあなたを卑いやしめ、あなたの命いのちを求もとめている。4:31 わたしは子こを産うむ女おんなのような声こえ、ういごを産うむ女おんなの苦くるしむような声こえを聞きいた。シオンの娘むすめのあえぐ叫さけびである。両手りょうてを伸のべて彼女かのじょは言いう、「わたしはわざわいだ、わたしを殺ころす者ものらの前まえにわたしは気きが遠とおくなる」と。 第5章 5:1 エルサレムのちまたを行いきめぐり、見みて、知しるがよい。その広場ひろばを尋たずねて、公平こうへいを行おこない、真実しんじつを求もとめる者ものが、ひとりでもあるか捜さがしてみよ。あれば、わたしはエルサレムをゆるす。5:2 彼かれらは、「主しゅは生いきておられる」と言いうけれども、実じつは、偽いつわって誓ちかうのだ。5:3 主しゅよ、あなたの目めは、真実しんじつを顧かえりみられるではありませんか。あなたが彼かれらを打うたれても、痛いたみを覚おぼえず、彼かれらを滅ほろぼされても、懲こらしめを受うけることを拒こばみ、その顔かおを岩いわよりも堅かたくして、悔くい改あらためることを拒こばみました。 5:4 それで、わたしは言いった、「これらはただ貧まずしい愚おろかな人々ひとびとで、主しゅの道みちと、神かみのおきてを知しりません。5:5 わたしは偉えらい人ひとたちの所ところへ行いって、彼かれらに語かたります。彼かれらは主しゅの道みちを知しり、神かみのおきてを知しっています」。ところが、彼かれらも皆みなおなじように、くびきを折おり、なわめを断たっていた。 5:6 それゆえ林はやしから、ししが出でてきて彼かれらを殺ころし、荒野あらのから、おおかみが出でてきて彼かれらを滅ほろぼす。ひょうは彼かれらの町々まちまちをねらっている。そこから出でる者ものはみな裂さかれる。彼かれらの罪つみが多おおく、その背信はいしんがはなはだしいからである。 5:7 「わたしはどうしてあなたを、ゆるすことができようか。あなたの子こどもらは、わたしを捨すてさり、神かみでもないものをさして誓ちかった。わたしが彼かれらを満みち足たらせた時とき、彼かれらは姦淫かんいんを行おこない、遊女ゆうじょの家いえに群むれ集あつまった。5:8 彼かれらは肥こえ太ふとった丈夫じょうぶな雄お馬うまのように、おのおの、いなないて隣となりの妻つまを慕したう。5:9 わたしはこれらの事ことのために彼かれらを罰ばっしないでいられようか。このような国民こくみんにあだを返かえさないであろうか」と主しゅは言いわれる。 5:10 「あなたがたはユダのぶどうの並なみ木きの間あいだを、のぼって行いって、滅ほろぼせ、ただ、ことごとく滅ほろぼしてはならない。その枝えだを切きり除のぞけ、主しゅのものではないからである。5:11 イスラエルの家いえとユダの家いえとはわたしにまったく不信ふしんであった」と主しゅは言いわれる。5:12 「彼かれらは主しゅについて偽いつわり語かたって言いった、『主しゅは何事なにごともなされない、災わざわいはわれわれに来こない、またつるぎや、ききんを見みることはない。5:13 預言者よげんしゃらは風かぜとなり、彼かれらのうちに言葉ことばはない。彼かれらはこのようになる』と」。 5:14 それゆえ万軍ばんぐんの神かみ、主しゅはこう言いわれる、「彼かれらがこの言葉ことばを語かたったので、見みよ、わたしはあなたの口くちにあるわたしの言葉ことばを火ひとし、この民たみをたきぎとする。火ひは彼かれらを焼やき尽つくす」。5:15 主しゅは言いわれる、「イスラエルの家いえよ、見みよ、わたしは遠とおい国くにの民たみをあなたがたのところに攻せめこさせる。その国くには長ながく続つづく国くに、古ふるい国くにで、あなたがたはその国くにの言葉ことばを知しらず、人々ひとびとの語かたるのを悟さとることもできない。5:16 その箙えびらは開ひらいた墓はかのようであり、彼かれらはみな勇士ゆうしである。5:17 彼かれらはあなたが刈かり入いれた物ものと、あなたの糧食りょうしょくとを食くい尽つくし、あなたのむすこ娘むすめを食くい尽つくし、あなたの羊ひつじと牛うしを食くい尽つくし、あなたのぶどうの木きといちじくの木きを食くい尽つくし、またつるぎをもって、あなたが頼たのみとする堅固けんごな町々まちまちを滅ほろぼす」。5:18 主しゅは言いわれる、「しかしその時ときでも、わたしはことごとくはあなたを滅ほろぼさない。5:19 あなたの民たみが、『どうしてわれわれの神かみ、主しゅはこれらのすべての事ことをわれわれになされたのか』と言いうならば、あなたは彼かれらに答こたえなければならない、『あなたがたがわたしを捨すてて、自分じぶんの地ちで異ことなる神々かみがみに仕つかえたように、あなたがたは自分じぶんのものでない地ちで異邦いほうの人ひとに仕つかえるようになる』と」。5:20 これをヤコブの家いえにのべ、またユダに示しめして言いえ、5:21 「愚おろかで、悟さとりもなく、目めがあっても見みえず、耳みみがあっても聞きこえない民たみよ、これを聞きけ。5:22 主しゅは言いわれる、あなたがたはわたしを恐おそれないのか、わたしの前まえにおののかないのか。わたしは砂すなを置おいて海うみの境さかいとし、これを永遠えいえんの限界げんかいとして、越こえることができないようにした。波なみはさかまいても、勝かつことはできない、鳴なりわたっても、これを越こえることはできない。5:23 ところが、この民たみには強情ごうじょうな、そむく心こころがあり、彼かれらはわき道みちにそれて、去さってしまった。5:24 彼かれらは『われわれに雨あめを与あたえ、秋あきの雨あめと春はるの雨あめを時ときにしたがって降ふらせ、われわれのために刈入かりいれの時ときを定さだめられたわれわれの神かみ、主しゅを恐おそれよう』とその心こころのうちに言いわないのだ。5:25 あなたがたのとがは、これらの事ことをしりぞけ、あなたがたの罪つみは、良よい物ものがあなたがたに来くるのをさまたげた。5:26 わが民たみのうちには悪わるい者ものがあって、鳥とりをとる人ひとのように身みをかがめてうかがい、わなを置おいて人ひとを捕とらえる。5:27 かごに鳥とりが満みちているように、彼かれらの家いえは不義ふぎの宝たからで満みちている。それゆえ、彼かれらは大おおいなる者もの、裕福ゆうふくな者ものとなり、5:28 肥こえて、つやがあり、その悪あしき行おこないには際限さいげんがない。彼かれらは公正こうせいに、みなしごの訴うったえをさばいて、それを助たすけようとはせず、また貧まずしい人ひとの訴うったえをさばかない。5:29 主しゅは言いわれる、わたしはこのような事ことのために、彼かれらを罰ばっしないであろうか。わたしはこのような民たみに、あだを返かえさないであろうか」。 5:30 驚おどろくべきこと、恐おそるべきことがこの地ちに起おこっている。5:31 預言者よげんしゃは偽いつわって預言よげんし、祭司さいしは自分じぶんの手てによって治おさめ、わが民たみはこのようにすることを愛あいしている。しかしあなたがたはその終おわりにはどうするつもりか。 第6章 6:1 ベニヤミンの人々ひとびとよ、エルサレムの中なかから避難ひなんせよ。テコアでラッパを吹ふき、ベテハケレムに合図あいずの火ひをあげよ。北きたから災わざわいが臨のぞみ、大おおいなる滅ほろびが来くるからである。6:2 わたしは美うつくしい、たおやかなシオンの娘むすめを滅ほろぼす。6:3 牧者ぼくしゃたちは、その群むれをひきいて来きて、彼女かのじょを攻せめ、彼女かのじょの周囲しゅういに天幕てんまくを張はる。群むれはおのおのその所ところで草くさを食くう。6:4 「戦たたかいを始はじめ、彼女かのじょを攻せめよ。立たて、われわれは真昼まひるに攻撃こうげきしよう」。「わざわいなるかな、日ひははや傾かたむき、夕日ゆうひの影かげは長ながくなった」。6:5 「立たて、われわれは夜よるの間あいだに攻撃こうげきしよう、そして彼女かのじょのもろもろの宮殿きゅうでんを破壊はかいしよう」。 6:6 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「あなたがたは彼女かのじょの木きを切きり倒たおし、エルサレムにむかって塁るいを築きずけ。これは罰ばつすべき町まちである、そのうちにはただ圧制あっせいだけがある。6:7 井戸いどに新あたらしい水みずがわくように彼女かのじょはその悪あくを常つねにあらたに流ながす。そのうちには暴虐ぼうぎゃくと破滅はめつとが聞きこえる。わたしの前まえに病やまいと傷きずとが絶たえない。6:8 エルサレムよ、戒いましめを受うけいれよ。さもないと、わたしはあなたから離はなれ、あなたを荒あれ地ちとし、住すむ人ひとのない地ちとする」。 6:9 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「ぶどうの残のこりを摘つみとるように、イスラエルの残のこりの民たみをのこらず摘つみ取とれ。ぶどうを摘つみとる人ひとのように、あなたの手てをふたたびその枝えだに伸のばせ」。6:10 わたしはだれに語かたり、だれを戒いましめて、聞きかせようか。見みよ、彼かれらの耳みみは閉とざされて、聞きくことができない。見みよ、彼かれらは主しゅの言葉ことばをあざけり、それを喜よろこばない。6:11 それゆえ、わたしの身みには主しゅの怒いかりが満みち、それを忍しのぶのに、うみつかれている。「それをちまたにいる子供こどもらと、集あつまっている若わかい人々ひとびととに漏もらせ。夫おっとも妻つまも、老おいた人ひとも、年としのひじょうに進すすんだ人ひとも捕とらえられ、6:12 彼かれらの家いえと畑はたけと妻つまとは共ともに他人たにんに渡わたる。わたしが手てを伸のばして、この地ちに住すむ者ものを撃うつからである」と主しゅは言いわれる。6:13 「それは彼かれらが、小ちいさい者ものから大おおきい者ものまで、みな不正ふせいな利りをむさぼり、また預言者よげんしゃから祭司さいしにいたるまで、みな偽いつわりを行おこなっているからだ。6:14 彼かれらは、手軽てがるにわたしの民たみの傷きずをいやし、平安へいあんがないのに『平安へいあん、平安へいあん』と言いっている。6:15 彼かれらは憎にくむべきことをして、恥はじたであろうか。すこしも恥はずかしいとは思おもわず、また恥はじることを知しらなかった。それゆえ彼かれらは倒たおれる者ものと共ともに倒たおれる。わたしが彼かれらを罰ばっするとき、彼かれらは倒たおれる」と主しゅは言いわれる。 6:16 主しゅはこう言いわれる、「あなたがたはわかれ道みちに立たって、よく見み、いにしえの道みちにつき、良よい道みちがどれかを尋たずねて、その道みちに歩あゆみ、そしてあなたがたの魂たましいのために、安息あんそくを得えよ。しかし彼かれらは答こたえて、『われわれはその道みちに歩あゆまない』と言いった。6:17 わたしはあなたがたの上うえに見張みはりびとを立たて、『ラッパの音おとに気きをつけよ』と言いった。しかし彼かれらは答こたえて、『われわれは気きをつけることはしない』と言いった。6:18 それゆえ国々くにぐにの民たみよ、聞きけ。会衆かいしゅうよ、彼かれらにどのようなことが起おこるかを知しれ。6:19 地ちよ、聞きけ。見みよ、わたしはこの民たみに災わざわいをくだす。それは彼かれらのたくらみの実みである。彼かれらがわたしの言葉ことばに気きをつけず、わたしのおきてを捨すてたからである。6:20 シバから、わたしの所ところに乳香にゅうこうが来き、遠とおい国くにから、菖蒲しょうぶが来くるのはなんのためか。あなたがたの燔祭はんさいはわたしには喜よろこばしくなく、あなたがたの犠牲ぎせいもうれしくはない。6:21 それゆえ主しゅはこう言いわれる、『見みよ、わたしはこの民たみの前まえにつまずく石いしを置おく、人々ひとびとは父ちちも子こも共ともにそれにつまずき、隣となり人びともその友ともも滅ほろびる』」。 6:22 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、民たみが北きたの国くにから来くる、大おおいなる国民こくみんが地ちの果はてから興おこる。6:23 彼かれらは弓ゆみとやりをとる。彼かれらは残忍ざんにんで、あわれみがなく、海うみのような響ひびきを立たてる。シオンの娘むすめよ、彼かれらは馬うまに乗のり、いくさ人ひとのように身みをよろって、あなたを攻せめる」。6:24 われわれはそのうわさを聞きいて、手ては弱よわり、子こを産うむ女おんなに臨のぞむような悩なやみと苦くるしみとに捕とらえられた。6:25 畑はたけに出でてはならない、また道みちを歩あるいてはならない。敵てきはつるぎを持もち、恐おそれが四方しほうにあるからだ。6:26 わが民たみの娘むすめよ、荒布あらぬのを身みにまとい、灰はいの中なかにまろび、ひとり子こを失うしなった時ときのように、悲かなしみ、いたく嘆なげけ。滅ほろぼす者ものが、にわかにわれわれを襲おそうからだ。 6:27 「わたしはあなたを民たみのうちに立たてて、ためす者もの、試こころみる者ものとした。あなたが彼かれらの道みちを知しり、それをためすことができるようにするためである。6:28 彼かれらはみな、強情ごうじょうな反逆者はんぎゃくしゃであって、歩あるきまわって人ひとをそしる。彼かれらは青銅せいどうや鉄てつであって、みな卑いやしいことを行おこなう。6:29 ふいごは激はげしく吹ふき、鉛なまりは火ひにとけて尽つき、精錬せいれんはいたずらに進すすむ。悪あしき者ものがまだ除のぞかれないからである。6:30 主しゅが彼かれらを捨すてられたので、彼かれらは捨すてられた銀ぎんと呼よばれる」。 第7章 7:1 主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことばはこうである。7:2 「主しゅの家いえの門もんに立たち、その所ところで、この言葉ことばをのべて言いえ、主しゅを拝おがむために、この門もんをはいるユダのすべての人ひとよ、主しゅの言葉ことばを聞きけ。7:3 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、あなたがたの道みちとあなたがたの行おこないを改あらためるならば、わたしはあなたがたをこの所ところに住すまわせる。7:4 あなたがたは、『これは主しゅの神殿しんでんだ、主しゅの神殿しんでんだ、主しゅの神殿しんでんだ』という偽いつわりの言葉ことばを頼たのみとしてはならない。 7:5 もしあなたがたが、まことに、その道みちと行おこないを改あらためて、互たがいに公正こうせいを行おこない、7:6 寄留きりゅうの他国たこく人じんと、みなしごと、やもめをしえたげることなく、罪つみのない人ひとの血ちをこの所ところに流ながすことなく、また、ほかの神々かみがみに従したがって自みずから害がいをまねくことをしないならば、7:7 わたしはあなたがたを、わたしが昔むかしあなたがたの先祖せんぞに与あたえたこの地ちに永遠えいえんに住すまわせる。 7:8 見みよ、あなたがたは偽いつわりの言葉ことばを頼たのみとしているが、それはむだである。7:9 あなたがたは盗ぬすみ、殺ころし、姦淫かんいんし、偽いつわって誓ちかい、バアルに香こうをたき、あなたがたが以前いぜんには知しらなかった他たの神々かみがみに従したがいながら、7:10 わたしの名なをもって、となえられるこの家いえに来きてわたしの前まえに立たち、『われわれは救すくわれた』と言いい、しかもすべてこれら憎にくむべきことを行おこなうのは、どうしたことか。7:11 わたしの名なをもって、となえられるこの家いえが、あなたがたの目めには盗賊とうぞくの巣すと見みえるのか。わたし自身じしん、そう見みたと主しゅは言いわれる。7:12 わたしが初はじめにわたしの名なを置おいた場所ばしょシロへ行いき、わが民たみイスラエルの悪あくのために、わたしがその場所ばしょに対たいして行おこなったことを見みよ。7:13 主しゅは言いわれる、今いまあなたがたはこれらのすべてのことを行おこなっている。またわたしはあなたがたに、しきりに語かたったけれども、あなたがたは聞きかず、あなたがたを呼よんだけれども答こたえなかった。7:14 それゆえわたしはシロに対たいして行おこなったように、わたしの名なをもって、となえられるこの家いえにも行おこなう。すなわちあなたがたが頼たのみとする所ところ、わたしがあなたがたと、あなたがたの先祖せんぞに与あたえたこの所ところに行おこなう。7:15 そしてわたしは、あなたがたのすべての兄弟きょうだい、すなわちエフライムのすべての子孫しそんを捨すてたように、わたしの前まえからあなたがたをも捨すてる。 7:16 あなたはこの民たみのために祈いのってはならない。彼かれらのために嘆なげき、祈いのってはならない。またわたしに、とりなしをしてはならない。わたしはあなたの求もとめを聞きかない。7:17 あなたは彼かれらがユダの町々まちまちと、エルサレムのちまたでしていることを見みないのか。7:18 子こどもらは、たきぎを集あつめ、父ちちたちは火ひをたき、女おんなは粉こなをこね、パンを つくってこれを天后てんこうに供そなえる。また彼かれらは他たの神々かみがみの前まえに酒さけを注そそいで、わたしを怒いからせる。7:19 主しゅは言いわれる、彼かれらが怒いからせるのはわたしなのか。自分じぶんたち自身じしんではないのか。そして自みずからうろたえている。7:20 それゆえ主しゅなる神かみはこう言いわれる、見みよ、わたしの怒いかりと憤いきどおりを、この所ところと、人ひとと獣けものと、畑はたけの木きと、地ちの産物さんぶつとに注そそぐ。怒いかりは燃もえて消きえることがない」。 7:21 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、「あなたがたの犠牲ぎせいに燔祭はんさいの物ものを合あわせて肉にくを食たべるがよい。7:22 それはあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ちから導みちびき出だした日ひに、わたしは燔祭はんさいと犠牲ぎせいとについて彼かれらに語かたったこともなく、また命めいじたこともないからである。7:23 ただわたしはこの戒いましめを彼かれらに与あたえて言いった、『わたしの声こえに聞ききしたがいなさい。そうすれば、わたしはあなたがたの神かみとなり、あなたがたはわたしの民たみとなる。わたしがあなたがたに命めいじるすべての道みちを歩あゆんで幸さいわいを得えなさい』と。7:24 しかし彼かれらは聞きき従したがわず、耳みみを傾かたむけず、自分じぶんの悪わるい心こころの計はかりごとと強情ごうじょうにしたがって歩あゆみ、悪わるくなるばかりで、よくはならなかった。7:25 あなたがたの先祖せんぞがエジプトの地ちを出でた日ひから今日こんにちまで、わたしはわたしのしもべである預言者よげんしゃたちを日々ひび彼かれらにつかわした。7:26 しかし彼かれらはわたしに聞きかず、耳みみを傾かたむけないで強情ごうじょうになり、先祖せんぞたちにもまさって悪あくを行おこなった。 7:27 たといあなたが彼かれらにこのすべての言葉ことばを語かたっても彼かれらは聞きかない。また彼かれらを呼よんでもあなたに答こたえない。7:28 それゆえ、あなたはこう彼かれらに言いわなければならない、『これはその神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがわず、その戒いましめを受うけいれなかった国民こくみんである。真実しんじつはうせ、彼かれらの口くちから絶たえた。 7:29 あなたの髪かみの毛けを切きって捨すてよ、裸はだかの山やまの上うえに嘆なげきの声こえをあげよ。主しゅが、お怒いかりになっている世よの人ひとを退しりぞけ捨すてられたからだ』。7:30 主しゅは言いわれる、ユダの民たみはわたしの前まえに悪あくを行おこない、わたしの名なをもってとなえられる家いえに、憎にくむべき者ものを置おいてそこを汚けがした。7:31 またベンヒンノムの谷たににあるトペテの高たかき所ところを築きずいて、むすこ娘むすめを火ひに焼やいた。わたしはそれを命めいじたことはなく、またそのようなことを考かんがえたこともなかった。7:32 主しゅは言いわれる、それゆえに見みよ、その所ところをトペテ、またはベンヒンノムの谷たにと呼よばないで、ほふりの谷たにと呼よぶ日ひが来くる。それはほかに場所ばしょがないので、トペテに葬ほうむるからである。7:33 この民たみの死体したいは空そらの鳥とりと地ちの獣けものの食物しょくもつとなり、これを追おい払はらう者ものもない。7:34 そのときわたしはユダの町々まちまちとエルサレムのちまたに、喜よろこびの声こえ、楽たのしみの声こえ、花婿はなむこの声こえ、花嫁はなよめの声こえを絶たやす。この地ちは荒あれ果はてるからである。 第8章 8:1 主しゅは言いわれる、その時ときユダの王おうたちの骨ほねと、そのつかさたちの骨ほねと、祭司さいしたちの骨ほねと、預言者よげんしゃたちの骨ほねと、エルサレムに住すむ人々ひとびとの骨ほねは墓はかより掘ほり出だされて、8:2 彼かれらの愛あいし、仕つかえ、従したがい、求もとめ、また拝おがんだ、日ひと月つきと天てんの衆しゅう群ぐんの前まえにさらされる。その骨ほねは集あつめる者ものも葬ほうむる者ものもなく、地ちのおもてに糞土ふんどのようになる。8:3 この悪あしき民たみのうちの残のこっている残のこりの者ものはみな、わたしが追おいやった場所ばしょで、生いきることよりも死しぬことを願ねがうようになると、万軍ばんぐんの主しゅは言いわれる。 8:4 あなたは彼かれらに言いわなければならない。主しゅはこう仰おおせられる、人ひとは倒たおれたならば、また起おきあがらないであろうか。離はなれていったならば、帰かえってこないであろうか。8:5 それにどうしてこの民たみは、常つねにそむいて離はなれていくのか。彼かれらは偽いつわりを固かたくとらえて、帰かえってくることを拒こばんでいる。8:6 わたしは気きをつけて聞きいたが、彼かれらは正ただしくは語かたらなかった。その悪あくを悔くいて、『わたしのした事ことは何なにか』という者ものはひとりもない。彼かれらはみな戦場せんじょうに、はせ入いる馬うまのように、自分じぶんのすきな道みちに向むかう。8:7 空そらのこうのとりでもその時ときを知しり、山やまばとと、つばめと、つるはその来くる時ときを守まもる。しかしわが民たみは主しゅのおきてを知しらない。 8:8 どうしてあなたがたは、『われわれには知恵ちえがある、主しゅのおきてがある』と言いうことができようか。見みよ、まことに書記しょきの偽いつわりの筆ふでがこれを偽いつわりにしたのだ。8:9 知恵ちえある者ものは、はずかしめられ、あわてふためき、捕とらえられる。見みよ、彼かれらは主しゅの言葉ことばを捨すてた、彼かれらになんの知恵ちえがあろうか。8:10 それゆえ、わたしは彼かれらの妻つまを他人たにんに与あたえ、その畑はたけを征服せいふく者しゃに与あたえる。それは彼かれらが小ちいさい者ものから大おおきい者ものにいたるまで、みな不正ふせいな利りをむさぼり、預言者よげんしゃから祭司さいしにいたるまで、みな偽いつわりを行いっているからである。8:11 彼かれらは手軽てがるに、わたしの民たみの傷きずをいやし、平安へいあんがないのに、『平安へいあん、平安へいあん』と言いっている。8:12 彼かれらは憎にくむべきことをして、恥はじたであろうか。すこしも恥はずかしいとは思おもわず、また恥はじることを知しらなかった。それゆえ彼かれらは倒たおれる者ものと共ともに倒たおれる。わたしが彼かれらを罰ばっするとき、彼かれらは倒たおれると、主しゅは言いわれる。8:13 主しゅは言いわれる、わたしが集あつめようと思おもうとき、ぶどうの木きにぶどうはなく、いちじくの木きに、いちじくはなく、葉はさえ、しぼんでいる。わたしが彼かれらに与あたえたものも、彼かれらを離はなれて、うせ去さった」。 8:14 どうしてわれわれはなす事こともなく座ざしているのか。集あつまって、堅固けんごな町まちにはいり、そこでわれわれは滅ほろびよう。われわれが主しゅに罪つみを犯おかしたので、われわれの神かみ、主しゅがわれわれを滅ほろぼそうとして、毒どくの水みずを飲のませられるのだ。8:15 われわれは平安へいあんを望のぞんだが、良よい事ことはこなかった。いやされる時ときを望のぞんだが、かえって恐怖きょうふが来きた。 8:16 「彼かれらの馬うまのいななきはダンから聞きこえてくる。彼かれらの強つよい馬うまの声こえによって全ぜん地ちは震ふるう。彼かれらは来きて、この地ちと、ここにあるすべてのもの、町まちと、そのうちに住すむ者ものとを食くい滅ほろぼす。8:17 見みよ、魔法まほうをもってならすことのできない、へびや、まむしをあなたがたのうちにつかわす。それはあなたがたをかむ」と主しゅは言いわれる。 8:18 わが嘆なげきはいやしがたく、わが心こころはうちに悩なやむ。8:19 聞きけ、地ちの全面ぜんめんから、わが民たみの娘むすめの声こえがあがるのを。「主しゅはシオンにおられないのか、シオンの王おうはそのうちにおられないのか」。「なぜ彼かれらはその彫像ちょうぞうと、異邦いほうの偶像ぐうぞうとをもって、わたしを怒いからせたのか」。8:20 「刈入かりいれの時ときは過すぎ、夏なつもはや終おわった、しかしわれわれはまだ救すくわれない」。8:21 わが民たみの娘むすめの傷きずによって、わが心こころは痛いたむ。わたしは嘆なげき、うろたえる。 8:22 ギレアデに乳香にゅうこうがあるではないか。その所ところに医者いしゃがいるではないか。それにどうしてわが民たみの娘むすめはいやされることがないのか。 第9章 9:1 ああ、わたしの頭あたまが水みずとなり、わたしの目めが涙なみだの泉いずみとなればよいのに。そうすれば、わたしは民たみの娘むすめの殺ころされた者もののために昼ひるも夜よるも嘆なげくことができる。9:2 ああ、わたしが荒野あらのに、隊商たいしょうの宿やどを得えることができればよいのに。そうすれば、わたしは民たみを離はなれて去さって行いくことができる。彼かれらはみな姦淫かんいんする者もの、不信ふしんのともがらだからである。9:3 彼かれらは弓ゆみをひくように、その舌したを曲まげる。真実しんじつではなく、偽いつわりがこの地ちに強つよくなった。彼かれらは悪あくより悪あくに進すすみ、またわたしを知しらないと、主しゅは言いわれる。 9:4 あなたがたはおのおの隣となり人びとに気きをつけよ。どの兄弟きょうだいをも信しんじてはならない。兄弟きょうだいはみな、押おしのける者ものであり、隣となり人びとはみな、ののしって歩あるく者ものだからである。9:5 人ひとはみな、その隣となり人びとを欺あざむき、真実しんじつを言いう者ものはない。彼かれらは自分じぶんの舌したに偽いつわりを言いうことを教おしえ、悪あくを行おこない、疲つかれて悔くい改あらためるいとまもなく、9:6 しえたげに、しえたげを積つみ重かさね、偽いつわりに偽いつわりを積つみ重かさね、わたしを知しることを拒こばんでいると、主しゅは言いわれる。 9:7 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらを溶とかし、試こころみる。このほか、わが民たみをどうすることができよう。9:8 彼かれらの舌したは殺ころす矢やのようだ、それは偽いつわりを言いう。その口くちではおのおの隣となり人びとにおだやかに語かたるが、その心こころでは彼かれを待まち伏ぶせる計はかりごとを立たてる。9:9 主しゅは言いわれる、これらのことのために、わたしが彼かれらを罰ばっしないだろうか。わたしがこのような民たみにあだを返かえさないだろうか。 9:10 山やまのために泣なき叫さけび、野のの牧場まきばのために悲かなしめ。これらは荒あれすたれて、通とおり過すぎる人ひともない。ここには牛うし、羊ひつじの鳴なく声こえも聞きこえず、空そらの鳥とりも獣けものも皆みな逃にげ去さった。9:11 わたしはエルサレムを荒塚あれづかとし、山犬やまいぬの巣すとする。またユダの町々まちまちを荒あらして、住すむ人ひともない所ところとする」。9:12 知恵ちえがあって、これを悟さとることのできる人ひとはだれか。主しゅの口くちの言葉ことばをうけて、それを示しめす人ひとはだれか。この地ちが滅ほろぼされて荒野あらののようになり、通とおり過すぎる人ひともなくなったのはどういうわけか。9:13 主しゅは言いわれる、「それは彼かれらの前まえにわたしが立たてたおきてを彼かれらが捨すてて、わたしの声こえに聞きき従したがわず、そのとおりに歩あるかなかったからである。9:14 彼かれらは強情ごうじょうに自分じぶんの心こころに従したがい、また先祖せんぞの教おしえたようにバアルに従したがった。9:15 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、見みよ、わたしはこの民たみに、にがよもぎを食たべさせ、毒どくの水みずを飲のませ、9:16 彼かれらも、その先祖せんぞたちも知しらなかった国くにびとのうちに彼かれらを散ちらし、また彼かれらを滅ほろぼし尽つくすまで、そのうしろに、つるぎをつかわす」。9:17 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「よく考かんがえて、泣なき女おんなを呼よべ。また人ひとをつかわして巧たくみな女おんなを招まねけ。9:18 彼かれらに急いそいでこさせ、われわれのために泣なき悲かなしませて、われわれの目めに涙なみだをこぼさせ、まぶたから水みずをあふれさせよ。9:19 シオンから悲かなしみの声こえが聞きこえる。それは言いう、『ああ、われわれは滅ほろぼされ、いたく、はずかしめられている。われわれはその地ちを去さり、彼かれらがわれわれのすみかをこわしたからだ』」。 9:20 女おんなたちよ、主しゅの言葉ことばを聞きけ。あなたがたの耳みみに、その口くちの言葉ことばをいれよ。あなたがたの娘むすめに悲かなしみの歌うたを教おしえ、おのおのその隣となり人びとに哀悼あいとうの歌うたを教おしえよ。9:21 死しがわれわれの窓まどに上のぼって来き、われわれの邸宅ていたくの中なかにはいり、ちまたにいる子こどもらを絶たやし、広場ひろばにいる若わかい人ひとたちを殺ころそうとしているからだ。9:22 あなたはこう言いいなさい、「主しゅは言いわれる、『人ひとの死体したいが糞土ふんどのように、野のに倒たおれているようになり、また刈入かりいれする人ひとのうしろに残のこって、だれも集あつめることをしない束たばのようになる』」。9:23 主しゅはこう言いわれる、「知恵ちえある人ひとはその知恵ちえを誇ほこってはならない。力ちからある人ひとはその力ちからを誇ほこってはならない。富とめる者ものはその富とみを誇ほこってはならない。9:24 誇ほこる者ものはこれを誇ほこりとせよ。すなわち、さとくあって、わたしを知しっていること、わたしが主しゅであって、地ちに、いつくしみと公平こうへいと正義せいぎを行いっている者ものであることを知しることがそれである。わたしはこれらの事ことを喜よろこぶと、主しゅは言いわれる」。 9:25 主しゅは言いわれる、「見みよ、このような日ひが来くる。その日ひには、割礼かつれいをうけても、心こころに割礼かつれいをうけていないすべての人ひとをわたしは罰ばっする。9:26 エジプト、ユダ、エドム、アンモンの人々ひとびと、モアブ、および野のにいて、髪かみの毛けのすみずみをそる人々ひとびとはそれである。これらの国くにびとはみな割礼かつれいをうけていない者ものであり、イスラエルの全家ぜんかもみな心こころに割礼かつれいをうけていない者ものである」。 第10章 10:1 イスラエルの家いえよ、主しゅのあなたがたに語かたられる言葉ことばを聞きけ。10:2 主しゅはこう言いわれる、 「異邦いほうの人ひとの道みちに習ならってはならない。また異邦いほうの人ひとが天てんに現あらわれるしるしを恐おそれても、あなたがたはそれを恐おそれてはならない。10:3 異邦いほうの民たみのならわしはむなしいからだ。彼かれらの崇拝すうはいするものは、林はやしから切きりだした木きで、木工もっこうの手てで、おのをもって つくったものだ。10:4 人々ひとびとは銀ぎんや金きんをもって、それを飾かざり、くぎと鎚つちをもって動うごかないようにそれをとめる。10:5 その偶像ぐうぞうは、きゅうり畑はたけのかかしのようで、ものを言いうことができない。歩あるくこともできないから、人ひとに運はこんでもらわなければならない。それを恐おそれるに及およばない。それは災わざわいをくだすことができず、また幸さいわいをくだす力ちからもないからだ」。 10:6 主しゅよ、あなたに並ならびうる者ものはありません。あなたは大おおいなる者ものであり、あなたの名なもその力ちからのために大おおいなるものであります。10:7 万国ばんこくの王おうであるあなたを、恐おそれない者ものがありましょうか。あなたを恐おそれるのは当然とうぜんのことであります。万国ばんこくのすべての知恵ちえある者もののうちにも、その国々くにぐにのうちにも、あなたに並ならびうる者ものはありません。10:8 彼かれらは皆みな、愚おろかで鈍にぶく、偶像ぐうぞうの教おしえは、ただ木きにすぎない。10:9 銀ぎんぱくはタルシシから渡来とらいし、金きんはウパズから携たずさえてくる。これらは工人こうじんと金きん細工人ざいくにんの工作こうさくである。彼かれらの着物きものはすみれ色いろと紫色むらさきいろである。これらはみな巧たくみな細工人さいくにんの作つくった物ものである。10:10 しかし主しゅはまことの神かみである。生いきた神かみであり、永遠えいえんの王おうである。その怒いかりによって地ちは震ふるいうごき、万国ばんこくはその憤いきどおりに当あたることができない。10:11 あなたがたは彼かれらに、こう言いわなければならない、「天地てんちを つくらなかった神々かみがみは地ちの上うえ、天てんの下したから滅ほろび去さる」と。 10:12 主しゅはその力ちからをもって地ちを造つくり、その知恵ちえをもって世界せかいを建たて、その悟さとりをもって天てんをのべられた。10:13 彼かれが声こえを出だされると、天てんに多おおくの水みずのざわめきがあり、また地ちの果はてから霧きりを立たちあがらせられる。彼かれは雨あめのために、いなびかりをおこし、その倉くらから風かぜを取とり出だされる。10:14 すべての人ひとは愚おろかで知恵ちえがなく、すべての金きん細工人ざいくにんはその造つくった偶像ぐうぞうのために恥はじをこうむる。その偶像ぐうぞうは偽いつわり物もので、そのうちに息いきがないからだ。10:15 これらは、むなしいもので、迷まよいのわざである。罰ばっせられる時ときに滅ほろびるものである。10:16 ヤコブの分ぶんである彼かれはこのようなものではない。彼かれは万物ばんぶつの造つくり主ぬしだからである。イスラエルは彼かれの嗣し業ぎょうとしての部族ぶぞくである。彼かれの名なを万軍ばんぐんの主しゅという。 10:17 囲かこみの中なかにおる者ものよ、あなたの包つつみを地ちから取とり上あげよ。10:18 主しゅがこう言いわれるからだ、「見みよ、わたしはこのたび、この地ちに住すむ者ものを投なげ捨すてる。かつ彼かれらをせめなやまして、思おもい知しらせる」。 10:19 わたしはいたでをうけた、ああ、わざわいなるかな、わたしの傷きずは重おもい。しかしわたしは言いった、「まことに、これは悩なやみである。わたしはこれを忍しのばなければならない」と。10:20 わたしの天幕てんまくは破やぶれ、綱つなはことごとく切きれ、子こどもたちはわたしを捨すてて行いって、いなくなった。もはやわたしの天幕てんまくを張はる者ものはなく、幕まくを掛かける者ものもない。10:21 牧者ぼくしゃは愚おろかであって、主しゅに問とうことをしないからである。それゆえ彼かれらは栄さかえることもなく、その群むれはみな散ちり去さっている。 10:22 聞きけよ、うわさのあるのを。見みよ、北きたの国くにから大おおいなる騒さわぎが来くる。これはユダの町々まちまちを荒あらして山犬やまいぬの巣すとする。 10:23 主しゅよ、わたしは知しっています、人ひとの道みちは自身じしんによるのではなく、歩あゆむ人ひとが、その歩あゆみを自分じぶんで決きめることのできないことを。10:24 主しゅよ、わたしを懲こらしてください。正ただしい道みちにしたがって、怒いからずに懲こらしてください。さもないと、わたしは無むに帰きしてしまうでしょう。 10:25 あなたを知しらない国民くにたみと、あなたの名なをとなえない人々ひとびとにあなたの怒いかりを注そそいでください。彼かれらはヤコブを食くい尽つくしこれを食くい尽つくして滅ほろぼし、そのすみかを荒あらしたからです。 第11章 11:1 主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことばは言いう、11:2 「この契約けいやくの言葉ことばを聞きき、ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者ものに告つげよ。11:3 彼かれらに言いえ、イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、この契約けいやくの言葉ことばに従したがわない人ひとは、のろわれる。11:4 この契約けいやくは、わたしがあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ち、鉄てつのかまどの中なかから導みちびき出だした時ときに、彼かれらに命めいじたところのものである。すなわち、その時ときわたしは彼かれらに言いった、わたしの声こえを聞きき、あなたがたに命めいじるすべてのことを行おこなうならば、あなたがたはわたしの民たみとなり、わたしはあなたがたの神かみとなる。11:5 そして、わたしがあなたがたの先祖せんぞに、乳ちちと蜜みつとの流ながれる地ちを与あたえると誓ちかったことを、なし遂とげると。すなわち今日こんにちのとおりである」。その時ときわたしは、「主しゅよ、仰おおせのとおりです」と答こたえた。 11:6 主しゅはわたしに言いわれた、「このすべての言葉ことばを、ユダの町々まちまちと、エルサレムのちまたに告つげ示しめし、この契約けいやくの言葉ことばを聞きき、これを行おこなえ、と言いいなさい。11:7 わたしは、あなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ちから導みちびき出だした時ときから今日こんにちにいたるまで、おごそかに彼かれらを戒いましめ、絶たえず戒いましめて、わたしの声こえに聞きき従したがうようにと言いった。11:8 しかし彼かれらは従したがわず、その耳みみを傾かたむけず、おのおの自分じぶんの悪わるい強情ごうじょうな心こころに従したがって歩あゆんだ。それゆえ、わたしはこの契約けいやくの言葉ことばをもって彼かれらを責せめた。これはわたしが彼かれらに行おこなえと命めいじたが、行おこなわなかったものである」。 11:9 主しゅはまたわたしに言いわれた、「ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者もののうちに反逆はんぎゃくの事ことがある。11:10 彼かれらは、わたしの言葉ことばを聞きくことを拒こばんだその先祖せんぞたちの罪つみに立たち返かえり、またほかの神々かみがみに従したがってそれに仕つかえた。イスラエルの家いえとユダの家いえとは、わたしがその先祖せんぞたちと結むすんだ契約けいやくを破やぶった。11:11 それゆえ主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしは災わざわいを彼かれらの上うえに下くだす。彼かれらはそれを免まぬかれることはできない。彼かれらがわたしを呼よんでも、わたしは聞きかない。11:12 ユダの町々まちまちとエルサレムに住すむ者ものは、行いって、自分じぶんたちがそれに香こうをたいている神々かみがみに呼よび求もとめるが、これらは、彼かれらの災わざわいの時ときにも決けっして彼かれらを救すくうことはできない。11:13 ユダよ、あなたの神々かみがみは、あなたの町まちの数かずほど多おおくなった。またあなたがたはエルサレムのちまたの数かずほどの祭壇さいだんを恥はずべき者もののために立たてた。すなわちバアルに香こうをたくための祭壇さいだんである。 11:14 それゆえ、この民たみのために祈いのってはならない。また彼かれらのために泣なき、あるいは祈いのり求もとめてはならない。彼かれらがその災わざわいの時ときに、わたしに呼よばわっても、わたしは彼かれらに聞きくことをしないからだ。11:15 わが愛あいする者ものは、わたしの家いえで何なにをするのか。すでにこれは悪事あくじを行おこなった。誓願せいがんと犠牲ぎせいの肉にくとがあなたに災わざわいを免まぬかれさせることができるであろうか。それであなたは喜よろこぶことができるであろうか。11:16 主しゅはあなたを、かつては『良よい実みのなる美うつくしい青々あおあおとしたオリブの木き』と呼よばれたが、激はげしい暴風ぼうふうのとどろきと共ともに、主しゅはそれに火ひをかけ、その枝えだを焼やき払はらわれるのである。11:17 あなたを植うえた万軍ばんぐんの主しゅは、あなたに向むかって災わざわいを言いい渡わたされた。これはイスラエルの家いえとユダの家いえとが悪あくを行おこない、バアルに香こうをたいて、わたしを怒いからせたからである」。11:18 主しゅが知しらせてくださったので、わたしはそれを知しった。その時とき、あなたは彼かれらの悪あしきわざをわたしに示しめされた。11:19 しかしわたしは、ほふられに行いく、おとなしい小羊こひつじのようで、彼かれらがわたしを害がいしようと、計はかりごとをめぐらしているのを知しらなかった。彼かれらは言いう、「さあ、木きとその実みを共ともに滅ほろぼそう。生いける者ものの地ちから彼かれを絶たって、その名なを人ひとに忘わすれさせよう」。11:20 正ただしいさばきをし、人ひとの心こころと思おもいを探さぐられる万軍ばんぐんの主しゅよ、わたしは自分じぶんの訴うったえをあなたにお任まかせしました。あなたが彼かれらにあだをかえされるのを見みさせてください。11:21 それゆえ主しゅはアナトテの人々ひとびとについてこう言いわれる、彼かれらはあなたの命いのちを取とろうと求もとめて言いう、「主しゅの名なによって預言よげんしてはならない。それをするならば、あなたはわれわれの手てにかかって死しぬであろう」。11:22 それで万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらを罰ばっする。若わかい人ひとはつるぎで死しに、彼かれらのむすこ娘むすめは、ききんで死しに、11:23 だれも残のこる者ものはない。わたしがアナトテの人々ひとびとに災わざわいを下くだし、彼かれらを罰ばっする年としをこさせるからである」。 第12章 12:1 主しゅよ、わたしがあなたと論ろんじ争あらそう時とき、あなたは常つねに正ただしい。しかしなお、わたしはあなたの前まえに、さばきのことを論ろんじてみたい。悪人あくにんの道みちがさかえ、不信実ふしんじつな者ものがみな繁栄はんえいするのはなにゆえですか。12:2 あなたが彼かれらを植うえられたので、彼かれらは根ねづき、育そだって、実みを結むすびます。彼かれらは口くちではあなたに近ちかづきますが、心こころはあなたから遠とおざかっています。12:3 主しゅよ、あなたはわたしを知しり、わたしを見み、わたしの心こころがあなたに対たいしていかにあるかを試こころみられます。ほふるために羊ひつじを引ひき出だすように、彼かれらを引ひき出だし、殺ころす日ひにそなえて、彼かれらを残のこしておいてください。12:4 いつまで、この地ちは嘆なげき、どの畑はたけの野菜やさいも枯かれていてよいでしょうか。この地ちに住すむ者ものの悪あくによって、獣けものと鳥とりは滅ほろびうせます。人々ひとびとは言いいました、「彼かれはわれわれの終おわりを見みることはない」と。 12:5 「もしあなたが、徒歩とほの人ひとと競争きょうそうして疲つかれるなら、どうして騎馬きばの人ひとと競きそうことができようか。もし安全あんぜんな地ちで、あなたが倒たおれるなら、ヨルダンの密林みつりんでは、どうするつもりか。12:6 あなたの兄弟きょうだいたち、あなたの父ちちの家いえのものさえ、あなたを欺あざむき、大声おおごえをあげて、あなたを追おっている。彼かれらが親したしげにあなたに語かたることがあっても、彼かれらを信しんじてはならない」。 12:7 「わたしはわが家いえを離はなれ、わが嗣し業ぎょうを捨すて、わが魂たましいの愛あいする者ものを敵てきの手てに渡わたした。12:8 わたしの嗣し業ぎょうは、わたしにとって林はやしの中なかのししのようになった。これはわたしに向むかってその声こえをあげる。それゆえわたしはこれを憎にくむ。12:9 わたしの嗣し業ぎょうは、わたしにとって、斑点はんてんのある猛禽もうきんのようではないか。他たの猛禽もうきんがこれを囲かこんでいるではないか。行いって、野のの獣けものをみな集あつめ、連つれてきてこれを食たべさせよ。12:10 多おおくの牧者ぼくしゃたちはわたしのぶどう畑はたけを滅ほろぼし、わたしの地ちを踏ふみ荒あらした。わたしの麗うるわしい地ちを荒あれた野のにした。12:11 彼かれらはこれを荒あれ地ちとしてしまった。その荒あれ地ちがわたしに向むかって嘆なげくのだ。全ぜん地ちは荒あれ地ちにされた。しかし、ひとりもこれを心こころに留とめる者ものはない。12:12 滅ほろぼす者ものどもが荒野あらののすべての、はげ山やまの上うえにきた。主しゅのつるぎが、地ちの、この果はてから、かの果はてまでを滅ほろぼすのだ。命いのちあるものは安やすらかであることができない。12:13 彼かれらは麦むぎをまいて、いばらを刈かり取とる。苦労くろうしてもなんの利益りえきもない。彼かれらはその収穫しゅうかくを恥はじるようになる。主しゅの激はげしい怒いかりによってである」。12:14 わたしがわが民たみイスラエルにつがせた嗣し業ぎょうに手てを触ふれるすべての悪わるい隣となり人びとについて、主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらをその地ちから抜ぬき出だし、ユダの家いえを彼かれらのうちから抜ぬき出だす。12:15 わたしは、彼かれらを抜ぬき出だしたのちに、また彼かれらをあわれんで、それぞれその嗣し業ぎょうに導みちびき返かえし、おのおのを、その地ちに帰かえらせる。12:16 もし彼かれらがわたしの民たみの道みちを学まなび、わたしの名なによって、『主しゅは生いきておられる』と言いって誓ちかうことが、かつて彼かれらがわたしの民たみに教おしえてバアルをさして誓ちかわせたようになるならば、彼かれらはわたしの民たみのうちに建たてられる。12:17 しかし耳みみをかさない民たみがあるときは、わたしはその民たみを抜ぬき出だして滅ほろぼすと、主しゅは言いわれる」。
3:1 もし人ひとがその妻つまを離婚りこんし、女おんなが彼かれのもとを去さって、他人たにんの妻つまとなるなら、その人ひとはふたたび彼女かのじょに帰かえるであろうか。その地ちは大おおいに汚けがれないであろうか。あなたは多おおくの恋人こいびとと姦淫かんいんを行おこなった。しかもわたしに帰かえろうというのか」と主しゅは言いわれる。
3:2 「目めをあげてもろもろの裸はだかの山やまを見みよ、姦淫かんいんを行おこなわなかった所ところがどこにあるか。荒野あらのにいるアラビヤびとがするように、あなたは道みちのかたわらに座ざして恋人こいびとを待まった。あなたは姦淫かんいんの悪事あくじをもって、この地ちを汚けがした。
3:3 それゆえ雨あめはとどめられ、春はるの雨あめは降ふらなかった。しかもあなたには遊女ゆうじょの額ひたいがあり、少すこしも恥はじようとはしない。
3:4 今いまあなたは、わたしを呼よんで言いったではないか、『わが父ちちよ、あなたはわたしの若わかい時ときの友ともです。
3:5 永久えいきゅうに怒いかられるのですか、終おわりまで憤いきどおられるのですか』と。見みよ、あなたはこう言いったけれども、なしうるかぎりのもろもろの悪あくを行おこなった」。
3:6 ヨシヤ王おうの時とき、主しゅはまたわたしに言いわれた、「あなたは、かの背信はいしんのイスラエルがしたことを見みたか。彼女かのじょはすべての高たかい丘おかにのぼり、すべての青あお木きの下したに行いって、そこで姦淫かんいんを行おこなった。
3:7 わたしは、彼女かのじょがこのすべてを行おこなった後のち、わたしの所ところに帰かえるであろうと思おもったが、帰かえってこなかった。その不信ふしんの姉妹しまいユダはこれを見みた。
3:8 わたしが背信はいしんのイスラエルを、そのすべての姦淫かんいんのゆえに、離縁りえん状じょうを与あたえて出だしたのをユダは見みた。しかもその不信ふしんの姉妹しまいユダは恐おそれず、自分じぶんも行いって姦淫かんいんを行おこなった。
3:9 彼女かのじょにとって姦淫かんいんは軽かるいことであったので、石いしと木きとに姦淫かんいんを行いって、この地ちを汚けがした。
3:10 このすべての事ことがあっても、なおその不信ふしんの姉妹しまいユダは真心まごころをもってわたしに帰かえらない、ただ偽いつわっているだけだ」と主しゅは言いわれる。
3:11 主しゅはまたわたしに言いわれた、「背信はいしんのイスラエルは不信ふしんのユダよりも自分じぶんの罪つみの少すくないことを示しめした。
3:12 あなたは行いって北きたにむかい、この言葉ことばをのべて言いうがよい、 『主しゅは言いわれる、背信はいしんのイスラエルよ、帰かえれ。わたしは怒いかりの顔かおをあなたがたに向むけない、わたしはいつくしみ深ふかい者ものである。いつまでも怒いかることはしないと、主しゅは言いわれる。
3:13 ただあなたは自分じぶんの罪つみを認みとめ、あなたの神かみ、主しゅにそむいてすべての青あお木きの下したで異ことなる神々かみがみにあなたの愛あいを惜おしまず与あたえたこと、わたしの声こえに聞きき従したがわなかったことを言いいあらわせと、主しゅは言いわれる。
3:14 主しゅは言いわれる、背信はいしんの子こらよ、帰かえれ。わたしはあなたがたの夫おっとだからである。町まちからひとり、氏族しぞくからふたりを取とって、あなたがたをシオンへ連つれて行いこう。
3:15 わたしは自分じぶんの心こころにかなう牧者ぼくしゃたちをあなたがたに与あたえる。彼かれらは知識ちしきと悟さとりとをもってあなたがたを養やしなう。
3:16 主しゅは言いわれる、あなたがたが地ちに増まして多おおくなるとき、その日ひには、人々ひとびとはかさねて「主しゅの契約けいやくの箱はこ」と言いわず、これを思おもい出ださず、これを覚おぼえず、これを尋たずねず、これを作つくらない。
3:17 そのときエルサレムは主しゅのみ位くらいととなえられ、万国ばんこくの民たみはここに集あつまる。すなわち主しゅの名なのもとにエルサレムに集あつまり、かさねて、かたくなに自分じぶんの悪わるい心こころに従したがうことはしない。
3:18 その日ひには、ユダの家いえはイスラエルの家いえと一緒いっしょになり、北きたの地ちから出でて、わたしがあなたがたの先祖せんぞたちに嗣し業ぎょうとして与あたえた地ちに共ともに来くる。
3:19 どのようにして、あなたをわたしの子こどもたちのうちに置おき、万国ばんこくのうちで最もっとも美うつくしい嗣し業ぎょうである良よい地ちをあなたに与あたえようかと、わたしは思おもっていた。わたしはまた、あなたがわたしを「わが父ちち」と呼よび、わたしに従したがって離はなれることはないと思おもっていた。
3:20 イスラエルの家いえよ、背信はいしんの妻つまが夫おっとのもとを去さるように、たしかに、あなたがたはわたしにそむいた』と主しゅは言いわれる」。
3:21 裸はだかの山やまの上うえに声こえが聞きこえる、イスラエルの民たみが悲かなしみ祈いのるのである。彼かれらが曲まがった道みちに歩あゆみ、その神かみ、主しゅを忘わすれたからだ。
3:22 「背信はいしんの子こどもたちよ、帰かえれ。わたしはあなたがたの背信はいしんをいやす」。
「見みよ、われわれはあなたのもとに帰かえります。あなたはわれわれの神かみ、主しゅであらせられます。
3:23 まことに、もろもろの丘おかは迷まよいであり、山やまの上うえの騒さわぎも同おなじです。まことに、イスラエルの救すくいはわれわれの神かみ、主しゅにあるのです。
3:24 しかし、われわれの幼少ようしょうの時ときから、恥はずべきことが、われわれの先祖せんぞのほねおって得えたもの、すなわちその羊ひつじ、その牛うし、およびそのむすこ、娘むすめたちをことごとくのみ尽つくしました。
3:25 われわれは恥はじの中なかに伏ふし、はずかしめにおおわれています。それはわれわれと先祖せんぞとが、われわれの幼少ようしょうの時ときから今日こんにちまで、われわれの神かみ、主しゅに罪つみを犯おかし、われわれの神かみ、主しゅの声こえに従したがわなかったからです」。
第4章 4:1 主しゅは言いわれる、「イスラエルよ、もし、あなたが帰かえるならば、わたしのもとに帰かえらなければならない。もし、あなたが憎にくむべき者ものをわたしの前まえから取とり除のぞいて、ためらうことなく、4:2 また真実しんじつと正義せいぎと正直しょうじきとをもって、『主しゅは生いきておられる』と誓ちかうならば、万国ばんこくの民たみは彼かれによって祝福しゅくふくを受うけ、彼かれによって誇ほこる」。4:3 主しゅはユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ人々ひとびとにこう言いわれる、「あなたがたの新田しんでんを耕たがやせ、いばらの中なかに種たねをまくな。4:4 ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ人々ひとびとよ、あなたがたは自みずから割礼かつれいを行おこなって、主しゅに属ぞくするものとなり、自分じぶんの心こころの前まえの皮かわを取とり去され。さもないと、あなたがたの悪あしき行おこないのためにわたしの怒いかりが火ひのように発はっして燃もえ、これを消けす者ものはない」。 4:5 ユダに告つげ、エルサレムに示しめして言いえ、「国中くにぢゅうにラッパを吹ふき、大声おおごえに呼よばわって言いえ、『集あつまれ、われわれは堅固けんごな町々まちまちへ行いこう』と。4:6 シオンの方ほうを示しめす旗はたを立たてよ。避難ひなんせよ、とどまってはならない、わたしが北きたから災わざわいと大おおいなる破滅はめつをこさせるからだ。4:7 ししはその森もりから出でてのぼり、国々くにぐにを滅ほろぼす者ものは進すすんできた。彼かれはあなたの国くにを荒あらそうとして、すでにその所ところから出でてきた。あなたの町々まちまちは滅ほろぼされて、住すむ者ものもなくなる。4:8 このために、あなたがたは荒布あらぬのを身みにまとって、悲かなしみ嘆なげけ。主しゅの激はげしい怒いかりが、まだわれわれを離はなれないからだ」。4:9 主しゅは言いわれる、「その日ひ、王おうと君きみたちとはその心こころを失うしない、祭司さいしは驚おどろき、預言者よげんしゃは怪あやしむ」。4:10 そこでわたしは言いった、「ああ主しゅなる神かみよ、まことにあなたはこの民たみとエルサレムとをまったく欺あざむかれました。『あなたがたは安やすらかになる』と言いわれましたが、つるぎが命いのちにまでも及およびました」。 4:11 その時ときこの民たみとエルサレムとはこう告つげられる、「熱あつい風かぜが荒野あらのの裸はだかの山やまからわたしの民たみの娘むすめのほうに吹ふいてくる。これはあおぎ分わけるためではなく、清きよめるためでもない。4:12 これよりもなお激はげしい風かぜがわたしのために吹ふく。いまわたしは彼かれらにさばきを告つげる」。 4:13 見みよ、彼かれは雲くものように上のぼってくる。その戦車せんしゃはつむじ風かぜのよう、その馬うまはわしの飛とぶよりも速はやい。ああ、われわれはわざわいだ、われわれは滅ほろぼされる。4:14 エルサレムよ、あなたの心こころの悪あくを洗あらい清きよめよ、そうするならば救すくわれる。悪あしき思おもいはいつまであなたのうちにとどまるのか。4:15 ダンから告つげる声こえがある、エフライムの山やまから災わざわいを知しらせている。4:16 国々くにぐにの民たみに彼かれの来くることを告つげ、またエルサレムに知しらせよ。「攻せめかこむ者ものが遠とおくの国くにから来きて、ユダの町々まちまちにむかってその声こえをあげる。4:17 彼かれらは畑はたけを守まもる者もののようにこれを攻せめかこむ。それはわたしにそむいたからだと、主しゅは言いわれる。4:18 あなたの道みちとその行おこないとが、あなたの身みにこれを招まねいたのだ。これはあなたの悪あくの結果けっかで、まことに苦にがく、あなたの心こころをつらぬく」。 4:19 ああ、わがはらわたよ、わがはらわたよ、わたしは苦くるしみにもだえる。ああ、わが心臓しんぞうの壁かべよ、わたしの心臓しんぞうは、はげしく鼓動こどうする。わたしは沈黙ちんもくを守まもることができない、ラッパの声こえと、戦たたかいの叫さけびを聞きくからである。4:20 破壊はかいに次つぐに破壊はかいがあり、全ぜん地ちは荒あらされ、わたしの天幕てんまくはにわかに破やぶられ、わたしの幕まくはたちまち破やぶられた。4:21 いつまでわたしは旗はたを見み、またラッパの声こえを聞きかなければならないのか。4:22 「わたしの民たみは愚おろかであって、わたしを知しらない。彼かれらは愚鈍ぐどんな子こどもらで、悟さとることがない。彼かれらは悪あくを行おこなうのにさといけれども、善ぜんを行おこなうことを知しらない」。 4:23 わたしは地ちを見みたが、それは形かたちがなく、またむなしかった。天てんをあおいだが、そこには光ひかりがなかった。4:24 わたしは山やまを見みたが、みな震ふるえ、もろもろの丘おかは動うごいていた。4:25 わたしは見みたが、人ひとはひとりもおらず、空そらの鳥とりはみな飛とび去さっていた。4:26 わたしは見みたが、豊ゆたかな地ちは荒あれ地ちとなり、そのすべての町まちは、主しゅの前まえに、その激はげしい怒いかりの前まえに、破壊はかいされていた。4:27 それは主しゅがこう言いわれたからだ、「全ぜん地ちは荒あれ地ちとなる。しかしわたしはことごとくはこれを滅ほろぼさない。4:28 このために地ちは悲かなしみ、上うえなる天てんは暗くらくなる。わたしがすでにこれを言いい、これを定さだめたからだ。わたしは悔くいない、またそれをする事ことをやめない」。 4:29 どの町まちの人ひとも、騎兵きへいと射手いての叫さけびのために逃にげて森もりに入はいり、岩いわに上のぼる。町まちはみな捨すてられ、そこに住すむ人ひとはない。4:30 ああ、荒あらされた女おんなよ、あなたが紅べにの着物きものをき、金きんの飾かざりで身みをよそおい、目めを塗ぬって大おおきくするのは、なんのためか。あなたが美うつくしくしても、むだである。あなたの恋人こいびとらはあなたを卑いやしめ、あなたの命いのちを求もとめている。4:31 わたしは子こを産うむ女おんなのような声こえ、ういごを産うむ女おんなの苦くるしむような声こえを聞きいた。シオンの娘むすめのあえぐ叫さけびである。両手りょうてを伸のべて彼女かのじょは言いう、「わたしはわざわいだ、わたしを殺ころす者ものらの前まえにわたしは気きが遠とおくなる」と。 第5章 5:1 エルサレムのちまたを行いきめぐり、見みて、知しるがよい。その広場ひろばを尋たずねて、公平こうへいを行おこない、真実しんじつを求もとめる者ものが、ひとりでもあるか捜さがしてみよ。あれば、わたしはエルサレムをゆるす。5:2 彼かれらは、「主しゅは生いきておられる」と言いうけれども、実じつは、偽いつわって誓ちかうのだ。5:3 主しゅよ、あなたの目めは、真実しんじつを顧かえりみられるではありませんか。あなたが彼かれらを打うたれても、痛いたみを覚おぼえず、彼かれらを滅ほろぼされても、懲こらしめを受うけることを拒こばみ、その顔かおを岩いわよりも堅かたくして、悔くい改あらためることを拒こばみました。 5:4 それで、わたしは言いった、「これらはただ貧まずしい愚おろかな人々ひとびとで、主しゅの道みちと、神かみのおきてを知しりません。5:5 わたしは偉えらい人ひとたちの所ところへ行いって、彼かれらに語かたります。彼かれらは主しゅの道みちを知しり、神かみのおきてを知しっています」。ところが、彼かれらも皆みなおなじように、くびきを折おり、なわめを断たっていた。 5:6 それゆえ林はやしから、ししが出でてきて彼かれらを殺ころし、荒野あらのから、おおかみが出でてきて彼かれらを滅ほろぼす。ひょうは彼かれらの町々まちまちをねらっている。そこから出でる者ものはみな裂さかれる。彼かれらの罪つみが多おおく、その背信はいしんがはなはだしいからである。 5:7 「わたしはどうしてあなたを、ゆるすことができようか。あなたの子こどもらは、わたしを捨すてさり、神かみでもないものをさして誓ちかった。わたしが彼かれらを満みち足たらせた時とき、彼かれらは姦淫かんいんを行おこない、遊女ゆうじょの家いえに群むれ集あつまった。5:8 彼かれらは肥こえ太ふとった丈夫じょうぶな雄お馬うまのように、おのおの、いなないて隣となりの妻つまを慕したう。5:9 わたしはこれらの事ことのために彼かれらを罰ばっしないでいられようか。このような国民こくみんにあだを返かえさないであろうか」と主しゅは言いわれる。 5:10 「あなたがたはユダのぶどうの並なみ木きの間あいだを、のぼって行いって、滅ほろぼせ、ただ、ことごとく滅ほろぼしてはならない。その枝えだを切きり除のぞけ、主しゅのものではないからである。5:11 イスラエルの家いえとユダの家いえとはわたしにまったく不信ふしんであった」と主しゅは言いわれる。5:12 「彼かれらは主しゅについて偽いつわり語かたって言いった、『主しゅは何事なにごともなされない、災わざわいはわれわれに来こない、またつるぎや、ききんを見みることはない。5:13 預言者よげんしゃらは風かぜとなり、彼かれらのうちに言葉ことばはない。彼かれらはこのようになる』と」。 5:14 それゆえ万軍ばんぐんの神かみ、主しゅはこう言いわれる、「彼かれらがこの言葉ことばを語かたったので、見みよ、わたしはあなたの口くちにあるわたしの言葉ことばを火ひとし、この民たみをたきぎとする。火ひは彼かれらを焼やき尽つくす」。5:15 主しゅは言いわれる、「イスラエルの家いえよ、見みよ、わたしは遠とおい国くにの民たみをあなたがたのところに攻せめこさせる。その国くには長ながく続つづく国くに、古ふるい国くにで、あなたがたはその国くにの言葉ことばを知しらず、人々ひとびとの語かたるのを悟さとることもできない。5:16 その箙えびらは開ひらいた墓はかのようであり、彼かれらはみな勇士ゆうしである。5:17 彼かれらはあなたが刈かり入いれた物ものと、あなたの糧食りょうしょくとを食くい尽つくし、あなたのむすこ娘むすめを食くい尽つくし、あなたの羊ひつじと牛うしを食くい尽つくし、あなたのぶどうの木きといちじくの木きを食くい尽つくし、またつるぎをもって、あなたが頼たのみとする堅固けんごな町々まちまちを滅ほろぼす」。5:18 主しゅは言いわれる、「しかしその時ときでも、わたしはことごとくはあなたを滅ほろぼさない。5:19 あなたの民たみが、『どうしてわれわれの神かみ、主しゅはこれらのすべての事ことをわれわれになされたのか』と言いうならば、あなたは彼かれらに答こたえなければならない、『あなたがたがわたしを捨すてて、自分じぶんの地ちで異ことなる神々かみがみに仕つかえたように、あなたがたは自分じぶんのものでない地ちで異邦いほうの人ひとに仕つかえるようになる』と」。5:20 これをヤコブの家いえにのべ、またユダに示しめして言いえ、5:21 「愚おろかで、悟さとりもなく、目めがあっても見みえず、耳みみがあっても聞きこえない民たみよ、これを聞きけ。5:22 主しゅは言いわれる、あなたがたはわたしを恐おそれないのか、わたしの前まえにおののかないのか。わたしは砂すなを置おいて海うみの境さかいとし、これを永遠えいえんの限界げんかいとして、越こえることができないようにした。波なみはさかまいても、勝かつことはできない、鳴なりわたっても、これを越こえることはできない。5:23 ところが、この民たみには強情ごうじょうな、そむく心こころがあり、彼かれらはわき道みちにそれて、去さってしまった。5:24 彼かれらは『われわれに雨あめを与あたえ、秋あきの雨あめと春はるの雨あめを時ときにしたがって降ふらせ、われわれのために刈入かりいれの時ときを定さだめられたわれわれの神かみ、主しゅを恐おそれよう』とその心こころのうちに言いわないのだ。5:25 あなたがたのとがは、これらの事ことをしりぞけ、あなたがたの罪つみは、良よい物ものがあなたがたに来くるのをさまたげた。5:26 わが民たみのうちには悪わるい者ものがあって、鳥とりをとる人ひとのように身みをかがめてうかがい、わなを置おいて人ひとを捕とらえる。5:27 かごに鳥とりが満みちているように、彼かれらの家いえは不義ふぎの宝たからで満みちている。それゆえ、彼かれらは大おおいなる者もの、裕福ゆうふくな者ものとなり、5:28 肥こえて、つやがあり、その悪あしき行おこないには際限さいげんがない。彼かれらは公正こうせいに、みなしごの訴うったえをさばいて、それを助たすけようとはせず、また貧まずしい人ひとの訴うったえをさばかない。5:29 主しゅは言いわれる、わたしはこのような事ことのために、彼かれらを罰ばっしないであろうか。わたしはこのような民たみに、あだを返かえさないであろうか」。 5:30 驚おどろくべきこと、恐おそるべきことがこの地ちに起おこっている。5:31 預言者よげんしゃは偽いつわって預言よげんし、祭司さいしは自分じぶんの手てによって治おさめ、わが民たみはこのようにすることを愛あいしている。しかしあなたがたはその終おわりにはどうするつもりか。 第6章 6:1 ベニヤミンの人々ひとびとよ、エルサレムの中なかから避難ひなんせよ。テコアでラッパを吹ふき、ベテハケレムに合図あいずの火ひをあげよ。北きたから災わざわいが臨のぞみ、大おおいなる滅ほろびが来くるからである。6:2 わたしは美うつくしい、たおやかなシオンの娘むすめを滅ほろぼす。6:3 牧者ぼくしゃたちは、その群むれをひきいて来きて、彼女かのじょを攻せめ、彼女かのじょの周囲しゅういに天幕てんまくを張はる。群むれはおのおのその所ところで草くさを食くう。6:4 「戦たたかいを始はじめ、彼女かのじょを攻せめよ。立たて、われわれは真昼まひるに攻撃こうげきしよう」。「わざわいなるかな、日ひははや傾かたむき、夕日ゆうひの影かげは長ながくなった」。6:5 「立たて、われわれは夜よるの間あいだに攻撃こうげきしよう、そして彼女かのじょのもろもろの宮殿きゅうでんを破壊はかいしよう」。 6:6 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「あなたがたは彼女かのじょの木きを切きり倒たおし、エルサレムにむかって塁るいを築きずけ。これは罰ばつすべき町まちである、そのうちにはただ圧制あっせいだけがある。6:7 井戸いどに新あたらしい水みずがわくように彼女かのじょはその悪あくを常つねにあらたに流ながす。そのうちには暴虐ぼうぎゃくと破滅はめつとが聞きこえる。わたしの前まえに病やまいと傷きずとが絶たえない。6:8 エルサレムよ、戒いましめを受うけいれよ。さもないと、わたしはあなたから離はなれ、あなたを荒あれ地ちとし、住すむ人ひとのない地ちとする」。 6:9 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「ぶどうの残のこりを摘つみとるように、イスラエルの残のこりの民たみをのこらず摘つみ取とれ。ぶどうを摘つみとる人ひとのように、あなたの手てをふたたびその枝えだに伸のばせ」。6:10 わたしはだれに語かたり、だれを戒いましめて、聞きかせようか。見みよ、彼かれらの耳みみは閉とざされて、聞きくことができない。見みよ、彼かれらは主しゅの言葉ことばをあざけり、それを喜よろこばない。6:11 それゆえ、わたしの身みには主しゅの怒いかりが満みち、それを忍しのぶのに、うみつかれている。「それをちまたにいる子供こどもらと、集あつまっている若わかい人々ひとびととに漏もらせ。夫おっとも妻つまも、老おいた人ひとも、年としのひじょうに進すすんだ人ひとも捕とらえられ、6:12 彼かれらの家いえと畑はたけと妻つまとは共ともに他人たにんに渡わたる。わたしが手てを伸のばして、この地ちに住すむ者ものを撃うつからである」と主しゅは言いわれる。6:13 「それは彼かれらが、小ちいさい者ものから大おおきい者ものまで、みな不正ふせいな利りをむさぼり、また預言者よげんしゃから祭司さいしにいたるまで、みな偽いつわりを行おこなっているからだ。6:14 彼かれらは、手軽てがるにわたしの民たみの傷きずをいやし、平安へいあんがないのに『平安へいあん、平安へいあん』と言いっている。6:15 彼かれらは憎にくむべきことをして、恥はじたであろうか。すこしも恥はずかしいとは思おもわず、また恥はじることを知しらなかった。それゆえ彼かれらは倒たおれる者ものと共ともに倒たおれる。わたしが彼かれらを罰ばっするとき、彼かれらは倒たおれる」と主しゅは言いわれる。 6:16 主しゅはこう言いわれる、「あなたがたはわかれ道みちに立たって、よく見み、いにしえの道みちにつき、良よい道みちがどれかを尋たずねて、その道みちに歩あゆみ、そしてあなたがたの魂たましいのために、安息あんそくを得えよ。しかし彼かれらは答こたえて、『われわれはその道みちに歩あゆまない』と言いった。6:17 わたしはあなたがたの上うえに見張みはりびとを立たて、『ラッパの音おとに気きをつけよ』と言いった。しかし彼かれらは答こたえて、『われわれは気きをつけることはしない』と言いった。6:18 それゆえ国々くにぐにの民たみよ、聞きけ。会衆かいしゅうよ、彼かれらにどのようなことが起おこるかを知しれ。6:19 地ちよ、聞きけ。見みよ、わたしはこの民たみに災わざわいをくだす。それは彼かれらのたくらみの実みである。彼かれらがわたしの言葉ことばに気きをつけず、わたしのおきてを捨すてたからである。6:20 シバから、わたしの所ところに乳香にゅうこうが来き、遠とおい国くにから、菖蒲しょうぶが来くるのはなんのためか。あなたがたの燔祭はんさいはわたしには喜よろこばしくなく、あなたがたの犠牲ぎせいもうれしくはない。6:21 それゆえ主しゅはこう言いわれる、『見みよ、わたしはこの民たみの前まえにつまずく石いしを置おく、人々ひとびとは父ちちも子こも共ともにそれにつまずき、隣となり人びともその友ともも滅ほろびる』」。 6:22 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、民たみが北きたの国くにから来くる、大おおいなる国民こくみんが地ちの果はてから興おこる。6:23 彼かれらは弓ゆみとやりをとる。彼かれらは残忍ざんにんで、あわれみがなく、海うみのような響ひびきを立たてる。シオンの娘むすめよ、彼かれらは馬うまに乗のり、いくさ人ひとのように身みをよろって、あなたを攻せめる」。6:24 われわれはそのうわさを聞きいて、手ては弱よわり、子こを産うむ女おんなに臨のぞむような悩なやみと苦くるしみとに捕とらえられた。6:25 畑はたけに出でてはならない、また道みちを歩あるいてはならない。敵てきはつるぎを持もち、恐おそれが四方しほうにあるからだ。6:26 わが民たみの娘むすめよ、荒布あらぬのを身みにまとい、灰はいの中なかにまろび、ひとり子こを失うしなった時ときのように、悲かなしみ、いたく嘆なげけ。滅ほろぼす者ものが、にわかにわれわれを襲おそうからだ。 6:27 「わたしはあなたを民たみのうちに立たてて、ためす者もの、試こころみる者ものとした。あなたが彼かれらの道みちを知しり、それをためすことができるようにするためである。6:28 彼かれらはみな、強情ごうじょうな反逆者はんぎゃくしゃであって、歩あるきまわって人ひとをそしる。彼かれらは青銅せいどうや鉄てつであって、みな卑いやしいことを行おこなう。6:29 ふいごは激はげしく吹ふき、鉛なまりは火ひにとけて尽つき、精錬せいれんはいたずらに進すすむ。悪あしき者ものがまだ除のぞかれないからである。6:30 主しゅが彼かれらを捨すてられたので、彼かれらは捨すてられた銀ぎんと呼よばれる」。 第7章 7:1 主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことばはこうである。7:2 「主しゅの家いえの門もんに立たち、その所ところで、この言葉ことばをのべて言いえ、主しゅを拝おがむために、この門もんをはいるユダのすべての人ひとよ、主しゅの言葉ことばを聞きけ。7:3 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、あなたがたの道みちとあなたがたの行おこないを改あらためるならば、わたしはあなたがたをこの所ところに住すまわせる。7:4 あなたがたは、『これは主しゅの神殿しんでんだ、主しゅの神殿しんでんだ、主しゅの神殿しんでんだ』という偽いつわりの言葉ことばを頼たのみとしてはならない。 7:5 もしあなたがたが、まことに、その道みちと行おこないを改あらためて、互たがいに公正こうせいを行おこない、7:6 寄留きりゅうの他国たこく人じんと、みなしごと、やもめをしえたげることなく、罪つみのない人ひとの血ちをこの所ところに流ながすことなく、また、ほかの神々かみがみに従したがって自みずから害がいをまねくことをしないならば、7:7 わたしはあなたがたを、わたしが昔むかしあなたがたの先祖せんぞに与あたえたこの地ちに永遠えいえんに住すまわせる。 7:8 見みよ、あなたがたは偽いつわりの言葉ことばを頼たのみとしているが、それはむだである。7:9 あなたがたは盗ぬすみ、殺ころし、姦淫かんいんし、偽いつわって誓ちかい、バアルに香こうをたき、あなたがたが以前いぜんには知しらなかった他たの神々かみがみに従したがいながら、7:10 わたしの名なをもって、となえられるこの家いえに来きてわたしの前まえに立たち、『われわれは救すくわれた』と言いい、しかもすべてこれら憎にくむべきことを行おこなうのは、どうしたことか。7:11 わたしの名なをもって、となえられるこの家いえが、あなたがたの目めには盗賊とうぞくの巣すと見みえるのか。わたし自身じしん、そう見みたと主しゅは言いわれる。7:12 わたしが初はじめにわたしの名なを置おいた場所ばしょシロへ行いき、わが民たみイスラエルの悪あくのために、わたしがその場所ばしょに対たいして行おこなったことを見みよ。7:13 主しゅは言いわれる、今いまあなたがたはこれらのすべてのことを行おこなっている。またわたしはあなたがたに、しきりに語かたったけれども、あなたがたは聞きかず、あなたがたを呼よんだけれども答こたえなかった。7:14 それゆえわたしはシロに対たいして行おこなったように、わたしの名なをもって、となえられるこの家いえにも行おこなう。すなわちあなたがたが頼たのみとする所ところ、わたしがあなたがたと、あなたがたの先祖せんぞに与あたえたこの所ところに行おこなう。7:15 そしてわたしは、あなたがたのすべての兄弟きょうだい、すなわちエフライムのすべての子孫しそんを捨すてたように、わたしの前まえからあなたがたをも捨すてる。 7:16 あなたはこの民たみのために祈いのってはならない。彼かれらのために嘆なげき、祈いのってはならない。またわたしに、とりなしをしてはならない。わたしはあなたの求もとめを聞きかない。7:17 あなたは彼かれらがユダの町々まちまちと、エルサレムのちまたでしていることを見みないのか。7:18 子こどもらは、たきぎを集あつめ、父ちちたちは火ひをたき、女おんなは粉こなをこね、パンを つくってこれを天后てんこうに供そなえる。また彼かれらは他たの神々かみがみの前まえに酒さけを注そそいで、わたしを怒いからせる。7:19 主しゅは言いわれる、彼かれらが怒いからせるのはわたしなのか。自分じぶんたち自身じしんではないのか。そして自みずからうろたえている。7:20 それゆえ主しゅなる神かみはこう言いわれる、見みよ、わたしの怒いかりと憤いきどおりを、この所ところと、人ひとと獣けものと、畑はたけの木きと、地ちの産物さんぶつとに注そそぐ。怒いかりは燃もえて消きえることがない」。 7:21 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、「あなたがたの犠牲ぎせいに燔祭はんさいの物ものを合あわせて肉にくを食たべるがよい。7:22 それはあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ちから導みちびき出だした日ひに、わたしは燔祭はんさいと犠牲ぎせいとについて彼かれらに語かたったこともなく、また命めいじたこともないからである。7:23 ただわたしはこの戒いましめを彼かれらに与あたえて言いった、『わたしの声こえに聞ききしたがいなさい。そうすれば、わたしはあなたがたの神かみとなり、あなたがたはわたしの民たみとなる。わたしがあなたがたに命めいじるすべての道みちを歩あゆんで幸さいわいを得えなさい』と。7:24 しかし彼かれらは聞きき従したがわず、耳みみを傾かたむけず、自分じぶんの悪わるい心こころの計はかりごとと強情ごうじょうにしたがって歩あゆみ、悪わるくなるばかりで、よくはならなかった。7:25 あなたがたの先祖せんぞがエジプトの地ちを出でた日ひから今日こんにちまで、わたしはわたしのしもべである預言者よげんしゃたちを日々ひび彼かれらにつかわした。7:26 しかし彼かれらはわたしに聞きかず、耳みみを傾かたむけないで強情ごうじょうになり、先祖せんぞたちにもまさって悪あくを行おこなった。 7:27 たといあなたが彼かれらにこのすべての言葉ことばを語かたっても彼かれらは聞きかない。また彼かれらを呼よんでもあなたに答こたえない。7:28 それゆえ、あなたはこう彼かれらに言いわなければならない、『これはその神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがわず、その戒いましめを受うけいれなかった国民こくみんである。真実しんじつはうせ、彼かれらの口くちから絶たえた。 7:29 あなたの髪かみの毛けを切きって捨すてよ、裸はだかの山やまの上うえに嘆なげきの声こえをあげよ。主しゅが、お怒いかりになっている世よの人ひとを退しりぞけ捨すてられたからだ』。7:30 主しゅは言いわれる、ユダの民たみはわたしの前まえに悪あくを行おこない、わたしの名なをもってとなえられる家いえに、憎にくむべき者ものを置おいてそこを汚けがした。7:31 またベンヒンノムの谷たににあるトペテの高たかき所ところを築きずいて、むすこ娘むすめを火ひに焼やいた。わたしはそれを命めいじたことはなく、またそのようなことを考かんがえたこともなかった。7:32 主しゅは言いわれる、それゆえに見みよ、その所ところをトペテ、またはベンヒンノムの谷たにと呼よばないで、ほふりの谷たにと呼よぶ日ひが来くる。それはほかに場所ばしょがないので、トペテに葬ほうむるからである。7:33 この民たみの死体したいは空そらの鳥とりと地ちの獣けものの食物しょくもつとなり、これを追おい払はらう者ものもない。7:34 そのときわたしはユダの町々まちまちとエルサレムのちまたに、喜よろこびの声こえ、楽たのしみの声こえ、花婿はなむこの声こえ、花嫁はなよめの声こえを絶たやす。この地ちは荒あれ果はてるからである。 第8章 8:1 主しゅは言いわれる、その時ときユダの王おうたちの骨ほねと、そのつかさたちの骨ほねと、祭司さいしたちの骨ほねと、預言者よげんしゃたちの骨ほねと、エルサレムに住すむ人々ひとびとの骨ほねは墓はかより掘ほり出だされて、8:2 彼かれらの愛あいし、仕つかえ、従したがい、求もとめ、また拝おがんだ、日ひと月つきと天てんの衆しゅう群ぐんの前まえにさらされる。その骨ほねは集あつめる者ものも葬ほうむる者ものもなく、地ちのおもてに糞土ふんどのようになる。8:3 この悪あしき民たみのうちの残のこっている残のこりの者ものはみな、わたしが追おいやった場所ばしょで、生いきることよりも死しぬことを願ねがうようになると、万軍ばんぐんの主しゅは言いわれる。 8:4 あなたは彼かれらに言いわなければならない。主しゅはこう仰おおせられる、人ひとは倒たおれたならば、また起おきあがらないであろうか。離はなれていったならば、帰かえってこないであろうか。8:5 それにどうしてこの民たみは、常つねにそむいて離はなれていくのか。彼かれらは偽いつわりを固かたくとらえて、帰かえってくることを拒こばんでいる。8:6 わたしは気きをつけて聞きいたが、彼かれらは正ただしくは語かたらなかった。その悪あくを悔くいて、『わたしのした事ことは何なにか』という者ものはひとりもない。彼かれらはみな戦場せんじょうに、はせ入いる馬うまのように、自分じぶんのすきな道みちに向むかう。8:7 空そらのこうのとりでもその時ときを知しり、山やまばとと、つばめと、つるはその来くる時ときを守まもる。しかしわが民たみは主しゅのおきてを知しらない。 8:8 どうしてあなたがたは、『われわれには知恵ちえがある、主しゅのおきてがある』と言いうことができようか。見みよ、まことに書記しょきの偽いつわりの筆ふでがこれを偽いつわりにしたのだ。8:9 知恵ちえある者ものは、はずかしめられ、あわてふためき、捕とらえられる。見みよ、彼かれらは主しゅの言葉ことばを捨すてた、彼かれらになんの知恵ちえがあろうか。8:10 それゆえ、わたしは彼かれらの妻つまを他人たにんに与あたえ、その畑はたけを征服せいふく者しゃに与あたえる。それは彼かれらが小ちいさい者ものから大おおきい者ものにいたるまで、みな不正ふせいな利りをむさぼり、預言者よげんしゃから祭司さいしにいたるまで、みな偽いつわりを行いっているからである。8:11 彼かれらは手軽てがるに、わたしの民たみの傷きずをいやし、平安へいあんがないのに、『平安へいあん、平安へいあん』と言いっている。8:12 彼かれらは憎にくむべきことをして、恥はじたであろうか。すこしも恥はずかしいとは思おもわず、また恥はじることを知しらなかった。それゆえ彼かれらは倒たおれる者ものと共ともに倒たおれる。わたしが彼かれらを罰ばっするとき、彼かれらは倒たおれると、主しゅは言いわれる。8:13 主しゅは言いわれる、わたしが集あつめようと思おもうとき、ぶどうの木きにぶどうはなく、いちじくの木きに、いちじくはなく、葉はさえ、しぼんでいる。わたしが彼かれらに与あたえたものも、彼かれらを離はなれて、うせ去さった」。 8:14 どうしてわれわれはなす事こともなく座ざしているのか。集あつまって、堅固けんごな町まちにはいり、そこでわれわれは滅ほろびよう。われわれが主しゅに罪つみを犯おかしたので、われわれの神かみ、主しゅがわれわれを滅ほろぼそうとして、毒どくの水みずを飲のませられるのだ。8:15 われわれは平安へいあんを望のぞんだが、良よい事ことはこなかった。いやされる時ときを望のぞんだが、かえって恐怖きょうふが来きた。 8:16 「彼かれらの馬うまのいななきはダンから聞きこえてくる。彼かれらの強つよい馬うまの声こえによって全ぜん地ちは震ふるう。彼かれらは来きて、この地ちと、ここにあるすべてのもの、町まちと、そのうちに住すむ者ものとを食くい滅ほろぼす。8:17 見みよ、魔法まほうをもってならすことのできない、へびや、まむしをあなたがたのうちにつかわす。それはあなたがたをかむ」と主しゅは言いわれる。 8:18 わが嘆なげきはいやしがたく、わが心こころはうちに悩なやむ。8:19 聞きけ、地ちの全面ぜんめんから、わが民たみの娘むすめの声こえがあがるのを。「主しゅはシオンにおられないのか、シオンの王おうはそのうちにおられないのか」。「なぜ彼かれらはその彫像ちょうぞうと、異邦いほうの偶像ぐうぞうとをもって、わたしを怒いからせたのか」。8:20 「刈入かりいれの時ときは過すぎ、夏なつもはや終おわった、しかしわれわれはまだ救すくわれない」。8:21 わが民たみの娘むすめの傷きずによって、わが心こころは痛いたむ。わたしは嘆なげき、うろたえる。 8:22 ギレアデに乳香にゅうこうがあるではないか。その所ところに医者いしゃがいるではないか。それにどうしてわが民たみの娘むすめはいやされることがないのか。 第9章 9:1 ああ、わたしの頭あたまが水みずとなり、わたしの目めが涙なみだの泉いずみとなればよいのに。そうすれば、わたしは民たみの娘むすめの殺ころされた者もののために昼ひるも夜よるも嘆なげくことができる。9:2 ああ、わたしが荒野あらのに、隊商たいしょうの宿やどを得えることができればよいのに。そうすれば、わたしは民たみを離はなれて去さって行いくことができる。彼かれらはみな姦淫かんいんする者もの、不信ふしんのともがらだからである。9:3 彼かれらは弓ゆみをひくように、その舌したを曲まげる。真実しんじつではなく、偽いつわりがこの地ちに強つよくなった。彼かれらは悪あくより悪あくに進すすみ、またわたしを知しらないと、主しゅは言いわれる。 9:4 あなたがたはおのおの隣となり人びとに気きをつけよ。どの兄弟きょうだいをも信しんじてはならない。兄弟きょうだいはみな、押おしのける者ものであり、隣となり人びとはみな、ののしって歩あるく者ものだからである。9:5 人ひとはみな、その隣となり人びとを欺あざむき、真実しんじつを言いう者ものはない。彼かれらは自分じぶんの舌したに偽いつわりを言いうことを教おしえ、悪あくを行おこない、疲つかれて悔くい改あらためるいとまもなく、9:6 しえたげに、しえたげを積つみ重かさね、偽いつわりに偽いつわりを積つみ重かさね、わたしを知しることを拒こばんでいると、主しゅは言いわれる。 9:7 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらを溶とかし、試こころみる。このほか、わが民たみをどうすることができよう。9:8 彼かれらの舌したは殺ころす矢やのようだ、それは偽いつわりを言いう。その口くちではおのおの隣となり人びとにおだやかに語かたるが、その心こころでは彼かれを待まち伏ぶせる計はかりごとを立たてる。9:9 主しゅは言いわれる、これらのことのために、わたしが彼かれらを罰ばっしないだろうか。わたしがこのような民たみにあだを返かえさないだろうか。 9:10 山やまのために泣なき叫さけび、野のの牧場まきばのために悲かなしめ。これらは荒あれすたれて、通とおり過すぎる人ひともない。ここには牛うし、羊ひつじの鳴なく声こえも聞きこえず、空そらの鳥とりも獣けものも皆みな逃にげ去さった。9:11 わたしはエルサレムを荒塚あれづかとし、山犬やまいぬの巣すとする。またユダの町々まちまちを荒あらして、住すむ人ひともない所ところとする」。9:12 知恵ちえがあって、これを悟さとることのできる人ひとはだれか。主しゅの口くちの言葉ことばをうけて、それを示しめす人ひとはだれか。この地ちが滅ほろぼされて荒野あらののようになり、通とおり過すぎる人ひともなくなったのはどういうわけか。9:13 主しゅは言いわれる、「それは彼かれらの前まえにわたしが立たてたおきてを彼かれらが捨すてて、わたしの声こえに聞きき従したがわず、そのとおりに歩あるかなかったからである。9:14 彼かれらは強情ごうじょうに自分じぶんの心こころに従したがい、また先祖せんぞの教おしえたようにバアルに従したがった。9:15 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、見みよ、わたしはこの民たみに、にがよもぎを食たべさせ、毒どくの水みずを飲のませ、9:16 彼かれらも、その先祖せんぞたちも知しらなかった国くにびとのうちに彼かれらを散ちらし、また彼かれらを滅ほろぼし尽つくすまで、そのうしろに、つるぎをつかわす」。9:17 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「よく考かんがえて、泣なき女おんなを呼よべ。また人ひとをつかわして巧たくみな女おんなを招まねけ。9:18 彼かれらに急いそいでこさせ、われわれのために泣なき悲かなしませて、われわれの目めに涙なみだをこぼさせ、まぶたから水みずをあふれさせよ。9:19 シオンから悲かなしみの声こえが聞きこえる。それは言いう、『ああ、われわれは滅ほろぼされ、いたく、はずかしめられている。われわれはその地ちを去さり、彼かれらがわれわれのすみかをこわしたからだ』」。 9:20 女おんなたちよ、主しゅの言葉ことばを聞きけ。あなたがたの耳みみに、その口くちの言葉ことばをいれよ。あなたがたの娘むすめに悲かなしみの歌うたを教おしえ、おのおのその隣となり人びとに哀悼あいとうの歌うたを教おしえよ。9:21 死しがわれわれの窓まどに上のぼって来き、われわれの邸宅ていたくの中なかにはいり、ちまたにいる子こどもらを絶たやし、広場ひろばにいる若わかい人ひとたちを殺ころそうとしているからだ。9:22 あなたはこう言いいなさい、「主しゅは言いわれる、『人ひとの死体したいが糞土ふんどのように、野のに倒たおれているようになり、また刈入かりいれする人ひとのうしろに残のこって、だれも集あつめることをしない束たばのようになる』」。9:23 主しゅはこう言いわれる、「知恵ちえある人ひとはその知恵ちえを誇ほこってはならない。力ちからある人ひとはその力ちからを誇ほこってはならない。富とめる者ものはその富とみを誇ほこってはならない。9:24 誇ほこる者ものはこれを誇ほこりとせよ。すなわち、さとくあって、わたしを知しっていること、わたしが主しゅであって、地ちに、いつくしみと公平こうへいと正義せいぎを行いっている者ものであることを知しることがそれである。わたしはこれらの事ことを喜よろこぶと、主しゅは言いわれる」。 9:25 主しゅは言いわれる、「見みよ、このような日ひが来くる。その日ひには、割礼かつれいをうけても、心こころに割礼かつれいをうけていないすべての人ひとをわたしは罰ばっする。9:26 エジプト、ユダ、エドム、アンモンの人々ひとびと、モアブ、および野のにいて、髪かみの毛けのすみずみをそる人々ひとびとはそれである。これらの国くにびとはみな割礼かつれいをうけていない者ものであり、イスラエルの全家ぜんかもみな心こころに割礼かつれいをうけていない者ものである」。 第10章 10:1 イスラエルの家いえよ、主しゅのあなたがたに語かたられる言葉ことばを聞きけ。10:2 主しゅはこう言いわれる、 「異邦いほうの人ひとの道みちに習ならってはならない。また異邦いほうの人ひとが天てんに現あらわれるしるしを恐おそれても、あなたがたはそれを恐おそれてはならない。10:3 異邦いほうの民たみのならわしはむなしいからだ。彼かれらの崇拝すうはいするものは、林はやしから切きりだした木きで、木工もっこうの手てで、おのをもって つくったものだ。10:4 人々ひとびとは銀ぎんや金きんをもって、それを飾かざり、くぎと鎚つちをもって動うごかないようにそれをとめる。10:5 その偶像ぐうぞうは、きゅうり畑はたけのかかしのようで、ものを言いうことができない。歩あるくこともできないから、人ひとに運はこんでもらわなければならない。それを恐おそれるに及およばない。それは災わざわいをくだすことができず、また幸さいわいをくだす力ちからもないからだ」。 10:6 主しゅよ、あなたに並ならびうる者ものはありません。あなたは大おおいなる者ものであり、あなたの名なもその力ちからのために大おおいなるものであります。10:7 万国ばんこくの王おうであるあなたを、恐おそれない者ものがありましょうか。あなたを恐おそれるのは当然とうぜんのことであります。万国ばんこくのすべての知恵ちえある者もののうちにも、その国々くにぐにのうちにも、あなたに並ならびうる者ものはありません。10:8 彼かれらは皆みな、愚おろかで鈍にぶく、偶像ぐうぞうの教おしえは、ただ木きにすぎない。10:9 銀ぎんぱくはタルシシから渡来とらいし、金きんはウパズから携たずさえてくる。これらは工人こうじんと金きん細工人ざいくにんの工作こうさくである。彼かれらの着物きものはすみれ色いろと紫色むらさきいろである。これらはみな巧たくみな細工人さいくにんの作つくった物ものである。10:10 しかし主しゅはまことの神かみである。生いきた神かみであり、永遠えいえんの王おうである。その怒いかりによって地ちは震ふるいうごき、万国ばんこくはその憤いきどおりに当あたることができない。10:11 あなたがたは彼かれらに、こう言いわなければならない、「天地てんちを つくらなかった神々かみがみは地ちの上うえ、天てんの下したから滅ほろび去さる」と。 10:12 主しゅはその力ちからをもって地ちを造つくり、その知恵ちえをもって世界せかいを建たて、その悟さとりをもって天てんをのべられた。10:13 彼かれが声こえを出だされると、天てんに多おおくの水みずのざわめきがあり、また地ちの果はてから霧きりを立たちあがらせられる。彼かれは雨あめのために、いなびかりをおこし、その倉くらから風かぜを取とり出だされる。10:14 すべての人ひとは愚おろかで知恵ちえがなく、すべての金きん細工人ざいくにんはその造つくった偶像ぐうぞうのために恥はじをこうむる。その偶像ぐうぞうは偽いつわり物もので、そのうちに息いきがないからだ。10:15 これらは、むなしいもので、迷まよいのわざである。罰ばっせられる時ときに滅ほろびるものである。10:16 ヤコブの分ぶんである彼かれはこのようなものではない。彼かれは万物ばんぶつの造つくり主ぬしだからである。イスラエルは彼かれの嗣し業ぎょうとしての部族ぶぞくである。彼かれの名なを万軍ばんぐんの主しゅという。 10:17 囲かこみの中なかにおる者ものよ、あなたの包つつみを地ちから取とり上あげよ。10:18 主しゅがこう言いわれるからだ、「見みよ、わたしはこのたび、この地ちに住すむ者ものを投なげ捨すてる。かつ彼かれらをせめなやまして、思おもい知しらせる」。 10:19 わたしはいたでをうけた、ああ、わざわいなるかな、わたしの傷きずは重おもい。しかしわたしは言いった、「まことに、これは悩なやみである。わたしはこれを忍しのばなければならない」と。10:20 わたしの天幕てんまくは破やぶれ、綱つなはことごとく切きれ、子こどもたちはわたしを捨すてて行いって、いなくなった。もはやわたしの天幕てんまくを張はる者ものはなく、幕まくを掛かける者ものもない。10:21 牧者ぼくしゃは愚おろかであって、主しゅに問とうことをしないからである。それゆえ彼かれらは栄さかえることもなく、その群むれはみな散ちり去さっている。 10:22 聞きけよ、うわさのあるのを。見みよ、北きたの国くにから大おおいなる騒さわぎが来くる。これはユダの町々まちまちを荒あらして山犬やまいぬの巣すとする。 10:23 主しゅよ、わたしは知しっています、人ひとの道みちは自身じしんによるのではなく、歩あゆむ人ひとが、その歩あゆみを自分じぶんで決きめることのできないことを。10:24 主しゅよ、わたしを懲こらしてください。正ただしい道みちにしたがって、怒いからずに懲こらしてください。さもないと、わたしは無むに帰きしてしまうでしょう。 10:25 あなたを知しらない国民くにたみと、あなたの名なをとなえない人々ひとびとにあなたの怒いかりを注そそいでください。彼かれらはヤコブを食くい尽つくしこれを食くい尽つくして滅ほろぼし、そのすみかを荒あらしたからです。 第11章 11:1 主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことばは言いう、11:2 「この契約けいやくの言葉ことばを聞きき、ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者ものに告つげよ。11:3 彼かれらに言いえ、イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、この契約けいやくの言葉ことばに従したがわない人ひとは、のろわれる。11:4 この契約けいやくは、わたしがあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ち、鉄てつのかまどの中なかから導みちびき出だした時ときに、彼かれらに命めいじたところのものである。すなわち、その時ときわたしは彼かれらに言いった、わたしの声こえを聞きき、あなたがたに命めいじるすべてのことを行おこなうならば、あなたがたはわたしの民たみとなり、わたしはあなたがたの神かみとなる。11:5 そして、わたしがあなたがたの先祖せんぞに、乳ちちと蜜みつとの流ながれる地ちを与あたえると誓ちかったことを、なし遂とげると。すなわち今日こんにちのとおりである」。その時ときわたしは、「主しゅよ、仰おおせのとおりです」と答こたえた。 11:6 主しゅはわたしに言いわれた、「このすべての言葉ことばを、ユダの町々まちまちと、エルサレムのちまたに告つげ示しめし、この契約けいやくの言葉ことばを聞きき、これを行おこなえ、と言いいなさい。11:7 わたしは、あなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ちから導みちびき出だした時ときから今日こんにちにいたるまで、おごそかに彼かれらを戒いましめ、絶たえず戒いましめて、わたしの声こえに聞きき従したがうようにと言いった。11:8 しかし彼かれらは従したがわず、その耳みみを傾かたむけず、おのおの自分じぶんの悪わるい強情ごうじょうな心こころに従したがって歩あゆんだ。それゆえ、わたしはこの契約けいやくの言葉ことばをもって彼かれらを責せめた。これはわたしが彼かれらに行おこなえと命めいじたが、行おこなわなかったものである」。 11:9 主しゅはまたわたしに言いわれた、「ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者もののうちに反逆はんぎゃくの事ことがある。11:10 彼かれらは、わたしの言葉ことばを聞きくことを拒こばんだその先祖せんぞたちの罪つみに立たち返かえり、またほかの神々かみがみに従したがってそれに仕つかえた。イスラエルの家いえとユダの家いえとは、わたしがその先祖せんぞたちと結むすんだ契約けいやくを破やぶった。11:11 それゆえ主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしは災わざわいを彼かれらの上うえに下くだす。彼かれらはそれを免まぬかれることはできない。彼かれらがわたしを呼よんでも、わたしは聞きかない。11:12 ユダの町々まちまちとエルサレムに住すむ者ものは、行いって、自分じぶんたちがそれに香こうをたいている神々かみがみに呼よび求もとめるが、これらは、彼かれらの災わざわいの時ときにも決けっして彼かれらを救すくうことはできない。11:13 ユダよ、あなたの神々かみがみは、あなたの町まちの数かずほど多おおくなった。またあなたがたはエルサレムのちまたの数かずほどの祭壇さいだんを恥はずべき者もののために立たてた。すなわちバアルに香こうをたくための祭壇さいだんである。 11:14 それゆえ、この民たみのために祈いのってはならない。また彼かれらのために泣なき、あるいは祈いのり求もとめてはならない。彼かれらがその災わざわいの時ときに、わたしに呼よばわっても、わたしは彼かれらに聞きくことをしないからだ。11:15 わが愛あいする者ものは、わたしの家いえで何なにをするのか。すでにこれは悪事あくじを行おこなった。誓願せいがんと犠牲ぎせいの肉にくとがあなたに災わざわいを免まぬかれさせることができるであろうか。それであなたは喜よろこぶことができるであろうか。11:16 主しゅはあなたを、かつては『良よい実みのなる美うつくしい青々あおあおとしたオリブの木き』と呼よばれたが、激はげしい暴風ぼうふうのとどろきと共ともに、主しゅはそれに火ひをかけ、その枝えだを焼やき払はらわれるのである。11:17 あなたを植うえた万軍ばんぐんの主しゅは、あなたに向むかって災わざわいを言いい渡わたされた。これはイスラエルの家いえとユダの家いえとが悪あくを行おこない、バアルに香こうをたいて、わたしを怒いからせたからである」。11:18 主しゅが知しらせてくださったので、わたしはそれを知しった。その時とき、あなたは彼かれらの悪あしきわざをわたしに示しめされた。11:19 しかしわたしは、ほふられに行いく、おとなしい小羊こひつじのようで、彼かれらがわたしを害がいしようと、計はかりごとをめぐらしているのを知しらなかった。彼かれらは言いう、「さあ、木きとその実みを共ともに滅ほろぼそう。生いける者ものの地ちから彼かれを絶たって、その名なを人ひとに忘わすれさせよう」。11:20 正ただしいさばきをし、人ひとの心こころと思おもいを探さぐられる万軍ばんぐんの主しゅよ、わたしは自分じぶんの訴うったえをあなたにお任まかせしました。あなたが彼かれらにあだをかえされるのを見みさせてください。11:21 それゆえ主しゅはアナトテの人々ひとびとについてこう言いわれる、彼かれらはあなたの命いのちを取とろうと求もとめて言いう、「主しゅの名なによって預言よげんしてはならない。それをするならば、あなたはわれわれの手てにかかって死しぬであろう」。11:22 それで万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらを罰ばっする。若わかい人ひとはつるぎで死しに、彼かれらのむすこ娘むすめは、ききんで死しに、11:23 だれも残のこる者ものはない。わたしがアナトテの人々ひとびとに災わざわいを下くだし、彼かれらを罰ばっする年としをこさせるからである」。 第12章 12:1 主しゅよ、わたしがあなたと論ろんじ争あらそう時とき、あなたは常つねに正ただしい。しかしなお、わたしはあなたの前まえに、さばきのことを論ろんじてみたい。悪人あくにんの道みちがさかえ、不信実ふしんじつな者ものがみな繁栄はんえいするのはなにゆえですか。12:2 あなたが彼かれらを植うえられたので、彼かれらは根ねづき、育そだって、実みを結むすびます。彼かれらは口くちではあなたに近ちかづきますが、心こころはあなたから遠とおざかっています。12:3 主しゅよ、あなたはわたしを知しり、わたしを見み、わたしの心こころがあなたに対たいしていかにあるかを試こころみられます。ほふるために羊ひつじを引ひき出だすように、彼かれらを引ひき出だし、殺ころす日ひにそなえて、彼かれらを残のこしておいてください。12:4 いつまで、この地ちは嘆なげき、どの畑はたけの野菜やさいも枯かれていてよいでしょうか。この地ちに住すむ者ものの悪あくによって、獣けものと鳥とりは滅ほろびうせます。人々ひとびとは言いいました、「彼かれはわれわれの終おわりを見みることはない」と。 12:5 「もしあなたが、徒歩とほの人ひとと競争きょうそうして疲つかれるなら、どうして騎馬きばの人ひとと競きそうことができようか。もし安全あんぜんな地ちで、あなたが倒たおれるなら、ヨルダンの密林みつりんでは、どうするつもりか。12:6 あなたの兄弟きょうだいたち、あなたの父ちちの家いえのものさえ、あなたを欺あざむき、大声おおごえをあげて、あなたを追おっている。彼かれらが親したしげにあなたに語かたることがあっても、彼かれらを信しんじてはならない」。 12:7 「わたしはわが家いえを離はなれ、わが嗣し業ぎょうを捨すて、わが魂たましいの愛あいする者ものを敵てきの手てに渡わたした。12:8 わたしの嗣し業ぎょうは、わたしにとって林はやしの中なかのししのようになった。これはわたしに向むかってその声こえをあげる。それゆえわたしはこれを憎にくむ。12:9 わたしの嗣し業ぎょうは、わたしにとって、斑点はんてんのある猛禽もうきんのようではないか。他たの猛禽もうきんがこれを囲かこんでいるではないか。行いって、野のの獣けものをみな集あつめ、連つれてきてこれを食たべさせよ。12:10 多おおくの牧者ぼくしゃたちはわたしのぶどう畑はたけを滅ほろぼし、わたしの地ちを踏ふみ荒あらした。わたしの麗うるわしい地ちを荒あれた野のにした。12:11 彼かれらはこれを荒あれ地ちとしてしまった。その荒あれ地ちがわたしに向むかって嘆なげくのだ。全ぜん地ちは荒あれ地ちにされた。しかし、ひとりもこれを心こころに留とめる者ものはない。12:12 滅ほろぼす者ものどもが荒野あらののすべての、はげ山やまの上うえにきた。主しゅのつるぎが、地ちの、この果はてから、かの果はてまでを滅ほろぼすのだ。命いのちあるものは安やすらかであることができない。12:13 彼かれらは麦むぎをまいて、いばらを刈かり取とる。苦労くろうしてもなんの利益りえきもない。彼かれらはその収穫しゅうかくを恥はじるようになる。主しゅの激はげしい怒いかりによってである」。12:14 わたしがわが民たみイスラエルにつがせた嗣し業ぎょうに手てを触ふれるすべての悪わるい隣となり人びとについて、主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらをその地ちから抜ぬき出だし、ユダの家いえを彼かれらのうちから抜ぬき出だす。12:15 わたしは、彼かれらを抜ぬき出だしたのちに、また彼かれらをあわれんで、それぞれその嗣し業ぎょうに導みちびき返かえし、おのおのを、その地ちに帰かえらせる。12:16 もし彼かれらがわたしの民たみの道みちを学まなび、わたしの名なによって、『主しゅは生いきておられる』と言いって誓ちかうことが、かつて彼かれらがわたしの民たみに教おしえてバアルをさして誓ちかわせたようになるならば、彼かれらはわたしの民たみのうちに建たてられる。12:17 しかし耳みみをかさない民たみがあるときは、わたしはその民たみを抜ぬき出だして滅ほろぼすと、主しゅは言いわれる」。
4:1 主しゅは言いわれる、「イスラエルよ、もし、あなたが帰かえるならば、わたしのもとに帰かえらなければならない。もし、あなたが憎にくむべき者ものをわたしの前まえから取とり除のぞいて、ためらうことなく、
4:2 また真実しんじつと正義せいぎと正直しょうじきとをもって、『主しゅは生いきておられる』と誓ちかうならば、万国ばんこくの民たみは彼かれによって祝福しゅくふくを受うけ、彼かれによって誇ほこる」。
4:3 主しゅはユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ人々ひとびとにこう言いわれる、「あなたがたの新田しんでんを耕たがやせ、いばらの中なかに種たねをまくな。
4:4 ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ人々ひとびとよ、あなたがたは自みずから割礼かつれいを行おこなって、主しゅに属ぞくするものとなり、自分じぶんの心こころの前まえの皮かわを取とり去され。さもないと、あなたがたの悪あしき行おこないのためにわたしの怒いかりが火ひのように発はっして燃もえ、これを消けす者ものはない」。
4:5 ユダに告つげ、エルサレムに示しめして言いえ、「国中くにぢゅうにラッパを吹ふき、大声おおごえに呼よばわって言いえ、『集あつまれ、われわれは堅固けんごな町々まちまちへ行いこう』と。
4:6 シオンの方ほうを示しめす旗はたを立たてよ。避難ひなんせよ、とどまってはならない、わたしが北きたから災わざわいと大おおいなる破滅はめつをこさせるからだ。
4:7 ししはその森もりから出でてのぼり、国々くにぐにを滅ほろぼす者ものは進すすんできた。彼かれはあなたの国くにを荒あらそうとして、すでにその所ところから出でてきた。あなたの町々まちまちは滅ほろぼされて、住すむ者ものもなくなる。
4:8 このために、あなたがたは荒布あらぬのを身みにまとって、悲かなしみ嘆なげけ。主しゅの激はげしい怒いかりが、まだわれわれを離はなれないからだ」。
4:9 主しゅは言いわれる、「その日ひ、王おうと君きみたちとはその心こころを失うしない、祭司さいしは驚おどろき、預言者よげんしゃは怪あやしむ」。
4:10 そこでわたしは言いった、「ああ主しゅなる神かみよ、まことにあなたはこの民たみとエルサレムとをまったく欺あざむかれました。『あなたがたは安やすらかになる』と言いわれましたが、つるぎが命いのちにまでも及およびました」。
4:11 その時ときこの民たみとエルサレムとはこう告つげられる、「熱あつい風かぜが荒野あらのの裸はだかの山やまからわたしの民たみの娘むすめのほうに吹ふいてくる。これはあおぎ分わけるためではなく、清きよめるためでもない。
4:12 これよりもなお激はげしい風かぜがわたしのために吹ふく。いまわたしは彼かれらにさばきを告つげる」。
4:13 見みよ、彼かれは雲くものように上のぼってくる。その戦車せんしゃはつむじ風かぜのよう、その馬うまはわしの飛とぶよりも速はやい。ああ、われわれはわざわいだ、われわれは滅ほろぼされる。
4:14 エルサレムよ、あなたの心こころの悪あくを洗あらい清きよめよ、そうするならば救すくわれる。悪あしき思おもいはいつまであなたのうちにとどまるのか。
4:15 ダンから告つげる声こえがある、エフライムの山やまから災わざわいを知しらせている。
4:16 国々くにぐにの民たみに彼かれの来くることを告つげ、またエルサレムに知しらせよ。「攻せめかこむ者ものが遠とおくの国くにから来きて、ユダの町々まちまちにむかってその声こえをあげる。
4:17 彼かれらは畑はたけを守まもる者もののようにこれを攻せめかこむ。それはわたしにそむいたからだと、主しゅは言いわれる。
4:18 あなたの道みちとその行おこないとが、あなたの身みにこれを招まねいたのだ。これはあなたの悪あくの結果けっかで、まことに苦にがく、あなたの心こころをつらぬく」。
4:19 ああ、わがはらわたよ、わがはらわたよ、わたしは苦くるしみにもだえる。ああ、わが心臓しんぞうの壁かべよ、わたしの心臓しんぞうは、はげしく鼓動こどうする。わたしは沈黙ちんもくを守まもることができない、ラッパの声こえと、戦たたかいの叫さけびを聞きくからである。
4:20 破壊はかいに次つぐに破壊はかいがあり、全ぜん地ちは荒あらされ、わたしの天幕てんまくはにわかに破やぶられ、わたしの幕まくはたちまち破やぶられた。
4:21 いつまでわたしは旗はたを見み、またラッパの声こえを聞きかなければならないのか。
4:22 「わたしの民たみは愚おろかであって、わたしを知しらない。彼かれらは愚鈍ぐどんな子こどもらで、悟さとることがない。彼かれらは悪あくを行おこなうのにさといけれども、善ぜんを行おこなうことを知しらない」。
4:23 わたしは地ちを見みたが、それは形かたちがなく、またむなしかった。天てんをあおいだが、そこには光ひかりがなかった。
4:24 わたしは山やまを見みたが、みな震ふるえ、もろもろの丘おかは動うごいていた。
4:25 わたしは見みたが、人ひとはひとりもおらず、空そらの鳥とりはみな飛とび去さっていた。
4:26 わたしは見みたが、豊ゆたかな地ちは荒あれ地ちとなり、そのすべての町まちは、主しゅの前まえに、その激はげしい怒いかりの前まえに、破壊はかいされていた。
4:27 それは主しゅがこう言いわれたからだ、「全ぜん地ちは荒あれ地ちとなる。しかしわたしはことごとくはこれを滅ほろぼさない。
4:28 このために地ちは悲かなしみ、上うえなる天てんは暗くらくなる。わたしがすでにこれを言いい、これを定さだめたからだ。わたしは悔くいない、またそれをする事ことをやめない」。
4:29 どの町まちの人ひとも、騎兵きへいと射手いての叫さけびのために逃にげて森もりに入はいり、岩いわに上のぼる。町まちはみな捨すてられ、そこに住すむ人ひとはない。
4:30 ああ、荒あらされた女おんなよ、あなたが紅べにの着物きものをき、金きんの飾かざりで身みをよそおい、目めを塗ぬって大おおきくするのは、なんのためか。あなたが美うつくしくしても、むだである。あなたの恋人こいびとらはあなたを卑いやしめ、あなたの命いのちを求もとめている。
4:31 わたしは子こを産うむ女おんなのような声こえ、ういごを産うむ女おんなの苦くるしむような声こえを聞きいた。シオンの娘むすめのあえぐ叫さけびである。両手りょうてを伸のべて彼女かのじょは言いう、「わたしはわざわいだ、わたしを殺ころす者ものらの前まえにわたしは気きが遠とおくなる」と。
第5章 5:1 エルサレムのちまたを行いきめぐり、見みて、知しるがよい。その広場ひろばを尋たずねて、公平こうへいを行おこない、真実しんじつを求もとめる者ものが、ひとりでもあるか捜さがしてみよ。あれば、わたしはエルサレムをゆるす。5:2 彼かれらは、「主しゅは生いきておられる」と言いうけれども、実じつは、偽いつわって誓ちかうのだ。5:3 主しゅよ、あなたの目めは、真実しんじつを顧かえりみられるではありませんか。あなたが彼かれらを打うたれても、痛いたみを覚おぼえず、彼かれらを滅ほろぼされても、懲こらしめを受うけることを拒こばみ、その顔かおを岩いわよりも堅かたくして、悔くい改あらためることを拒こばみました。 5:4 それで、わたしは言いった、「これらはただ貧まずしい愚おろかな人々ひとびとで、主しゅの道みちと、神かみのおきてを知しりません。5:5 わたしは偉えらい人ひとたちの所ところへ行いって、彼かれらに語かたります。彼かれらは主しゅの道みちを知しり、神かみのおきてを知しっています」。ところが、彼かれらも皆みなおなじように、くびきを折おり、なわめを断たっていた。 5:6 それゆえ林はやしから、ししが出でてきて彼かれらを殺ころし、荒野あらのから、おおかみが出でてきて彼かれらを滅ほろぼす。ひょうは彼かれらの町々まちまちをねらっている。そこから出でる者ものはみな裂さかれる。彼かれらの罪つみが多おおく、その背信はいしんがはなはだしいからである。 5:7 「わたしはどうしてあなたを、ゆるすことができようか。あなたの子こどもらは、わたしを捨すてさり、神かみでもないものをさして誓ちかった。わたしが彼かれらを満みち足たらせた時とき、彼かれらは姦淫かんいんを行おこない、遊女ゆうじょの家いえに群むれ集あつまった。5:8 彼かれらは肥こえ太ふとった丈夫じょうぶな雄お馬うまのように、おのおの、いなないて隣となりの妻つまを慕したう。5:9 わたしはこれらの事ことのために彼かれらを罰ばっしないでいられようか。このような国民こくみんにあだを返かえさないであろうか」と主しゅは言いわれる。 5:10 「あなたがたはユダのぶどうの並なみ木きの間あいだを、のぼって行いって、滅ほろぼせ、ただ、ことごとく滅ほろぼしてはならない。その枝えだを切きり除のぞけ、主しゅのものではないからである。5:11 イスラエルの家いえとユダの家いえとはわたしにまったく不信ふしんであった」と主しゅは言いわれる。5:12 「彼かれらは主しゅについて偽いつわり語かたって言いった、『主しゅは何事なにごともなされない、災わざわいはわれわれに来こない、またつるぎや、ききんを見みることはない。5:13 預言者よげんしゃらは風かぜとなり、彼かれらのうちに言葉ことばはない。彼かれらはこのようになる』と」。 5:14 それゆえ万軍ばんぐんの神かみ、主しゅはこう言いわれる、「彼かれらがこの言葉ことばを語かたったので、見みよ、わたしはあなたの口くちにあるわたしの言葉ことばを火ひとし、この民たみをたきぎとする。火ひは彼かれらを焼やき尽つくす」。5:15 主しゅは言いわれる、「イスラエルの家いえよ、見みよ、わたしは遠とおい国くにの民たみをあなたがたのところに攻せめこさせる。その国くには長ながく続つづく国くに、古ふるい国くにで、あなたがたはその国くにの言葉ことばを知しらず、人々ひとびとの語かたるのを悟さとることもできない。5:16 その箙えびらは開ひらいた墓はかのようであり、彼かれらはみな勇士ゆうしである。5:17 彼かれらはあなたが刈かり入いれた物ものと、あなたの糧食りょうしょくとを食くい尽つくし、あなたのむすこ娘むすめを食くい尽つくし、あなたの羊ひつじと牛うしを食くい尽つくし、あなたのぶどうの木きといちじくの木きを食くい尽つくし、またつるぎをもって、あなたが頼たのみとする堅固けんごな町々まちまちを滅ほろぼす」。5:18 主しゅは言いわれる、「しかしその時ときでも、わたしはことごとくはあなたを滅ほろぼさない。5:19 あなたの民たみが、『どうしてわれわれの神かみ、主しゅはこれらのすべての事ことをわれわれになされたのか』と言いうならば、あなたは彼かれらに答こたえなければならない、『あなたがたがわたしを捨すてて、自分じぶんの地ちで異ことなる神々かみがみに仕つかえたように、あなたがたは自分じぶんのものでない地ちで異邦いほうの人ひとに仕つかえるようになる』と」。5:20 これをヤコブの家いえにのべ、またユダに示しめして言いえ、5:21 「愚おろかで、悟さとりもなく、目めがあっても見みえず、耳みみがあっても聞きこえない民たみよ、これを聞きけ。5:22 主しゅは言いわれる、あなたがたはわたしを恐おそれないのか、わたしの前まえにおののかないのか。わたしは砂すなを置おいて海うみの境さかいとし、これを永遠えいえんの限界げんかいとして、越こえることができないようにした。波なみはさかまいても、勝かつことはできない、鳴なりわたっても、これを越こえることはできない。5:23 ところが、この民たみには強情ごうじょうな、そむく心こころがあり、彼かれらはわき道みちにそれて、去さってしまった。5:24 彼かれらは『われわれに雨あめを与あたえ、秋あきの雨あめと春はるの雨あめを時ときにしたがって降ふらせ、われわれのために刈入かりいれの時ときを定さだめられたわれわれの神かみ、主しゅを恐おそれよう』とその心こころのうちに言いわないのだ。5:25 あなたがたのとがは、これらの事ことをしりぞけ、あなたがたの罪つみは、良よい物ものがあなたがたに来くるのをさまたげた。5:26 わが民たみのうちには悪わるい者ものがあって、鳥とりをとる人ひとのように身みをかがめてうかがい、わなを置おいて人ひとを捕とらえる。5:27 かごに鳥とりが満みちているように、彼かれらの家いえは不義ふぎの宝たからで満みちている。それゆえ、彼かれらは大おおいなる者もの、裕福ゆうふくな者ものとなり、5:28 肥こえて、つやがあり、その悪あしき行おこないには際限さいげんがない。彼かれらは公正こうせいに、みなしごの訴うったえをさばいて、それを助たすけようとはせず、また貧まずしい人ひとの訴うったえをさばかない。5:29 主しゅは言いわれる、わたしはこのような事ことのために、彼かれらを罰ばっしないであろうか。わたしはこのような民たみに、あだを返かえさないであろうか」。 5:30 驚おどろくべきこと、恐おそるべきことがこの地ちに起おこっている。5:31 預言者よげんしゃは偽いつわって預言よげんし、祭司さいしは自分じぶんの手てによって治おさめ、わが民たみはこのようにすることを愛あいしている。しかしあなたがたはその終おわりにはどうするつもりか。 第6章 6:1 ベニヤミンの人々ひとびとよ、エルサレムの中なかから避難ひなんせよ。テコアでラッパを吹ふき、ベテハケレムに合図あいずの火ひをあげよ。北きたから災わざわいが臨のぞみ、大おおいなる滅ほろびが来くるからである。6:2 わたしは美うつくしい、たおやかなシオンの娘むすめを滅ほろぼす。6:3 牧者ぼくしゃたちは、その群むれをひきいて来きて、彼女かのじょを攻せめ、彼女かのじょの周囲しゅういに天幕てんまくを張はる。群むれはおのおのその所ところで草くさを食くう。6:4 「戦たたかいを始はじめ、彼女かのじょを攻せめよ。立たて、われわれは真昼まひるに攻撃こうげきしよう」。「わざわいなるかな、日ひははや傾かたむき、夕日ゆうひの影かげは長ながくなった」。6:5 「立たて、われわれは夜よるの間あいだに攻撃こうげきしよう、そして彼女かのじょのもろもろの宮殿きゅうでんを破壊はかいしよう」。 6:6 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「あなたがたは彼女かのじょの木きを切きり倒たおし、エルサレムにむかって塁るいを築きずけ。これは罰ばつすべき町まちである、そのうちにはただ圧制あっせいだけがある。6:7 井戸いどに新あたらしい水みずがわくように彼女かのじょはその悪あくを常つねにあらたに流ながす。そのうちには暴虐ぼうぎゃくと破滅はめつとが聞きこえる。わたしの前まえに病やまいと傷きずとが絶たえない。6:8 エルサレムよ、戒いましめを受うけいれよ。さもないと、わたしはあなたから離はなれ、あなたを荒あれ地ちとし、住すむ人ひとのない地ちとする」。 6:9 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「ぶどうの残のこりを摘つみとるように、イスラエルの残のこりの民たみをのこらず摘つみ取とれ。ぶどうを摘つみとる人ひとのように、あなたの手てをふたたびその枝えだに伸のばせ」。6:10 わたしはだれに語かたり、だれを戒いましめて、聞きかせようか。見みよ、彼かれらの耳みみは閉とざされて、聞きくことができない。見みよ、彼かれらは主しゅの言葉ことばをあざけり、それを喜よろこばない。6:11 それゆえ、わたしの身みには主しゅの怒いかりが満みち、それを忍しのぶのに、うみつかれている。「それをちまたにいる子供こどもらと、集あつまっている若わかい人々ひとびととに漏もらせ。夫おっとも妻つまも、老おいた人ひとも、年としのひじょうに進すすんだ人ひとも捕とらえられ、6:12 彼かれらの家いえと畑はたけと妻つまとは共ともに他人たにんに渡わたる。わたしが手てを伸のばして、この地ちに住すむ者ものを撃うつからである」と主しゅは言いわれる。6:13 「それは彼かれらが、小ちいさい者ものから大おおきい者ものまで、みな不正ふせいな利りをむさぼり、また預言者よげんしゃから祭司さいしにいたるまで、みな偽いつわりを行おこなっているからだ。6:14 彼かれらは、手軽てがるにわたしの民たみの傷きずをいやし、平安へいあんがないのに『平安へいあん、平安へいあん』と言いっている。6:15 彼かれらは憎にくむべきことをして、恥はじたであろうか。すこしも恥はずかしいとは思おもわず、また恥はじることを知しらなかった。それゆえ彼かれらは倒たおれる者ものと共ともに倒たおれる。わたしが彼かれらを罰ばっするとき、彼かれらは倒たおれる」と主しゅは言いわれる。 6:16 主しゅはこう言いわれる、「あなたがたはわかれ道みちに立たって、よく見み、いにしえの道みちにつき、良よい道みちがどれかを尋たずねて、その道みちに歩あゆみ、そしてあなたがたの魂たましいのために、安息あんそくを得えよ。しかし彼かれらは答こたえて、『われわれはその道みちに歩あゆまない』と言いった。6:17 わたしはあなたがたの上うえに見張みはりびとを立たて、『ラッパの音おとに気きをつけよ』と言いった。しかし彼かれらは答こたえて、『われわれは気きをつけることはしない』と言いった。6:18 それゆえ国々くにぐにの民たみよ、聞きけ。会衆かいしゅうよ、彼かれらにどのようなことが起おこるかを知しれ。6:19 地ちよ、聞きけ。見みよ、わたしはこの民たみに災わざわいをくだす。それは彼かれらのたくらみの実みである。彼かれらがわたしの言葉ことばに気きをつけず、わたしのおきてを捨すてたからである。6:20 シバから、わたしの所ところに乳香にゅうこうが来き、遠とおい国くにから、菖蒲しょうぶが来くるのはなんのためか。あなたがたの燔祭はんさいはわたしには喜よろこばしくなく、あなたがたの犠牲ぎせいもうれしくはない。6:21 それゆえ主しゅはこう言いわれる、『見みよ、わたしはこの民たみの前まえにつまずく石いしを置おく、人々ひとびとは父ちちも子こも共ともにそれにつまずき、隣となり人びともその友ともも滅ほろびる』」。 6:22 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、民たみが北きたの国くにから来くる、大おおいなる国民こくみんが地ちの果はてから興おこる。6:23 彼かれらは弓ゆみとやりをとる。彼かれらは残忍ざんにんで、あわれみがなく、海うみのような響ひびきを立たてる。シオンの娘むすめよ、彼かれらは馬うまに乗のり、いくさ人ひとのように身みをよろって、あなたを攻せめる」。6:24 われわれはそのうわさを聞きいて、手ては弱よわり、子こを産うむ女おんなに臨のぞむような悩なやみと苦くるしみとに捕とらえられた。6:25 畑はたけに出でてはならない、また道みちを歩あるいてはならない。敵てきはつるぎを持もち、恐おそれが四方しほうにあるからだ。6:26 わが民たみの娘むすめよ、荒布あらぬのを身みにまとい、灰はいの中なかにまろび、ひとり子こを失うしなった時ときのように、悲かなしみ、いたく嘆なげけ。滅ほろぼす者ものが、にわかにわれわれを襲おそうからだ。 6:27 「わたしはあなたを民たみのうちに立たてて、ためす者もの、試こころみる者ものとした。あなたが彼かれらの道みちを知しり、それをためすことができるようにするためである。6:28 彼かれらはみな、強情ごうじょうな反逆者はんぎゃくしゃであって、歩あるきまわって人ひとをそしる。彼かれらは青銅せいどうや鉄てつであって、みな卑いやしいことを行おこなう。6:29 ふいごは激はげしく吹ふき、鉛なまりは火ひにとけて尽つき、精錬せいれんはいたずらに進すすむ。悪あしき者ものがまだ除のぞかれないからである。6:30 主しゅが彼かれらを捨すてられたので、彼かれらは捨すてられた銀ぎんと呼よばれる」。 第7章 7:1 主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことばはこうである。7:2 「主しゅの家いえの門もんに立たち、その所ところで、この言葉ことばをのべて言いえ、主しゅを拝おがむために、この門もんをはいるユダのすべての人ひとよ、主しゅの言葉ことばを聞きけ。7:3 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、あなたがたの道みちとあなたがたの行おこないを改あらためるならば、わたしはあなたがたをこの所ところに住すまわせる。7:4 あなたがたは、『これは主しゅの神殿しんでんだ、主しゅの神殿しんでんだ、主しゅの神殿しんでんだ』という偽いつわりの言葉ことばを頼たのみとしてはならない。 7:5 もしあなたがたが、まことに、その道みちと行おこないを改あらためて、互たがいに公正こうせいを行おこない、7:6 寄留きりゅうの他国たこく人じんと、みなしごと、やもめをしえたげることなく、罪つみのない人ひとの血ちをこの所ところに流ながすことなく、また、ほかの神々かみがみに従したがって自みずから害がいをまねくことをしないならば、7:7 わたしはあなたがたを、わたしが昔むかしあなたがたの先祖せんぞに与あたえたこの地ちに永遠えいえんに住すまわせる。 7:8 見みよ、あなたがたは偽いつわりの言葉ことばを頼たのみとしているが、それはむだである。7:9 あなたがたは盗ぬすみ、殺ころし、姦淫かんいんし、偽いつわって誓ちかい、バアルに香こうをたき、あなたがたが以前いぜんには知しらなかった他たの神々かみがみに従したがいながら、7:10 わたしの名なをもって、となえられるこの家いえに来きてわたしの前まえに立たち、『われわれは救すくわれた』と言いい、しかもすべてこれら憎にくむべきことを行おこなうのは、どうしたことか。7:11 わたしの名なをもって、となえられるこの家いえが、あなたがたの目めには盗賊とうぞくの巣すと見みえるのか。わたし自身じしん、そう見みたと主しゅは言いわれる。7:12 わたしが初はじめにわたしの名なを置おいた場所ばしょシロへ行いき、わが民たみイスラエルの悪あくのために、わたしがその場所ばしょに対たいして行おこなったことを見みよ。7:13 主しゅは言いわれる、今いまあなたがたはこれらのすべてのことを行おこなっている。またわたしはあなたがたに、しきりに語かたったけれども、あなたがたは聞きかず、あなたがたを呼よんだけれども答こたえなかった。7:14 それゆえわたしはシロに対たいして行おこなったように、わたしの名なをもって、となえられるこの家いえにも行おこなう。すなわちあなたがたが頼たのみとする所ところ、わたしがあなたがたと、あなたがたの先祖せんぞに与あたえたこの所ところに行おこなう。7:15 そしてわたしは、あなたがたのすべての兄弟きょうだい、すなわちエフライムのすべての子孫しそんを捨すてたように、わたしの前まえからあなたがたをも捨すてる。 7:16 あなたはこの民たみのために祈いのってはならない。彼かれらのために嘆なげき、祈いのってはならない。またわたしに、とりなしをしてはならない。わたしはあなたの求もとめを聞きかない。7:17 あなたは彼かれらがユダの町々まちまちと、エルサレムのちまたでしていることを見みないのか。7:18 子こどもらは、たきぎを集あつめ、父ちちたちは火ひをたき、女おんなは粉こなをこね、パンを つくってこれを天后てんこうに供そなえる。また彼かれらは他たの神々かみがみの前まえに酒さけを注そそいで、わたしを怒いからせる。7:19 主しゅは言いわれる、彼かれらが怒いからせるのはわたしなのか。自分じぶんたち自身じしんではないのか。そして自みずからうろたえている。7:20 それゆえ主しゅなる神かみはこう言いわれる、見みよ、わたしの怒いかりと憤いきどおりを、この所ところと、人ひとと獣けものと、畑はたけの木きと、地ちの産物さんぶつとに注そそぐ。怒いかりは燃もえて消きえることがない」。 7:21 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、「あなたがたの犠牲ぎせいに燔祭はんさいの物ものを合あわせて肉にくを食たべるがよい。7:22 それはあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ちから導みちびき出だした日ひに、わたしは燔祭はんさいと犠牲ぎせいとについて彼かれらに語かたったこともなく、また命めいじたこともないからである。7:23 ただわたしはこの戒いましめを彼かれらに与あたえて言いった、『わたしの声こえに聞ききしたがいなさい。そうすれば、わたしはあなたがたの神かみとなり、あなたがたはわたしの民たみとなる。わたしがあなたがたに命めいじるすべての道みちを歩あゆんで幸さいわいを得えなさい』と。7:24 しかし彼かれらは聞きき従したがわず、耳みみを傾かたむけず、自分じぶんの悪わるい心こころの計はかりごとと強情ごうじょうにしたがって歩あゆみ、悪わるくなるばかりで、よくはならなかった。7:25 あなたがたの先祖せんぞがエジプトの地ちを出でた日ひから今日こんにちまで、わたしはわたしのしもべである預言者よげんしゃたちを日々ひび彼かれらにつかわした。7:26 しかし彼かれらはわたしに聞きかず、耳みみを傾かたむけないで強情ごうじょうになり、先祖せんぞたちにもまさって悪あくを行おこなった。 7:27 たといあなたが彼かれらにこのすべての言葉ことばを語かたっても彼かれらは聞きかない。また彼かれらを呼よんでもあなたに答こたえない。7:28 それゆえ、あなたはこう彼かれらに言いわなければならない、『これはその神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがわず、その戒いましめを受うけいれなかった国民こくみんである。真実しんじつはうせ、彼かれらの口くちから絶たえた。 7:29 あなたの髪かみの毛けを切きって捨すてよ、裸はだかの山やまの上うえに嘆なげきの声こえをあげよ。主しゅが、お怒いかりになっている世よの人ひとを退しりぞけ捨すてられたからだ』。7:30 主しゅは言いわれる、ユダの民たみはわたしの前まえに悪あくを行おこない、わたしの名なをもってとなえられる家いえに、憎にくむべき者ものを置おいてそこを汚けがした。7:31 またベンヒンノムの谷たににあるトペテの高たかき所ところを築きずいて、むすこ娘むすめを火ひに焼やいた。わたしはそれを命めいじたことはなく、またそのようなことを考かんがえたこともなかった。7:32 主しゅは言いわれる、それゆえに見みよ、その所ところをトペテ、またはベンヒンノムの谷たにと呼よばないで、ほふりの谷たにと呼よぶ日ひが来くる。それはほかに場所ばしょがないので、トペテに葬ほうむるからである。7:33 この民たみの死体したいは空そらの鳥とりと地ちの獣けものの食物しょくもつとなり、これを追おい払はらう者ものもない。7:34 そのときわたしはユダの町々まちまちとエルサレムのちまたに、喜よろこびの声こえ、楽たのしみの声こえ、花婿はなむこの声こえ、花嫁はなよめの声こえを絶たやす。この地ちは荒あれ果はてるからである。 第8章 8:1 主しゅは言いわれる、その時ときユダの王おうたちの骨ほねと、そのつかさたちの骨ほねと、祭司さいしたちの骨ほねと、預言者よげんしゃたちの骨ほねと、エルサレムに住すむ人々ひとびとの骨ほねは墓はかより掘ほり出だされて、8:2 彼かれらの愛あいし、仕つかえ、従したがい、求もとめ、また拝おがんだ、日ひと月つきと天てんの衆しゅう群ぐんの前まえにさらされる。その骨ほねは集あつめる者ものも葬ほうむる者ものもなく、地ちのおもてに糞土ふんどのようになる。8:3 この悪あしき民たみのうちの残のこっている残のこりの者ものはみな、わたしが追おいやった場所ばしょで、生いきることよりも死しぬことを願ねがうようになると、万軍ばんぐんの主しゅは言いわれる。 8:4 あなたは彼かれらに言いわなければならない。主しゅはこう仰おおせられる、人ひとは倒たおれたならば、また起おきあがらないであろうか。離はなれていったならば、帰かえってこないであろうか。8:5 それにどうしてこの民たみは、常つねにそむいて離はなれていくのか。彼かれらは偽いつわりを固かたくとらえて、帰かえってくることを拒こばんでいる。8:6 わたしは気きをつけて聞きいたが、彼かれらは正ただしくは語かたらなかった。その悪あくを悔くいて、『わたしのした事ことは何なにか』という者ものはひとりもない。彼かれらはみな戦場せんじょうに、はせ入いる馬うまのように、自分じぶんのすきな道みちに向むかう。8:7 空そらのこうのとりでもその時ときを知しり、山やまばとと、つばめと、つるはその来くる時ときを守まもる。しかしわが民たみは主しゅのおきてを知しらない。 8:8 どうしてあなたがたは、『われわれには知恵ちえがある、主しゅのおきてがある』と言いうことができようか。見みよ、まことに書記しょきの偽いつわりの筆ふでがこれを偽いつわりにしたのだ。8:9 知恵ちえある者ものは、はずかしめられ、あわてふためき、捕とらえられる。見みよ、彼かれらは主しゅの言葉ことばを捨すてた、彼かれらになんの知恵ちえがあろうか。8:10 それゆえ、わたしは彼かれらの妻つまを他人たにんに与あたえ、その畑はたけを征服せいふく者しゃに与あたえる。それは彼かれらが小ちいさい者ものから大おおきい者ものにいたるまで、みな不正ふせいな利りをむさぼり、預言者よげんしゃから祭司さいしにいたるまで、みな偽いつわりを行いっているからである。8:11 彼かれらは手軽てがるに、わたしの民たみの傷きずをいやし、平安へいあんがないのに、『平安へいあん、平安へいあん』と言いっている。8:12 彼かれらは憎にくむべきことをして、恥はじたであろうか。すこしも恥はずかしいとは思おもわず、また恥はじることを知しらなかった。それゆえ彼かれらは倒たおれる者ものと共ともに倒たおれる。わたしが彼かれらを罰ばっするとき、彼かれらは倒たおれると、主しゅは言いわれる。8:13 主しゅは言いわれる、わたしが集あつめようと思おもうとき、ぶどうの木きにぶどうはなく、いちじくの木きに、いちじくはなく、葉はさえ、しぼんでいる。わたしが彼かれらに与あたえたものも、彼かれらを離はなれて、うせ去さった」。 8:14 どうしてわれわれはなす事こともなく座ざしているのか。集あつまって、堅固けんごな町まちにはいり、そこでわれわれは滅ほろびよう。われわれが主しゅに罪つみを犯おかしたので、われわれの神かみ、主しゅがわれわれを滅ほろぼそうとして、毒どくの水みずを飲のませられるのだ。8:15 われわれは平安へいあんを望のぞんだが、良よい事ことはこなかった。いやされる時ときを望のぞんだが、かえって恐怖きょうふが来きた。 8:16 「彼かれらの馬うまのいななきはダンから聞きこえてくる。彼かれらの強つよい馬うまの声こえによって全ぜん地ちは震ふるう。彼かれらは来きて、この地ちと、ここにあるすべてのもの、町まちと、そのうちに住すむ者ものとを食くい滅ほろぼす。8:17 見みよ、魔法まほうをもってならすことのできない、へびや、まむしをあなたがたのうちにつかわす。それはあなたがたをかむ」と主しゅは言いわれる。 8:18 わが嘆なげきはいやしがたく、わが心こころはうちに悩なやむ。8:19 聞きけ、地ちの全面ぜんめんから、わが民たみの娘むすめの声こえがあがるのを。「主しゅはシオンにおられないのか、シオンの王おうはそのうちにおられないのか」。「なぜ彼かれらはその彫像ちょうぞうと、異邦いほうの偶像ぐうぞうとをもって、わたしを怒いからせたのか」。8:20 「刈入かりいれの時ときは過すぎ、夏なつもはや終おわった、しかしわれわれはまだ救すくわれない」。8:21 わが民たみの娘むすめの傷きずによって、わが心こころは痛いたむ。わたしは嘆なげき、うろたえる。 8:22 ギレアデに乳香にゅうこうがあるではないか。その所ところに医者いしゃがいるではないか。それにどうしてわが民たみの娘むすめはいやされることがないのか。 第9章 9:1 ああ、わたしの頭あたまが水みずとなり、わたしの目めが涙なみだの泉いずみとなればよいのに。そうすれば、わたしは民たみの娘むすめの殺ころされた者もののために昼ひるも夜よるも嘆なげくことができる。9:2 ああ、わたしが荒野あらのに、隊商たいしょうの宿やどを得えることができればよいのに。そうすれば、わたしは民たみを離はなれて去さって行いくことができる。彼かれらはみな姦淫かんいんする者もの、不信ふしんのともがらだからである。9:3 彼かれらは弓ゆみをひくように、その舌したを曲まげる。真実しんじつではなく、偽いつわりがこの地ちに強つよくなった。彼かれらは悪あくより悪あくに進すすみ、またわたしを知しらないと、主しゅは言いわれる。 9:4 あなたがたはおのおの隣となり人びとに気きをつけよ。どの兄弟きょうだいをも信しんじてはならない。兄弟きょうだいはみな、押おしのける者ものであり、隣となり人びとはみな、ののしって歩あるく者ものだからである。9:5 人ひとはみな、その隣となり人びとを欺あざむき、真実しんじつを言いう者ものはない。彼かれらは自分じぶんの舌したに偽いつわりを言いうことを教おしえ、悪あくを行おこない、疲つかれて悔くい改あらためるいとまもなく、9:6 しえたげに、しえたげを積つみ重かさね、偽いつわりに偽いつわりを積つみ重かさね、わたしを知しることを拒こばんでいると、主しゅは言いわれる。 9:7 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらを溶とかし、試こころみる。このほか、わが民たみをどうすることができよう。9:8 彼かれらの舌したは殺ころす矢やのようだ、それは偽いつわりを言いう。その口くちではおのおの隣となり人びとにおだやかに語かたるが、その心こころでは彼かれを待まち伏ぶせる計はかりごとを立たてる。9:9 主しゅは言いわれる、これらのことのために、わたしが彼かれらを罰ばっしないだろうか。わたしがこのような民たみにあだを返かえさないだろうか。 9:10 山やまのために泣なき叫さけび、野のの牧場まきばのために悲かなしめ。これらは荒あれすたれて、通とおり過すぎる人ひともない。ここには牛うし、羊ひつじの鳴なく声こえも聞きこえず、空そらの鳥とりも獣けものも皆みな逃にげ去さった。9:11 わたしはエルサレムを荒塚あれづかとし、山犬やまいぬの巣すとする。またユダの町々まちまちを荒あらして、住すむ人ひともない所ところとする」。9:12 知恵ちえがあって、これを悟さとることのできる人ひとはだれか。主しゅの口くちの言葉ことばをうけて、それを示しめす人ひとはだれか。この地ちが滅ほろぼされて荒野あらののようになり、通とおり過すぎる人ひともなくなったのはどういうわけか。9:13 主しゅは言いわれる、「それは彼かれらの前まえにわたしが立たてたおきてを彼かれらが捨すてて、わたしの声こえに聞きき従したがわず、そのとおりに歩あるかなかったからである。9:14 彼かれらは強情ごうじょうに自分じぶんの心こころに従したがい、また先祖せんぞの教おしえたようにバアルに従したがった。9:15 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、見みよ、わたしはこの民たみに、にがよもぎを食たべさせ、毒どくの水みずを飲のませ、9:16 彼かれらも、その先祖せんぞたちも知しらなかった国くにびとのうちに彼かれらを散ちらし、また彼かれらを滅ほろぼし尽つくすまで、そのうしろに、つるぎをつかわす」。9:17 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「よく考かんがえて、泣なき女おんなを呼よべ。また人ひとをつかわして巧たくみな女おんなを招まねけ。9:18 彼かれらに急いそいでこさせ、われわれのために泣なき悲かなしませて、われわれの目めに涙なみだをこぼさせ、まぶたから水みずをあふれさせよ。9:19 シオンから悲かなしみの声こえが聞きこえる。それは言いう、『ああ、われわれは滅ほろぼされ、いたく、はずかしめられている。われわれはその地ちを去さり、彼かれらがわれわれのすみかをこわしたからだ』」。 9:20 女おんなたちよ、主しゅの言葉ことばを聞きけ。あなたがたの耳みみに、その口くちの言葉ことばをいれよ。あなたがたの娘むすめに悲かなしみの歌うたを教おしえ、おのおのその隣となり人びとに哀悼あいとうの歌うたを教おしえよ。9:21 死しがわれわれの窓まどに上のぼって来き、われわれの邸宅ていたくの中なかにはいり、ちまたにいる子こどもらを絶たやし、広場ひろばにいる若わかい人ひとたちを殺ころそうとしているからだ。9:22 あなたはこう言いいなさい、「主しゅは言いわれる、『人ひとの死体したいが糞土ふんどのように、野のに倒たおれているようになり、また刈入かりいれする人ひとのうしろに残のこって、だれも集あつめることをしない束たばのようになる』」。9:23 主しゅはこう言いわれる、「知恵ちえある人ひとはその知恵ちえを誇ほこってはならない。力ちからある人ひとはその力ちからを誇ほこってはならない。富とめる者ものはその富とみを誇ほこってはならない。9:24 誇ほこる者ものはこれを誇ほこりとせよ。すなわち、さとくあって、わたしを知しっていること、わたしが主しゅであって、地ちに、いつくしみと公平こうへいと正義せいぎを行いっている者ものであることを知しることがそれである。わたしはこれらの事ことを喜よろこぶと、主しゅは言いわれる」。 9:25 主しゅは言いわれる、「見みよ、このような日ひが来くる。その日ひには、割礼かつれいをうけても、心こころに割礼かつれいをうけていないすべての人ひとをわたしは罰ばっする。9:26 エジプト、ユダ、エドム、アンモンの人々ひとびと、モアブ、および野のにいて、髪かみの毛けのすみずみをそる人々ひとびとはそれである。これらの国くにびとはみな割礼かつれいをうけていない者ものであり、イスラエルの全家ぜんかもみな心こころに割礼かつれいをうけていない者ものである」。 第10章 10:1 イスラエルの家いえよ、主しゅのあなたがたに語かたられる言葉ことばを聞きけ。10:2 主しゅはこう言いわれる、 「異邦いほうの人ひとの道みちに習ならってはならない。また異邦いほうの人ひとが天てんに現あらわれるしるしを恐おそれても、あなたがたはそれを恐おそれてはならない。10:3 異邦いほうの民たみのならわしはむなしいからだ。彼かれらの崇拝すうはいするものは、林はやしから切きりだした木きで、木工もっこうの手てで、おのをもって つくったものだ。10:4 人々ひとびとは銀ぎんや金きんをもって、それを飾かざり、くぎと鎚つちをもって動うごかないようにそれをとめる。10:5 その偶像ぐうぞうは、きゅうり畑はたけのかかしのようで、ものを言いうことができない。歩あるくこともできないから、人ひとに運はこんでもらわなければならない。それを恐おそれるに及およばない。それは災わざわいをくだすことができず、また幸さいわいをくだす力ちからもないからだ」。 10:6 主しゅよ、あなたに並ならびうる者ものはありません。あなたは大おおいなる者ものであり、あなたの名なもその力ちからのために大おおいなるものであります。10:7 万国ばんこくの王おうであるあなたを、恐おそれない者ものがありましょうか。あなたを恐おそれるのは当然とうぜんのことであります。万国ばんこくのすべての知恵ちえある者もののうちにも、その国々くにぐにのうちにも、あなたに並ならびうる者ものはありません。10:8 彼かれらは皆みな、愚おろかで鈍にぶく、偶像ぐうぞうの教おしえは、ただ木きにすぎない。10:9 銀ぎんぱくはタルシシから渡来とらいし、金きんはウパズから携たずさえてくる。これらは工人こうじんと金きん細工人ざいくにんの工作こうさくである。彼かれらの着物きものはすみれ色いろと紫色むらさきいろである。これらはみな巧たくみな細工人さいくにんの作つくった物ものである。10:10 しかし主しゅはまことの神かみである。生いきた神かみであり、永遠えいえんの王おうである。その怒いかりによって地ちは震ふるいうごき、万国ばんこくはその憤いきどおりに当あたることができない。10:11 あなたがたは彼かれらに、こう言いわなければならない、「天地てんちを つくらなかった神々かみがみは地ちの上うえ、天てんの下したから滅ほろび去さる」と。 10:12 主しゅはその力ちからをもって地ちを造つくり、その知恵ちえをもって世界せかいを建たて、その悟さとりをもって天てんをのべられた。10:13 彼かれが声こえを出だされると、天てんに多おおくの水みずのざわめきがあり、また地ちの果はてから霧きりを立たちあがらせられる。彼かれは雨あめのために、いなびかりをおこし、その倉くらから風かぜを取とり出だされる。10:14 すべての人ひとは愚おろかで知恵ちえがなく、すべての金きん細工人ざいくにんはその造つくった偶像ぐうぞうのために恥はじをこうむる。その偶像ぐうぞうは偽いつわり物もので、そのうちに息いきがないからだ。10:15 これらは、むなしいもので、迷まよいのわざである。罰ばっせられる時ときに滅ほろびるものである。10:16 ヤコブの分ぶんである彼かれはこのようなものではない。彼かれは万物ばんぶつの造つくり主ぬしだからである。イスラエルは彼かれの嗣し業ぎょうとしての部族ぶぞくである。彼かれの名なを万軍ばんぐんの主しゅという。 10:17 囲かこみの中なかにおる者ものよ、あなたの包つつみを地ちから取とり上あげよ。10:18 主しゅがこう言いわれるからだ、「見みよ、わたしはこのたび、この地ちに住すむ者ものを投なげ捨すてる。かつ彼かれらをせめなやまして、思おもい知しらせる」。 10:19 わたしはいたでをうけた、ああ、わざわいなるかな、わたしの傷きずは重おもい。しかしわたしは言いった、「まことに、これは悩なやみである。わたしはこれを忍しのばなければならない」と。10:20 わたしの天幕てんまくは破やぶれ、綱つなはことごとく切きれ、子こどもたちはわたしを捨すてて行いって、いなくなった。もはやわたしの天幕てんまくを張はる者ものはなく、幕まくを掛かける者ものもない。10:21 牧者ぼくしゃは愚おろかであって、主しゅに問とうことをしないからである。それゆえ彼かれらは栄さかえることもなく、その群むれはみな散ちり去さっている。 10:22 聞きけよ、うわさのあるのを。見みよ、北きたの国くにから大おおいなる騒さわぎが来くる。これはユダの町々まちまちを荒あらして山犬やまいぬの巣すとする。 10:23 主しゅよ、わたしは知しっています、人ひとの道みちは自身じしんによるのではなく、歩あゆむ人ひとが、その歩あゆみを自分じぶんで決きめることのできないことを。10:24 主しゅよ、わたしを懲こらしてください。正ただしい道みちにしたがって、怒いからずに懲こらしてください。さもないと、わたしは無むに帰きしてしまうでしょう。 10:25 あなたを知しらない国民くにたみと、あなたの名なをとなえない人々ひとびとにあなたの怒いかりを注そそいでください。彼かれらはヤコブを食くい尽つくしこれを食くい尽つくして滅ほろぼし、そのすみかを荒あらしたからです。 第11章 11:1 主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことばは言いう、11:2 「この契約けいやくの言葉ことばを聞きき、ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者ものに告つげよ。11:3 彼かれらに言いえ、イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、この契約けいやくの言葉ことばに従したがわない人ひとは、のろわれる。11:4 この契約けいやくは、わたしがあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ち、鉄てつのかまどの中なかから導みちびき出だした時ときに、彼かれらに命めいじたところのものである。すなわち、その時ときわたしは彼かれらに言いった、わたしの声こえを聞きき、あなたがたに命めいじるすべてのことを行おこなうならば、あなたがたはわたしの民たみとなり、わたしはあなたがたの神かみとなる。11:5 そして、わたしがあなたがたの先祖せんぞに、乳ちちと蜜みつとの流ながれる地ちを与あたえると誓ちかったことを、なし遂とげると。すなわち今日こんにちのとおりである」。その時ときわたしは、「主しゅよ、仰おおせのとおりです」と答こたえた。 11:6 主しゅはわたしに言いわれた、「このすべての言葉ことばを、ユダの町々まちまちと、エルサレムのちまたに告つげ示しめし、この契約けいやくの言葉ことばを聞きき、これを行おこなえ、と言いいなさい。11:7 わたしは、あなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ちから導みちびき出だした時ときから今日こんにちにいたるまで、おごそかに彼かれらを戒いましめ、絶たえず戒いましめて、わたしの声こえに聞きき従したがうようにと言いった。11:8 しかし彼かれらは従したがわず、その耳みみを傾かたむけず、おのおの自分じぶんの悪わるい強情ごうじょうな心こころに従したがって歩あゆんだ。それゆえ、わたしはこの契約けいやくの言葉ことばをもって彼かれらを責せめた。これはわたしが彼かれらに行おこなえと命めいじたが、行おこなわなかったものである」。 11:9 主しゅはまたわたしに言いわれた、「ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者もののうちに反逆はんぎゃくの事ことがある。11:10 彼かれらは、わたしの言葉ことばを聞きくことを拒こばんだその先祖せんぞたちの罪つみに立たち返かえり、またほかの神々かみがみに従したがってそれに仕つかえた。イスラエルの家いえとユダの家いえとは、わたしがその先祖せんぞたちと結むすんだ契約けいやくを破やぶった。11:11 それゆえ主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしは災わざわいを彼かれらの上うえに下くだす。彼かれらはそれを免まぬかれることはできない。彼かれらがわたしを呼よんでも、わたしは聞きかない。11:12 ユダの町々まちまちとエルサレムに住すむ者ものは、行いって、自分じぶんたちがそれに香こうをたいている神々かみがみに呼よび求もとめるが、これらは、彼かれらの災わざわいの時ときにも決けっして彼かれらを救すくうことはできない。11:13 ユダよ、あなたの神々かみがみは、あなたの町まちの数かずほど多おおくなった。またあなたがたはエルサレムのちまたの数かずほどの祭壇さいだんを恥はずべき者もののために立たてた。すなわちバアルに香こうをたくための祭壇さいだんである。 11:14 それゆえ、この民たみのために祈いのってはならない。また彼かれらのために泣なき、あるいは祈いのり求もとめてはならない。彼かれらがその災わざわいの時ときに、わたしに呼よばわっても、わたしは彼かれらに聞きくことをしないからだ。11:15 わが愛あいする者ものは、わたしの家いえで何なにをするのか。すでにこれは悪事あくじを行おこなった。誓願せいがんと犠牲ぎせいの肉にくとがあなたに災わざわいを免まぬかれさせることができるであろうか。それであなたは喜よろこぶことができるであろうか。11:16 主しゅはあなたを、かつては『良よい実みのなる美うつくしい青々あおあおとしたオリブの木き』と呼よばれたが、激はげしい暴風ぼうふうのとどろきと共ともに、主しゅはそれに火ひをかけ、その枝えだを焼やき払はらわれるのである。11:17 あなたを植うえた万軍ばんぐんの主しゅは、あなたに向むかって災わざわいを言いい渡わたされた。これはイスラエルの家いえとユダの家いえとが悪あくを行おこない、バアルに香こうをたいて、わたしを怒いからせたからである」。11:18 主しゅが知しらせてくださったので、わたしはそれを知しった。その時とき、あなたは彼かれらの悪あしきわざをわたしに示しめされた。11:19 しかしわたしは、ほふられに行いく、おとなしい小羊こひつじのようで、彼かれらがわたしを害がいしようと、計はかりごとをめぐらしているのを知しらなかった。彼かれらは言いう、「さあ、木きとその実みを共ともに滅ほろぼそう。生いける者ものの地ちから彼かれを絶たって、その名なを人ひとに忘わすれさせよう」。11:20 正ただしいさばきをし、人ひとの心こころと思おもいを探さぐられる万軍ばんぐんの主しゅよ、わたしは自分じぶんの訴うったえをあなたにお任まかせしました。あなたが彼かれらにあだをかえされるのを見みさせてください。11:21 それゆえ主しゅはアナトテの人々ひとびとについてこう言いわれる、彼かれらはあなたの命いのちを取とろうと求もとめて言いう、「主しゅの名なによって預言よげんしてはならない。それをするならば、あなたはわれわれの手てにかかって死しぬであろう」。11:22 それで万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらを罰ばっする。若わかい人ひとはつるぎで死しに、彼かれらのむすこ娘むすめは、ききんで死しに、11:23 だれも残のこる者ものはない。わたしがアナトテの人々ひとびとに災わざわいを下くだし、彼かれらを罰ばっする年としをこさせるからである」。 第12章 12:1 主しゅよ、わたしがあなたと論ろんじ争あらそう時とき、あなたは常つねに正ただしい。しかしなお、わたしはあなたの前まえに、さばきのことを論ろんじてみたい。悪人あくにんの道みちがさかえ、不信実ふしんじつな者ものがみな繁栄はんえいするのはなにゆえですか。12:2 あなたが彼かれらを植うえられたので、彼かれらは根ねづき、育そだって、実みを結むすびます。彼かれらは口くちではあなたに近ちかづきますが、心こころはあなたから遠とおざかっています。12:3 主しゅよ、あなたはわたしを知しり、わたしを見み、わたしの心こころがあなたに対たいしていかにあるかを試こころみられます。ほふるために羊ひつじを引ひき出だすように、彼かれらを引ひき出だし、殺ころす日ひにそなえて、彼かれらを残のこしておいてください。12:4 いつまで、この地ちは嘆なげき、どの畑はたけの野菜やさいも枯かれていてよいでしょうか。この地ちに住すむ者ものの悪あくによって、獣けものと鳥とりは滅ほろびうせます。人々ひとびとは言いいました、「彼かれはわれわれの終おわりを見みることはない」と。 12:5 「もしあなたが、徒歩とほの人ひとと競争きょうそうして疲つかれるなら、どうして騎馬きばの人ひとと競きそうことができようか。もし安全あんぜんな地ちで、あなたが倒たおれるなら、ヨルダンの密林みつりんでは、どうするつもりか。12:6 あなたの兄弟きょうだいたち、あなたの父ちちの家いえのものさえ、あなたを欺あざむき、大声おおごえをあげて、あなたを追おっている。彼かれらが親したしげにあなたに語かたることがあっても、彼かれらを信しんじてはならない」。 12:7 「わたしはわが家いえを離はなれ、わが嗣し業ぎょうを捨すて、わが魂たましいの愛あいする者ものを敵てきの手てに渡わたした。12:8 わたしの嗣し業ぎょうは、わたしにとって林はやしの中なかのししのようになった。これはわたしに向むかってその声こえをあげる。それゆえわたしはこれを憎にくむ。12:9 わたしの嗣し業ぎょうは、わたしにとって、斑点はんてんのある猛禽もうきんのようではないか。他たの猛禽もうきんがこれを囲かこんでいるではないか。行いって、野のの獣けものをみな集あつめ、連つれてきてこれを食たべさせよ。12:10 多おおくの牧者ぼくしゃたちはわたしのぶどう畑はたけを滅ほろぼし、わたしの地ちを踏ふみ荒あらした。わたしの麗うるわしい地ちを荒あれた野のにした。12:11 彼かれらはこれを荒あれ地ちとしてしまった。その荒あれ地ちがわたしに向むかって嘆なげくのだ。全ぜん地ちは荒あれ地ちにされた。しかし、ひとりもこれを心こころに留とめる者ものはない。12:12 滅ほろぼす者ものどもが荒野あらののすべての、はげ山やまの上うえにきた。主しゅのつるぎが、地ちの、この果はてから、かの果はてまでを滅ほろぼすのだ。命いのちあるものは安やすらかであることができない。12:13 彼かれらは麦むぎをまいて、いばらを刈かり取とる。苦労くろうしてもなんの利益りえきもない。彼かれらはその収穫しゅうかくを恥はじるようになる。主しゅの激はげしい怒いかりによってである」。12:14 わたしがわが民たみイスラエルにつがせた嗣し業ぎょうに手てを触ふれるすべての悪わるい隣となり人びとについて、主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらをその地ちから抜ぬき出だし、ユダの家いえを彼かれらのうちから抜ぬき出だす。12:15 わたしは、彼かれらを抜ぬき出だしたのちに、また彼かれらをあわれんで、それぞれその嗣し業ぎょうに導みちびき返かえし、おのおのを、その地ちに帰かえらせる。12:16 もし彼かれらがわたしの民たみの道みちを学まなび、わたしの名なによって、『主しゅは生いきておられる』と言いって誓ちかうことが、かつて彼かれらがわたしの民たみに教おしえてバアルをさして誓ちかわせたようになるならば、彼かれらはわたしの民たみのうちに建たてられる。12:17 しかし耳みみをかさない民たみがあるときは、わたしはその民たみを抜ぬき出だして滅ほろぼすと、主しゅは言いわれる」。
5:1 エルサレムのちまたを行いきめぐり、見みて、知しるがよい。その広場ひろばを尋たずねて、公平こうへいを行おこない、真実しんじつを求もとめる者ものが、ひとりでもあるか捜さがしてみよ。あれば、わたしはエルサレムをゆるす。
5:2 彼かれらは、「主しゅは生いきておられる」と言いうけれども、実じつは、偽いつわって誓ちかうのだ。
5:3 主しゅよ、あなたの目めは、真実しんじつを顧かえりみられるではありませんか。あなたが彼かれらを打うたれても、痛いたみを覚おぼえず、彼かれらを滅ほろぼされても、懲こらしめを受うけることを拒こばみ、その顔かおを岩いわよりも堅かたくして、悔くい改あらためることを拒こばみました。
5:4 それで、わたしは言いった、「これらはただ貧まずしい愚おろかな人々ひとびとで、主しゅの道みちと、神かみのおきてを知しりません。
5:5 わたしは偉えらい人ひとたちの所ところへ行いって、彼かれらに語かたります。彼かれらは主しゅの道みちを知しり、神かみのおきてを知しっています」。ところが、彼かれらも皆みなおなじように、くびきを折おり、なわめを断たっていた。
5:6 それゆえ林はやしから、ししが出でてきて彼かれらを殺ころし、荒野あらのから、おおかみが出でてきて彼かれらを滅ほろぼす。ひょうは彼かれらの町々まちまちをねらっている。そこから出でる者ものはみな裂さかれる。彼かれらの罪つみが多おおく、その背信はいしんがはなはだしいからである。
5:7 「わたしはどうしてあなたを、ゆるすことができようか。あなたの子こどもらは、わたしを捨すてさり、神かみでもないものをさして誓ちかった。わたしが彼かれらを満みち足たらせた時とき、彼かれらは姦淫かんいんを行おこない、遊女ゆうじょの家いえに群むれ集あつまった。
5:8 彼かれらは肥こえ太ふとった丈夫じょうぶな雄お馬うまのように、おのおの、いなないて隣となりの妻つまを慕したう。
5:9 わたしはこれらの事ことのために彼かれらを罰ばっしないでいられようか。このような国民こくみんにあだを返かえさないであろうか」と主しゅは言いわれる。
5:10 「あなたがたはユダのぶどうの並なみ木きの間あいだを、のぼって行いって、滅ほろぼせ、ただ、ことごとく滅ほろぼしてはならない。その枝えだを切きり除のぞけ、主しゅのものではないからである。
5:11 イスラエルの家いえとユダの家いえとはわたしにまったく不信ふしんであった」と主しゅは言いわれる。
5:12 「彼かれらは主しゅについて偽いつわり語かたって言いった、『主しゅは何事なにごともなされない、災わざわいはわれわれに来こない、またつるぎや、ききんを見みることはない。
5:13 預言者よげんしゃらは風かぜとなり、彼かれらのうちに言葉ことばはない。彼かれらはこのようになる』と」。
5:14 それゆえ万軍ばんぐんの神かみ、主しゅはこう言いわれる、「彼かれらがこの言葉ことばを語かたったので、見みよ、わたしはあなたの口くちにあるわたしの言葉ことばを火ひとし、この民たみをたきぎとする。火ひは彼かれらを焼やき尽つくす」。
5:15 主しゅは言いわれる、「イスラエルの家いえよ、見みよ、わたしは遠とおい国くにの民たみをあなたがたのところに攻せめこさせる。その国くには長ながく続つづく国くに、古ふるい国くにで、あなたがたはその国くにの言葉ことばを知しらず、人々ひとびとの語かたるのを悟さとることもできない。
5:16 その箙えびらは開ひらいた墓はかのようであり、彼かれらはみな勇士ゆうしである。
5:17 彼かれらはあなたが刈かり入いれた物ものと、あなたの糧食りょうしょくとを食くい尽つくし、あなたのむすこ娘むすめを食くい尽つくし、あなたの羊ひつじと牛うしを食くい尽つくし、あなたのぶどうの木きといちじくの木きを食くい尽つくし、またつるぎをもって、あなたが頼たのみとする堅固けんごな町々まちまちを滅ほろぼす」。
5:18 主しゅは言いわれる、「しかしその時ときでも、わたしはことごとくはあなたを滅ほろぼさない。
5:19 あなたの民たみが、『どうしてわれわれの神かみ、主しゅはこれらのすべての事ことをわれわれになされたのか』と言いうならば、あなたは彼かれらに答こたえなければならない、『あなたがたがわたしを捨すてて、自分じぶんの地ちで異ことなる神々かみがみに仕つかえたように、あなたがたは自分じぶんのものでない地ちで異邦いほうの人ひとに仕つかえるようになる』と」。
5:20 これをヤコブの家いえにのべ、またユダに示しめして言いえ、
5:21 「愚おろかで、悟さとりもなく、目めがあっても見みえず、耳みみがあっても聞きこえない民たみよ、これを聞きけ。
5:22 主しゅは言いわれる、あなたがたはわたしを恐おそれないのか、わたしの前まえにおののかないのか。わたしは砂すなを置おいて海うみの境さかいとし、これを永遠えいえんの限界げんかいとして、越こえることができないようにした。波なみはさかまいても、勝かつことはできない、鳴なりわたっても、これを越こえることはできない。
5:23 ところが、この民たみには強情ごうじょうな、そむく心こころがあり、彼かれらはわき道みちにそれて、去さってしまった。
5:24 彼かれらは『われわれに雨あめを与あたえ、秋あきの雨あめと春はるの雨あめを時ときにしたがって降ふらせ、われわれのために刈入かりいれの時ときを定さだめられたわれわれの神かみ、主しゅを恐おそれよう』とその心こころのうちに言いわないのだ。
5:25 あなたがたのとがは、これらの事ことをしりぞけ、あなたがたの罪つみは、良よい物ものがあなたがたに来くるのをさまたげた。
5:26 わが民たみのうちには悪わるい者ものがあって、鳥とりをとる人ひとのように身みをかがめてうかがい、わなを置おいて人ひとを捕とらえる。
5:27 かごに鳥とりが満みちているように、彼かれらの家いえは不義ふぎの宝たからで満みちている。それゆえ、彼かれらは大おおいなる者もの、裕福ゆうふくな者ものとなり、
5:28 肥こえて、つやがあり、その悪あしき行おこないには際限さいげんがない。彼かれらは公正こうせいに、みなしごの訴うったえをさばいて、それを助たすけようとはせず、また貧まずしい人ひとの訴うったえをさばかない。
5:29 主しゅは言いわれる、わたしはこのような事ことのために、彼かれらを罰ばっしないであろうか。わたしはこのような民たみに、あだを返かえさないであろうか」。
5:30 驚おどろくべきこと、恐おそるべきことがこの地ちに起おこっている。
5:31 預言者よげんしゃは偽いつわって預言よげんし、祭司さいしは自分じぶんの手てによって治おさめ、わが民たみはこのようにすることを愛あいしている。しかしあなたがたはその終おわりにはどうするつもりか。
第6章 6:1 ベニヤミンの人々ひとびとよ、エルサレムの中なかから避難ひなんせよ。テコアでラッパを吹ふき、ベテハケレムに合図あいずの火ひをあげよ。北きたから災わざわいが臨のぞみ、大おおいなる滅ほろびが来くるからである。6:2 わたしは美うつくしい、たおやかなシオンの娘むすめを滅ほろぼす。6:3 牧者ぼくしゃたちは、その群むれをひきいて来きて、彼女かのじょを攻せめ、彼女かのじょの周囲しゅういに天幕てんまくを張はる。群むれはおのおのその所ところで草くさを食くう。6:4 「戦たたかいを始はじめ、彼女かのじょを攻せめよ。立たて、われわれは真昼まひるに攻撃こうげきしよう」。「わざわいなるかな、日ひははや傾かたむき、夕日ゆうひの影かげは長ながくなった」。6:5 「立たて、われわれは夜よるの間あいだに攻撃こうげきしよう、そして彼女かのじょのもろもろの宮殿きゅうでんを破壊はかいしよう」。 6:6 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「あなたがたは彼女かのじょの木きを切きり倒たおし、エルサレムにむかって塁るいを築きずけ。これは罰ばつすべき町まちである、そのうちにはただ圧制あっせいだけがある。6:7 井戸いどに新あたらしい水みずがわくように彼女かのじょはその悪あくを常つねにあらたに流ながす。そのうちには暴虐ぼうぎゃくと破滅はめつとが聞きこえる。わたしの前まえに病やまいと傷きずとが絶たえない。6:8 エルサレムよ、戒いましめを受うけいれよ。さもないと、わたしはあなたから離はなれ、あなたを荒あれ地ちとし、住すむ人ひとのない地ちとする」。 6:9 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「ぶどうの残のこりを摘つみとるように、イスラエルの残のこりの民たみをのこらず摘つみ取とれ。ぶどうを摘つみとる人ひとのように、あなたの手てをふたたびその枝えだに伸のばせ」。6:10 わたしはだれに語かたり、だれを戒いましめて、聞きかせようか。見みよ、彼かれらの耳みみは閉とざされて、聞きくことができない。見みよ、彼かれらは主しゅの言葉ことばをあざけり、それを喜よろこばない。6:11 それゆえ、わたしの身みには主しゅの怒いかりが満みち、それを忍しのぶのに、うみつかれている。「それをちまたにいる子供こどもらと、集あつまっている若わかい人々ひとびととに漏もらせ。夫おっとも妻つまも、老おいた人ひとも、年としのひじょうに進すすんだ人ひとも捕とらえられ、6:12 彼かれらの家いえと畑はたけと妻つまとは共ともに他人たにんに渡わたる。わたしが手てを伸のばして、この地ちに住すむ者ものを撃うつからである」と主しゅは言いわれる。6:13 「それは彼かれらが、小ちいさい者ものから大おおきい者ものまで、みな不正ふせいな利りをむさぼり、また預言者よげんしゃから祭司さいしにいたるまで、みな偽いつわりを行おこなっているからだ。6:14 彼かれらは、手軽てがるにわたしの民たみの傷きずをいやし、平安へいあんがないのに『平安へいあん、平安へいあん』と言いっている。6:15 彼かれらは憎にくむべきことをして、恥はじたであろうか。すこしも恥はずかしいとは思おもわず、また恥はじることを知しらなかった。それゆえ彼かれらは倒たおれる者ものと共ともに倒たおれる。わたしが彼かれらを罰ばっするとき、彼かれらは倒たおれる」と主しゅは言いわれる。 6:16 主しゅはこう言いわれる、「あなたがたはわかれ道みちに立たって、よく見み、いにしえの道みちにつき、良よい道みちがどれかを尋たずねて、その道みちに歩あゆみ、そしてあなたがたの魂たましいのために、安息あんそくを得えよ。しかし彼かれらは答こたえて、『われわれはその道みちに歩あゆまない』と言いった。6:17 わたしはあなたがたの上うえに見張みはりびとを立たて、『ラッパの音おとに気きをつけよ』と言いった。しかし彼かれらは答こたえて、『われわれは気きをつけることはしない』と言いった。6:18 それゆえ国々くにぐにの民たみよ、聞きけ。会衆かいしゅうよ、彼かれらにどのようなことが起おこるかを知しれ。6:19 地ちよ、聞きけ。見みよ、わたしはこの民たみに災わざわいをくだす。それは彼かれらのたくらみの実みである。彼かれらがわたしの言葉ことばに気きをつけず、わたしのおきてを捨すてたからである。6:20 シバから、わたしの所ところに乳香にゅうこうが来き、遠とおい国くにから、菖蒲しょうぶが来くるのはなんのためか。あなたがたの燔祭はんさいはわたしには喜よろこばしくなく、あなたがたの犠牲ぎせいもうれしくはない。6:21 それゆえ主しゅはこう言いわれる、『見みよ、わたしはこの民たみの前まえにつまずく石いしを置おく、人々ひとびとは父ちちも子こも共ともにそれにつまずき、隣となり人びともその友ともも滅ほろびる』」。 6:22 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、民たみが北きたの国くにから来くる、大おおいなる国民こくみんが地ちの果はてから興おこる。6:23 彼かれらは弓ゆみとやりをとる。彼かれらは残忍ざんにんで、あわれみがなく、海うみのような響ひびきを立たてる。シオンの娘むすめよ、彼かれらは馬うまに乗のり、いくさ人ひとのように身みをよろって、あなたを攻せめる」。6:24 われわれはそのうわさを聞きいて、手ては弱よわり、子こを産うむ女おんなに臨のぞむような悩なやみと苦くるしみとに捕とらえられた。6:25 畑はたけに出でてはならない、また道みちを歩あるいてはならない。敵てきはつるぎを持もち、恐おそれが四方しほうにあるからだ。6:26 わが民たみの娘むすめよ、荒布あらぬのを身みにまとい、灰はいの中なかにまろび、ひとり子こを失うしなった時ときのように、悲かなしみ、いたく嘆なげけ。滅ほろぼす者ものが、にわかにわれわれを襲おそうからだ。 6:27 「わたしはあなたを民たみのうちに立たてて、ためす者もの、試こころみる者ものとした。あなたが彼かれらの道みちを知しり、それをためすことができるようにするためである。6:28 彼かれらはみな、強情ごうじょうな反逆者はんぎゃくしゃであって、歩あるきまわって人ひとをそしる。彼かれらは青銅せいどうや鉄てつであって、みな卑いやしいことを行おこなう。6:29 ふいごは激はげしく吹ふき、鉛なまりは火ひにとけて尽つき、精錬せいれんはいたずらに進すすむ。悪あしき者ものがまだ除のぞかれないからである。6:30 主しゅが彼かれらを捨すてられたので、彼かれらは捨すてられた銀ぎんと呼よばれる」。 第7章 7:1 主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことばはこうである。7:2 「主しゅの家いえの門もんに立たち、その所ところで、この言葉ことばをのべて言いえ、主しゅを拝おがむために、この門もんをはいるユダのすべての人ひとよ、主しゅの言葉ことばを聞きけ。7:3 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、あなたがたの道みちとあなたがたの行おこないを改あらためるならば、わたしはあなたがたをこの所ところに住すまわせる。7:4 あなたがたは、『これは主しゅの神殿しんでんだ、主しゅの神殿しんでんだ、主しゅの神殿しんでんだ』という偽いつわりの言葉ことばを頼たのみとしてはならない。 7:5 もしあなたがたが、まことに、その道みちと行おこないを改あらためて、互たがいに公正こうせいを行おこない、7:6 寄留きりゅうの他国たこく人じんと、みなしごと、やもめをしえたげることなく、罪つみのない人ひとの血ちをこの所ところに流ながすことなく、また、ほかの神々かみがみに従したがって自みずから害がいをまねくことをしないならば、7:7 わたしはあなたがたを、わたしが昔むかしあなたがたの先祖せんぞに与あたえたこの地ちに永遠えいえんに住すまわせる。 7:8 見みよ、あなたがたは偽いつわりの言葉ことばを頼たのみとしているが、それはむだである。7:9 あなたがたは盗ぬすみ、殺ころし、姦淫かんいんし、偽いつわって誓ちかい、バアルに香こうをたき、あなたがたが以前いぜんには知しらなかった他たの神々かみがみに従したがいながら、7:10 わたしの名なをもって、となえられるこの家いえに来きてわたしの前まえに立たち、『われわれは救すくわれた』と言いい、しかもすべてこれら憎にくむべきことを行おこなうのは、どうしたことか。7:11 わたしの名なをもって、となえられるこの家いえが、あなたがたの目めには盗賊とうぞくの巣すと見みえるのか。わたし自身じしん、そう見みたと主しゅは言いわれる。7:12 わたしが初はじめにわたしの名なを置おいた場所ばしょシロへ行いき、わが民たみイスラエルの悪あくのために、わたしがその場所ばしょに対たいして行おこなったことを見みよ。7:13 主しゅは言いわれる、今いまあなたがたはこれらのすべてのことを行おこなっている。またわたしはあなたがたに、しきりに語かたったけれども、あなたがたは聞きかず、あなたがたを呼よんだけれども答こたえなかった。7:14 それゆえわたしはシロに対たいして行おこなったように、わたしの名なをもって、となえられるこの家いえにも行おこなう。すなわちあなたがたが頼たのみとする所ところ、わたしがあなたがたと、あなたがたの先祖せんぞに与あたえたこの所ところに行おこなう。7:15 そしてわたしは、あなたがたのすべての兄弟きょうだい、すなわちエフライムのすべての子孫しそんを捨すてたように、わたしの前まえからあなたがたをも捨すてる。 7:16 あなたはこの民たみのために祈いのってはならない。彼かれらのために嘆なげき、祈いのってはならない。またわたしに、とりなしをしてはならない。わたしはあなたの求もとめを聞きかない。7:17 あなたは彼かれらがユダの町々まちまちと、エルサレムのちまたでしていることを見みないのか。7:18 子こどもらは、たきぎを集あつめ、父ちちたちは火ひをたき、女おんなは粉こなをこね、パンを つくってこれを天后てんこうに供そなえる。また彼かれらは他たの神々かみがみの前まえに酒さけを注そそいで、わたしを怒いからせる。7:19 主しゅは言いわれる、彼かれらが怒いからせるのはわたしなのか。自分じぶんたち自身じしんではないのか。そして自みずからうろたえている。7:20 それゆえ主しゅなる神かみはこう言いわれる、見みよ、わたしの怒いかりと憤いきどおりを、この所ところと、人ひとと獣けものと、畑はたけの木きと、地ちの産物さんぶつとに注そそぐ。怒いかりは燃もえて消きえることがない」。 7:21 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、「あなたがたの犠牲ぎせいに燔祭はんさいの物ものを合あわせて肉にくを食たべるがよい。7:22 それはあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ちから導みちびき出だした日ひに、わたしは燔祭はんさいと犠牲ぎせいとについて彼かれらに語かたったこともなく、また命めいじたこともないからである。7:23 ただわたしはこの戒いましめを彼かれらに与あたえて言いった、『わたしの声こえに聞ききしたがいなさい。そうすれば、わたしはあなたがたの神かみとなり、あなたがたはわたしの民たみとなる。わたしがあなたがたに命めいじるすべての道みちを歩あゆんで幸さいわいを得えなさい』と。7:24 しかし彼かれらは聞きき従したがわず、耳みみを傾かたむけず、自分じぶんの悪わるい心こころの計はかりごとと強情ごうじょうにしたがって歩あゆみ、悪わるくなるばかりで、よくはならなかった。7:25 あなたがたの先祖せんぞがエジプトの地ちを出でた日ひから今日こんにちまで、わたしはわたしのしもべである預言者よげんしゃたちを日々ひび彼かれらにつかわした。7:26 しかし彼かれらはわたしに聞きかず、耳みみを傾かたむけないで強情ごうじょうになり、先祖せんぞたちにもまさって悪あくを行おこなった。 7:27 たといあなたが彼かれらにこのすべての言葉ことばを語かたっても彼かれらは聞きかない。また彼かれらを呼よんでもあなたに答こたえない。7:28 それゆえ、あなたはこう彼かれらに言いわなければならない、『これはその神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがわず、その戒いましめを受うけいれなかった国民こくみんである。真実しんじつはうせ、彼かれらの口くちから絶たえた。 7:29 あなたの髪かみの毛けを切きって捨すてよ、裸はだかの山やまの上うえに嘆なげきの声こえをあげよ。主しゅが、お怒いかりになっている世よの人ひとを退しりぞけ捨すてられたからだ』。7:30 主しゅは言いわれる、ユダの民たみはわたしの前まえに悪あくを行おこない、わたしの名なをもってとなえられる家いえに、憎にくむべき者ものを置おいてそこを汚けがした。7:31 またベンヒンノムの谷たににあるトペテの高たかき所ところを築きずいて、むすこ娘むすめを火ひに焼やいた。わたしはそれを命めいじたことはなく、またそのようなことを考かんがえたこともなかった。7:32 主しゅは言いわれる、それゆえに見みよ、その所ところをトペテ、またはベンヒンノムの谷たにと呼よばないで、ほふりの谷たにと呼よぶ日ひが来くる。それはほかに場所ばしょがないので、トペテに葬ほうむるからである。7:33 この民たみの死体したいは空そらの鳥とりと地ちの獣けものの食物しょくもつとなり、これを追おい払はらう者ものもない。7:34 そのときわたしはユダの町々まちまちとエルサレムのちまたに、喜よろこびの声こえ、楽たのしみの声こえ、花婿はなむこの声こえ、花嫁はなよめの声こえを絶たやす。この地ちは荒あれ果はてるからである。 第8章 8:1 主しゅは言いわれる、その時ときユダの王おうたちの骨ほねと、そのつかさたちの骨ほねと、祭司さいしたちの骨ほねと、預言者よげんしゃたちの骨ほねと、エルサレムに住すむ人々ひとびとの骨ほねは墓はかより掘ほり出だされて、8:2 彼かれらの愛あいし、仕つかえ、従したがい、求もとめ、また拝おがんだ、日ひと月つきと天てんの衆しゅう群ぐんの前まえにさらされる。その骨ほねは集あつめる者ものも葬ほうむる者ものもなく、地ちのおもてに糞土ふんどのようになる。8:3 この悪あしき民たみのうちの残のこっている残のこりの者ものはみな、わたしが追おいやった場所ばしょで、生いきることよりも死しぬことを願ねがうようになると、万軍ばんぐんの主しゅは言いわれる。 8:4 あなたは彼かれらに言いわなければならない。主しゅはこう仰おおせられる、人ひとは倒たおれたならば、また起おきあがらないであろうか。離はなれていったならば、帰かえってこないであろうか。8:5 それにどうしてこの民たみは、常つねにそむいて離はなれていくのか。彼かれらは偽いつわりを固かたくとらえて、帰かえってくることを拒こばんでいる。8:6 わたしは気きをつけて聞きいたが、彼かれらは正ただしくは語かたらなかった。その悪あくを悔くいて、『わたしのした事ことは何なにか』という者ものはひとりもない。彼かれらはみな戦場せんじょうに、はせ入いる馬うまのように、自分じぶんのすきな道みちに向むかう。8:7 空そらのこうのとりでもその時ときを知しり、山やまばとと、つばめと、つるはその来くる時ときを守まもる。しかしわが民たみは主しゅのおきてを知しらない。 8:8 どうしてあなたがたは、『われわれには知恵ちえがある、主しゅのおきてがある』と言いうことができようか。見みよ、まことに書記しょきの偽いつわりの筆ふでがこれを偽いつわりにしたのだ。8:9 知恵ちえある者ものは、はずかしめられ、あわてふためき、捕とらえられる。見みよ、彼かれらは主しゅの言葉ことばを捨すてた、彼かれらになんの知恵ちえがあろうか。8:10 それゆえ、わたしは彼かれらの妻つまを他人たにんに与あたえ、その畑はたけを征服せいふく者しゃに与あたえる。それは彼かれらが小ちいさい者ものから大おおきい者ものにいたるまで、みな不正ふせいな利りをむさぼり、預言者よげんしゃから祭司さいしにいたるまで、みな偽いつわりを行いっているからである。8:11 彼かれらは手軽てがるに、わたしの民たみの傷きずをいやし、平安へいあんがないのに、『平安へいあん、平安へいあん』と言いっている。8:12 彼かれらは憎にくむべきことをして、恥はじたであろうか。すこしも恥はずかしいとは思おもわず、また恥はじることを知しらなかった。それゆえ彼かれらは倒たおれる者ものと共ともに倒たおれる。わたしが彼かれらを罰ばっするとき、彼かれらは倒たおれると、主しゅは言いわれる。8:13 主しゅは言いわれる、わたしが集あつめようと思おもうとき、ぶどうの木きにぶどうはなく、いちじくの木きに、いちじくはなく、葉はさえ、しぼんでいる。わたしが彼かれらに与あたえたものも、彼かれらを離はなれて、うせ去さった」。 8:14 どうしてわれわれはなす事こともなく座ざしているのか。集あつまって、堅固けんごな町まちにはいり、そこでわれわれは滅ほろびよう。われわれが主しゅに罪つみを犯おかしたので、われわれの神かみ、主しゅがわれわれを滅ほろぼそうとして、毒どくの水みずを飲のませられるのだ。8:15 われわれは平安へいあんを望のぞんだが、良よい事ことはこなかった。いやされる時ときを望のぞんだが、かえって恐怖きょうふが来きた。 8:16 「彼かれらの馬うまのいななきはダンから聞きこえてくる。彼かれらの強つよい馬うまの声こえによって全ぜん地ちは震ふるう。彼かれらは来きて、この地ちと、ここにあるすべてのもの、町まちと、そのうちに住すむ者ものとを食くい滅ほろぼす。8:17 見みよ、魔法まほうをもってならすことのできない、へびや、まむしをあなたがたのうちにつかわす。それはあなたがたをかむ」と主しゅは言いわれる。 8:18 わが嘆なげきはいやしがたく、わが心こころはうちに悩なやむ。8:19 聞きけ、地ちの全面ぜんめんから、わが民たみの娘むすめの声こえがあがるのを。「主しゅはシオンにおられないのか、シオンの王おうはそのうちにおられないのか」。「なぜ彼かれらはその彫像ちょうぞうと、異邦いほうの偶像ぐうぞうとをもって、わたしを怒いからせたのか」。8:20 「刈入かりいれの時ときは過すぎ、夏なつもはや終おわった、しかしわれわれはまだ救すくわれない」。8:21 わが民たみの娘むすめの傷きずによって、わが心こころは痛いたむ。わたしは嘆なげき、うろたえる。 8:22 ギレアデに乳香にゅうこうがあるではないか。その所ところに医者いしゃがいるではないか。それにどうしてわが民たみの娘むすめはいやされることがないのか。 第9章 9:1 ああ、わたしの頭あたまが水みずとなり、わたしの目めが涙なみだの泉いずみとなればよいのに。そうすれば、わたしは民たみの娘むすめの殺ころされた者もののために昼ひるも夜よるも嘆なげくことができる。9:2 ああ、わたしが荒野あらのに、隊商たいしょうの宿やどを得えることができればよいのに。そうすれば、わたしは民たみを離はなれて去さって行いくことができる。彼かれらはみな姦淫かんいんする者もの、不信ふしんのともがらだからである。9:3 彼かれらは弓ゆみをひくように、その舌したを曲まげる。真実しんじつではなく、偽いつわりがこの地ちに強つよくなった。彼かれらは悪あくより悪あくに進すすみ、またわたしを知しらないと、主しゅは言いわれる。 9:4 あなたがたはおのおの隣となり人びとに気きをつけよ。どの兄弟きょうだいをも信しんじてはならない。兄弟きょうだいはみな、押おしのける者ものであり、隣となり人びとはみな、ののしって歩あるく者ものだからである。9:5 人ひとはみな、その隣となり人びとを欺あざむき、真実しんじつを言いう者ものはない。彼かれらは自分じぶんの舌したに偽いつわりを言いうことを教おしえ、悪あくを行おこない、疲つかれて悔くい改あらためるいとまもなく、9:6 しえたげに、しえたげを積つみ重かさね、偽いつわりに偽いつわりを積つみ重かさね、わたしを知しることを拒こばんでいると、主しゅは言いわれる。 9:7 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらを溶とかし、試こころみる。このほか、わが民たみをどうすることができよう。9:8 彼かれらの舌したは殺ころす矢やのようだ、それは偽いつわりを言いう。その口くちではおのおの隣となり人びとにおだやかに語かたるが、その心こころでは彼かれを待まち伏ぶせる計はかりごとを立たてる。9:9 主しゅは言いわれる、これらのことのために、わたしが彼かれらを罰ばっしないだろうか。わたしがこのような民たみにあだを返かえさないだろうか。 9:10 山やまのために泣なき叫さけび、野のの牧場まきばのために悲かなしめ。これらは荒あれすたれて、通とおり過すぎる人ひともない。ここには牛うし、羊ひつじの鳴なく声こえも聞きこえず、空そらの鳥とりも獣けものも皆みな逃にげ去さった。9:11 わたしはエルサレムを荒塚あれづかとし、山犬やまいぬの巣すとする。またユダの町々まちまちを荒あらして、住すむ人ひともない所ところとする」。9:12 知恵ちえがあって、これを悟さとることのできる人ひとはだれか。主しゅの口くちの言葉ことばをうけて、それを示しめす人ひとはだれか。この地ちが滅ほろぼされて荒野あらののようになり、通とおり過すぎる人ひともなくなったのはどういうわけか。9:13 主しゅは言いわれる、「それは彼かれらの前まえにわたしが立たてたおきてを彼かれらが捨すてて、わたしの声こえに聞きき従したがわず、そのとおりに歩あるかなかったからである。9:14 彼かれらは強情ごうじょうに自分じぶんの心こころに従したがい、また先祖せんぞの教おしえたようにバアルに従したがった。9:15 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、見みよ、わたしはこの民たみに、にがよもぎを食たべさせ、毒どくの水みずを飲のませ、9:16 彼かれらも、その先祖せんぞたちも知しらなかった国くにびとのうちに彼かれらを散ちらし、また彼かれらを滅ほろぼし尽つくすまで、そのうしろに、つるぎをつかわす」。9:17 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「よく考かんがえて、泣なき女おんなを呼よべ。また人ひとをつかわして巧たくみな女おんなを招まねけ。9:18 彼かれらに急いそいでこさせ、われわれのために泣なき悲かなしませて、われわれの目めに涙なみだをこぼさせ、まぶたから水みずをあふれさせよ。9:19 シオンから悲かなしみの声こえが聞きこえる。それは言いう、『ああ、われわれは滅ほろぼされ、いたく、はずかしめられている。われわれはその地ちを去さり、彼かれらがわれわれのすみかをこわしたからだ』」。 9:20 女おんなたちよ、主しゅの言葉ことばを聞きけ。あなたがたの耳みみに、その口くちの言葉ことばをいれよ。あなたがたの娘むすめに悲かなしみの歌うたを教おしえ、おのおのその隣となり人びとに哀悼あいとうの歌うたを教おしえよ。9:21 死しがわれわれの窓まどに上のぼって来き、われわれの邸宅ていたくの中なかにはいり、ちまたにいる子こどもらを絶たやし、広場ひろばにいる若わかい人ひとたちを殺ころそうとしているからだ。9:22 あなたはこう言いいなさい、「主しゅは言いわれる、『人ひとの死体したいが糞土ふんどのように、野のに倒たおれているようになり、また刈入かりいれする人ひとのうしろに残のこって、だれも集あつめることをしない束たばのようになる』」。9:23 主しゅはこう言いわれる、「知恵ちえある人ひとはその知恵ちえを誇ほこってはならない。力ちからある人ひとはその力ちからを誇ほこってはならない。富とめる者ものはその富とみを誇ほこってはならない。9:24 誇ほこる者ものはこれを誇ほこりとせよ。すなわち、さとくあって、わたしを知しっていること、わたしが主しゅであって、地ちに、いつくしみと公平こうへいと正義せいぎを行いっている者ものであることを知しることがそれである。わたしはこれらの事ことを喜よろこぶと、主しゅは言いわれる」。 9:25 主しゅは言いわれる、「見みよ、このような日ひが来くる。その日ひには、割礼かつれいをうけても、心こころに割礼かつれいをうけていないすべての人ひとをわたしは罰ばっする。9:26 エジプト、ユダ、エドム、アンモンの人々ひとびと、モアブ、および野のにいて、髪かみの毛けのすみずみをそる人々ひとびとはそれである。これらの国くにびとはみな割礼かつれいをうけていない者ものであり、イスラエルの全家ぜんかもみな心こころに割礼かつれいをうけていない者ものである」。 第10章 10:1 イスラエルの家いえよ、主しゅのあなたがたに語かたられる言葉ことばを聞きけ。10:2 主しゅはこう言いわれる、 「異邦いほうの人ひとの道みちに習ならってはならない。また異邦いほうの人ひとが天てんに現あらわれるしるしを恐おそれても、あなたがたはそれを恐おそれてはならない。10:3 異邦いほうの民たみのならわしはむなしいからだ。彼かれらの崇拝すうはいするものは、林はやしから切きりだした木きで、木工もっこうの手てで、おのをもって つくったものだ。10:4 人々ひとびとは銀ぎんや金きんをもって、それを飾かざり、くぎと鎚つちをもって動うごかないようにそれをとめる。10:5 その偶像ぐうぞうは、きゅうり畑はたけのかかしのようで、ものを言いうことができない。歩あるくこともできないから、人ひとに運はこんでもらわなければならない。それを恐おそれるに及およばない。それは災わざわいをくだすことができず、また幸さいわいをくだす力ちからもないからだ」。 10:6 主しゅよ、あなたに並ならびうる者ものはありません。あなたは大おおいなる者ものであり、あなたの名なもその力ちからのために大おおいなるものであります。10:7 万国ばんこくの王おうであるあなたを、恐おそれない者ものがありましょうか。あなたを恐おそれるのは当然とうぜんのことであります。万国ばんこくのすべての知恵ちえある者もののうちにも、その国々くにぐにのうちにも、あなたに並ならびうる者ものはありません。10:8 彼かれらは皆みな、愚おろかで鈍にぶく、偶像ぐうぞうの教おしえは、ただ木きにすぎない。10:9 銀ぎんぱくはタルシシから渡来とらいし、金きんはウパズから携たずさえてくる。これらは工人こうじんと金きん細工人ざいくにんの工作こうさくである。彼かれらの着物きものはすみれ色いろと紫色むらさきいろである。これらはみな巧たくみな細工人さいくにんの作つくった物ものである。10:10 しかし主しゅはまことの神かみである。生いきた神かみであり、永遠えいえんの王おうである。その怒いかりによって地ちは震ふるいうごき、万国ばんこくはその憤いきどおりに当あたることができない。10:11 あなたがたは彼かれらに、こう言いわなければならない、「天地てんちを つくらなかった神々かみがみは地ちの上うえ、天てんの下したから滅ほろび去さる」と。 10:12 主しゅはその力ちからをもって地ちを造つくり、その知恵ちえをもって世界せかいを建たて、その悟さとりをもって天てんをのべられた。10:13 彼かれが声こえを出だされると、天てんに多おおくの水みずのざわめきがあり、また地ちの果はてから霧きりを立たちあがらせられる。彼かれは雨あめのために、いなびかりをおこし、その倉くらから風かぜを取とり出だされる。10:14 すべての人ひとは愚おろかで知恵ちえがなく、すべての金きん細工人ざいくにんはその造つくった偶像ぐうぞうのために恥はじをこうむる。その偶像ぐうぞうは偽いつわり物もので、そのうちに息いきがないからだ。10:15 これらは、むなしいもので、迷まよいのわざである。罰ばっせられる時ときに滅ほろびるものである。10:16 ヤコブの分ぶんである彼かれはこのようなものではない。彼かれは万物ばんぶつの造つくり主ぬしだからである。イスラエルは彼かれの嗣し業ぎょうとしての部族ぶぞくである。彼かれの名なを万軍ばんぐんの主しゅという。 10:17 囲かこみの中なかにおる者ものよ、あなたの包つつみを地ちから取とり上あげよ。10:18 主しゅがこう言いわれるからだ、「見みよ、わたしはこのたび、この地ちに住すむ者ものを投なげ捨すてる。かつ彼かれらをせめなやまして、思おもい知しらせる」。 10:19 わたしはいたでをうけた、ああ、わざわいなるかな、わたしの傷きずは重おもい。しかしわたしは言いった、「まことに、これは悩なやみである。わたしはこれを忍しのばなければならない」と。10:20 わたしの天幕てんまくは破やぶれ、綱つなはことごとく切きれ、子こどもたちはわたしを捨すてて行いって、いなくなった。もはやわたしの天幕てんまくを張はる者ものはなく、幕まくを掛かける者ものもない。10:21 牧者ぼくしゃは愚おろかであって、主しゅに問とうことをしないからである。それゆえ彼かれらは栄さかえることもなく、その群むれはみな散ちり去さっている。 10:22 聞きけよ、うわさのあるのを。見みよ、北きたの国くにから大おおいなる騒さわぎが来くる。これはユダの町々まちまちを荒あらして山犬やまいぬの巣すとする。 10:23 主しゅよ、わたしは知しっています、人ひとの道みちは自身じしんによるのではなく、歩あゆむ人ひとが、その歩あゆみを自分じぶんで決きめることのできないことを。10:24 主しゅよ、わたしを懲こらしてください。正ただしい道みちにしたがって、怒いからずに懲こらしてください。さもないと、わたしは無むに帰きしてしまうでしょう。 10:25 あなたを知しらない国民くにたみと、あなたの名なをとなえない人々ひとびとにあなたの怒いかりを注そそいでください。彼かれらはヤコブを食くい尽つくしこれを食くい尽つくして滅ほろぼし、そのすみかを荒あらしたからです。 第11章 11:1 主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことばは言いう、11:2 「この契約けいやくの言葉ことばを聞きき、ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者ものに告つげよ。11:3 彼かれらに言いえ、イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、この契約けいやくの言葉ことばに従したがわない人ひとは、のろわれる。11:4 この契約けいやくは、わたしがあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ち、鉄てつのかまどの中なかから導みちびき出だした時ときに、彼かれらに命めいじたところのものである。すなわち、その時ときわたしは彼かれらに言いった、わたしの声こえを聞きき、あなたがたに命めいじるすべてのことを行おこなうならば、あなたがたはわたしの民たみとなり、わたしはあなたがたの神かみとなる。11:5 そして、わたしがあなたがたの先祖せんぞに、乳ちちと蜜みつとの流ながれる地ちを与あたえると誓ちかったことを、なし遂とげると。すなわち今日こんにちのとおりである」。その時ときわたしは、「主しゅよ、仰おおせのとおりです」と答こたえた。 11:6 主しゅはわたしに言いわれた、「このすべての言葉ことばを、ユダの町々まちまちと、エルサレムのちまたに告つげ示しめし、この契約けいやくの言葉ことばを聞きき、これを行おこなえ、と言いいなさい。11:7 わたしは、あなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ちから導みちびき出だした時ときから今日こんにちにいたるまで、おごそかに彼かれらを戒いましめ、絶たえず戒いましめて、わたしの声こえに聞きき従したがうようにと言いった。11:8 しかし彼かれらは従したがわず、その耳みみを傾かたむけず、おのおの自分じぶんの悪わるい強情ごうじょうな心こころに従したがって歩あゆんだ。それゆえ、わたしはこの契約けいやくの言葉ことばをもって彼かれらを責せめた。これはわたしが彼かれらに行おこなえと命めいじたが、行おこなわなかったものである」。 11:9 主しゅはまたわたしに言いわれた、「ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者もののうちに反逆はんぎゃくの事ことがある。11:10 彼かれらは、わたしの言葉ことばを聞きくことを拒こばんだその先祖せんぞたちの罪つみに立たち返かえり、またほかの神々かみがみに従したがってそれに仕つかえた。イスラエルの家いえとユダの家いえとは、わたしがその先祖せんぞたちと結むすんだ契約けいやくを破やぶった。11:11 それゆえ主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしは災わざわいを彼かれらの上うえに下くだす。彼かれらはそれを免まぬかれることはできない。彼かれらがわたしを呼よんでも、わたしは聞きかない。11:12 ユダの町々まちまちとエルサレムに住すむ者ものは、行いって、自分じぶんたちがそれに香こうをたいている神々かみがみに呼よび求もとめるが、これらは、彼かれらの災わざわいの時ときにも決けっして彼かれらを救すくうことはできない。11:13 ユダよ、あなたの神々かみがみは、あなたの町まちの数かずほど多おおくなった。またあなたがたはエルサレムのちまたの数かずほどの祭壇さいだんを恥はずべき者もののために立たてた。すなわちバアルに香こうをたくための祭壇さいだんである。 11:14 それゆえ、この民たみのために祈いのってはならない。また彼かれらのために泣なき、あるいは祈いのり求もとめてはならない。彼かれらがその災わざわいの時ときに、わたしに呼よばわっても、わたしは彼かれらに聞きくことをしないからだ。11:15 わが愛あいする者ものは、わたしの家いえで何なにをするのか。すでにこれは悪事あくじを行おこなった。誓願せいがんと犠牲ぎせいの肉にくとがあなたに災わざわいを免まぬかれさせることができるであろうか。それであなたは喜よろこぶことができるであろうか。11:16 主しゅはあなたを、かつては『良よい実みのなる美うつくしい青々あおあおとしたオリブの木き』と呼よばれたが、激はげしい暴風ぼうふうのとどろきと共ともに、主しゅはそれに火ひをかけ、その枝えだを焼やき払はらわれるのである。11:17 あなたを植うえた万軍ばんぐんの主しゅは、あなたに向むかって災わざわいを言いい渡わたされた。これはイスラエルの家いえとユダの家いえとが悪あくを行おこない、バアルに香こうをたいて、わたしを怒いからせたからである」。11:18 主しゅが知しらせてくださったので、わたしはそれを知しった。その時とき、あなたは彼かれらの悪あしきわざをわたしに示しめされた。11:19 しかしわたしは、ほふられに行いく、おとなしい小羊こひつじのようで、彼かれらがわたしを害がいしようと、計はかりごとをめぐらしているのを知しらなかった。彼かれらは言いう、「さあ、木きとその実みを共ともに滅ほろぼそう。生いける者ものの地ちから彼かれを絶たって、その名なを人ひとに忘わすれさせよう」。11:20 正ただしいさばきをし、人ひとの心こころと思おもいを探さぐられる万軍ばんぐんの主しゅよ、わたしは自分じぶんの訴うったえをあなたにお任まかせしました。あなたが彼かれらにあだをかえされるのを見みさせてください。11:21 それゆえ主しゅはアナトテの人々ひとびとについてこう言いわれる、彼かれらはあなたの命いのちを取とろうと求もとめて言いう、「主しゅの名なによって預言よげんしてはならない。それをするならば、あなたはわれわれの手てにかかって死しぬであろう」。11:22 それで万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらを罰ばっする。若わかい人ひとはつるぎで死しに、彼かれらのむすこ娘むすめは、ききんで死しに、11:23 だれも残のこる者ものはない。わたしがアナトテの人々ひとびとに災わざわいを下くだし、彼かれらを罰ばっする年としをこさせるからである」。 第12章 12:1 主しゅよ、わたしがあなたと論ろんじ争あらそう時とき、あなたは常つねに正ただしい。しかしなお、わたしはあなたの前まえに、さばきのことを論ろんじてみたい。悪人あくにんの道みちがさかえ、不信実ふしんじつな者ものがみな繁栄はんえいするのはなにゆえですか。12:2 あなたが彼かれらを植うえられたので、彼かれらは根ねづき、育そだって、実みを結むすびます。彼かれらは口くちではあなたに近ちかづきますが、心こころはあなたから遠とおざかっています。12:3 主しゅよ、あなたはわたしを知しり、わたしを見み、わたしの心こころがあなたに対たいしていかにあるかを試こころみられます。ほふるために羊ひつじを引ひき出だすように、彼かれらを引ひき出だし、殺ころす日ひにそなえて、彼かれらを残のこしておいてください。12:4 いつまで、この地ちは嘆なげき、どの畑はたけの野菜やさいも枯かれていてよいでしょうか。この地ちに住すむ者ものの悪あくによって、獣けものと鳥とりは滅ほろびうせます。人々ひとびとは言いいました、「彼かれはわれわれの終おわりを見みることはない」と。 12:5 「もしあなたが、徒歩とほの人ひとと競争きょうそうして疲つかれるなら、どうして騎馬きばの人ひとと競きそうことができようか。もし安全あんぜんな地ちで、あなたが倒たおれるなら、ヨルダンの密林みつりんでは、どうするつもりか。12:6 あなたの兄弟きょうだいたち、あなたの父ちちの家いえのものさえ、あなたを欺あざむき、大声おおごえをあげて、あなたを追おっている。彼かれらが親したしげにあなたに語かたることがあっても、彼かれらを信しんじてはならない」。 12:7 「わたしはわが家いえを離はなれ、わが嗣し業ぎょうを捨すて、わが魂たましいの愛あいする者ものを敵てきの手てに渡わたした。12:8 わたしの嗣し業ぎょうは、わたしにとって林はやしの中なかのししのようになった。これはわたしに向むかってその声こえをあげる。それゆえわたしはこれを憎にくむ。12:9 わたしの嗣し業ぎょうは、わたしにとって、斑点はんてんのある猛禽もうきんのようではないか。他たの猛禽もうきんがこれを囲かこんでいるではないか。行いって、野のの獣けものをみな集あつめ、連つれてきてこれを食たべさせよ。12:10 多おおくの牧者ぼくしゃたちはわたしのぶどう畑はたけを滅ほろぼし、わたしの地ちを踏ふみ荒あらした。わたしの麗うるわしい地ちを荒あれた野のにした。12:11 彼かれらはこれを荒あれ地ちとしてしまった。その荒あれ地ちがわたしに向むかって嘆なげくのだ。全ぜん地ちは荒あれ地ちにされた。しかし、ひとりもこれを心こころに留とめる者ものはない。12:12 滅ほろぼす者ものどもが荒野あらののすべての、はげ山やまの上うえにきた。主しゅのつるぎが、地ちの、この果はてから、かの果はてまでを滅ほろぼすのだ。命いのちあるものは安やすらかであることができない。12:13 彼かれらは麦むぎをまいて、いばらを刈かり取とる。苦労くろうしてもなんの利益りえきもない。彼かれらはその収穫しゅうかくを恥はじるようになる。主しゅの激はげしい怒いかりによってである」。12:14 わたしがわが民たみイスラエルにつがせた嗣し業ぎょうに手てを触ふれるすべての悪わるい隣となり人びとについて、主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらをその地ちから抜ぬき出だし、ユダの家いえを彼かれらのうちから抜ぬき出だす。12:15 わたしは、彼かれらを抜ぬき出だしたのちに、また彼かれらをあわれんで、それぞれその嗣し業ぎょうに導みちびき返かえし、おのおのを、その地ちに帰かえらせる。12:16 もし彼かれらがわたしの民たみの道みちを学まなび、わたしの名なによって、『主しゅは生いきておられる』と言いって誓ちかうことが、かつて彼かれらがわたしの民たみに教おしえてバアルをさして誓ちかわせたようになるならば、彼かれらはわたしの民たみのうちに建たてられる。12:17 しかし耳みみをかさない民たみがあるときは、わたしはその民たみを抜ぬき出だして滅ほろぼすと、主しゅは言いわれる」。
6:1 ベニヤミンの人々ひとびとよ、エルサレムの中なかから避難ひなんせよ。テコアでラッパを吹ふき、ベテハケレムに合図あいずの火ひをあげよ。北きたから災わざわいが臨のぞみ、大おおいなる滅ほろびが来くるからである。
6:2 わたしは美うつくしい、たおやかなシオンの娘むすめを滅ほろぼす。
6:3 牧者ぼくしゃたちは、その群むれをひきいて来きて、彼女かのじょを攻せめ、彼女かのじょの周囲しゅういに天幕てんまくを張はる。群むれはおのおのその所ところで草くさを食くう。
6:4 「戦たたかいを始はじめ、彼女かのじょを攻せめよ。立たて、われわれは真昼まひるに攻撃こうげきしよう」。「わざわいなるかな、日ひははや傾かたむき、夕日ゆうひの影かげは長ながくなった」。
6:5 「立たて、われわれは夜よるの間あいだに攻撃こうげきしよう、そして彼女かのじょのもろもろの宮殿きゅうでんを破壊はかいしよう」。
6:6 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「あなたがたは彼女かのじょの木きを切きり倒たおし、エルサレムにむかって塁るいを築きずけ。これは罰ばつすべき町まちである、そのうちにはただ圧制あっせいだけがある。
6:7 井戸いどに新あたらしい水みずがわくように彼女かのじょはその悪あくを常つねにあらたに流ながす。そのうちには暴虐ぼうぎゃくと破滅はめつとが聞きこえる。わたしの前まえに病やまいと傷きずとが絶たえない。
6:8 エルサレムよ、戒いましめを受うけいれよ。さもないと、わたしはあなたから離はなれ、あなたを荒あれ地ちとし、住すむ人ひとのない地ちとする」。
6:9 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「ぶどうの残のこりを摘つみとるように、イスラエルの残のこりの民たみをのこらず摘つみ取とれ。ぶどうを摘つみとる人ひとのように、あなたの手てをふたたびその枝えだに伸のばせ」。
6:10 わたしはだれに語かたり、だれを戒いましめて、聞きかせようか。見みよ、彼かれらの耳みみは閉とざされて、聞きくことができない。見みよ、彼かれらは主しゅの言葉ことばをあざけり、それを喜よろこばない。
6:11 それゆえ、わたしの身みには主しゅの怒いかりが満みち、それを忍しのぶのに、うみつかれている。「それをちまたにいる子供こどもらと、集あつまっている若わかい人々ひとびととに漏もらせ。夫おっとも妻つまも、老おいた人ひとも、年としのひじょうに進すすんだ人ひとも捕とらえられ、
6:12 彼かれらの家いえと畑はたけと妻つまとは共ともに他人たにんに渡わたる。わたしが手てを伸のばして、この地ちに住すむ者ものを撃うつからである」と主しゅは言いわれる。
6:13 「それは彼かれらが、小ちいさい者ものから大おおきい者ものまで、みな不正ふせいな利りをむさぼり、また預言者よげんしゃから祭司さいしにいたるまで、みな偽いつわりを行おこなっているからだ。
6:14 彼かれらは、手軽てがるにわたしの民たみの傷きずをいやし、平安へいあんがないのに『平安へいあん、平安へいあん』と言いっている。
6:15 彼かれらは憎にくむべきことをして、恥はじたであろうか。すこしも恥はずかしいとは思おもわず、また恥はじることを知しらなかった。それゆえ彼かれらは倒たおれる者ものと共ともに倒たおれる。わたしが彼かれらを罰ばっするとき、彼かれらは倒たおれる」と主しゅは言いわれる。
6:16 主しゅはこう言いわれる、「あなたがたはわかれ道みちに立たって、よく見み、いにしえの道みちにつき、良よい道みちがどれかを尋たずねて、その道みちに歩あゆみ、そしてあなたがたの魂たましいのために、安息あんそくを得えよ。しかし彼かれらは答こたえて、『われわれはその道みちに歩あゆまない』と言いった。
6:17 わたしはあなたがたの上うえに見張みはりびとを立たて、『ラッパの音おとに気きをつけよ』と言いった。しかし彼かれらは答こたえて、『われわれは気きをつけることはしない』と言いった。
6:18 それゆえ国々くにぐにの民たみよ、聞きけ。会衆かいしゅうよ、彼かれらにどのようなことが起おこるかを知しれ。
6:19 地ちよ、聞きけ。見みよ、わたしはこの民たみに災わざわいをくだす。それは彼かれらのたくらみの実みである。彼かれらがわたしの言葉ことばに気きをつけず、わたしのおきてを捨すてたからである。
6:20 シバから、わたしの所ところに乳香にゅうこうが来き、遠とおい国くにから、菖蒲しょうぶが来くるのはなんのためか。あなたがたの燔祭はんさいはわたしには喜よろこばしくなく、あなたがたの犠牲ぎせいもうれしくはない。
6:21 それゆえ主しゅはこう言いわれる、『見みよ、わたしはこの民たみの前まえにつまずく石いしを置おく、人々ひとびとは父ちちも子こも共ともにそれにつまずき、隣となり人びともその友ともも滅ほろびる』」。
6:22 主しゅはこう言いわれる、「見みよ、民たみが北きたの国くにから来くる、大おおいなる国民こくみんが地ちの果はてから興おこる。
6:23 彼かれらは弓ゆみとやりをとる。彼かれらは残忍ざんにんで、あわれみがなく、海うみのような響ひびきを立たてる。シオンの娘むすめよ、彼かれらは馬うまに乗のり、いくさ人ひとのように身みをよろって、あなたを攻せめる」。
6:24 われわれはそのうわさを聞きいて、手ては弱よわり、子こを産うむ女おんなに臨のぞむような悩なやみと苦くるしみとに捕とらえられた。
6:25 畑はたけに出でてはならない、また道みちを歩あるいてはならない。敵てきはつるぎを持もち、恐おそれが四方しほうにあるからだ。
6:26 わが民たみの娘むすめよ、荒布あらぬのを身みにまとい、灰はいの中なかにまろび、ひとり子こを失うしなった時ときのように、悲かなしみ、いたく嘆なげけ。滅ほろぼす者ものが、にわかにわれわれを襲おそうからだ。
6:27 「わたしはあなたを民たみのうちに立たてて、ためす者もの、試こころみる者ものとした。あなたが彼かれらの道みちを知しり、それをためすことができるようにするためである。
6:28 彼かれらはみな、強情ごうじょうな反逆者はんぎゃくしゃであって、歩あるきまわって人ひとをそしる。彼かれらは青銅せいどうや鉄てつであって、みな卑いやしいことを行おこなう。
6:29 ふいごは激はげしく吹ふき、鉛なまりは火ひにとけて尽つき、精錬せいれんはいたずらに進すすむ。悪あしき者ものがまだ除のぞかれないからである。
6:30 主しゅが彼かれらを捨すてられたので、彼かれらは捨すてられた銀ぎんと呼よばれる」。
第7章 7:1 主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことばはこうである。7:2 「主しゅの家いえの門もんに立たち、その所ところで、この言葉ことばをのべて言いえ、主しゅを拝おがむために、この門もんをはいるユダのすべての人ひとよ、主しゅの言葉ことばを聞きけ。7:3 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、あなたがたの道みちとあなたがたの行おこないを改あらためるならば、わたしはあなたがたをこの所ところに住すまわせる。7:4 あなたがたは、『これは主しゅの神殿しんでんだ、主しゅの神殿しんでんだ、主しゅの神殿しんでんだ』という偽いつわりの言葉ことばを頼たのみとしてはならない。 7:5 もしあなたがたが、まことに、その道みちと行おこないを改あらためて、互たがいに公正こうせいを行おこない、7:6 寄留きりゅうの他国たこく人じんと、みなしごと、やもめをしえたげることなく、罪つみのない人ひとの血ちをこの所ところに流ながすことなく、また、ほかの神々かみがみに従したがって自みずから害がいをまねくことをしないならば、7:7 わたしはあなたがたを、わたしが昔むかしあなたがたの先祖せんぞに与あたえたこの地ちに永遠えいえんに住すまわせる。 7:8 見みよ、あなたがたは偽いつわりの言葉ことばを頼たのみとしているが、それはむだである。7:9 あなたがたは盗ぬすみ、殺ころし、姦淫かんいんし、偽いつわって誓ちかい、バアルに香こうをたき、あなたがたが以前いぜんには知しらなかった他たの神々かみがみに従したがいながら、7:10 わたしの名なをもって、となえられるこの家いえに来きてわたしの前まえに立たち、『われわれは救すくわれた』と言いい、しかもすべてこれら憎にくむべきことを行おこなうのは、どうしたことか。7:11 わたしの名なをもって、となえられるこの家いえが、あなたがたの目めには盗賊とうぞくの巣すと見みえるのか。わたし自身じしん、そう見みたと主しゅは言いわれる。7:12 わたしが初はじめにわたしの名なを置おいた場所ばしょシロへ行いき、わが民たみイスラエルの悪あくのために、わたしがその場所ばしょに対たいして行おこなったことを見みよ。7:13 主しゅは言いわれる、今いまあなたがたはこれらのすべてのことを行おこなっている。またわたしはあなたがたに、しきりに語かたったけれども、あなたがたは聞きかず、あなたがたを呼よんだけれども答こたえなかった。7:14 それゆえわたしはシロに対たいして行おこなったように、わたしの名なをもって、となえられるこの家いえにも行おこなう。すなわちあなたがたが頼たのみとする所ところ、わたしがあなたがたと、あなたがたの先祖せんぞに与あたえたこの所ところに行おこなう。7:15 そしてわたしは、あなたがたのすべての兄弟きょうだい、すなわちエフライムのすべての子孫しそんを捨すてたように、わたしの前まえからあなたがたをも捨すてる。 7:16 あなたはこの民たみのために祈いのってはならない。彼かれらのために嘆なげき、祈いのってはならない。またわたしに、とりなしをしてはならない。わたしはあなたの求もとめを聞きかない。7:17 あなたは彼かれらがユダの町々まちまちと、エルサレムのちまたでしていることを見みないのか。7:18 子こどもらは、たきぎを集あつめ、父ちちたちは火ひをたき、女おんなは粉こなをこね、パンを つくってこれを天后てんこうに供そなえる。また彼かれらは他たの神々かみがみの前まえに酒さけを注そそいで、わたしを怒いからせる。7:19 主しゅは言いわれる、彼かれらが怒いからせるのはわたしなのか。自分じぶんたち自身じしんではないのか。そして自みずからうろたえている。7:20 それゆえ主しゅなる神かみはこう言いわれる、見みよ、わたしの怒いかりと憤いきどおりを、この所ところと、人ひとと獣けものと、畑はたけの木きと、地ちの産物さんぶつとに注そそぐ。怒いかりは燃もえて消きえることがない」。 7:21 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、「あなたがたの犠牲ぎせいに燔祭はんさいの物ものを合あわせて肉にくを食たべるがよい。7:22 それはあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ちから導みちびき出だした日ひに、わたしは燔祭はんさいと犠牲ぎせいとについて彼かれらに語かたったこともなく、また命めいじたこともないからである。7:23 ただわたしはこの戒いましめを彼かれらに与あたえて言いった、『わたしの声こえに聞ききしたがいなさい。そうすれば、わたしはあなたがたの神かみとなり、あなたがたはわたしの民たみとなる。わたしがあなたがたに命めいじるすべての道みちを歩あゆんで幸さいわいを得えなさい』と。7:24 しかし彼かれらは聞きき従したがわず、耳みみを傾かたむけず、自分じぶんの悪わるい心こころの計はかりごとと強情ごうじょうにしたがって歩あゆみ、悪わるくなるばかりで、よくはならなかった。7:25 あなたがたの先祖せんぞがエジプトの地ちを出でた日ひから今日こんにちまで、わたしはわたしのしもべである預言者よげんしゃたちを日々ひび彼かれらにつかわした。7:26 しかし彼かれらはわたしに聞きかず、耳みみを傾かたむけないで強情ごうじょうになり、先祖せんぞたちにもまさって悪あくを行おこなった。 7:27 たといあなたが彼かれらにこのすべての言葉ことばを語かたっても彼かれらは聞きかない。また彼かれらを呼よんでもあなたに答こたえない。7:28 それゆえ、あなたはこう彼かれらに言いわなければならない、『これはその神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがわず、その戒いましめを受うけいれなかった国民こくみんである。真実しんじつはうせ、彼かれらの口くちから絶たえた。 7:29 あなたの髪かみの毛けを切きって捨すてよ、裸はだかの山やまの上うえに嘆なげきの声こえをあげよ。主しゅが、お怒いかりになっている世よの人ひとを退しりぞけ捨すてられたからだ』。7:30 主しゅは言いわれる、ユダの民たみはわたしの前まえに悪あくを行おこない、わたしの名なをもってとなえられる家いえに、憎にくむべき者ものを置おいてそこを汚けがした。7:31 またベンヒンノムの谷たににあるトペテの高たかき所ところを築きずいて、むすこ娘むすめを火ひに焼やいた。わたしはそれを命めいじたことはなく、またそのようなことを考かんがえたこともなかった。7:32 主しゅは言いわれる、それゆえに見みよ、その所ところをトペテ、またはベンヒンノムの谷たにと呼よばないで、ほふりの谷たにと呼よぶ日ひが来くる。それはほかに場所ばしょがないので、トペテに葬ほうむるからである。7:33 この民たみの死体したいは空そらの鳥とりと地ちの獣けものの食物しょくもつとなり、これを追おい払はらう者ものもない。7:34 そのときわたしはユダの町々まちまちとエルサレムのちまたに、喜よろこびの声こえ、楽たのしみの声こえ、花婿はなむこの声こえ、花嫁はなよめの声こえを絶たやす。この地ちは荒あれ果はてるからである。 第8章 8:1 主しゅは言いわれる、その時ときユダの王おうたちの骨ほねと、そのつかさたちの骨ほねと、祭司さいしたちの骨ほねと、預言者よげんしゃたちの骨ほねと、エルサレムに住すむ人々ひとびとの骨ほねは墓はかより掘ほり出だされて、8:2 彼かれらの愛あいし、仕つかえ、従したがい、求もとめ、また拝おがんだ、日ひと月つきと天てんの衆しゅう群ぐんの前まえにさらされる。その骨ほねは集あつめる者ものも葬ほうむる者ものもなく、地ちのおもてに糞土ふんどのようになる。8:3 この悪あしき民たみのうちの残のこっている残のこりの者ものはみな、わたしが追おいやった場所ばしょで、生いきることよりも死しぬことを願ねがうようになると、万軍ばんぐんの主しゅは言いわれる。 8:4 あなたは彼かれらに言いわなければならない。主しゅはこう仰おおせられる、人ひとは倒たおれたならば、また起おきあがらないであろうか。離はなれていったならば、帰かえってこないであろうか。8:5 それにどうしてこの民たみは、常つねにそむいて離はなれていくのか。彼かれらは偽いつわりを固かたくとらえて、帰かえってくることを拒こばんでいる。8:6 わたしは気きをつけて聞きいたが、彼かれらは正ただしくは語かたらなかった。その悪あくを悔くいて、『わたしのした事ことは何なにか』という者ものはひとりもない。彼かれらはみな戦場せんじょうに、はせ入いる馬うまのように、自分じぶんのすきな道みちに向むかう。8:7 空そらのこうのとりでもその時ときを知しり、山やまばとと、つばめと、つるはその来くる時ときを守まもる。しかしわが民たみは主しゅのおきてを知しらない。 8:8 どうしてあなたがたは、『われわれには知恵ちえがある、主しゅのおきてがある』と言いうことができようか。見みよ、まことに書記しょきの偽いつわりの筆ふでがこれを偽いつわりにしたのだ。8:9 知恵ちえある者ものは、はずかしめられ、あわてふためき、捕とらえられる。見みよ、彼かれらは主しゅの言葉ことばを捨すてた、彼かれらになんの知恵ちえがあろうか。8:10 それゆえ、わたしは彼かれらの妻つまを他人たにんに与あたえ、その畑はたけを征服せいふく者しゃに与あたえる。それは彼かれらが小ちいさい者ものから大おおきい者ものにいたるまで、みな不正ふせいな利りをむさぼり、預言者よげんしゃから祭司さいしにいたるまで、みな偽いつわりを行いっているからである。8:11 彼かれらは手軽てがるに、わたしの民たみの傷きずをいやし、平安へいあんがないのに、『平安へいあん、平安へいあん』と言いっている。8:12 彼かれらは憎にくむべきことをして、恥はじたであろうか。すこしも恥はずかしいとは思おもわず、また恥はじることを知しらなかった。それゆえ彼かれらは倒たおれる者ものと共ともに倒たおれる。わたしが彼かれらを罰ばっするとき、彼かれらは倒たおれると、主しゅは言いわれる。8:13 主しゅは言いわれる、わたしが集あつめようと思おもうとき、ぶどうの木きにぶどうはなく、いちじくの木きに、いちじくはなく、葉はさえ、しぼんでいる。わたしが彼かれらに与あたえたものも、彼かれらを離はなれて、うせ去さった」。 8:14 どうしてわれわれはなす事こともなく座ざしているのか。集あつまって、堅固けんごな町まちにはいり、そこでわれわれは滅ほろびよう。われわれが主しゅに罪つみを犯おかしたので、われわれの神かみ、主しゅがわれわれを滅ほろぼそうとして、毒どくの水みずを飲のませられるのだ。8:15 われわれは平安へいあんを望のぞんだが、良よい事ことはこなかった。いやされる時ときを望のぞんだが、かえって恐怖きょうふが来きた。 8:16 「彼かれらの馬うまのいななきはダンから聞きこえてくる。彼かれらの強つよい馬うまの声こえによって全ぜん地ちは震ふるう。彼かれらは来きて、この地ちと、ここにあるすべてのもの、町まちと、そのうちに住すむ者ものとを食くい滅ほろぼす。8:17 見みよ、魔法まほうをもってならすことのできない、へびや、まむしをあなたがたのうちにつかわす。それはあなたがたをかむ」と主しゅは言いわれる。 8:18 わが嘆なげきはいやしがたく、わが心こころはうちに悩なやむ。8:19 聞きけ、地ちの全面ぜんめんから、わが民たみの娘むすめの声こえがあがるのを。「主しゅはシオンにおられないのか、シオンの王おうはそのうちにおられないのか」。「なぜ彼かれらはその彫像ちょうぞうと、異邦いほうの偶像ぐうぞうとをもって、わたしを怒いからせたのか」。8:20 「刈入かりいれの時ときは過すぎ、夏なつもはや終おわった、しかしわれわれはまだ救すくわれない」。8:21 わが民たみの娘むすめの傷きずによって、わが心こころは痛いたむ。わたしは嘆なげき、うろたえる。 8:22 ギレアデに乳香にゅうこうがあるではないか。その所ところに医者いしゃがいるではないか。それにどうしてわが民たみの娘むすめはいやされることがないのか。 第9章 9:1 ああ、わたしの頭あたまが水みずとなり、わたしの目めが涙なみだの泉いずみとなればよいのに。そうすれば、わたしは民たみの娘むすめの殺ころされた者もののために昼ひるも夜よるも嘆なげくことができる。9:2 ああ、わたしが荒野あらのに、隊商たいしょうの宿やどを得えることができればよいのに。そうすれば、わたしは民たみを離はなれて去さって行いくことができる。彼かれらはみな姦淫かんいんする者もの、不信ふしんのともがらだからである。9:3 彼かれらは弓ゆみをひくように、その舌したを曲まげる。真実しんじつではなく、偽いつわりがこの地ちに強つよくなった。彼かれらは悪あくより悪あくに進すすみ、またわたしを知しらないと、主しゅは言いわれる。 9:4 あなたがたはおのおの隣となり人びとに気きをつけよ。どの兄弟きょうだいをも信しんじてはならない。兄弟きょうだいはみな、押おしのける者ものであり、隣となり人びとはみな、ののしって歩あるく者ものだからである。9:5 人ひとはみな、その隣となり人びとを欺あざむき、真実しんじつを言いう者ものはない。彼かれらは自分じぶんの舌したに偽いつわりを言いうことを教おしえ、悪あくを行おこない、疲つかれて悔くい改あらためるいとまもなく、9:6 しえたげに、しえたげを積つみ重かさね、偽いつわりに偽いつわりを積つみ重かさね、わたしを知しることを拒こばんでいると、主しゅは言いわれる。 9:7 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらを溶とかし、試こころみる。このほか、わが民たみをどうすることができよう。9:8 彼かれらの舌したは殺ころす矢やのようだ、それは偽いつわりを言いう。その口くちではおのおの隣となり人びとにおだやかに語かたるが、その心こころでは彼かれを待まち伏ぶせる計はかりごとを立たてる。9:9 主しゅは言いわれる、これらのことのために、わたしが彼かれらを罰ばっしないだろうか。わたしがこのような民たみにあだを返かえさないだろうか。 9:10 山やまのために泣なき叫さけび、野のの牧場まきばのために悲かなしめ。これらは荒あれすたれて、通とおり過すぎる人ひともない。ここには牛うし、羊ひつじの鳴なく声こえも聞きこえず、空そらの鳥とりも獣けものも皆みな逃にげ去さった。9:11 わたしはエルサレムを荒塚あれづかとし、山犬やまいぬの巣すとする。またユダの町々まちまちを荒あらして、住すむ人ひともない所ところとする」。9:12 知恵ちえがあって、これを悟さとることのできる人ひとはだれか。主しゅの口くちの言葉ことばをうけて、それを示しめす人ひとはだれか。この地ちが滅ほろぼされて荒野あらののようになり、通とおり過すぎる人ひともなくなったのはどういうわけか。9:13 主しゅは言いわれる、「それは彼かれらの前まえにわたしが立たてたおきてを彼かれらが捨すてて、わたしの声こえに聞きき従したがわず、そのとおりに歩あるかなかったからである。9:14 彼かれらは強情ごうじょうに自分じぶんの心こころに従したがい、また先祖せんぞの教おしえたようにバアルに従したがった。9:15 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、見みよ、わたしはこの民たみに、にがよもぎを食たべさせ、毒どくの水みずを飲のませ、9:16 彼かれらも、その先祖せんぞたちも知しらなかった国くにびとのうちに彼かれらを散ちらし、また彼かれらを滅ほろぼし尽つくすまで、そのうしろに、つるぎをつかわす」。9:17 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「よく考かんがえて、泣なき女おんなを呼よべ。また人ひとをつかわして巧たくみな女おんなを招まねけ。9:18 彼かれらに急いそいでこさせ、われわれのために泣なき悲かなしませて、われわれの目めに涙なみだをこぼさせ、まぶたから水みずをあふれさせよ。9:19 シオンから悲かなしみの声こえが聞きこえる。それは言いう、『ああ、われわれは滅ほろぼされ、いたく、はずかしめられている。われわれはその地ちを去さり、彼かれらがわれわれのすみかをこわしたからだ』」。 9:20 女おんなたちよ、主しゅの言葉ことばを聞きけ。あなたがたの耳みみに、その口くちの言葉ことばをいれよ。あなたがたの娘むすめに悲かなしみの歌うたを教おしえ、おのおのその隣となり人びとに哀悼あいとうの歌うたを教おしえよ。9:21 死しがわれわれの窓まどに上のぼって来き、われわれの邸宅ていたくの中なかにはいり、ちまたにいる子こどもらを絶たやし、広場ひろばにいる若わかい人ひとたちを殺ころそうとしているからだ。9:22 あなたはこう言いいなさい、「主しゅは言いわれる、『人ひとの死体したいが糞土ふんどのように、野のに倒たおれているようになり、また刈入かりいれする人ひとのうしろに残のこって、だれも集あつめることをしない束たばのようになる』」。9:23 主しゅはこう言いわれる、「知恵ちえある人ひとはその知恵ちえを誇ほこってはならない。力ちからある人ひとはその力ちからを誇ほこってはならない。富とめる者ものはその富とみを誇ほこってはならない。9:24 誇ほこる者ものはこれを誇ほこりとせよ。すなわち、さとくあって、わたしを知しっていること、わたしが主しゅであって、地ちに、いつくしみと公平こうへいと正義せいぎを行いっている者ものであることを知しることがそれである。わたしはこれらの事ことを喜よろこぶと、主しゅは言いわれる」。 9:25 主しゅは言いわれる、「見みよ、このような日ひが来くる。その日ひには、割礼かつれいをうけても、心こころに割礼かつれいをうけていないすべての人ひとをわたしは罰ばっする。9:26 エジプト、ユダ、エドム、アンモンの人々ひとびと、モアブ、および野のにいて、髪かみの毛けのすみずみをそる人々ひとびとはそれである。これらの国くにびとはみな割礼かつれいをうけていない者ものであり、イスラエルの全家ぜんかもみな心こころに割礼かつれいをうけていない者ものである」。 第10章 10:1 イスラエルの家いえよ、主しゅのあなたがたに語かたられる言葉ことばを聞きけ。10:2 主しゅはこう言いわれる、 「異邦いほうの人ひとの道みちに習ならってはならない。また異邦いほうの人ひとが天てんに現あらわれるしるしを恐おそれても、あなたがたはそれを恐おそれてはならない。10:3 異邦いほうの民たみのならわしはむなしいからだ。彼かれらの崇拝すうはいするものは、林はやしから切きりだした木きで、木工もっこうの手てで、おのをもって つくったものだ。10:4 人々ひとびとは銀ぎんや金きんをもって、それを飾かざり、くぎと鎚つちをもって動うごかないようにそれをとめる。10:5 その偶像ぐうぞうは、きゅうり畑はたけのかかしのようで、ものを言いうことができない。歩あるくこともできないから、人ひとに運はこんでもらわなければならない。それを恐おそれるに及およばない。それは災わざわいをくだすことができず、また幸さいわいをくだす力ちからもないからだ」。 10:6 主しゅよ、あなたに並ならびうる者ものはありません。あなたは大おおいなる者ものであり、あなたの名なもその力ちからのために大おおいなるものであります。10:7 万国ばんこくの王おうであるあなたを、恐おそれない者ものがありましょうか。あなたを恐おそれるのは当然とうぜんのことであります。万国ばんこくのすべての知恵ちえある者もののうちにも、その国々くにぐにのうちにも、あなたに並ならびうる者ものはありません。10:8 彼かれらは皆みな、愚おろかで鈍にぶく、偶像ぐうぞうの教おしえは、ただ木きにすぎない。10:9 銀ぎんぱくはタルシシから渡来とらいし、金きんはウパズから携たずさえてくる。これらは工人こうじんと金きん細工人ざいくにんの工作こうさくである。彼かれらの着物きものはすみれ色いろと紫色むらさきいろである。これらはみな巧たくみな細工人さいくにんの作つくった物ものである。10:10 しかし主しゅはまことの神かみである。生いきた神かみであり、永遠えいえんの王おうである。その怒いかりによって地ちは震ふるいうごき、万国ばんこくはその憤いきどおりに当あたることができない。10:11 あなたがたは彼かれらに、こう言いわなければならない、「天地てんちを つくらなかった神々かみがみは地ちの上うえ、天てんの下したから滅ほろび去さる」と。 10:12 主しゅはその力ちからをもって地ちを造つくり、その知恵ちえをもって世界せかいを建たて、その悟さとりをもって天てんをのべられた。10:13 彼かれが声こえを出だされると、天てんに多おおくの水みずのざわめきがあり、また地ちの果はてから霧きりを立たちあがらせられる。彼かれは雨あめのために、いなびかりをおこし、その倉くらから風かぜを取とり出だされる。10:14 すべての人ひとは愚おろかで知恵ちえがなく、すべての金きん細工人ざいくにんはその造つくった偶像ぐうぞうのために恥はじをこうむる。その偶像ぐうぞうは偽いつわり物もので、そのうちに息いきがないからだ。10:15 これらは、むなしいもので、迷まよいのわざである。罰ばっせられる時ときに滅ほろびるものである。10:16 ヤコブの分ぶんである彼かれはこのようなものではない。彼かれは万物ばんぶつの造つくり主ぬしだからである。イスラエルは彼かれの嗣し業ぎょうとしての部族ぶぞくである。彼かれの名なを万軍ばんぐんの主しゅという。 10:17 囲かこみの中なかにおる者ものよ、あなたの包つつみを地ちから取とり上あげよ。10:18 主しゅがこう言いわれるからだ、「見みよ、わたしはこのたび、この地ちに住すむ者ものを投なげ捨すてる。かつ彼かれらをせめなやまして、思おもい知しらせる」。 10:19 わたしはいたでをうけた、ああ、わざわいなるかな、わたしの傷きずは重おもい。しかしわたしは言いった、「まことに、これは悩なやみである。わたしはこれを忍しのばなければならない」と。10:20 わたしの天幕てんまくは破やぶれ、綱つなはことごとく切きれ、子こどもたちはわたしを捨すてて行いって、いなくなった。もはやわたしの天幕てんまくを張はる者ものはなく、幕まくを掛かける者ものもない。10:21 牧者ぼくしゃは愚おろかであって、主しゅに問とうことをしないからである。それゆえ彼かれらは栄さかえることもなく、その群むれはみな散ちり去さっている。 10:22 聞きけよ、うわさのあるのを。見みよ、北きたの国くにから大おおいなる騒さわぎが来くる。これはユダの町々まちまちを荒あらして山犬やまいぬの巣すとする。 10:23 主しゅよ、わたしは知しっています、人ひとの道みちは自身じしんによるのではなく、歩あゆむ人ひとが、その歩あゆみを自分じぶんで決きめることのできないことを。10:24 主しゅよ、わたしを懲こらしてください。正ただしい道みちにしたがって、怒いからずに懲こらしてください。さもないと、わたしは無むに帰きしてしまうでしょう。 10:25 あなたを知しらない国民くにたみと、あなたの名なをとなえない人々ひとびとにあなたの怒いかりを注そそいでください。彼かれらはヤコブを食くい尽つくしこれを食くい尽つくして滅ほろぼし、そのすみかを荒あらしたからです。 第11章 11:1 主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことばは言いう、11:2 「この契約けいやくの言葉ことばを聞きき、ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者ものに告つげよ。11:3 彼かれらに言いえ、イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、この契約けいやくの言葉ことばに従したがわない人ひとは、のろわれる。11:4 この契約けいやくは、わたしがあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ち、鉄てつのかまどの中なかから導みちびき出だした時ときに、彼かれらに命めいじたところのものである。すなわち、その時ときわたしは彼かれらに言いった、わたしの声こえを聞きき、あなたがたに命めいじるすべてのことを行おこなうならば、あなたがたはわたしの民たみとなり、わたしはあなたがたの神かみとなる。11:5 そして、わたしがあなたがたの先祖せんぞに、乳ちちと蜜みつとの流ながれる地ちを与あたえると誓ちかったことを、なし遂とげると。すなわち今日こんにちのとおりである」。その時ときわたしは、「主しゅよ、仰おおせのとおりです」と答こたえた。 11:6 主しゅはわたしに言いわれた、「このすべての言葉ことばを、ユダの町々まちまちと、エルサレムのちまたに告つげ示しめし、この契約けいやくの言葉ことばを聞きき、これを行おこなえ、と言いいなさい。11:7 わたしは、あなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ちから導みちびき出だした時ときから今日こんにちにいたるまで、おごそかに彼かれらを戒いましめ、絶たえず戒いましめて、わたしの声こえに聞きき従したがうようにと言いった。11:8 しかし彼かれらは従したがわず、その耳みみを傾かたむけず、おのおの自分じぶんの悪わるい強情ごうじょうな心こころに従したがって歩あゆんだ。それゆえ、わたしはこの契約けいやくの言葉ことばをもって彼かれらを責せめた。これはわたしが彼かれらに行おこなえと命めいじたが、行おこなわなかったものである」。 11:9 主しゅはまたわたしに言いわれた、「ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者もののうちに反逆はんぎゃくの事ことがある。11:10 彼かれらは、わたしの言葉ことばを聞きくことを拒こばんだその先祖せんぞたちの罪つみに立たち返かえり、またほかの神々かみがみに従したがってそれに仕つかえた。イスラエルの家いえとユダの家いえとは、わたしがその先祖せんぞたちと結むすんだ契約けいやくを破やぶった。11:11 それゆえ主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしは災わざわいを彼かれらの上うえに下くだす。彼かれらはそれを免まぬかれることはできない。彼かれらがわたしを呼よんでも、わたしは聞きかない。11:12 ユダの町々まちまちとエルサレムに住すむ者ものは、行いって、自分じぶんたちがそれに香こうをたいている神々かみがみに呼よび求もとめるが、これらは、彼かれらの災わざわいの時ときにも決けっして彼かれらを救すくうことはできない。11:13 ユダよ、あなたの神々かみがみは、あなたの町まちの数かずほど多おおくなった。またあなたがたはエルサレムのちまたの数かずほどの祭壇さいだんを恥はずべき者もののために立たてた。すなわちバアルに香こうをたくための祭壇さいだんである。 11:14 それゆえ、この民たみのために祈いのってはならない。また彼かれらのために泣なき、あるいは祈いのり求もとめてはならない。彼かれらがその災わざわいの時ときに、わたしに呼よばわっても、わたしは彼かれらに聞きくことをしないからだ。11:15 わが愛あいする者ものは、わたしの家いえで何なにをするのか。すでにこれは悪事あくじを行おこなった。誓願せいがんと犠牲ぎせいの肉にくとがあなたに災わざわいを免まぬかれさせることができるであろうか。それであなたは喜よろこぶことができるであろうか。11:16 主しゅはあなたを、かつては『良よい実みのなる美うつくしい青々あおあおとしたオリブの木き』と呼よばれたが、激はげしい暴風ぼうふうのとどろきと共ともに、主しゅはそれに火ひをかけ、その枝えだを焼やき払はらわれるのである。11:17 あなたを植うえた万軍ばんぐんの主しゅは、あなたに向むかって災わざわいを言いい渡わたされた。これはイスラエルの家いえとユダの家いえとが悪あくを行おこない、バアルに香こうをたいて、わたしを怒いからせたからである」。11:18 主しゅが知しらせてくださったので、わたしはそれを知しった。その時とき、あなたは彼かれらの悪あしきわざをわたしに示しめされた。11:19 しかしわたしは、ほふられに行いく、おとなしい小羊こひつじのようで、彼かれらがわたしを害がいしようと、計はかりごとをめぐらしているのを知しらなかった。彼かれらは言いう、「さあ、木きとその実みを共ともに滅ほろぼそう。生いける者ものの地ちから彼かれを絶たって、その名なを人ひとに忘わすれさせよう」。11:20 正ただしいさばきをし、人ひとの心こころと思おもいを探さぐられる万軍ばんぐんの主しゅよ、わたしは自分じぶんの訴うったえをあなたにお任まかせしました。あなたが彼かれらにあだをかえされるのを見みさせてください。11:21 それゆえ主しゅはアナトテの人々ひとびとについてこう言いわれる、彼かれらはあなたの命いのちを取とろうと求もとめて言いう、「主しゅの名なによって預言よげんしてはならない。それをするならば、あなたはわれわれの手てにかかって死しぬであろう」。11:22 それで万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらを罰ばっする。若わかい人ひとはつるぎで死しに、彼かれらのむすこ娘むすめは、ききんで死しに、11:23 だれも残のこる者ものはない。わたしがアナトテの人々ひとびとに災わざわいを下くだし、彼かれらを罰ばっする年としをこさせるからである」。 第12章 12:1 主しゅよ、わたしがあなたと論ろんじ争あらそう時とき、あなたは常つねに正ただしい。しかしなお、わたしはあなたの前まえに、さばきのことを論ろんじてみたい。悪人あくにんの道みちがさかえ、不信実ふしんじつな者ものがみな繁栄はんえいするのはなにゆえですか。12:2 あなたが彼かれらを植うえられたので、彼かれらは根ねづき、育そだって、実みを結むすびます。彼かれらは口くちではあなたに近ちかづきますが、心こころはあなたから遠とおざかっています。12:3 主しゅよ、あなたはわたしを知しり、わたしを見み、わたしの心こころがあなたに対たいしていかにあるかを試こころみられます。ほふるために羊ひつじを引ひき出だすように、彼かれらを引ひき出だし、殺ころす日ひにそなえて、彼かれらを残のこしておいてください。12:4 いつまで、この地ちは嘆なげき、どの畑はたけの野菜やさいも枯かれていてよいでしょうか。この地ちに住すむ者ものの悪あくによって、獣けものと鳥とりは滅ほろびうせます。人々ひとびとは言いいました、「彼かれはわれわれの終おわりを見みることはない」と。 12:5 「もしあなたが、徒歩とほの人ひとと競争きょうそうして疲つかれるなら、どうして騎馬きばの人ひとと競きそうことができようか。もし安全あんぜんな地ちで、あなたが倒たおれるなら、ヨルダンの密林みつりんでは、どうするつもりか。12:6 あなたの兄弟きょうだいたち、あなたの父ちちの家いえのものさえ、あなたを欺あざむき、大声おおごえをあげて、あなたを追おっている。彼かれらが親したしげにあなたに語かたることがあっても、彼かれらを信しんじてはならない」。 12:7 「わたしはわが家いえを離はなれ、わが嗣し業ぎょうを捨すて、わが魂たましいの愛あいする者ものを敵てきの手てに渡わたした。12:8 わたしの嗣し業ぎょうは、わたしにとって林はやしの中なかのししのようになった。これはわたしに向むかってその声こえをあげる。それゆえわたしはこれを憎にくむ。12:9 わたしの嗣し業ぎょうは、わたしにとって、斑点はんてんのある猛禽もうきんのようではないか。他たの猛禽もうきんがこれを囲かこんでいるではないか。行いって、野のの獣けものをみな集あつめ、連つれてきてこれを食たべさせよ。12:10 多おおくの牧者ぼくしゃたちはわたしのぶどう畑はたけを滅ほろぼし、わたしの地ちを踏ふみ荒あらした。わたしの麗うるわしい地ちを荒あれた野のにした。12:11 彼かれらはこれを荒あれ地ちとしてしまった。その荒あれ地ちがわたしに向むかって嘆なげくのだ。全ぜん地ちは荒あれ地ちにされた。しかし、ひとりもこれを心こころに留とめる者ものはない。12:12 滅ほろぼす者ものどもが荒野あらののすべての、はげ山やまの上うえにきた。主しゅのつるぎが、地ちの、この果はてから、かの果はてまでを滅ほろぼすのだ。命いのちあるものは安やすらかであることができない。12:13 彼かれらは麦むぎをまいて、いばらを刈かり取とる。苦労くろうしてもなんの利益りえきもない。彼かれらはその収穫しゅうかくを恥はじるようになる。主しゅの激はげしい怒いかりによってである」。12:14 わたしがわが民たみイスラエルにつがせた嗣し業ぎょうに手てを触ふれるすべての悪わるい隣となり人びとについて、主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらをその地ちから抜ぬき出だし、ユダの家いえを彼かれらのうちから抜ぬき出だす。12:15 わたしは、彼かれらを抜ぬき出だしたのちに、また彼かれらをあわれんで、それぞれその嗣し業ぎょうに導みちびき返かえし、おのおのを、その地ちに帰かえらせる。12:16 もし彼かれらがわたしの民たみの道みちを学まなび、わたしの名なによって、『主しゅは生いきておられる』と言いって誓ちかうことが、かつて彼かれらがわたしの民たみに教おしえてバアルをさして誓ちかわせたようになるならば、彼かれらはわたしの民たみのうちに建たてられる。12:17 しかし耳みみをかさない民たみがあるときは、わたしはその民たみを抜ぬき出だして滅ほろぼすと、主しゅは言いわれる」。
7:1 主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことばはこうである。
7:2 「主しゅの家いえの門もんに立たち、その所ところで、この言葉ことばをのべて言いえ、主しゅを拝おがむために、この門もんをはいるユダのすべての人ひとよ、主しゅの言葉ことばを聞きけ。
7:3 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、あなたがたの道みちとあなたがたの行おこないを改あらためるならば、わたしはあなたがたをこの所ところに住すまわせる。
7:4 あなたがたは、『これは主しゅの神殿しんでんだ、主しゅの神殿しんでんだ、主しゅの神殿しんでんだ』という偽いつわりの言葉ことばを頼たのみとしてはならない。
7:5 もしあなたがたが、まことに、その道みちと行おこないを改あらためて、互たがいに公正こうせいを行おこない、
7:6 寄留きりゅうの他国たこく人じんと、みなしごと、やもめをしえたげることなく、罪つみのない人ひとの血ちをこの所ところに流ながすことなく、また、ほかの神々かみがみに従したがって自みずから害がいをまねくことをしないならば、
7:7 わたしはあなたがたを、わたしが昔むかしあなたがたの先祖せんぞに与あたえたこの地ちに永遠えいえんに住すまわせる。
7:8 見みよ、あなたがたは偽いつわりの言葉ことばを頼たのみとしているが、それはむだである。
7:9 あなたがたは盗ぬすみ、殺ころし、姦淫かんいんし、偽いつわって誓ちかい、バアルに香こうをたき、あなたがたが以前いぜんには知しらなかった他たの神々かみがみに従したがいながら、
7:10 わたしの名なをもって、となえられるこの家いえに来きてわたしの前まえに立たち、『われわれは救すくわれた』と言いい、しかもすべてこれら憎にくむべきことを行おこなうのは、どうしたことか。
7:11 わたしの名なをもって、となえられるこの家いえが、あなたがたの目めには盗賊とうぞくの巣すと見みえるのか。わたし自身じしん、そう見みたと主しゅは言いわれる。
7:12 わたしが初はじめにわたしの名なを置おいた場所ばしょシロへ行いき、わが民たみイスラエルの悪あくのために、わたしがその場所ばしょに対たいして行おこなったことを見みよ。
7:13 主しゅは言いわれる、今いまあなたがたはこれらのすべてのことを行おこなっている。またわたしはあなたがたに、しきりに語かたったけれども、あなたがたは聞きかず、あなたがたを呼よんだけれども答こたえなかった。
7:14 それゆえわたしはシロに対たいして行おこなったように、わたしの名なをもって、となえられるこの家いえにも行おこなう。すなわちあなたがたが頼たのみとする所ところ、わたしがあなたがたと、あなたがたの先祖せんぞに与あたえたこの所ところに行おこなう。
7:15 そしてわたしは、あなたがたのすべての兄弟きょうだい、すなわちエフライムのすべての子孫しそんを捨すてたように、わたしの前まえからあなたがたをも捨すてる。
7:16 あなたはこの民たみのために祈いのってはならない。彼かれらのために嘆なげき、祈いのってはならない。またわたしに、とりなしをしてはならない。わたしはあなたの求もとめを聞きかない。
7:17 あなたは彼かれらがユダの町々まちまちと、エルサレムのちまたでしていることを見みないのか。
7:18 子こどもらは、たきぎを集あつめ、父ちちたちは火ひをたき、女おんなは粉こなをこね、パンを つくってこれを天后てんこうに供そなえる。また彼かれらは他たの神々かみがみの前まえに酒さけを注そそいで、わたしを怒いからせる。
7:19 主しゅは言いわれる、彼かれらが怒いからせるのはわたしなのか。自分じぶんたち自身じしんではないのか。そして自みずからうろたえている。
7:20 それゆえ主しゅなる神かみはこう言いわれる、見みよ、わたしの怒いかりと憤いきどおりを、この所ところと、人ひとと獣けものと、畑はたけの木きと、地ちの産物さんぶつとに注そそぐ。怒いかりは燃もえて消きえることがない」。
7:21 万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、「あなたがたの犠牲ぎせいに燔祭はんさいの物ものを合あわせて肉にくを食たべるがよい。
7:22 それはあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ちから導みちびき出だした日ひに、わたしは燔祭はんさいと犠牲ぎせいとについて彼かれらに語かたったこともなく、また命めいじたこともないからである。
7:23 ただわたしはこの戒いましめを彼かれらに与あたえて言いった、『わたしの声こえに聞ききしたがいなさい。そうすれば、わたしはあなたがたの神かみとなり、あなたがたはわたしの民たみとなる。わたしがあなたがたに命めいじるすべての道みちを歩あゆんで幸さいわいを得えなさい』と。
7:24 しかし彼かれらは聞きき従したがわず、耳みみを傾かたむけず、自分じぶんの悪わるい心こころの計はかりごとと強情ごうじょうにしたがって歩あゆみ、悪わるくなるばかりで、よくはならなかった。
7:25 あなたがたの先祖せんぞがエジプトの地ちを出でた日ひから今日こんにちまで、わたしはわたしのしもべである預言者よげんしゃたちを日々ひび彼かれらにつかわした。
7:26 しかし彼かれらはわたしに聞きかず、耳みみを傾かたむけないで強情ごうじょうになり、先祖せんぞたちにもまさって悪あくを行おこなった。
7:27 たといあなたが彼かれらにこのすべての言葉ことばを語かたっても彼かれらは聞きかない。また彼かれらを呼よんでもあなたに答こたえない。
7:28 それゆえ、あなたはこう彼かれらに言いわなければならない、『これはその神かみ、主しゅの声こえに聞きき従したがわず、その戒いましめを受うけいれなかった国民こくみんである。真実しんじつはうせ、彼かれらの口くちから絶たえた。
7:29 あなたの髪かみの毛けを切きって捨すてよ、裸はだかの山やまの上うえに嘆なげきの声こえをあげよ。主しゅが、お怒いかりになっている世よの人ひとを退しりぞけ捨すてられたからだ』。
7:30 主しゅは言いわれる、ユダの民たみはわたしの前まえに悪あくを行おこない、わたしの名なをもってとなえられる家いえに、憎にくむべき者ものを置おいてそこを汚けがした。
7:31 またベンヒンノムの谷たににあるトペテの高たかき所ところを築きずいて、むすこ娘むすめを火ひに焼やいた。わたしはそれを命めいじたことはなく、またそのようなことを考かんがえたこともなかった。
7:32 主しゅは言いわれる、それゆえに見みよ、その所ところをトペテ、またはベンヒンノムの谷たにと呼よばないで、ほふりの谷たにと呼よぶ日ひが来くる。それはほかに場所ばしょがないので、トペテに葬ほうむるからである。
7:33 この民たみの死体したいは空そらの鳥とりと地ちの獣けものの食物しょくもつとなり、これを追おい払はらう者ものもない。
7:34 そのときわたしはユダの町々まちまちとエルサレムのちまたに、喜よろこびの声こえ、楽たのしみの声こえ、花婿はなむこの声こえ、花嫁はなよめの声こえを絶たやす。この地ちは荒あれ果はてるからである。
第8章 8:1 主しゅは言いわれる、その時ときユダの王おうたちの骨ほねと、そのつかさたちの骨ほねと、祭司さいしたちの骨ほねと、預言者よげんしゃたちの骨ほねと、エルサレムに住すむ人々ひとびとの骨ほねは墓はかより掘ほり出だされて、8:2 彼かれらの愛あいし、仕つかえ、従したがい、求もとめ、また拝おがんだ、日ひと月つきと天てんの衆しゅう群ぐんの前まえにさらされる。その骨ほねは集あつめる者ものも葬ほうむる者ものもなく、地ちのおもてに糞土ふんどのようになる。8:3 この悪あしき民たみのうちの残のこっている残のこりの者ものはみな、わたしが追おいやった場所ばしょで、生いきることよりも死しぬことを願ねがうようになると、万軍ばんぐんの主しゅは言いわれる。 8:4 あなたは彼かれらに言いわなければならない。主しゅはこう仰おおせられる、人ひとは倒たおれたならば、また起おきあがらないであろうか。離はなれていったならば、帰かえってこないであろうか。8:5 それにどうしてこの民たみは、常つねにそむいて離はなれていくのか。彼かれらは偽いつわりを固かたくとらえて、帰かえってくることを拒こばんでいる。8:6 わたしは気きをつけて聞きいたが、彼かれらは正ただしくは語かたらなかった。その悪あくを悔くいて、『わたしのした事ことは何なにか』という者ものはひとりもない。彼かれらはみな戦場せんじょうに、はせ入いる馬うまのように、自分じぶんのすきな道みちに向むかう。8:7 空そらのこうのとりでもその時ときを知しり、山やまばとと、つばめと、つるはその来くる時ときを守まもる。しかしわが民たみは主しゅのおきてを知しらない。 8:8 どうしてあなたがたは、『われわれには知恵ちえがある、主しゅのおきてがある』と言いうことができようか。見みよ、まことに書記しょきの偽いつわりの筆ふでがこれを偽いつわりにしたのだ。8:9 知恵ちえある者ものは、はずかしめられ、あわてふためき、捕とらえられる。見みよ、彼かれらは主しゅの言葉ことばを捨すてた、彼かれらになんの知恵ちえがあろうか。8:10 それゆえ、わたしは彼かれらの妻つまを他人たにんに与あたえ、その畑はたけを征服せいふく者しゃに与あたえる。それは彼かれらが小ちいさい者ものから大おおきい者ものにいたるまで、みな不正ふせいな利りをむさぼり、預言者よげんしゃから祭司さいしにいたるまで、みな偽いつわりを行いっているからである。8:11 彼かれらは手軽てがるに、わたしの民たみの傷きずをいやし、平安へいあんがないのに、『平安へいあん、平安へいあん』と言いっている。8:12 彼かれらは憎にくむべきことをして、恥はじたであろうか。すこしも恥はずかしいとは思おもわず、また恥はじることを知しらなかった。それゆえ彼かれらは倒たおれる者ものと共ともに倒たおれる。わたしが彼かれらを罰ばっするとき、彼かれらは倒たおれると、主しゅは言いわれる。8:13 主しゅは言いわれる、わたしが集あつめようと思おもうとき、ぶどうの木きにぶどうはなく、いちじくの木きに、いちじくはなく、葉はさえ、しぼんでいる。わたしが彼かれらに与あたえたものも、彼かれらを離はなれて、うせ去さった」。 8:14 どうしてわれわれはなす事こともなく座ざしているのか。集あつまって、堅固けんごな町まちにはいり、そこでわれわれは滅ほろびよう。われわれが主しゅに罪つみを犯おかしたので、われわれの神かみ、主しゅがわれわれを滅ほろぼそうとして、毒どくの水みずを飲のませられるのだ。8:15 われわれは平安へいあんを望のぞんだが、良よい事ことはこなかった。いやされる時ときを望のぞんだが、かえって恐怖きょうふが来きた。 8:16 「彼かれらの馬うまのいななきはダンから聞きこえてくる。彼かれらの強つよい馬うまの声こえによって全ぜん地ちは震ふるう。彼かれらは来きて、この地ちと、ここにあるすべてのもの、町まちと、そのうちに住すむ者ものとを食くい滅ほろぼす。8:17 見みよ、魔法まほうをもってならすことのできない、へびや、まむしをあなたがたのうちにつかわす。それはあなたがたをかむ」と主しゅは言いわれる。 8:18 わが嘆なげきはいやしがたく、わが心こころはうちに悩なやむ。8:19 聞きけ、地ちの全面ぜんめんから、わが民たみの娘むすめの声こえがあがるのを。「主しゅはシオンにおられないのか、シオンの王おうはそのうちにおられないのか」。「なぜ彼かれらはその彫像ちょうぞうと、異邦いほうの偶像ぐうぞうとをもって、わたしを怒いからせたのか」。8:20 「刈入かりいれの時ときは過すぎ、夏なつもはや終おわった、しかしわれわれはまだ救すくわれない」。8:21 わが民たみの娘むすめの傷きずによって、わが心こころは痛いたむ。わたしは嘆なげき、うろたえる。 8:22 ギレアデに乳香にゅうこうがあるではないか。その所ところに医者いしゃがいるではないか。それにどうしてわが民たみの娘むすめはいやされることがないのか。 第9章 9:1 ああ、わたしの頭あたまが水みずとなり、わたしの目めが涙なみだの泉いずみとなればよいのに。そうすれば、わたしは民たみの娘むすめの殺ころされた者もののために昼ひるも夜よるも嘆なげくことができる。9:2 ああ、わたしが荒野あらのに、隊商たいしょうの宿やどを得えることができればよいのに。そうすれば、わたしは民たみを離はなれて去さって行いくことができる。彼かれらはみな姦淫かんいんする者もの、不信ふしんのともがらだからである。9:3 彼かれらは弓ゆみをひくように、その舌したを曲まげる。真実しんじつではなく、偽いつわりがこの地ちに強つよくなった。彼かれらは悪あくより悪あくに進すすみ、またわたしを知しらないと、主しゅは言いわれる。 9:4 あなたがたはおのおの隣となり人びとに気きをつけよ。どの兄弟きょうだいをも信しんじてはならない。兄弟きょうだいはみな、押おしのける者ものであり、隣となり人びとはみな、ののしって歩あるく者ものだからである。9:5 人ひとはみな、その隣となり人びとを欺あざむき、真実しんじつを言いう者ものはない。彼かれらは自分じぶんの舌したに偽いつわりを言いうことを教おしえ、悪あくを行おこない、疲つかれて悔くい改あらためるいとまもなく、9:6 しえたげに、しえたげを積つみ重かさね、偽いつわりに偽いつわりを積つみ重かさね、わたしを知しることを拒こばんでいると、主しゅは言いわれる。 9:7 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらを溶とかし、試こころみる。このほか、わが民たみをどうすることができよう。9:8 彼かれらの舌したは殺ころす矢やのようだ、それは偽いつわりを言いう。その口くちではおのおの隣となり人びとにおだやかに語かたるが、その心こころでは彼かれを待まち伏ぶせる計はかりごとを立たてる。9:9 主しゅは言いわれる、これらのことのために、わたしが彼かれらを罰ばっしないだろうか。わたしがこのような民たみにあだを返かえさないだろうか。 9:10 山やまのために泣なき叫さけび、野のの牧場まきばのために悲かなしめ。これらは荒あれすたれて、通とおり過すぎる人ひともない。ここには牛うし、羊ひつじの鳴なく声こえも聞きこえず、空そらの鳥とりも獣けものも皆みな逃にげ去さった。9:11 わたしはエルサレムを荒塚あれづかとし、山犬やまいぬの巣すとする。またユダの町々まちまちを荒あらして、住すむ人ひともない所ところとする」。9:12 知恵ちえがあって、これを悟さとることのできる人ひとはだれか。主しゅの口くちの言葉ことばをうけて、それを示しめす人ひとはだれか。この地ちが滅ほろぼされて荒野あらののようになり、通とおり過すぎる人ひともなくなったのはどういうわけか。9:13 主しゅは言いわれる、「それは彼かれらの前まえにわたしが立たてたおきてを彼かれらが捨すてて、わたしの声こえに聞きき従したがわず、そのとおりに歩あるかなかったからである。9:14 彼かれらは強情ごうじょうに自分じぶんの心こころに従したがい、また先祖せんぞの教おしえたようにバアルに従したがった。9:15 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、見みよ、わたしはこの民たみに、にがよもぎを食たべさせ、毒どくの水みずを飲のませ、9:16 彼かれらも、その先祖せんぞたちも知しらなかった国くにびとのうちに彼かれらを散ちらし、また彼かれらを滅ほろぼし尽つくすまで、そのうしろに、つるぎをつかわす」。9:17 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「よく考かんがえて、泣なき女おんなを呼よべ。また人ひとをつかわして巧たくみな女おんなを招まねけ。9:18 彼かれらに急いそいでこさせ、われわれのために泣なき悲かなしませて、われわれの目めに涙なみだをこぼさせ、まぶたから水みずをあふれさせよ。9:19 シオンから悲かなしみの声こえが聞きこえる。それは言いう、『ああ、われわれは滅ほろぼされ、いたく、はずかしめられている。われわれはその地ちを去さり、彼かれらがわれわれのすみかをこわしたからだ』」。 9:20 女おんなたちよ、主しゅの言葉ことばを聞きけ。あなたがたの耳みみに、その口くちの言葉ことばをいれよ。あなたがたの娘むすめに悲かなしみの歌うたを教おしえ、おのおのその隣となり人びとに哀悼あいとうの歌うたを教おしえよ。9:21 死しがわれわれの窓まどに上のぼって来き、われわれの邸宅ていたくの中なかにはいり、ちまたにいる子こどもらを絶たやし、広場ひろばにいる若わかい人ひとたちを殺ころそうとしているからだ。9:22 あなたはこう言いいなさい、「主しゅは言いわれる、『人ひとの死体したいが糞土ふんどのように、野のに倒たおれているようになり、また刈入かりいれする人ひとのうしろに残のこって、だれも集あつめることをしない束たばのようになる』」。9:23 主しゅはこう言いわれる、「知恵ちえある人ひとはその知恵ちえを誇ほこってはならない。力ちからある人ひとはその力ちからを誇ほこってはならない。富とめる者ものはその富とみを誇ほこってはならない。9:24 誇ほこる者ものはこれを誇ほこりとせよ。すなわち、さとくあって、わたしを知しっていること、わたしが主しゅであって、地ちに、いつくしみと公平こうへいと正義せいぎを行いっている者ものであることを知しることがそれである。わたしはこれらの事ことを喜よろこぶと、主しゅは言いわれる」。 9:25 主しゅは言いわれる、「見みよ、このような日ひが来くる。その日ひには、割礼かつれいをうけても、心こころに割礼かつれいをうけていないすべての人ひとをわたしは罰ばっする。9:26 エジプト、ユダ、エドム、アンモンの人々ひとびと、モアブ、および野のにいて、髪かみの毛けのすみずみをそる人々ひとびとはそれである。これらの国くにびとはみな割礼かつれいをうけていない者ものであり、イスラエルの全家ぜんかもみな心こころに割礼かつれいをうけていない者ものである」。 第10章 10:1 イスラエルの家いえよ、主しゅのあなたがたに語かたられる言葉ことばを聞きけ。10:2 主しゅはこう言いわれる、 「異邦いほうの人ひとの道みちに習ならってはならない。また異邦いほうの人ひとが天てんに現あらわれるしるしを恐おそれても、あなたがたはそれを恐おそれてはならない。10:3 異邦いほうの民たみのならわしはむなしいからだ。彼かれらの崇拝すうはいするものは、林はやしから切きりだした木きで、木工もっこうの手てで、おのをもって つくったものだ。10:4 人々ひとびとは銀ぎんや金きんをもって、それを飾かざり、くぎと鎚つちをもって動うごかないようにそれをとめる。10:5 その偶像ぐうぞうは、きゅうり畑はたけのかかしのようで、ものを言いうことができない。歩あるくこともできないから、人ひとに運はこんでもらわなければならない。それを恐おそれるに及およばない。それは災わざわいをくだすことができず、また幸さいわいをくだす力ちからもないからだ」。 10:6 主しゅよ、あなたに並ならびうる者ものはありません。あなたは大おおいなる者ものであり、あなたの名なもその力ちからのために大おおいなるものであります。10:7 万国ばんこくの王おうであるあなたを、恐おそれない者ものがありましょうか。あなたを恐おそれるのは当然とうぜんのことであります。万国ばんこくのすべての知恵ちえある者もののうちにも、その国々くにぐにのうちにも、あなたに並ならびうる者ものはありません。10:8 彼かれらは皆みな、愚おろかで鈍にぶく、偶像ぐうぞうの教おしえは、ただ木きにすぎない。10:9 銀ぎんぱくはタルシシから渡来とらいし、金きんはウパズから携たずさえてくる。これらは工人こうじんと金きん細工人ざいくにんの工作こうさくである。彼かれらの着物きものはすみれ色いろと紫色むらさきいろである。これらはみな巧たくみな細工人さいくにんの作つくった物ものである。10:10 しかし主しゅはまことの神かみである。生いきた神かみであり、永遠えいえんの王おうである。その怒いかりによって地ちは震ふるいうごき、万国ばんこくはその憤いきどおりに当あたることができない。10:11 あなたがたは彼かれらに、こう言いわなければならない、「天地てんちを つくらなかった神々かみがみは地ちの上うえ、天てんの下したから滅ほろび去さる」と。 10:12 主しゅはその力ちからをもって地ちを造つくり、その知恵ちえをもって世界せかいを建たて、その悟さとりをもって天てんをのべられた。10:13 彼かれが声こえを出だされると、天てんに多おおくの水みずのざわめきがあり、また地ちの果はてから霧きりを立たちあがらせられる。彼かれは雨あめのために、いなびかりをおこし、その倉くらから風かぜを取とり出だされる。10:14 すべての人ひとは愚おろかで知恵ちえがなく、すべての金きん細工人ざいくにんはその造つくった偶像ぐうぞうのために恥はじをこうむる。その偶像ぐうぞうは偽いつわり物もので、そのうちに息いきがないからだ。10:15 これらは、むなしいもので、迷まよいのわざである。罰ばっせられる時ときに滅ほろびるものである。10:16 ヤコブの分ぶんである彼かれはこのようなものではない。彼かれは万物ばんぶつの造つくり主ぬしだからである。イスラエルは彼かれの嗣し業ぎょうとしての部族ぶぞくである。彼かれの名なを万軍ばんぐんの主しゅという。 10:17 囲かこみの中なかにおる者ものよ、あなたの包つつみを地ちから取とり上あげよ。10:18 主しゅがこう言いわれるからだ、「見みよ、わたしはこのたび、この地ちに住すむ者ものを投なげ捨すてる。かつ彼かれらをせめなやまして、思おもい知しらせる」。 10:19 わたしはいたでをうけた、ああ、わざわいなるかな、わたしの傷きずは重おもい。しかしわたしは言いった、「まことに、これは悩なやみである。わたしはこれを忍しのばなければならない」と。10:20 わたしの天幕てんまくは破やぶれ、綱つなはことごとく切きれ、子こどもたちはわたしを捨すてて行いって、いなくなった。もはやわたしの天幕てんまくを張はる者ものはなく、幕まくを掛かける者ものもない。10:21 牧者ぼくしゃは愚おろかであって、主しゅに問とうことをしないからである。それゆえ彼かれらは栄さかえることもなく、その群むれはみな散ちり去さっている。 10:22 聞きけよ、うわさのあるのを。見みよ、北きたの国くにから大おおいなる騒さわぎが来くる。これはユダの町々まちまちを荒あらして山犬やまいぬの巣すとする。 10:23 主しゅよ、わたしは知しっています、人ひとの道みちは自身じしんによるのではなく、歩あゆむ人ひとが、その歩あゆみを自分じぶんで決きめることのできないことを。10:24 主しゅよ、わたしを懲こらしてください。正ただしい道みちにしたがって、怒いからずに懲こらしてください。さもないと、わたしは無むに帰きしてしまうでしょう。 10:25 あなたを知しらない国民くにたみと、あなたの名なをとなえない人々ひとびとにあなたの怒いかりを注そそいでください。彼かれらはヤコブを食くい尽つくしこれを食くい尽つくして滅ほろぼし、そのすみかを荒あらしたからです。 第11章 11:1 主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことばは言いう、11:2 「この契約けいやくの言葉ことばを聞きき、ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者ものに告つげよ。11:3 彼かれらに言いえ、イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、この契約けいやくの言葉ことばに従したがわない人ひとは、のろわれる。11:4 この契約けいやくは、わたしがあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ち、鉄てつのかまどの中なかから導みちびき出だした時ときに、彼かれらに命めいじたところのものである。すなわち、その時ときわたしは彼かれらに言いった、わたしの声こえを聞きき、あなたがたに命めいじるすべてのことを行おこなうならば、あなたがたはわたしの民たみとなり、わたしはあなたがたの神かみとなる。11:5 そして、わたしがあなたがたの先祖せんぞに、乳ちちと蜜みつとの流ながれる地ちを与あたえると誓ちかったことを、なし遂とげると。すなわち今日こんにちのとおりである」。その時ときわたしは、「主しゅよ、仰おおせのとおりです」と答こたえた。 11:6 主しゅはわたしに言いわれた、「このすべての言葉ことばを、ユダの町々まちまちと、エルサレムのちまたに告つげ示しめし、この契約けいやくの言葉ことばを聞きき、これを行おこなえ、と言いいなさい。11:7 わたしは、あなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ちから導みちびき出だした時ときから今日こんにちにいたるまで、おごそかに彼かれらを戒いましめ、絶たえず戒いましめて、わたしの声こえに聞きき従したがうようにと言いった。11:8 しかし彼かれらは従したがわず、その耳みみを傾かたむけず、おのおの自分じぶんの悪わるい強情ごうじょうな心こころに従したがって歩あゆんだ。それゆえ、わたしはこの契約けいやくの言葉ことばをもって彼かれらを責せめた。これはわたしが彼かれらに行おこなえと命めいじたが、行おこなわなかったものである」。 11:9 主しゅはまたわたしに言いわれた、「ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者もののうちに反逆はんぎゃくの事ことがある。11:10 彼かれらは、わたしの言葉ことばを聞きくことを拒こばんだその先祖せんぞたちの罪つみに立たち返かえり、またほかの神々かみがみに従したがってそれに仕つかえた。イスラエルの家いえとユダの家いえとは、わたしがその先祖せんぞたちと結むすんだ契約けいやくを破やぶった。11:11 それゆえ主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしは災わざわいを彼かれらの上うえに下くだす。彼かれらはそれを免まぬかれることはできない。彼かれらがわたしを呼よんでも、わたしは聞きかない。11:12 ユダの町々まちまちとエルサレムに住すむ者ものは、行いって、自分じぶんたちがそれに香こうをたいている神々かみがみに呼よび求もとめるが、これらは、彼かれらの災わざわいの時ときにも決けっして彼かれらを救すくうことはできない。11:13 ユダよ、あなたの神々かみがみは、あなたの町まちの数かずほど多おおくなった。またあなたがたはエルサレムのちまたの数かずほどの祭壇さいだんを恥はずべき者もののために立たてた。すなわちバアルに香こうをたくための祭壇さいだんである。 11:14 それゆえ、この民たみのために祈いのってはならない。また彼かれらのために泣なき、あるいは祈いのり求もとめてはならない。彼かれらがその災わざわいの時ときに、わたしに呼よばわっても、わたしは彼かれらに聞きくことをしないからだ。11:15 わが愛あいする者ものは、わたしの家いえで何なにをするのか。すでにこれは悪事あくじを行おこなった。誓願せいがんと犠牲ぎせいの肉にくとがあなたに災わざわいを免まぬかれさせることができるであろうか。それであなたは喜よろこぶことができるであろうか。11:16 主しゅはあなたを、かつては『良よい実みのなる美うつくしい青々あおあおとしたオリブの木き』と呼よばれたが、激はげしい暴風ぼうふうのとどろきと共ともに、主しゅはそれに火ひをかけ、その枝えだを焼やき払はらわれるのである。11:17 あなたを植うえた万軍ばんぐんの主しゅは、あなたに向むかって災わざわいを言いい渡わたされた。これはイスラエルの家いえとユダの家いえとが悪あくを行おこない、バアルに香こうをたいて、わたしを怒いからせたからである」。11:18 主しゅが知しらせてくださったので、わたしはそれを知しった。その時とき、あなたは彼かれらの悪あしきわざをわたしに示しめされた。11:19 しかしわたしは、ほふられに行いく、おとなしい小羊こひつじのようで、彼かれらがわたしを害がいしようと、計はかりごとをめぐらしているのを知しらなかった。彼かれらは言いう、「さあ、木きとその実みを共ともに滅ほろぼそう。生いける者ものの地ちから彼かれを絶たって、その名なを人ひとに忘わすれさせよう」。11:20 正ただしいさばきをし、人ひとの心こころと思おもいを探さぐられる万軍ばんぐんの主しゅよ、わたしは自分じぶんの訴うったえをあなたにお任まかせしました。あなたが彼かれらにあだをかえされるのを見みさせてください。11:21 それゆえ主しゅはアナトテの人々ひとびとについてこう言いわれる、彼かれらはあなたの命いのちを取とろうと求もとめて言いう、「主しゅの名なによって預言よげんしてはならない。それをするならば、あなたはわれわれの手てにかかって死しぬであろう」。11:22 それで万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらを罰ばっする。若わかい人ひとはつるぎで死しに、彼かれらのむすこ娘むすめは、ききんで死しに、11:23 だれも残のこる者ものはない。わたしがアナトテの人々ひとびとに災わざわいを下くだし、彼かれらを罰ばっする年としをこさせるからである」。 第12章 12:1 主しゅよ、わたしがあなたと論ろんじ争あらそう時とき、あなたは常つねに正ただしい。しかしなお、わたしはあなたの前まえに、さばきのことを論ろんじてみたい。悪人あくにんの道みちがさかえ、不信実ふしんじつな者ものがみな繁栄はんえいするのはなにゆえですか。12:2 あなたが彼かれらを植うえられたので、彼かれらは根ねづき、育そだって、実みを結むすびます。彼かれらは口くちではあなたに近ちかづきますが、心こころはあなたから遠とおざかっています。12:3 主しゅよ、あなたはわたしを知しり、わたしを見み、わたしの心こころがあなたに対たいしていかにあるかを試こころみられます。ほふるために羊ひつじを引ひき出だすように、彼かれらを引ひき出だし、殺ころす日ひにそなえて、彼かれらを残のこしておいてください。12:4 いつまで、この地ちは嘆なげき、どの畑はたけの野菜やさいも枯かれていてよいでしょうか。この地ちに住すむ者ものの悪あくによって、獣けものと鳥とりは滅ほろびうせます。人々ひとびとは言いいました、「彼かれはわれわれの終おわりを見みることはない」と。 12:5 「もしあなたが、徒歩とほの人ひとと競争きょうそうして疲つかれるなら、どうして騎馬きばの人ひとと競きそうことができようか。もし安全あんぜんな地ちで、あなたが倒たおれるなら、ヨルダンの密林みつりんでは、どうするつもりか。12:6 あなたの兄弟きょうだいたち、あなたの父ちちの家いえのものさえ、あなたを欺あざむき、大声おおごえをあげて、あなたを追おっている。彼かれらが親したしげにあなたに語かたることがあっても、彼かれらを信しんじてはならない」。 12:7 「わたしはわが家いえを離はなれ、わが嗣し業ぎょうを捨すて、わが魂たましいの愛あいする者ものを敵てきの手てに渡わたした。12:8 わたしの嗣し業ぎょうは、わたしにとって林はやしの中なかのししのようになった。これはわたしに向むかってその声こえをあげる。それゆえわたしはこれを憎にくむ。12:9 わたしの嗣し業ぎょうは、わたしにとって、斑点はんてんのある猛禽もうきんのようではないか。他たの猛禽もうきんがこれを囲かこんでいるではないか。行いって、野のの獣けものをみな集あつめ、連つれてきてこれを食たべさせよ。12:10 多おおくの牧者ぼくしゃたちはわたしのぶどう畑はたけを滅ほろぼし、わたしの地ちを踏ふみ荒あらした。わたしの麗うるわしい地ちを荒あれた野のにした。12:11 彼かれらはこれを荒あれ地ちとしてしまった。その荒あれ地ちがわたしに向むかって嘆なげくのだ。全ぜん地ちは荒あれ地ちにされた。しかし、ひとりもこれを心こころに留とめる者ものはない。12:12 滅ほろぼす者ものどもが荒野あらののすべての、はげ山やまの上うえにきた。主しゅのつるぎが、地ちの、この果はてから、かの果はてまでを滅ほろぼすのだ。命いのちあるものは安やすらかであることができない。12:13 彼かれらは麦むぎをまいて、いばらを刈かり取とる。苦労くろうしてもなんの利益りえきもない。彼かれらはその収穫しゅうかくを恥はじるようになる。主しゅの激はげしい怒いかりによってである」。12:14 わたしがわが民たみイスラエルにつがせた嗣し業ぎょうに手てを触ふれるすべての悪わるい隣となり人びとについて、主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらをその地ちから抜ぬき出だし、ユダの家いえを彼かれらのうちから抜ぬき出だす。12:15 わたしは、彼かれらを抜ぬき出だしたのちに、また彼かれらをあわれんで、それぞれその嗣し業ぎょうに導みちびき返かえし、おのおのを、その地ちに帰かえらせる。12:16 もし彼かれらがわたしの民たみの道みちを学まなび、わたしの名なによって、『主しゅは生いきておられる』と言いって誓ちかうことが、かつて彼かれらがわたしの民たみに教おしえてバアルをさして誓ちかわせたようになるならば、彼かれらはわたしの民たみのうちに建たてられる。12:17 しかし耳みみをかさない民たみがあるときは、わたしはその民たみを抜ぬき出だして滅ほろぼすと、主しゅは言いわれる」。
8:1 主しゅは言いわれる、その時ときユダの王おうたちの骨ほねと、そのつかさたちの骨ほねと、祭司さいしたちの骨ほねと、預言者よげんしゃたちの骨ほねと、エルサレムに住すむ人々ひとびとの骨ほねは墓はかより掘ほり出だされて、
8:2 彼かれらの愛あいし、仕つかえ、従したがい、求もとめ、また拝おがんだ、日ひと月つきと天てんの衆しゅう群ぐんの前まえにさらされる。その骨ほねは集あつめる者ものも葬ほうむる者ものもなく、地ちのおもてに糞土ふんどのようになる。
8:3 この悪あしき民たみのうちの残のこっている残のこりの者ものはみな、わたしが追おいやった場所ばしょで、生いきることよりも死しぬことを願ねがうようになると、万軍ばんぐんの主しゅは言いわれる。
8:4 あなたは彼かれらに言いわなければならない。主しゅはこう仰おおせられる、人ひとは倒たおれたならば、また起おきあがらないであろうか。離はなれていったならば、帰かえってこないであろうか。
8:5 それにどうしてこの民たみは、常つねにそむいて離はなれていくのか。彼かれらは偽いつわりを固かたくとらえて、帰かえってくることを拒こばんでいる。
8:6 わたしは気きをつけて聞きいたが、彼かれらは正ただしくは語かたらなかった。その悪あくを悔くいて、『わたしのした事ことは何なにか』という者ものはひとりもない。彼かれらはみな戦場せんじょうに、はせ入いる馬うまのように、自分じぶんのすきな道みちに向むかう。
8:7 空そらのこうのとりでもその時ときを知しり、山やまばとと、つばめと、つるはその来くる時ときを守まもる。しかしわが民たみは主しゅのおきてを知しらない。
8:8 どうしてあなたがたは、『われわれには知恵ちえがある、主しゅのおきてがある』と言いうことができようか。見みよ、まことに書記しょきの偽いつわりの筆ふでがこれを偽いつわりにしたのだ。
8:9 知恵ちえある者ものは、はずかしめられ、あわてふためき、捕とらえられる。見みよ、彼かれらは主しゅの言葉ことばを捨すてた、彼かれらになんの知恵ちえがあろうか。
8:10 それゆえ、わたしは彼かれらの妻つまを他人たにんに与あたえ、その畑はたけを征服せいふく者しゃに与あたえる。それは彼かれらが小ちいさい者ものから大おおきい者ものにいたるまで、みな不正ふせいな利りをむさぼり、預言者よげんしゃから祭司さいしにいたるまで、みな偽いつわりを行いっているからである。
8:11 彼かれらは手軽てがるに、わたしの民たみの傷きずをいやし、平安へいあんがないのに、『平安へいあん、平安へいあん』と言いっている。
8:12 彼かれらは憎にくむべきことをして、恥はじたであろうか。すこしも恥はずかしいとは思おもわず、また恥はじることを知しらなかった。それゆえ彼かれらは倒たおれる者ものと共ともに倒たおれる。わたしが彼かれらを罰ばっするとき、彼かれらは倒たおれると、主しゅは言いわれる。
8:13 主しゅは言いわれる、わたしが集あつめようと思おもうとき、ぶどうの木きにぶどうはなく、いちじくの木きに、いちじくはなく、葉はさえ、しぼんでいる。わたしが彼かれらに与あたえたものも、彼かれらを離はなれて、うせ去さった」。
8:14 どうしてわれわれはなす事こともなく座ざしているのか。集あつまって、堅固けんごな町まちにはいり、そこでわれわれは滅ほろびよう。われわれが主しゅに罪つみを犯おかしたので、われわれの神かみ、主しゅがわれわれを滅ほろぼそうとして、毒どくの水みずを飲のませられるのだ。
8:15 われわれは平安へいあんを望のぞんだが、良よい事ことはこなかった。いやされる時ときを望のぞんだが、かえって恐怖きょうふが来きた。
8:16 「彼かれらの馬うまのいななきはダンから聞きこえてくる。彼かれらの強つよい馬うまの声こえによって全ぜん地ちは震ふるう。彼かれらは来きて、この地ちと、ここにあるすべてのもの、町まちと、そのうちに住すむ者ものとを食くい滅ほろぼす。
8:17 見みよ、魔法まほうをもってならすことのできない、へびや、まむしをあなたがたのうちにつかわす。それはあなたがたをかむ」と主しゅは言いわれる。
8:18 わが嘆なげきはいやしがたく、わが心こころはうちに悩なやむ。
8:19 聞きけ、地ちの全面ぜんめんから、わが民たみの娘むすめの声こえがあがるのを。「主しゅはシオンにおられないのか、シオンの王おうはそのうちにおられないのか」。「なぜ彼かれらはその彫像ちょうぞうと、異邦いほうの偶像ぐうぞうとをもって、わたしを怒いからせたのか」。
8:20 「刈入かりいれの時ときは過すぎ、夏なつもはや終おわった、しかしわれわれはまだ救すくわれない」。
8:21 わが民たみの娘むすめの傷きずによって、わが心こころは痛いたむ。わたしは嘆なげき、うろたえる。
8:22 ギレアデに乳香にゅうこうがあるではないか。その所ところに医者いしゃがいるではないか。それにどうしてわが民たみの娘むすめはいやされることがないのか。
第9章 9:1 ああ、わたしの頭あたまが水みずとなり、わたしの目めが涙なみだの泉いずみとなればよいのに。そうすれば、わたしは民たみの娘むすめの殺ころされた者もののために昼ひるも夜よるも嘆なげくことができる。9:2 ああ、わたしが荒野あらのに、隊商たいしょうの宿やどを得えることができればよいのに。そうすれば、わたしは民たみを離はなれて去さって行いくことができる。彼かれらはみな姦淫かんいんする者もの、不信ふしんのともがらだからである。9:3 彼かれらは弓ゆみをひくように、その舌したを曲まげる。真実しんじつではなく、偽いつわりがこの地ちに強つよくなった。彼かれらは悪あくより悪あくに進すすみ、またわたしを知しらないと、主しゅは言いわれる。 9:4 あなたがたはおのおの隣となり人びとに気きをつけよ。どの兄弟きょうだいをも信しんじてはならない。兄弟きょうだいはみな、押おしのける者ものであり、隣となり人びとはみな、ののしって歩あるく者ものだからである。9:5 人ひとはみな、その隣となり人びとを欺あざむき、真実しんじつを言いう者ものはない。彼かれらは自分じぶんの舌したに偽いつわりを言いうことを教おしえ、悪あくを行おこない、疲つかれて悔くい改あらためるいとまもなく、9:6 しえたげに、しえたげを積つみ重かさね、偽いつわりに偽いつわりを積つみ重かさね、わたしを知しることを拒こばんでいると、主しゅは言いわれる。 9:7 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらを溶とかし、試こころみる。このほか、わが民たみをどうすることができよう。9:8 彼かれらの舌したは殺ころす矢やのようだ、それは偽いつわりを言いう。その口くちではおのおの隣となり人びとにおだやかに語かたるが、その心こころでは彼かれを待まち伏ぶせる計はかりごとを立たてる。9:9 主しゅは言いわれる、これらのことのために、わたしが彼かれらを罰ばっしないだろうか。わたしがこのような民たみにあだを返かえさないだろうか。 9:10 山やまのために泣なき叫さけび、野のの牧場まきばのために悲かなしめ。これらは荒あれすたれて、通とおり過すぎる人ひともない。ここには牛うし、羊ひつじの鳴なく声こえも聞きこえず、空そらの鳥とりも獣けものも皆みな逃にげ去さった。9:11 わたしはエルサレムを荒塚あれづかとし、山犬やまいぬの巣すとする。またユダの町々まちまちを荒あらして、住すむ人ひともない所ところとする」。9:12 知恵ちえがあって、これを悟さとることのできる人ひとはだれか。主しゅの口くちの言葉ことばをうけて、それを示しめす人ひとはだれか。この地ちが滅ほろぼされて荒野あらののようになり、通とおり過すぎる人ひともなくなったのはどういうわけか。9:13 主しゅは言いわれる、「それは彼かれらの前まえにわたしが立たてたおきてを彼かれらが捨すてて、わたしの声こえに聞きき従したがわず、そのとおりに歩あるかなかったからである。9:14 彼かれらは強情ごうじょうに自分じぶんの心こころに従したがい、また先祖せんぞの教おしえたようにバアルに従したがった。9:15 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、見みよ、わたしはこの民たみに、にがよもぎを食たべさせ、毒どくの水みずを飲のませ、9:16 彼かれらも、その先祖せんぞたちも知しらなかった国くにびとのうちに彼かれらを散ちらし、また彼かれらを滅ほろぼし尽つくすまで、そのうしろに、つるぎをつかわす」。9:17 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「よく考かんがえて、泣なき女おんなを呼よべ。また人ひとをつかわして巧たくみな女おんなを招まねけ。9:18 彼かれらに急いそいでこさせ、われわれのために泣なき悲かなしませて、われわれの目めに涙なみだをこぼさせ、まぶたから水みずをあふれさせよ。9:19 シオンから悲かなしみの声こえが聞きこえる。それは言いう、『ああ、われわれは滅ほろぼされ、いたく、はずかしめられている。われわれはその地ちを去さり、彼かれらがわれわれのすみかをこわしたからだ』」。 9:20 女おんなたちよ、主しゅの言葉ことばを聞きけ。あなたがたの耳みみに、その口くちの言葉ことばをいれよ。あなたがたの娘むすめに悲かなしみの歌うたを教おしえ、おのおのその隣となり人びとに哀悼あいとうの歌うたを教おしえよ。9:21 死しがわれわれの窓まどに上のぼって来き、われわれの邸宅ていたくの中なかにはいり、ちまたにいる子こどもらを絶たやし、広場ひろばにいる若わかい人ひとたちを殺ころそうとしているからだ。9:22 あなたはこう言いいなさい、「主しゅは言いわれる、『人ひとの死体したいが糞土ふんどのように、野のに倒たおれているようになり、また刈入かりいれする人ひとのうしろに残のこって、だれも集あつめることをしない束たばのようになる』」。9:23 主しゅはこう言いわれる、「知恵ちえある人ひとはその知恵ちえを誇ほこってはならない。力ちからある人ひとはその力ちからを誇ほこってはならない。富とめる者ものはその富とみを誇ほこってはならない。9:24 誇ほこる者ものはこれを誇ほこりとせよ。すなわち、さとくあって、わたしを知しっていること、わたしが主しゅであって、地ちに、いつくしみと公平こうへいと正義せいぎを行いっている者ものであることを知しることがそれである。わたしはこれらの事ことを喜よろこぶと、主しゅは言いわれる」。 9:25 主しゅは言いわれる、「見みよ、このような日ひが来くる。その日ひには、割礼かつれいをうけても、心こころに割礼かつれいをうけていないすべての人ひとをわたしは罰ばっする。9:26 エジプト、ユダ、エドム、アンモンの人々ひとびと、モアブ、および野のにいて、髪かみの毛けのすみずみをそる人々ひとびとはそれである。これらの国くにびとはみな割礼かつれいをうけていない者ものであり、イスラエルの全家ぜんかもみな心こころに割礼かつれいをうけていない者ものである」。 第10章 10:1 イスラエルの家いえよ、主しゅのあなたがたに語かたられる言葉ことばを聞きけ。10:2 主しゅはこう言いわれる、 「異邦いほうの人ひとの道みちに習ならってはならない。また異邦いほうの人ひとが天てんに現あらわれるしるしを恐おそれても、あなたがたはそれを恐おそれてはならない。10:3 異邦いほうの民たみのならわしはむなしいからだ。彼かれらの崇拝すうはいするものは、林はやしから切きりだした木きで、木工もっこうの手てで、おのをもって つくったものだ。10:4 人々ひとびとは銀ぎんや金きんをもって、それを飾かざり、くぎと鎚つちをもって動うごかないようにそれをとめる。10:5 その偶像ぐうぞうは、きゅうり畑はたけのかかしのようで、ものを言いうことができない。歩あるくこともできないから、人ひとに運はこんでもらわなければならない。それを恐おそれるに及およばない。それは災わざわいをくだすことができず、また幸さいわいをくだす力ちからもないからだ」。 10:6 主しゅよ、あなたに並ならびうる者ものはありません。あなたは大おおいなる者ものであり、あなたの名なもその力ちからのために大おおいなるものであります。10:7 万国ばんこくの王おうであるあなたを、恐おそれない者ものがありましょうか。あなたを恐おそれるのは当然とうぜんのことであります。万国ばんこくのすべての知恵ちえある者もののうちにも、その国々くにぐにのうちにも、あなたに並ならびうる者ものはありません。10:8 彼かれらは皆みな、愚おろかで鈍にぶく、偶像ぐうぞうの教おしえは、ただ木きにすぎない。10:9 銀ぎんぱくはタルシシから渡来とらいし、金きんはウパズから携たずさえてくる。これらは工人こうじんと金きん細工人ざいくにんの工作こうさくである。彼かれらの着物きものはすみれ色いろと紫色むらさきいろである。これらはみな巧たくみな細工人さいくにんの作つくった物ものである。10:10 しかし主しゅはまことの神かみである。生いきた神かみであり、永遠えいえんの王おうである。その怒いかりによって地ちは震ふるいうごき、万国ばんこくはその憤いきどおりに当あたることができない。10:11 あなたがたは彼かれらに、こう言いわなければならない、「天地てんちを つくらなかった神々かみがみは地ちの上うえ、天てんの下したから滅ほろび去さる」と。 10:12 主しゅはその力ちからをもって地ちを造つくり、その知恵ちえをもって世界せかいを建たて、その悟さとりをもって天てんをのべられた。10:13 彼かれが声こえを出だされると、天てんに多おおくの水みずのざわめきがあり、また地ちの果はてから霧きりを立たちあがらせられる。彼かれは雨あめのために、いなびかりをおこし、その倉くらから風かぜを取とり出だされる。10:14 すべての人ひとは愚おろかで知恵ちえがなく、すべての金きん細工人ざいくにんはその造つくった偶像ぐうぞうのために恥はじをこうむる。その偶像ぐうぞうは偽いつわり物もので、そのうちに息いきがないからだ。10:15 これらは、むなしいもので、迷まよいのわざである。罰ばっせられる時ときに滅ほろびるものである。10:16 ヤコブの分ぶんである彼かれはこのようなものではない。彼かれは万物ばんぶつの造つくり主ぬしだからである。イスラエルは彼かれの嗣し業ぎょうとしての部族ぶぞくである。彼かれの名なを万軍ばんぐんの主しゅという。 10:17 囲かこみの中なかにおる者ものよ、あなたの包つつみを地ちから取とり上あげよ。10:18 主しゅがこう言いわれるからだ、「見みよ、わたしはこのたび、この地ちに住すむ者ものを投なげ捨すてる。かつ彼かれらをせめなやまして、思おもい知しらせる」。 10:19 わたしはいたでをうけた、ああ、わざわいなるかな、わたしの傷きずは重おもい。しかしわたしは言いった、「まことに、これは悩なやみである。わたしはこれを忍しのばなければならない」と。10:20 わたしの天幕てんまくは破やぶれ、綱つなはことごとく切きれ、子こどもたちはわたしを捨すてて行いって、いなくなった。もはやわたしの天幕てんまくを張はる者ものはなく、幕まくを掛かける者ものもない。10:21 牧者ぼくしゃは愚おろかであって、主しゅに問とうことをしないからである。それゆえ彼かれらは栄さかえることもなく、その群むれはみな散ちり去さっている。 10:22 聞きけよ、うわさのあるのを。見みよ、北きたの国くにから大おおいなる騒さわぎが来くる。これはユダの町々まちまちを荒あらして山犬やまいぬの巣すとする。 10:23 主しゅよ、わたしは知しっています、人ひとの道みちは自身じしんによるのではなく、歩あゆむ人ひとが、その歩あゆみを自分じぶんで決きめることのできないことを。10:24 主しゅよ、わたしを懲こらしてください。正ただしい道みちにしたがって、怒いからずに懲こらしてください。さもないと、わたしは無むに帰きしてしまうでしょう。 10:25 あなたを知しらない国民くにたみと、あなたの名なをとなえない人々ひとびとにあなたの怒いかりを注そそいでください。彼かれらはヤコブを食くい尽つくしこれを食くい尽つくして滅ほろぼし、そのすみかを荒あらしたからです。 第11章 11:1 主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことばは言いう、11:2 「この契約けいやくの言葉ことばを聞きき、ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者ものに告つげよ。11:3 彼かれらに言いえ、イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、この契約けいやくの言葉ことばに従したがわない人ひとは、のろわれる。11:4 この契約けいやくは、わたしがあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ち、鉄てつのかまどの中なかから導みちびき出だした時ときに、彼かれらに命めいじたところのものである。すなわち、その時ときわたしは彼かれらに言いった、わたしの声こえを聞きき、あなたがたに命めいじるすべてのことを行おこなうならば、あなたがたはわたしの民たみとなり、わたしはあなたがたの神かみとなる。11:5 そして、わたしがあなたがたの先祖せんぞに、乳ちちと蜜みつとの流ながれる地ちを与あたえると誓ちかったことを、なし遂とげると。すなわち今日こんにちのとおりである」。その時ときわたしは、「主しゅよ、仰おおせのとおりです」と答こたえた。 11:6 主しゅはわたしに言いわれた、「このすべての言葉ことばを、ユダの町々まちまちと、エルサレムのちまたに告つげ示しめし、この契約けいやくの言葉ことばを聞きき、これを行おこなえ、と言いいなさい。11:7 わたしは、あなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ちから導みちびき出だした時ときから今日こんにちにいたるまで、おごそかに彼かれらを戒いましめ、絶たえず戒いましめて、わたしの声こえに聞きき従したがうようにと言いった。11:8 しかし彼かれらは従したがわず、その耳みみを傾かたむけず、おのおの自分じぶんの悪わるい強情ごうじょうな心こころに従したがって歩あゆんだ。それゆえ、わたしはこの契約けいやくの言葉ことばをもって彼かれらを責せめた。これはわたしが彼かれらに行おこなえと命めいじたが、行おこなわなかったものである」。 11:9 主しゅはまたわたしに言いわれた、「ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者もののうちに反逆はんぎゃくの事ことがある。11:10 彼かれらは、わたしの言葉ことばを聞きくことを拒こばんだその先祖せんぞたちの罪つみに立たち返かえり、またほかの神々かみがみに従したがってそれに仕つかえた。イスラエルの家いえとユダの家いえとは、わたしがその先祖せんぞたちと結むすんだ契約けいやくを破やぶった。11:11 それゆえ主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしは災わざわいを彼かれらの上うえに下くだす。彼かれらはそれを免まぬかれることはできない。彼かれらがわたしを呼よんでも、わたしは聞きかない。11:12 ユダの町々まちまちとエルサレムに住すむ者ものは、行いって、自分じぶんたちがそれに香こうをたいている神々かみがみに呼よび求もとめるが、これらは、彼かれらの災わざわいの時ときにも決けっして彼かれらを救すくうことはできない。11:13 ユダよ、あなたの神々かみがみは、あなたの町まちの数かずほど多おおくなった。またあなたがたはエルサレムのちまたの数かずほどの祭壇さいだんを恥はずべき者もののために立たてた。すなわちバアルに香こうをたくための祭壇さいだんである。 11:14 それゆえ、この民たみのために祈いのってはならない。また彼かれらのために泣なき、あるいは祈いのり求もとめてはならない。彼かれらがその災わざわいの時ときに、わたしに呼よばわっても、わたしは彼かれらに聞きくことをしないからだ。11:15 わが愛あいする者ものは、わたしの家いえで何なにをするのか。すでにこれは悪事あくじを行おこなった。誓願せいがんと犠牲ぎせいの肉にくとがあなたに災わざわいを免まぬかれさせることができるであろうか。それであなたは喜よろこぶことができるであろうか。11:16 主しゅはあなたを、かつては『良よい実みのなる美うつくしい青々あおあおとしたオリブの木き』と呼よばれたが、激はげしい暴風ぼうふうのとどろきと共ともに、主しゅはそれに火ひをかけ、その枝えだを焼やき払はらわれるのである。11:17 あなたを植うえた万軍ばんぐんの主しゅは、あなたに向むかって災わざわいを言いい渡わたされた。これはイスラエルの家いえとユダの家いえとが悪あくを行おこない、バアルに香こうをたいて、わたしを怒いからせたからである」。11:18 主しゅが知しらせてくださったので、わたしはそれを知しった。その時とき、あなたは彼かれらの悪あしきわざをわたしに示しめされた。11:19 しかしわたしは、ほふられに行いく、おとなしい小羊こひつじのようで、彼かれらがわたしを害がいしようと、計はかりごとをめぐらしているのを知しらなかった。彼かれらは言いう、「さあ、木きとその実みを共ともに滅ほろぼそう。生いける者ものの地ちから彼かれを絶たって、その名なを人ひとに忘わすれさせよう」。11:20 正ただしいさばきをし、人ひとの心こころと思おもいを探さぐられる万軍ばんぐんの主しゅよ、わたしは自分じぶんの訴うったえをあなたにお任まかせしました。あなたが彼かれらにあだをかえされるのを見みさせてください。11:21 それゆえ主しゅはアナトテの人々ひとびとについてこう言いわれる、彼かれらはあなたの命いのちを取とろうと求もとめて言いう、「主しゅの名なによって預言よげんしてはならない。それをするならば、あなたはわれわれの手てにかかって死しぬであろう」。11:22 それで万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらを罰ばっする。若わかい人ひとはつるぎで死しに、彼かれらのむすこ娘むすめは、ききんで死しに、11:23 だれも残のこる者ものはない。わたしがアナトテの人々ひとびとに災わざわいを下くだし、彼かれらを罰ばっする年としをこさせるからである」。 第12章 12:1 主しゅよ、わたしがあなたと論ろんじ争あらそう時とき、あなたは常つねに正ただしい。しかしなお、わたしはあなたの前まえに、さばきのことを論ろんじてみたい。悪人あくにんの道みちがさかえ、不信実ふしんじつな者ものがみな繁栄はんえいするのはなにゆえですか。12:2 あなたが彼かれらを植うえられたので、彼かれらは根ねづき、育そだって、実みを結むすびます。彼かれらは口くちではあなたに近ちかづきますが、心こころはあなたから遠とおざかっています。12:3 主しゅよ、あなたはわたしを知しり、わたしを見み、わたしの心こころがあなたに対たいしていかにあるかを試こころみられます。ほふるために羊ひつじを引ひき出だすように、彼かれらを引ひき出だし、殺ころす日ひにそなえて、彼かれらを残のこしておいてください。12:4 いつまで、この地ちは嘆なげき、どの畑はたけの野菜やさいも枯かれていてよいでしょうか。この地ちに住すむ者ものの悪あくによって、獣けものと鳥とりは滅ほろびうせます。人々ひとびとは言いいました、「彼かれはわれわれの終おわりを見みることはない」と。 12:5 「もしあなたが、徒歩とほの人ひとと競争きょうそうして疲つかれるなら、どうして騎馬きばの人ひとと競きそうことができようか。もし安全あんぜんな地ちで、あなたが倒たおれるなら、ヨルダンの密林みつりんでは、どうするつもりか。12:6 あなたの兄弟きょうだいたち、あなたの父ちちの家いえのものさえ、あなたを欺あざむき、大声おおごえをあげて、あなたを追おっている。彼かれらが親したしげにあなたに語かたることがあっても、彼かれらを信しんじてはならない」。 12:7 「わたしはわが家いえを離はなれ、わが嗣し業ぎょうを捨すて、わが魂たましいの愛あいする者ものを敵てきの手てに渡わたした。12:8 わたしの嗣し業ぎょうは、わたしにとって林はやしの中なかのししのようになった。これはわたしに向むかってその声こえをあげる。それゆえわたしはこれを憎にくむ。12:9 わたしの嗣し業ぎょうは、わたしにとって、斑点はんてんのある猛禽もうきんのようではないか。他たの猛禽もうきんがこれを囲かこんでいるではないか。行いって、野のの獣けものをみな集あつめ、連つれてきてこれを食たべさせよ。12:10 多おおくの牧者ぼくしゃたちはわたしのぶどう畑はたけを滅ほろぼし、わたしの地ちを踏ふみ荒あらした。わたしの麗うるわしい地ちを荒あれた野のにした。12:11 彼かれらはこれを荒あれ地ちとしてしまった。その荒あれ地ちがわたしに向むかって嘆なげくのだ。全ぜん地ちは荒あれ地ちにされた。しかし、ひとりもこれを心こころに留とめる者ものはない。12:12 滅ほろぼす者ものどもが荒野あらののすべての、はげ山やまの上うえにきた。主しゅのつるぎが、地ちの、この果はてから、かの果はてまでを滅ほろぼすのだ。命いのちあるものは安やすらかであることができない。12:13 彼かれらは麦むぎをまいて、いばらを刈かり取とる。苦労くろうしてもなんの利益りえきもない。彼かれらはその収穫しゅうかくを恥はじるようになる。主しゅの激はげしい怒いかりによってである」。12:14 わたしがわが民たみイスラエルにつがせた嗣し業ぎょうに手てを触ふれるすべての悪わるい隣となり人びとについて、主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらをその地ちから抜ぬき出だし、ユダの家いえを彼かれらのうちから抜ぬき出だす。12:15 わたしは、彼かれらを抜ぬき出だしたのちに、また彼かれらをあわれんで、それぞれその嗣し業ぎょうに導みちびき返かえし、おのおのを、その地ちに帰かえらせる。12:16 もし彼かれらがわたしの民たみの道みちを学まなび、わたしの名なによって、『主しゅは生いきておられる』と言いって誓ちかうことが、かつて彼かれらがわたしの民たみに教おしえてバアルをさして誓ちかわせたようになるならば、彼かれらはわたしの民たみのうちに建たてられる。12:17 しかし耳みみをかさない民たみがあるときは、わたしはその民たみを抜ぬき出だして滅ほろぼすと、主しゅは言いわれる」。
9:1 ああ、わたしの頭あたまが水みずとなり、わたしの目めが涙なみだの泉いずみとなればよいのに。そうすれば、わたしは民たみの娘むすめの殺ころされた者もののために昼ひるも夜よるも嘆なげくことができる。
9:2 ああ、わたしが荒野あらのに、隊商たいしょうの宿やどを得えることができればよいのに。そうすれば、わたしは民たみを離はなれて去さって行いくことができる。彼かれらはみな姦淫かんいんする者もの、不信ふしんのともがらだからである。
9:3 彼かれらは弓ゆみをひくように、その舌したを曲まげる。真実しんじつではなく、偽いつわりがこの地ちに強つよくなった。彼かれらは悪あくより悪あくに進すすみ、またわたしを知しらないと、主しゅは言いわれる。
9:4 あなたがたはおのおの隣となり人びとに気きをつけよ。どの兄弟きょうだいをも信しんじてはならない。兄弟きょうだいはみな、押おしのける者ものであり、隣となり人びとはみな、ののしって歩あるく者ものだからである。
9:5 人ひとはみな、その隣となり人びとを欺あざむき、真実しんじつを言いう者ものはない。彼かれらは自分じぶんの舌したに偽いつわりを言いうことを教おしえ、悪あくを行おこない、疲つかれて悔くい改あらためるいとまもなく、
9:6 しえたげに、しえたげを積つみ重かさね、偽いつわりに偽いつわりを積つみ重かさね、わたしを知しることを拒こばんでいると、主しゅは言いわれる。
9:7 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらを溶とかし、試こころみる。このほか、わが民たみをどうすることができよう。
9:8 彼かれらの舌したは殺ころす矢やのようだ、それは偽いつわりを言いう。その口くちではおのおの隣となり人びとにおだやかに語かたるが、その心こころでは彼かれを待まち伏ぶせる計はかりごとを立たてる。
9:9 主しゅは言いわれる、これらのことのために、わたしが彼かれらを罰ばっしないだろうか。わたしがこのような民たみにあだを返かえさないだろうか。
9:10 山やまのために泣なき叫さけび、野のの牧場まきばのために悲かなしめ。これらは荒あれすたれて、通とおり過すぎる人ひともない。ここには牛うし、羊ひつじの鳴なく声こえも聞きこえず、空そらの鳥とりも獣けものも皆みな逃にげ去さった。
9:11 わたしはエルサレムを荒塚あれづかとし、山犬やまいぬの巣すとする。またユダの町々まちまちを荒あらして、住すむ人ひともない所ところとする」。
9:12 知恵ちえがあって、これを悟さとることのできる人ひとはだれか。主しゅの口くちの言葉ことばをうけて、それを示しめす人ひとはだれか。この地ちが滅ほろぼされて荒野あらののようになり、通とおり過すぎる人ひともなくなったのはどういうわけか。
9:13 主しゅは言いわれる、「それは彼かれらの前まえにわたしが立たてたおきてを彼かれらが捨すてて、わたしの声こえに聞きき従したがわず、そのとおりに歩あるかなかったからである。
9:14 彼かれらは強情ごうじょうに自分じぶんの心こころに従したがい、また先祖せんぞの教おしえたようにバアルに従したがった。
9:15 それゆえ万軍ばんぐんの主しゅ、イスラエルの神かみはこう言いわれる、見みよ、わたしはこの民たみに、にがよもぎを食たべさせ、毒どくの水みずを飲のませ、
9:16 彼かれらも、その先祖せんぞたちも知しらなかった国くにびとのうちに彼かれらを散ちらし、また彼かれらを滅ほろぼし尽つくすまで、そのうしろに、つるぎをつかわす」。
9:17 万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「よく考かんがえて、泣なき女おんなを呼よべ。また人ひとをつかわして巧たくみな女おんなを招まねけ。
9:18 彼かれらに急いそいでこさせ、われわれのために泣なき悲かなしませて、われわれの目めに涙なみだをこぼさせ、まぶたから水みずをあふれさせよ。
9:19 シオンから悲かなしみの声こえが聞きこえる。それは言いう、『ああ、われわれは滅ほろぼされ、いたく、はずかしめられている。われわれはその地ちを去さり、彼かれらがわれわれのすみかをこわしたからだ』」。
9:20 女おんなたちよ、主しゅの言葉ことばを聞きけ。あなたがたの耳みみに、その口くちの言葉ことばをいれよ。あなたがたの娘むすめに悲かなしみの歌うたを教おしえ、おのおのその隣となり人びとに哀悼あいとうの歌うたを教おしえよ。
9:21 死しがわれわれの窓まどに上のぼって来き、われわれの邸宅ていたくの中なかにはいり、ちまたにいる子こどもらを絶たやし、広場ひろばにいる若わかい人ひとたちを殺ころそうとしているからだ。
9:22 あなたはこう言いいなさい、「主しゅは言いわれる、『人ひとの死体したいが糞土ふんどのように、野のに倒たおれているようになり、また刈入かりいれする人ひとのうしろに残のこって、だれも集あつめることをしない束たばのようになる』」。
9:23 主しゅはこう言いわれる、「知恵ちえある人ひとはその知恵ちえを誇ほこってはならない。力ちからある人ひとはその力ちからを誇ほこってはならない。富とめる者ものはその富とみを誇ほこってはならない。
9:24 誇ほこる者ものはこれを誇ほこりとせよ。すなわち、さとくあって、わたしを知しっていること、わたしが主しゅであって、地ちに、いつくしみと公平こうへいと正義せいぎを行いっている者ものであることを知しることがそれである。わたしはこれらの事ことを喜よろこぶと、主しゅは言いわれる」。
9:25 主しゅは言いわれる、「見みよ、このような日ひが来くる。その日ひには、割礼かつれいをうけても、心こころに割礼かつれいをうけていないすべての人ひとをわたしは罰ばっする。
9:26 エジプト、ユダ、エドム、アンモンの人々ひとびと、モアブ、および野のにいて、髪かみの毛けのすみずみをそる人々ひとびとはそれである。これらの国くにびとはみな割礼かつれいをうけていない者ものであり、イスラエルの全家ぜんかもみな心こころに割礼かつれいをうけていない者ものである」。
第10章 10:1 イスラエルの家いえよ、主しゅのあなたがたに語かたられる言葉ことばを聞きけ。10:2 主しゅはこう言いわれる、 「異邦いほうの人ひとの道みちに習ならってはならない。また異邦いほうの人ひとが天てんに現あらわれるしるしを恐おそれても、あなたがたはそれを恐おそれてはならない。10:3 異邦いほうの民たみのならわしはむなしいからだ。彼かれらの崇拝すうはいするものは、林はやしから切きりだした木きで、木工もっこうの手てで、おのをもって つくったものだ。10:4 人々ひとびとは銀ぎんや金きんをもって、それを飾かざり、くぎと鎚つちをもって動うごかないようにそれをとめる。10:5 その偶像ぐうぞうは、きゅうり畑はたけのかかしのようで、ものを言いうことができない。歩あるくこともできないから、人ひとに運はこんでもらわなければならない。それを恐おそれるに及およばない。それは災わざわいをくだすことができず、また幸さいわいをくだす力ちからもないからだ」。 10:6 主しゅよ、あなたに並ならびうる者ものはありません。あなたは大おおいなる者ものであり、あなたの名なもその力ちからのために大おおいなるものであります。10:7 万国ばんこくの王おうであるあなたを、恐おそれない者ものがありましょうか。あなたを恐おそれるのは当然とうぜんのことであります。万国ばんこくのすべての知恵ちえある者もののうちにも、その国々くにぐにのうちにも、あなたに並ならびうる者ものはありません。10:8 彼かれらは皆みな、愚おろかで鈍にぶく、偶像ぐうぞうの教おしえは、ただ木きにすぎない。10:9 銀ぎんぱくはタルシシから渡来とらいし、金きんはウパズから携たずさえてくる。これらは工人こうじんと金きん細工人ざいくにんの工作こうさくである。彼かれらの着物きものはすみれ色いろと紫色むらさきいろである。これらはみな巧たくみな細工人さいくにんの作つくった物ものである。10:10 しかし主しゅはまことの神かみである。生いきた神かみであり、永遠えいえんの王おうである。その怒いかりによって地ちは震ふるいうごき、万国ばんこくはその憤いきどおりに当あたることができない。10:11 あなたがたは彼かれらに、こう言いわなければならない、「天地てんちを つくらなかった神々かみがみは地ちの上うえ、天てんの下したから滅ほろび去さる」と。 10:12 主しゅはその力ちからをもって地ちを造つくり、その知恵ちえをもって世界せかいを建たて、その悟さとりをもって天てんをのべられた。10:13 彼かれが声こえを出だされると、天てんに多おおくの水みずのざわめきがあり、また地ちの果はてから霧きりを立たちあがらせられる。彼かれは雨あめのために、いなびかりをおこし、その倉くらから風かぜを取とり出だされる。10:14 すべての人ひとは愚おろかで知恵ちえがなく、すべての金きん細工人ざいくにんはその造つくった偶像ぐうぞうのために恥はじをこうむる。その偶像ぐうぞうは偽いつわり物もので、そのうちに息いきがないからだ。10:15 これらは、むなしいもので、迷まよいのわざである。罰ばっせられる時ときに滅ほろびるものである。10:16 ヤコブの分ぶんである彼かれはこのようなものではない。彼かれは万物ばんぶつの造つくり主ぬしだからである。イスラエルは彼かれの嗣し業ぎょうとしての部族ぶぞくである。彼かれの名なを万軍ばんぐんの主しゅという。 10:17 囲かこみの中なかにおる者ものよ、あなたの包つつみを地ちから取とり上あげよ。10:18 主しゅがこう言いわれるからだ、「見みよ、わたしはこのたび、この地ちに住すむ者ものを投なげ捨すてる。かつ彼かれらをせめなやまして、思おもい知しらせる」。 10:19 わたしはいたでをうけた、ああ、わざわいなるかな、わたしの傷きずは重おもい。しかしわたしは言いった、「まことに、これは悩なやみである。わたしはこれを忍しのばなければならない」と。10:20 わたしの天幕てんまくは破やぶれ、綱つなはことごとく切きれ、子こどもたちはわたしを捨すてて行いって、いなくなった。もはやわたしの天幕てんまくを張はる者ものはなく、幕まくを掛かける者ものもない。10:21 牧者ぼくしゃは愚おろかであって、主しゅに問とうことをしないからである。それゆえ彼かれらは栄さかえることもなく、その群むれはみな散ちり去さっている。 10:22 聞きけよ、うわさのあるのを。見みよ、北きたの国くにから大おおいなる騒さわぎが来くる。これはユダの町々まちまちを荒あらして山犬やまいぬの巣すとする。 10:23 主しゅよ、わたしは知しっています、人ひとの道みちは自身じしんによるのではなく、歩あゆむ人ひとが、その歩あゆみを自分じぶんで決きめることのできないことを。10:24 主しゅよ、わたしを懲こらしてください。正ただしい道みちにしたがって、怒いからずに懲こらしてください。さもないと、わたしは無むに帰きしてしまうでしょう。 10:25 あなたを知しらない国民くにたみと、あなたの名なをとなえない人々ひとびとにあなたの怒いかりを注そそいでください。彼かれらはヤコブを食くい尽つくしこれを食くい尽つくして滅ほろぼし、そのすみかを荒あらしたからです。 第11章 11:1 主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことばは言いう、11:2 「この契約けいやくの言葉ことばを聞きき、ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者ものに告つげよ。11:3 彼かれらに言いえ、イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、この契約けいやくの言葉ことばに従したがわない人ひとは、のろわれる。11:4 この契約けいやくは、わたしがあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ち、鉄てつのかまどの中なかから導みちびき出だした時ときに、彼かれらに命めいじたところのものである。すなわち、その時ときわたしは彼かれらに言いった、わたしの声こえを聞きき、あなたがたに命めいじるすべてのことを行おこなうならば、あなたがたはわたしの民たみとなり、わたしはあなたがたの神かみとなる。11:5 そして、わたしがあなたがたの先祖せんぞに、乳ちちと蜜みつとの流ながれる地ちを与あたえると誓ちかったことを、なし遂とげると。すなわち今日こんにちのとおりである」。その時ときわたしは、「主しゅよ、仰おおせのとおりです」と答こたえた。 11:6 主しゅはわたしに言いわれた、「このすべての言葉ことばを、ユダの町々まちまちと、エルサレムのちまたに告つげ示しめし、この契約けいやくの言葉ことばを聞きき、これを行おこなえ、と言いいなさい。11:7 わたしは、あなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ちから導みちびき出だした時ときから今日こんにちにいたるまで、おごそかに彼かれらを戒いましめ、絶たえず戒いましめて、わたしの声こえに聞きき従したがうようにと言いった。11:8 しかし彼かれらは従したがわず、その耳みみを傾かたむけず、おのおの自分じぶんの悪わるい強情ごうじょうな心こころに従したがって歩あゆんだ。それゆえ、わたしはこの契約けいやくの言葉ことばをもって彼かれらを責せめた。これはわたしが彼かれらに行おこなえと命めいじたが、行おこなわなかったものである」。 11:9 主しゅはまたわたしに言いわれた、「ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者もののうちに反逆はんぎゃくの事ことがある。11:10 彼かれらは、わたしの言葉ことばを聞きくことを拒こばんだその先祖せんぞたちの罪つみに立たち返かえり、またほかの神々かみがみに従したがってそれに仕つかえた。イスラエルの家いえとユダの家いえとは、わたしがその先祖せんぞたちと結むすんだ契約けいやくを破やぶった。11:11 それゆえ主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしは災わざわいを彼かれらの上うえに下くだす。彼かれらはそれを免まぬかれることはできない。彼かれらがわたしを呼よんでも、わたしは聞きかない。11:12 ユダの町々まちまちとエルサレムに住すむ者ものは、行いって、自分じぶんたちがそれに香こうをたいている神々かみがみに呼よび求もとめるが、これらは、彼かれらの災わざわいの時ときにも決けっして彼かれらを救すくうことはできない。11:13 ユダよ、あなたの神々かみがみは、あなたの町まちの数かずほど多おおくなった。またあなたがたはエルサレムのちまたの数かずほどの祭壇さいだんを恥はずべき者もののために立たてた。すなわちバアルに香こうをたくための祭壇さいだんである。 11:14 それゆえ、この民たみのために祈いのってはならない。また彼かれらのために泣なき、あるいは祈いのり求もとめてはならない。彼かれらがその災わざわいの時ときに、わたしに呼よばわっても、わたしは彼かれらに聞きくことをしないからだ。11:15 わが愛あいする者ものは、わたしの家いえで何なにをするのか。すでにこれは悪事あくじを行おこなった。誓願せいがんと犠牲ぎせいの肉にくとがあなたに災わざわいを免まぬかれさせることができるであろうか。それであなたは喜よろこぶことができるであろうか。11:16 主しゅはあなたを、かつては『良よい実みのなる美うつくしい青々あおあおとしたオリブの木き』と呼よばれたが、激はげしい暴風ぼうふうのとどろきと共ともに、主しゅはそれに火ひをかけ、その枝えだを焼やき払はらわれるのである。11:17 あなたを植うえた万軍ばんぐんの主しゅは、あなたに向むかって災わざわいを言いい渡わたされた。これはイスラエルの家いえとユダの家いえとが悪あくを行おこない、バアルに香こうをたいて、わたしを怒いからせたからである」。11:18 主しゅが知しらせてくださったので、わたしはそれを知しった。その時とき、あなたは彼かれらの悪あしきわざをわたしに示しめされた。11:19 しかしわたしは、ほふられに行いく、おとなしい小羊こひつじのようで、彼かれらがわたしを害がいしようと、計はかりごとをめぐらしているのを知しらなかった。彼かれらは言いう、「さあ、木きとその実みを共ともに滅ほろぼそう。生いける者ものの地ちから彼かれを絶たって、その名なを人ひとに忘わすれさせよう」。11:20 正ただしいさばきをし、人ひとの心こころと思おもいを探さぐられる万軍ばんぐんの主しゅよ、わたしは自分じぶんの訴うったえをあなたにお任まかせしました。あなたが彼かれらにあだをかえされるのを見みさせてください。11:21 それゆえ主しゅはアナトテの人々ひとびとについてこう言いわれる、彼かれらはあなたの命いのちを取とろうと求もとめて言いう、「主しゅの名なによって預言よげんしてはならない。それをするならば、あなたはわれわれの手てにかかって死しぬであろう」。11:22 それで万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらを罰ばっする。若わかい人ひとはつるぎで死しに、彼かれらのむすこ娘むすめは、ききんで死しに、11:23 だれも残のこる者ものはない。わたしがアナトテの人々ひとびとに災わざわいを下くだし、彼かれらを罰ばっする年としをこさせるからである」。 第12章 12:1 主しゅよ、わたしがあなたと論ろんじ争あらそう時とき、あなたは常つねに正ただしい。しかしなお、わたしはあなたの前まえに、さばきのことを論ろんじてみたい。悪人あくにんの道みちがさかえ、不信実ふしんじつな者ものがみな繁栄はんえいするのはなにゆえですか。12:2 あなたが彼かれらを植うえられたので、彼かれらは根ねづき、育そだって、実みを結むすびます。彼かれらは口くちではあなたに近ちかづきますが、心こころはあなたから遠とおざかっています。12:3 主しゅよ、あなたはわたしを知しり、わたしを見み、わたしの心こころがあなたに対たいしていかにあるかを試こころみられます。ほふるために羊ひつじを引ひき出だすように、彼かれらを引ひき出だし、殺ころす日ひにそなえて、彼かれらを残のこしておいてください。12:4 いつまで、この地ちは嘆なげき、どの畑はたけの野菜やさいも枯かれていてよいでしょうか。この地ちに住すむ者ものの悪あくによって、獣けものと鳥とりは滅ほろびうせます。人々ひとびとは言いいました、「彼かれはわれわれの終おわりを見みることはない」と。 12:5 「もしあなたが、徒歩とほの人ひとと競争きょうそうして疲つかれるなら、どうして騎馬きばの人ひとと競きそうことができようか。もし安全あんぜんな地ちで、あなたが倒たおれるなら、ヨルダンの密林みつりんでは、どうするつもりか。12:6 あなたの兄弟きょうだいたち、あなたの父ちちの家いえのものさえ、あなたを欺あざむき、大声おおごえをあげて、あなたを追おっている。彼かれらが親したしげにあなたに語かたることがあっても、彼かれらを信しんじてはならない」。 12:7 「わたしはわが家いえを離はなれ、わが嗣し業ぎょうを捨すて、わが魂たましいの愛あいする者ものを敵てきの手てに渡わたした。12:8 わたしの嗣し業ぎょうは、わたしにとって林はやしの中なかのししのようになった。これはわたしに向むかってその声こえをあげる。それゆえわたしはこれを憎にくむ。12:9 わたしの嗣し業ぎょうは、わたしにとって、斑点はんてんのある猛禽もうきんのようではないか。他たの猛禽もうきんがこれを囲かこんでいるではないか。行いって、野のの獣けものをみな集あつめ、連つれてきてこれを食たべさせよ。12:10 多おおくの牧者ぼくしゃたちはわたしのぶどう畑はたけを滅ほろぼし、わたしの地ちを踏ふみ荒あらした。わたしの麗うるわしい地ちを荒あれた野のにした。12:11 彼かれらはこれを荒あれ地ちとしてしまった。その荒あれ地ちがわたしに向むかって嘆なげくのだ。全ぜん地ちは荒あれ地ちにされた。しかし、ひとりもこれを心こころに留とめる者ものはない。12:12 滅ほろぼす者ものどもが荒野あらののすべての、はげ山やまの上うえにきた。主しゅのつるぎが、地ちの、この果はてから、かの果はてまでを滅ほろぼすのだ。命いのちあるものは安やすらかであることができない。12:13 彼かれらは麦むぎをまいて、いばらを刈かり取とる。苦労くろうしてもなんの利益りえきもない。彼かれらはその収穫しゅうかくを恥はじるようになる。主しゅの激はげしい怒いかりによってである」。12:14 わたしがわが民たみイスラエルにつがせた嗣し業ぎょうに手てを触ふれるすべての悪わるい隣となり人びとについて、主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらをその地ちから抜ぬき出だし、ユダの家いえを彼かれらのうちから抜ぬき出だす。12:15 わたしは、彼かれらを抜ぬき出だしたのちに、また彼かれらをあわれんで、それぞれその嗣し業ぎょうに導みちびき返かえし、おのおのを、その地ちに帰かえらせる。12:16 もし彼かれらがわたしの民たみの道みちを学まなび、わたしの名なによって、『主しゅは生いきておられる』と言いって誓ちかうことが、かつて彼かれらがわたしの民たみに教おしえてバアルをさして誓ちかわせたようになるならば、彼かれらはわたしの民たみのうちに建たてられる。12:17 しかし耳みみをかさない民たみがあるときは、わたしはその民たみを抜ぬき出だして滅ほろぼすと、主しゅは言いわれる」。
10:1 イスラエルの家いえよ、主しゅのあなたがたに語かたられる言葉ことばを聞きけ。
10:2 主しゅはこう言いわれる、 「異邦いほうの人ひとの道みちに習ならってはならない。また異邦いほうの人ひとが天てんに現あらわれるしるしを恐おそれても、あなたがたはそれを恐おそれてはならない。
10:3 異邦いほうの民たみのならわしはむなしいからだ。彼かれらの崇拝すうはいするものは、林はやしから切きりだした木きで、木工もっこうの手てで、おのをもって つくったものだ。
10:4 人々ひとびとは銀ぎんや金きんをもって、それを飾かざり、くぎと鎚つちをもって動うごかないようにそれをとめる。
10:5 その偶像ぐうぞうは、きゅうり畑はたけのかかしのようで、ものを言いうことができない。歩あるくこともできないから、人ひとに運はこんでもらわなければならない。それを恐おそれるに及およばない。それは災わざわいをくだすことができず、また幸さいわいをくだす力ちからもないからだ」。
10:6 主しゅよ、あなたに並ならびうる者ものはありません。あなたは大おおいなる者ものであり、あなたの名なもその力ちからのために大おおいなるものであります。
10:7 万国ばんこくの王おうであるあなたを、恐おそれない者ものがありましょうか。あなたを恐おそれるのは当然とうぜんのことであります。万国ばんこくのすべての知恵ちえある者もののうちにも、その国々くにぐにのうちにも、あなたに並ならびうる者ものはありません。
10:8 彼かれらは皆みな、愚おろかで鈍にぶく、偶像ぐうぞうの教おしえは、ただ木きにすぎない。
10:9 銀ぎんぱくはタルシシから渡来とらいし、金きんはウパズから携たずさえてくる。これらは工人こうじんと金きん細工人ざいくにんの工作こうさくである。彼かれらの着物きものはすみれ色いろと紫色むらさきいろである。これらはみな巧たくみな細工人さいくにんの作つくった物ものである。
10:10 しかし主しゅはまことの神かみである。生いきた神かみであり、永遠えいえんの王おうである。その怒いかりによって地ちは震ふるいうごき、万国ばんこくはその憤いきどおりに当あたることができない。
10:11 あなたがたは彼かれらに、こう言いわなければならない、「天地てんちを つくらなかった神々かみがみは地ちの上うえ、天てんの下したから滅ほろび去さる」と。
10:12 主しゅはその力ちからをもって地ちを造つくり、その知恵ちえをもって世界せかいを建たて、その悟さとりをもって天てんをのべられた。
10:13 彼かれが声こえを出だされると、天てんに多おおくの水みずのざわめきがあり、また地ちの果はてから霧きりを立たちあがらせられる。彼かれは雨あめのために、いなびかりをおこし、その倉くらから風かぜを取とり出だされる。
10:14 すべての人ひとは愚おろかで知恵ちえがなく、すべての金きん細工人ざいくにんはその造つくった偶像ぐうぞうのために恥はじをこうむる。その偶像ぐうぞうは偽いつわり物もので、そのうちに息いきがないからだ。
10:15 これらは、むなしいもので、迷まよいのわざである。罰ばっせられる時ときに滅ほろびるものである。
10:16 ヤコブの分ぶんである彼かれはこのようなものではない。彼かれは万物ばんぶつの造つくり主ぬしだからである。イスラエルは彼かれの嗣し業ぎょうとしての部族ぶぞくである。彼かれの名なを万軍ばんぐんの主しゅという。
10:17 囲かこみの中なかにおる者ものよ、あなたの包つつみを地ちから取とり上あげよ。
10:18 主しゅがこう言いわれるからだ、「見みよ、わたしはこのたび、この地ちに住すむ者ものを投なげ捨すてる。かつ彼かれらをせめなやまして、思おもい知しらせる」。
10:19 わたしはいたでをうけた、ああ、わざわいなるかな、わたしの傷きずは重おもい。しかしわたしは言いった、「まことに、これは悩なやみである。わたしはこれを忍しのばなければならない」と。
10:20 わたしの天幕てんまくは破やぶれ、綱つなはことごとく切きれ、子こどもたちはわたしを捨すてて行いって、いなくなった。もはやわたしの天幕てんまくを張はる者ものはなく、幕まくを掛かける者ものもない。
10:21 牧者ぼくしゃは愚おろかであって、主しゅに問とうことをしないからである。それゆえ彼かれらは栄さかえることもなく、その群むれはみな散ちり去さっている。
10:22 聞きけよ、うわさのあるのを。見みよ、北きたの国くにから大おおいなる騒さわぎが来くる。これはユダの町々まちまちを荒あらして山犬やまいぬの巣すとする。
10:23 主しゅよ、わたしは知しっています、人ひとの道みちは自身じしんによるのではなく、歩あゆむ人ひとが、その歩あゆみを自分じぶんで決きめることのできないことを。
10:24 主しゅよ、わたしを懲こらしてください。正ただしい道みちにしたがって、怒いからずに懲こらしてください。さもないと、わたしは無むに帰きしてしまうでしょう。
10:25 あなたを知しらない国民くにたみと、あなたの名なをとなえない人々ひとびとにあなたの怒いかりを注そそいでください。彼かれらはヤコブを食くい尽つくしこれを食くい尽つくして滅ほろぼし、そのすみかを荒あらしたからです。
第11章 11:1 主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことばは言いう、11:2 「この契約けいやくの言葉ことばを聞きき、ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者ものに告つげよ。11:3 彼かれらに言いえ、イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、この契約けいやくの言葉ことばに従したがわない人ひとは、のろわれる。11:4 この契約けいやくは、わたしがあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ち、鉄てつのかまどの中なかから導みちびき出だした時ときに、彼かれらに命めいじたところのものである。すなわち、その時ときわたしは彼かれらに言いった、わたしの声こえを聞きき、あなたがたに命めいじるすべてのことを行おこなうならば、あなたがたはわたしの民たみとなり、わたしはあなたがたの神かみとなる。11:5 そして、わたしがあなたがたの先祖せんぞに、乳ちちと蜜みつとの流ながれる地ちを与あたえると誓ちかったことを、なし遂とげると。すなわち今日こんにちのとおりである」。その時ときわたしは、「主しゅよ、仰おおせのとおりです」と答こたえた。 11:6 主しゅはわたしに言いわれた、「このすべての言葉ことばを、ユダの町々まちまちと、エルサレムのちまたに告つげ示しめし、この契約けいやくの言葉ことばを聞きき、これを行おこなえ、と言いいなさい。11:7 わたしは、あなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ちから導みちびき出だした時ときから今日こんにちにいたるまで、おごそかに彼かれらを戒いましめ、絶たえず戒いましめて、わたしの声こえに聞きき従したがうようにと言いった。11:8 しかし彼かれらは従したがわず、その耳みみを傾かたむけず、おのおの自分じぶんの悪わるい強情ごうじょうな心こころに従したがって歩あゆんだ。それゆえ、わたしはこの契約けいやくの言葉ことばをもって彼かれらを責せめた。これはわたしが彼かれらに行おこなえと命めいじたが、行おこなわなかったものである」。 11:9 主しゅはまたわたしに言いわれた、「ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者もののうちに反逆はんぎゃくの事ことがある。11:10 彼かれらは、わたしの言葉ことばを聞きくことを拒こばんだその先祖せんぞたちの罪つみに立たち返かえり、またほかの神々かみがみに従したがってそれに仕つかえた。イスラエルの家いえとユダの家いえとは、わたしがその先祖せんぞたちと結むすんだ契約けいやくを破やぶった。11:11 それゆえ主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしは災わざわいを彼かれらの上うえに下くだす。彼かれらはそれを免まぬかれることはできない。彼かれらがわたしを呼よんでも、わたしは聞きかない。11:12 ユダの町々まちまちとエルサレムに住すむ者ものは、行いって、自分じぶんたちがそれに香こうをたいている神々かみがみに呼よび求もとめるが、これらは、彼かれらの災わざわいの時ときにも決けっして彼かれらを救すくうことはできない。11:13 ユダよ、あなたの神々かみがみは、あなたの町まちの数かずほど多おおくなった。またあなたがたはエルサレムのちまたの数かずほどの祭壇さいだんを恥はずべき者もののために立たてた。すなわちバアルに香こうをたくための祭壇さいだんである。 11:14 それゆえ、この民たみのために祈いのってはならない。また彼かれらのために泣なき、あるいは祈いのり求もとめてはならない。彼かれらがその災わざわいの時ときに、わたしに呼よばわっても、わたしは彼かれらに聞きくことをしないからだ。11:15 わが愛あいする者ものは、わたしの家いえで何なにをするのか。すでにこれは悪事あくじを行おこなった。誓願せいがんと犠牲ぎせいの肉にくとがあなたに災わざわいを免まぬかれさせることができるであろうか。それであなたは喜よろこぶことができるであろうか。11:16 主しゅはあなたを、かつては『良よい実みのなる美うつくしい青々あおあおとしたオリブの木き』と呼よばれたが、激はげしい暴風ぼうふうのとどろきと共ともに、主しゅはそれに火ひをかけ、その枝えだを焼やき払はらわれるのである。11:17 あなたを植うえた万軍ばんぐんの主しゅは、あなたに向むかって災わざわいを言いい渡わたされた。これはイスラエルの家いえとユダの家いえとが悪あくを行おこない、バアルに香こうをたいて、わたしを怒いからせたからである」。11:18 主しゅが知しらせてくださったので、わたしはそれを知しった。その時とき、あなたは彼かれらの悪あしきわざをわたしに示しめされた。11:19 しかしわたしは、ほふられに行いく、おとなしい小羊こひつじのようで、彼かれらがわたしを害がいしようと、計はかりごとをめぐらしているのを知しらなかった。彼かれらは言いう、「さあ、木きとその実みを共ともに滅ほろぼそう。生いける者ものの地ちから彼かれを絶たって、その名なを人ひとに忘わすれさせよう」。11:20 正ただしいさばきをし、人ひとの心こころと思おもいを探さぐられる万軍ばんぐんの主しゅよ、わたしは自分じぶんの訴うったえをあなたにお任まかせしました。あなたが彼かれらにあだをかえされるのを見みさせてください。11:21 それゆえ主しゅはアナトテの人々ひとびとについてこう言いわれる、彼かれらはあなたの命いのちを取とろうと求もとめて言いう、「主しゅの名なによって預言よげんしてはならない。それをするならば、あなたはわれわれの手てにかかって死しぬであろう」。11:22 それで万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらを罰ばっする。若わかい人ひとはつるぎで死しに、彼かれらのむすこ娘むすめは、ききんで死しに、11:23 だれも残のこる者ものはない。わたしがアナトテの人々ひとびとに災わざわいを下くだし、彼かれらを罰ばっする年としをこさせるからである」。 第12章 12:1 主しゅよ、わたしがあなたと論ろんじ争あらそう時とき、あなたは常つねに正ただしい。しかしなお、わたしはあなたの前まえに、さばきのことを論ろんじてみたい。悪人あくにんの道みちがさかえ、不信実ふしんじつな者ものがみな繁栄はんえいするのはなにゆえですか。12:2 あなたが彼かれらを植うえられたので、彼かれらは根ねづき、育そだって、実みを結むすびます。彼かれらは口くちではあなたに近ちかづきますが、心こころはあなたから遠とおざかっています。12:3 主しゅよ、あなたはわたしを知しり、わたしを見み、わたしの心こころがあなたに対たいしていかにあるかを試こころみられます。ほふるために羊ひつじを引ひき出だすように、彼かれらを引ひき出だし、殺ころす日ひにそなえて、彼かれらを残のこしておいてください。12:4 いつまで、この地ちは嘆なげき、どの畑はたけの野菜やさいも枯かれていてよいでしょうか。この地ちに住すむ者ものの悪あくによって、獣けものと鳥とりは滅ほろびうせます。人々ひとびとは言いいました、「彼かれはわれわれの終おわりを見みることはない」と。 12:5 「もしあなたが、徒歩とほの人ひとと競争きょうそうして疲つかれるなら、どうして騎馬きばの人ひとと競きそうことができようか。もし安全あんぜんな地ちで、あなたが倒たおれるなら、ヨルダンの密林みつりんでは、どうするつもりか。12:6 あなたの兄弟きょうだいたち、あなたの父ちちの家いえのものさえ、あなたを欺あざむき、大声おおごえをあげて、あなたを追おっている。彼かれらが親したしげにあなたに語かたることがあっても、彼かれらを信しんじてはならない」。 12:7 「わたしはわが家いえを離はなれ、わが嗣し業ぎょうを捨すて、わが魂たましいの愛あいする者ものを敵てきの手てに渡わたした。12:8 わたしの嗣し業ぎょうは、わたしにとって林はやしの中なかのししのようになった。これはわたしに向むかってその声こえをあげる。それゆえわたしはこれを憎にくむ。12:9 わたしの嗣し業ぎょうは、わたしにとって、斑点はんてんのある猛禽もうきんのようではないか。他たの猛禽もうきんがこれを囲かこんでいるではないか。行いって、野のの獣けものをみな集あつめ、連つれてきてこれを食たべさせよ。12:10 多おおくの牧者ぼくしゃたちはわたしのぶどう畑はたけを滅ほろぼし、わたしの地ちを踏ふみ荒あらした。わたしの麗うるわしい地ちを荒あれた野のにした。12:11 彼かれらはこれを荒あれ地ちとしてしまった。その荒あれ地ちがわたしに向むかって嘆なげくのだ。全ぜん地ちは荒あれ地ちにされた。しかし、ひとりもこれを心こころに留とめる者ものはない。12:12 滅ほろぼす者ものどもが荒野あらののすべての、はげ山やまの上うえにきた。主しゅのつるぎが、地ちの、この果はてから、かの果はてまでを滅ほろぼすのだ。命いのちあるものは安やすらかであることができない。12:13 彼かれらは麦むぎをまいて、いばらを刈かり取とる。苦労くろうしてもなんの利益りえきもない。彼かれらはその収穫しゅうかくを恥はじるようになる。主しゅの激はげしい怒いかりによってである」。12:14 わたしがわが民たみイスラエルにつがせた嗣し業ぎょうに手てを触ふれるすべての悪わるい隣となり人びとについて、主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらをその地ちから抜ぬき出だし、ユダの家いえを彼かれらのうちから抜ぬき出だす。12:15 わたしは、彼かれらを抜ぬき出だしたのちに、また彼かれらをあわれんで、それぞれその嗣し業ぎょうに導みちびき返かえし、おのおのを、その地ちに帰かえらせる。12:16 もし彼かれらがわたしの民たみの道みちを学まなび、わたしの名なによって、『主しゅは生いきておられる』と言いって誓ちかうことが、かつて彼かれらがわたしの民たみに教おしえてバアルをさして誓ちかわせたようになるならば、彼かれらはわたしの民たみのうちに建たてられる。12:17 しかし耳みみをかさない民たみがあるときは、わたしはその民たみを抜ぬき出だして滅ほろぼすと、主しゅは言いわれる」。
11:1 主しゅからエレミヤに臨のぞんだ言葉ことばは言いう、
11:2 「この契約けいやくの言葉ことばを聞きき、ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者ものに告つげよ。
11:3 彼かれらに言いえ、イスラエルの神かみ、主しゅはこう仰おおせられる、この契約けいやくの言葉ことばに従したがわない人ひとは、のろわれる。
11:4 この契約けいやくは、わたしがあなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ち、鉄てつのかまどの中なかから導みちびき出だした時ときに、彼かれらに命めいじたところのものである。すなわち、その時ときわたしは彼かれらに言いった、わたしの声こえを聞きき、あなたがたに命めいじるすべてのことを行おこなうならば、あなたがたはわたしの民たみとなり、わたしはあなたがたの神かみとなる。
11:5 そして、わたしがあなたがたの先祖せんぞに、乳ちちと蜜みつとの流ながれる地ちを与あたえると誓ちかったことを、なし遂とげると。すなわち今日こんにちのとおりである」。その時ときわたしは、「主しゅよ、仰おおせのとおりです」と答こたえた。
11:6 主しゅはわたしに言いわれた、「このすべての言葉ことばを、ユダの町々まちまちと、エルサレムのちまたに告つげ示しめし、この契約けいやくの言葉ことばを聞きき、これを行おこなえ、と言いいなさい。
11:7 わたしは、あなたがたの先祖せんぞをエジプトの地ちから導みちびき出だした時ときから今日こんにちにいたるまで、おごそかに彼かれらを戒いましめ、絶たえず戒いましめて、わたしの声こえに聞きき従したがうようにと言いった。
11:8 しかし彼かれらは従したがわず、その耳みみを傾かたむけず、おのおの自分じぶんの悪わるい強情ごうじょうな心こころに従したがって歩あゆんだ。それゆえ、わたしはこの契約けいやくの言葉ことばをもって彼かれらを責せめた。これはわたしが彼かれらに行おこなえと命めいじたが、行おこなわなかったものである」。
11:9 主しゅはまたわたしに言いわれた、「ユダの人々ひとびととエルサレムに住すむ者もののうちに反逆はんぎゃくの事ことがある。
11:10 彼かれらは、わたしの言葉ことばを聞きくことを拒こばんだその先祖せんぞたちの罪つみに立たち返かえり、またほかの神々かみがみに従したがってそれに仕つかえた。イスラエルの家いえとユダの家いえとは、わたしがその先祖せんぞたちと結むすんだ契約けいやくを破やぶった。
11:11 それゆえ主しゅはこう言いわれる、見みよ、わたしは災わざわいを彼かれらの上うえに下くだす。彼かれらはそれを免まぬかれることはできない。彼かれらがわたしを呼よんでも、わたしは聞きかない。
11:12 ユダの町々まちまちとエルサレムに住すむ者ものは、行いって、自分じぶんたちがそれに香こうをたいている神々かみがみに呼よび求もとめるが、これらは、彼かれらの災わざわいの時ときにも決けっして彼かれらを救すくうことはできない。
11:13 ユダよ、あなたの神々かみがみは、あなたの町まちの数かずほど多おおくなった。またあなたがたはエルサレムのちまたの数かずほどの祭壇さいだんを恥はずべき者もののために立たてた。すなわちバアルに香こうをたくための祭壇さいだんである。
11:14 それゆえ、この民たみのために祈いのってはならない。また彼かれらのために泣なき、あるいは祈いのり求もとめてはならない。彼かれらがその災わざわいの時ときに、わたしに呼よばわっても、わたしは彼かれらに聞きくことをしないからだ。
11:15 わが愛あいする者ものは、わたしの家いえで何なにをするのか。すでにこれは悪事あくじを行おこなった。誓願せいがんと犠牲ぎせいの肉にくとがあなたに災わざわいを免まぬかれさせることができるであろうか。それであなたは喜よろこぶことができるであろうか。
11:16 主しゅはあなたを、かつては『良よい実みのなる美うつくしい青々あおあおとしたオリブの木き』と呼よばれたが、激はげしい暴風ぼうふうのとどろきと共ともに、主しゅはそれに火ひをかけ、その枝えだを焼やき払はらわれるのである。
11:17 あなたを植うえた万軍ばんぐんの主しゅは、あなたに向むかって災わざわいを言いい渡わたされた。これはイスラエルの家いえとユダの家いえとが悪あくを行おこない、バアルに香こうをたいて、わたしを怒いからせたからである」。
11:18 主しゅが知しらせてくださったので、わたしはそれを知しった。その時とき、あなたは彼かれらの悪あしきわざをわたしに示しめされた。
11:19 しかしわたしは、ほふられに行いく、おとなしい小羊こひつじのようで、彼かれらがわたしを害がいしようと、計はかりごとをめぐらしているのを知しらなかった。彼かれらは言いう、「さあ、木きとその実みを共ともに滅ほろぼそう。生いける者ものの地ちから彼かれを絶たって、その名なを人ひとに忘わすれさせよう」。
11:20 正ただしいさばきをし、人ひとの心こころと思おもいを探さぐられる万軍ばんぐんの主しゅよ、わたしは自分じぶんの訴うったえをあなたにお任まかせしました。あなたが彼かれらにあだをかえされるのを見みさせてください。
11:21 それゆえ主しゅはアナトテの人々ひとびとについてこう言いわれる、彼かれらはあなたの命いのちを取とろうと求もとめて言いう、「主しゅの名なによって預言よげんしてはならない。それをするならば、あなたはわれわれの手てにかかって死しぬであろう」。
11:22 それで万軍ばんぐんの主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらを罰ばっする。若わかい人ひとはつるぎで死しに、彼かれらのむすこ娘むすめは、ききんで死しに、
11:23 だれも残のこる者ものはない。わたしがアナトテの人々ひとびとに災わざわいを下くだし、彼かれらを罰ばっする年としをこさせるからである」。
第12章 12:1 主しゅよ、わたしがあなたと論ろんじ争あらそう時とき、あなたは常つねに正ただしい。しかしなお、わたしはあなたの前まえに、さばきのことを論ろんじてみたい。悪人あくにんの道みちがさかえ、不信実ふしんじつな者ものがみな繁栄はんえいするのはなにゆえですか。12:2 あなたが彼かれらを植うえられたので、彼かれらは根ねづき、育そだって、実みを結むすびます。彼かれらは口くちではあなたに近ちかづきますが、心こころはあなたから遠とおざかっています。12:3 主しゅよ、あなたはわたしを知しり、わたしを見み、わたしの心こころがあなたに対たいしていかにあるかを試こころみられます。ほふるために羊ひつじを引ひき出だすように、彼かれらを引ひき出だし、殺ころす日ひにそなえて、彼かれらを残のこしておいてください。12:4 いつまで、この地ちは嘆なげき、どの畑はたけの野菜やさいも枯かれていてよいでしょうか。この地ちに住すむ者ものの悪あくによって、獣けものと鳥とりは滅ほろびうせます。人々ひとびとは言いいました、「彼かれはわれわれの終おわりを見みることはない」と。 12:5 「もしあなたが、徒歩とほの人ひとと競争きょうそうして疲つかれるなら、どうして騎馬きばの人ひとと競きそうことができようか。もし安全あんぜんな地ちで、あなたが倒たおれるなら、ヨルダンの密林みつりんでは、どうするつもりか。12:6 あなたの兄弟きょうだいたち、あなたの父ちちの家いえのものさえ、あなたを欺あざむき、大声おおごえをあげて、あなたを追おっている。彼かれらが親したしげにあなたに語かたることがあっても、彼かれらを信しんじてはならない」。 12:7 「わたしはわが家いえを離はなれ、わが嗣し業ぎょうを捨すて、わが魂たましいの愛あいする者ものを敵てきの手てに渡わたした。12:8 わたしの嗣し業ぎょうは、わたしにとって林はやしの中なかのししのようになった。これはわたしに向むかってその声こえをあげる。それゆえわたしはこれを憎にくむ。12:9 わたしの嗣し業ぎょうは、わたしにとって、斑点はんてんのある猛禽もうきんのようではないか。他たの猛禽もうきんがこれを囲かこんでいるではないか。行いって、野のの獣けものをみな集あつめ、連つれてきてこれを食たべさせよ。12:10 多おおくの牧者ぼくしゃたちはわたしのぶどう畑はたけを滅ほろぼし、わたしの地ちを踏ふみ荒あらした。わたしの麗うるわしい地ちを荒あれた野のにした。12:11 彼かれらはこれを荒あれ地ちとしてしまった。その荒あれ地ちがわたしに向むかって嘆なげくのだ。全ぜん地ちは荒あれ地ちにされた。しかし、ひとりもこれを心こころに留とめる者ものはない。12:12 滅ほろぼす者ものどもが荒野あらののすべての、はげ山やまの上うえにきた。主しゅのつるぎが、地ちの、この果はてから、かの果はてまでを滅ほろぼすのだ。命いのちあるものは安やすらかであることができない。12:13 彼かれらは麦むぎをまいて、いばらを刈かり取とる。苦労くろうしてもなんの利益りえきもない。彼かれらはその収穫しゅうかくを恥はじるようになる。主しゅの激はげしい怒いかりによってである」。12:14 わたしがわが民たみイスラエルにつがせた嗣し業ぎょうに手てを触ふれるすべての悪わるい隣となり人びとについて、主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらをその地ちから抜ぬき出だし、ユダの家いえを彼かれらのうちから抜ぬき出だす。12:15 わたしは、彼かれらを抜ぬき出だしたのちに、また彼かれらをあわれんで、それぞれその嗣し業ぎょうに導みちびき返かえし、おのおのを、その地ちに帰かえらせる。12:16 もし彼かれらがわたしの民たみの道みちを学まなび、わたしの名なによって、『主しゅは生いきておられる』と言いって誓ちかうことが、かつて彼かれらがわたしの民たみに教おしえてバアルをさして誓ちかわせたようになるならば、彼かれらはわたしの民たみのうちに建たてられる。12:17 しかし耳みみをかさない民たみがあるときは、わたしはその民たみを抜ぬき出だして滅ほろぼすと、主しゅは言いわれる」。
12:1 主しゅよ、わたしがあなたと論ろんじ争あらそう時とき、あなたは常つねに正ただしい。しかしなお、わたしはあなたの前まえに、さばきのことを論ろんじてみたい。悪人あくにんの道みちがさかえ、不信実ふしんじつな者ものがみな繁栄はんえいするのはなにゆえですか。
12:2 あなたが彼かれらを植うえられたので、彼かれらは根ねづき、育そだって、実みを結むすびます。彼かれらは口くちではあなたに近ちかづきますが、心こころはあなたから遠とおざかっています。
12:3 主しゅよ、あなたはわたしを知しり、わたしを見み、わたしの心こころがあなたに対たいしていかにあるかを試こころみられます。ほふるために羊ひつじを引ひき出だすように、彼かれらを引ひき出だし、殺ころす日ひにそなえて、彼かれらを残のこしておいてください。
12:4 いつまで、この地ちは嘆なげき、どの畑はたけの野菜やさいも枯かれていてよいでしょうか。この地ちに住すむ者ものの悪あくによって、獣けものと鳥とりは滅ほろびうせます。人々ひとびとは言いいました、「彼かれはわれわれの終おわりを見みることはない」と。
12:5 「もしあなたが、徒歩とほの人ひとと競争きょうそうして疲つかれるなら、どうして騎馬きばの人ひとと競きそうことができようか。もし安全あんぜんな地ちで、あなたが倒たおれるなら、ヨルダンの密林みつりんでは、どうするつもりか。
12:6 あなたの兄弟きょうだいたち、あなたの父ちちの家いえのものさえ、あなたを欺あざむき、大声おおごえをあげて、あなたを追おっている。彼かれらが親したしげにあなたに語かたることがあっても、彼かれらを信しんじてはならない」。
12:7 「わたしはわが家いえを離はなれ、わが嗣し業ぎょうを捨すて、わが魂たましいの愛あいする者ものを敵てきの手てに渡わたした。
12:8 わたしの嗣し業ぎょうは、わたしにとって林はやしの中なかのししのようになった。これはわたしに向むかってその声こえをあげる。それゆえわたしはこれを憎にくむ。
12:9 わたしの嗣し業ぎょうは、わたしにとって、斑点はんてんのある猛禽もうきんのようではないか。他たの猛禽もうきんがこれを囲かこんでいるではないか。行いって、野のの獣けものをみな集あつめ、連つれてきてこれを食たべさせよ。
12:10 多おおくの牧者ぼくしゃたちはわたしのぶどう畑はたけを滅ほろぼし、わたしの地ちを踏ふみ荒あらした。わたしの麗うるわしい地ちを荒あれた野のにした。
12:11 彼かれらはこれを荒あれ地ちとしてしまった。その荒あれ地ちがわたしに向むかって嘆なげくのだ。全ぜん地ちは荒あれ地ちにされた。しかし、ひとりもこれを心こころに留とめる者ものはない。
12:12 滅ほろぼす者ものどもが荒野あらののすべての、はげ山やまの上うえにきた。主しゅのつるぎが、地ちの、この果はてから、かの果はてまでを滅ほろぼすのだ。命いのちあるものは安やすらかであることができない。
12:13 彼かれらは麦むぎをまいて、いばらを刈かり取とる。苦労くろうしてもなんの利益りえきもない。彼かれらはその収穫しゅうかくを恥はじるようになる。主しゅの激はげしい怒いかりによってである」。
12:14 わたしがわが民たみイスラエルにつがせた嗣し業ぎょうに手てを触ふれるすべての悪わるい隣となり人びとについて、主しゅはこう言いわれる、「見みよ、わたしは彼かれらをその地ちから抜ぬき出だし、ユダの家いえを彼かれらのうちから抜ぬき出だす。
12:15 わたしは、彼かれらを抜ぬき出だしたのちに、また彼かれらをあわれんで、それぞれその嗣し業ぎょうに導みちびき返かえし、おのおのを、その地ちに帰かえらせる。
12:16 もし彼かれらがわたしの民たみの道みちを学まなび、わたしの名なによって、『主しゅは生いきておられる』と言いって誓ちかうことが、かつて彼かれらがわたしの民たみに教おしえてバアルをさして誓ちかわせたようになるならば、彼かれらはわたしの民たみのうちに建たてられる。
12:17 しかし耳みみをかさない民たみがあるときは、わたしはその民たみを抜ぬき出だして滅ほろぼすと、主しゅは言いわれる」。