口語訳聖書(振り仮名付き)

章: 21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  31

サムエルじょう

第21章    1Sm-Audio 

21:1 ダビデはノブにき、祭司さいしアヒメレクのところへった。アヒメレクはおののきながらダビデをむかえてった、「どうしてあなたはひとりですか。だれもともがいないのですか」。

21:2 ダビデは祭司さいしアヒメレクにった、「おうがわたしに一つのことめいじて、『わたしがおまえをつかわしてさせること、またわたしがめいじたことについては、なにをもひとらせてはならない』とわれました。そこでわたしは、ある場所ばしょ若者わかものたちをたせてあります。

21:3 ところでいまあなたのもとにパン五でもあれば、それをわたしにください。なければなんでも、あるものをください」。

21:4 祭司さいしはダビデにこたえてった、「つねのパンはわたしのもとにありません。ただその若者わかものたちがおんなつつしんでさえいたのでしたら、聖別せいべつしたパンがあります」。

21:5 ダビデは祭司さいしこたえた、「わたしがたたかいにるいつものときのように、われわれはたしかにおんなたちをちかづけていません。若者わかものたちのうつわは、つねたびであったとしても、きよいのです。まして、きょう、かれらのうつわきよくないでしょうか」。

21:6 そこで祭司さいしかれ聖別せいべつしたパンをあたえた。そのところに、そなえのパンのほかにパンがなく、このパンは、これをげるに、あたたかいパンときかえるため、しゅまえからとりさげたものである。

21:7 その、そのところに、サウルのしもべのひとりが、しゅまえかれていた。そのはドエグといい、エドムびとであって、サウルの牧者ぼくしゃちょうであった。

21:8 ダビデはまたアヒメレクにった、「ここに、あなたのもとに、やりかつるぎがありませんか。おうこときゅうようしたので、わたしはつるぎも武器ぶきってこなかったのです」。

21:9 祭司さいしった、「あなたがエラのたにころしたペリシテびとゴリアテのつるぎが、ぬのつつんでエポデのうしろにあります。もしあなたがこれをろうとおもわれるなら、おりください。ここにはそのほかにはありません」。ダビデはった、「それにまさるものはありません。それをわたしにください」。

21:10 ダビデはそのサウルをおそれて、ってガテのおうアキシのところへげてった。

21:11 アキシの家来けらいたちはアキシにった、「これはあのくにおうダビデではありませんか。人々ひとびとおどりながら、たがいうたいかわして、

『サウルは千をころし、ダビデはまんころした』
ったのは、このひとのことではありませんか」。

21:12 ダビデは、これらの言葉ことばこころにおき、ガテのおうアキシを、ひじょうにおそれたので、

21:13 人々ひとびとまえで、わざと挙動きょどうえ、とらえられて気違きちがいのふりをし、もんのとびらをちたたき、よだれをながして、ひげにつたわらせた。

21:14 アキシは家来けらいたちにった、「あなたがたのるように、このひと気違きちがいだ。どうしてかれをわたしのところれてきたのか。

21:15 わたしに気違きちがいが必要ひつようなのか。このものれてきて、わたしのまえくるわせようというのか。このものをわたしのいえれようとするのか」。 

第22章 

22:1 こうしてダビデはそのところり、アドラムのほらあなへのがれた。かれ兄弟きょうだいたちとちちいえものみな、これをき、そのところくだってかれのもとにきた。

22:2 また、しえたげられている人々ひとびと負債ふさいのある人々ひとびとこころ不満ふまんのある人々ひとびとみなかれのもとにあつまってきて、かれはそのちょうとなった。おおよそ四百にん人々ひとびとかれともにあった。

22:3 ダビデはそこからモアブのミヅパへき、モアブのおうった、「かみがわたしのためにどんなことをされるかわかるまで、どうぞわたしの父母ふぼをあなたのところにおらせてください」。

22:4 そしてかれはモアブのおうかれらをたくしたので、かれらはダビデが要害ようがいにおるあいだおうところにおった。

22:5 さて、預言者よげんしゃガドはダビデにった、「要害ようがいにとどまっていないで、ってユダのきなさい」。そこでダビデはって、ハレテのもりった。

22:6 サウルは、ダビデおよびかれともにいる人々ひとびとつかったということをいた。サウルはギベアで、やりをにもって、おかのぎょりゅうのしたにすわっており、家来けらいたちはみなそのまわりにっていた。

22:7 サウルはまわりにっている家来けらいたちにった、「あなたがたベニヤミンびとはきなさい。エッサイのもまた、あなたがたおのおのにはたけやぶどうはたけあたえ、おのおのを千にんちょう、百にんちょうにするであろうか。

22:8 あなたがたはみなともにはかってわたしにてきした。わたしのがエッサイの契約けいやくむすんでも、それをわたしにげるものはなく、またあなたがたのうち、ひとりもわたしのためにうれえず、きょうのように、わたしのがわたしのしもべをそそのかしてわたしにさからわせ、みちかれがわたしをせするようになっても、わたしにげるものはない」。

22:9 そのときエドムびとドエグは、サウルの家来けらいたちのそばにっていたが、こたえてった、「わたしはエッサイのがノブにいるアヒトブのアヒメレクのところにきたのをました。

22:10 アヒメレクはかれのためにしゅい、またかれ食物しょくもつあたえ、ペリシテびとゴリアテのつるぎをあたえました」。

22:11 そこでおうひとをつかわして、アヒトブの祭司さいしアヒメレクとそのちちいえのすべてのもの、すなわちノブの祭司さいしたちをしたので、みなおうところにきた。

22:12 サウルはった、「アヒトブのよ、きなさい」。かれこたえた、「わがしゅよ、わたしはここにおります」。

22:13 サウルはかれった、「どうしてあなたはエッサイのともにはかってわたしにてきし、かれにパンとつるぎをあたえ、かれのためにかみい、きょうのようにかれをわたしにさからってたせ、みちせさせるのか」。

22:14 アヒメレクはおうこたえてった、「あなたの家来けらいのうち、ダビデのように忠義ちゅうぎものがほかにありますか。かれおうむすめ婿むこであり、近衛このえへいちょうであって、あなたのいえたっとばれるひとではありませんか。

22:15 かれのためにかみうたのは、きょうはじめてでしょうか。いいえ、けっしてそうではありません。おうよ、どうぞ、しもべとちち全家ぜんかつみわせないでください。しもべは、これについては、こと大小だいしょうわず、なにをもらなかったのです」。

22:16 おうった、「アヒメレクよ、あなたはかならころされなければならない。あなたのちち全家ぜんかおなじである」。

22:17 そしておうはまわりにっている近衛このえへいった、「をひるがえして、しゅ祭司さいしたちをころしなさい。かれらもダビデと協力きょうりょくしていて、ダビデのげたのをりながら、それをわたしにげなかったからです」。ところがおう家来けらいたちはしゅ祭司さいしたちをころすためにくだそうとはしなかった。

22:18 そこでおうはドエグにった、「あなたがをひるがえして、祭司さいしたちをころしなさい」。エドムびとドエグはをひるがえして祭司さいしたちをち、その亜麻あまぬののエポデをにつけているもの八十五にんころした。

22:19 かれはまた、つるぎをもって祭司さいしまちノブをち、つるぎをもっておとこおんなおさ乳飲ちのうし、ろば、ひつじころした。

22:20 しかしアヒトブのアヒメレクのたちのひとりで、をアビヤタルというひとは、のがれてダビデのところはしった。

22:21 そしてアビヤタルは、サウルがしゅ祭司さいしたちをころしたことをダビデにげたので、

22:22 ダビデはアビヤタルにった、「あの、エドムびとドエグがあそこにいたので、わたしはかれがきっとサウルにげるであろうとおもった。わたしがあなたのちちいえ人々ひとびといのちうしなわせるもととなったのです。

22:23 あなたはわたしのところにとどまってください。おそれることはありません。あなたのいのちもとめるものは、わたしのいのちをももとめているのです。わたしのところにおられるならば、あなたは安全あんぜんでしょう」。 

第23章 

23:1 さて人々ひとびとはダビデにげてった、「ペリシテびとがケイラをめて、穀物こくもつをかすめています」。

23:2 そこでダビデはしゅうてった、「わたしがって、このペリシテびとをちましょうか」。しゅはダビデにわれた、「ってペリシテびとをち、ケイラをすくいなさい」。

23:3 しかしダビデの従者じゅうしゃたちはかれった、「われわれは、ユダのここにおってさえ、おそれているのに、ましてケイラへって、ペリシテびとのぐんあたることができましょうか」。

23:4 ダビデがかさねてしゅうたところ、しゅかれこたえてわれた、「って、ケイラへくだりなさい。わたしはペリシテびとをあなたのわたします」。

23:5 ダビデとその従者じゅうしゃたちはケイラへって、ペリシテびととたたかい、かれらの家畜かちくうばいとり、かれらをおおころした。こうしてダビデはケイラの住民じゅうみんすくった。

23:6 アヒメレクのアビヤタルは、ケイラにいるダビデのもとにのがれてきたときにエポデをもってくだってきた。

23:7 さてダビデのケイラにきたことがサウルにきこえたので、サウルはった、「かみはわたしのかれをわたされた。かれもんかんのあるまちにはいって、自分じぶんじこめたからである」。

23:8 そこでサウルはすべてのたみたたかいにあつめて、ケイラにくだり、ダビデとその従者じゅうしゃかこもうとした。

23:9 ダビデはサウルが自分じぶんがいくわえようとしているのをって、祭司さいしアビヤタルにった、「エポデをってきてください」。

23:10 そしてダビデはった、「イスラエルのかみしゅよ、しもべはサウルがケイラにきて、わたしのために、このまちほろぼそうとしていることをたしかにきました。

23:11 ケイラの人々ひとびとはわたしをかれわたすでしょうか。しもべのいたように、サウルはくだってくるでしょうか。イスラエルのかみしゅよ、どうぞ、しもべにげてください」。しゅわれた、「かれくだってる」。

23:12 ダビデはった、「ケイラの人々ひとびとはわたしと従者じゅうしゃたちをサウルのにわたすでしょうか」。しゅわれた、「かれらはあなたがたをわたすであろう」。

23:13 そこでダビデとその六百にんほどの従者じゅうしゃたちはって、ケイラをり、いずこともなくさまよった。ダビデのケイラからったことがサウルにきこえたので、サウルはたたかいにることをやめた。

23:14 ダビデは荒野あらのにある要害ようがいにおり、またジフの荒野あらの山地さんちにおった。サウルは日々ひびかれたずもとめたが、かみかれをそのわたされなかった。

23:15 さてダビデはサウルが自分じぶんいのちもとめててきたのでおそれた。そのときダビデはジフの荒野あらののホレシにいたが、

23:16 サウルのヨナタンはって、ホレシにいるダビデのもとにき、かみによってかれちからづけた。

23:17 そしてヨナタンはかれった、「おそれるにはおよびません。ちちサウルのはあなたにとどかないでしょう。あなたはイスラエルのおうとなり、わたしはあなたのつぎとなるでしょう。このことはちちサウルもっています」。

23:18 こうしてかれらふたりはしゅまえ契約けいやくむすび、ダビデはホレシにとどまり、ヨナタンはいえかえった。

23:19 そのときジフびとはギベアにいるサウルのもとにのぼってき、そしてった、「ダビデは、荒野あらのみなみにあるハキラのおかうえのホレシの要害ようがいかくれて、われわれとともにいるではありませんか。

23:20 それゆえおうよ、あなたがくだってこうというのぞみのとおり、いまくだってきてください。われわれはかれおうわたします」。

23:21 サウルはった、「あなたがたはわたしに同情どうじょうせてくれたのです。どうぞしゅがあなたがたを祝福しゅくふくされるように。

23:22 あなたがたはって、なおたしかめてください。かれのよくところとだれがそこでかれたかをきわめてください。ひとかたるところによると、かれはひじょうに悪賢わるがしこいそうだ。

23:23 それで、あなたがたはかれかくれるかく場所ばしょをみなきわめ、たしかならせをもってわたしのところかえってきなさい。そのときわたしはあなたがたとともきます。もしかれがこのにいるならば、わたしはユダの氏族しぞくをあまねくたずねてかれさがしだします」。

23:24 かれらはって、サウルに先立さきだってジフへった。

さてダビデとその従者じゅうしゃたちは荒野あらのみなみのアラバにあるマオンの荒野あらのにいた。

23:25 そしてサウルとその従者じゅうしゃたちはきてかれさがした。人々ひとびとがこれをダビデにげたので、ダビデはマオンの荒野あらのにあるいわところくだってった。サウルはこれをいて、マオンの荒野あらのにきてダビデをった。

23:26 サウルはやまのこちらがわき、ダビデとその従者じゅうしゃたちとはやまのむこうがわおこなった。そしてダビデはいそいでサウルからのがれようとした。サウルとその従者じゅうしゃたちが、ダビデとその従者じゅうしゃたちをかこんでとらえようとしたからである。

23:27 そのとき、サウルのところに、ひとりの使者ししゃがきてった、「ペリシテびとがくにおかしています。いそいできてください」。

23:28 そこでサウルはダビデをうことをやめてかえり、ってペリシテびとにあたった。それで人々ひとびとは、そのところを「のがれのいわ」とづけた。

23:29 ダビデはそこからのぼってエンゲデの要害ようがいにいた。 

第24章 

24:1 サウルがペリシテびとをうことをやめてかえってきたとき、人々ひとびとかれげてった、「ダビデはエンゲデのにいます」。

24:2 そこでサウルは、ぜんイスラエルからえらんだ三千のひとひきい、ダビデとその従者じゅうしゃたちとをさがすため、「やぎのいわ」のまえかけた。

24:3 途中とちゅうひつじのおりのところにきたが、そこに、ほらあながあり、サウルはあしをおおうために、そのなかにはいった。そのとき、ダビデとその従者じゅうしゃたちは、ほらあなおくにいた。

24:4 ダビデの従者じゅうしゃたちはかれった、「しゅがあなたにげて、『わたしはあなたのてきをあなたのわたす。あなたは自分じぶんいとおもうことをかれにすることができる』とわれたがきたのです」。そこでダビデはって、ひそかに、サウルの上着うわぎのすそをった。

24:5 しかしのちになって、ダビデはサウルの上着うわぎのすそをったことに、こころめをかんじた。

24:6 ダビデは従者じゅうしゃたちにった、「しゅあぶらそそがれたわがきみに、わたしがこのことをするのをしゅきんじられる。かれしゅあぶらそそがれたものであるから、かれてきして、わたしのをのべるのはくない」。

24:7 ダビデはこれらの言葉ことばをもって従者じゅうしゃたちをめ、サウルをつことをゆるさなかった。サウルはって、ほらあなり、みちすすんだ。

24:8 ダビデもまた、そのあとからち、ほらあなて、サウルのうしろからばわって、「わがきみおうよ」とった。サウルがうしろをふりいたとき、ダビデはにひれしてはいした。

24:9 そしてダビデはサウルにった、「どうして、あなたは『ダビデがあなたをがいしようとしている』という人々ひとびと言葉ことばかれるのですか。

24:10 あなたは、この自分じぶんで、しゅがあなたをきょう、ほらあななかでわたしのわたされたのをごらんになりました。人々ひとびとはわたしにあなたをころすことをすすめたのですが、わたしはころしませんでした。『わがきみしゅあぶらそそがれたかたであるから、これにてきしてをのべることはしない』とわたしはいました。

24:11 わがちちよ、ごらんなさい。あなたの上着うわぎのすそは、わたしのにあります。わたしがあなたの上着うわぎのすそをり、しかも、あなたをころさなかったことによって、あなたは、わたしのあくも、とがもないことをられるでしょう。あなたはわたしのいのちろうと、ねらっておられますが、わたしはあなたにたいしてつみをおかしたことはないのです。

24:12 どうぞしゅがわたしとあなたのあいだをさばかれますように。またしゅがわたしのために、あなたにむくいられますように。しかし、わたしはあなたにをくだすことをしないでしょう。

24:13 むかしから、ことわざにっているように、『あく悪人あくにんからる』。しかし、わたしはあなたにをくだすことをしないでしょう。

24:14 イスラエルのおうは、だれをっててこられたのですか。あなたは、だれをっておられるのですか。んだいぬっておられるのです。一ぴきのみっておられるのです。

24:15 どうぞしゅがさばきびととなって、わたしとあなたのあいだをさばき、かつて、わたしのうったえをき、わたしをあなたのからすくしてくださるように」。

24:16 ダビデがこれらの言葉ことばをサウルにかたおわったとき、サウルはった、「わがダビデよ、これは、あなたのこえであるか」。そしてサウルはこえをあげていた。

24:17 サウルはまたダビデにった、「あなたはわたしよりもただしい。わたしがあなたにあくむくいたのに、あなたはわたしにぜんむくいる。

24:18 きょう、あなたはいかにくわたしをあつかったかをあきらかにしました。すなわちしゅがわたしをあなたのにわたされたのに、あなたはわたしをころさなかったのです。

24:19 ひとてきったとき、てき無事ぶじらせるでしょうか。あなたが、きょう、わたしにしたことのゆえに、どうぞしゅがあなたにむくいをあたえられるように。

24:20 いまわたしは、あなたがかならずおうとなることをりました。またイスラエルの王国おうこくが、あなたのによってかたつことをりました。

24:21 それゆえ、あなたはわたしのあとに、わたしの子孫しそんたず、またわたしのちちいえから、わたしのほろぼしらないと、いましゅをさして、わたしにちかってください」。

24:22 そこでダビデはサウルに、そのようにちかった。そしてサウルはいえかえり、ダビデとその従者じゅうしゃたちは要害ようがいにのぼってった。 

第25章 

25:1 さてサムエルがんだので、イスラエルの人々ひとびとはみなあつまって、かれのためにひじょうにかなしみ、ラマにあるそのいえかれほうむった。

そしてダビデはってパランの荒野あらのくだってった。

25:2 マオンに、ひとりのひとがあって、カルメルにその所有しょゆうがあり、ひじょうに裕福ゆうふくで、ひつじ三千とう、やぎ一千とうっていた。かれはカルメルでひつじっていた。

25:3 そのひとはナバルといい、つまはアビガイルといった。アビガイルはかしこくてうつくしかったが、そのおっと剛情ごうじょうで、粗暴そぼうであった。かれはカレブびとであった。

25:4 ダビデは荒野あらのにいて、ナバルがそのひつじっていることをいたので、

25:5 十にん若者わかものをつかわし、その若者わかものたちにった、「カルメルにのぼってってナバルのところき、わたしのをもってかれにあいさつし、

25:6 かれにこういなさい、『どうぞあなたに平安へいあんがあるように。あなたのいえ平安へいあんがあるように。またあなたのすべてのもの平安へいあんがあるように。

25:7 わたしはあなたがひつじっておられることをきました。あなたの羊飼ひつじかいたちはわれわれと一緒いっしょにいたのですが、われわれはかれらをすこしもがいしませんでした。またかれらはカルメルにいるあいだに、なにひとつうしなったことはありません。

25:8 あなたの若者わかものたちにいてみられるならば、わかります。それゆえ、わたしの若者わかものたちに、あなたの好意こういしめしてください。われわれはしゅくにきたのです。どうぞ、あなたのもとにあるものを、おくものとして、しもべどもとあなたのダビデにください』」。

25:9 ダビデの若者わかものたちはって、ダビデのをもって、これらの言葉ことばをナバルにかたり、そしてっていた。

25:10 ナバルはダビデの若者わかものたちにこたえてった、「ダビデとはだれか。エッサイのとはだれか。このごろは、主人しゅじんててげるしもべがおおい。

25:11 どうしてわたしのパンとみず、またわたしのひつじ人々ひとびとのためにほふったにくをとって、どこからきたのかわからない人々ひとびとあたえることができようか」。

25:12 ダビデの若者わかものたちは、そこをり、かえってきて、かれにこのすべてのことげた。

25:13 そこでダビデは従者じゅうしゃたちにった、「おのおの、つるぎをびなさい」。かれらはおのおのつるぎをび、ダビデもまたつるぎをびた。そしておおよそ四百にんがダビデにしたがってのぼっていき、二百にん荷物にもつのところにとどまった。

25:14 ところで、ひとりの若者わかものがナバルのつまアビガイルにった、「ダビデが荒野あらのから使者ししゃをつかわして、主人しゅじんにあいさつをしたのに、主人しゅじんはその使者ししゃたちをののしられました。

25:15 しかし、あの人々ひとびとはわれわれにだいへんよくしてくれて、われわれはすこしもがいけず、またわれわれがにいたときかれらとともにいたあいだは、なにひとつうしなったことはありませんでした。

25:16 われわれがひつじってかれらとともにいるあいだかれらはよるひるもわれわれのかきとなってくれました。

25:17 それで、あなたはいまそれをって、自分じぶんのすることをかんがえてください。主人しゅじんとその一家いっかわざわいきるからです。しかも主人しゅじんはよこしまなひとで、はなしかけることもできません」。

25:18 そのとき、アビガイルはいそいでパン二百、ぶどうしゅかわぶくろ二つ、調理ちょうりしたひつじとう、いりむぎ五セア、ほしぶどう百ふさ、ほしいちじくのかたまり二百をって、ろばにのせ、

25:19 若者わかものたちにった、「わたしのさきにすすみなさい。わたしはあなたがたのうしろに、ついてきます」。しかし彼女かのじょおっとナバルにはげなかった。

25:20 アビガイルが、ろばにって山陰やまかげくだってきたとき、ダビデと従者じゅうしゃたちは彼女かのじょほうかってりてきたので、彼女かのじょはその人々ひとびと出会であった。

25:21 さて、ダビデはさきにこうった、「わたしはこのひと荒野あらのっているものをみなまもって、そのひとぞくするものなにひとつなくならないようにしたが、それはまったくむだであった。かれはわたしのした親切しんせつあくをもってむくいた。

25:22 もしわたしがあすのあさまで、ナバルにぞくするすべてのもののうち、ひとりのおとこでものこしておくならば、かみ幾重いくえにもダビデをばっしてくださるように」。

25:23 アビガイルはダビデをて、いそいで、ろばをり、ダビデのまえにひれし、

25:24 そのあしもとにしてった、「わがきみよ、このとがをわたしだけにわせてください。しかしどうぞ、はしために、あなたのみみかたることをゆるし、はしための言葉ことばをおきください。

25:25 わがきみよ、どうぞ、このよこしまなひとナバルのことをにかけないでください。あのひとはそののとおりです。はナバルで、おろかなものです。あなたのはしためであるわたしは、わがきみなるあなたがつかわされた若者わかものたちをなかったのです。

25:26 それゆえいま、わがきみよ、しゅきておられます。またあなたはきておられます。しゅは、あなたがきてながし、またずから、あだをむくいるのをとどめられました。どうぞいま、あなたのてき、およびわがきみがいくわえようとするものは、ナバルのごとくになりますように。

25:27 いま、あなたのつかえめが、わがきみたずさえてきたおくものを、わがきみしたが若者わかものたちにあたえてください。

25:28 どうぞ、はしためのとがをゆるしてください。しゅかならずわがきみのためにたしかないえつくられるでしょう。わがきみしゅのいくさをたたかい、またこのきながらえられるあいだ、あなたのうちにわるいことがいだされないからです。

25:29 たといひとってあなたをい、あなたのいのちもとめても、わがきみいのちは、きているものたばにたばねられて、あなたのかみしゅのもとにまもられるでしょう。しかししゅはあなたのてきいのちを、いしげのなかからげるように、てられるでしょう。

25:30 そしてしゅがあなたについてかたられたすべてのいことをわがきみおこない、あなたをイスラエルのつかさににんじられるとき

25:31 あなたが、ゆえなくながし、またわがきみがみずからあだをむくいたとうことで、それがあなたのつまずきとなり、またわがきみこころめとなることのないようにしてください。しゅがわがきみくせられるとき、このはしためをおもいだしてください」。

25:32 ダビデはアビガイルにった、「きょう、あなたをつかわして、わたしをむかえさせられたイスラエルのかみしゅはほむべきかな。

25:33 あなたの知恵ちえはほむべきかな。またあなたはほむべきかな。あなたは、きょう、わたしがきてながし、ずからあだをむくいることをとどめられたのです。

25:34 わたしがあなたをがいすることをとどめられたイスラエルのかみしゅはまことにきておられる。もしあなたがいそいでわたしにいにこなかったならば、あすのあさまでには、ナバルのところに、ひとりのおとこのこらなかったでしょう」。

25:35 ダビデはアビガイルがたずさえてきたものをそのからけて、彼女かのじょった、「あなたは無事ぶじにのぼって、いえかえりなさい。わたしはあなたのこえきいれ、あなたのねがいをゆるします」。

25:36 こうしてアビガイルはナバルのもとにきたが、よ、かれはそのいえで、おう酒宴しゅえんのような酒宴しゅえんひらいていた。ナバルはこころたのしみ、ひじょうにっていたので、アビガイルはくるあさまでこと大小だいしょうわずなにをもかれげなかった。

25:37 あさになってナバルのいがさめたとき、そのつまかれにこれらのことげると、かれこころはそのうちにんで、かれいしのようになった。

25:38 十ばかりしてしゅがナバルをたれたのでかれんだ。

25:39 ダビデはナバルがんだといてった、「しゅはほむべきかな。しゅはわたしがナバルのからけた侮辱ぶじょくむくいて、しもべがあくをおこなわないようにされた。しゅはナバルの悪行あくぎょうをそのこうべにむくいられたのだ」。ダビデはアビガイルをつまにめとろうと、ひとをつかわして彼女かのじょもうんだ。

25:40 ダビデのしもべたちはカルメルにいるアビガイルのところにきて、彼女かのじょった、「ダビデはあなたをつまにめとろうと、われわれをあなたのところへつかわしたのです」。

25:41 アビガイルはち、にひれはいしてった、「はしためは、わがきみのしもべたちのあしあらうつかえめです」。

25:42 アビガイルはいそいでち、ろばにって、五にん侍女じじょたちをれ、ダビデの使者ししゃたちにしたがってき、ダビデのつまとなった。

25:43 ダビデはまたエズレルのアヒノアムをめとった。彼女かのじょたちはふたりともダビデのつまとなった。

25:44 ところでサウルはそのむすめ、ダビデのつまミカルを、ガリムのひとであるライシのパルテにあたえた。 

第26章 

26:1 そのころジフびとがギベアにおるサウルのもとにきてった、「ダビデは荒野あらのまえにあるハキラのやまかくれているではありませんか」。

26:2 サウルはって、ジフの荒野あらのでダビデをさがすために、イスラエルのうちからえらんだ三千にんをひきれて、ジフの荒野あらのくだった。

26:3 サウルは荒野あらのまえみちのかたわらにあるハキラのやまじんった。ダビデは荒野あらのにとどまっていたが、サウルが自分じぶんのあとをって荒野あらのにきたのをて、

26:4 斥候せっこうし、サウルがたしかにきたのをった。

26:5 そしてダビデはって、サウルがじんっているところって、サウルとそのぐんちょう、ネルのアブネルのている場所ばしょた。サウルは陣所じんしょのうちにていて、たみはその周囲しゅうい宿営しゅくえいしていた。

26:6 ダビデは、ヘテびとアヒメレク、およびゼルヤので、ヨアブの兄弟きょうだいであるアビシャイにった、「だれがわたしとともにサウルのじんくだってくか」。アビシャイはった、「わたしが一緒いっしょくだってきます」。

26:7 こうしてダビデとアビシャイとがよるたみのところへってみると、サウルは陣所じんしょのうちによこたえてており、そのやりはまくらもとにきさしてあった。そしてアブネルとたみらとはその周囲しゅういていた。

26:8 アビシャイはダビデにった、「かみはきょうてきをあなたのわたされました。どうぞわたしに、かれのやりをもってひときでかれしとおさせてください。ふたたびくにはおよびません」。

26:9 しかしダビデはアビシャイにった、「かれころしてはならない。しゅあぶらそそがれたものかって、をのべ、つみないものがあろうか」。

26:10 ダビデはまたった、「しゅきておられる。しゅかれたれるであろう。あるいはかれるであろう。あるいはたたかいにくだってってほろびるであろう。

26:11 しゅあぶらそそがれたものかって、わたしがをのべることをしゅきんじられる。しかしいま、そのまくらもとにあるやりとみずのびんをりなさい。そしてわれわれはろう」。

26:12 こうしてダビデはサウルのまくらもとから、やりとみずのびんをってかれらはったが、だれもそれをず、だれもらず、また、だれもをさまさず、みなねむっていた。しゅかれらをふかねむらされたからである。

26:13 ダビデはこうがわわたってって、とおはなれてやまいただきった。かれらのあいだへだたりはおおきかった。

26:14 ダビデはたみとネルのアブネルにばわってった、「アブネルよ、あなたはこたえないのか」。アブネルはこたえてった、「おうんでいるあなたはだれか」。

26:15 ダビデはアブネルにった、「あなたはおとこではないか。イスラエルのうちに、あなたにおよひとがあろうか。それであるのに、どうしてあなたは主君しゅくんであるおうまもらなかったのか。たみのひとりが、あなたの主君しゅくんであるおうころそうとして、はいりこんだではないか。

26:16 あなたがしたこのことくない。しゅきておられる。あなたがたは、まさにあたいする。しゅあぶらをそそがれた、あなたの主君しゅくんまもらなかったからだ。いまおうのやりがどこにあるか。そのまくらもとにあったみずのびんがどこにあるかをなさい」。

26:17 サウルはダビデのこえきわけてった、「わがダビデよ、これはあなたのこえか」。ダビデはった、「おう、わがきみよ、わたしのこえです」。

26:18 ダビデはまたった、「わがきみはどうしてしもべのあとをわれるのですか。わたしがなにをしたのですか。わたしのになんのわるいことがあるのですか。

26:19 おう、わがきみよ、どうぞ、いましもべの言葉ことばいてください。もししゅがあなたをうごかして、わたしのてきとされたのであれば、どうぞしゅそなものけてやわらいでくださるように。もし、それがひとであるならば、どうぞその人々ひとびとしゅまえにのろいをけるように。かれらが『おまえはって神々かみがみつかえなさい』とって、きょう、わたしをし、しゅぎょうにあずかることができないようにしたからです。

26:20 それゆえいましゅまえはなれて、わたしのちることのないようにしてください。イスラエルのおうは、ひとやまで、しゃこをうように、わたしのいのちろうとしててこられたのです」。

26:21 そのとき、サウルはった、「わたしはつみおかした。わがダビデよ、かえってきてください。きょう、わたしのいのちがあなたのたっとられたゆえ、わたしは、もはやあなたにがいくわえないであろう。わたしはおろかなことをして、非常ひじょうなまちがいをした」。

26:22 ダビデはこたえた、「おうのやりは、ここにあります。ひとりの若者わかものわたってこさせ、これをちかえらせてください。

26:23 しゅひとおのおのにその真実しんじつとにしたがってむくいられます。しゅがきょう、あなたをわたしのわたされたのに、わたしはしゅあぶらそそがれたものかって、をのべることをしなかったのです。

26:24 きょう、わたしがあなたのいのちおもんじたように、どうぞしゅがわたしのいのちおもんじて、もろもろの苦難くなんからすくしてくださるように」。

26:25 サウルはダビデにった、「わがダビデよ、あなたはほむべきかな。あなたはおおくのことをおこなって、それをなしげるであろう」。こうしてダビデはそのみちき、サウルは自分じぶんところかえった。 

第27章 

27:1 ダビデはこころのうちにった、「わたしは、いつかはサウルのにかかってほろぼされるであろう。はやくペリシテびとのへのがれるほかはない。そうすればサウルはこのうえイスラエルのにわたしをくまなくさがすことはやめ、わたしはかれからのがれることができるであろう」。

27:2 こうしてダビデは、ともにいた六百にん一緒いっしょに、ってガテのおうマオクのアキシのところった。

27:3 ダビデと従者じゅうしゃたちは、おのおのその家族かぞくとともに、ガテでアキシとともんだ。ダビデはそのふたりのつま、すなわちエズレルのおんなアヒノアムと、カルメルのおんなでナバルのつまであったアビガイルとともにおった。

27:4 ダビデがガテにのがれたことがサウルにきこえたので、サウルはもはやかれさがさなかった。

27:5 さてダビデはアキシにった、「もしわたしがあなたのまえめぐみをるならば、どうぞ、いなかにあるまちのうちで一つの場所ばしょをわたしにあたえてそこにまわせてください。どうしてしもべがあなたとともおうまちむことができましょうか」。

27:6 アキシはそのチクラグをかれあたえた。こうしてチクラグは今日こんにちにいたるまでユダのおうぞくしている。

27:7 ダビデがペリシテびとのくにんだかずは一ねんと四かげつであった。

27:8 さてダビデは従者じゅうしゃともにのぼって、ゲシュルびと、ゲゼルびとおよびアマレクびとをおそった。これらはむかしからシュルにいたるまでの住民じゅうみんであって、エジプトにいたるまでのんでいた。

27:9 ダビデはそのって、おとこおんなかしおかず、ひつじうしとろばとらくだと衣服いふくとをって、アキシのもとにかえってきた。

27:10 アキシが「あなたはきょうどこをおそいましたか」とたずねると、ダビデは、その時々ときどき、「ユダのネゲブです」、「エラメルびとのネゲブです」「ケニびとのネゲブです」とった。

27:11 ダビデはおとこおんなかしおかず、ひとりをもガテにいてかなかった。それはダビデが、「おそらくは、かれらが、『ダビデはこうした』とって、われわれのことをげるであろう」とおもったからである。ダビデはペリシテびとのいなかにんでいるあいだはこうするのがつねであった。

27:12 アキシはダビデをしんじてった、「かれ自分じぶんまったくそのたみイスラエルににくまれるようにした。それゆえかれ永久えいきゅうにわたしのしもべとなるであろう」。 

第28章 

28:1 そのころ、ペリシテびとがイスラエルとたたかおうとして、いくさのために軍勢ぐんぜいあつめたので、アキシはダビデにった、「あなたは、しかと承知しょうちしてください。あなたとあなたの従者じゅうしゃたちとは、わたしとともて、軍勢ぐんぜいくわわらなければなりません」。

28:2 ダビデはアキシにった、「よろしい、あなたはしもべがなにをするかをられるでしょう」。アキシはダビデにった、「よろしい、あなたを終身しゅうしんわたしの護衛ごえいちょうとしよう」。

28:3 さてサムエルはすでにんで、イスラエルのすべてのひとかれのためにかなしみ、そのまちラマにほうむった。またさきにサウルは口寄くちよせやうらなをそのから追放ついほうした。

28:4 ペリシテびとがあつまってきてシュネムにじんったので、サウルはイスラエルのすべてのひとあつめて、ギルボアにじんった。

28:5 サウルはペリシテびとの軍勢ぐんぜいおそれ、そのこころはいたくおののいた。

28:6 そこでサウルはしゅうかがいをたてたが、しゅゆめによっても、ウリムによっても、預言者よげんしゃによってもかれこたえられなかった。

28:7 サウルはしもべたちにった、「わたしのために、口寄くちよせのおんなさがしなさい。わたしはってそのおんなたずねよう」。しもべたちはかれった、「よ、エンドルにひとりの口寄くちよせがいます」。

28:8 サウルは姿すがたえてほかの着物きものをまとい、ふたりの従者じゅうしゃともなってき、よるあいだに、そのおんなところにきた。そしてサウルはった、「わたしのために口寄くちよせのじゅつって、わたしがあなたにげるひとおこしてください」。

28:9 おんなかれった、「あなたはサウルがしたことをごぞんじでしょう。かれ口寄くちよせやうらなをそのくにからほろぼしました。どうしてあなたは、わたしのいのちにわなをかけて、わたしをなせようとするのですか」。

28:10 サウルはしゅをさして彼女かのじょちかってった、「しゅきておられる。このことのためにあなたがばつけることはないでしょう」。

28:11 おんなった、「あなたのためにだれをおこしましょうか」。サウルはった、「サムエルをおこしてください」。

28:12 おんなはサムエルをとき大声おおごえさけんだ。そしてそのおんなはサウルにった、「どうしてあなたはわたしをあざむかれたのですか。あなたはサウルです」。

28:13 おう彼女かのじょった、「おそれることはない。あなたにはなにえるのですか」。おんなはサウルにった、「かみのようなかたがからのぼられるのがえます」。

28:14 サウルは彼女かのじょった、「そのひとはどんな様子ようすをしていますか」。彼女かのじょった、「ひとりの老人ろうじんがのぼってこられます。そのひと上着うわぎをまとっておられます」。サウルはそのひとがサムエルであるのをり、にひれしてはいした。

28:15 サムエルはサウルにった、「なぜ、わたしをおこして、わたしをわずらわすのか」。サウルはった、「わたしは、ひじょうになやんでいます。ペリシテびとがわたしにかっていくさをおこし、かみはわたしをはなれて、預言者よげんしゃによっても、ゆめによっても、もはやわたしにこたえられないのです。それで、わたしのすべきことをるために、あなたをびました」。

28:16 サムエルはった、「しゅがあなたをはなれて、あなたのてきとなられたのに、どうしてあなたはわたしにうのですか。

28:17 しゅは、わたしによってかたられたとおりにあなたにおこなわれた。しゅ王国おうこくを、あなたのからきはなして、あなたの隣人りんじんであるダビデにあたえられた。

28:18 あなたはしゅこえしたがわず、しゅはげしいいかりにしたがって、アマレクびとをほろぼさなかったゆえに、しゅはこのことを、この、あなたにおこなわれたのである。

28:19 しゅはまたイスラエルをも、あなたとともに、ペリシテびとのわたされるであろう。あすは、あなたもあなたのらもわたしと一緒いっしょになるであろう。またしゅはイスラエルの軍勢ぐんぜいをもペリシテびとのわたされる」。

28:20 そのときサウルは、ただちに、び、たおれ、サムエルの言葉ことばのために、ひじょうにおそれ、またそのちからはうせてしまった。その一にち食物しょくもつをとっていなかったからである。

28:21 おんなはサウルのもとにきて、かれのおののいているのをった、「あなたのつかえめは、あなたのこえしたがい、わたしのいのちをかけて、あなたのわれた言葉ことばしたがいました。

28:22 それゆえいまあなたも、つかえめのこえしたがい、一口ひとくちのパンをあなたのまえにそなえさせてください。あなたはそれをめしあがってちからをつけ、みちってください」。

28:23 ところがサウルはことわってった、「わたしはべません」。しかしかれのしもべたちも、そのおんなもしいてすすめたので、サウルはその言葉ことばきいれ、からきあがり、とこうえにすわった。

28:24 そのおんないええたうしがあったので、いそいでそれをほふり、また麦粉むぎこをとり、こねて、たねれぬパンをき、

28:25 サウルとそのしもべたちのまえってきたので、かれらはべた。そしてかれらはがって、そのよるのうちにった。 

第29章 

29:1 さてペリシテびとは、その軍勢ぐんぜいをことごとくアペクにあつめた。イスラエルびとはエズレルにあるいずみのかたわらにじんった。

29:2 ペリシテびとのきみたちは、あるいは百にん、あるいは千にんひきいてすすみ、ダビデとその従者じゅうしゃたちはアキシとともに、しんがりになってすすんだ。

29:3 そのとき、ペリシテびとのきみたちはった、「これらのヘブルびとはここでなにをしているのか」。アキシはペリシテびとたちにった、「これはイスラエルのおうサウルのしもべダビデではないか。かれはこのごろ、このとしごろ、わたしとともにいたが、ちてきたからきょうまで、わたしはかれにあやまちがあったのをたことがない」。

29:4 しかしペリシテびとのきみたちはかれかっていかった。そしてペリシテびとのきみたちはかれった、「このひとかえらせて、あなたがかれいたもとのところかせなさい。われわれと一緒いっしょかれたたかいにくだらせてはならない。たたかいのときかれがわれわれのてきとなるかもれないからである。このものなにをもってその主君しゅくんとやわらぐことができようか。ここにいる人々ひとびとくびをもってするほかはあるまい。

29:5 これは、かつて人々ひとびとおどりのうちにうたいかわして、

『サウルは千をころし、ダビデはまんころした』
った、あのダビデではないか」。

29:6 そこでアキシはダビデをんでった、「しゅきておられる。あなたはただしいひとである。あなたがわたしと一緒いっしょたたかいに出入でいりすることをわたしはいとおもっている。それはあなたがわたしのところにきたからこのまで、わたしは、あなたにわることがあったのをたことがないからである。しかしペリシテびとのきみたちはあなたをわない。

29:7 それゆえいまやすらかにかえってきなさい。かれらがわるいとおもうことはしないがよかろう」。

29:8 ダビデはアキシにった、「しかしわたしがなにをしたというのですか。わたしがあなたにつかえはじめたからこのまでに、あなたはしもべのなにられたので、わたしはって、わたしの主君しゅくんであるおうてきたたかうことができないのですか」。

29:9 アキシはダビデにこたえた、「わたしはて、あなたがかみ使つかいのようにりっぱなひとであることをっている。しかし、ペリシテびとのきみたちは、『われわれと一緒いっしょかれたたかいにのぼらせてはならない』とっている。

29:10 それで、あなたは、一緒いっしょにきたあなたの主君しゅくんのしもべたちとともあさはやきなさい。そしてあさはやき、よるけてからりなさい」。

29:11 こうしてダビデとその従者じゅうしゃたちとはともにペリシテびとのかえろうと、あさはやきて出立しゅったつしたが、ペリシテびとはエズレルへのぼってった。 

第30章 

30:1 さてダビデとその従者じゅうしゃたちが三にチクラグにきたとき、アマレクびとはすでにネゲブとチクラグをおそっていた。かれらはチクラグをち、をはなってこれをき、

30:2 そのなかにいたおんなたちおよびすべてのもの捕虜ほりょにし、ちいさいものをもおおきいものをも、ひとりもころさずに、いて、そのみちった。

30:3 ダビデと従者じゅうしゃたちはそのまちにきて、まちかれ、そのつまとむすこむすめらは捕虜ほりょとなったのをた。

30:4 ダビデおよびかれともにいたたみこえをあげてき、ついにちからもなくなった。

30:5 ダビデのふたりのつますなわちエズレルのおんなアヒノアムと、カルメルびとナバルのつまであったアビガイルも捕虜ほりょになった。

30:6 そのとき、ダビデはひじょうになやんだ。それはたみがみなおのおのそのむすこむすめのためにこころいためたため、ダビデをいしとうとったからである。しかしダビデはそのかみしゅによって自分じぶんちからづけた。

30:7 ダビデはアヒメレクの祭司さいしアビヤタルに、「エポデをわたしのところにってきなさい」とったので、アビヤタルは、エポデをダビデのところにってきた。

30:8 ダビデはしゅうかがいをたててった、「わたしはこの軍隊ぐんたいのあとをうべきですか。わたしはそれにいつくことができましょうか」。しゅかれわれた、「いなさい。あなたはかならいついて、たしかにすくすことができるであろう」。

30:9 そこでダビデは、一緒いっしょにいた六百にんものとも出立しゅったつしてベソルかわったが、あとにのこものはそこにとどまった。

30:10 すなわちダビデは四百にんとも追撃ついげきをつづけたが、つかれてベソルかわわたれないもの二百にんはとどまった。

30:11 かれらはで、ひとりのエジプトびとをて、それをダビデのもとにいてきて、パンをべさせ、みずませた。

30:12 またかれらはほしいちじくのかたまり一つと、ほしぶどう二ふさをかれあたえた。かれべて元気げんき回復かいふくした。かれは三、パンをべず、みずんでいなかったからである。

30:13 ダビデはかれった、「あなたはだれのものか。どこからきたのか」。かれった、「わたしはエジプトの若者わかもので、アマレクびとの奴隷どれいです。三まえにわたしが病気びょうきになったので、主人しゅじんはわたしをててきました。

30:14 わたしどもは、ケレテびとのネゲブと、ユダにぞくすると、カレブのネゲブをおそい、またでチクラグをきはらいました」。

30:15 ダビデはかれった、「あなたはその軍隊ぐんたいのところへわたしをみちびくだってくれるか」。かれった、「あなたはわたしをころさないこと、またわたしを主人しゅじんわたさないことを、かみをさしてわたしにちかってください。そうすればあなたをその軍隊ぐんたいのところへみちびくだりましょう」。

30:16 かれはダビデをみちびくだったが、よ、かれらはペリシテびとのとユダのからうばったさまざまのおおくのぶんどりもののゆえに、み、かつおどりながら、のおもてにあまねくりひろがっていた。

30:17 ダビデはゆうぐれから翌日よくじつ夕方ゆうがたまで、かれらをったので、らくだにってげた四百にん若者わかものたちのほかには、ひとりものがれたものはなかった。

30:18 こうしてダビデはアマレクびとがうばったものをみなりもどした。またダビデはそのふたりのつますくした。

30:19 そしてかれらにぞくするものは、ちいさいものもおおきいものも、むすこもむすめもぶんどりものも、アマレクびとがうばったものなにをもうしなわないで、ダビデがみなりもどした。

30:20 ダビデはまたすべてのひつじうしった。人々ひとびとはこれらの家畜かちくかれまえってきながら、「これはダビデのぶんどりものだ」とった。

30:21 そしてダビデが、あのつかれてダビデについてくことができずに、ベソルかわのほとりにとどまっていた二百にんもののところへきたときかれらはてきてダビデをむかえ、またダビデとともにいるたみむかえた。ダビデはたみちかづいてその安否あんぴうた。

30:22 そのときダビデとともった人々ひとびとのうちで、わるく、かつよこしまなものどもはみなった、「かれらはわれわれとともかなかったのだから、われわれはその人々ひとびとにわれわれのりもどしたぶんどりものあたえることはできない。ただおのおのにその妻子さいしあたえて、れてかせましょう」。

30:23 しかしダビデはった、「兄弟きょうだいたちよ、しゅはわれわれをまもって、めてきた軍隊ぐんたいをわれわれのわたされた。そのしゅたまわったものを、あなたがたはそのようにしてはならない。

30:24 だれがこのことについて、あなたがたにしたがいますか。たたかいにくだってったものまえと、荷物にもつのかたわらにとどまっていたものまえ同様どうようにしなければならない。かれらはひとしくまえけるべきである」。

30:25 この以来いらい、ダビデはこれをイスラエルのさだめとし、おきてとして今日こんにちおよんでいる。

30:26 ダビデはチクラグにきて、そのぶんどりもの一部いちぶをユダの長老ちょうろうである友人ゆうじんたちにおくってった、「これはしゅてきからったぶんどりもののうちからあなたがたにおくるおくものである」。

30:27 そのおくりさきは、ベテルにいる人々ひとびと、ネゲブのラモテにいる人々ひとびと、ヤッテルにいる人々ひとびと

30:28 アロエルにいる人々ひとびと、シフモテにいる人々ひとびと、エシテモアにいる人々ひとびと、ラカルにいる人々ひとびと

30:29 エラメルびとの町々まちまちにいる人々ひとびと、ケニびとの町々まちまちにいる人々ひとびと

30:30 ホルマにいる人々ひとびと、ボラシャンにいる人々ひとびと、アタクにいる人々ひとびと

30:31 ヘブロンにいる人々ひとびと、およびダビデとその従者じゅうしゃたちが、さまよいあるいたすべてのところにいる人々ひとびとであった。 

第31章 

31:1 さてペリシテびとはイスラエルとたたかった。イスラエルの人々ひとびとはペリシテびとのまえからげ、おおくのものきずついてギルボアやまにたおれた。

31:2 ペリシテびとはサウルとそのらにり、そしてペリシテびとはサウルのヨナタン、アビナダブ、およびマルキシュアをころした。

31:3 たたかいははげしくサウルにせまり、ゆみものどもがサウルをつけて、かれたので、サウルはものたちにひどいきずわされた。

31:4 そこでサウルはその武器ぶきものった、「つるぎをき、それをもってわたしをせ。さもないと、これらの割礼かつれいものどもがきて、わたしをし、わたしをなぶりごろしにするであろう」。しかしその武器ぶきものは、ひじょうにおそれて、それにおうじなかったので、サウルは、つるぎをって、そのうえした。

31:5 武器ぶきものはサウルがんだのをて、自分じぶんもまたつるぎのうえして、かれともんだ。

31:6 こうしてサウルとその三にんたち、およびサウルの武器ぶきもの、ならびにその従者じゅうしゃたちはみな、このともんだ。

31:7 イスラエルの人々ひとびとで、たにこうがわ、およびヨルダンのこうがわにいるものが、イスラエルの人々ひとびとげるのを、またサウルとそのたちのんだのを町々まちまちててげたので、ペリシテびとはきてそのなかんだ。

31:8 あくる、ペリシテびとはころされたものから、はぎるためにきたが、サウルとその三にんたちがギルボアやまにたおれているのをつけた。

31:9 かれらはサウルのくびり、そのよろいをはぎり、ペリシテびとのぜんひとをつかわして、このらせを、その偶像ぐうぞうたみとにつたえさせた。

31:10 またかれらは、そのよろいをアシタロテの神殿しんでんき、かれのからだをベテシャンの城壁じょうへきにくぎづけにした。

31:11 ヤベシ・ギレアデの住民じゅうみんたちは、ペリシテびとがサウルにしたこといて、

31:12 勇士ゆうしたちはみなち、もすがらって、サウルのからだと、そのたちのからだをベテシャンの城壁じょうへきからりおろし、ヤベシにきて、これをそこでき、

31:13 そのほねって、ヤベシのぎょりゅうのしたほうむり、七日なぬかあいだ断食だんじきした。